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原子力規制委は安倍政権の圧力に屈しつつある

 福島原発事故の反省から独立組織になった原子力規制委が政府・東電の圧力にさらされています。原発建屋を取り巻く「凍土遮水壁」に否定的だったのに一転して認めたり、厳しい地震対策を求めた島崎委員が退任です。原子力規制庁職員は原子力推進の出身省庁には戻らない「ノーリターン」を原則にしたはずが、発足から1年半の4月1日までに職員132人が出身の経済産業省や文部科学省などに戻っており、既に原則は形骸化しています。出来たばかりの規制組織が早くも疑念を持たれる有り様です。

 凍土遮水壁については第423回「行き詰まる福島事故原発建屋の遮水壁での隔離」でまとめた通り、4月の検討会は大荒れであり、日本陸水学会からも強い異論が出されていました。

 ところが、《凍土壁、来月着工へ=規制委で異論出ず−福島第1》はこう報じました。《原子力規制委員会は26日、外部の専門家らによる検討会を開き、安全性を議論した。専門家から大きな異論は出ず、予定通り6月中に着工される見通しとなった》《専門家からは「全体的には合理的と考える」と東電の説明を評価する意見も出て、座長役の更田豊志委員は「東電に一部(工事に)着手する考えがあれば、妨げるものではない」と述べた》

 朝日新聞によると「地下に配管などの埋設物がある場所については、まだ着工を認めない。建屋内の汚染水が地中に流出する危険性は、今後も検討を続ける」と一応の制限付きです。しかし、遮水壁が出来て地下水が遮断されれば原発建屋地下にある非常に高レベルの放射能汚染水が建屋周辺地下に溢れ出すのは避けられません。電気で維持される凍土遮水壁に停電でもあれば遮水機能を失い、大惨事になります。

 島崎委員退任は《規制委員に元原子力学会長ら 「審査厳格」の1人退任》でこう伝えられました。《安倍内閣は27日、原子力規制委員に田中知(さとる)・東京大教授(64)=原子力工学=と石渡(いしわたり)明・東北大教授(61)=地質学=を任命する国会同意人事案を衆参の議院運営委員会理事会に示した。田中氏は日本原子力学会の会長を過去に務め、原発は必要との立場。一方、審査が厳格だとして再稼働を求める議員らから交代を求める声が出ていた地震学者の島崎邦彦委員長代理(68)は退任する》

 原子力推進の安倍政権から圧力が掛かっているのは明白です。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー
     「《美味しんぼ》騒ぎの本質は福島県への不信任」
     第424回「福島原発廃炉は実現不能まで含めた見直しが必要」


吉田調書など証言、批判派学者に見せてこそ価値

 朝日新聞による福島原発事故・吉田調書の暴露が話題になっています。ウェブでの展開まで力が入っているのは認めつつも内容的には消化不良です。証言類は公開し原子力批判の専門家に見せてこそ値打ちが生まれます。政府に巣食っている「原子力ムラ」が公開を阻んでいるのは、公になっていない想定外のストーリーが解読されてしまうのを恐れるからでしょう。政府事故調は個人責任は問わない前提で聴取し、その後の検察の捜査も責任追及を諦めました。証言は公共の財産であり、もう隠しておく理由はありません。全てをウェブアーカイブとして国会図書館で公開すべきです。改めて申し上げたい――『福島原発事故、国家として原因不詳でよいのか』と。

 吉田調書などが闇に葬られた経緯を《原発事故調、当初は開示方針 吉田調書など全772人分》はこう伝えました。《政府事故調は聴取前の2011年7月8日に「ヒアリングは原則として非公開かつ少人数で行う。相手方が公開を了承している場合は、適宜の方法(マスコミへの公開またはこれを前提とした録画等)で行う」と申し合わせた。非公開で聴取した場合の調書の扱いについて、「供述者の特定につながる部分および供述者が非公開を希望している部分については開示しない。必要な範囲で開示する」としていた。実際には聴取も調書もすべて非公開》

 「吉田調書は全7編で構成されている。総文字数はおよそ50万字。A4判で四百数十ページに上る」中から特報シリーズはつまみ食いしています。大きな欠点は吉田所長の言い分だけを追いかけているために、津波襲来から事故が拡大して深刻な事態になった全貌が見えない点です。

