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北京市が環境汚染3年以内改善にようやく本気

 北京市が28日に環境改善プロジェクトの動員大会を開き、3年以内に大気汚染、河川汚水、ゴミ問題などの解決を誓ったそう。深刻な大気汚染を前に「北京五輪は青空」の時代錯誤から抜け、ようやく本気の構えです。プロジェクト執行と生態環境保護に関する責任追及をすると明言しているのが注目です。また、これまでは工場などから汚染物質放出が見つかっても罰金を払う方が浄化装置を稼働させるより安かったのが、罰金上限を撤廃する法改正が予定されるなど重篤スモッグ汚染改善へ実効が期待できる動きが出ています。もちろん、本格的に実施すれば経済成長に大ブレーキがかかるのは必至です。

 レコードチャイナの《大気汚染を3年以内に解決、北京市が誓約―中国》が新京報の報道としてこう伝えました。《北京市の郭金竜(グゥオ・ジンロン)書記は同大会で、「社会の力を総動員し、首都の生態文明建設を掘り下げて推進し、青い空、豊かな緑、きれいな水を北京に取り戻さなければならない」と強調。また、「現在、生態文明と都市・農村環境を建設する上で、いくつかの新たな局面に立たされている。過度の人口増加、自動車保有台数の急増、資源制約の深刻化など新たな問題が悪化しており、生態環境と公共インフラ・サービスの許容力はかなり厳しい状況に陥っている。また、多くの市民は、気象条件や北京の地理的条件など各種要因の影響による大気の品質や生態環境の問題に対して不満を抱いており、問題の大幅な改善を期待している」と指摘した》

 第348回「抜本策無しと露呈するばかりの中国環境汚染」で全国人民代表大会・全国政治協商会議の動きを集めていて、北京市当局の鈍感さには驚きました。2008年北京五輪で青空が実現した成功体験にまだ浸っていました。五輪期間中だけ工場・建設現場を止め、クルマの半数を使用停止にして乗り切ったのが実情です。全人代が閉会して10日余り、過去の成功体験では民衆を抑えられないと方向転換したと見えます。しかし、下に引用するPM2.5濃度分布地図(第350回「PM2.5汚染の全国実況表示が日中で動き出した」参照)が示すように、紫や赤表示の北京の大気汚染は内陸部と繋がっています。北京市だけで改善できるものではありません。


 環境改善プロジェクト動員大会に合わせて《北京市内を流れる「七色」の川、見るだけで吐き気=中国》(サーチナ)の報道もあります。「清河では異常に黒く濁った水が悪臭を放ちながら流れ、下水が川へ注ぐ排水口付近では水が黄色くなっていたと伝えた。また、涼水河では濃褐色の流れに乳白色の液体が流れ込んでいたこと、通恵河でも乳白色の液体が流れ、ナプキン、トイレットペーパーなどを含む生活ごみが漂っていたことを紹介した。そして、蕭太后河でも水面の色が青緑と白の混合色になり、両岸には生活ごみが堆積」と首都河川とは思えぬ惨状です。

 全国規模の法改正は人民網日本語版による《47都市で大気汚染物質の特別排出規制がスタート》で触れられています。《中国社会科学院都市発展・環境研究所の潘家華所長は「スモッグなどの緊急事態発生時に規制や操業停止を実施するだけでなく、通常時でも地域の大気環境容量に基づき、汚染物の排出量を制限することが非常に大切」としたほか、「特別排出規制値は法により保障される必要がある。現在改訂中の『大気汚染防治法』では、大気汚染事故の罰金上限が取り消される見込みだ。これにより、汚染物質規制に向けた企業の投資が促進され、企業の社会的責任の向上につながると見られる」と述べた》

 私の「インターネットで読み解く!」読者のケミカルエンジニアから中国で工場を作ろうとした経緯を伝えるメールをもらいました。《工場設立は止めになりましたが、その理由の一つは、「国営企業には汚染物質排出の枠が“無限”にあるのに、合弁企業にはほとんどなく、それも将来減らされる懸念がある」ということです》。地方政府と国営企業が結託して環境汚染を隠しているのが、これまでの中国経済大発展の裏側でした。法に基づいて市民が提訴しようにも裁判所が受け付けない実態は第346回「『がん村』放置は必然、圧殺する中国の環境司法」で描きました。1月の重篤スモッグ連日発生から2カ月半、メスを入れれば血が噴き出る場面が来つつありますが、本当にメスを入れる勇気があるでしょうか。


