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原発事故責任者の1人と自覚が無い安倍首相

 安倍晋三首相が原発の新増設に積極的な姿勢を示しています。福島原発事故に自分は何の責任も無かったと錯覚しておいでです。いや6年前、第1次安倍内閣で大地震で炉心溶融など検討もしていないとしました。毎日新聞の《安倍首相:「国民的な理解を得て」…原発新増設に前向き》などメディア報道は噴飯モノの極みです。公明党が新増設を渋っているとか、事態の本質ではありません。2006年の衆議院、吉井英勝議員の質問主意書安倍首相の答弁書が鮮やかに事情を語ってくれます。

 この質問主意書は福島原発事故で核心になった「大規模地震時の原発のバックアップ電源」問題を取り上げています。1981年、スウェーデンのフォルクスマルク原発の事故で「バックアップ電源が四系列あるなかで二系列で事故があったのではないか」「日本の原発の約六割はバックアップ電源が二系列ではないのか。仮に、フォルクスマルク原発1号事故と同じように、二系列で事故が発生すると、機器冷却系の電源が全く取れなくなるのではないか」「停止した後の原発では崩壊熱を除去出来なかったら、核燃料棒は焼損(バーン・アウト)するのではないのか。その場合の原発事故がどのような規模の事故になるのかについて、どういう評価を行っているか」と迫りました。

 当時の安倍首相が提出した答弁書は木で鼻をくくったも同然です。「我が国の原子炉施設は、フォルスマルク発電所一号炉とは異なる設計となっていることなどから、同発電所一号炉の事案と同様の事態が発生するとは考えられない」「地震、津波等の自然災害への対策を含めた原子炉の安全性については」「経済産業省が審査し、その審査の妥当性について原子力安全委員会が確認しているものであり、御指摘のような事態が生じないように安全の確保に万全を期しているところである」。燃料焼損と炉心溶融のような事態については「経済産業省としては、お尋ねの評価は行っておらず、原子炉の冷却ができない事態が生じないように安全の確保に万全を期しているところである」

 これを見れば、安倍首相が福島に視察に行って、まずすべきは自らの不明を詫びて土下座しての謝罪です。それがなされなかったどころか、福島から帰京したら《今後の原子力政策について「新たにつくっていく原発は、40年前の古いもの、事故を起こした(東京電力)福島第1原発のものとは全然違う。何が違うのかについて国民的な理解を得ながら、それは新規につくっていくことになるのだろう」と述べ、新増設に前向きな考えを示した》では、普通は人間性が疑われます。

 原子力専門家の安全へのチェックが甘かったのはどうしてか、政治がどうして見過ごしたのか、政治が為すべき点は無かったのか――福島原発事故の問題点を政治家の視点から見直し真摯に検証すれば、最新原発だから安全などという愚かな視点は出てきません。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


津波の猛威と対決を選んだ浜岡原発は大丈夫か

 中部電力浜岡原発の大津波対策「防波壁」が1.6キロに及ぶ姿を現しました。報道された写真で見える薄っぺらさが話題になっており、強度について本格的な説明が公開されていない点に問題があります。津波の猛威と対決する選択をしたのは正しかったのか、津波が来てみなければ分からないのでは困ります。昨年3月の大津波を見た国民には「壁」があるから大丈夫には見えません。それなのに海抜高さ18メートルの現状をさらに4メートル嵩上げする計画変更を加えて、1500億円も投じることになります。費用は電気料金に転嫁できる仕組みだからいくらでも使えるのでしょう。



 壁の構造は上図の通りです(「津波対策30項目実現に向けた浜岡原子力発電所の今」から)。報道写真はこちらなど。地上は厚さ2メートルながら地下に7メートルの地中壁を6メートル間隔で並べています。地中壁は岩盤の中にまで根を入れてあるとの説明です。横幅12メートルの1ブロック当たり1万4千本のボルトで組み立てているのだからブロックとしての強度は高いはずですが、泣き所は岩盤を含めた強度、津波への抵抗力に全面的な信頼があるかでしょう。もともと浜岡原発の地下にある岩盤が強固かは異論があるところです。

