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経済オンチの国家トップ戴く中韓の危うさ急拡大

 中韓両国でトップによる強引な政策が目立ちます。習近平主席、文在寅大統領ともに経済オンチと言われる中で、中国は大手企業支配へ銀行融資を絞り、韓国は時間当り最低賃金千円を目指し企業に補填補助金を出します。中国の既得権益層である共産党員は賄賂・汚職を潤滑油として社会を回してきました。反腐敗キャンペーンが進んで、これからは企業経営も党の方針に沿うよう縛られ自由度が狭められます。開放型経済で企業に伸び伸びやらせて技術革新を図らせるのとは正反対に向いています。一方、韓国新政権は高止まり失業率対策として81万人の公務員増員を打ち出して野党の猛反対にあっています。最低賃金を大きく上げると零細企業が払えなくなるので月に労働者1人1万円程度を政府が補助する政策はバラマキも良いところで、公務員増員と並んで後々の世代まで持続可能か疑わしいと見られています。

 ウォールストリートジャーナルによると、中国企業は日本の80年代バブルを思わせる海外の大型買収に浮かれていたが、今年に入って習近平国家主席の指示に基づき中国政府は大企業への銀行融資を停止させ、海外M&A統制に乗り出しています。これまでの成長一辺倒を支えた銀行低利融資を返済するメドが立たない大企業が増えています。有力政治家と結んでいた政商にも、これからは自由にさせない方針のようです。習近平派と見られていた大連万達集団の創業者、王健林氏が7月にホテルや不動産の大半を処分させられ、海外投資で規則違反があったので銀行融資禁止の懲罰を受けました。

 ダイヤモンド・オンラインの《習近平が内外に見せる強権支配はいずれ「しっぺ返し」を受ける》が背景にある危機的状況をこう指摘します。

 《国内では、過剰生産能力の解消が進まず、不動産バブルへの懸念も高まっている。すでに、民間セクターの債務残高はGDPの200%を超えた。これは、1980年代後半から1990年代にかけてのわが国に匹敵する。わが国の過去の事例を見れば明らかなとおり、バブル崩壊後には不良債権処理とバランスシート調整が不可避だ》

 《中国はその痛みを恐れ、インフラ投資を増やすことで、経済成長率を人為的に支えている。今後、不動産投資の減少などによって景気の減速懸念が高まった場合には、一段の財政措置が取られるだろう。習氏が支配基盤を強化するためにも、国内の経済が低迷し、民衆の不満が高まる展開は避けなければならない。当面、中国経済が財政政策頼みの展開となる可能性は高まっている。この状況が続く間、中国経済の需給のミスマッチは放置される可能性が高い》《問題は、市場が債務リスクや資本の流出圧力に耐えられなくなったとき、世界経済に無視できない影響が発生する恐れがあることだ》

 習近平主席は社会の隅々まで統制したい志向を持っています。第560回「中国は個人情報を統一管理、雁字搦め社会を志向」で顔認証技術を使った街頭での市民の行動制御の試み、各種信用情報まで一元化しての国民個人評価が動き出している状況を伝えました。自由を与えないで経済オンチが差配するのでは、経済発展が腰折れする「中所得国の罠」を回避できる見通しは暗いでしょう。

 日本の最低賃金は2017年度で全国平均時給848円と決まりました。政府は1000円を目指しているものの、まだ差があります。ところが韓国は1000円に相当する1万ウォン早期実現を掲げました。《文在寅政権 慎重論ある最低賃金1万ウォンへとまい進》は《労使と政府推薦者でつくる最低賃金委員会は来年の1時間当たりの最低賃金を前年比16.4%増の7530ウォンに決めた。2010年以降の最低賃金の引き上げ率は2.75〜8.1%だった。今回の引き上げ幅は文大統領が20年までに同最低賃金を1万ウォンに引き上げることを公約として掲げたことが後押ししたとされる》と報じました。

 世論は最低賃金引き上げを支持していますが、早速、副作用が現れました。政府の補填補助が無い企業には大幅な引き上げは過酷なのです。朝鮮日報の社説《企業の韓国離れ、最低賃金が決定打》がこう主張しています。