 例えば最初に炉心溶融した1号機にあった、電源喪失時にも作動する非常用冷却システム「非常用復水器」についてです。《吉田氏、非常冷却で誤った対応 「思い込みがあった」》はこうです。《吉田氏の聴取を記録した「吉田調書」によると、中央制御室の運転員が11日夕にICの機能低下に気付き、冷却水不足を疑って吉田氏のいる緊急時対策室へ伝え、軽油で動くポンプで水を補給するよう促した。だが、吉田氏はICの仕組みを理解していなかったため、「水の補給」が機能低下のサインと認識できず、ICが機能している間に行う「原子炉への注水準備の継続」という指示しか出さなかった》

 事故進展の決定的大状況から外れること著しいと評すべきです。非常用復水器が作動するには原子炉からの蒸気が通る弁が開かれねばなりません。全電源喪失状況では弁を運転員が手動で開きに行かねばならないと製造元の米国で判明し、この情報は東電にも通知されたのですが、どこかで握りつぶされて現場には届きませんでした。このため現場は非常用復水器が自動的に動くと思い込んでいたのですが、3月11日夕刻、クルマからバッテリーを外して来て直流電源として接続すると弁は開いておらず、始めて弁を開きます。ここで吉田所長に中央制御室から問い合わせが行ったのです。

 交流電源が落ちても直流電源のバッテリーは8時間は維持されるはずでした。ところが、直流電源も非常用発電機と一緒に津波に襲われた建屋地下にあったために使えませんでした。夕刻まで中央制御室は原子炉のパラメーターが全く見えず、やむなくカーバッテリーを持ち込んだのでした。お粗末なことに訓練でも非常用復水器を使った経験は誰にもなく、動作に不審を持った運転員が動き出した非常用復水器の弁を間もなく閉じてしまいます。動かし続けていれば、半日程度は炉心冷却を維持できたはずであり、さらに水を補給すればもっと時間が稼げた――炉心溶融は無かったかもしれない福島原発事故最初の分岐点について、吉田調書シリーズの筆者たちは理解していないと見えます。

 新聞記者が拾い読みする程度では無理なのです。批判グループの専門家や原発の知識を持つ人たちに広く開示すべきです。「大本営発表報道」と批判されて当然だったと、当時の皮相な報道ぶり、ポイントの外れぶりが吉田調書のあちこちから見えてきます。

 【参照】インターネットで読み解く!第300回「福島事故責任は誰にあるか、判明事実から究明」


川崎病の流行ピークと中国農業改革の節目が一致

 中国北東部の穀倉地帯から来る風に運ばれる毒素が、日本で川崎病の原因になっているとの推定が国際研究チームから発表されました。中国の農業改革で生産が高まった時期と川崎病の流行ピークが合致していると判明。中国原因説を補強する傍証として注目されます。重篤スモッグの中心物質、微粒子PM2.5は肺の奥まで入り込んで体内に侵入、一部は血流に乗ると考えられます。小児血管の病気、川崎病でも毒素が同様に粘膜から侵入して心臓冠動脈などに後遺症を残します。両者も関係があるかも知れません。


 自治医科大学公衆衛生学教室の《川崎病全国調査からみた川崎病疫学の特徴とその変遷》にある罹患率推移グラフには過去3回あった全国規模の流行ピークが現れています。1979年、1982年、1986年で、そのころ中国の農村で何が起きたか調べました。1979年には中国政府が農産物買付価格を18年ぶりに大幅に引き上げました。生産の刺激策を取ったのです。最も大きなピーク1982年の元日には個別農家への請負制を認める中国共産党中央の文書が発表され、集団営農だった人民公社制度が一気に解体に向かいました。3番目のピーク1986年にかけて農産物と副産物の統一買付けと割当買付け制度廃止など生産自由化が次々に打ち出されました。