 東洋経済オンラインの「中部電力・浜岡原発の防波壁工事、津波需要で広がる原発ビジネス」にこんな記述があります。《壁の部分は鋼材と鉄骨・鉄筋コンクリートの複合構造で、断面で見るとL字型の構造になる。「L」の左を海側に、右を陸側にすることによって、海から消波ブロックや砂丘堤防を乗り越えて津波が押し寄せた場合、倒れないで踏ん張ることができる。もし壁を乗り超えてしまっても、そこから滝のように降り注ぐ海水で地盤がえぐれ、防波壁を横倒しする「洗掘」を避けられる》

 壁が乗り越えられた際に洗掘の心配があるのならば、地中壁の間にある土壌部分の流出も恐れるべきだと考えられます。何度も襲う津波で壁外側を守る砂丘も無事ではありません。さらに取水路と放水路で原発が海と繋がっている構造上の欠陥は逃れられません。そのために防波壁が乗り越えられなくても構内は1〜2メートルの海水で溢れます。原子炉建屋周辺に防水壁をめぐらせ、建屋の密閉性を高める、屋上に空冷式のディーゼル発電機を設置するなど対策は多数で、心配の種は尽きない感じです。

 浜岡原発の本当の危険性は東海地震の震源域に位置していることです。菅政権下で運転が停止させられたのもその心配のためです。再稼働を目指して外洋の津波対策ばかり熱心なのを見ると、世間で言う「原発震災」の元祖は浜岡なのに、自覚されていないと思ってしまいます。

 【参照】インターネットで読み解く!「浜岡原発」関連エントリー


リアリスト石破・自民は手強い:早々に公約凍結

 総選挙が終わってまだ首班指名をしていないのに自民党の石破幹事長が選挙公約の実質凍結を言い出しています。「軍事オタク」として有名な方だけに現実に適合するしかない外交の局面を理解しているのでしょう。夢想家タイプの安倍総裁を支えているのか、一発かましているのか真相は知れませんが、これまでの自民政権からみて奥行きが深い印象があります。少なくとも民主党政権のように、中国国家主席が日本国首相に立ち話で牽制した翌日に、尖閣国有化を「断行」するよりは知恵がありそうです。

 毎日新聞の「竹島の日:来年の式典見送りを、石破幹事長が示す」は《自民党の石破茂幹事長は20日、同党が衆院選公約集に2月22日を「竹島の日」とし、政府主催で祝う式典を開くと明記していることについて「政権を担っている間に実現に向けた雰囲気を醸成していくのが先決だ」と述べ、来年の開催を見送るべきだとの認識を示した》と伝えました。

 自民党の掲げた公約は、今度の韓国の大統領選で当選した朴槿恵氏が就任する2月25日を前にしたあまりにも悪いタイミングと知られていました。就任式直前の「竹島」日本政府式典は喧嘩を売っているようなものです。石破幹事長の理屈で自民党選挙公約の凍結がうまく収まるなら、朴氏に外交上の得点を稼がせて韓国内でのフリーハンドを持たせることになり、今後の展開を考えれば遙かに賢いのです。軍事はモノとモノとの世界ですから、この局面が空想では動かない点に理解が早いはずです。


政治から降りずパスした有権者ゲーム感覚に問題・12/17追補

 総選挙の結果は自公で3分の2、320議席を超えました。しばらく衆院再議決可能な多数体制が続きますが、本当に信任されていないのは明白です。3年前に自民を政権から追放した有権者は今回はパスしただけです。投票率が前回の69%から59%程度に下がりました。次の国政選挙で投票に足る受け皿が用意されていたら、一度下野したのに本質的な党改革・体質改善を怠っている自民が手痛い目に遭うのは確実でしょう。問題なのは、その間にも時間は経過していき、国政上の決定は取り返しが付きません。2005小泉郵政解散で小選挙区制の振れの大きさを知りゲーム感覚になっている有権者は、一度は自分が支持した政党を見届ける責任もある点をお忘れのようです。いや、支持者と党を結ぶ絆があまりに希薄でした。

