<< September 2015 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
 
Latest Entry
Profile  Facebook
Dando's Site
Category
Search

Archives
Recent Comment
  • 危機の現状に対策が噛み合わぬ科学技術基本計画
    次のノーベル賞か? (08/13)
  • やはりノーベル賞大隅さんの警鐘を無視した政府
    森田 (06/19)
  • 自主避難の根拠は放射線障害防止法の下の平等
    宮本由香里 (05/15)
  • 社会の鏡インターネット検索、20年目にして危機
    森田 (05/08)
  • 社会の鏡インターネット検索、20年目にして危機
    業界人 (05/06)
  • 社会の鏡インターネット検索、20年目にして危機
    あ (05/05)
  • 科学技術立国崩壊の共犯に堕したマスメディア
    森田 (04/23)
  • 自主避難の根拠は放射線障害防止法の下の平等
    (04/08)
  • 京大さん、日経さん、ネット調査信頼は無茶
    (01/16)
  • 国にも原発事故責任、無原則な東電救済を許すな
    森田 (12/25)
Recent Trackback
Admin
   
Mobile

こんな超高齢亡国にしては…と痛感するグラフ

こんな超高齢亡国にしては…と痛感するグラフ  80歳以上人口が今年初めて1千万人を超え、街でお年寄りが目立つのも当然。この機会に少し先、2050年の予測統計を見て愕然としました。生産年齢人口が50%に落ちる日本を先頭にした各国のグラフを作成しました。2010年では日本の15〜64歳の生産年齢人口が63.8%あったわけですから、50.9%まで下がるのは想像を絶します。15歳未満の年少人口と65歳以上の老年人口を合わせて被扶養人口と言いますが、現役世代と被扶養人口が「1対1」になるのです。


 日本(50.9%)、スペイン(51.6%)、韓国(53.1%)、イタリア(53.1%)、ポルトガル(53.6%)、ギリシャ(53.8%)、それにドイツ(54.7%)と続く生産年齢人口割合「ワースト7」が世界の趨勢から一段落ち込んでいると見て取れます。グラフは40カ国だけプロットしており、残りの国は最高のパキスタン69%までの間にあります。

 ワースト7は65歳以上人口が各国の水準より浮き上がって30%台になっていることも分かります。日本はダントツの36.5%です。二番手は韓国の34.9%です。ちなみに日本では75歳以上が2割を超える恐ろしい事態になっています。ベビーブーマー世代もほぼ死に絶える35年後であり、経済成長などとても望むべくもない状況に陥るのは間違いないところです。こうなることが見えているのに何も手を打たず、座して死を待っているのがこの国です。戦後の中核になったベビーブーマー世代が手をこまねいたまま現役から引退してしまいました。

 総務省の《統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)−「敬老の日」にちなんで−》には2015年で「日本の高齢者人口の割合は、主要国で最高」として日本(26.7%)、次いでイタリア(22.4%)、ドイツ(21.2%)などがあがっていますが、2050年の状況よりはるかに良好です。世紀半ばには世界的にも格段に質が違う高齢化になって行きます。

 生産年齢人口の全てが働くわけではありません。専業主婦などが除かれて労働人口になります。その労働人口が女性の労働参加率を飛躍的に高めていかないと急減する問題を第476回「労働人口急減の恐怖を無視する国内メディア」で論じました。遠い将来でなく、近未来の経済成長を決定する問題に今まさに直面しています。2050年に向かって人口構成が変わっていく様子もグラフにしてありますのでご覧ください。


来年は中韓で危うい新大型原発の運開ラッシュ

全く新設計の大型原子炉、それも実証炉など造らずいきなり商業炉建設に突き進んでいる新型原発が2016年、中韓で相次いで運転開始になります。原発管理に危うさがある両国だけに隣国民として注視せざるを得ません。いずれも100万キロワットを大きく上回る大型炉です。世界原子力協会のデータベースや報道をまとめると、運開一番手は米ウエスチングハウスによるAP1000型(125万キロワット)が中国・山東海陽サイトで、次いで韓国開発のAPR1400型(140万キロワット)が韓国・新古里サイトで、最後が仏アレバによるEPR型(175万キロワット)が中国・台山サイトでとなりそうです。