 流行ピークはその後は見られなくなるものの、小児人口10万人当たり罹患率は上がって行き、既に1982年のピークを凌いでいます。実は中国共産党が2004年から2008年にかけて再び農業刺激策を毎年打ち出します。農民収入増加促進や農業インフラ整備などで、農村に生気を呼び戻したとされます。川崎病の流行推移は中国の農業生産とリンクしていると考えてよいようです。

 国際研究チーム発表の報道で最も詳しいのが《川崎病は中国から風に乗って日本へ?》です。《川崎病は、農業の手法が同地域や世界中で劇的に変化していた1960年代に初めて報告された。「これら病原となる粒子の生成が、農薬または化学肥料によるものなのか正確に突き止めるため、より焦点を絞った調査が必要になるだろう」と、研究の筆頭著者でバルセロナにあるカタロニア気候科学研究所の気候科学者、ザビエル・ロドー(Xavier Rodo)氏は語る。また、「農業がこの病気に重要な関係を持つことは間違いない」と同氏は付け加えた》

 中国農業での農薬や化学肥料の使い方が滅茶苦茶であることは広く知られています。全国各地の土壌汚染も政府が調査結果公表を拒むほど悲惨です。第345回「中国で暴露、ぼろぼろの環境行政と水資源管理」第346回「『がん村』放置は必然、圧殺する中国の環境司法」で司法と行政が問題の表面化を阻んでいる実態を明らかにしました。中国でも川崎病がかなり発生しているのかもしれません。中国農村部は健康保険制度が無いに等しいので、農村の子は日本のようには医者にかかれないのではと疑われます。


マー君の変幻配球、打者ごとに違う攻略法で翻弄

 大リーグ開幕から無敗、6連勝のヤンキース・田中将大投手には高速で落ちる魔球「スプリット」以外にも多彩な攻め手があります。7つの球種の制球力を駆使して打者ごとに攻略法を変え、幻惑し、翻弄しています。15日のメッツ戦、7回に相手のクリーンアップを三者連続三振に打ちとった場面が象徴しているので、大リーグが公開している球の軌道自動測定システムの画面を引用して、何があったか見ましょう。日本には無い大リーグの測定システムがあって初めて田中の変幻自在な配球が目に見えるようになりました。スプリットについては第426回「分かっていて打てない田中将の魔球を科学する」をご参照ください。

 《横変化》


 3番ライトには低めの緩く遠くに流れる時速131キロ・スライダーでまずファーストストライクを取りました。2球目は逆に膝元を突く明らかなボール。3球目はその中間に沈む球144キロ・シンカーで振らせました。4球目のスプリットはストライクゾーンに入ったのに球審はボール判定。ならばと5球目に再び内角ボール球として147キロ・シンカーを投げて近めを意識させた後で、空振りした1球目よりも遠く、外角低めいっぱいに流れる137キロのスライダー――空振り三振です。これだけ大きく横方向に揺さぶられるとバットに当てることすら難しくなります。

 《時間差》


 4番の左打者グランダーソンにも低めに流れる134キロのスライダーでまずストライク。しかし、ここからは3番ライトとまるで違っていきます。同じような低めに、ぐっと遅い118キロのカーブを投げてバットを振らせます。3球目は意識して147キロの速球を高めのボール球にします。ウイニングボールはやはり低めに122キロのカーブ――見逃し三振です。時速で30キロ近い球速差があるとバットを振り出すタイミングが大きく違うために時間差が効き、球種が読めていないとバットは振れません。甲子園大会でも130キロの速球と100キロのカーブだけの高校生投手がなかなか打てない現象が起きます。

 《縦変化》


 5番ヤングにも低めの131キロ・スライダーで空振り、ワンストライクです。次はど真ん中に147キロの速球、これはファウルでたちまち2ストライク。3球目はスプリットを低く落としますが、釣られません、ボール。4球目は1球目と同じ低めスライダー、5球目は遅いカーブを外角に投げますが、いずれもファウルで粘られました。ボールにした6球目はベルト辺りに150キロの速球です。これを見せてから139キロのスプリットを真ん中低めに落としますが、これもファウルされます。最後は150キロの速球を真ん中に投じてファウルチップを誘い三振でした。縦方向の変化にはついて来られなかったので、バットの芯には無理です。

