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韓国MERS対応のズサン、防護服を17日まで着けず

 収束が長引く韓国の中東呼吸器症候群(MERS)で26日、聯合ニュースが多くの患者を出したサムスンソウル病院で17日まで防護服を着けないで患者に対応と伝えました。セウォル号事故などのズサン体質そのままです。26日の新たな患者は医師で、同病院の医師感染者は4人になりました。全体の患者数は181人、死者は31人に上っています。


 防疫当局による発表日での患者と死者の累計グラフです。サムスンソウル病院での3次感染源になった患者は第485回「朴大統領の訪米に止め刺した大病院の不始末」にあるように、単なる肺炎患者と考えて先月27〜29日の3日間も通常の病室に置かれ、院内を自由に動いたとされます。グラフを見てもその後の患者急増に大きく響いた点が見て取れます。

 現在はサムスンソウル病院などソウルや周辺の4病院を中心に、4次感染と見られる患者発生が続いています。南に離れた釜山でも散発的に患者が出ています。こうした中で最高レベル医療機関とされるサムスンソウル病院が防護服を17日まで医療スタッフに渡していなかったのは驚きです。「Dレベル」を防疫当局が指示していますから、呼吸まで守る厳重な防護服ではなく皮膚を完全に遮断出来る程度のものです。グラフを見ても17日には患者は160人を超えて、あまりにも遅い配備です。181番目の患者になった医師は防護不十分で患者を診療して感染したと見られます。接触があった医療スタッフ多数の隔離を迫られそうです。

 聯合ニュースによると、患者181人のうち医師は7人、これに看護師、介護者などを合わせると病院関連従事者は35人になるといいます。サムスンソウル病院以外でも防護が不十分であった点がうかがえます。第477回「安全になれぬ韓国、手抜き勝手の国民意識が原因」で《韓国の場合は法やルールに従うかどうか誰もが勝手に判断している「5000万総人治」であり、安全になれる方が不思議》と指摘しました。防護服の未着用も勝手な判断があったと見られます。


国立大の2016年研究崩壊に在京メディア無理解

 中央官庁の官僚から教えてもらって記事を書く在京マスメディアは2016年に迫った国立大学改革による研究崩壊を理解できません。ところが今年の科学技術白書は「基礎研究力の低下が懸念」と明記しているのです。人文社会科学系や教員養成系の学部・大学院に対し社会的要請の高い分野に転換するよう見直しを迫った点だけがクローズアップされ、国立大を3ランクの枠組みに再編し、取り組みを評価した大学に運営交付金を重点配分する方針が持つ破壊的な作用が見えなくなっています。世界のトップクラスを目指す有力大学に資金が集中され、その他大勢は人件費も危うくなって研究どころではなくなるはずです。


 文部科学省が作った平成27年版科学技術白書から論文数の世界シェアグラフを引用しました。2000年頃に10%くらいまで高まったシェアが最近は7%ほどに落ちています。第435回「2016年に国立大の研究崩壊へ引き金が引かれる」に掲げた論文数の推移グラフは日本だけが特異に減少していました。シェアにすると英独仏も下がり気味になりますが、日本の下降カーブは極端で、このまま将来まで下降を延長すると恐ろしい結果になると思わせます。まさに科学技術立国どころでなくなります。

 科学技術白書も「論文数の国際的なシェアを見ると、いずれの指標も相対的に低下傾向にあり(第1-2-3図)、我が国の基礎研究力の低下が懸念される」と率直に認めています。「こうした状況の背景として、量的側面に関しては、主に大学の研究開発費の伸びが主要国と比較して低い」とし、「国立大学法人化及び独立行政法人化以降、国立大学及び国立研究開発法人の運営費交付金がほぼ毎年減少してきている(第1-2-17図及び第1-2-18図)。大学においては、これを理由として、教員や研究者等の安定的なポストの減少や事務機能の低下、研究者が腰を据えた研究ができるような経常的研究経費の減少などの問題が生じている」とまで明記しています。白書の主題と離れた部分ではあるものの、よく正直に書いたと言えます。

