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2014年はタブレット主流、パソコン文化変貌も並行

 タブレットPCが急速膨張して2014年にはPC類世界販売の過半を占めると予測されます。モバイル市場で影が薄かったインテルまで新チップで大攻勢です。便利な「お仕着せ端末」が自作PC派を淘汰する日が迫っています。ネット閲覧や電子書籍で有利なアップルiPadやアンドロイドタブレットだけでなく、マイクロソフトオフィス搭載のWindowsタブレットが8インチなら400グラム前後の重さ、4万円余りで続々と登場するのですから、持ち運びの良さを考えるだけで重いノートPCは顔色を失います。

 TechCrunchの《2014年にはついに台数でタブレットが従来型のPCを抜く…Canalysの調査報告書より》は「売上台数でもタブレットがPCを抜く臨界点が近づいてきたようだ。そのときには、今のPCよりも安くて可搬性に優れたタブレットが、いわばデファクトのPCになるのだ。調査会社Canalysによると、2014年には全世界で発売されるPC類の50%がタブレットになり、トップはAndroid機でタブレットの総発売量の65%(1億8500万台)を占める」と伝えました。

 2013年のタブレット世界出荷は1億8400万台になるとも報じられていますから、来年までタブレット前年比5割増しが継続していくとの予測です。「2014年にタブレットがPC類全体の50%とは、発売台数では2億8500万台となる。そして2017年には、この数字は3億9600万台になる」そうです。

 PCプロセッサの支配者だったのに、モバイル市場では片隅に追いやられていたインテルが大方針転換して市場に送り出した「Bay Trail」と呼ぶ新チップが一方の主役です。このチップを使ったタブレットだけで4000万台を新たに売ろうと計画されています。激安タブレットを売っている中国勢も来年は一段上の製品を狙うと見られ、上級機まで競争が激しさを増します。使い方も広がり下の写真はベルリン・フィルのデジタル・コンサートホールを台所に置いたタブレットで楽しんでいる例で、良質のヘッドフォンさえあれば好きな場所をAVルームに出来ます。


 こうした中でZDNetの《PC時代に終止符を打とうとする者たち》はパソコン文化が様変わりしてしまう明日を予見しています。「PCの販売は減少の一途をたどっている。もう増加に転ずることはない。その理由は、われわれがタブレットやスマートフォンを好んでいるからというだけではない。ほとんどのベンダーが、PCではなくクラウドベースのクローズドなアプライアンスにわれわれを移行させようと(しかもできるだけ早く)しているのだ」

 気がつけば自作PCのためのパーツ類選択の幅は狭まり、値段も上がっています。汎用パソコンの時代は終わり、便利に機能特化したお仕着せ端末時代が見えて来ました。これから大学に入る学生たちの大多数には自作PCなど無縁でしょう。便利に使えていれば善いものの、マシンの中でどう動いているのか全く見えなくなれば、パソコンのイメージそのものが変貌します。薄くて軽い端末とネット上とのデータやり取りで結果が手に入るパソコン文化――現在以上にブラックボックス化してしまうでしょう。第335回「スマホ等でTV録画を寝床見する楽しさ広げたい」を書いて感じた便利過ぎる危なさを思い出します。


線量限度に一国二制度、帰還住民はモルモットに

 福島原発事故の避難民帰還を迎えて法定の線量限度年間1mSvが曖昧にされようとしています。マスメディアは政府の設けた土俵で議論し、個人線量計を付けさせた帰還が法の保証が無いモルモットと見えないのです。線量計を1年間着用して例えば1mSvに収まったらそれでオーケーとの発想がそもそも異様です。線量計を付けるのは職業人の被曝対策であり、一般公衆の線量限度は普通に生活して十分クリアする環境を放射線障害防止法が整えていると解すべきです。そうでない環境に帰還させるならば、現行法体系が適用されない場所であると明確に説明すべきです。年間20mSv以下になったら帰還させる政府方針は完全に一国二制度なのです。どうしても帰りたい人はリスクを知った上で帰るしかありませんし、帰らないで移住する権利もあるとはっきり言わねばなりません。

