<< May 2013 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
 
Latest Entry
Profile  Facebook
Dando's Site
Category
Search

Archives
Recent Comment
  • 9/29で『Blog vs. Media時評』サイトは閉鎖
    KI (08/31)
  • 危機の現状に対策が噛み合わぬ科学技術基本計画
    次のノーベル賞か? (08/13)
  • やはりノーベル賞大隅さんの警鐘を無視した政府
    森田 (06/19)
  • 自主避難の根拠は放射線障害防止法の下の平等
    宮本由香里 (05/15)
  • 社会の鏡インターネット検索、20年目にして危機
    森田 (05/08)
  • 社会の鏡インターネット検索、20年目にして危機
    業界人 (05/06)
  • 社会の鏡インターネット検索、20年目にして危機
    あ (05/05)
  • 科学技術立国崩壊の共犯に堕したマスメディア
    森田 (04/23)
  • 自主避難の根拠は放射線障害防止法の下の平等
    (04/08)
  • 京大さん、日経さん、ネット調査信頼は無茶
    (01/16)
Recent Trackback
Admin
   
Mobile

安倍政権が嫌いな雇用安定こそ少子化対策の核心

 少子化対策を検討している政府の有識者会議が報告書をまとめたとの報道に唖然としました。結婚を増やすには正規雇用を増やして雇用を安定させるしかありません。安倍政権が狙う雇用流動化こそ少子化促進です。報告書が重視する結婚の後に来る妊娠・出産の支援、子育て支援は確かに必要ですが、まず多くの未婚者に結婚してもらわねば話になりません。この報告書は一番の基本について何も考えない欠陥品です。

 昨夏にリリースした第314回「非正規雇用にある男性の半分は生涯未婚か」で以下のグラフを「平成22年社会保障を支える世代に関する意識等調査」から引用しました。


 グラフにある非正規雇用40代男性の未婚率45.7%は、国勢調査で得られているデータを勘案すると実際には50%を軽く超えると考えられます。この世代が今後、結婚する可能性はとても低く、生涯未婚のままで終わりそうなのです。正規雇用40代男性の未婚率15.1%との差は歴然です。本当に少子化対策を考えるならば、非正規雇用が3分の1にも達した実情から出発すべきです。

 NHKの「少子化対策の報告書まとまる」はこう伝えました。《報告書によりますと、「わが国は、社会経済の根幹を揺るがしかねない『少子化危機』ともいうべき状況に直面している」として、「子育て支援」と「働き方改革」の強化、それに「結婚・妊娠・出産支援」の3本の矢で緊急対策を推進するとしています》

 話題になっていた女性手帳の配布など、少し事情に通じていれば少子化対策に効かないと分かります。《「働き方改革」では、企業に対して、役員や管理職への女性の登用を進め、その状況を開示するよう働きかけるほか、男性の子育て参加に向けて、長時間労働の抑制や多様な働き方の導入を促進するとしています》とか、非正規雇用が若い世代では2分の1にもなっている現状からは虚しい議論です。安倍政権は労働者を解雇しやすくし、労働市場の流動化を図ろうとしているのですから、有識者会議は背後から鉄砲を撃たれていると知るべきです。

 【参照】インターネットで読み解く!「生涯未婚」関連エントリー


巨大地震予測報道に読み手のリテラシーが必要

 政府の地震調査委が南海トラフ巨大地震の確率を30年で60〜70%としたのは衝撃的です。昨夏には中央防災会議が最大死者数32万人にも及ぶ大被害を想定したからですが、読み手は冷静になる必要があります。東日本大震災が発生したために「想定外」は避けたい思いが研究者にも強まっています。確率的に低い事象でも「起きない」との決めつけは避けるようになっています。こうなると報道の断片だけをツマミ食いして、繋ぎあわせてはいけません。


 地震調査委の「南海トラフの地震活動の長期評価(第二版)概要資料」から引用した、この地域での地震歴史図です。1361年に起きた正平地震から後を主に検討しています。この年には東海地震と南海地震が時間差を置いて発生しました。図で立てに黒い棒が入っている地震は同時発生ではなく時間差があった地震です。斜体の数字は地震の間隔年数です。

