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北風に頼る北京大気汚染、APECでの威信に不安

 来月7日から北京で開くアジア太平洋経済協力会議首脳会合を前に10月に入って重篤スモッグが頻発しています。海外からの観光客減少も認めざるをえない状況で、ホスト国の威信守れるかは強い北風が吹くかが頼りです。26日午後2時現在、米国大使館の汚染測定グラフを下に掲げます。微粒子PM2.5濃度が日本基準の10倍はある「厳重汚染状態」が続いていたのに、一番下の「風」が吹き出した途端、一気に優良な大気に変わっています。


 この風も北風でないといけません。北京の風は明日27日の昼ごろから南風に変わっていきます。大気汚染源は中国内陸部に広がっていますから、南風は汚染物質を運んできて再びスモッグ状態に転落します。10月に入って北京では上から2番目のオレンジ警報が相次いでいます。20日には3万人参加の北京国際マラソンが重篤スモッグにもかかわらず強行されました。「参加者の半分は海外や北京以外からであり中止して混乱させられなかった」と主催側は弁明していますが、走った人にはあまりに残酷で中国国内のネットでも強い批判が噴出しました。

 12日までのAPEC期間中は北京市内の政府機関や学校などを6連休にすると発表されています。民間企業に6連休は強制されませんが、自動車ナンバー末尾が偶数か奇数かでマイカー利用を日替わりで禁止する「奥の手」が発動されます。2008年の北京五輪の際に効果を発揮しました。しかし第398回「中国政府も深刻大気汚染の底知れ無さに目覚める」でグラフを掲げて指摘したように、新車販売台数の累計を見ると2008年までが4316万台なのに、2013年には1億1099万台にも達しました。2008年の倍以上、おそらく3倍のクルマが走っているのですから半数を止める対応で済ませられる段階を過ぎています。第412回「中国重篤スモッグの巨大さが分かる衛星写真」にあるNASA写真には小手先対策の無力を感じざるを得ません。

 新華社の《中国を訪れる観光客の減少傾向止まらず 主要因は深刻な汚染―キューバメディア》は中国観光研究院の報告から《2013年に中国を訪れた観光客は延べ1億2907万7800人で、前年より2.51%減少。中国滞在に対する満足度も75.4%で、前年比11.41%のマイナスだった。その主な原因は、水や空気の質に対する満足度が下がったことにあった。入国者数の減少は12年の第1四半期から始まっており、すぐに回復する気配はない》と伝えました。


兼業稲作農家の退場迫る。傍観のメディアよ動け

 3割にもなる米価大幅値下がりが稲作経営を直撃しています。零細な兼業稲作農家は退場するしかない局面なのに、マスメディアは政策に斬り込みません。コメ作りを支える専業農家には保護策があり、傍観する姿勢です。米価と言っても消費者への小売価格ではなく、集荷する農協が農家に払うコメ代金概算金です。店頭価格も下がっているものの「3割も下落」とは聞きませんから中間にいる農協の取り分が肥大していると推測でき、農協も農家の存在を本当には心配していない怪しい事態です。政府は稲作の構造改革を正面から議論する気はなく、農協と波風立てずに流れるままにしておきたいと見えます。これにメディアも同調していては困ります。

 農業協同組合新聞の《米価下落で緊急要望 北海道東北地方知事会》に、政府の「心配はない」とする対応ぶりが出ています。

 《西川農相は、収入減少影響緩和対策(ナラシ対策)について米価が「1万5000円」基準で交付が考えられていると現在の仕組みを説明。「概算金が8000円、9000円でも米価が1万3500円まで回復したとして、1万5000円との差額の1500円、この9割を補てんする。つまり、1割の150円だけが減るということ。(この)ナラシ対策で対応したい」と話し、また、ナラシ対策に加入していない生産者は26年産に限って国庫で差額の5割を補てんする予算も要望していると指摘したうえで、「現実には概算金が低くても農家の手取りには影響しない。こういう仕組みだからあまり心配されなくていいと思う」と吉村知事の要請に応じた》