 《韓国繊維業界を代表する京紡が光州工場の生産設備をベトナムに移転すると発表した。京紡は日本による植民地統治期に民族資本で設立された株式会社第1号で、韓国の資本主義史で象徴的な企業だ。先ごろ全紡も韓国国内の事業所6カ所のうち3カ所を閉鎖することを決めた。限界に追い込まれた繊維産業が最低賃金引き上げを合図に一気に崩壊している》

 《両社が事業の縮小や生産移転を決めた根本的な原因は、韓国繊維産業が直面する構造的な経営難だ。低付加価値型の繊維企業が競争力を失う中、最低賃金引き上げが最後の一撃となった。京紡は「最低賃金の引き上げ率を10%と予想していたが、それをはるかに上回る16.4%に決まり、忍耐の限界を超えた」と説明した。政府の過激な最低賃金引き上げが100年続く企業を国外に追い出している》

 文在寅大統領は16.4%の内、過去に比べて大幅な9%分、月にして1人1万円程度を零細業者に財政で補填する方針です。これには政府に近い左派系のハンギョレ新聞《「最低賃金引き上げに伴う10万ウォンの支援で、自営業者の廃業は減るだろうか?」》が疑問を投げます。

 《ソウル市九老区(クログ)開峰洞(ケボンドン)で7年間焼肉屋を営むKさん(45)は、この頃深いため息をついている。来年最低賃金が大幅に上がる。彼は「厨房とサービングに職員6人とアルバイト3人を使っているが、来年から毎月の人件費だけで200万ウォン(約20万円)程度支出が増えることになった。周辺の食堂との競争のために食事代を値上げすればお客が減ることは明らかだ。まったく答が見えない」と訴えた》

 政府補填の効果について《イ・ヨンミョン東国大学教授(経営学)は「零細自営業者が職員1人当り1カ月に10万ウォン程度を支援されても、種々の手続き的煩わしさを甘受するだろうか?財政健全性を考慮すれば、政府の賃金補てんは持続性がなく望ましくもない」と指摘した》

 文在寅大統領は米国の意向を無視して北朝鮮に会談を呼びかけたように自分中心の思い込みが強いようです。外交では第559回「韓国新大統領のヌエ政策が早くも破綻しつつある」で紹介した通り、米中両国から疎んじられる状況です。相手がある外交ばかりか、独自に出来る国内政策でも政策の精度を上げる能力を欠いているように見えます。


現実に移民流入が日本の人口減少を抑制していた

 みずほ総研が21日に発表の《リサーチTODAY・東京の外国人住民比率約4%、日本は既に移民国家》が移民流入が人口減少を抑えていると指摘しました。住民基本台帳などによれば人口減が半分になっているのです。興味深いので周辺の統計などをあたってみると、近年流入しているのは圧倒的にアジア人で、かつて外国からの働き手主役だった日系のブラジル人やペルー人など南米人はむしろ微減でした。この10年来取り組まれてきたチャイナ・プラス・ワンの動き、その影響が色濃く出ています。第474回「先進国で稀な人口減少と高齢化をグラフで見る」で近くに迫っていると主張した危機的状況が緩和されそうです。みずほリサーチは「日本の人口対策は日本人の出生率を改善させるよりも、外国人の流入スピードを上げることのほうが即効性がある」とします。


 住民基本台帳で外国人の登録者数が分かるようになったのは最近で、上のグラフに示す2014年1月1日からしか利用できません。これに人口動態調査も合わせて、進行中の日本人減少を阻むようになった外国人増加傾向を2017年までまとめました。外国人の国外からの転入が大きく増えているのに、国外転出はさほど増えず、外国人総数は2014年の200万人が2017年には232万人になりました。2014年には外国人もマイナスだったのに2017年には148,959人の増加に転じ、日本人の308,084人減少の48%を補ったことになります。外国人の出生数も2017年に16,579人まで増えています。また年間1万人に近い外国人帰化があり、こちらは日本人としてのカウントに回ります。

