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小学生にプログラミング必修、失敗必至の愚政策

 安倍首相は小学生から「プログラミング教育を必修化」と産業競争力会議で表明しました。教える人材を手当出来ない情勢から、街のパソコン教室以下とも言われる高校の必修科目「情報」の失敗を繰り返すのは必至です。「情報」はワードやエクセルなどを教えるだけの存在に成り下がったり、厄介者扱いで受験向け科目に振り替えられたりしています。2003年の必修化時にはそれなりの理想は掲げられていたのですが、情報専門の人材が高校に入ることはほとんど無く、教える先生の大半は数学などの教諭が夏休み3週間の講習会で免許取得認定を受けたのでした。今回も小中学校で同じことが起きると申し上げてはばからないのは、子どもの数が減っていく時期にぴたりと合致しているからです。


 18歳人口の推移グラフです。2003年の「情報」必修化はハイティーン人口が急速に減っていくタイミングで実施されました。高校側には新教科導入に即応する新しい人材を雇う余力など無かったのです。現在に至るまでも「情報」が専門の教員が採用される例はほとんどなく、他の教科の免許と併せ持つ先生ばかりです。そして、現在の中学3年生がグラフでどこに位置しているか、見てください。これから人口が減っていく入り口に立っていると知れます。

 安倍首相の表明を官邸19日の《産業競争力会議》から収録しましょう。《日本には、ITやロボットに慣れ親しんだ若い世代がいます。第四次産業革命の大波は、若者に『社会を変え、世界で活躍する』チャンスを与えるものです》《日本の若者には、第四次産業革命の時代を生き抜き、主導していってほしい。このため、初等中等教育からプログラミング教育を必修化します。一人一人の習熟度に合わせて学習を支援できるようITを徹底活用します》

 昨年末の第510回「米が小学校にコンピュータ科学導入は女子に効く」で米国がプログラミングを含むコンピュータ科学を教えるべく動き出したと伝えました。労働市場でプログラマーの需要に供給が追いつかない現状が背景にあります。こうした欧米の動きに刺激されたのでしょうが、日本と違って人口が増えていく米国なら子どもに教える人材を新規に雇うことも可能でしょうし、IT人材の質と量が日本に優っているのは明らかです。

 子どもが減っていく中で、現在でも学校教員の数は財務省の圧縮要請に文部科学省が激しく抵抗する状況です。安倍首相が言う十分なケアが出来るスタッフが小中学校に揃う可能性は限りなく小さいと思われます。

 日経の2014年《高校の「情報」科目、必修は名ばかり 簡単パソコン操作だけ》が《情報処理学会は8月、教員向けの講習を初めて開催し、指導力の改善に乗り出した》と伝えていますが、まさに焼け石に水としか言いようがありません。現状がまとめられているので紹介します。

 プログラミングは思いついたアイデアを数学上の手順に置き換えてコンピュータの処理として実現します。うまく作れればとても面白く、40年前に大学で希少だったディスク・オペレーティング・システム付きミニコンで対戦型麻雀ゲームを作って大学祭で遊んでもらった経験があります。隘路を突破していく発見の喜びを教えられれば子どもに刺激的な経験になるでしょうが、決まり切ったプログラミング手順を教えるだけの授業に止まるなら苦痛そのものです。長くウオッチしてきた立場からは人材・教材ともにかなり悲観的です。性急にプログラミング教育に走るより、2011年『日本人の4割はパソコン無縁:欧米と大きく乖離』で示したデジタル・ディバイド層を何とかする問題意識を持って欲しいところです。


熊本の大地震が関西にも地震を呼んだ観測結果

 震源域が東北方向にも拡大して不穏な様相の熊本地震、大学の地震観測ネットワークを参照すると遠く関西地域の地震にも影響していると分かります。地震が連鎖する構図が目で見られるケースなのでお伝えしておきます。


 この観測結果は《全国地震データ等利用系システム》のリンクを利用して、九州大と京都大の地震データにアクセス、「最近の地震活動マップ」を九州と関西、それぞれ拾ったものです。16日午後5時現在で、過去1週間分の九州地域と関西地域の地震発生状況を比較しました。

 下の発生グラフを見比べて下さい。関西地域は週半ばはしばらく平穏だったのに、14日夜の熊本地震「前震」に連動して地震発生が喚起されたと見て取れます。16日未明に熊本の「本震」が起きると再び活発になっています。