 農水省ウェブから引用した収入減少影響緩和対策の仕組み図です。農協の概算金が事実上の米価である実態があっても、いくら下がろうと過去収入との差額を9割まで補填する保険のような仕組みが4ヘクタール以上の専業農家などには出来ています。その過去収入がコメ60キロ1万5000円と算定されており、今年産米に限っては対策に加入していない零細農家にも、今年の収入との差額半分の国費補填を考えるというのです。

 しかし、河北新報の《14年産米 概算金暴落/東北の農家懸念 減反廃止でさらに下落も/農政激変 東北から》に《東北農政局によると、コメ60キロ当たりの生産費調査(12年産、地代などを含む)は平均1万4094円、耕作面積5ヘクタール以上の大規模農家で1万1432円。14年産米の概算金はほとんどの品種がこれを下回った》とあります。

 全国的に概算金が60キロ当たり1万円を超えた品種が数えるほどしか無かったのですから、生産費が高い零細農家は来年からは稲作を続けられません。今年の収支を国の臨時措置でしのげても、来年以降は全く違います。もう先祖の水田を守るためだけの零細稲作は不可能です。一方、大規模農家は収入減少影響緩和対策で取り敢えず営農継続が可能でしょう。

 経済専門紙の日経が両者の差を書き分けないのは不思議です。《米価下落、コメ農家に廃業の危機》はミスリードになる記事です。《日本人の主食であり、ずっと農業と農政の中心にあり続けた「聖なる作物」、コメが重大な転機を迎えた。きっかけをつくったのは農協だ。今年とれたコメに払う代金を大幅に引き下げ、各地の農家に動揺が広がっている。採算割れに直面したコメ農家が稲作をあきらめる可能性が出てきた。「このままでは稲作を続けられなくなる」。千葉県のある大規模農家はこう嘆く。農協の上部組織、全国農業協同組合連合会(全農)が農家に示す「概算金」は千葉産のコシヒカリの場合、60キログラムで9000円。去年より2700円少ない》

 その後も補助金が拡充された飼料米作りへの転換も出口にはならない、今までの政策の延長では駄目と指摘するばかりです。編集委員の署名記事なのに、具体的にどうすればいいのか、提言がありません。

 2007年の『専業農家の救出を急がねば稲作は崩壊』では専業農家にセーフティネットが必要と議論しました。一応のセーフティネットが動く今、零細農家が米価大幅下落で稲作を放棄するこのチャンスに水田を大規模農家に集約するべきです。さらに大規模農家には、欧米のような財政による農家への直接支払いで支援する仕組みに転換すべきなのです。減反など効率が悪い巨額の補助金で成り立っている農政を抜本的に改め、農業の高コスト体質に責任がある農協にも全面的に出直してもらい、専業農家には思う存分に作らせて消費者には安いコメを届けるビジョンを示すのが、この秋のメディアの仕事と考えます。


エボラ出血熱の脅威、米国の感染が蟻の一穴か

 エボラ出血熱の二次感染があろうことか米国で起きてしまいました。国連が「あと60日が勝負」と訴えるほど差し迫っている人類への脅威です。しかし、最新情報では米国はまだ本気で取り組んでいなかったようです。CDC(米国疾病対策センター)と言えば感染症対策では世界中から一目置かれる組織であり、そこが感染防止に失敗したなら手の施しようが無くなると思えたのですが、感染した看護師の防護ガウンは手首や首が露出する簡易タイプで、実地訓練もされていなかったと言います。看護師は微熱がある状態で隔離される前日に民間機に搭乗したことも明らかになっており、米国での感染が蟻の一穴にならぬよう願いたいものです。

 WHOの感染状況リポートによると、10月13日現在で患者9216人、死者4555人です。9月14日現在が患者5335人、死者2622人ですから、1カ月足らずで患者が3881人、死者が1933人も増えています。国連のエボラ出血熱対策チーフが国連安全保障理事会に西アフリカからテレビ中継で「エボラ出血熱を今止められなかったら、世界は完全に未曽有の事態になる」と警告しました。12月までの60日間に「感染者の70%を療養施設に収容し、死亡者の70%を二次感染なく埋葬しなければ、感染拡大は止まらない」と言うのです。