 原子力規制委員会が20日にまとめた「帰還に向けた安全・安心対策に関する基本的考え方」は「公衆の被ばく線量限度(年間1ミリシーベルト)は、国際放射線防護委員会(ICRP)が、低線量率生涯被ばくによる年齢別年間がん死亡率の推定、及び自然から受ける放射線による年間の被ばく線量の差等を基に定めたものであり、放射線による被ばくにおける安全と危険の境界を表したものではない」とするだけで、法定線量限度である点に触れません。緊急事態後の防護の最適化では「長期的な目標として、年間1〜20ミリシーベルトの線量域の下方部分から選択すべきであるとしている。過去の経験から、この目標は、長期の事故後では年間1ミリシーベルトが適切である」と長い目で見る立場です。

 放射線障害防止法のどこを読んでも「年間1mSv」は出てきません。この法律は放射線源施設の認証基準をそれぞれ規制していって、外にある一般社会での線量を一定以下に落とすよう出来ています。法第十二条の三「認証の基準」は文部科学大臣らに省令で定める技術基準で認証するよう求めています。それに基づく施行規則第十四条の三には「当該申請に係る使用、保管及び運搬に関する条件に従つて取り扱うとき、外部被ばく(外部放射線に被ばくすることをいう。以下同じ。)による線量が、文部科学大臣が定める線量限度以下であること」とあります。そして、文部科学省の「設計認証等に関する技術上の基準に係る細目を定める告示」で「文部科学大臣が定める線量限度は、実効線量が一年間につき一ミリシーベルトとする」となっているのです。

 国際放射線防護委員会による勧告と日本国内での法定化は意味が違います。法律である以上、国民は国や自治体に法を守るよう求める権利があります。原子力規制委の帰還に向けた提言は、法が通用しない帰還地域で個人線量計を付けてもらい、被曝の評価に使うというのです。空間線量から計算した数値よりも個人線量計は低めに出るので安心できる面があり、また、帰還後の行動と線量を照らし合わせることで危険な場所が明確になるでしょう。しかし、それは帰還民をモルモットにする結果になると、なぜ気付かないのでしょうか。

 「3カ月で1.3mSv」を超える場所は放射線管理区域として規制されています。立ち入る関係者は線量計を付け、飲食は禁止で、業務が終われば速やかに退出しなければなりません。福島県外ではこのように運用されているレベルの汚染環境で、食事をし寝る日常生活が営まれる事態が帰還地域では発生するでしょう。いや、現に福島市などのホットスポットでは除染しても放射線管理区域並の場所が多く残ります。そこで生活しているのに眼をつぶってきたゴマカシがさらに広がるのです。第325回「浮かび上がる放射線棄民にマスメディア無力」(2012/10/21)で指摘したようにマスメディアも共犯関係にあります。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


使える存在に動く電子図書館、11県の地域発信型も

 電子図書館という夢が少し現実味を帯びてきました。理想はどこにいても利用できる巨大ネット図書館ですが、既存図書館での電子書籍拡充が本格化しそうですし、11県から地域図書の無料ネット配信が始まりました。青空文庫のように著作権切れを待つのでは、もどかしくて堪りません。公共のサービスとしてもっと良質な提供が望まれます。わたし個人は図書館に行かなくても自宅のパソコンから図書館の電子書籍が読める大阪市立図書館電子書籍を1年ほど使っていて、下にその利用トップ画面を引用しておきます。


 ここで読める和書は1000タイトルほどです。一般受けする本はあまり多くなくて少し専門指向に振れた書籍がほとんどと見受けます。その限りで時々思い出しては使っています。一部ページの印刷も可能です。「公立図書館の電子書籍サービス状況」によれば現在、全国で21図書館があり、読むための携帯用端末を貸し出しているところもあります。大阪市の自宅アクセスは珍しいタイプになります。