 どの地域の増加が多いのか、在留外国人統計で調べます。法務省による在留外国人統計は統計のとり方が住民基本台帳と少し違いますが、似通った数字になる2016年末と2013年末で比較します。

	   2016年末	2013年末   増加分
アジア	   1,970,253 	1,676,343  293,910 
ヨーロッパ    72,138 	   59,248   12,890 
アフリカ        14,686     11,548    3,138 
北米	        68,382     62,749    5,633 
南米	       242,507    243,246     -739 
オセアニア      14,262     12,694    1,568 

 圧倒的にアジアが増えています。国別では増加1万人に近いミャンマーから上位は以下です。スリランカ、インド、タイ、カンボジアの増加が5千以上でこれに続きます。在留50万人に近い韓国・朝鮮は3万4千の減少でした。

	  2016年末	2013年末   増加分
中国	    695,522     649,078     46,444 
台湾	     52,768 	 33,324     19,444 
ネパール     67,470 	 31,537     35,933 
フィリピン  243,662     209,183     34,479 
ベトナム    199,990 	 72,256    127,734 
インドネシア 42,850 	 27,214     15,636 
ミャンマー   17,775 	  8,600      9,175

 チャイナ・プラス・ワンで企業が進出した先から色々な人材を受け入れているようです。従来は女性が多かったのに、以下に20代で示すように男性の増加が著しく介護などよりも工場労働などが想定できます。

     2016年末  2013年末
20代男性  362,879   258,968
20代女性  312,804   267,723

 ベトナムの増加が特に目立つ点について、技術者としての雇用があると言われています。真面目で親日的な国民性もプラスです。人財プラネットの《ベトナム人技術者という選択》が次のような事情を挙げています。

 《ベトナムが理数系に強く優秀な技術者が育つ土壌であること〜ベトナム政府は教育に力を入れており、GDPに対する教育への政府支出割合が約6.3%と世界的に見ても高い水準を保っています。なかでも特に理系・工科系に注力しており、日本でもおなじみの「ABUアジア・太平洋ロボットコンテスト」では、2015年にフンイエン技術師範大学、2014年にラクホン大学が優勝校に輝いているほか、国際数学オリンピック、物理オリンピックでもゴールドメダリストを排出する常連国でもあります》

 2015年に第499回「こんな超高齢亡国にしては…と痛感するグラフ」を書いています。2050年の生産年齢人口割合で世界各国を並べ、65歳以上人口と14歳以下人口の割合も同時に見ています。日本は圧倒的な超高齢亡国の途上です。自公政権は移民受け入れに消極的ですが、今回示した自然発生的な受け入れが補ってくれるかもしれません。


中国は個人情報を統一管理、雁字搦め社会を志向

 ノーベル平和賞を受けた民主活動家で作家の劉暁波氏死去情報を国民から徹底的に遮断している中国政府。目指すのはプライバシーも剥ぎ取る恐るべき個人管理であり、全国民を評価するシステムに向け動き出しています。劉氏ら303名連名で2008年に発表された「08憲章」が求めた民主化・自由化が実現されるどころか、顔認証技術を活用するなどSF映画の世界を彷彿とさせる管理社会が目の前です。昨年10月に「全ての国民をポイント評価へ。役人は2020年からシステム稼働」と伝えられた際には話半分と思っていましたが、今年の動きを見て本気だと理解しました。中央日報日本語版の14日付《「ビッグブラザー」中国…違反横断すれば電光掲示板に顔・名前表示》が《周辺に誰もいない道路。ある男性が車が通っていないことを確認し、赤信号にもかかわらず道を渡ろうと足を踏み出した。その瞬間、付近の大型電光掲示板にこの男性の顔と個人情報が映し出され、警告音が鳴る。空想科学映画の話ではない。最近、中国の上海・深センなど中国の主要都市のあちこちで目撃される場面だ》と伝えました。