 2005年の総選挙から始まった有権者の「信賞必罰」投票については、《有権者の信賞必罰投票とマスメディアの漂流》にまとめました。小泉改革への過度の期待から始まって、失望するたびに自民に叱責を加え、民主党への政権交代をもたらしました。それが失政続きで民主への叱責に変わり、自民への支持に戻ることなく民主支持放棄の形で再び政権交代です。《石破氏 “自公で過半数なら連立へ”》(NHK)で《石破氏は、今回の衆議院選挙について、「民主党に逆風は吹いているが、『自民党頑張れ』というのとは違う感じを持っている。仮に自民党が多数の議席を獲得しても、錯覚を起こしてはいけないというのが実感だ」と述べました》としている通りです。

 有権者の相当数が決して政治から降りていないのにパスした結果、今回総選挙の本来のテーマであった福島原発事故と消費税増税に、明確な判断が出なかったと見られます。来年夏の参院選で蒸し返さざるを得ないでしょう。その先にある次の総選挙も見据えながら野党側がどのような受け皿を用意できるか、与党に戻る自公に劣らず、野党側の政治日程はかなり忙しいはずです。

 【追補】なぜか「自民に票が集まった」との錯覚に陥っている方が多いようです。とんでもないことです。比例区票も小選挙区票も前回比で大きく目減りしました。毎日新聞の「衆院選:自民、比例57 前回並み」は「全国の比例得票数を集計したところ、自民党は1662万票で、05年の2588万票を大きく下回り、09年の1881万票にも及ばなかった。得票率も27.6%で09年の26.7%とほぼ変わらなかった」と伝え、支持の広がりはなかったとしています。小選挙区得票は2564万票で前回から165万票も落としています。戦後最低59.32%の投票率がもたらした票の絶対的減少の中、組織票がある自公が勝ったに過ぎません。

 【参照】インターネットで読み解く!「有権者」関連エントリー


有権者の信賞必罰投票とマスメディアの漂流

 投票日が迫る総選挙、投票率が下がって自公が大勝、政権復帰濃厚です。2005小泉郵政解散で小選挙区制の使い方を知った有権者が、2007参院選以降「信賞必罰」投票をしていると理解すれば善いでしょう。熟語の意味と少し違って「望みを託す側に入れて、失望したら外す」行動です。総選挙終盤に至って4割、5割もの有権者が投票先を決めず、投票しない人が増えるでしょう。この結果、福島原発事故と消費税増税という今回総選挙の本来テーマが霞んでしまいました。マスメディアは本来の争点をそもそも認識していなかったのですから有権者を誘導することが出来ず、選挙情勢調査結果の極端さに右往左往し、評価の切り口を見つけられずに漂流しています。

 2005年から国政選挙で起きた有権者の信賞必罰ぶりをまとめました。

 選挙   【政権側】【野党側】
 2005衆院  信賞→→→→→→→(小泉改革へ失望) 
 2007参院  必罰→→→→→→→(衆参ねじれ国会) 
 2009衆院  必罰______信賞→→(政権交代)
 2010参院  必罰
 2012衆院  必罰______信賞無し(政権交代?) 
 2013参院  必罰?

 小泉郵政解散で有権者が政治に関わる味を覚えたのは間違いありません。その年9月の《時評「勝った以上は『改革の党』にさせよう》で、最後にこう書きました。「再来年夏の参院選だって小選挙区同然です。民意の動かし方を知った有権者が失望して逆に動けば、底なしの大敗だってあります。それに今回の選挙での動き、今後求められる改革は、自民党の従来型支持基盤を壊す方向にあるのは明白です。小泉後継とも目される方たちが超大勝に慄然としているのは当たり前のことなのです」