 1361年以降は100から150年の間隔で地震が続いていて、1944、1946年の昭和地震は規模が小さかったので次の地震が早まる恐れがあるとみられています。30年以内に高確率で起きると考える根拠は、30年後が昭和地震から100年になるからです。一方、南海トラフの全域、東海から四国、日向灘までが連動した超巨大地震は1707年の宝永地震です。東日本大震災をも上回る規模で、これに匹敵する地震は2000年くらい前に起きた可能性が浮上していますから、頻発するものではありません。

 時事通信の《今後30年で60〜70%=南海トラフ巨大地震の確率−「切迫性高い」と政府調査委》が「従来は東海、東南海、南海のエリア別に評価してきたが、連動する可能性もあるため、南海トラフ沿いのどこかで巨大地震が起きる確率を公表した」「南海トラフ全域で地震が起きた場合、最大でM9.1と想定したが、過去に起きた証拠がなく、M9.1に限った確率は計算できなかった。ただ、大幅に低くなるという」と伝えた意味が、上の歴史図を前提にすると理解しやすくなります。当面はマグニチュード(M)8クラスの心配をし、超巨大地震も頭の隅には置いて欲しいのです。

 昨年8月の「南海トラフの巨大地震による津波高・浸水域等(第二次報告) 及び 被害想定(第一次報告)について」は被害想定が甚大で、強烈な印象を残したと思います。被災の中心地域が異なると被害規模が変わりますが、大枠では全壊と焼失の棟数が94万〜238万、死者が3万〜32万人と恐ろしい数字でした。しかし、「この『最大クラスの地震・津波』は、現在のデータの集積状況と研究レベルでは、その発生時期を予測することはできないが、その発生頻度は極めて低いものである」と明記されていた点を忘れてはいけません。

 原発のように大事故を起こしてしまうと復旧不能な施設は強力な予防策を施すべきです。しかし、市民生活のレベルでは実感できる範囲で防災策を積み上げていくしかありません。マグニチュードが「1」大きいとエネルギーは約32倍にもなります。M8級とM9級との差は非常に大きく、あまりにも巨大な被害を想定してしまうと、対策が放置される事態を恐れます。

 【参照】インターネットで読み解く!「地震」関連エントリー


医師数過小県は国民健康保険料が高く二重に損

 新たに更新された医療関係の統計を眺めるうちに奇妙な傾向を発見。西高東低といわれる、医師数が少なすぎる県ほど国民健康保険料が高くなっています。医療サービスが悪いほど保険料が高い最悪のパターンです。国民健康保険料が高いのは首都圏、静岡から岐阜までの東海各県です。1人当り医療費は医師数にほぼ比例しているので医師が少ない該当県はぐっと少な目になっており、医療費負担が保険料を押し上げているのではないようです。

 以下のグラフでは、国民健康保険料は1世帯当たりの医療給費分と後期高齢者支援分を足した年間金額です。「国民健康保険実態調査 平成23年度調査結果の概要」にある「表12 都道府県別、平均所得、平均課税標準額及び保険料(税)調定額」から採りました。介護分が別にあるので実際にはもっと多額です。人口当たり医師数は「平成23年(2011)医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」にある「病院の都道府県別にみた人口10万対常勤換算医師数」を使いました。


 グラフの真ん中、京都以下沖縄まで西日本は医師数が多くて世帯保険料が安くなっています。グラフ上半分では、関東・東海だけ保険料が軒並み15万円を超え、東京を除けば人口当たり医師数が貧弱です。東北は医師数が西日本ほど無いものの保険料も控え目で、北陸3県は西日本パターンです。

 厚生労働省の地域差分析を見ると、国民健康保険料には地域的な癖があるようです。関東は収入に比例する分を多く、東海は均等割の部分を多く徴収する構造と読めます。いずれにせよ関東・東海は医師数が足りなくて医療サービスに欠けます。1人当り医療費は関東は26〜28万円しかなく、36万円前後が当たり前の中四国・九州とは比べ物になりません。それで保険料が高いのは、医療費が低めだったために組織や制度の合理化が遅れている恐れがあるか、他の財源から援助が少ないのかも知れません。

 【参照】インターネットで読み解く!「医療」関連エントリー


進まぬ除染、見直す司令塔不在で時と金を空費

 福島原発事故発生から2年余が経過して除染が計画の5%しか進んでいないとNHKが伝えました。放射線量低減効果が疑わしいところが多く全体計画を見直すべきなのに、国には補助金で急がせる考えしかありません。除染して避難住民を帰還させる、あるいは現在の居住地を年間1ミリシーベルト以下の水準まで下げることが現実的に無理ならば、考え方を変えねばなりません。虫食い状態で高線量地域が残れば町として機能しなくなる恐れがあり、無駄に除染費用を投じるより住民の判断で移住を選択するべきです。除染を担当している環境省には戦略転換をする権限はありません。

 NHK「除染の実施地域は対象の5%以下」はこう報じています。「これまでに除染が行われたのは、国が担当する地域では235平方キロメートルのうちおよそ9平方キロメートルと、全体のおよそ4%、市町村が担当する地域では、対象の住宅38万戸余りのうち、およそ1万9000戸と、全体の5%以下にとどまっていることがNHKの調査で分かりました」

 「除染が行われても、放射線量が基準とされる値まで下がらないところが多いことが、NHKが入手した福島県内の21の市町村のデータを分析した結果、明らかになりました。データは、除染後の各住宅周辺の放射線量の平均を『地区』ごとに取りまとめたものです。それによりますと、放射線量が、基準とされる年間1ミリシーベルト、1時間当たり0.23マイクロシーベルト未満にまで下がらなかったのは、43地区のうち33地区と、77%に上っています」

 市町村が除染の計画を立てて実施に入って少なくとも1年以上は経過しています。復興庁は4月中旬、除染と道路の復旧工事を同じ業者に委託できるようにして効率化するなどの施策を発表しましたが、除染そのものの費用は2012年度予算で3721億円、13年度予算案で4978億円に過ぎません。徹底的に実施すれば数十兆円、数百兆円とも言われる膨大な費用を最初から想定していません。東電が費用を負担する建前から、民間企業として破綻させないとすれば無理です。

 2011年9月にリリースした「除染に期待が持てない福島市渡利地区調査結果」で通常の除染には期待が持てず、破壊・再建が必要になるとしました。《除染モデル事業は通学路の安全確保を意図して実施されましたが、「『除染』の前後で空間線量は平均して68%に低減したが、半分以下にもなっておらず、除染とは言えない。依然として子供らの通学路は1〜2μSv/hにあり、場所によっては 4μSv/hに達したままである。除染作業の実態としては堆積した泥を取り除いたということに尽きる模様である。アスファルトやコンクリートが汚染しており、除染するにはこれらも取り除く必要がある。また、道路に面する住宅の庭やコンクリートブロックについても除染/取り除く必要がある(これは街の破壊を意味する)」と厳しい現実を指摘しています》

 現実に実施されている除染作業は屋根や壁なら洗い流すだけであり、汚染物質が溜まりやすい雨樋すら交換することがありません。再除染を求める声が自治体から上がっていますが、同じ手法をとれば結果は変わらないでしょう。

 チェルノブイリに詳しい菅谷昭・松本市長が「政府、汚染の深刻さを未だ理解せず」でこう主張しています。「国は、除染に過度に期待しすぎていると思う。安全レベルまですべてを除染するためには、恐らく数十〜数百兆円がかかるのではないか。特に福島県は土地の7割が山林であり、その山を完全に除染するためには木を根こそぎ切り落とし、岩肌がすべて見えるほど徹底して行う必要がある。そんなことは無理だろう。さらに平地でも、政府は表土を5〜10cm取り去れば除染効果があるとしているが、それでは到底追いつかず、例え20cm削ったとしても、チェルノブイリの高汚染地域では25年経っても住めないことが分かっている」

 「除染は必要ではあるが、除染とはお金がかかる割りに効果は十分得られないということだ。中途半端に除染しても元のようには戻らず、結局、自然に放射性物質が無くなるのを数十年以上かけて待つしかない。それなのに数年で帰還させるような指示を国のトップが出すということは、やはり、政府は汚染状況がいかに深刻なのかがわかっていないのだ」