 西側社会ならプライバシー侵害・人権無視と非難轟々でしょう。中国でも市民に賛否の声があると言いますが、本当に実現してしまって歯止めが無いのです。《こうした批判の声にもかかわらず、中国政府は日々進化する「顔認識技術」を利用して違法行為を根絶する方針だ。さらに人々が職場と公共の場でどのように行動するかを綿密に監視し、2020年まですべての市民の「社会的信用」等級をつけるという計画まで立てた。中国版「ビッグブラザー」ということだ。ビッグブラザーとは、ジョージ・オーウェル『1984年』に登場する言葉で、社会構成員を徹底的に監視するシステムをいう》と記事は続きます。

 こんな異様なシーンが現実にあるのか、裏を取るために関連ニュースを探すと「Forbes JAPAN」13日付《中国で急拡大の「顔認識システム」 アリババは顔決済を導入》が《新華社通信の報道によると、山東省の済南市では先日、交差点で赤信号を無視する歩行者の動画から個人を特定し、道路に設置されたスクリーンでその人物の名前や住所を公衆の目にさらす試みが始動したという》と報じています。

 《顔認識テクノロジーの最大の支援者と言えるのが中国政府だ。英国の調査企業IHS Markitのデータによると、米国には現在5000万台の監視カメラがあるが中国の監視カメラ台数は1億7600万台に達している。中国政府は米国と同様に、監視カメラの映像を国民のID写真と照らし合わせ、犯罪者やテロリストの発見に役立てている》《中国ではこのような行為はプライバシーの侵害とはみなされない。新たに導入されたサイバーセキュリティ法は、商用目的で生体情報等の個人情報を収集することに一定の基準を設けているが、地方の当局はその規制対象に含まれていない》

 顔認証がそれだけで終わらない、恐るべき可能性があると知らせてくれるのが、シェアリングでマナーを守らせる評価システム、そして信用情報の共有を語る《中国シェア自転車「悪名高きマナー問題」が消えた理由》です。

 《この評価システムは中国ではさらにアグレッシブな進化を遂げている。米国ではUBERが得た評価情報は原則として他社に提供されない。中国では政府の指導の下、シェアサイクル各社は協定を結び、マナーが悪い顧客に関する情報を共有している。あるシェアサイクル企業のサービスでマナー違反を行えば、他企業のサービスも利用できなくなるのだ。そればかりか、中国政府はこうしたシェアリングエコノミーの信用情報に加えて、金融機関の信用情報、海外旅行のマナー違反ブラックリストなど、ありとあらゆるデータベースを連結。信用情報の大統一を目指している》

 国民評価システムの報道では、評価ポイントが低いと海外旅行にも行けなくなるなど移動の自由が縛られるとありました。SNSでの実名制導入とも相まって当局に睨まれる意見など言えないし、路上を含めて常に監視され、異端分子は国外に出さず、がっちり押さえ込む社会が想定できます。

 これまで第515回「中国の異様な言論統制、安全弁も根こそぎ圧殺」などで、中国の憲法に明文規定がある「言論の自由」を徹底無視しては民間活力を削ぎ、中所得国の罠に陥りつつある経済の発展を損なうと指摘しました。中国側でも最近、更迭された楼継偉・財政部長(日本の財政大臣)による憂慮の警鐘が《中国は今後5年から10年にわたって「中所得国の罠」からの脱却について真剣に考えざるをえない、という点である。しかも彼は、中国がその罠に陥る可能性は五分五分だとまで述べる。罠に陥らないためには労働市場を再び柔軟なものにし、知的財産権を保護し、土地の流動性や開放的な経済体制をとるべきだと言う》と紹介されていました(《エリート幹部も懸念する「中所得国の罠」》)。

 劉暁波氏の妻は何の犯罪も犯していないのに当局の監視下で軟禁され、獄中の夫の代理でノーベル平和賞を受け取るために出国することすら出来ませんでした。中国が法治国家とは決して言えない、法律はあっても運用で全く無視できる実情は第346回「『がん村』放置は必然、圧殺する中国の環境司法」で明白です。異様な社会がますます異様になろうとしています。


