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北京大気汚染に真正面から向き合っていない中国

 北京でまたも最悪の大気汚染が発生。実はニュースにされなかっただけで重篤なスモッグは夏場も頻発していました。5年で改善との計画は打ち出されましたが、事態の深刻さにきちんと向き合っていないと指摘します。端的な例を挙げると、人民日報電子版で北京の天気欄は「今日は天高く空気爽快」といった調子の記事ばかりです。よく見るとところどころ数日に渡り記事がありません。その期間こそスモッグが発生していたのです。スモッグは日本の研究チームによれば的確に予測できるのですから、天気欄記事は市民にスモッグ対策するよう注意を喚起する役割を果たすべきなのに、文字通り臭いものに蓋をして平然としています。北京の米国大使館が測定した今回のスモッグデータを引用しておきます。


 9月半ばの人民網日本語版《国務院:全国の大気汚染を5年で改善》によれば、北京を中心にした河北地域のPM2.5濃度を25%引き下げる計画が公表されました。《民生分野の「石炭からガスへ」、排ガス基準を満たさない車や旧式車の排除などへの政策支援を強化》が柱になっており、北京からは旧式設備の中小工場が移転させられます。しかし、《行動計画は経済・社会発展と環境汚染の改善を促進する効果を果たす。経済的にはGDP成長を2兆3900億元押し上げ、うち大気汚染対策関連の環境保護産業の生産額は1兆元以上増加する見通しだ》と経済成長に繋げているのに呆れました。

 重篤スモッグが今年なぜ顕在化したのか、《中国各都市の人口爆発、地域別の格差縮小が解決策か》を見て腑に落ちました。《北京市統計局が17日に発表したデータによると、2005年に1538万人だった北京市の定住者は12年に2069万3千人に達した。わずか7年間で530万人以上増加したことになる》

 これだけの人口が急激に増えれば環境負荷増大は絶大です。経済成長のペースはほとんど落とすつもりはないとされていますから、北京の人口増加はこの調子で続くのでしょう。7年で34%増加の実績なら、今後5年で25%前後でしょうか。PM2.5濃度を5年で25%引き下げる計画の背後で25%の人口増加があるなんて、計画目標が達成されるとは到底思えません。中国政府は人間を含めた環境・生態系のダイナミズムをナメていると申し上げておきます。この夏、第373回「中国大気汚染が高濃度で関東から西日本を覆う」で汚染大気の越境ぶりを伝えました。改善は見込めそうにありません。

 【参照】「インターネットで読み解く!」
     第374回「対岸の火事でないPM2.5、抜本的な浄化支援が必要」
     『中国は終わった』とメディアはなぜ言わない
     第343回「中国大気汚染の絶望的な排出源構成と規制遅れ」
     第345回「中国で暴露、ぼろぼろの環境行政と水資源管理」


結婚も離婚後も危うい非正規雇用の給与格差

 国税庁の民間給与実態統計調査が初めて正規雇用と非正規雇用を区別して公表されました。非正規雇用男性の平均年収は225万円で結婚の壁とされる300万円を大きく下回り、非婚化傾向に拍車をかけているのは明白。非正規の女性平均年収143万円も大きな問題をはらんでいます。結婚した3組に1組は離婚する状況が定着している中で、シングルマザーとして子供と生活できないレベルだからです。正規雇用へ戻すことが難しいならば、同一労働同一賃金の原則に従って非正規雇用収入の底上げを目指すべきです。無原則な雇用流動化は進めるべきではありません。

 国税庁の「平成24年分民間給与実態統計調査結果」は、給与所得者でも民間企業に勤める人を対象にし、日雇いで給与を受け取る労働者は除外しています。役員を除く正規従業員の平均年収は467万円(男性520万円、女性349万円)。非正規では168万円(男性225万円、女性143万円)でした。それぞれの所得者数は正規が男性2080万人、女性931万人、非正規が男性293万人、女性694万人です。


