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生涯未婚率が劇的に改善か、2015国勢調査を分析

 将来は35%にもと予測された男性の生涯未婚率が25%に、女性も18%にとどまりそうです。昨年の国勢調査抽出速報を分析すると男女を問わず中年から高年の未婚率低下、即ち結婚がこれまでになく増えていました。各種の調査で「結婚できない」「結婚したくない」との声が若者を中心に聞こえていますが、中年に対する結婚意識調査は希であり、今回の変化を説明してくれる調査が見当たりません。この5年間を見回して結婚に向かう背景を考えれば、東日本大震災の後で人と人の絆を求める志向が高まった点は挙げられるでしょう。20年来、国勢調査で生涯未婚率の分析をして来て激変と言えるトレンド変化に出会い、にわかに信じられない思いがして10月の全体集計発表が待たれます。


 2000年以降の調査で得られた未婚率を5歳毎の年齢区分で並べました。国勢調査は5年毎に実施されるので、同じ世代の集団は5年後にはひとつ右下に現れます。男性で40〜44歳の欄を見て下さい。未婚率は2000年「18.4」、2005年「22.0」、2010年「28.6」、2015年「29.3」と増え続けています。変化は無いと判断してはいけません。2015年「29.3」の集団は2010年には35〜39歳で「35.6」だったのですから、5年間で6.3ポイントも未婚率を減らしたのです。この計算結果を「同世代で5年間の未婚率低下」として右側に並べました。

 表で黄色の部分が未婚率低下が著しく、注目されます。「2000→2005」と「2005→2010」の動きを見れば男性の40歳以上は「もう結婚を諦めた」と判断できる状況でした。未婚率低下がプラスになっている部分がありますが、調査漏れなどで起きる統計誤差なので無視して下さい。

 「2010→2015」で未婚率を男性40〜44歳が6.3ポイント、45〜49歳が3.4ポイント、50〜54歳でも2.1ポイントも減らしたのは画期的だと言えます。この中高年層での結婚が盛んになれば生涯未婚率は10ポイントも下がります。生涯未婚率は50歳時点の未婚率なので高年の動向は計算に入りませんが、55歳以上でも結婚する人が明らかに増えています。

 女性についても40歳以上は「結婚を諦めた」状況だったのに一気に活性化しています。40〜44歳が4.0ポイント、45〜49歳が2.1ポイント、50〜54歳でも1.2ポイントも未婚率を減らしました。加えて35〜39歳が注目です。過去には8ポイント程度しか未婚率を減らさなかったのに11.2ポイント減と二桁に乗せました。

 全体的に見て男女ともに以前の世代よりも結婚が遅れていた層が一気に駆け込み結婚に走った印象です。この傾向は、高齢初産になり子どもをつくるのが難しそうな女性40代以上にまで及んでいます。

 これまでの国勢調査で観察された傾向は2013年の第368回「生涯未婚率は男35%、女27%にも:少子化対策無力」にまとめてあります。現に2015年調査で50〜54歳の未婚率が男で20.3%、女で11.4%と、それぞれ20%、10%の大台の乗っています。従来通りの傾向なら将来は男35%、女27%へと突き進むはずでしたが、今回調査は中年段階で大ブレーキが掛かると示しました。その結果、私の試算では男25%、女18%程度で生涯未婚率は頭を打つようです。


急拡大する中国ロボット産業は脅威か実態探る

 中国は世界最大の産業用ロボット市場になり、国をあげてロボット産業を育成し千社もメーカーが出来ました。独ロボット大手クーカの買収にも手を出す急拡大ぶりが脅威になるか、最近続く報道から実態を探ってみます。2015年に世界の産業用ロボット市場で売られたのは24万8000台、この内、6万7000台が中国に導入されています。中国が世界一の市場になったのは2013年からであり、2018年には15万台と2倍以上になると予測されています。世界産業用ロボット市場の推移と2015年の各国シェアをグラフで見ましょう。


 今世紀に入ってしばらく停滞していたのに2011年から世界市場が急拡大しています。2011-2012年は日米が引っ張ったのに対して2013年からは中国が躍り出ました。2015年で中国が27%を占め、今後はさらに大きな市場になっていきます。

 しかし、2015年に導入された中国のロボットは海外製品が圧倒的でした。サーチナ《中国の産業用ロボット市場は世界最大、だが市場は外資メーカーのもの》がこう伝えました。

 《15年の中国の産業用ロボット市場におけるシェアは、日本のファナックが18%、ドイツのクーカが14%、スウェーデンのABBが13.5%、安川電機が12%、中国を除くその他のメーカーが合わせて34.5%であり、中国メーカーのシェアは合計でも8%に過ぎない》

 アップルからiPhone組み立てを請け負うフォックスコンが単純労働による人海戦術で増産を凌いだ結果、多数の自殺者を出した悲劇は記憶に残っています。そのフォックスコンが従業員11万人が働く崑山工場で6万人を何千台もの産業ロボットで置き換えると5月に発表しています。製品の質を安定させるためにも、また生産年齢人口が頭を打ち減少期に入った人手不足対策としても活用され始めたのです。

 しかし、全体では好意的に見ているウォールストリートジャーナル《【寄稿】到来する中国のロボット革命 成長力と競争力に貢献か》の記述を見ても、現在のロボット導入が初歩的な段階にある点は明瞭です。

 《中国がロボット革命を支持したのは遅かった。中国では製造業労働者1万人当たりロボット台数は依然としてわずか36台だ。これに対し日本では、1万人当たり315台、韓国では同478台だ。しかし中国はこの差を縮めるべく大胆に動いている。中国政府は労働者1万人に対するロボット台数を2020年までに100台以上に引き上げる目標を設定した》