音楽産業の方向転換と音楽ライフ様変わりの可能性

 WEBRONZAで本日、「音楽産業の方向転換と音楽ライフ様変わりの可能性」 をリリースしました。 《この3月、1カ月千円までの価格で広範囲な音楽が聞き放題になる定額制音楽配信サービスが国内でも相次ぎ動き出した。違法な音楽ダウンロード摘発に躍起になって、消費者を束縛する方向ばかりが目立っていた国内の音楽産業が内外を取り巻く情勢から方向転換したのだ。洋楽を中心に1300万曲のソニー「Music Unlimited」と、邦楽中心で100万曲を提供する「レコチョクBest」が主なサイトである。前者は非常に幅広い機器で聞け、後者は今のところスマートフォンだけながら夏にはパソコンでも使えるようになる・・・》

 また、親サイト「インターネットで読み解く!」の「定額音楽配信サービスで音楽産業は持ち直すか」の文末に関連する参照サイトのリンク集を整備したので、詳しく知りたい方はお使いください。

PM2.5汚染の全国実況表示が日中で動き出した

 微粒子PM2.5大気汚染の全国規模の実況を一覧できるシステムが日中両国で動き出しました。北京など地点情報で重篤スモッグと伝えられて、分からなかった広がりが一目で知れる上に、変動グラフが付く優れ物です。日本国内で言えば西あるいは北から汚染が拡散してくるので今後の見通しが立てやすいし、グラフがあれば一時的な高濃度か継続した事態なのかの区別が容易です。両国分ともネットで得られる画像を引用しながら紹介します。


 日本のサイト「日本全国の大気汚染粒子PM2.5情報まとめ」は公的機関ではなく、様々な便利サイトを開発している「satoru.net」が作っています。環境省の「そらまめ君」からのデータを加工しています。従来はブロック別の実況しか分かりませんでした。過去に遡れる機能があるので、上の地図は全国各地で国環境基準を上回った3月24日14時を表示しています。この時点でPM2.5濃度が空気1立方メートル当たり72マイクログラム(国基準は35)と最高だった「岡山・大高」を、ランキングからクリックすると次のように表示されます。 (なお、このサイトはブラウザを選び、インターネットエクスプローラは相性が悪く、グーグルクロームをススメます)


 ここで「詳細ページを表示する」を選べば、次のように地図付きで「岡山・大高」過去24時間、過去1週間がグラフになって現れます。ここでは26日に24日分を表示させているので、24日は一時的に高かっただけだと知れます。もちろん汚染地図から自宅など最寄りの地点をクリックして過去の動向を見ることもできます。


 中国の汚染状況は、これまで米国大使館チームが作る「北京大気汚染: PM2.5 リアルタイムの大気汚染指数」に頼って観察していました。以下が26日15時の画面です。中国は広いので各地点の関係がなかなか見えて来ません。


 中山大学のチームが新たに作った「全国都市大気実況」は、二酸化硫黄や二酸化窒素、PM10などの指標も含む総合表示板です。同じ26日15時時点で中国全土のPM2.5状況は以下のメイン地図に表されます。北京から内陸部が悪化、上海や南部は良好です。


 汚染度が高い北京や河北省周辺を拡大したのが次の地図です。石家庄市のある地点をクリックすると、グラフで24時間の内に中国の環境基準(青バー)を超えて1立方メートル当たり200マイクログラム前後を推移していると分かります。この時、北京市内も同様で中度から重度の汚染に移りつつあります。


 全国的な土壌汚染データは国家機密を名目に公開を拒んでいる現状を考えれば、大気汚染でこのような即時・全国規模の情報公開をしている事自体が信じられないほどです。1月に広範囲で発生した重篤スモッグがいかに国民の危機意識を高めたか、如実に語っていると思います。第345回「中国で暴露、ぼろぼろの環境行政と水資源管理」で指摘したように、中国政府の環境保護部はあまり騒がずに淡々と惨状を流す姿勢のようです。