 小泉構造改革は有権者の期待に反して、細部を丸投げする形で中途半端に終わりました。小泉氏にはシングル・イシューに単純化して訴える能力はあっても、政策を体系的に仕上げる力は無かったわけです。日本は変わると思いこんで投票した有権者の「必罰」は、2007参院選で自民に27議席減の大敗をもたらし「衆参ねじれ国会」が生まれました。この過程で小泉後継の安倍政権は既に落第になっていました。

 2009総選挙で「民主圧勝308議席、自民惨敗119議席」は必然の道筋にあったとするしかありません。《衆院選ブログ観測(4)4年前が政権交代の伏線》でも民主党への期待は記録されています。それが軽い失望に変わった点は2010参院選での「民主10議席減」で表現されました。

 そして、今回の総選挙では「自公300議席、民主70議席」程度と伝えられるのですが、自民への「信賞」が無い点が特徴的です。自民党自身の調査で追い風を感じられないのです。下野した自民に党変革は無く、民主党がこけてくれる形で得る政権復帰では、3年前に自民追放を強烈に願った有権者が来年の参院選で支持してくれる可能性は極めて低いでしょう。ブルームバーグの《安倍自民総裁:政権奪還してもはらむ「参院選リスク」−16日に衆院選》は次の指摘をします。《慶応大学大学院の曽根泰教教授は、自公政権が復活した場合の課題について「参院で法案が否決されることが多くなり、政権交代したのに決められないとか決まらないという批判は出てくる。そこを覚悟で政権運営をしないといけない」と指摘。経済評論家の上念司氏は「衆院選は勝って当たり前」とした上で、「景気の部分で腰折れすると間違いなく7月の参院選で大敗してそのまま引きずりおろされる」との見方を明らかにした》

 昨年初、《『新政権を育てるのに失敗』年賀状での心配事》で「政治とカネ」に政局話で空騒ぎするマスメディア批判を書きました。政権に厳しい有権者の信賞必罰パターンは決まっているのですから、国政選挙の間に意味がある政策的実績を残せるようにマスメディアも考えないと、不毛な政権交代が延々と繰り返されることになります。


安全性疑義封印のまま中国高速鉄道網が概成

 昨年7月に死者40人の追突事故を起こした安全性をめぐる疑義が解明されぬまま報道を禁止、中国高速鉄道の建設が急ピッチで進んで、年内に営業距離9千キロと日本の新幹線網の3倍に達します。主要都市間がほぼ結ばれて、米国NASAが公開した夜の地球写真を見てもらうと、鉄道網は街の明かりが作る点と線そのものです。安全性についての続報と合わせて、中国高速鉄道網の現時点をチェックしておきます。まず、「地上の星か 夜の地球をとらえた鮮明な写真、NASAが公開」から衛星写真を、japanese.china.org.cnからネットワーク路線図を引用します。



 年内最後の開通は《京広高速鉄道、12月26日開通へ=武漢−北京が4時間19分―中国》です。内陸部中央を南北に連なる光の点が路線をくっきりと見せてくれます。12月始めには《ハルビン―大連の高速鉄道が開業、世界初の寒冷地高速鉄道―中国》がありました。これも東北部の光の列で示されます。

 10月末時点で総延長距離が7735キロと報道されており、新たにハルビン―大連が921キロ、京広の新規開通「北京―鄭州間」も500キロを超えます。北京から広州まで2200キロ(8時間)には邯鄲、鄭州、許昌、赤壁、岳陽、汨羅、長沙など春秋戦国から三国志など戦史を彩る地名が溢れています。《「四縦四横」の高速鉄道網、ほぼ完成―中国》にある南北方向「四縦」は出来上がり、東西方向の「四横」がやや遅れているようです。追突事故があった温州は上海・寧波から福州・深センに南下する途中です。

 今年になって大事故は伝えられていませんが、鉄道路盤の安定を待つ期間や試運転・習熟期間の短さは日本国内の常識から遠いものです。3月の《中国:高速鉄道の未開通部分が崩壊、湖北省−安全懸念が再燃》のような際どいニュースが絶えません。「事故は同省の省都である武漢市と宜昌市を結ぶ漢宜高速鉄道(全長291キロメートル)の一部で9日に発生。現場は300メートルにわたって崩壊し、修復のため数百人の作業員が派遣されたという。同区間の試験運転は既に済んでおり、5月に開通予定だった」