 打者はネクストバッターズサークルで相手投手の攻め方を実地に研究しているものです。それで打席に立ったらまるで違う攻略シナリオに直面して面食らうと思います。メッツ戦をテレビで見たマー君の元ボス、楽天の星野監督が「丁寧に投げとったな。要求した通りに投げてくれるんやから、捕手も楽しいやろうな」と述べたと伝えられました。この配球の巧妙さはヤンキース・マキャン捕手の大リーグ経験と知識に支えられているのは間違いありません。7つの球種でボールとストライクを自由に手繰ることが出来て、無駄なボールが無い田中ならばこそと言えます。ボールが先行してカウントを整えるのに四苦八苦しているようでは、駆け引きなど出来ません。

 15日はエース、サバシア投手の故障者リスト入りなど先発陣が崩れたチームを4連敗で止めた初完封勝利でした。ニューヨークの地元メディアから「公式救世主」とまで持て囃された田中、魔球スプリットと制球力の威力は持続しそうです。

 【参照】インターネットで読み解く!《文化・スポーツ分野》


分かっていて打てない田中将の魔球を科学する

 大リーグに渡って開幕から無傷の6連勝を飾った田中将大投手。最近は米国で投げる投手が減った高速で落ちる魔球「スプリット」が威力を発揮しています。空振りするか、引っ掛けてゴロになる仕掛けを科学しましょう。かつて活躍した佐々木投手や野茂投手のフォークボールは同じ落ちる球でも無回転なので、最近の打者は見抜いてしまいます。田中のスプリットは直球に近い高速で、しかも直球のような回転をして落ちるから始末が悪いわけです。大リーグは球の軌道を自動測定するシステムを導入、リアルタイムで見せてくれるようになりました。この日、メッツのレッカー捕手からスプリットで2三振を取った場面を切り出して引用します。


 最初の三振では高めの球から入っているのに、2回目の三振では低めから攻めています。しかし、いずれも3球目までに時速150キロ近い直球を2つ使って、速球を意識させているのは同じ手法。そして、いずれも4球目に緩い時速130キロ台半ばのスライダーです。どちらも空振り三振になる5球目では、時速141キロのスプリットがストライクゾーン真ん中から大きく落ちています。打者は直球対応で振りに行ったけれど、ボールはそこには無いのです。

 なぜ振りに行くのか、佐々木投手たちのフォークボールを取り上げた2000年の第92回「新・日本人大リーガーへの科学的頌歌」で打者の生理をこう説明しています。「バットスイング開始からインパクトまでの時間は0.17〜0.2secは要する。したがって、36m/s(130Km/h)以上のスピードのボールであれば、投手板とホームベースの中間地点にボールが到達した時点でスイングを開始しなければならない」

 例えば「2回目の三振」の2球目の直球と5球目のスプリットを軌跡で比べてください。ホームベースとの中間地点で判断がつくか――フォークボールと違って直球のような回転まで見せているのですから、極めて困難です。

 投げ方について田中自身が《田中将大「僕がスプリットをマスターするまで」》でこう証言しています。「スプリットはフォークよりも真っすぐに近いです。真っすぐの軌道から打者の手元でスッと変化すれば打ちづらいだろうと思っていました。スピードの緩いフォークは打者に見極められることも多いんですよ。フォークほど投げミスが起きないことも大きいです」「投げ方はフォークのように抜く感覚ではなく、ストレートに近い。腕の振りも同じ意識で、ボールを真下にたたきつけるイメージです。大事なのはしっかりと腕を振ること」

 直球はバックスピン回転で揚力を得ていますから重力に逆らって落ちません。スプリットは回転しながらも微妙に少ないのでホームベースまで来て落ちてしまいます。田中は2010年にスプリットの握り方を覚えて、その微妙さを鍛えてきたのでしょう。大リーグで8試合58回を投げて奪三振66、与えた四球はわずかに7だけと精密なコントロールを誇ります。無敗、連勝記録はまだまだ伸びそうです。

 【参照】インターネットで読み解く!《文化・スポーツ分野》

 【追補】イチローの「レーザービーム」送球がフロックでないと実感する「あり得ない」送球プレイです。《思わず「うわ、すげー!!」と歓声をあげちゃうイチローのミラクルスロー》