 文科官僚が上記のように説明していたならメディアも間違わないのですが、読売の社説《国立大学改革 人文系を安易に切り捨てるな》を見ると、全く違う話を聞いているようです。《2004年度の国立大学法人化により、大学の運営や財務は自由度が高まった》とは、大学の現場を知らないで書いている愚かさが歴然です。《大学が、グローバルに活躍する人材や地方創生の担い手を育成する機能への期待は大きい。文科省が今回の通知で、各大学に改めて、強みや特色を明確に打ち出すよう促したのは理解できる》と持ち上げ、《厳しい財政事情を踏まえれば、メリハリをつけた予算配分も大切だろう。ただ、「社会的要請」を読み誤って、人文社会系の学問を切り捨てれば、大学教育が底の浅いものになりかねない》と批判のふりをして見せます。

 社説では北海道新聞の《国立大「改革」 無理ある要請だ。撤回を》が真っ当な主張をしています。《文科省の方針の下敷きには政府の産業競争力会議からの要請がある。4月の会議で、大学の役割を明確にし交付金の配分にメリハリを付ける方向を打ち出した。そもそもそれが筋違いで無理がある。04年に国立大学が法人化された際、各大学が独自性を発展させ、主体的に研究を切磋琢磨(せっさたくま)する将来像を多くの教員が描いたはずだ。その期待を裏切るばかりか、反対の方向に向かうようでは大学の未来は危うい》

 既に人材は離れつつあります。第480回「瓦解していく科学技術立国、博士進学者は激減」で指摘した通りです。科学技術白書はこの点でも信じられぬほど率直です。「大学や研究開発法人の基盤的経費の減少等を理由として、若手が挑戦できる安定的なポストが大幅に減少している」「こうしたことにより、近年、博士課程への進学者が減少傾向にあり、望ましい能力を持つ学生が博士課程を目指さなくなっているとの指摘もある」

 白書にここまで書くのなら、メディアの記者にもどうして説明してやらないのかです。書いたのは文科省の主流ではないのかも知れませんが、自分で勉強しない記者側の不甲斐なさを思わずにいられません。


人間の顔をしていない中国当局の転覆事故管理

 中国の大型客船「東方之星」転覆事故で最後の行方不明者発見後に、生存者の数が14人から12人に減らされる珍事が起きました。事故被害者を数として見て名前で管理せずでは本当に捜索が完了したのかも疑問です。中国当局はなぜこんな不始末になったのか明確な説明をせず、信頼が失われた点に気付きません。地元メディアに一切取材させず、捜索隊が頑張っているニュースばかり流す一方、事故から1週間を経過してようやく遺族と遺体を対面させるなど、人間の顔をしていない事故管理は、2011年の高速鉄道事故と比べられます。

 生存者が減った原因は新華社による「多くの捜索ユニットや救助部隊からデータを集約するときに重複が起きた」という木で鼻をくくった説明があるだけです。生存14人とされた段階で名前が伝えられたのは船長を含む船員5人と乗客3人、旅行ガイド1人の9人だけでした。12人に減った時点で残り5人の名前不詳生存者が3人に減ったのです。当局がこんな僅かな数の人間を名前で把握していない国があるでしょうか。

 船会社の調査で乗客と乗員の数が456人から454人になって数合わせをすると、捜索で発見した遺体数442人が多すぎる――だから生存者の方を2人減らすと言われたら、捜索活動全体がきちんと実行されたのか疑って当たり前です。しかし、生存者や家族へのメディア取材を一切認めない中国当局には何も表面化させない自信があるのでしょう。

 ウォールストリートジャーナルの《中国客船転覆、生存者数訂正で政府の透明性に疑問》が中国ネットでの不信感を伝えています。《政府の集計を疑問視する投稿は数百件に上り、ある利用者は「私の3歳の息子でも20まで数を数えられる」と書き込んだ》《災害後の混乱時には正確な数字の入手は困難だとして、数字の矛盾を擁護する声も上がった。一方、生存者数の数え間違いがどうやって起きたかについて中央テレビが説明しなかったことに疑問の声も上がっている》

 中国政府に批判的な大紀元の《長江転覆事故、当局奮闘記の讃歌へ 世界を欺く中国のプロパガンダ》がこう伝えました。《政府系マスコミの宣伝は、救助の結果とのコントラストを鮮明に浮かび上がらせている。あらゆる報道は与党への讃歌となり、煽情的内容が記事のタイトルから始まる。たとえば、「中国人に生まれてなんと幸せ!」(国営新華社通信のニュースサイト・新華網)、「救助現場、最もハンサムな男たちがここにいるよ」(中国共産党機関紙・人民日報)、「世界は客船転覆事故で中国の決心が分かる」(人民日報の国際版・環球時報)》