 【参照】「インターネットで読み解く!」
     第348回「抜本策無しと露呈するばかりの中国環境汚染」
     『中国は終わった』とメディアはなぜ言わない


中国高速鉄道に新たな危険、路盤に凍結ひび割れ

 中国の高速鉄道に新たな危険が露呈しました。昨年末に開業した酷寒の東北部を走る路線でコンクリート基盤の凍結膨張が報じられました。暖かくなったら時速200キロから300キロに上げるはずが延期の見込みです。2011年7月に死者40人の追突事故を起こし、安全性をめぐる疑義が解明されぬまま建設が進んで営業距離9千キロと日本の新幹線網の3倍に達していますが、急ピッチな工事は特別な配慮が必要な寒冷地対策を満たしていないと考えられます。

 レコードチャイナの《ハルビン・大連間高速鉄道、手抜き工事で高速運行延期か―中国》が「本来ならば4月1日から時速300キロで走る予定だったが、延期される可能性が高いという。問題は手抜き工事だ。2011年7月、ハルビン・大連間旅客路線のトップ・杜厚智(ドゥー・ホウジー)が汚職で失脚している。さらに2012年後半からは凍結膨張の影響が確認されている。その影響で線路が歪めば高速での運行は致命的な事故をもたらしかねない」と伝えました。

 コンクリートの中には自由水が存在していますから、当然ながら凍結して体積が膨張します。その影響を殺すために5%前後の微妙な割合を決めて空気を含ませているはずです。空気が少なすぎれば凍結での体積膨張がひび割れになり、多すぎればコンクリート強度そのものが低下します。そんなクリティカルな仕事をビルの倒壊など「おから工事」が続出している中国で、数百キロの路線全体に行き渡らせるのは至難でしょう。

 【参照】インターネットで読み解く!「中国高速鉄道」関連エントリー


福島原発事故収拾が破綻している現状に気付け

 水漏れしている木桶の目に見える穴だけふさぐ対症療法で2年を費やしてきた、福島原発事故収拾の破綻を示す警鐘が鳴らされました。海への放射能流出が続いており17兆ベクレルにも達するとの試算が出たのです。もっと根本的な問題として、政府の側に事故収拾の全体像を考える「ヘッド」が存在していません。新たに出来た原子力規制委は原発の新安全基準策定に手一杯です。第三者の警鐘が鳴っても事業者である東電にすべて任せる、東電が無視すれば警鐘の意味さえ消えてしまう現在の枠組みの異常さを、政府は自覚すべきです。

 東京新聞の《セシウム17兆ベクレル流出か 原発港湾内濃度から試算》は「汚染水の海への流出が止まったとされる2011年6月からの約1年4カ月間に、計約17兆ベクレルの放射性セシウムを含む汚染水が海に流れ込んだ恐れがあるとの試算を、東京海洋大の神田穣太教授がまとめた」と伝えました。

 原発の港から国が定めた基準値の7400倍、1キロ当たり74万ベクレルの放射性セシウムを持つ魚が採れたことを契機に盛り上がった議論です。しかし、既に昨年3月に書いた「放射能海洋流出は止まず:自分に甘い東電に任すな」で福島沖で採れる底魚アイナメのセシウム量が高止まりしている事実をグラフ化しています。流出が止まれば下がっていなければなりません。

 溶融した核燃料を冷やした汚染水が貯まっている原発建屋の地下と、地下水脈が継っている事実は東電も認めています。ところが、東電は「地下水が流入して汚染水が増えて困る」とするだけで、汚染水が地下水脈から流出する恐れを認めようとしません。新たな高汚染魚が見つかっている事実は東電の勝手な解釈を否定するものです。膨大な放射能流出継続は必ず国際的な非難を浴びることになります。海への流出を防ぐ遮水壁建設を急ぐしかありません。

 炉心溶融を起こした1〜3号機を最終的にどのように処理・処分するのかも依然として不明です。米国スリーマイル島原発事故の処理に習って溶融燃料を除去しようと考えているようですが、原子炉圧力容器内での溶融で済んだ米国と圧力容器の底が抜けた今回とは全く別物です。1〜3号機の格納容器は放射能漏出を遮断できないほど高温になったのですから、あちこちの継ぎ目に穴が開いたはずです。格納容器に水を満たして分散した溶融燃料を回収する方針そのもの見直す必要があります。汚染水が増え続けて収容タンクの増設に追われている東電に、将来を考える余裕は無いでしょう。電源盤の故障、冷却系停止の危機といい、行き当たりばったりの東電に「すべて丸投げ」の現状を変えねばなりません。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