「美味しんぼ」騒ぎの本質は福島県への不信任

 小学館発行の漫画「美味しんぼ」にある鼻血描写などに福島県が風評被害助長と抗議しました。漫画の行き過ぎ感にメディアは同調しますが、事態の本質は過去3年間、福島県の放射線への取り組みに対する不信任です。この3月まで県は「10マイクロシーベルト/hを超さなければ健康に影響を及ぼさない」との主張をホームページに掲げ続けていたのです。このような放射線被曝に極度に無神経な行政に信頼できる健康調査が出来るのか――市民側の不信感が結果として漫画に反映されたと理解するべきです。環境省も「事故では、鼻血や疲労感に一定の影響が出るほど被曝した人はいないと県の調査で分かっている」と擁護しますが、漫画の主張はその根幹への疑問です。

 3年前、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーだった山下俊一氏が講演で「100マイクロシーベルト/hを超さなければ、全く健康に影響及ぼしません。ですから、もう、5とか、10とか、20とかいうレベルで外に出ていいかどうかということは明確です」と語りました(第278回「説明責任を果たさない政府・東電・メディア」参照)。あまりに乱暴にすぎたので、後始末として《質疑応答の「100マイクロシーベルト/hを超さなければ健康に影響を及ぼさない」旨の発言は、「10マイクロシーベルト/hを超さなければ」の誤りであり、訂正し、お詫びを申し上げます。ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ありません》との訂正になっています。


 《トップページ(Home) > 組織別 > 知事直轄 > 広報課 > 東日本大震災関連情報 > 原子力災害情報 > 福島県放射線健康リスク管理アドバイザーによる講演会》にある画面で、県はこの3月末にこっそり削除しましたが、米インターネットアーカイブに保存されているものを証拠として出しました。今年2月13日にロボットが収集しています。福島原発事故発生直後から福島県が被曝影響にどのような予断を持っていたのか明確に示しています。3年間、修正もされずに生きていました。

 この文脈なら抗議に対する週刊ビッグコミックスピリッツ編集部の釈明「事故直後に盛んになされた低線量放射線の影響についての検証や、現地の様々な声を伝える機会が大きく減っている中、行政や報道のありかたについて、議論をいま一度深める一助となることを願って作者が採用したものであり、編集部もこれを重視して掲載させていただきました」は理解しやすいでしょう。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー
     第381回「福島原発事故、国家として原因不詳でよいのか」
     『福島原発事故の無為で告発さるべきはマスメディア』


国民性悪説に至った韓国メディアと反省なき日本

 旅客船沈没事故に地下鉄追突事故、当然の責務を誰も果たさない現実に韓国メディアは国民性悪説に至りました。遅すぎる「発見」ながら福島原発事故での大本営発表報道から脱却しない日本よりは救いがあるかもです。20日あまり報道をウオッチして風向きが完全に変わったと感じられたのが、ふたつの有力紙、朝鮮日報の《【社説】「いつも通り」の虚偽記載》と、中央日報の《大韓民国は「災難民国」…不正構造が「危険社会」の主犯(1)》の訴えです。

 旅客船「セウォル号」での積載貨物や救命設備の安全点検報告が慣行による虚偽記載で、公的な運航管理者が現場確認したことがない事実をベースに朝鮮日報はこう主張します。

 《韓国国内で航行する他の船はどうだろうか。セウォル号だけが特別で、他の船ではすべて安全点検がしっかりと行われているのだろうか。船舶だけではない。韓国国内で多くの人が集まる大型の施設で作成される安全点検関連の報告書は、もしかするとセウォル号と同じく全くの虚偽ではないだろうか。今回の悲惨な事故をきっかけに他の船舶はもちろん、地下鉄、空港、ガス、原子力発電所など、国民の安全と直結したあらゆる施設において改めて安全点検を行うべきだろうが、その前に、これまで提出された安全点検の報告書や内部の慣行をまずはチェックする必要があるのではないか》