 医療ガバナンス学会のメールマガジンでベイラー大学病院ベイラー研究所の滝田盛仁医師が《Vol.239 現地レポート(2): 拡大した米国でのエボラウイルス感染》を出しています。死亡したトーマスさんは1回目の受診では抗生剤をもらって帰宅になり、容態が悪化して2回目で入院でした。詳細を知ると、オバマ大統領のエボラに掛ける意気込みとは落差がありすぎてショックでした。

 《なぜ、病院で2次感染?――具体的にどのような作業が原因で、2人の看護師がエボラウイルスに感染したか未だ不明である。病院の説明では、2回目にトーマスさんが救急搬送されて以降、医療スタッフは全員、CDCのガイドラインに沿って、ガウンや手袋、マスクなどの血液・体液感染を想定した感染防御対策をしていたという。エボラウイルスに感染した2人の看護師は、1回目にトーマスさんが救急外来を受診した際に診療に携わっておらず、感染防御対策を開始した2回目の来院からトーマスさんの治療に当たっている。
 これに対し、全米看護師連合 (National Nurses United)の調査によれば、(1)トーマスさんは救急搬送後、数時間、個室に隔離されていなかった, (2)手首や首が完全に締まらない簡易タイプのガウンが看護師に支給された, (3) 看護師を対象とした実地訓練は実施されていなかったなど、病院の受け入れ体制に不備があったと言う。病院長はトーマスさんの1度目の救急外来受診について対応のミスを認め、公式に謝罪した。現在、CDCが真相を究明中だ》

 微熱があった看護師が搭乗したクリーブランドからダラスへの飛行機にはオハイオ州とテキサス州の小学校児童が乗り合わせており、臨時休校措置がとられています。スペインでの二次感染も心配ですが、米国でのウイルス拡散の恐れはより深刻です。やはり感染爆発が心配された中国の鳥インフルエンザについては3月の第414回「鳥インフルエンザ、終息せず散発発生を継続」で発生状況を集約しました。


韓国の産経記者起訴処分は権力者による「私刑」

 産経前ソウル支局長在宅起訴は権力者による「私刑」(リンチ)です。最高権力を持つ者がメディアの言論に被害を言い立てて刑事処分に付するとは、韓国が法治国家ではないと明瞭に示しています。産経新聞の記事の品位は全く擁護しませんが、権力者に疑問を呈する言論を封殺することは許されません。むしろ、投げかけられた疑惑に明確に答えていないがゆえの暴走に見えます。

 もともと韓国は前近代の徳治国家を脱しきれず、無能な官僚組織がはびこっており、300人以上の犠牲者を出したセウォル号沈没事故の不始末もそこに端を発しました。世界に向けて恥じるべきリンチに、本来なら国連も警告すべきだと考えますが、韓国人の事務総長は感度が低いようです。

 実は韓国人自身が公正な国家を実現できていないと考える現実を《奇怪な韓国の闇、民衆は達観する「愚政府・愚役人」》で描きました。それでいて間違っていても国家の体面は保ちたいとする愚かな国民性とを、国際的な社会意識調査「International Social Survey Programme」から作成した2つのグラフでご覧ください。






ノーベル物理学賞でも理系冷遇社会は変わらずか

 日本人3人に与えられた今回のノーベル物理学賞。学究派メンバーと色違いな中村修二・カリフォルニア大サンタバーバラ校教授の青色LED特許訴訟を振り返ると、理系冷遇社会の枠は本質的に変わりそうもありません。中村さんは日亜化学工業(徳島県阿南市)で青色LEDを製品化しながら、国際的な研究者仲間から「会社の奴隷」と言われたほど冷遇だったため特許訴訟を起こしましたが、政府は企業で開発された特許の権利を研究者個人から企業に移す方向に動いています。

 2005年の『青色LED和解で理系冷遇は変わるか』で特許訴訟が「発明対価を8億4千万円として和解」になった経過を描いています。中村さんの訴訟戦略に誤りがあり、前年2004年の第143回「巨額な発明対価判決が映すもの」で発明対価200億円の判決を得たのと比べるとささやかな金額に落ち着いてしまい、発明対価にある種の相場感が形成されていると指摘しました。人事院調査でも技術研究管理職の給与は事務系の部長や支店長に比べて見劣りしています。生涯賃金も大差がつくでしょう。発明対価はたまにしか得られぬ成功への報酬として高額でもおかしくはないのです。