中国になお無償援助、国内報道しない人民日報

 もう終わっていると考えていた中国への無償援助が続いていると人民日報日本語版が伝えました。人民日報ウェブを検索すると、中国国内報道はされていません。メディアを使った詐術をいつまで続ける気でしょう。中国側でどこまで意図的に操作されているのかは知れませんが、3兆円を超える有償援助を含めた対中ODAの存在が中国国民から隠されてきたのは事実です。尖閣列島をめぐる対立が険しい中で見つけたこのケースを追ってみます。人民日報日本語版に3月15日掲載の「日本、陝西省の医療環境改善を無償援助」が問題の報道です。


 場所は西安の南300キロほどの安康市白河県、山に囲まれて袋小路になった地区にあり老朽化した茅坪中心衛生院(診療所)が援助対象です。「日本が無償で提供する11万ドル(約1058万円)の援助資金は、同衛生院の医療・技術棟建設に充てられる。完成後は、現地の医療環境が改善され、住民の医療水準が大きく向上する見込み。人民網が報じた」

 「人民網が報じた」に引っ掛かりを感じて「人民網検索ページ」に行きました。記事を見つけるのに確実な方法はピンポイントの固有名詞を使う方法です。「茅坪」を入力すると1857件がヒットしました。この中に「日本」を含む記事があるのか――43件がヒットし、無償援助プロジェクト調印の記事はありません。しかし、昨年11月に陝西省の担当者が日本大使館援助を受ける下調べに茅坪中心衛生院を訪れた記事はありました。中国国内向けに援助調印記事が存在するならば、この検索方法で発見できることを示しています。

 日本大使館援助とあるので「在中国日本国大使館」に行くと「草の根・人間の安全保障無償資金協力(概要)」がありました。2011年度分までしか実績が表示されていませんが、実は2012年度も継続中でした。外務省の対中ODA無償資金協力ページでは2009年以降は留学のための人材育成奨学計画が並んでいるだけです。外務省はどうして国内向けのページで隠しながら、こそこそ無償援助を続けるのか、疑問でなりません。

 気になって調べると、昨年3月16日付の中国網日本語版「日本、湖南省への無償援助プロジェクト調印式が挙行」もありました。しかし、これも中国国内向けは発見出来ません。たまに日本語版ニュースでだけ援助を伝えるのは日本国大使館へのサービスでしょうか?

 山奥の財政難の寒村に医療援助をするのが無駄とは言いませんが、「2011版中国の対外援助白書(全文)・付録3 中国・アフリカ協力フォーラム北京サミットで中国政府が発表した8項目の措置」などを読むともう自国のことは自分で始末しなさいと言うべきです。「アフリカのために30ヵ所の病院をつくり、3億元の無償援助を提供することで、アフリカのマラリア対策の支援に協力し、アルテミシニンの提供および 30ヵ所のマラリア対策センターの設立に用いる」

 2005年に書いた「反日デモ始末に苦渋の続きを思う」で、ある理工系知日派の対中ODAへの複雑な思いをこう伝えました。

 《1月20日付の「対中ODA議論で思うこと、『感謝』は意味あるか?」は3兆円にのぼる対中国の円借款を数年前まで知らなかったと記している。今では「北京の地下鉄に乗る時に『円借款のお陰』」とも思えるようになったが、「北京首都国際空港の玄関の前に『この空港の建設では円借款を使っていた』と書いた看板を掲げたらどういう光景になってしまうかも想像してみた。多分、この看板を見た中国人乗客は、豪華な天井から、戦争によって死んでしまった先人の悲しみ恨む目が見えてくるような感じがするかもしれない」と述べている。その上で「中国人の屈辱感」を長引かせるODAは廃止してよいと考える》

 実質的な戦後賠償として続いてきた対中ODAで、中国国民感情の融和が出来なかった以上、安易な援助継続は日本側の国民感情をさらに悪くします。中国の政治家が対中ODAに触れるケースが増えたと言われつつも、今回の人民日報のおかげで相変わらず国民一般向けには報道できない「タブー」で在り続ける実態が明らかになりました。

 【参照】インターネットで読み解く!「中国」関連エントリー


割り箸本格削減が日中の環境汚染改善を助ける

 終了した中国全人代で、中国の割り箸生産が年間800億膳にもなり自然環境への負担が大きいとの発言に注目です。中国にもともと割り箸使用はなく日本向け輸出箸の低級品が国内に流れ大量消費を招いてしまいました。日本の年間輸入221億膳の98%分を含めて、中国の森林伐採などで製造されている計算です。木を切るのは中国の勝手と割り切れない事情があります。春に中国から飛んできて悩ませられる黄砂は森林伐採で大地が裸になる結果、年々、酷くなっているからです。日中で知恵を絞って割り箸使用を本格的に削減できれば、環境汚染改善に間違いなく役立ちます。

 中国からの報道「中国で大量消費される割り箸、自然界の大きな負担に―香港紙」はこうです。《吉林森工集団(グループ)の柏広新(バイ・グアンシン)会長によれば、中国で生産される使い捨ての割り箸は年間で800億膳にものぼり、「標準的なサイズの割り箸を並べると北京市の天安門広場が360個分埋め尽くされる」とされる》《中国の国土面積に占める森林面積の割合「森林率」は20.36%で、世界139位。1人あたりの平均森林面積は0.145ヘクタールであり、世界平均の4分の1に過ぎない。柏氏は「使い捨ての割り箸による自然界への負担を解決するには1人1人が自然の浪費をやめてマイ箸を持ち歩くことと、割りばしに替わる代替製品を開発する必要がある」としている》


 「木づかい.com」のウェブ《日本の森林を育てる「国産材割り箸」》から「割り箸の輸入量・国内生産量と国内工場数の推移」グラフを引用しました。日本国内の割り箸生産は21世紀に入って縮小してしまい、中国からの輸入が大半になりました。日本国内で造る6億膳ほどは《本来は捨てられる住宅・家具等の端材(=はざい:必要な部分を切り取ったときにできる余った木片など)や間伐材を有効活用して作られるため、国産の割り箸と「森林破壊」や「はげ山」などの問題とは次元が違います》と言えます。

 ところが、中国では森林をごっそり皆伐して割り箸を造ることが多いのです。最近はロシアやモンゴルから木材を輸入するケースも増えているそうですが、そこでも違法な伐採が行われています。加えて、日本では割り箸消費が下り坂になっているのに、中国では増加の一途です。2006年は450億膳だったのに580億膳にまで消費が増えた計算です。

 「日本の割り箸使用量は、年間227億膳。莫大な数字に見えますが、年間227億膳に要する木材は、日本の年間木材利用量の0.3%にしかなりません」「年間木材利用量は、外国産材を含む木材供給量7797万立方メートル」を手がかりに中国での割り箸生産が森林伐採に占める割合を出してみます。7797万立方メートルの0.3%は23万立方メートル、800億膳分なら82万立方メートルになります。2003年の数字しか見つかりませんが、中国森林伐採量は1215万立方メートルであり、その6.7%が割り箸生産分と無視出来ない割合です。

 大気汚染・重篤スモッグの深刻化をうけて北京市が「首都青空10年行動計画」を打ち出しました。黄砂を防ぐための植林計画も含まれています。木を育てる時間の長さを思えば、木を切らない方が遥かに有効です。中国に割り箸を広めてしまった日本として、なんとか知恵を出したいものです。

 中国では森林と関係する紙資源も大きな問題です。第197回「続・失敗国家ランクと紙消費量のぴたり」で年間1人当たり紙消費量が「2008年は中国が59.1キロと、世界平均57.8キロを初めて突破した」と紹介したばかりなのに、2011年は72.4キロと経済発展で3年で22%も増やしました。人口の大きさから紙資源危機を招く恐れが強いと考えられます。


抜本策無しと露呈するばかりの中国環境汚染

 北京をはじめ中国広域でおきた大気汚染・重篤スモッグを経て日本の国会に当たる全国人民代表大会が開催されていますが、報道を見ると環境予算の12%増額が発表されただけで抜本策無しと露呈するばかりです。国民の不満が爆発するところまで経済成長の暴走列車は止められない雲行きです。《環境保護に10年で62兆円投じるも効果なし、地方政府・企業の捏造や隠蔽が元凶―中国》(Record China)と伝えられているのですから、環境予算を多少増やすことが何ほどの効果を生むか、結果は既に分かっています。市民が頼るべき環境司法がほとんど機能していない点も第346回「『がん村』放置は必然、圧殺する中国の環境司法」で紹介した通りです。

 62兆円がどのように投じられたのか不詳ですが、《企業の捏造や、一部の地方政府が国内総生産(GDP)を上げることだけに心血を注ぐ旧思考で保護主義を誘発》《多くの環境保護設備は「眠っており」、設備があっても汚水は別の管からひそかに排出したり、検査が入る時だけ設備を起動させたりするなどの裏工作もまかり通っており、検測データが本来のデータと異なってしまう》《全人代ですでに30以上の環境保護法を制定したにもかかわらず、それらが定着していない》との状況です。公徳心が国民規模で欠けていると指摘できます。

 全人代代表のひとり《「GDPと健康どっちが重要?」、このままでは数年後にガン患者が激増―中華医学会会長》(Record China)の訴えが悲痛です。「国内総生産(GDP)と健康、どちらが最も大切か。真剣にこの問題を考慮しなければならない時となっている」「以前は、環境問題はまだ先の話で、配慮を加えればそれでいいと考えられていたが、今は配慮などという悠長な問題ではなくなっている。国民の基本的な生活要素が脅かされており、環境問題は危機的な問題となっている」

 全人代と並行する全国政治協商会議でも議論は熱かったと報じられていますが、焦眉の急にあるべき北京市当局が「首都青空10年行動計画」といったのんびりした構えです。「北京五輪では何とか青空に出来た」との成功体験を会見で持ち出すのでは、記者側が怒って当然です。北京五輪期間中だけクルマの半数を使用停止にして乗り切ったのでした。あの時代に比べると自動車の保有台数は全国で倍増しています。

 経済産業研究所の《深刻化する中国における大気汚染― 露呈された「環境を犠牲にした成長戦略」の限界 ―》によると、中国政府は2006年の第6回全国環境保護会議で、経済成長一本やりを止めて環境保護重視を打ち出していたそうです。「政府のこうした強い決意にもかかわらず、環境対策は、総論賛成・各論反対という壁にぶつかり、所期の効果を上げるに至ってない」のは地方政府や企業の抵抗があるからです。「中国も、マスコミや民衆に一段と大きな自主権を与え、民間の力を環境対策にもっと生かさなければならないだろう」との主張は正当です。しかし、言論の自由を与える方が怖いと中国指導部が考えているのも間違いありません。やはり『中国は終わった』と言って、目を覚ましてあげるべきです。


無傷で終わる可能性が十分あった福島原発事故

 2年前の大震災、福島原発事故対応が後手に回り続けるのを大阪の自宅から見守り、政府の司令塔はどうした、米国なら規制委が仕切るのにと思った疑問が氷解です。頭脳の結集どころか知恵も全力も尽くしていません。原発の過酷事故を想定する体制が整っていなかった愚かさは脇に置きましょう。準備不足でも空前の危機に直面し、原子力という巨大技術に携わってきた者として個々人の知恵をしぼる、出来ることは全てやるのは当たり前です。JBpress(日本ビジネスプレス)で連載中の『元原子力安全委員会委員長、班目春樹氏の証言』に接して、勝てるはずがない戦だったと理解しました。組織も個人もこんな構えしかできないなら、いくら安全設備を増強しても次の危機にも勝てません。

 連載1回目の「班目氏が認めた事故対応の失敗」で一番のショックは、原子力安全委が福島第一原発の図面を持っていなかった点です。5ページ目に「本当に概略図しかないのです。一応、熱交換機とポンプとが線でつながっているような感じのものはあったが、知りたかったのは、例えば非常用ディーゼルがどこにあるかとか、そういうことなのです。記憶ではタービン建屋の地下だとは知っていましたが、増設したものがどこにあるのかとか、そういうことが分からない。津波でやられてますから、どの程度やられているのかという話と、どういう所に何があるかということを、しっかり押さえたかったんですよ」とあります。これ無しに適切なアドバイスは出来ません。

 原発の安全審査を担当している役所が、機器の実際の配置が分かる図面を持っていない驚愕の失態をここでは問わないとして、班目氏は実情に即した問題意識はあるものの情報不足を補うことなく首相官邸に向かいます。事故対応の中核は原子力安全・保安院で、安全委は助言役です。保安院はどうでしょうか。

 連載2回目の「誤解して抜け出せなくなった班目氏」の3ページ目です。「これは私の生の記憶ではないのです。が、絶対確かなのは、到着するなり平岡さん(注:原子力安全・保安院次長の平岡英治氏)が助けを求めに来たこと。そのあと総理執務室に連れていかれるんですよ。そして行ってはみたものの『武黒さんがもうすでにやっている』ということで『もう私の出る幕ではない』というので、さっと引っ込んだということらしいんです」

 地震と津波で全交流電源喪失の事態に、東電の石黒フェローが電源車の派遣を要請して保安院は係り切りになったようです。ところが、電源車が大震災でがたがたになった道に難渋して福島第一原発サイトに着いてから判明した手違いは、接続するべき電源盤も非常用発電機同様に海水が満ちた建屋地下にあり、使えません。保安院も機器配置が分かる図面を持っていなかったのか、事前に確認する知恵がなかったかのいずれかです。電源車を要請してきた東電本店にはさすがに図面はあったはずですから、東電には知恵は無かったと考えざるを得ません。

 かつてない危機ですから、原子力取材が長かった私は当然、以前に取材したような専門家の頭脳を集めて対処するはずと考えました。ところが、専門家の非常招集がされないばかりか、初期の段階では班目氏ひとりの頭脳さえ生さなかったのが実情です。図面と見比べて電源盤が接続不能と早く判断できれば、重量級の電源車派遣は無意味です。切れている直流電源を補うためにクルマで使うバッテリーを10個か20個、かき集めて届けるのが最も有効な早道であり、1号機でほとんど働かなかった最後の命綱装置「非常用復水器」のバルブ操作を可能にして動かせたでしょう。遠路派遣する電源車と並行実施でもよい救援措置であり、班目氏個人は直流電源は存続と誤解しつつも電池切れを心配していました。ただ、保安院に進言していません。

 政府や国会の事故調より早かった米国の報告書をもとに2011年11月に第288回「2、3号機救えた:福島原発事故の米報告解読」を書きました。1号機は救えない前提でしたが、その後、非常用復水器を起動さえしていれば冷却水の補給体制が出来ていたので長い時間使えた可能性が明らかになっています。東電の愚かさには運転員に非常用復水器の使用経験が全くなかった大ポカが加わるものの、政府の司令塔で出来ることが尽くされれば、全く違った無傷の結末になっていたのです。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


8日は黄砂込み要注意:中国重篤スモッグ来襲

 中国西部で5日、広い範囲で黄砂が大量発生しました。北京などで問題になっている大気汚染・重篤スモッグの微粒子PM2.5と一緒になって、8日には日本を襲う見込み。化学反応で有害物質になる恐れがあります。2月末のNHK「クローズアップ現代」などテレビ番組でも指摘された多環芳香族炭化水素で、発ガン性が言われています。今回は東日本にも及ぶのが特徴です。九州大の汚染予測分布動画から日本付近を引用して6日から8日の動きを作成しました。


 6日夕には北京付近にあったスモッグが、7日正午ごろは韓国ソウル一帯を覆い、8日未明には日本海を渡って来ます。これまで九州を中心にPM2.5への注意喚起があった来襲ケースよりも、かなり北に寄っています。関東甲信越に向かっている感じです。8日夕刻には本州全体が覆われてしまいます。

 黄砂の発生を伝えているサーチナの《大黄砂発生の瞬間…中国で撮影、日本には8日に到達の見込み》に写真が掲載されています。マイナビニュースの《黄砂の季節到来!PM2.5「越境大気汚染」で日本が危ない》には基本からの解説があり、東京大学大気海洋研究所地球表層圏変動研究センター長の中島映至教授がインタビューでこう答えています。

 《最近では韓国や西日本などで黄砂のシーズンになると「ぜんそくになる人」が増えていると言う報告があります。きちんとした統計データがまだないので断定はできませんけれども》《まあ普通に考えれば、これだけ中国の大気が汚染されていて、その汚染物質と同じルートを通って来る「黄砂」がその汚染物質に何も影響されていない、と考える方が不思議でしょう。もっとも10ミクロンよりもずっと小さな砂粒が影響すると言う人もいますから、複数の原因があると思います》