 年収300万円の壁を焦点にした『結婚離れは非正規雇用増の結論避ける厚生労働白書』に対応する男性年収データをグラフにしました。厚生労働白書は300万円で区切って、それ以下の男性の既婚率は10%を下回っているとしました。しかし、今回調査が示す非正規平均225万円は300万円を大きく割り込んでいます。非正規雇用の割合は過去10年間で全体の30%が36%に拡大しました。リーマン・ショック以降の平均給与全体の落ち込みに非正規化が寄与しているはずです。これでは結婚・子育ては難しいでしょう。規模もここにある293万人にとどまらず、日給制の労働者まで含めた幅広い問題です。

 第339回「夫婦3組に1組は離婚時代定着。米国は2に1」で2000年以降、国内の婚姻と離婚の件数比が35%前後に定着していると分析しました。米国の50%までにはなりませんが、離婚によるシングルマザーの発生は大きな問題になっていきます。離婚した男性側が養育費をきちんと払わない傾向が強いこともあり、女性が自立出来る環境を整備しなければなりません。非正規女性694万人には若い層も含まれますが、結婚後に離婚した場合、正規職に就くのはますます難しいでしょう。

 【参照】「インターネットで読み解く!」「人口・歴史」分野


揚げ物・炭水化物だらけ米学校給食を縛る二重の貧困

 米国の学校給食写真を各地の高校生が公開、揚げ物・炭水化物だらけぶりに食の質を問う声が上がっています。この高カロリー食、家庭で十分に食べられない多数の子供には命の綱になっている貧しさが裏側にあります。日本人の感覚からは食事ではないとも見える米国給食を変えていくにはネット上の公開は有力な手段です。若者の非営利組織「DoSomething.org」が音頭をとっている行動が持続するならば本格的な変革が来るかもしれません。ネットの世界は昨年、9歳の英国少女が世界から大量アクセスを集めて地元の給食を変え、募金を募ってアフリカの子供への給食支援に発展したケースを知っています。

 ランチの写真をアップしようと呼びかけているページは「SHOW US YOUR SCHOOL LUNCH」、その写真をハフィントンポストの「The Sad State Of School Lunch In The U.S. (PHOTOS)」が紹介して、2000件近いコメントが付いて議論になっています。そこから写真を引用します。


 ジャンクフード給食から抜けだそうとする動きが2010年にありました。英国の学校給食改革をしたシェフ、ジェイミー・オリヴァーが米国の地域社会に力を貸し、大統領夫人ミシェル・オバマが児童の肥満撲滅キャンペーンに乗り出しました。上の写真を見る限り、あまり効果が上がっていないようです。添えることになっている野菜類は貧弱です。ハフィントンポストの記事は米農務省からのデータとして2100万人の生徒が無償あるいは低価格のランチに1日の主要な食を依存しているとし、学校が供給しているカロリーは65%にものぼるとしています。週末に十分に食べられず空腹で登校する子供のために、月曜日はお腹の張るスパゲッティとかにするシェフがいるようです。

 写真には引用しませんでしたが、ハンバーガーやピザは主流中の主流派です。現地に暮らす日本人母親のブログ「フライドポテトは生野菜!? 米国の学校給食事情は理不尽!」はフライドポテトを生野菜に認定してしまうニュースが気になって学校の出す献立をチェックします。「正直、落ち込みました。次女の通う小学校では、なんと1カ月のメニューに6回もピザの日がありました。しかも、その中の数日にいたっては、朝ご飯にピザ! その他にも、ホットドッグやら、ハンバーガーやら、チキンナゲットやら……。ファストフードと変わりません(涙)」

 ハフィントンポストのコメントには学校の現場にいる方から「きちんと野菜も付けている。この写真集はミスリードになる」との批判がありました。写真投稿はまだ続いていて、希少ながら模範的な給食例を見つけたので引用します。メインは肉入りソースのかかったパスタにパン、煮野菜の大きな皿と生かピクルス風野菜が添えてあり、デザートに果物、そして乳飲料です。比べると最初の写真の貧しさが際立ちます。