 一方、中央日報は専門家からの談話としてかく断じます。《「ドイツは危険な科学技術を使うが、よく整備された先進国型の危険社会」とし「しかし韓国は危険な科学技術を使いながらも整備されていない後進的危険社会」と述べた。続いて「ドイツのように構造的な不正がほとんどなく、よく整備された社会でも、現代科学技術自体に内在する危険を除去するのは難しいというのが、ウルリッヒ・ベック氏の危険社会理論だが、韓国はここに不正構造まで蔓延した『悪性危険社会』になった」と批判した》

 大統領まで含めて誰のミスかと論じていたのでは、職業倫理総崩れの現実に追い付かなくなったのです。興味深いことに中央日報の「文化スポーツ部門次長」署名入りの《【コラム】私はマニュアルを無視していた=韓国(2)》はメディア人ですら社会のマニュアルを尊重しない精神構造を持つと告白します。待機放送を信じて沈んでいった高校生に合わす顔がないと気付きます。

 セウォル号をウオッチしたBM時評『沈没事故に見る韓国の総無責任、秩序国家は無理か』と、信号機故障4日間放置を指弾した『韓国で列車に乗るな:信号機の世界共通則を破る』をご覧いただけば、韓国社会の安全システムが破綻したのではなく、元からきちんと構築されていないのだと理解されるでしょう。

 日本のメディアには3月に『福島原発事故の無為で告発さるべきはマスメディア』で苦言を呈したばかりです。韓国のように皆が悪かったと気付く初歩段階を、日本はとっくに過ぎています。国家存亡に関わるほどの事故に対し取るべき責任は取らさねばならないのに、大本営発表報道で主体性を失ってからメディアは逃げています。原発志向の安倍政権になってますます酷くなっています。第381回「福島原発事故、国家として原因不詳でよいのか」と改めて申し上げねばなりません。


韓国で列車に乗るな:信号機の世界共通則を破る

 旅客船沈没事故で国全体が総無責任と知らしめた韓国が鉄道事故でも驚くべきポカを演じました。信号機で世界共通則を破る設定をし、毎日点検しながら4日間も発見できず――伏魔殿の国の列車に乗ってはいけません。率直な意見として沈没船に丸2日間も救助の船室侵入が出来なかったよりも、もっと恥ずかしい醜態です。聯合ニュースが配信した状況図《ソウル地下鉄2号線追突事故 当時の状況》を以下に引用します。


 トラブルで止まっていた先行列車に続く後続列車に出た信号が時間的順に「青(進行)」「青(進行)」「赤(停止)」だったために運転士の急ブレーキが間に合わなかったとの説明です。直前に青信号が並んでいたので列車自動停止装置(ATS)が作動しなかったといいます。信号機の故障なんてありがちだと思われたら世界の鉄道関係者は怒り心頭でしょう。大量輸送機関として人命を預かる要の信号システムに「何でもあり」は認められません。

 鉄道の信号は次に進む区間の信号が「赤(停止)」ならば最低でも「黄(注意)」でなければなりません。「青(進行)」が来ることは絶対に無いのです。ATSの設計側だって、この共通則が破られるなんて想像もしません。

 中央日報の《<ソウル地下鉄追突>地下鉄2号線、信号故障のまま4日間運行(1)》はこう伝えました。《ソウル市関係者らは信号機故障の理由を付け加えた。「先月29日に運転士の要求で乙支路(ウルチロ)入口駅にあるポイントレールの速度条件を変えるため連動装置のデータを修正し信号に問題が発生したものと把握されました」。当時の作業過程で信号システムと関連したデータも一緒に変わってエラーが発生し信号機に問題が生じたということだ。該当区間を通過する1日550本の列車が4日間にわたり同じ事故の危険にさらされたまま運行されたという話だ》

 《セウォル号沈没の惨事から18日目に実状を表わした大韓民国の首都ソウルのずさんな安全管理システムだ。ソウル市はセウォル号沈没の翌日である先月17日から30日まで地下鉄も特別点検をした。特に信号機は日常的な点検対象だった。しかし毎日のように行われた点検でも信号機のエラーは発見されず、4日間も故障した状態で放置され今回の事故が起きたのだ》

 俗に「お前の目は節穴か」と言いますが、このような「日常点検」をしている鉄道に完璧を期待するのは間違いです。顕在化しないだけで、どこに間違った設定が潜んでいるか、該当ケースになって事故が起きてみなければ誰にも分からないでしょう。

 旅客船セウォル号の事故でBM時評『沈没事故に見る韓国の総無責任、秩序国家は無理か』を書きました。安全軽視と聞いてはいたけれど、ケーススタディをすると、これでよく国家として成り立つと思えました。これから韓国旅行の方は交通機関への信頼は地に堕ちていると覚悟されるべきです。


福島原発廃炉は実現不能まで含めた見直しが必要

 NHKスペシャル「シリーズ廃炉への道」放映など福島原発事故の後始末が動き出すと伝えられます。始末をつける前提なのに、実は廃炉不能の可能性大です。起きる事態を予め網羅せず突っ走る愚は避けねばなりません。事故当事者の東電にすれば廃炉の工程を粛々と進めるしか考え付かない事情は分かります。しかし、炉心溶融はしても原子炉圧力容器の中で済んだ米スリーマイル島原発とは違い、格納容器に広く溶融燃料が分散してしまった福島で燃料回収処理が完了すると楽観する研究者が多いとは思えません。溶融燃料が格納容器を突き抜けている可能性すらあります。国が廃炉庁のような組織を設けて、二段構え、三段構えで想定廃炉工程が無理と判明したら方向転換する局面に備えるべきです。


 東電が4月に公表した「中長期ロードマップ進捗状況(概要版)」から1号機の状況を切り出し、引用しました。スリーマイル島原発は加圧水型でしたから制御棒は炉心上部から挿入でした。福島原発は沸騰水型のため炉心上部が使えず制御棒は圧力容器の底に穴を開けて通していました。炉心溶融が起きるとこの穴が脆くも貫通して溶融燃料(燃料デブリ)が格納容器の底に落ち、図では中央に固まって描かれていますが、どろどろになって広がったと考えられます。

 溶融燃料は現在でも崩壊熱を出し続けているために所在不明のまま注水して冷やしています。一方で1〜3号機建屋の地下から1日400トンの地下水が浸入、汚染水を増やしています。東電の廃炉計画はこの地下水を遮断する作業も重要なステップになっています。しかし、第423回「行き詰まる福島事故原発建屋の遮水壁での隔離」で紹介したように、この段階から疑義が出ています。

 計画通りならば遮水壁として半世紀も強固に維持されなければならないのに、年間数十億円もの電気代を投じて造るマイナス30度凍土による遮水壁には長期実績がありません。来月にも着工としていたのに、原子力規制委は着工を認可しない構えです。

 朝日新聞の《(耕論)廃炉の現実 山名元さん、佐藤暁さん、竜田一人さん》は「1〜3号機の原子炉内で溶けた燃料(燃料デブリ)も、6〜7年以内に取り出し始める計画です。工程表には廃炉を達成できる根拠が示されていない、という批判もあります。しかし私は技術屋として、それぐらいの時間があれば必ずできると信じています」と述べる楽観的な体制派研究者・山名元氏から始まります。しかし、詳しく聞くほどにボロが出る展開です。

 元原子炉メーカー技術者・佐藤暁氏は進められている冠水方式について「格納容器の鋼板は薄く溶接だらけで、腐食も心配です。原子炉建屋5階の高さまで水を蓄え続けるには強度が乏しく、この選択肢は早く捨てたほうがいい。冠水に成功したとしても、溶けた燃料を取り出す前に多くの炉内構造物を取り除かねばなりません」と、NHKスペシャルの冠水工程ありきに最初から疑問符です。NHKスペシャル出演の米国側経験者も日本の廃炉は非常に困難と言っています。

 「3.11」の翌日に書いた第244回「福島第一原発は既に大きく壊れている可能性」にある「原発正門付近での放射線量推移グラフ」を見ていただけば歴然です。1号機が水素爆発を起こす前の段階で放射性物質が大量に漏れていた証拠であり、冠水させようとしている格納容器は炉心溶融の熱と圧力でぼろぼろになっているはずです。東電の考えている単純路線で突っ走って代替の手段や方策なしでは大きな禍根になるでしょう。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー