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セウォル号沈没での不作為なければ全員助かった

 300人を超す犠牲者が出た韓国セウォル号沈没事故で、乗船の476人が退船命令さえ出ていたら短時間で全員脱出できたと法廷で専門家が証言しました。海洋警察が到着した時点でも6分17秒で済み、不作為の罪は重大です。船長・船員による退船命令出されずもさることながら、船を見捨てた乗組員を受け入れたまま積極的な救助活動をしなかった海洋警察救助艇の責任も問われるべきです。ところが、海洋警察に対する検察の捜査は進んでいません。犠牲者遺族が特別法を作って捜査権と起訴権を渡せとまで要求しているのも理由の無いことではありません。

 船長と船員らに対する殺人容疑など公判でのパク・ヒョンジュ嘉泉大学超高層防災融合研究所所長証言を《セウォル号事故シミレーション結果、476名5分ほどで全員脱出可能》がこう伝えています。

 《事故直後である4月16日午前8時50分、セウォル号が左舷(さげん)に30度傾いた状態から全ての避難経路を利用し、左舷3階のデッキに脱出するシナリオ、近くのデュラエース号船長の勧告により午前9時24分ごろ、左舷に52.2度傾いた状態から3階のデッキに脱出するシナリオ、1等航海士が操舵室から出てきて海洋警察123艇に乗り込もうとした午前9時45分ごろ、59.1度左舷に傾いた状態から4、5階のデッキに脱出するシナリオなどだ。最初のシナリオに沿ってシミレーションを行った結果、セウォル号乗船員476名全員は事故直後船長と船員らの退船命令があったら、わずか5分5秒ほどで脱出することができたことがわかった。2つ目、3つ目のシナリオに沿ったシミレーション結果でもそれぞれ9分28秒、6分17秒ほどで全ての乗船員が安全に船を抜け出して救助されることができた》


 『沈没報道の韓国メディア、海洋警察の劣悪さ無視』で引用した朝鮮日報の現場写真です。漫然と立ち尽くしている海洋警察官が、やがて船員が出てくる目の前の操舵室に飛び込んで即刻退船を指示していたら、6分ほどで全員助かったのです。海難に対処する専門家として必死さがあれば、事態はハッピーエンドに変わっていたでしょう。

 しかし、《裁判を目前に遅々として進まぬセウォル号事故捜査(2)》は検察が苦慮していると報じるのみです。《船内に進入して乗客に脱出を指示しなかったため物議をかもした木浦(モクポ)海洋警察123艇所属の海洋警察官の起訴可否について苦悩している。123艇の艇長に対する業務上過失致死容疑の適用有無に注目が集まっている。 だが、光州地検関係者は「海洋警察123艇のキム艇長に対して拘束令状を再請求するのか」という質問に対し、「123艇が何もしなかったわけではないし…。 世界的に類例のない事例であるため、どんな法律的定規を突きつけるべきかを検討している」と話した》

 海洋警察のヘリは船の上にも到着しており、船内の高校生の証言が《‘船長ら 自分たちが生きるために退船命令下さず脱出 共謀’判断》に出ています。《「海洋警察は上から全て見ることができる状況であったのに、状況をただ見守っていた。 海洋警察官が‘上がって来れる人は上がって来なさい’と言ったと友達から聞いた」と答えた。 またKさんも「(船室から脱出して上がってきたが)甲板にいた海洋警察はじっとしていて、ある瞬間にいなくなった」と証言し、また別のOさんは「海洋警察は甲板の外壁に立っていて、ヘリコプターに引き上げるだけだったし、生存者が脱出した出入口側に行く姿は見られなかった」と証言した》

 8月に『奇怪な韓国の闇、民衆は達観する「愚政府・愚役人」』で韓国官庁の悲惨なほどの無能さを描きました。民衆はよく知っている事実なのですが、300人余という犠牲の大きさに耐えられない思いでしょう。しかし、法治国家として機能しているとは思えず、裁判を含めて適切な裁きが付けられるか、極めて疑わしいのです。


ウナギ削減のウソ、近年稀な豊漁から2割だけ

 絶滅危惧種に指定されたニホンウナギを保護するための国際協議がまとまりましたが、開いた口が塞がらない無意味な合意です。稚魚の各国養殖場投入量を昨年の3倍豊漁だった今年分から2割削減するだけなのです。水産庁は何らかの規制を打ち出さないと、一足早く絶滅危惧種になったヨーロッパウナギのように国際的な取引規制が掛かるのを恐れてアリバイ的な削減合意をしたと評さざるを得ません。それをきちんと伝えるマスメディアが無く、持続的な資源保護が可能か論じるどころか、相変わらず食べる心配が先に立ちます。6月に『絶滅危惧種指定、ウナギの食べる心配報道は異様』と批判した状況と変わっていません。


 「シラスウナギの豊漁報道の異常性」からウナギ稚魚の漁獲推移グラフを引用させていただきました。2013年には5.6トンにまで激減したのが今年は15トンほどに増えました。特に資源保護策があったわけではありませんから、全くのフロックと見るべきです。来年以降、稚魚の漁獲は減るでしょう。今回の削減規制量よりも稚魚が採れない可能性が高いのです。

 水産庁の「ウナギの国際的資源保護・管理に係る第7回非公式協議」はこう合意を伝えました。《日本、中国、韓国及びチャイニーズ・タイペイの4者間で、以下を内容とする共同声明を発出することで一致しました。(1)各国・地域はニホンウナギの池入れ量を直近の数量から20%削減し、異種ウナギについては近年(直近3カ年)の水準より増やさないための全ての可能な措置をとる》

 ニホンウナギについても「直近3カ年」が比較のベースなら少しは意味がある削減になったであろうことは、上のグラフを見れば分かります。異種ウナギとは規制をくぐり抜けた密輸のヨーロッパウナギや東南アジアのビハーラ種で「増やさない」とは大甘な規制です。


 世界のウナギ消費量の7、8割は日本人のお腹に入るとされています。養殖池に入れられるウナギの稚魚シラスウナギの資源量がどう変動したのか、グラフで生産量推移と対照しました。資源量のグラフは温帯ウナギ3種について1960〜70年代を100とした推移であり、絶対量推移ではありません。ニホンウナギは1980年には既に資源が減っていますが、ヨーロッパウナギやアメリカウナギは豊かだったのです。それが1990年に向かって奈落の底に沈んでいきます。ヨーロッパウナギは中国が安く輸入して養殖、日本のウナギ消費が価格が下がって大衆化していく過程でどっと日本市場に流れ込みました。

 こうして世界のウナギ資源を食べ尽くしてきた現実をメディアは未だに直視しないようです。国際自然保護連合から絶滅危惧種指定の次は、国際的な取引規制です。ニホンウナギ稚魚の輸入が絶たれたら国内業界には甚大な打撃です。メディアは警鐘を乱打するべき時期を失しています。


成長戦略なき安倍政権は再増税で国を潰す恐れ大

 有力な安倍応援団、日経新聞まで「実質マイナス成長で再増税できるのか」と書き出しました。打ち出されるはずの「第三の矢」の核心が希薄なまま、無理矢理の財政出動に走って辻褄合わせする未来が見え始めました。多くのエコノミストは財政再建の見通しをつけるために再増税の目は消したくないと自縄自縛に陥っています。その中でBNPパリバ証券の河野龍太郎氏は《コラム:アベノミクスに転換迫る「不都合な真実」》で「政府は2%の潜在成長率の目標を掲げているが、無謀と言わざるを得ない。今後の純資本ストックや国民純貯蓄の動向を考えると、潜在成長率はそう遠くない段階で、マイナスの領域に入る可能性がある」と痛烈な批判を浴びせました。

 日経の《実質マイナス成長で再増税できるのか  編集委員 滝田洋一》は4〜6月期が年率マイナス7.1%に下方改定を受けて「政府は2014年度の実質GDPについて、前年度に比べ1.2%の成長を見込んでいるが、下方修正は必至だ。1.2%成長するというのは、13年度の4四半期平均で528.9兆円だった実質GDPが、14年度は535.2兆円に増えるという意味だ。なのに4〜6月期のGDPは年換算で525.3兆円まで減ってしまった。政府のもくろみ通り14年度に535.2兆円のGDPを達成するためには、7〜9月期以降の3四半期は、年換算で平均538.6兆円を稼がないといけない」と、ほとんど駄目を出す形になっています。

 それでも応援団の立場上、「幸いにも、14年4〜7月の税収実績は上振れしており、国債発行に頼らずに補正予算を組むことは可能だ。財政政策に合わせて追加の金融緩和に踏み切れば、景気下支えの効果は大きいだろう。潜在成長力を高める成長戦略を急ぐべきなのはいうまでもない」と期待をつなぎます。

 既に経済財政諮問会議の民間議員である伊藤元重東大教授が《消費再増税を前提に今年度補正を》で「消費増税で経済が悪化するという心理効果が出るといけない。補正を打つなら年末だ。補正をやるというメッセージが重要だ」と主張しています。安倍首相が執念を燃やす来年度からの法人税引き下げについては「仮に消費税を上げないという決断になれば、当然、法人税を下げるのは難しい」との見通しを述べています。

 今年度で0.1%マイナス成長を予測している河野氏は財政出動のような小手先の対策が効く局面ではなくなっているとの立場です。「10―12年度の潜在成長率は0.3%まで低下したと述べたが、寄与度を分解すると、労働投入がマイナス0.4ポイント、資本投入が0.1ポイント、全要素生産性(TFP)が0.6ポイントとなる。今後も労働投入が年率0.8ポイント程度で減少することを考えると(寄与度はマイナス0.6ポイントまで悪化)、資本投入とTFPを高めていかなければ、0.3%の潜在成長率を維持することは難しい」と、生産年齢人口が減り続ける基調の影響が大きいと指摘します。

 国民純貯蓄は社会保障費の膨張に食われて資本投下に回る余裕がなくなっており、さらにまともに評価できる成長戦略が出てこない以上、全要素生産性が改善されるはずもありません。無理矢理の財政出動をしても建設業など人手不足で予算消化がおぼつかない有り様になるでしょう。結果として財政規律は今以上に緩み、何のために増税しているのかすら分からなくなるだけです。

 先日の第444回「安倍政権は科学技術立国を破壊:企業特許に大学」は勝算もなく思いつきで大学や企業の研究開発に手を突っ込む安倍政権と官僚の姿を描きました。年収1000万円以上に限っての「残業代ゼロ」施策導入といい、結果に責任を取るつもりもなく火遊びをしているようにしか見えません。本来なら大学は成長戦略の柱になり得るのですが、先進国で日本だけ特異な研究論文数減少傾向で明らかなように政策失敗の場になっています。


Facebook3題:対中ODA貢献、消費増税、ISS写真

 家庭事情で忙しすぎて、じっくりとネット上のテキストデータを吟味している暇がありません。Facebookでは気分転換も兼ねて、ほぼ毎日ざっとニュースをサーベイして話題を提供しています。最近のものから反響が大きい3題をひろいました。

 【中国メディア 日本の援助功績を掲載 NHKニュース】

 「抗日戦争勝利記念日」に中国の大手ネットメディアが日本の対中ODAなどの戦後貢献を伝えたとのニュース――2つの意味で興味深いと思います。まず、中国大衆に伝わった点、さらにスマートフォン向け配信ニュースなので配信後には当局も手が出せない点です。 《中国のIT企業「テンセント」が、スマートフォン向けに配信しているニュースの中で、「日本は、中国を傷つけただけなのか」と題し、特集として掲載したものです。特集では、6年前の四川大地震の際に被災地に入った日本の国際緊急援助隊が、遺体に向かって黙とうしている姿や、中国の緑化のために力を注いだ故・遠山正瑛氏の活動などを写真付きで紹介しているほか、日本が中国に対して、2008年までの30年間に行った政府開発援助の総額が、2248億人民元に上ることなどを伝え、日本の功績を強調しています》 ・・・ニュース本文

 【消費増税の反動減は予想以上に深刻、今後の3つのシナリオを考える | nikkei BPnet】

 あれあれ、成長率大幅低下に安倍応援団の竹中平蔵氏まで「ここでは消費増税のやり方に問題があったということだけ指摘しておきたい。89年4月の消費税導入(3%)や、97年の消費増税(5%)のときは、事前に減税措置が講じられていたのに対し、今回はそうした減税措置がなかった。それどころか、社会保険料の引き上げなども重なったため、トータルとして国民の負担はかなり重くなってしまった」・・・分かっていたら経済学者なんだから事前に指摘しなさいよね。実質8兆円の増税は重すぎると言った学者がいました。安倍首相は国民増税、企業減税の一本やりでした。 ・・・ニュース本文

 【宇宙から見た地球の夜景--国際宇宙ステーションが撮影した写真より】


 国際宇宙ステーションから撮影された都市の夜景数々。有名な北朝鮮の闇(上に引用の写真です。もっと引いた写真では国が存在しないような暗黒ですが、さすがに首都付近などに光点群あり)がアップになってますし、東京首都圏もあります。どこを写したのかよく解らない写真が多くて割り出しを助けるボランティアを募集しているそうです。 ・・・ニュース本文


安倍政権は科学技術立国を破壊:企業特許に大学

 朝日新聞が社員が発明した特許を無条件で企業のものとする政府の方針転換を報じました。安倍政権の発足以来、国立大の研究を崩壊させる施策が加速、企業の研究でも意欲を奪うので科学技術立国の基盤が失われます。順調に国力が伸びていた時代とは違い、大学にも企業にも余力がありません。この状況で勝算もなく既存のバランスを大きく崩す政府のやり方は自殺行為ですが、何かを変えた実績を誇る政策セールスマンばかりになった中央省庁官僚には痛くも痒くもありません。10年後にどうなっていても、誰も責任を取らないで済むからです。

 《特許、無条件で会社のもの 社員の発明巡り政府方針転換》は《政府は、社員が仕事で発明した特許を「社員のもの」とする特許法の規定を改め、無条件で「会社のもの」とする方針を固めた。これまでは、十分な報償金を社員に支払うことを条件にする方向だったが、経済界の強い要望を踏まえ、こうした条件もなくす。企業に有利な制度に改まることになり、研究職の社員や労働団体は反発しそうだ》としています。特許庁は来年の通常国会に特許法改正案を提出する構えです。

 2005年の『青色LED和解で理系冷遇は変わるか』で紹介したように、中村修二氏の青色発光ダイオード訴訟が和解した結果、文系に比べ冷遇されてきた企業研究者に特許について得られる報酬の相場感が出来てきたところでした。中村氏が国際学会などの場で欧米研究者に社内待遇を話すと「お前は奴隷か」と驚かれたそうです。その後の経済成長足踏みを見ても、企業が研究者待遇を劇的に改めたとは思えません。特許が無条件で会社のものになれば研究者のインセンティブは大きく減じてしまうでしょう。

 大学については世界のトップグループに伍していける少数精鋭だけ育てて、残りは切り捨ててよいとの判断が見えます。切り捨てる大半から人件費さえ削り取って、上位大学に集中投資すれば効率的だと政府は考えているのです。

 この問題を第435回「2016年に国立大の研究崩壊へ引き金が引かれる」とその続編第437回で検討しました。2004年の国立大学独立法人化を契機にして先進国で日本にだけ特異な論文数の減少が起きている上に、追い打ちを掛ける資金配分の傾斜化志向です。背景には研究評価が十分出来ているとの事実誤認があります。

 ドイツをお手本にして海外研究者を積極的に呼び込むつもりですが、ドイツでは同じ大学での教授の昇任は法律で禁止されています。米国ハーバード大は日本と似ていて同じ大学出身者が教授になるケースが多めながら、一度は外部の研究機関を経験させます。「旧七帝大」を中心にした学閥が堅固に維持され、内部持ち上がりで教授になる日本は、目利きの部分さえも学閥依存になっているのです。疑わしい「目利き」で傾斜配分されて効率的であるはずがありません。資源小国日本が生きる唯一の道、科学技術立国は幻になるでしょう。