 ところが、政府は第444回「安倍政権は科学技術立国を破壊:企業特許に大学」で紹介したように企業の特許にする方針です。見返り報酬の規定を設けると言うものの、それが裁判で争われたレベルに達するはずもありません。中村さんは、同時受賞の赤崎勇名城大教授や天野浩名古屋大教授のようなアカデミックな研究者とは違う小さな企業の研究環境にいました。ノーベル物理学賞の受賞が企業研究者を力づけるようになって欲しいものですが、現実は発明へのインセンティブが貧しくなるとしか見えません。


死に体の核燃料再処理、政府の救済人事も無理か

 青森県六ケ所村の核燃料再処理工場が長期の完工延期に追い込まれそうです。原子力規制委による新規制基準に適合が困難なためで、政府が規制委員に推進派の元原子力学会長を送り込んでも無理を通すことは出来ません。工場の原型である原研機構・東海再処理施設が新規制基準適合には1000億円以上掛かるとして廃止を決めているのに、六ケ所再処理工場は大規模な改修なしで適合審査に臨んでいます。日本原燃は2016年春ごろまで完工を延ばすつもりと言われますが、審査により工場設備の改造が必要になるのは確実ですから設備設計・認可・施工がそんなに短期間で済むはずがありません。核燃料サイクルの中核施設はいつまで経っても完成しそうもなく、やはり稼働が絶望的な高速増殖炉「もんじゅ」と共に核燃サイクル撤退を真剣に考えるべきです。

 再処理工場はもともと1997年完工予定だったのに、これまでに20回の完工延期を繰り返してきました。純粋な民間企業ならあり得ない失態ですが、国策会社として許されてきました。福島原発事故による原子力規制強化にもこれまでのような甘えで対処した実態が《原燃再処理完工「新工程を検討」》に出ています。《原燃は再処理工場の完工に向け、1月7日に規制委に適合性審査を申請。審査期間を6カ月、使用前検査などに4カ月かかると見込み、10月完工を設定した。ただ、規制委から申請書の不備を指摘されるなど審査対応に手間取り、審査は現在も続いている。重大事故対策について補正申請が必要となっているほか、地震対策の審査でも複数論点を積み残している》

 適合審査の現状は《再処理施設 前回までの審査会合における主な論点と対応について》にまとめられています。重大事故についての項目が多数あるのにほとんど対応できていない点が目につきます。規制委が出した疑問に全く答えられず、どんな重大事故を考えるべきなのか、その第一歩から出来ていません。実際には各種重大事故を具体的に想定して現有設備で足りなければ改造なり追加なりしなければならないのに、そこまで進んでいません。「申請書の不備を指摘」といった生易しい審査状況ではないのです。審査開始直後のやり取りを書いた第407回「核燃料再処理工場の不合格確定、核燃サイクル崩壊」の延長上で進行しています。

 核燃料サイクル推進の研究者である元原子力学会長の田中知氏が9月から審査担当の規制委員になりました。政府が委員に押し込んだのは、自分の専門分野を駄目と言うはずもないからでしょうが、審査状況はちょっと色を付けて規制強化したと誤魔化せるような段階から遥かに進んだと見ます。ただ、前任の更田豊志委員が厳しく踏み込んだ論点をぼかしていかないか、注視する必要があります。こんな利益相反人事をマスメディアが厳しく批判しないのも驚きです。

 この「救済」人事に加えて政府は日本原燃に国の関与を強める方策を考え始めました。北海道新聞が社説《核燃料サイクル 延命より撤退の議論を》で「本来、撤退を含め抜本的に見直すのが筋だが、政府の後ろ盾で存続させるというのである。事実上破綻した事業を国民負担で維持するような案は、断じて認められない」と批判しました。

 「もんじゅ」については第353回「高速炉もんじゅ稼働を絶望にする安全設備要求」で規制対策は不可能であると指摘しましたし、核爆発を起こす恐ろしい「炉心崩壊事故」があり得ます。技術的に行き詰まっている核燃料サイクルを政府が引っ張り続けるのは、撤退となったら大量に貯まっているプルトニウムや使用済み核燃料の処分などの難題に手を付けねばならないからです。官僚任せにして進むはずもなく、政治的な決断をすべき時が迫っています。