 効果が出ない除染待ちで避難住民の時間は無為に過ぎていきます。福島市や郡山市などの都市部でも放射線管理区域相当の高汚染地域に住民が住み続けています。ちょっとやそっとの除染では年間1ミリシーベルトに下げることが出来ないところが多いと判明した現在、時間と費用の空費は止め、どうすべきか考え始めるべきです。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


鳥インフルエンザ終息に向かうも死者情報隠し

 中国の鳥インフルエンザが流行終息に向かいつつあるようです。しかし、WHOに報告されたグラフから死者情報が隠されてしまい、中国のことだから情報隠しがまだあるのではと疑われ、スッキリしません。中国本土の感染者は131人、死者は33人。退院した人が少なくて感染者の半数はまだ入院中、つまり重症であり、今後、死者となっても表に出したくない意図が透けて見えます。


 5月9日に集計された発症日が判明している感染者のグラフ(原資料)です。第359回「鳥インフルエンザ、死者減れど重症化が深刻」に掲載した以下のグラフと比べれば死者の情報が消し去られています。


 5月に入って患者発生が急減しているのは歴然です。20日間、患者が出なかった上海市政府は4月2日に発動した警戒態勢を10日に解除しました。ただし、集中発生した上海での患者死亡率は非常に高率で、これまでに4割にもなっています。流行初期に軽症の患者で受診しなかった人が相当数いたことを伺わせます。他の省と比較して流行全体像を考える材料にもなる死者データであるだけに、恣意的に隠してしまう中国式の不透明さが批判されるでしょう。

 【参照】インターネットで読み解く!「インフルエンザ」関連エントリー


民主化あり得ず、中国市民意識調査で強い保守色

 全国規模の選挙も世論調査もない中国で、政治意識が探れる市民意識調査が公表されました。結果は驚くほど保守色が強く出ており、国民が自発的に民主化を成し遂げる可能性はゼロに等しいと読めます。自由化を求めるネット上の声が目立ってもあだ花にすぎず、11日の報道ではさらなら大学での思想統制が伝えられました。改革開放が始まった1988年の調査と比較して西洋化の受け入れは後退しており、中国共産党による政治意識「刷り込み」が大きな成果をあげていると知れます。深刻な大気汚染や河川・土壌の汚染など人間の生存を脅かす環境問題しか、民主化の糸口は残らないとみるべきでしょう。

 kinbricksnow.comの《中国に“右派”は8%しかいない、『中国人はどんな民主を求めているのか』著者インタビューを読む》は2011年に北京など規模が違う大小4都市で、18歳以上の市民1750人を対象に実施された30問のアンケート調査について、中国社会科学院政治学研究所政治文化研究室主任、副研究員の張氏から聞いています。

 西欧民主主義・自由主義志向を右派、毛沢東時代に郷愁を持つ全体主義志向を左派とすると「現在、中国社会において左派38.1%、中間派は51.5%、右派は8%」との結果になりました。中間派とは「民主が良いものであれ悪いものであれ、中国の国情に合致しているかを見なければならない。米国と中国を簡単に比較してはならない」とする主流メディアの見解を支持するグループです。これにより「中国人が求める民主とは、法治よりも徳治を優先、市民の権利と自由の保障よりも汚職の解決と市民による政府監視の実現を優先」など中国独自のものと言います。

 調査の対象は都市だけで、人口の6割を占める農業籍の地方住民は含まれていません。地方は更に保守色が強固と見られますから、国民全体としてみれば自由化を志向する割合は僅かになります。

 張氏は1988年にも設問20問が共通の調査をしています。「1988年の調査では、調査対象の西洋化の水準は現在よりもよっぽど高かったのです。当時は改革開放が始まったばかりで、社会は西洋のものに対して受け入れる姿勢を示していました」と、今回の後退した調査結果は意外だったと答えています。

 1990年代初めに小平から権力を受け継いだ江沢民政権は、中国共産党による統治の正統性を確認させるべく、反日教育を含む愛国主義教育を徹底して行きました。個人の身上調書に当たる「人事档案(とうあん)」を職場の上司が書いて、職場を変えても一生ついて回る仕組みが維持されている中国ですから、思想信条についても目に見えない縛りが張り巡らされているのも同然です。第320回「中国政府主導だった反日デモと愛国教育の正体」で刷り込み教育の証言・実態について書いています。