 熊本地震は《<熊本地震>異例の続発 九州の内陸部地震では過去100年で最大規模 被害甚大》で《16日発生したM7・3の地震は、熊本地震のM6・5を上回り、1995年の阪神大震災と同規模。気象庁は「14日以降の地震は前震で(今回が)本震と考えられる」との見方を示した。九州の内陸部での地震では過去100年で最大規模。同庁は「このような規模の地震が広域的に続発するのは記憶にない」としている》と報じられています。

 広域さからかなり異例なケースとされますが、そう驚いてはいられません。狭い範囲で見ても、一つの地震で蓄えられていたエネルギーが開放されると、地盤の動きが周辺地域に歪として付加されることがあり得ます。1999年に書いた第75回「大地震に備える時が来ていないか」では、雲仙普賢岳の噴火をめぐり、さらに大きな地球規模で地震火山活動の連鎖に触れています。


日本衰退の米国留学、増大各国の裏事情を探る

 アジア各国に押されまくって日本の米国留学衰退が嘆かれています。質の悪い学生まで送り込む中国に注目が集まりがちですが、人口1万人当りの留学生数で見ると韓国と台湾は極めて特異であり各国の裏事情を探ります。日本の米国留学生は1990年代半ばには5万人に迫り、国別のトップだったのです。90年代末に中国に抜かれ、2000年代初頭にインド、韓国にも追い越されました。さらにカナダ、ブラジル、台湾に抜かれ、2014/15スクールイヤーでは10964人と7位にまで落ちています。

 3月下旬にウォールストリートジャーナルが掲載した《群れなす中国人留学生、米大学で不協和音》に注目しました。中国からの米国留学は30万人の大台に達し、英語をほとんど喋らないで留学生活を過ごす中国人学生まで出現したと報じました。米国で学ぶ留学生総数は97万5000人なので3割にもなります。


 現在の上位7カ国について過去の推移を「Open Doors Data」から拾い、グラフにしました。経済成長が続いた中国の伸びは凄まじく、一人っ子政策で少ない子に教育費を潤沢に注いだ結果でもあります。中国に次いで巨大人口のインドは政権交代で停滞気味だった経済成長が動き出し、中国に置いて行かれた米国留学に火がつき始めました。ここで中印以外の動向を見るために2014年の人口1万人当りで計算した留学生数の推移が次のグラフです。


 英語が話せて地続きの隣国カナダは特別として、数千万クラスの中規模人口3カ国の特異さが浮かび上がります。中でもサウジアラビアは人口1万人当り20人に迫り、日本の1.5人とは10倍以上の差です。国民500人に1人が米国留学生になった秘密は前の国王名を冠した奨学金制度です。2005年設立で授業料全額に生活費・医療保険、年1回の帰国往復運賃までが支給されてきたのです。しかし、原油収入激減で2016年からは世界で上位100校など高ランクの大学に制限することになりました。原油安が続くなら、今後は大きく減るはずです。

 10人から15人前後を維持している韓国と台湾には大学進学率が急速に高まった共通点があります。日本の5割に対して韓国は8割、台湾は20歳前後で7割あって年長での進学も多いので韓国と変わらないでしょう。おまけに国内で評価が高い大学が限られているのも共通で、多数の米国留学は進学したい大学に乏しい現状を補っていると見るべきです。

 もちろん就職難にも関係しています。2014年の第415回「留学の大変動、中国と韓国の壮絶な就職難から」で描いたように、中国では既に留学帰国組が就職で苦戦するようになっていました。2016年の大卒者は765万人、それに帰国組40万人が加わり、日本の十数倍の規模。経済成長減速もあって非常に厳しい就職事情と言われます。

 ところで、日本の米国留学衰退は深刻な問題なのでしょうか。人口1万人当りの指標を見ると「英1.67」「仏1.37」「独1.26」であり、日本の「1.50」はちょうど西欧先進国並に落ち着いたとも言えます。「3」を超えていたのが異常だったのです。韓国や台湾のように行きたい大学が無くて困る事情はなく、18歳人口が大きく落ち込み、今後さらに減る状況は第511回「科学技術立国さらに打撃、大学淘汰で研究職激減」のグラフで確認できますから、自然の成り行きと判断すべきではないでしょうか。

 一方、中国が「2.22」に達しました。人口の6割が貧しい農村部出身である点を考慮すると、日本が経験したことがない「5」を超えているとも見られ、「粗製」留学生が輩出して当然と思えます。


セウォル号の乗客待機指示、酷い「藪の中」状態

300人超の犠牲者が出た韓国セウォル号沈没、事故から2年になって乗客に退船せず待機と船内放送した事情に新証言が現れました。海運会社が指令を出したと言い、また船長は実は退船指示したと「藪の中」状態です。おまけに船員が乗客を見捨てたのは、不作為というよりも自らの身の安全を守るためだった疑いが浮上しています。最初に船が傾いた現場に駆けつけた海洋警察の救助艇は積極的な救助をしなかったのに、艇長は船が沈没するまでにインターネットに8回も接続していたと伝えられ、関係当事者の不誠実とデタラメぶりが極まります。

 セウォル号事故特別調査委の第2次聴聞会での証言をハンギョレの《セウォル号航海士、会社連絡後に退船措置せず待機命令》が伝えています。

 《操舵手のチョ・ジュンギ氏。チョ氏は特調委の調査過程でカン・ウォンシク1等航海士が会社(清海鎮海運)と通話した直後に「海上警察が来るまで船内で待機しよう」と言ったと証言した後、「船は上意下達が徹底していて、会社の指示を受けたように見えたカン氏が命令調で話したため、他の船員たちも会社の命令として受け止めた」と述べた》

 《チョ氏は「珍島(チンド)海上交通管制センター(VTS)からの『船長の判断で退船させよ』という交信直後に、パク・ハンギョル3等航海士を除いた3人と意見を交換した結果、待機させるという結論を出した」とし「パク・ギョンナム操舵手も賛同するような話をした」と述べた》

 無期懲役刑で服役中のイ・ジュンソク船長は航海士に退船命令をしたと主張とも報じられています。しかし、上の証言では航海士たちの話し合いは、海に飛び込んだら『乗客が水に濡れた場合は、低体温症になるかもしれない。海洋警察が来るまで待とう』だったようです。海運会社指令が退船遅れの原因なら賠償責任が発生するのは必至です。

 一方、市民団体などが参加した「真実の力・セウォル号記録チーム」による解明を伝えたハフィントンポストの《韓国・セウォル号沈没事故、船員はなぜ乗客より先に逃げたのか 交信記録で明らかに》は捜査過程で明かされた船員側の本音を伝えています。

 《乗客に脱出を命じれば、船員の脱出は後にならざるを得ないが、事故現場に到着した100トン級の警備艇では、船員を合わせて「500人程度」を救出するのは不可能に見えた。救命いかだもふくらませておらず、操舵室の船員ら10人のうち、救命胴衣を着ているのは3人だけだった。「当時の状況を考えると、もし乗客と乗組員が一度に海に飛び込んだ場合、救命胴衣を着用していなかった乗組員に死者が出る可能性があった」「非常に危険」だし、「死ぬと思うのが妥当」だった。(2014年5月8日、シン・ジョンフンの第6回被疑者尋問調書)》


 上の写真で一番手前の後ろ姿が救助艇のキム・ギョンイル艇長だといいます。今回、確認された写真3枚は《123艇の船長キム・ギョンイルの携帯電話に保存されていたものだ。傾いたセウォル号の船首を眺めるキム・ギョンイルの後ろ姿、船員が操舵室から抜け出す場面、救命いかだをふくらませる海洋警察の姿などだ。123艇の操舵室から撮った写真で、記念写真のようなものだ。傾いた船に飛び移って乗客を脱出させるべき海洋警察が、なぜ写真を撮っていたのか、その写真を何に使ったのかは確認できなかった。キム・ギョンイルは8時49分にセウォル号が傾いてから、10時30分に沈没するまで計101分間、インターネットに8回接続した》

 昨年の第507回「後始末にも後進性、セウォル号沈没の裁判報道」でこの艇長に懲役3年が確定した経緯を書いています。これほど傾いた船を目の前にして呆然と突っ立っているなんて、日本の海上保安官ならあり得ません。まして救助しないでインターネットに接続していたなんて論外です。救助艇からの写真を海洋警察が公開したのは事故から6日後の4月22日で、それ以前にテレビなどが類似の写真をクレジット無しで使っていた記憶があります。ひょっとするとインターネットに接続は撮った写真をアップするためだったかも知れず、この人は何を考えていたんだと言わざるを得ません。