 少なくとも呼吸器系が弱い方はPM2.5に対処できるマスクを用意された方が良いと思われます。よく売られている花粉対策のマスクでは対応しません。東日本の人も、九州など西日本だけに影響がある問題と安易に考えない方がいいでしょう。

 【参照】「インターネットで読み解く!」
     第338回「中国の最悪大気汚染は韓国や日本へ飛来する」
     『中国は終わった』とメディアはなぜ言わない
     第341回「中国発、微粒子大気汚染で国内基準超過が続出」
     第343回「中国大気汚染の絶望的な排出源構成と規制遅れ」
     第345回「中国で暴露、ぼろぼろの環境行政と水資源管理」


定額音楽配信サービスで音楽産業は持ち直すか

 2012年にCDなどの売り上げが14年ぶりに下げ止まった国内の音楽産業が、今年は反転上昇を本格化させるかも知れません。急速に細る一方の音楽配信が、聴き放題サービスの立ち上がりで息を吹き返しそうなのです。業界内で商売上の勝ち負けはあるでしょうが、著作権法による締め付けの話題ばかりで嫌になっていた一般の音楽好きにとっても久々の「春」になるのではないかと思えます。「2012年世界音楽売り上げ、13年ぶりに増加」とあるように世界と同期していたことも判明しました。

 《世界約1400社のレコード会社が加盟している国際レコード産業連盟によると、2012年の世界音楽売り上げは前年比0.3%増の165億ドル(約1兆5000億円)だった。小幅ながら売り上げ増に転じたことは、衰亡に向かっていると思われながらインターネット上での著作権侵害と戦ってきた音楽業界はほとんど歌を歌い出したくなるほどの結果だろう》

 世界規模で見るとデジタル音楽のダウンロード販売などが成長してCD販売減少を補う形です。しかし、国内は携帯電話(いわゆるガラケー)向け「着うた」などダウンロード販売で先行していて、スマートフォンの急速普及で逆に市場が縮小してきました。第328回「違法ダウンロードが霞む音楽業界の末期症状」で描いたように前年比で7割、8割とつるべ落としになっています。もちろん、売る音楽の中身にも問題を抱えています。

 海外で広まっている聴き放題の定額音楽配信サービスが、この3月、ようやく国内でも本格的になります。内外の楽曲1300万曲提供をうたうソニーの「Music Unlimited」が3月1日から月額980円(旧料金1480円)に引き下げ、アクセスするとサーバーの混雑が分かるほど混み合っています。国内各社が「着うた」に代わる存在として、J-POPを中心に100万曲提供する「レコチョクbest」も3月上旬スタートがアナウンスされています。こちらも月額980円です。スウェーデン生まれのスポティファイなど海外勢の日本進出の噂で、国内各社が背中を押された格好です。

 「Music Unlimited」に登録して半日ほど遊びました。レコードやCDをよく買っていた時期にも無制限に買えていた訳ではありませんから、好みのアーティストで買おうか迷ったアルバムがいくらでも転がっている状態は、確かにチャーミングです。インターネット上に無料の音楽ソースは増えていますが、そうした間に合わせアイテムと、自分の嗜好に合う音楽とは別物です。アンドロイドのモバイル機器で4000曲まで持ち出せるので、買ったのと実用上は変わりません。

 CDレンタル屋さんで見つかる可能性が無いアルバムが多数あることも確認しました。最近、クラシックやジャズなど古いCDを10枚、20枚と束ねたセットが1枚2、3百円くらいで売られていますが、月額料金を考えると自由度が大きい定額配信にしたくなります。オペラ歌手マリア・カラスのアルバムになると483枚にも上っていて、逆に選ぶのに困る状態です。ネット検索を併用して中身を調べながら聞かないと時間の無駄になるので、試される方はご注意下さい。「Music Unlimited」の検索機能はやや貧弱なので、アーティスト名などスペルはネット検索で確認してから入力するのが結局は早道です。
 ※注:高音質モード「HQ」にする方が音楽鑑賞にはベターです。画面右上「プレミアムユーザー」をクリックして「設定」を出して高音質モードをオンにしましょう。

 【参照】村上春樹VS小澤征爾を定額制音楽配信でフォロー