 昨年の第481回「中国の夢、技術強国化は構造的に阻まれている」で指摘したように、中国の自主ブランド自動車メーカーの多くが自前のエンジンを生産できません。ロボットで言えば、力を伝え動きを制御する高度な減速機を造れていません。形にならないアフターサービスにお金を払わない国民性も大きな妨げになるでしょう。それにもかかわらず40ものロボット工業団地が地方で相互に連絡もなく作られ、バラバラに動き出しています。中国自身には世界と戦える技術はありません。

 そんな中で中国家電大手の美的集団が今月、大手ロボットメーカー、独クーカへの株式公開買い付けで94.55%の株を獲得したのは衝撃的でした。美的集団は本社としてクーカに干渉せず、独占禁止法に関する審査を経て来年3月にも買収完了の意向だといいますが、ニューズウィーク《中国美的の独クーカ買収、自由貿易派メルケル首相のジレンマに》が伝える大問題が残っています。ドイツ政府が強力に進めたい「インダストリー4.0(第4次産業革命)」の鍵になる企業だからです。

 《ドイツは自由貿易を掲げているものの、国内の一部ビジネスリーダーは、美的によるクーカ買収計画が「インダストリー4.0」を推し進める国の努力に水を差すのではないか、と懸念している。独IT業界のある幹部は匿名を条件に、クーカの技術が「インダストリー4.0」の中核であるにもかかわらず、もっと大きな騒動になっていないことに驚いていると語った》

 例えば日本大手のファナックを中国が買収となれば黙って見過ごされるとは考えにくいと断言できます。ドイツの対外貿易法には戦略的に重要な企業を保護するための拒否権があり、今は沈黙しているメルケル政権がどう出るかは分かりません。


東電資金破綻の現実を認めぬ政府と既成メディア

 もはや電気料金しか収入が無い東電が廃炉に掛かる何兆円もの追加負担を電気料金に転嫁しないで実現する不思議な記事が日経新聞に出ました。経済産業省の言い分をそのまま書いたとは言え経済紙として杜撰に過ぎます。福島原発事故の後始末は絶望的になっており、炉心溶融した原発の石棺化が言われ始めたり、原発建屋への地下水流入を遮断する周囲1.5キロの凍土壁は完全凍結が困難になったりしています。これには福島の地元から猛反発が出ているものの、収拾費用全体に関わる負担構図が破綻している現実を国民に知らせるべきです。ところが日経に限らず在京の既成メディア各社は見て見ぬふりをするばかりです。

 7月末の記者会見で東電の数土文夫会長が廃炉に関して政府に支援を求める考えを表明しました。これまでに資金の目処を付けている2兆円程度ではとても収まらない状況が見えて来て「経営に与えるインパクトが大」と経営者として放おっておけないと考えたからでしょう。

 これに対する続報として日経新聞が《福島廃炉、公的基金で支援 東電が長期で返済 経産省検討》を掲載しました。

 《経済産業省は東京電力福島第1原子力発電所の廃炉に向けた新たな支援措置の検討に入った。原子力損害賠償・廃炉等支援機構に公的な基金をつくり、廃炉費用を一時的に援助。東京電力ホールディングス(HD)の事業者負担を原則に、長期間かけて国に資金を返す。結果的に電気料金に転嫁されないよう東電HDには徹底した経営改革を求める》

 《福島第1原発は2011年3月の東日本大震災に伴う事故で、1〜3号機の炉心溶融(メルトダウン)が発生した。溶け落ちた核燃料の取り出しなど廃炉の完了には、数十年にわたる時間と数兆円規模に上る資金が必要とされる。ただ、東電HDがこれまで資金手当てのメドをつけたのは約2兆円にとどまり、会計上も約2500億円分しか処理が済んでいない》

 廃炉費用ばかりではありません。立て替えられている巨額な除染費用だって東電に請求されています。賠償も続いています。電気料金には転嫁しない、経営改革で長期的に返済――とキレイ事が言われますが、原発事故後に資産の総整理をして吐き出した東電のどこに何兆円ものお金を生み出す余力があるのでしょうか。

 2012年に作られた東電ひとりが責任を負って費用を負担する建前を見直すべきです。当時書いた第329回「国の巨額支援でなく東電の国有化と電力改革を」でこう指摘しました。

 《もともとの枠組みが間違っています。政府は福島原発事故の収束と廃炉を東電の責任とし、発生した除染費用も立て替えた後で東電に請求するとしています。事業者責任を問う法律の建前と東電前経営陣の企業存続希望によって現在の枠組みが出来ました。しかし、1兆円を投入した「実質国有化」後、百日を経過して第三者が冷静に見れば、全く展望が無いと知ったに過ぎません。東電がこうした費用を負担し続けるならば、原資は東電管内の電気料金です。東電管内だけが止めどなく高い電気料金になっていき、国内経済が歪みます》

 原発事故を起こしたのは東電ですが、原発の安全審査をして運転にゴーサインを出したのは国です。東電だけでなく国にも大きな責任があったのに誰も原発事故の責任を取らないで済ませてしまいました。責任を取らないから費用負担も無くなりました。東電ひとりで巨額負担に耐えるという虚構には最早無理があるので、国民負担せざるを得ない部分を明確にするべきです。既に9兆円の無利子資金枠は使い果たしつつあり、10兆円かそれ以上にもなろうと考えられます。はっきりさせると国の責任を問われ、脱原発への道筋になるから政府は隠しているのです。