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訪日観光客、リピーター増で質の変化始まる

 2015年に1973万人に達した訪日外国人客。リピーター獲得が課題と言われる中、国別に見ると既に飛び越えた動きがあります。空港間のシェア変動が東京・大阪間のゴールデンルートからはみ出しつつあると示します。特に注目は客数3位367万人の台湾、4位152万人の香港です。訪日外国人旅行者消費動向調査で訪日1回目が2割に満たず、10回以上と答えた人が2割以上いるのです。主要な国別に2013年と2014年の客数実績・伸び率、2015年推計値と各国・地域の人口に対する割合を一覧にしました。


 人口比で台湾15.7%と香港18.9%は際立っています。国民のほぼ6人に1人、5人に1人が2015年中に訪日したことになるからです。続く韓国8.3%、シンガポール6.1%も驚くに値する数字です。2014年に日本から中国へは271万人、韓国へは228万人ですから、日本の人口比では2%のレベルです。シンガポール並になれば800万人ですから、もしそれだけ日本から中国を訪れたら国内で「大中国ブーム」と騒がれるはずです。中国の訪日客数も人口の0.4%に達し、1%に迫るに従い質的変化が大きくなるでしょう。

 2015年10−12月実施の訪日外国人旅行者消費動向調査では全体でも訪日1回目は39.2%しかなく10回以上が14.6%を占めました。10回以上が多い順に並べると香港21.9%、台湾20.2%、韓国19.4%、シンガポール16.8%、米国14.1%です。初めて100万人を突破した米国を含めて、東京・富士山・京都・大阪といったゴールデンルートから外れた日本旅行の多様化が進まないはずがありません。

 ビザの緩和などで訪日客数が2015年に人口比で1%を超したタイ、マレーシアなどが多様化を追い掛けています。現地取材した東洋経済の《日本への旅行熱が止まらない、タイ人の本音 中国人とはちょっと違う「好き」の理由》はこう伝えています。

 《個人旅行で気軽に日本へ行く人が増え、年1回は必ず日本に鮨を食べに行くという人がいるくらい、リピーターが続出している》《取材目的で話し掛けると、反対に色々なことを質問されるのだが、その内容はかなり細かい。そして、ここまでバラエティに飛んだ都市名が出るのかと驚くほど、北海道から沖縄まで、様々な観光地の名前が出てくる》《40代の奥様グループ3人組は、それぞれが家族旅行で日本を訪れることを計画中。いずれも、5回以上は日本を訪れているという》

 訪日外国人旅行者消費動向調査は調査員による聞き取りで、主要空港利用者シェアを推計できそうです。2013年から2015年まで10−12月期調査から主要7空港間の出入国シェアをグラフにしました。


 羽田の滑走路が増強されたのに成田と合わせた首都圏のシェアが5割を切るまで落ちています。中部も落としている一方、関西・福岡・那覇の西日本と新千歳は伸びています。脱ゴールデンルートの質的変化を表す傾向と見てよいでしょう。関西は2015年に初めて外国人客1000万人を達成しました。中国から九州などに直行する格安航空路線が増えた効果も出ています。

 アジア諸国中心に日本旅行ブームを巻き起こしたのは円安の力が大ですが、1ドル80円の円高時代にも決まり切った日本観光に飽きたらない動きはありました。『ディープな日本にまで入り込む外国人観光客』(2011/01/26)で紹介しています。ホスト側としてメニューを多様化する必要はあるものの、現実にはインターネットの情報で外人客は気になる観光資源を発掘しています。


科学技術立国さらに打撃、大学淘汰で研究職激減

 先進国で稀な研究論文数の減少・大学ランクの退潮と科学技術立国が危ぶまれる事態の中、間もなく18歳人口減少で大学淘汰が起きます。政府の失政による若手研究者のポスト不足に、研究職激減の大波が加わります。2018年以降の大学淘汰時代が見えやすいよう、文部科学統計要覧・学校基本調査など公開資料からグラフを作りました。平成に入った1989年から2024年まで35年間の18歳人口の推移と、2015年までの4年制大学進学率の実績です。


 18歳人口は団塊ジュニア世代がピークを作った1992年に比べると半減する勢いで減っています。2024年以降さらに18歳人口減は加速しますが、2024年に限っても2015年から14万人も減ります。大学進学率は男女合計で51.5%と頭打ち状態になり、これから伸びる余地はほとんどありません。減少分14万人の半分、7万人が大学に進まなくなると仮定して、現状に比べて学年定員1000人の大学が70校も不要になる計算です。10年もせずに起きる大変化です。

 現在でも私立大学の100校ほどで定員充足率が8割を切っています。こうした大学を中心に閉校と大学規模の大幅縮小が急速に進まざるを得ません。当然、多数の教員ポストが消えてしまいます。現状でさえ少ない若手研究者の就職先がなくなります。研究活動の基盤が損なわれるでしょう。

 研究論文数の減少や国際的な大学ランクの退潮については第500回「大学ランク退潮は文科省が招いた研究低迷から」第503回「国を滅ぼす機械的予算削減しか能がない財務省」で、国立大学法人化以降、自由を与えるどころか大学を締め付け続ける政府の失政であると論じました。

 この傾向は改善されるどころか、悪化の一途のようです。2016年度の予算編成について《国立大学の運営費交付金 17年度以降は毎年削減》が報告しています。2016年こそ交付金減額を一年停止したものの、《毎年、人件費など最も基盤的な経費にあてる基幹運営費交付金を約1%にあたる約100億円を削減》するルールが出来てしまいました。財務省の意向が通ったようです。

 《毎年削減される100億円の半分を「機能強化経費」に再配分するとし、残りの財源で設備整備むけの補助金を新設するとしていますが、これらは人件費などの基盤的な経費に充てることはできません。ある地方大学の学長は、「これでは教職員数を削減するしかない」と語っています》。財務省は大学教員は多すぎると認識していて、教育のためだけならもっと減らせる、研究活動は一部の優れた大学に集中すれば十分と考えているようです。

 毎年のように日本がノーベル賞の科学部門受賞者を出しているのは、大学の研究活動が自由で伸び伸びしていた時代に拾い出されたタネが芽吹いた結果です。国内の研究者は「たこつぼ型」と称されるように視野が狭いのですが、自分のフィールドを職人的に追求する作業は地道にやってきました。そうした職人仕事ピラミッドの上に現在の科学技術立国は築かれているのです。

 本当に研究を効率化するには職人から研究者になってもらう必要があります。第145回「大学改革は最悪のスタートに」〜急務はピアレビューを可能にする研究者の守備範囲拡大〜で論じた研究者の体質改善しか道はありません。現状を放置して「優れた研究者」にだけ資金を集中する文部科学省の手法が失敗に陥ると断言できる根拠は、学閥的権威に依存して優れているかどうかを判断するしかないからであり、欧米のような真っ当な研究評価が出来ない体質だからです。これでは「選択と集中」が成功するはずがありません。

 こうした政策的な錯誤の上に、さらに人口減という社会的な変動が加わり、科学技術立国は危機的です。防戦一方になっている大学側は余裕を失い、社会から求められる、現代にふさわしい人材供給の役割を果たしているとは言えません。