 NHKは《中国鉄道事故から1年 教訓はいかされたのか》を制作しています。「今年、事故から1年もたたないうちに高速鉄道の建設を再開したのです」「新たに5兆円もの建設費を予算に計上し、整備の遅れを取り戻そうとしています。しかし、高速鉄道の整備が再び加速する中、事故の教訓を活かした改革が進んでいないことに専門家は警鐘を鳴らしています」として、北京交通大学教授の次のコメントを入れています。「このまま再び建設のスピードをあげれば、安全管理はおろそかになるだけです。そもそも、こんなに急ピッチで建設を進める必要があるのか、どのように安全を確保するのか、考えなければなりません」

 目視ではブレーキが間に合わない高速鉄道の命綱は自動列車制御システムです。昨年末の「再発必至、中国高速鉄道事故の無意味な政府調査結果」で「制御システムは鉄道省と関係が深い国有企業が請け負ったが、設計段階から開発管理が混乱し、システムに重大な設計上の欠陥と安全上のリスクが生じた。だが、鉄道省の入札審査や技術審査が甘く、欠陥が修正されないまま導入された」「落雷で欠陥のあるシステムに障害が起き、誤って後続列車に進行を許す青信号が発信されたことが主因」と中国政府の発表を伝えました。その欠陥が除去された保証がありません。日本や欧州からつぎはぎ導入したシステムを完全にするのは至難です。依然として中核部分はブラックボックスである可能性が高く、想定外の異常事態に正しい応答をする保証が無いはずです。

 【参照】インターネットで読み解く!「中国高速鉄道」関連エントリー


全てを失うか野田首相、自民は何もせず政権復帰

 日曜のテレビ討論で安倍自民総裁が消費税増税は景気動向を見極めてからとの姿勢を示しました。内閣府が7日に発表した10月の景気動向指数は「悪化」に転じており、2段階増税の内、2014年4月分は無条件実施の思惑が崩れかかっています。公約していない増税法案を成立させ、見返りに民主惨敗になる解散・総選挙までサービスした野田首相に、唯一の仕事「消費増税」すら残らない可能性が高まってきました。その一方、政権復帰が濃厚な自民は原発問題は10年棚上げ、消費税は日和見で対処、デフレ対策は日銀におんぶ、取り立てて新しい成長戦略なし――大学ならとても単位認定してもらえない「低成績」なのです。

 共同通信発・日刊スポーツの《野田首相と安倍氏、消費税増税で火花》はこう伝えています。《首相はフジテレビ番組で、2014年4月に消費税率を引き上げるか賛否を明らかにしなかった安倍氏に対し「増税は避けられない。(民主、自民、公明)3党合意をしたのに何だ。選挙の前におびえている」と反発。安倍氏は「来年4〜6月の経済動向に関する指標を見て秋に判断する。何が何でも上げるというものではない」と景気動向を慎重に見極める考えを示した》

 景気が悪化した場合には増税実施を先延ばしすることは合意されていました。それは増税の悪影響も出る2段階目について想定されていた話で、第一段階では心配ないと思われてきました。

 ところが、ウォールストリートジャーナルの《日本が景気後退期入りの可能性―内閣府の基調判断「悪化」に》は《内閣府が基調判断を引き下げたことで、民間のエコノミストの間では、日本経済は今年初めに景気後退期入りしたとの見方が強まった》としています。《7‐9月期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で前期比3.5%減となり、2011年3月の東日本大震災後以来、最大の下げ幅を記録した。エコノミストによると、10‐12月期もマイナス成長となる見込みだが、2013年1‐3月期には海外の景気回復に支えられて、プラスに転じる可能性がある》

 景気後退がそんなに浅くて、直ぐに景気が戻るものなのか、重症の欧州や陰っている中国の動向を見ると疑問があります。安倍総裁の「来秋に判断」は政権を持っていた場合に、来年夏の参院選での影響を最小限にしたい思惑も含んでいると見られます。攻めの政策を語っているようで、実は中身に乏しい安倍自民らしい保身策です。野に下って3年、政策を一から再構築する地道な動きなどまるで無かったのですから、前政権時代のような駆け引き政治に再び戻るのでしょう。

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民自公の増税隠し奏功か:総選挙ツイート観測

 総選挙公示から一夜が明けました。選挙動向を占うツールとしてツィッターを使って観測すると、今回選の2大テーマであるべき原発と消費税増税の内、増税への言及が薄く、増税を決めた民自公3党の問題点隠しが奏功している感じです。「buzztter - Twitter のイマを切り取ったー☆」で観測されたツイート数グラフを使い、比較できるようスケールを調整しました。1日午前0時ごろから5日午前5時までの記録です。


 キーワードごとのツイート数推移を見ると「選挙」が3日深夜から伸びていて、公示が強く意識されたことが分かります。「原発 OR 原子力」は公示以前から話題になり続けており急に増えた訳ではありません。「TPP」と「消費税 OR 増税」はほぼ同じくらいで、ピーク値が「原発 OR 原子力」の17%程度です。「景気 OR 雇用」は11%位で、いずれも見やすくするために2倍スケールにしました。

 解散時に野田首相が争点として環太平洋経済連携協定(TPP)参加を持ち出したのは、与野党3党で決めた消費税増税問題から目をそらさせるためだとの観測があります。ツィッターでの言及具合を見る限り、長く国政の焦点だった消費税増税が埋没している感が否めません。反対の「日本未来の党」などが選挙戦で争点にすることが出来るか注目です。

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維新の幻滅、媚びたメディアに選挙歪めた責任

 民主、自民に対抗する第三極は維新と決めつけたメディア報道が延々と続いたあげく、維新の主張する重要政策が自民と大差ないと判明。橋下氏の日々変わる言動を追い続けた無意味さに猛省を求めます。膨大な報道は維新の知名度を無用かつ歪に高めたと指摘します。2011統一地方選での大阪維新勝利以来、新聞紙面やテレビ番組内で大きく扱われる点だけを評価軸にした「駆け出し記者的無定見」が各メディア編集部門を支配していたのではありませんか。最も大事な国政選挙である総選挙が、橋下節の話題性で曇らされてしまいました。

 今回総選挙の主要テーマは福島原発事故を受けたエネルギー政策の転換であり、民自公3党で選挙の洗礼無しに決めてしまった消費税増税であることはあまりに明らかだったのに、日本未来の党が前面に打ち出すまでメディアは避けていました。毎日新聞の《2012衆院選:どこが違う、主要政党が描く未来像 政権公約、実現性は?》が「(1)原発・エネルギー(2)経済・財政(3)社会保障……」と並べているので見ましょう。

 原発に対する維新の政策は太陽との合流以来、迷走しています。「維新は脱原発を唱えていた橋下徹代表代行と脱・脱原発が持論の石原慎太郎代表が合流し、政策が曖昧になった」とあるとおりです。一方、消費税は「未来、みんなは消費増税の凍結を主張し、賛否は二分。維新は消費税を地方税化して11%とし、このうち6%を自治体間の税収格差を調整する地方共有税に」であり、維新は重要政策で「原発問題先送り・消費税10%」の自民と同じ歩調です。自民補完勢力と揶揄されても仕方がありません。

 総選挙本番を前にした維新の失速幻滅について「いい気味」と思うメディア関係者もいるかもしれませんが、読者や視聴者をここまで長く引きずり回した経緯を見ればメディアの信用も大きく傷ついたと言わざるを得ません。国政選挙に影響すると分かっている以上、くるくる変わる橋下言動など記録するべきではなかった、この国をどう変えるのか、早く姿を見せろと迫るべきだったのです。「原発と増税が総選挙本来テーマ」の基本をおさえることなく橋下氏の日々に変わる言動を追い続けたジャーナリズム精神の欠如が、日本のマスメディアの悲しい現状です。

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