不思議論議の法人減税、メディアの批判精神どこへ

 消費増税と同時実施の法人税減税分の使い道を企業に公表させ、賃上げに回すよう促すとの朝日新聞1面記事は不思議に過ぎます。減税分を庶民に回すには複雑手順は不要です。消費税率上げ幅を下げれば済むだけです。自由に使えない減税分をもらう企業側も迷惑でしょう。大規模大衆増税に本来慎重であるべきマスメディアが政権と結託して増税をあおっている今回の成り行き。連立政権の一方、公明党代表まで法人税減税に疑問符をつけているのに、メディア本来の批判精神が働かないとは落ちるにもほどがあります。

 朝日新聞の《減税分の使途、企業に公表要請 政府方針、批判回避狙う》はこうです。《政府は、これから決める法人税減税の恩恵を受ける企業に対し、減税分の使い道を公表するよう要請する方針を固めた。政府は来春の消費増税と一緒に法人減税も行う方針だ。「消費増税したお金を企業優遇に回している」との批判をかわすため、減税分のお金を賃金に回すよう企業に促す狙いがある》

 70万社ものお金の使い方を誰がどうチェックして、さらにどのように公表するのか、と考えただけでも非現実的だと判断できます。何が何でも企業減税がしたい安倍政権だから、このような本末転倒、倒錯した議論が語られるのです。

 震災復興のための法人税率上乗せを1年早く打ち切ることで法人減税への道筋がついて、日経、朝日と8%への増税が確定したかの報道が続いています。日経は編集委員に《「個人には消費増税を課し、企業には法人減税を施すのは不公平だ」と批判してばかりもいられない。企業の負担軽減は個人のためでもあることを忘れてはならない》とまで言わせています。

 しかし、公明党の山口那津男代表はウォールストリートジャーナルの《法人税率引き下げに慎重―山口公明代表インタビュー》で「(消費増税の実施で)広く国民に負担を求めるわけだ。同じタイミングで法人税の実効税率を下げるとか、あるいは復興増税を前倒しでやめるとか、法人の負担を軽くするということになると、結局は国民一般の負担で法人を優遇するというふうに理解されかねない」と指摘しました。

 連立政権を担う片方の党がここまで異議を唱え、「公明党軽視」と不快感を表明しているのに、既成事実のように主要メディアが伝えるのも異常です。日本のメディアの習性として官僚からリークを貰って事態を進展させる取材手法が行き過ぎた例でしょう。「それは世間一般からは認めがたいですよ」と投げ返すべきなのです。昨年7月の『余る税金。増税への疑問が言えぬ大手メディア』で復興増税が必要だったか、疑問を投げました。個人増税分は引き続いて払わせて、法人分だけ前倒しで止めるとの今回合意を見て、メディアが疑問を提起しないのが不可解でなりません。

 【参照】インターネットで読み解く!「安倍」関連エントリー


無管理同然、汚染水漏れ疑惑タンクが一気に拡大

 台風による雨水がタンクエリアの堰を越える事態になったおかげで、東電がしてきた管理は無かったも同然と判明、汚染水漏れ疑惑が一気に拡大しました。どんなに強弁してもコントロール下にあるとは認められません。読売新聞の《汚染水、1年8か月間流出の可能性…東電発表》が気になって、発表資料を探した結果、16日付け「福島第一原子力発電所各タンクエリア堰内溜まり水の全ベータ放射能分析結果(簡易測定)について」に行き着きました。主なタンクエリアの測定結果図を引用します。


 読売記事では「この計4区画のせき内の雨水には、ストロンチウムなどの放射性物質が1リットル当たり17万〜2400ベクレル含まれ、国の放出基準値(同30ベクレル)を大幅に上回っていた」とあります。しかし、実際には4区画以外にも放出できない30ベクレルを超す区画だらけで、430、200、160、140、110ベクレルが並んでいます。この図にある12区画で溜まり水に問題が無いのは3区画だけです。