 そこへ大日本印刷、日本ユニシス、図書館流通センターに丸善が組んで、10月に「クラウド型電子図書館サービスを刷新、図書館と生活者の利便性向上へ」を打ち出しました。クラウド型なので新たにサーバーやシステムを用意する必要がなく、ネットで結んで直ぐにサービスが始められます。既に1万タイトルが提供できると言い、「2014年4月に予定されている札幌市の図書館システム更新に併せ、第1号ユーザとしての採用が予定」されています。今後5年間で300図書館に広げようと目論みます。

 図書館の形態ではありませんが、「Japan ebooks」のシステムを利用して秋田から宮崎まで11県がそれぞれ各地域関連図書を無料で発信しています。これも電子図書館の仲間には十分入ります。始まったばかりなので自治体の広報誌や観光ガイドの類が多いものの全部で3000タイトルを超します。例えば香川県で「うどん」を検索すると23件が見つかり、「さぬきうどん百店満点」のような実用ガイドもあります。地域の特産グルメには全国的には知られていない、こだわりの存在があり面白そうです。

 「インターネットで読み解く!」で第6回「文書の電子化から電子図書館へ」を書いたのはグーグル検索登場以前の16年も前です。夢の実現は遅々としていると改めて思いますが、今年になって『書籍流通に大波乱か、非破壊スキャン機が登場』という事態になっています。図書館で本を借りて気軽に電子化してしまえる時代に至って、従来の著作権偏重で良いのか、お金儲けより多数に読んでもらうことを重視する著作者もいるのですから新しい手法が登場して良いころだと考えます。


大気汚染も法治化も解決遠い中国の新改革方針

 中国共産党が習近平政権下で打ち出す改革方針を決めた「三中全会」の全貌が明らかになりました。経済面では自由化に動くとの見方があるものの、注目の課題、大気汚染も法治国家化も真の解決にはほど遠い印象です。三中全会决定には労働教養制度を廃止するなどの具体的な改善が盛り込まれている一方で、新設される国家安全委員会のきな臭さが暗雲漂うように見えます。警察、司法、軍、外交部、宣伝部門を集中管理して国家の安全を保つとは、警察国家として締め付けるという意味ではないかと考えられます。三中全会を前にして起きた「テロ事件」の再発を許さない、不満を封殺する体制こそが狙いでしょう。

 「市場による価格決定の仕組みを整備」や「民間資本の中小型銀行設立を許可」などが自由化の柱です。一人っ子政策の緩和も労働教養制度廃止と並んで改革の目玉として報じられました。しかし、現在の国家と社会の枠組みはいじらないと決めたようです。戸籍に都市籍と農村籍があって、農民は都市に出稼ぎに出て、子どもが出来ても教育や福祉のサービスを受けられません。戸籍制度は維持したままにし、地方の中小都市に出ることは進めますが、大都市の人口管理は厳格化がうたわれています。

 旧ソ連の「収容所群島」に対比される人間の尊厳を奪い強制労働させる労働教養所は廃止になります。人民日報の「決定要旨」では人権司法保障制度を改善し「拷問による自供の強要や体罰、虐待を厳しく禁じ、違法な証拠は排除するという規則を厳しく実行」とした上で「労働教養(労働を通じた再教育)制度を廃止し、違法犯罪行為に対する処罰と矯正の法律を改善し、地域社会における矯正制度を整備する」とあります。拷問禁止など額面通りなら素晴らしいのですが、代わりになるシステムを整備する点が警察国家化ではないかと恐れます。

 今年になってネット言論の規制が強化され、大学で言論の自由など教えてならないと制限されました。《「党崩壊」強まる危機感=安定・改革へ集権体制−習総書記就任1年・中国〔深層探訪〕》が《ネット上での言論統制は一層強くなり、「(反体制的な言動で)習総書記就任後1年間で拘束された活動家らは、胡錦濤前政権の後半5年間の人数を大きく超えた」(人権活動家)という》と伝えているように、中国社会全体が自由化・民主化よりむしろ労働教養所化の方に向かっていく前触れが存在します。

 国民生活を脅かすまでになった大気汚染に関しては次のようですが、具体的ではありません。「全体会議は、エコ文明の建設のためには、系統的で整ったエコ文明制度体系を構築し、生態環境を制度によって保護しなければならないとした。自然資源資産の財産権制度と用途管理制度を整備し、生態保護のためのレッドラインを引き、資源の有償使用制度とエコ補償制度を実行し、生態環境の保護管理体制を改革する必要がある」

 もう一つ関連して、経済成長第一だった官僚の考課制度を資源、環境、生態、健康、エネルギーなどに基いて見直すとされました。重篤な大気汚染は無謀な経済成長第一主義が招いた点は「『中国は終わった』とメディアはなぜ言わない」で指摘しました。これを改める必要性は中国共産党も感じているものの、13億人を食べさせていく、富ませていく前提が変わらない以上、打つ手は限られますし、改善効果も知れています。重篤スモッグを早期に克服するには、成長どころか生産量を減らすなど非常な痛みが伴いますが、そんな泥をかぶるつもりはないようです。

 【参照】インターネットで読み解く!「中国」関連エントリー


円安が輸出増加に結び付かぬ9月貿易統計の衝撃

 アベノミクスがもたらした円安で輸出は順調に回復と思い込んでいたら9月貿易統計が冷水を浴びせました。見かけの輸出額が前年比11.5%増えても、輸出数量は1.9%のマイナス。産業弱体化が深刻な様相です。大幅な円安なので同じドル建て輸出を日本円に換算したら輸出金額が膨らむのは当然です。問題の数量で見ると自動車を中心にした輸送用機器や化学製品は好調ですが、日本が得意としていたはずの電気機器や一般機械が足を引っ張っています。大和総研の「9月貿易統計」から「海外景気と輸出数量、貿易収支」グラフを引用します。


 主要な先進国の輸出がリーマンショック前の水準に戻ったのに日本の輸出数量は回復せず、昨年、一段の下落を経験しました。アベノミクスが発動されても僅かな持ち直しでもみ合っている状況で、海外景気の波から外れて沈んだままです。「輸出数量指数を季節調整値で見ると(季節調整は大和総研による)、前月比▲1.2%と、2カ月ぶりの低下となった。地域別に見ると、EU向けが増加したものの、米国向けおよびアジア向けの減少が全体を押し下げた。欧州の景気底打ちを受けて、EU向けの輸出数量についてはこのところ持ち直しつつある。一方で、米国向け、アジア向けの輸出数量が伸び悩んでおり、輸出数量全体としては概ね横ばい圏での推移となっている」

 内閣府から10月末にマンスリー・トピックス「輸出の増勢に一服感がみられる背景について」が出されています。比較的順調だった8月までのデータしかありませんが、輸出数量指数の品目別分析が見える「輸出数量指数の要因分解(地域別、品目別)」グラフを引用します。


 電気機器や一般機械がしばしばマイナス要因になっていることが見て取れます。「品目別寄与をみると、鉱物性燃料の輸出が3月から5月にかけて一時的に急増してプラス寄与となる一方、電気機器の輸出が6月及び7月にマイナス寄与となっている。また、輸送用機器は2012年1月にプラス寄与が大幅に拡大し、それ以降は緩やかな伸びとなっているものの、一貫して増加に寄与している」

 このリポートは地域別にも「輸出数量の持ち直しの動きが緩やかになった背景」を検討、「中国については、日本が優位性を保っていた電気機器や輸送用機器などがこのところ相対的に低迷」「アメリカについては、大手自動車メーカーの主要車種の生産が2013年春ごろから現地に移管され始めたことに伴い自動車の輸出台数・同関連部品のシェアが低下傾向にある」「タイについては、自動車・同関連部品における日本のシェアが高いため自動車初回購入支援策終了の影響を受けやすかった」など、日本側の低迷理由をあげています。工場海外移転による空洞化もやはりあります。

 2011年末の『底は打った貿易収支、残る余裕を再建に生かせ』で心配した経常収支の赤字が急速に迫ってきています。9月の経常収支は5873億円の黒字でしたが、これは円安メリットで海外子会社が多額の本社送金をした結果であり、本当は1252億円の赤字でした。貿易外の所得収支に頼れる期間は短そうです。輸出数量の回復・拡大が出来なければ国債の国内消化が危ぶまれるようにもなります。未だに実効性がある政策を打ち出していないアベノミクスで株高になったと浮かれている場合ではありません。成長戦略を真剣に考えねばなりません。

 なお、比較資料としてドル円為替レートと輸出数量指数の詳細グラフを付けておきます。




1日400トンの放射能汚染水が150トンも増える

 福島原発の放射能汚染水は問題が収束するどころか破綻に向かっています。東電に汚染水のタンク漏れを抜本的に改善する能力がなく、タンクエリアに降る雨水が汚染水と化して、1日150トンも増える試算が公表です。炉心溶融を起こした原子炉3基の建屋に流れ込む地下水1日400トンをどう減らすかが焦点になっていたはずが、逆に大幅に増えるのです。タンクからの漏洩を止めてエリアをクリーンに保てれば雨水はどんどん流せば済むだけ。『汚染水流出で明らかになった東電1カ月放置の怠慢』で「怠慢」と指摘したのは間違いでした。実際は東電の「無能」でした。9月16日のタンクエリア全ベータ放射能汚染地図を再び掲げます。


 福島民報の《地下貯水長期化の恐れ 第一原発汚染雨水 漏えい不安抱え》は健全性・安全性が確認されていない地下貯水槽に汚染雨水が長期に保存される危険性を訴えています。しかし、「東電の試算では、排出基準を上回り貯蔵の必要がある汚染雨水は年間約5万5千トン。1日当たりに換算すれば150トンにも達する」点こそ、核心ニュースです。東電にはタンクエリアをクリーンにする能力が無いと自ら認めているからです。汚染水を収容するタンクは現在以上のペースで増え続け、漏洩も増え続けるのです。

 「東電は緊急対策として、全ての貯蔵タンクに雨どいを設置する方針を固めた。円柱状のタンク上部をシートで囲み、たまった雨水はせきの外に排出する。だが、タンク側面などに当たる雨は、せきに入るため効果は限定的だ」と東電側の対策が伝えられています。これは根本的に間違っています。タンクエリアの基盤は厚そうに見えても透水性のコンクリートであり、問題になるレベルの汚染水が貯まっていれば地下に浸透して放射能汚染を拡大していきます。第379回「原発後背地のタンク漏洩続出で収拾計画に困難」で指摘したように、致命傷になる恐れがあります。タンクを造るなら漏れた時の受け皿を用意するのが工学的な常識であり、それを東電が欠いていた異常さが問題を大きくしています。

 ここに至ってタンクエリアをクリーンに保てる自信が無いのならば、現在の安普請タンク群を放棄して正常に運営できる正規の構造のタンクに切り替えるしかありません。漏洩場所を早期に見つけて原因を潰していく地道な作業が東電の現場作業陣に期待できないのですから、回り道でも一番オーソドックスな安全なタンク新設と汚染水移転を急ぐべきです。最早、東電任せの時ではないと申し上げます。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


インド大気汚染さらに悪化、危険過ぎるPM2.5とPM10値

 中国と並んで大気汚染が重篤な国インドでもさらに深刻度が増しています。デリー首都圏で微粒子物質PM10が先週、大気1立方メートル当たり1940マイクログラムを記録、インド環境基準の20倍に迫る恐るべき値です。中国・ハルビンでPM2.5が1000マイクログラム記録と並ぶ凄まじい汚染です。この空気を多数の人が肺に取り込んでいると考えると空恐ろしい気分です。「1940」を記録したアナンド・ビハールの4日朝、リアルタイム大気質指標(AQI)を以下に引用します。(追補あり=5日夕、PM2.5が1020マイクログラム記録)


 アナンド・ビハールは首都圏東部の交通の要衝です。この時点の指数「999」はPM10が高濃度過ぎて「指数振り切れ状態」です。PM2.5で見ても500マイクログラム級です。右側に出ている場所も同じ重汚染の首都圏内であり、PM2.5で300〜500マイクログラムですから、北京での重篤スモッグと同等と見てよいでしょう。

 ウォールストリートジャーナルの2日付「デリーの危機的な大気汚染問題」がインド現地で書かれていて、これまでの経緯を報じています。昨年の11月も酷い汚染に見舞われてPM10は「1000」に達し、今年は首都圏に6カ所のリアルタイム観測地点が出来ました。PM10「1940」は10月31日朝に測定されました。

 深夜まで爆竹を鳴らすお祭りがあった朝方は特に酷くなる傾向です。しかし、昼間の時間帯にリアルタイム大気質指標を覗いてみても重汚染状態は同じです。増加している自動車の排気ガスが問題になっており、悪質なクルマには罰金を課しましたが、焼け石に水状態です。この季節、コメの収穫後に農民が稲わらを燃やしてしまう問題も大きいようです。抜本的な対策には至っておらず、「誰もが有害と認めるのに、誰も行動しようとしない」状況と言います。

 統治機構が中国に比べて弱いインドの状態は昨年、第313回「インドの大失速が理解できる材料が出そろう」で紹介しました。また、第355回「大気汚染による中国とインドの健康被害深刻」で2010年の研究ではインドでは外気よりも家庭空気汚染の方が健康被害に効いているとしましたが、デリー首都圏全域の汚染状況がここまで深刻化しているなら見方を変えねばなりません。

 【追補:PM2.5が1020マイクログラム】5日夕、デリー首都圏は強烈なスモッグに覆われているようです。リアルタイム大気質指標は次のようになっており、アナンド・ビハールのPM10はやはり「999」と振り切れ状態です。同地点午後8時の観測値でPM10が「1554マイクログラム」、PM2.5が「1020マイクログラム」(インド環境基準の17倍)と恐るべき数値が出ています。インディラ・ガンディー国際空港(IGI Airport)ではPM2.5が700マイクログラムもあり、ここで指標最低値が600を超えていては逃げ場がありません。指標値とマイクログラム数はこれくらい高くなるとほぼ同じとみてよいでしょう。観測網はこちらのサイトです。


 【参照】インターネットで読み解く!「インド」関連エントリー


西日本各地でPM2.5による重汚染の異常事態

 中国発の微粒子物質PM2.5が2日午後、大気1立方メートル当たり200マイクログラム前後と西日本各地で戸外活動中止すべしの「重汚染」状態を起こしています。国内の環境基準「35」超過地点も200カ所を超えています。環境省などの測定データを使っている「PM2.5まとめ」から福岡・柳川の過去24時間推移グラフを引用します。午後6時現在の環境基準超過は全国1037地点の中で関東・東北まで235カ所です。


 最も長い時間、異常なPM2.5値が継続しているのは柳川市大字今古賀の測定ポイントです。午後1時に「197」を記録、100マイクログラム超えを維持したまま午後6時に「191」となっています。午後5時に岡山・早島で「231」を記録、富山・高岡でも「117」です。「300」前後の重篤スモッグが常態化している北京ほどではないものの、「200」に迫る状態が長く持続は国内では非常に珍しい事態です。環境省は2月に、早朝に85マイクログラムを超える日は健康に影響する1日平均で70マイクログラムを超える恐れとの暫定指針をまとめましたが、今回はこの想定をはるかに超えています。第388回「PM2.5発がん性認定、お座なりの日中政府に痛撃」で指摘したように甘く見てはなりません。