 こんな「自己陶酔」をしていたら事故収束の最終段階で生存者数を減らす自己欺瞞に思いを致すこともないでしょう。2011年の第271回「高速鉄道大事故でも運行停止しない中国政府」で事故原因が分からないのに運転を続行した問題点を指摘しました。これは後日の『中国高速鉄道事故、システム本質欠陥を発見できずか』で「日本などから導入、継ぎ接ぎしたシステムの本質的な欠陥を発見できなかったから、苦し紛れに人為的ミスに持ち込んだと見るべきでしょう」とフォローしています。高速鉄道事故での事故車両埋め込みと言い、普通の国ではあり得ない事故への対処、事故現場の管理は依然として改まっていません。


一気に噴き出した韓国当局管理外のMERS感染

 連日2桁の新患者を出し続ける韓国MERSで13日、感染の質的変化が顕著になりました。防疫当局が管理できていない場面での感染が目立ちだしたのです。病室内3次感染の段階で収束させる目論見が破綻しかけています。各病院の医療スタッフの疲弊が酷くなり、軍からも応援が出される中、長期戦化は大きな負担になります。13日発表患者には初の4次感染者が含まれ、12人増えて患者138人、死者も14人に増えました。

 中東呼吸器症候群(MERS)12人の新患者の内、これまでのように病室内での感染が確認されたのは6人だけです。4次感染は残る6人の1人で救急車の運転士、ほかの5人はサムスンソウル病院関連とされるものの経路が不詳で調査中になっています。4次感染を詳しく伝える《救急車運転士がMERSに感染…感染者計138人に》が問題点を露わにしています。

 《当時76人目の感染者は、サムスンソウル病院の救急救命室で14人目の感染者に接触後、観察対象になったが、当局の監視網をくぐり抜け、5日から6日の間、江東(カンドン)慶煕(キョンヒ)大学病院の救急救命室と、建国(コングク)大学病院の救急救命室に行った。その際、救急車で搬送されたのだった。当局は3日から76人目の感染者名簿を確保し、管理してきたと言ったが、監視はたった2回の電話だけで、患者は他の病院に移ったのだった》

 76人目の感染者は7日に感染が確認されて、10日に亡くなるのですが、感染の恐れを自己申告してくれなければ救急車運転士には自分を守るすべがありません。第485回「朴大統領の訪米に止め刺した大病院の不始末」で述べた、患者による医療機関「はしご」習慣がウイルスをまき散らした実例になりました。

 サムスンソウル病院の救急救命室が3次感染の中心であり、60人以上を感染させる「スーパー伝播者」だった14人目の感染者は29日にはここを離れたので潜伏期間2週間はもう終わりました。サムスンソウル病院関連で経路不詳の5人は、この14人目の感染者との接触が確認できないだけでなく、救急救命室外での4次感染も疑われます。1565人参加の外部集会に出た同病院の感染医師は院内でも自由に動き回りました。また、救急でない外来患者で14人目感染者との接触が確認できないのに感染した例があります。

 病院から外のウイルス地域拡散が起きていると疑わせる例もここに来て発生しています。警察官である119番目の患者(35)と女性介護者である126番目の患者(70)は患者が通過した病院に行っているものの、すれ違っていて接触は考えられないと言われます。現在、調査に入っているWHOのスタッフも「韓国の場合、地域拡散があっても驚かない」と言っていました。問題は小規模で収まるかどうかでしょうか。

 最初の「震源地」平沢聖母病院、3次感染の中心サムスンソウル病院に続いて患者数が増えている病院がいくつかあり、当局は神経を尖らせているが、管理と収束のシナリオが破れるならどうにもならない事態になります。


朴大統領の訪米に止め刺した大病院の不始末

 中東呼吸器症候群(MERS)流行でも14日からの訪米はするとしていた韓国の朴大統領が突然中止を発表しました。最高レベルの大病院サムスンソウル病院で最大の3次感染があり、勢いが止まらないからでしょう。10日に患者数は百人突破して108人、死者9人に増えました。9日の新患者数がわずかに減ったことを根拠に「今週中に収束見込み」としていた保健当局のファンタジーは打ち砕かれました。香港は9日、全ての韓国ツアー中止です。

 サムスンソウル病院での感染による患者数は7日までに17人いて、8日に17人も発生しましたが、9日には新規は3人になりました。「発生の峠は過ぎた」と見た大統領府は訪米に強気だったのですが、10日に10人の新患者が出て、一夜明けて方針転換せざるを得なくなりました。

 9日までのデータをもとに医療専門家に聞いた中央日報の《<MERS>今後の運命、2日後に決まる=韓国》が「サムスンソウル病院の接触者の潜伏期がほぼ終わる今週金曜日まで多数の患者が出てこなければ、小康局面につながる可能性がある」という安心寄り見解と、「今週が過ぎればサムスンソウル病院の感染者が出てこないというのが防疫当局の考えだが、それはその病院の応急室にいた人が防疫レーダー網にすべて入っている場合だ。不幸にも他の病院でも患者が出ている状況では決して安心できない」との不安な見方を伝えています。

 韓国最高レベルと言われる医療機関、サムスンソウル病院のミスは、先月27日に救急車で運ばれた患者を単なる肺炎患者と考えて3日間も通常の病室に収容し、感染を広げてしまった点です。この3次感染で発生した患者は既に47人で、患者全体の44%にもなりました。4次感染の確認例はまだ無いものの、ウイルスに暴露した可能性がある患者と職員は2000人に達すると見られ、病院側は隔離と監視に必死です。

 先日の第484回「韓国MERS危機は共同体の安全を考えぬ国民性から」で取り上げた1565人が集まった屋内集会に参加した感染医師も、このサムスンソウル病院の医師です。彼が隔離対象から外れていたのは、3次感染のもとになった患者との接触が軽いと考えられたからです。不手際は二重三重に重なっていて完全に感染の範囲を網羅できているか疑問があります。

 韓国の患者には診断が確定するまであちこちの医療機関を「はしご」する習慣があります。発熱などの症状を持ったままですから、MERSのような場合は危険極まりないのです。「はしご」した病院での感染が伝え続けられており、隔離対象の完全な把握は大変です。

 朝鮮日報は社説《無責任な韓国社会が招いたMERS感染拡大》で《MERSの感染拡大がここまで拡大した第一の責任は、当初からずさんな対応を続けた韓国政府にあるのは間違いない。ただその一方で、自らが伝染病を広める恐れがあるにもかかわらず、あまりにも軽々しい行動を取る個人にも大きな責任があると言わざるを得ない》と認めています。《韓国社会には法律やルールを「自分ではなく他人が守るもの」という意識が広くまん延している》と嘆きます。

 大病院から個人の患者まで守るべき、するべき規範を外れているからの流行と言わざるを得ません。香港政府は韓国に対して渡航安全情報で2番目に重い「赤色警報」を出し、香港旅行業協会が9日、全ての韓国ツアーを中止したと報じられました。


韓国MERS危機は共同体の安全を考えぬ国民性から

 韓国の中東呼吸器症候群(MERS)流行が病院内感染の枠を超え、地域拡散の様相すら見せ始めています。この危機を生んだのは無能な役人と医療関係者、そして共同体の安全を考えぬ手前勝手な国民性にあると見えます。患者発生か滞在の病院公表を渋っていた政府が7日に初めて明かした24病院は「ソウル、京畿道、忠清南道、大田、全羅北道」で、17ある第一級行政区画の東部5区までに広がっており、離れた西南部の釜山で60代男性に陽性反応が出て2次最終判定にかけられています。《釜山で初のMERS感染者か…1次検査で陽性》は「陽性反応が出たこの男性は先月、京畿道富川市の斎場に行って来た後、MERS感染が疑われる症状を見せたという」と伝え、病院での患者との接触に限られていた感染経路ではなくなっており患者と確定すれば深刻な事態です。

 最初の男性患者(68)が自らMERS検査を求めたのに、政府の疾病管理本部が「訪問国はバーレーンだけ」と聞いてMERS発生国でないとして一度拒否しました。このため症状が出てから4病院を転々とするのですが、サウジアラビア訪問を最初から聞き出せなかった病院も、結果的に感染確認を2日遅らせた政府側もズサンすぎます。さらに感染力を甘く見て十分な防護措置をしなかったために大量に2次感染者を生みました。7日現在の患者は3次感染まで含めて64人、死者5人です。