 今回の漏洩騒ぎが表面化するまで、東電は漏洩の有無をタンク液量の変動だけでチェックしていたと説明しています。放射能レベルをタンクごとに一々測定するのをサボっていたわけです。それでいて区画を囲む高さ30センチの堰の排水弁は開きっぱなしにしていました。雨が降るたびに漏れた高レベル汚染水は洗い流されていたと考えられます。漏洩騒ぎで排水弁が止められ、台風の大雨で堰が越される事態になって各区画の放射能が測られたのです。

 台風が通過した16日の排水路測定データが「福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果 (南放水口・排水路)」で発表されています。タンクエリアの下流部は320ベクレルなどと高いですし、排水路が外洋に出る直前の地点は130ベクレルと国の放出基準を完全に超えています。

 溜まり水のレベルが低かった区画も問題が無かったとは断定できません。漏洩が少量で多くの雨水で薄まった可能性があります。全部のタンクを真剣に測定し直すべきです。第380回「五輪国際公約した以上、汚染水の安全な移転を」で提言したように、愚劣な管理しか出来ていない現在のタンクエリアを引き払うのが正解だと考えます。原子炉建屋などの地下水問題に全力を注ぐべきなのに足を引っ張られています。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


福島原発事故、国家として原因不詳でよいのか

 予測されていた福島原発事故の不起訴処分に、国家として原因不詳でよいのか、改めて問いたいと思います。いくつもの事故調が違った結論を出し、放り出されている現状は「原子力ムラ」の意志なのかもしれません。検察は大地震、大津波ともに予見不能だったと大括りの説明ですが、どこかに事故原因を定めて責任者の追及を始めたら結論が違う事故調から異論の鑑定が出てくるのが確実では公判が維持できないと考えたでしょう。責任者を出さないと決めていた原子力学会や原子力ムラ政府官僚がほくそ笑む展開です。これほど影響が大きい大事故ならば原因をピンポイントで究明してシステムを改善するべきところを、原子力規制委による新規制基準は事故調報告を参照もしない安全システムの大風呂敷展開でかわしています。全てが曖昧模糊になっているようでは、現代屈指のテクノロジー国家として失格だと敢えて申し上げます。

 朝日新聞の《原発捜査、尽くしたか 「なぜ誰も責任問われぬ」 東電前会長・菅元首相ら全員不起訴》は次のように伝えています。

 《検察は東電幹部らへの聴取とともに、地震や津波の専門家からの聞き取りに重点を置いた。専門家数十人から聴取するなどした結果、マグニチュード(M)9・0だった東日本大震災の発生は「政府機関の予測よりエネルギーで11倍、震源域も数倍以上で、専門家らの想定を大きく超え」ており、「全く想定されていなかった」と結論づけた》《また15・7メートルの試算についても検討した。根拠となった政府機関の予測自体が「専門家らの間で精度が高いものと認識されていたとは認めがたい」とした上で、「最も過酷な条件設定での最大値」「専門家の間で一般的に予測されていたとは言い難い」と主張。「(刑事責任を問うには)漠然とした危惧感や不安感では足りず、具体的な予見可能性が必要」と説いた。通常、予見可能性が認められなければ対策をとる義務も生じない》

 ここまでは通常の刑事処分の考え方ですが、原発には全電源喪失の過酷事態になってもまだ動く最後の命綱が存在します。最初に炉心溶融した1号機なら非常用復水器だし、2、3号機には別の装置があります。『恐ろしいほどのプロ精神欠如:福島原発事故調報告』にあるように、当時の運転チームは誰ひとりとして非常用復水器を動かした経験がありませんでした。これさえ順調に運転できていたら福島原発事故は軽微なトラブルで終わった可能性があります。しかし、津波主因説の政府事故調と違い、国会事故調は地震主因を唱えていて津波襲来以前に非常用復水器に異常が発生したと考えます。

