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中国の無謀な株式市場介入に海外批判止まず

 中国政府公認で4500ポイント回復を目指した上海総合指数が27、28日の2日間だけで10%も値を下げました。市場に任せることで適切に機能する資本市場を作れないなら経済成長に大きな障害と批判されています。売買できる株式銘柄をしぼり、政府系資金まで投入しても、23日の4123ポイントから28日終値の3663ポイントへずるずると下がりました。海外の証券会社には2500ポイント程度が妥当な水準と判断するところもあると伝えられるのですから、国を挙げて4500ポイントを目標にする無茶さが分かります。5月以降、出来高を終値と合わせてグラフ化してみましょう。


 6月12日に5166ポイントの高値を付ける過程で大きな売買が続きました。しかし、6月24日以降、7月8日の底値3507ポイントに至る急激な下げ局面でも商いは大きく、一般投資家の売り圧力がいかに大きかったか分かります。その後の官製相場による上昇局面では出来高は控え目であり、むしろ、下げに入ってから出来高が膨らんでいます。自由な売買を制限して株価を吊り上げる副作用が見える感じです。

 フィナンシャル・タイムズの《中国政府、株価は市場に任せよ(社説)》は《中国政府が株価下落を食い止めるために市場に介入してから3週間たったが、上海総合指数が8年ぶりに1日当たり最大の下落率を記録し、株価が再び暴落し始めた。中国政府はいま、憂鬱な選択に直面している。ここからさらに市場を下支えして深みにはまるのか、それとも不死身の仮面がはがれ落ちるのに任せるかだ》と批判します。

 辛いことだが、ここは本気で市場に委ねるしか無いとのアドバイスです。

 《市場原理にコントロールを委譲することは、共産党が気に入らないだけでなく、中国政治にいまだに響き渡る干渉主義にも反する。だが、ある著名投資家の言葉によると、株式市場がより強固になるためには「数週間にわたって怖い思いをする必要がある」という。仮に株価が低迷し、消費者心理に打撃を与えたとしても、中国は株価を買い支える以外に需要を喚起するほかの手がある。もし中国の支配者が賢明ならば、投資家はこれからもっと落ち着かない数週間を迎えることになるだろう》

 しかし、実際には中国網《上海総合指数が8年ぶりの下げ幅を記録 市場は「カンフル剤」が必要》などが言うように、官製メディアは国家の介入・支援を煽っています。29日の市場は少し値を戻す動きです。

 暴落直後に書いた第489回「中国指導部は株式市場の無政府性を理解せず」で上海市場の株価を1年前の水準から2.5倍に急上昇させた確信犯が中国政府である点を指摘しました。過度な借り入れや不動産投資への依存を株式市場の活用で転換できる政策的な思惑があったのでしょう。それが逆風になり、消費心理まで締め付ける、痛い展開になった訳です。


中国指導部は株式市場の無政府性を理解せず

中国株式の暴落が止まらず、6月半ばからの3週間で10兆ドル規模の市場から3割の価値が失われる惨状になりました。更に2割のダウンもあり得ると観測され、成長が鈍化した実体経済に響く可能性が高まっています。中国政府は市場を制御できると思い込み、暴落局面では報道を控えるようにとメディア規制にまで乗り出しましたが、打ち出す株価維持政策がどれも効きません。経済成長失速を隠す株式市場の好況演出がとんだ副作用をもたらしかねません。

 上海市場の株価は1年前の水準から2.5倍にも急上昇していました。ウォールストリートジャーナルの《極度に荒れる中国株、当局の気まぐれがあだに》が政府が招いたものと主張しています。

 《2012年後半に中国の最高指導部で権力の移行が行われているさなかに、中国株式市場の低迷が共産党の面目をつぶすかもしれない場面があった。政府当局はそのとき、新規株式公開(IPO)の扉を閉じてしまった。現在、10兆ドル(約1230兆円)規模に上る中国株式市場でボラティリティ(変動率)が極度に高まっているのは、こうした政府介入の一つの結果だ。共産党が習近平氏を国家主席に任命する準備を進めていた当時、IPO停止の目的は株価を守ることだった。だが、供給を絞ったことは、今年発生した買い需要の急増を吸収する準備期間を市場に与えないという結果につながり、主要指数を急伸させた》との分析です。

 機関投資家よりも個人投資家の比重が大きい中国株式市場で株価が暴騰した今年は株に縁がなかった市民も殺到、業績が良くない会社の株まで買われたといいます。信用取引が40兆円の規模にもなり、暴落の局面では手仕舞いのために売りが売りを呼ぶ状態です。当局は取引手数料引き下げといった緩和措置を取り、年金基金が株を購入できるよう規則を改めたり、新株発行の制限も発表しましたが、見向きもされません。逆にネットでは今年の相場高騰は共産党機関紙、人民日報が煽ったとの恨み声が聞けます。

 2007〜2008年にも株価が急騰、直後に暴落してしまうバブル崩壊がありました。当時の中国経済は力強い2桁成長の最中であり、実体経済には何の問題も生じませんでした。現在は政府発表でも年率7%成長が危ぶまれています。政府GDP統計の信頼性は疑われており、実体を映す指標は芳しくありません。最近の国家発展改革委の発表によると、今年1〜5月の中国の鉄道貨物輸送量実績は前年同期比9.8%も減っています。電力消費もマイナスと言われ、安定成長の軌道に入れたのか疑問だらけです。

 株のために無理に資金を借りた投資家が暴落で債務不履行になると、連鎖反応が広がる恐れがあります。日本総研の《2015〜16年の中国経済見通し》は《中国でも企業の資産と債務は急速に拡大しており、2014年9月末における企業債務残高の対GDP比は151.6%と1989年末の日本の132.2%を上回っている》と指摘しています。バブル崩壊前の日本よりも借金漬けなのです。借金を財テクに回している企業も多く、債務不履行の連鎖があれば大きな破綻を呼びます。

 実体としての中国経済はそんなに強いのか、近未来はどうか、第481回「中国の夢、技術強国化は構造的に阻まれている」で『中所得国の罠』に陥ってしまうかを論じました。