韓国新大統領のヌエ政策が早くも破綻しつつある

 9年ぶりの左派政権、韓国新大統領が同盟関係の米国と親近感を寄せる中国の間で二枚舌を使う政策は早くも暗礁に乗り上げています。保守系の朝鮮日報の社説に同盟解体から北朝鮮による赤化統一への恐れさえ見えます。ワシントンを訪れての米韓首脳会談では、北朝鮮の核ミサイルに対処するTHAAD(高高度迎撃ミサイル、サード)の配備問題は表立った議題とせず、早期配備完了を求める米国に「配備撤回はない」と誤魔化しました。サード撤回を強く求める中国主席とG20サミットでの首脳会談では環境影響評価に時間を掛けている間に解決策が出来ないかと持ちかけたものの「北朝鮮とは血盟」とはねつけられました。一部の配備が終わった現地では周辺住民がサード発電燃料油を持ち込ませないために警察車両さえ検問する「無法事態」が発生と伝えられます。政権の意向忖度無しにはあり得ず、第477回「安全になれぬ韓国、手抜き勝手の国民意識が原因」で描いた法治は見せかけだけ「人治国家」の面目躍如です。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領のこの間の外交についてルポした中央日報の9日付韓国語版《息詰まる2週間の外交舞台「外交がこんなに難しいのか知らなかった」という言葉の重さ》はこう伝えました。

 習近平主席との会談で《大統領が「環境影響評価に時間を確保し、その期間中に北朝鮮の核問題の解決策を見つけた場合はサード問題が解決されないのか」と発言した事実も確認された。これまで、大統領府が明示的に明らかにしなかった「サード解決法」である。米国では「サード撤回はない」と安心させながら、中国には「サード配置の原因を取り除いてほしい」と要求する二枚舌が明らかになった》

 サードの強力なレーダーが自らの安全保障の妨げとする中国は第550回「中国のやり過ぎ韓国いじめで反中が起きないなら」で紹介したように韓国への団体旅行を禁じ、中国内での韓国企業の営業も締め付けています。経済的打撃は大きくなっており、こうした報復措置撤回も首脳会談の大きなテーマでしたが、中国はにべもなく断りました。それどころか、団体旅行だけでなく新たに個人旅行も制限する動きすら伝えられます。干渉を許すべきでない国防問題で譲って、かえって足元を見られています。

 韓国内でもサード配備に疑問の声が大きかったのですが、最近の世論調査は57%が賛成で27%が反対と国論は固まりつつあります。そうした中で慶尚北道星州郡の基地前での住民による検問騒ぎは異様です。大きな電力を要するサードレーダーへの送電線設置が反対もあって間に合わないので発電燃料油を使っているのですが、地上からの運び込みを反対派住民が阻止しています。現在はヘリでのドラム缶空輸しか出来ず、5月の北朝鮮ミサイル発射の急場には間に合わなかったとも伝えられます。30人程度の住民の「無法行動」に対し警察は傍観しているそうです。サードを運用しているのは米軍であり、韓国軍は我関せずを決め込んでいます。

 朝鮮日報の10日付《【社説】朝鮮戦争以来最悪の危機、北朝鮮に対する幻想を捨てよ》には悲痛なトーンさえあります。

 《このような形で北朝鮮におもねれば南北による核交渉につなげられると本当に考えているのであれば、これはもはや純真というよりも危険な考え方だ。また北朝鮮も自分たちがいかなる行動を取っても、最終的には自分たちの思い通りの結果になるのだから、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の頭の中にはもはや米国との直接交渉しかなく、韓国はその交渉の場で北朝鮮が手にした単なる戦利品にすぎなくなるだろう》

 米韓同盟の解体、駐留米軍の韓国からの引き揚げが将来に見え始めたのです。米韓首脳会談で、現在は米軍が持つ戦時の指揮権を韓国軍に引き渡す話が進められ、文大統領は成果として誇りました。米軍司令官が副司令官になるだけの変更と軽く見ていますが、米軍が何万という兵士の命を他国の司令官の戦争指揮に委ねることは考えられず、少なくとも陸軍部隊の撤退は必至です。また、無礼な二枚舌を使われるのなら、米国が韓国を見放すのに配慮無用になります。