 新たに思想統制を強める動きが出ています。共同通信の《中国当局「報道の自由」教えるな 大学に指示》はこう伝えています。《北京や上海の大学に対し、「報道の自由」や「公民権」、民主や人権の尊重を意味する「普遍的価値」など7項目について授業で教えてはならないとする指示を出した》《ほかに禁じられたのは「公民社会」「共産党の歴史的誤り」「司法の独立」》。残り1項目は「権貴資産階級」で権力と癒着して富を蓄えている新たな社会階層を指します。

 一般市民に対して西欧型の見方・考え方をさらに覆い隠す動きです。ネット上では監視網を大量動員した言葉狩りが実施されており、メディアも検閲下にあり、さらに大学の授業でも語るなと進んできました。「司法の独立」まで語るなとは、第346回「『がん村』放置は必然、圧殺する中国の環境司法」で描いたように環境問題のアキレス腱にもなっているからでしょう。


村上春樹VS小澤征爾を定額制音楽配信でフォロー

 新作が評判の村上春樹さんが一昨年出した『小澤征爾さんと、音楽について話をする』も随分話題になりました。この連休、村上さんの膨大なコレクションの向こうを張って定額制音楽配信で聴きながら読み直しました。この本を楽しく読むための専用CD3枚組が発売になっていますが、序盤でお二人の話の本線になっているベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番を色々と聞き比べ得る点だけでも、音楽配信の方が断然、優位です。

 十代のころに身に付いた習慣で、ベートーヴェンというとピアノ協奏曲とチェロ・ソナタ、交響曲のいずれも第3番の3曲を最もよく聴きます。ピアノ協奏曲第3番ならバックハウスやグルダなどドイツ本筋の巨匠たち、新しいところならば若手フォークトによるベルリン・フィル定期演奏会での秀演が印象鮮烈です。ところが、村上さんはカナダ人グレン・グールドによる、とても風変わりな演奏を聴くところから説き起こしています。

 バーンスタインが「あまりにも遅いテンポはグールドの望みだから」と釈明して伴奏した演奏はCD3枚組(3000円)にも収録されています。遅すぎて指揮棒を振る間が持てなくなっている、いや待ちきれなくなっているのがありありと分かるのは面白のですが、何度も聞こうとは思わない演奏でしょう。

 この後、同じ曲でカラヤン先生と演奏したグールドは意外におとなしかったり、バーンスタインがゼルキンと演奏すると超高速テンポで走る走る、ぐんと踏ん張るところが特徴の曲なのにどこにもその気配なしと、正統派の演奏とはかけ離れた空間から演奏の在り方に踏み込み、音楽を聞く楽しさにアプローチしていきます。いわゆる名盤をコレクションしたい音楽マニアからは「何でこんな演奏を紹介しているの」と言われかねない有様です。この場合、月額980円のソニー定額制音楽配信は気楽に便利な素材を提供してくれます。

 実は名盤をコレクションしたい人にも定額制音楽配信は有効だと思います。レコードやCDをよく買っていた頃、小遣いは無制限ではありませんから、悩ましいのは自分の嗜好に合った演奏か、どう判別するかでした。『レコード芸術』などで自分の好みに近い評論家に目星をつけて評論を読むしかなかったものです。多数の演奏を自由に聴ける今になって「CLASSIC MUSEUM」のようなサイトの名演奏ランキングを、自分の耳で確かめると同意しかねるケースがかなり多いと気付きます。

 音楽の好みはとても個人的なものです。『定額音楽配信サービスで音楽産業は持ち直すか 』『音楽産業の方向転換と音楽ライフ様変わりの可能性』でも指摘した、新しい可能性が開けた点を歓迎したいと思います。


核燃料サイクルは新安全規制で事実上の凍結へ

 《民主党から自公両党が政権を奪い返してから、福島原発事故以降に生まれた原子力政策見直しをひっくり返しつつある。「2030年代の原発稼働ゼロ」否定と並んで核燃料サイクル全面復活が大きな柱になっているが、原子力規制委が打ち出した新安全規制が核燃料サイクル事業を事実上の凍結へ追い込もうとしている。少し事情に通じていれば見える方向性をマスメディアが見過ごしているので、再処理工場と高速増殖炉「もんじゅ」に対して重要な決定が既になされているとリポートしたい》

 WEBRONZAで6日、「核燃料サイクルは新安全規制で事実上の凍結へ」をリリースしました。上に引用した前文の通り、青森の再処理工場と高速増殖炉もんじゅが動かせなくなるはずと考えています。前半は再処理工場についてで、どなたでも読めます。もんじゅを取り上げた後半は有料会員でないと読めませんが、私のサイト第353回「高速炉もんじゅ稼働を絶望にする安全設備要求」に、核爆発を起こす最も恐ろしい「炉心崩壊事故」などを書き込んでいる内容構成です。会員でなくとも合わせて読んでいただけば論旨理解には十分かと思います。

 結語部分を引用しておきます。《茂木敏充経済産業相は衆院予算委など国会審議で、核燃料サイクル政策の継続姿勢を強調しているが、原子力規制委が打ち出している再処理工場ともんじゅへの安全の注文はクリア不能と言えるほど厳しい。北朝鮮ミサイルの脅威が再認識される昨今、再処理工場ともんじゅが標的になったとすれば、普通の原発が狙われた場合とは比較にならぬ重大事に発展することも考慮すべきだ》


鳥インフルエンザ、死者減れど重症化が深刻

 中国の鳥インフルエンザは患者発生が止まず、死者の発生は減ったものの回復した患者が少なく重症化が深刻な模様。警戒ムードも薄く大型連休期間に入っており、潜伏期1週間後の動向が注目になっています。2日の新華社電によれば、中国本土で確認の感染者は127人、このうち26人が死亡し、26人が回復となっています。死亡・回復とも患者の20%程度で、残る60%が入院したままの状態です。


 WHOが公表している「発症時期確定患者報告」から、4月24日集計と5月1日集計分のグラフを並べました。割愛した3月6日以前の分には死者2人が含まれます。5月1日で合計の患者116人、うち死者21人(赤ブロック)が表示されています。見比べると、1週間で発生した死者は3月から発症の長期患者ばかりである一方、新規患者発生の勢いは持続しています。回復者の数は赤の死者数とほぼ同じですから、入院して長期療養になっている重症ケースが増え続けているようです。

 ロイターの《中国で拡大する鳥インフルエンザ、「深刻な脅威」と科学者が警鐘》はこう報じました。《WHOは、この型を「最も致死性の高いウイルスの1つ」と位置づけている》《初期研究ではウイルスにいくつかの懸念要素があることが分かっていると指摘。人から人への感染がおきやすいタイプへの2件の遺伝子変異もみられるという》《感染すると、重篤な肺炎、敗血症、臓器不全を引き起こす可能性が指摘されている》

 北京市初感染の男児のように軽症者で回復する例が最近増えています。初期に多発の死者周辺に患者が多くいて受診しなかった可能性が考えられます。健康保険が整っていない中国、特に不利な農業籍の地方出身者は受診をためらわれると見られます。

 サーチナの《鳥インフル、中国政府が恐れる「治療費なく、病院に行けない人々」》は李克強首相が治療に滞りが無いよう現場を督励したと伝えています。

 《同通達は、貧困な人がH7N9型鳥インフルエンザにかかって治療を受けた場合には補助金制度の適用対象になり、身分が特定できない患者に対しても、緊急基金による補助金支払いの対象になると説明した。これまでに、個別の地方政府が、H7N9型鳥インフルエンザの治療についての予算を計上したとの報道も相次いだ。しかし、低所得層の人々にとっては、インフルエンザの症状が出ても自分自身でH7N9型鳥インフルエンザに感染したかどうかを知る手立てはなく、医療機関に出向いて診察を受けることに二の足を踏むケースが多発するであろうことは、十分に考えられる》

 上海市だけは新規患者発生が激減と言われますが、「鳥インフルエンザ感染源の探索は方向違いか」で指摘した感染源問題は未解決です。全体には第356回「感染爆発寸前、鳥インフルエンザの困った事情」で心配した通りの状況であり、大型連休後の経過をにらんで、まだ警戒を怠れないようです。

 【参照】インターネットで読み解く!「インフルエンザ」関連エントリー