 イ・ジョングソウル大学病院グローバルセンター長・元疾病管理本部長が中央日報に寄稿した《【時論】MERS危機を育てたのは安全不感症=韓国》が厳しく叱責しています。

 《韓国の行政当局の初期対応が失敗だったのだろうか。韓国の中小病院の病院感染管理が問題なのか。韓国国民の安全文化が誤っているのか。この質問の相当部分が事実である。まず、最初の患者の足取り調査に失敗した。最初に症状が出て病院4カ所を回ってから申告された。そのため、その病院の接触者に対する逆追跡を速やかに行えず、今まで1400人余りを隔離措置するほかなかったのだ。これは外国の疫学資料ばかり信じて緩い措置を取ったためだ》

 《隔離にともなう弊害を懸念して、隔離を躊躇したためでもある。韓国当局は数多くの病院医療スタッフの手や劣悪な病室のドアの取っ手、水道の蛇口について考えることができなかった。換気ができない施設によって同じ部屋・同じ階の患者や看病した家族に広まりうる危険性を現場で見いだせなかった。臨床検査中心に調査していたため、広範囲の接触者を遮って疫学的つながりを遮断する措置を取ることができなかった。これがMERSの流行を統制できていない直接的な原因だ。専門家がおらず、組織も貧弱で権限もあまりなかったと言うだろう。しかし弊害があるとしても幅広く防疫網を張り、捜査をするかのように行動すべきだった》

 専門家の側に欠陥があり、受け止める一般国民側の公共心の欠如、自分勝手も第477回「安全になれぬ韓国、手抜き勝手の国民意識が原因」で指摘した通りに恐るべきものです。大量の隔離対象者を出しているのに隔離施設が貧弱であるために大半が「自宅隔離」になり、1日2度の確認電話で所在を確かめている状況です。「自宅では息が詰まるからゴルフに行った」ソウルの女性は警察まで動いて連れ戻す騒ぎになりました。

 住民105人がいる全羅北道淳昌郡淳昌邑の村全体が5日から、村から出ることも外部から村に立ち入ることも禁止されたケースも72歳女性の身勝手からです。最初に患者が出た京畿道の平沢聖母病院に入院していて、退院しても自宅から出ないように保健所から指示されていたのに高齢者施設に出入りして村民ほぼ全員と接触する始末でした。MERSの第1次検査でこの女性に陽性反応が出て、村全体の隔離が決まりました。

 ソウルの男性医師(38)が症状が出てから1500人を超える参加者の集会に出るなどしたと、ソウル市長が緊急記者会見で暴露した騒ぎも、医師にもあるまじき公共意識の欠如例に数えられるでしょう。《「MERS確診のソウル医師、1565人集まった総会に出席」》はこう報じています。

 医師は《1日に確診判定を受けた35人目の患者だ。ソウルの大型病院の医師であるA氏は、14人目の患者と接触した後に先月29日から軽い症状を見せていた。彼は翌30日午前9時から正午まで病院の大講堂シンポジウムに参加した》《せきと高熱が次第に激しくなり始めたのは30日からだという。彼は同日午後6時から7時間、ショッピングモール「ガーデンファイブ」の飲食店で家族と夕食をとった。そしてすぐに午後7時から良才洞(ヤンジェドン)Lタワーで開かれた「開浦洞(ケポドン)住公アパート再建築組合総会」に約30分間参加した後、帰宅した。総会に参加した人数は1565人だった》《症状は先月31日から急激に悪化した。だが彼は再び午前9時から10時間、病院の大講堂で行われたシンポジウムに参加した。症状が激しくなった彼はこの日午後9時40分には病院に隔離された》

 症状のある医師と接触した市民の数はいくらになるのか、空恐ろしくなります。ソウル市長が暴露したのは政府が事実を知りながら沈黙していたためです。市長と政治的に対立関係の大統領が暴露を非難すれば、市長もやり返す展開になっています。病院名の公表が遅れたように政府は必要な情報を公開せず、市民はネットの情報に依存する有り様になっています。

 3次感染者が出ただけで終息するなら良いのですが、3次感染の外側に広がるようならパンデミック、感染爆発の危機です。大手紙は大統領に直接、指揮を取れと求め始めています。今月中旬に予定の大統領訪米どころでなくなる可能性が見え始めました。


日本のパソコン技能がOECD最低報道の誤解

 経済協力開発機構(OECD)が発表した『技能アウトルック』2015年版をもとに日本人のパソコン技能が最低レベルと報道されています。スマートフォン流行が若者を駄目にしたとか、これまでの経緯を知らぬ誤解が散見です。もともとの発信源が日本を知らぬ中国メディアの騰訊科技で、日本の現状を「発見」してしまい、国内ネットのあちこちで同調が見られるようです。しかし、2011年の拙稿『日本人の4割はパソコン無縁:欧米と大きく乖離』で指摘したように日本人にはパソコン無縁層が厳然として存在しているのです。まずOECD報告から該当部分のグラフ「Figure 2.5. Youth who lack basic ICT skills」を引用します。


 騰訊科技の報道は《日本人の「ICT能力」が最低水準!・・・多くの技術革新を成し遂げた国で「驚くべき結果」と中国メディア》などで見られます。16〜29歳の青年層で「約10%がOECDの基本技能評価テストに合格できなかったと紹介。さらに約15%がテストそのものを拒否した」と伝えています。棒グラフの右端が日本で、OECD諸国中で最低をポーランドと競っている状況です。北欧諸国やドイツ、オランダでは落ちこぼれが5%もいませんから格差歴然です。

 スマホしか使えず、パソコンには見向きもしない若者が溢れだしている現状と結び付けて、スマホ流行の結果だとする論調になるわけです。しかし、直接の原因は2003年から高校の必修科目になっている情報教育の失敗でしょう。さらに、『日本人の4割はパソコン無縁:欧米と大きく乖離』で描いたように世界の大部分では収入があればパソコンは買うものなのに、日本ではお金があっても買わないデジタル・ディバイド層がいて、不思議と思われないのです。

 パソコンって面白いもので色々と使えるのだ――と教えられる先生が、高校で決定的に不足しているようです。今年も立命館大で、300人ほどの大教室講義に招かれて《ネット活用オリエンテーション》を話してきました。メディア論に入る前のサービスとして30分くらい、多数の興味深いウェブを実際に画面に出して使って見せています。ある4年生は「1年の時にこれを聞いておきたかった」と言っていました。情報教育では面白く使えると知らせる前に、小難しい教材でスポイルしているのではないかと疑っています。参考までに立命館で使ったリンク付きレジュメを原文のまま掲示しておきます。

  ◆  ◆  ◆

《ネット活用オリエンテーション》

 ネットを知的なツールとして活用することが、この時代に生きる一般市民に求められているのだが、大学で話してみると必要な基礎知識が意外に知られていない。お気に入りのページをいくつか持ち、気になれば検索エンジンを使う程度でネットを使えていると思う人が学生の皆さんにも多い。今回の講義ではネット活用法を導入部にしたい。ネットだけに限らず情報リテラシーの能力は現代を生きる必須の力だと思う。例えば「ヤフーニュース」と「グーグルニュース」はどう違うか知らないで使っていないか。

 ☆消えてしまったホームページの検索……「検索デスク」から「WayBack Machine」を使う。米国にあるNPO「Internet Archive」が1996年以来、世界のウェブを蓄積している。
     例:アップルの過去ウェブを調べる
    「科学をなめている『あるある大事典』捏造」 は見せたくなくも消せない過去

 ☆便利な社会データ集……膨大で丹念な更新「社会実情データ図録」
    多彩な相関分析ができる「国際日本データランキング」

 ☆過去と未来の年表類……「広告景気年表」「未来年表」
     年表は歴史物だけではない。広告大手の電通と博報堂による年次データ収集。

 ☆イメージで知る世界……
   5千年の世界史を90秒で見せる「マップス・オブ・ウオー」History of Religion
   日常品300種の出来るまで工場見学「THE MAKING」
   3Dパノラマ「panoramas.dk」
   世界の美術を細部まで拡大鑑賞「Google Art Project」(例:Gogh星月夜)
    世界中の今吹いている風を見られる――
     「earth :: an animated map of global wind and weather」
     3Dパノラマ風景例=「ニューヨーク・ビル群パノラマ」
         「ベルサイユ宮殿・鏡の間パノラマ」(天井壁画も是非)

 ☆訳語がポップアップするなど高機能の辞書……「POP辞書」「Weblio辞書」