 13日付の神戸新聞《福島第一元作業員の「遺言」詳報 東電、信用できない》にある次の部分に該当です。《最初の揺れはそれほどでもなかった。だが2回目はすごかった。床にはいつくばった。配管は昔のアンカーボルトを使っているから、揺すられると隙間ができる。ああ、危ないと思ったら案の定、無数の配管やケーブルのトレーが天井からばさばさ落ちてきた。落ちてくるなんてもんじゃない。当たらなかったのが不思議。4階にいた人たちは水が大量にゴーと襲ってきたと言っていた。それが使用済み燃料プールからなのか、非常用復水器が壊れたからなのか、そのときは分からなかった》

 このような現場の証言と事故事象の推移がきちんと付き合わされることなく放置されたままです。このままでは予測できない大地震と大津波が来て大事故になったとの「外形的事実」しか残らないことになります。創造的な洞察力を欠いているのが原子力ムラ官僚である点は第334回「原発事故責任者の1人と自覚が無い安倍首相」の政府対応から察しがつきます。政府対応が大失敗だった福島原発事故から学ぶ教訓無しと、むしろ忘れたいのでしょうか。第347回「無傷で終わる可能性が十分あった福島原発事故」で班目原子力安全委員長ひとりの知恵さえ生かせなかった経過を描きました。このままでは次の危機にも失敗を繰り返す恐れが大です。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


結婚離れは非正規雇用増の結論避ける厚生労働白書

 思案投げ首でいいのか厚生労働白書、と言いたくなります。若者が結婚しなくなっている現状を各種調査でくどくど分析するのですが、非正規雇用が拡大し結婚の壁、年収300万円を越せない点を明確に言わないのです。いかに安倍政権が雇用流動化を指向していようと、結論が出ている傾向ははっきりさせねばなりません。さらに、この現状でも若者に結婚してもらい、人口減少に歯止めを掛けたいのなら、子ども手当などの支給を飛躍的に増やして子育て費用の心配を解消する施策を打ち出すしか策は無いのです。今年の白書からグラフを2点引用します。




 若い世代が年収300万円以下では既婚率が10%もない点と、15〜34歳男性で正規雇用と非正規雇用の有配偶率の比が4倍にもなる格差が読み取れます。引用は《平成25年版厚生労働白書 −若者の意識を探る−》からです。このグラフにはありませんが、賃金構造基本統計調査2012年版を見ると、非正規雇用男性の平均年収は20代後半で197万円、30代前半で216万円になっています。結婚観や恋愛論など副次的な要因はあるでしょうが、大きな傾向は年収不足から発しています。

 ドイツも日本のように出生率低下に悩んでいます。『涙ぐましい努力をしても報われることのないドイツ〜託児所、育児金、子供手当て・・・でも出生率は上がらない』を読んで、日本よりも子育て支援が遥かに手厚いのに驚きました。例えば月額2万4000円の子ども手当が「0歳から19歳未満のすべての子供に適用される。しかも、子供が18歳以上になっても独立せず、大学へ行ったり、職業訓練中であったり、インターンや社会福祉ボランティアに従事していたりする場合は、25歳まで延長される」といった具合です。託児所不足も法律を作って本格的に手が付けられました。

 しかし、この程度の手厚さでは足りないのです。日本の現状など論外です。第368回「生涯未婚率は男35%、女27%にも:少子化対策無力」で出生率を人口維持水準まで回復させているフランスやスウェーデンなど欧州諸国との違いを取り上げています。家族関係社会支出の現金支給・現物支給が対GDP比で、日本は3分の1しかありません。

 第378回「日本に続き中国も超特急で超高齢社会へ突入予定」で65歳以上の老年人口の15〜64歳の生産年齢人口に対する割合が4割を越し、5割も間近いと示しました。非婚化と少子化の勢いを止める必要があるならば手を打たねばなりません。ところが、今回の厚生労働白書のように無為無策で政府は時を過ごしてきました。