 3種の新型原発が建設されているサイトを地図にまとめました。上記3サイトのほか中国・三門のAP1000、韓国・新蔚珍(シンウルチン)のAPR1400はそれぞれ2017年の運開を予定しています。5サイトいずれも2基まとめて造られています。

 2014年春に書いた第419回「新型炉ばかりの中国原発、安全確保に大きな不安」でAP1000型とEPR型は2014年中の運転開始としていましたが、機器の設計に問題が発生して延び延びになっていました。AP1000は米国でもまで出来ておらず、中国が最初の建設サイトです。またEPRは先行してフィンランド・オルキルオトと仏・フラマンビルでも建設されていますが、トラブル続きで2018年にならないと運転できないと報じられています。EPRについてはトラブルでの建設費高騰が伝えられています。

 APR1400型については第469回「韓国のサウジ向け小型原発は韓流ファンタジー」で触れています。アラブ首長国連邦(UAE)に輸出されて現地で4基を建設中です。売り込みの条件として今年9月までに新古里3号機を運転する約束になっていました。違約すると毎月3億ウオンを支払わねばならないのですが、制御バルブを納入している米GEがリコールを申し入れて、韓国政府の運転許可審査が秋以降になりました。

 新古里3号機では昨年12月、地下ガスバルブ室で窒素ガスが漏出、作業員3人が窒息死する事故が起きています。窒素ガスは冷却水を原子炉に送り込む圧力を高めるために用いられています。死亡事故自体も大変ですが、窒素ガス漏れ警報機が備わっていなかった点が原発の安全上、大きな欠陥と考えられ、運転開始が遅れる一因になりました。独自設計の落とし穴を象徴しています。180億円のほどの開発費で設計しただけで大型商業炉にしてしまう、しかも稼働寿命を現在標準の40年から60年に延ばす強引さに、原子力の取材が長かった者として懐疑的にならざるを得ません。

 AP1000型を設計したウエスチングハウスは加圧水型炉の開発メーカーであり経験は豊富です。しかし、中国にはAP1000を拡大したバージョンCAP1400型を独自開発して世界に売り込む計画があって、AP1000でも主要機器の中国国産化が急がれています。まず1号機を動かして具合をみてからではなく、建設中から次々に国産化です。第478回「未運転の新型原発を売る商売に中国と韓国が熱中」でも指摘しましたが、原子力の安全確保よりも商売が先行した前のめり姿勢はどう考えても不安です。中国の原発管理基準が国際的に見て劣っていると技術幹部が認めているのですから。


先進国で人口減少は日本だけに、独は難民受容

 戦乱のシリアなどからの大量難民問題でドイツは今年、80万人もの受け入れを想定しています。実はドイツは先進7カ国で珍しく日本とならんで人口減少中の国ですが、難民受け入れと定着で人口増に転換しそうです。一方の日本は難民ばかりか移民・外国人労働者受け入れも厳しい条件を付けて制限、これから急速に人口を減らして行きます。超高齢化まっしぐらであり、日本だけが先進国で唯一の人口減少国という特異な立場に取り残されそうです。


 第474回「先進国で稀な人口減少と高齢化をグラフで見る」で作成のグラフを再掲しました。ドイツを見れば2010年の8301万人が2020年に113万人減の8188万人へと予測されていました。減少は年間に10万人から20万人減るゆっくりペースでした。今年の80万人に、昨年も20万人ほどを受け入れていますし、来年以降も難民騒ぎが簡単に収束するとは思えません。トルコなどの難民収容キャンプが飽和状態にあるからです。

 ウォールストリートジャーナルの《難民大量流入で試されるドイツ型「効率性」》がこう伝えています。《5月には連邦移民・難民局は、紛争国から流入して今年ドイツで亡命申請する移民を45万人と予想した。先月、同局はこの予想を80万人に上方修正した。昨年全体のほぼ4倍だ》

 多数の市民ボランティアが難民受け入れの手助けをしているほか、国内定着に向けた動きが紹介されています。《ドイツの企業もこの支援努力に参加しており、シリア難民ないしその他の移民が潜在的に雇用可能かどうか見ようとしている》《多くの企業が移民向けに訓練や職業プログラムを申し出ており、一部の企業は子供向け教育支援を申し出ている》

 日本も難民を受け入れるべきだとの声が欧州から上がっていますが、日本政府は動きません。ドイツのように1兆3千億円を投入する決断も、受け入れ態勢を整えるノウハウも持たないのですから、手が出せないのです。日本では早くも2022年頃には生産年齢人口の2人で65歳以上の高齢者1人を支えるところまで高齢化が進みます。人道的な立場も含めて何の手も打たないで座視していいのか、深刻な人手不足が言われる中でも移民・難民についての本格的な議論はありません。

 労働人口が大きく減るのに政府は近未来の実質経済成長率を高めに設定しています。第476回「労働人口急減の恐怖を無視する国内メディア」でその無理、政策の非現実性を指摘しました。


40兆円超え医療費膨張に厚労省は無策なまま

 2014年度医療費が40兆円の大台を超えます。年に7千億円と増勢は鈍ったものの膨張持続は財政にとって危機的です。しかし、厚労省は切り札と言っていたメタボ検診の効果分析を投げ出すなど、あまりに無策です。政府は価格が安い後発医薬品の活用などを対策にあげる程度であり、病院のベッド数が多い西日本を中心に医療費がかさんでいるとの昔からの見方を変えていません。先月、近畿大とハーバード大のグループが医療の質と医療費の相関を分析した論文を出しており注目すべきです。1人当たり医療費が低い首都圏と東北は満足な医療が受けられていない一方、西日本でも高医療費が生きていない県があります。情報社会にふさわしい分析が医療費については出来ていません。広く研究者に詳細データを公開して質を保ちながら抑制するアイデアを考えてもらうべきです。


 8月に英科学誌に掲載された《医療費と心肺停止患者の生存率の関わりを初解明〜都道府県ごとの正しい医療費の目標設定に貢献〜 近畿大学医学部救急医学教室×ハーバード大学》にある相関データをグラフにしました。研究手法と結果の概要は次の通りです。

 《2005〜2011年に日本国内で発生し、救急搬送された院外心肺停止の全患者618,154人のデータを解析しました。各県の医療の質の指標として、院外心肺停止患者の1カ月生存率および1カ月後の神経学的予後を用いました》《低医療費の都道府県と比べて医療費が中等度の都道府県では1カ月生存率が統計学的に有意に高いことが明らかになりました》《医療費が中等度と高い都道府県では患者の予後に差はありませんでした。1カ月後の神経学的予後を用いた解析でも同様の結果が認められました》

 1人当たり医療費は2005〜2011年の平均値で、高医療費の県として引き合いに出される高知が図抜けています。高知は1カ月生存率で6.4%と好成績ですが、同じ四国で医療費が高い徳島は3.5%と振るいません。8.4%とトップなのは富山ですが、6.3%の石川、3.9%の福井と、医療費がそろって高めな北陸三県なのに成績はばらばらです。

 グラフの左下方面に3.4%の東京など首都圏と東北の都県が集中しています。医師不足、病院不足が言われる地域であり、救急医療の成績が悪くなるのもやむを得ないでしょう。関西の中心部、大阪・京都・兵庫は医療環境に恵まれていますから、そろって6%前後とまずまずの成績になっています。

 医療の質は救急医療の成績だけでは決められないと思いますが、ひとつの切り口としては有用でしょう。研究者が指標になる色々な切り口を考えていく上で、医療データの電子化が足りないのは致命的です。こんな時に時事通信の《メタボ健診、効果検証できず=データ数十億件宙に―厚労省対策放置か・検査院》を見て、本当にがっかりしました。

 《健康改善や医療費抑制の効果について、健診や指導の結果とレセプト(診療報酬明細書)の情報を照合し、18年度に検証するとしていた。今年2月末までに、レセプト情報約87億9000万件、健診データ約1億2000万件を収集した。検査院が11、12年度の実態を調べたところ、照合できたデータの割合は12年度で25%、11年度は19%に過ぎなかった》《入力文字の全半角や漢字・カタカナ書きの違いで同一人物と認識しないシステムになっていたためで、入力の統一マニュアルもなかった。個人情報保護でデータが暗号化されるため、再照合も困難という》

 昨年の『メタボ健診重視政策は医療費膨張危機からの逃避』ではメタボリック症候群健診そのものを批判しましたが、「健康政策に活用する」と言っていた健診データをメチャメチャにしていたとは呆れます。人間ドック学会が打ち出した健診基準の見直しは大いに期待されたのに第441回「医師の患者水増し阻む新健診基準は立ち消えか」で伝えたように陽の目を見ません。日本医師会など利害関係者の顔色をうかがいながら官僚の狭い視野で考えたって埒が明かないのは当然です。もっと情報をオープンにして、広い範囲で議論すべきです。


浅知恵、文科省による研究崩壊へ予算編成開始

 文部科学省の2016年度概算要求が公表され、恐れていた国立大の研究崩壊へ予算編成の歯車が回り出しました。この問題について在京マスメディアはあまりに鈍感であり、科学技術立国が危機に瀕する事態に気付きません。86校ある国立大を3つのランクに方向付けする予算編成ですが、教育研究の基盤になっている国立大学法人運営費交付金に大きく手が付けられます。それでなくとも世界の中で日本の論文数だけが異様に停滞している傾向を第479回「無残な科学技術立国、人口当たり論文数37位転落」などで伝えてきました。2004年の国立大学法人化がきっかけになったのは明らかで、間違った政策の総仕上げがされようとしています。


 2004年から国立大学法人運営費交付金がどう推移したかグラフにしました。法人化にあたり国会で「法人化前の公費投入額を踏まえ、従来以上に教育研究が確実に実施されるよう必要な所要額を確保」との附帯決議があったのに、毎年1%程度は減額され続けてきました。文科省は《教育研究の基盤的な経費として、人件費・物件費を含めて使途を特定せず、「渡し切り」で措置》との建前をとりますが、2013年度に東日本大震災に対処する国家公務員給与一律削減で425億円がカットされています。この事実から交付金の半分は教職員の人件費と考えられます。毎年続く減額で自由に使える研究費などとうに払底したと見られます。

 2016年度概算要求と同時に各国立大が3つのランクのどれに向かうか判明しました。旧七帝大など16校が「世界トップ大学と伍して卓越した教育研究を推進」に、北陸と奈良の先端科学技術大学院大学など15校が「分野毎の優れた教育研究拠点やネットワークの形成を推進」に、その他55校が「地域のニーズに応える人材育成・研究を推進」へと分かれました。

 3ランク方向付けを支援するために404億円の新規予算枠が設けられ、運営費交付金総額で今年度比420億円増の要求です。この要求に財務省がそっくりオーケーを出すはずがありません。現に2015年度予算では11530億円の概算要求に対して10945億円が認められたにすぎません。

 文科省自身が新規に特別枠を作るには交付金総額を絞って捻出するのを建前にしてきましたし、予算を付ける財務省が「大学の先生は多すぎる」と考えている事実を第397回「国立大学改革プラン、文科省の絶望的見当違い」で指摘しました。予算編成本番を待つまでもなく、404億円の3ランク方向付け新規予算は既存の交付金を削って実現されるでしょう。

 さらに概算要求では「共同利用・共同研究拠点が行う国内外のネットワーク構築、新分野の創成等に資する取組や附置研究所等の先端的かつ特色ある取組に対して重点支援」として388億円が設定されています。今年は83億円しかなかった枠ですから305億円の増額であり、交付金総額が毎年100億円以上も減額されてきた実績を勘案すると従来の交付金から800億円が消えるはずです。ランクが下の大学を中心に教職員の給与減額や首切り必至の状況に陥りますから、ますます研究どころでなくなります。

 政府は教育再生実行会議がまとめた「世界トップ100に10大学」提言が示すように、トップレベルに予算を集めて支援したいと考えています。近年のノーベル賞受賞者続出に気を良くして、雑多な研究などどうでもよく、優れたタネだけ育てたいのです。ところが、優れた研究が出てくるためには広い底辺が必要であり、次に脚光を浴びている仕事がどこから現れるかは誰にも分かりません。トップレベル10大学だけが聳え立つペンシル型の大学分布状況になったら、今が良くても明日は無いと知るべきです。

 大学改革の本当の問題点は絶対的に足りていない政府予算をいじくり回して解決するものではありません。科学記者としての経験を基に2004年の国立大学法人化にあたって第145回「大学改革は最悪のスタートに」〜急務はピアレビューを可能にする研究者の守備範囲拡大〜を書いています。