五輪国際公約した以上、汚染水の安全な移転を

 IOC総会での安倍首相説明には嘘がある――福島原発事故をウオッチしてきた眼には明らかです。しかし、国際公約してしまった以上、安全なタンクを造って汚染水を早急に移転してしまう緊急措置が欠かせません。政府は原子炉建屋周辺を囲む遮水壁建設と汚染水浄化を打ち出しましたが、タンクについては眼をつぶっています。お手軽に作られた地盤の上にある1000基ものタンクは大きな地震には耐えられないと見られます。倒壊や配管破断があれば千トン単位で直接、海に流出するでしょう。タンク群がある原子炉後背地の汚染拡大は収拾計画全体を崩壊させる恐れがある点も合わせ、正規基準に則った安全なタンク新設と汚染水移転を急ぐべきです。これから何年もの間、問題を起こす大きな地震が来ないと考えるのは楽天的に過ぎます。

 安倍首相の「(福島第1原発の)状況はコントロールされている」説明と合わせて、菅義偉官房長官が記者会見でした現状認識にも問題があります。《【トンデモ発言】菅義偉官房長官「福島県においても年間被曝量は1ミリシーベルトの100分の1以下」「汚染水の影響は福島第一原発の湾内だけ」》が文字起こしをしています。放射線管理区域以上の汚染地域があちこちにある福島の現状を知らないかのようです。

 IOC総会プレゼンは時の方便と割り切ったのではなくて、安倍政権の首脳部は本当にこのように思い込んでいる恐れがあります。支えている官僚たちがどのような説明を上げているか、透けて見えます。現状がをシビアに伝えられていれば記録に残る形でこんな愚かな説明はしないでしょう。『福島原発事故収拾が破綻している現状に気付け』で指摘した通り、今回の汚染水騒ぎ以前から、事故の収拾体制は機能していません。

 サイエンスの世界で一目置かれている英「ネイチャー」誌が5日付で論説を掲載、それが『9月5日付けのネイチャー誌の社説「Nuclear error」を日本語にしました。』で和訳されています。タンク周辺の高レベル汚染について《単なる「異常事態」として始まったはずの漏洩が、結果的には本物の危機となってしまったわけです。日本は、ここで海外の専門家に助けを求めるべきです》と厳しい認識を示しています。

 海外に援助を求めるべき理由として、日本政府の情報公開姿勢を疑っているほか、第三者による測定などが無い現状を憂い、《国際的な協力の下で進めていくことで、一般市民の、事態の調査と危機回避に対する不信感を和らげていくことが出来るでしょう》と説いています。日本における原子力推進・批判両派の専門家による対立と、結局は場当たり主義の東電任せになっている現状についても理解されているようです。ただ、日本政府の体質として、このような開かれた対応は難しく、正規タンク新設で汚染水漏洩問題をリセットする方が現実的だと考えます。壊れた4つの原子炉の方に困難が山積しています。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


東電汚染水危機の本質は資金不足でなく管理能力

 政府は福島原発の汚染水対策で470億円(今年度予備費210億円)投入を決めました。根本的な誤解があるようです。東電に足りないのは資金ではなく、本質的に危険な原子力施設を世界標準の安全性で管理する能力です。技術的難易度が高い遮水壁などは国が資金負担で前面に立つ方針は、この間の経緯を政府が理解していなかったと証明しています。原発建屋周辺を囲む遮水壁さえ造れば一息つける段階を超えつつあると、第379回「原発後背地のタンク漏洩続出で収拾計画に困難」で指摘しましたし、次の福島民友の報道で東電管理能力の悲惨さを思い知らされました。

 8月22日の点検で線量が毎時100ミリシーベルトと発表したタンク漏洩場所を、31日には1800ミリシーベルト確認とした問題について「タンクで最大1800ミリシーベルト 計4カ所で高線量」はこう伝えます。「すでに高い線量が確認されていた2カ所のうち最大毎時1800ミリシーベルトを確認したタンクは8月22日の点検作業の際、線量は毎時100ミリシーベルトと発表。当時の線量測定機器の計測値の上限は100ミリシーベルトだったが、今回の点検では上限1万ミリシーベルトの機器で測定したところ、数値が18倍に跳ね上がった。前回調査時にも毎時1800ミリシーベルト前後だった可能性があり、東電の管理体制の在り方があらためて問われる状況だ」

 線量計が測定上限を超えた状況と報告され、「そうですか。線量は毎時100ミリシーベルトですね」と納得して報道発表する管理者が日本にいるとは信じられません。普通なら「調べ直せ」と直ちに指示します。測定担当者が記入数値に窮して「測定上限超え」の但し書きを書かずに毎時100ミリシーベルトにしたというのも、さらに信じられません。本当のところは外部からはうかがい知れませんが、東電の原発職場が危険な原子力を扱うに足る職業倫理を持っていない点だけは、明確に判断できます。福島原発事故は起きるべくして起きたとの思いを強くします。

 政府は現地事務所を設け担当者が常駐、東電や地元と連携を強める方針ですが、無意味でしょう。もう一度、過去の指摘を繰り返さざるを得ません。第377回「現状把握が出来ない東電に代わり政府廃炉本部を」で述べた通り、危険な施設を管理統括できる能力が無い東電に代わる執行機関を置いて、強力に指揮運営するしか道はありません。原発後背地のタンク漏洩では新たに最大毎時2200ミリシーベルトの放射線量を計測との報道があります。次々と想定外が現れる泥沼に陥る前に、問題点を掌握し切る必要があります。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


原発後背地のタンク漏洩続出で収拾計画に困難

 タンク漏洩は目視検査で放射能は測っていなかった――次々に現れる高汚染漏洩に唖然となると同時に、原発建屋後背地まで汚染してしまうと、建屋周辺だけ遮水壁で隔離すればよいとする収拾計画が狂い始めました。建屋の直ぐ山側で掘ったバイパス井戸の汚染レベルが上がったと伝えられ、ここから地下水を汲み上げて建屋地下への流入を減らす対策を難しくする恐れが出てきました。まだ漁業関係者などからの了解は得ていませんが、「汚染前の地下水」として海に放出することが前提になっているからです。建屋群と12あるバイパス井戸とタンク群の位置関係は下の図の通りです。


 原発建屋後背地にはびっしりと汚染水タンクが立ち並んでいます。東電が始めた放射能測定はまだ一部に過ぎません。東電の「H4エリアの漏えいに係わる汚染土壌調査・地下水モニタリング計画について」によれば、タンクの下は20センチのコンクリート層と厚さ1メートルの地盤改良層だけです。コンクリートに耐水性はなく、漏れた汚染水が地下水へ浸透する恐れが強いと考えられます。(上図はこの資料から引用)

 東電が出す資料を読んでいくと、高いレベルの放射能汚染水を絶対に漏らさないぞ、と考えてタンク群を作ったようには見えません。既に報じられている安普請はタンクの接続部を溶接しなかっただけでなく、設置している基盤や周辺部にも見られます。毎日400トン増える汚染水対策として、福島原発事故から2年半「取りあえず」を積み重ねてきただけです。後背地汚染がさらに続けば、建屋周辺で計画されているように遮水壁で大規模に隔離する事態に発展するでしょう。

 タンク外側で毎時1800ミリシーベルトの高線量検出まで進むとは信じられない思いです。第377回「現状把握が出来ない東電に代わり政府廃炉本部を」での指摘を繰り返さざるを得ません。非難さるべきはこれまで放置してきた政府です。「構内全域で放射線量の記録をする程度の実務能力にも欠けている東電に代わって、モニタリング体制の構築からやり直さなければなりません。そんな細かい実務指示までスタッフが手薄な原子力規制委に委ねるのは不可能ですから、別の執行機関が必要です」

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー