<< August 2012 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
 
Latest Entry
Profile  Facebook
Dando's Site
Category
Search

Archives
Recent Comment
Recent Trackback
Admin
   
Mobile

非正規雇用にある男性の半分は生涯未婚か

 厚生労働省が30日に発表した「平成22年社会保障を支える世代に関する意識等調査」を詳しく分析すると、非正規雇用の形態にある男性の半数は生涯未婚に終わる可能性が高いと読みとれます。収入が十分でないから結婚できないと俗に言われてきましたが、実態は想像以上に深刻であり、若い世代の半分は非正規雇用の職にしか就けない現状では少子非婚化の流れが加速しそうです。


 調査報告書は「就業状況別に婚姻の状況をみると、男性は正規就業者の方が未婚の割合が低く、女性は逆に正規就業者の方が未婚の割合が高くなっている。特に30 歳代は男性の正規就業者の未婚割合が30.7%であるのに対して、非正規就業者は75.6%となっており」と30代に注目しています。しかし、これから動く30代に比べ、40代の未婚率、非正規45.7%と正規15.1%の方がもっとショッキングです。2010年国勢調査を分析した第267回「30前後世代に明確な結婚回帰:国勢調査を分析」で計算しているように、40代の10年間で未婚率は2.6ポイントしか下がりません。45.7%という数字は、50歳時点と定義されている生涯未婚率に限りなく近いのです。

 さらに、40代男性全体の未婚率が19.8%しかありません。国勢調査の未婚率は40〜44歳が27.9%、45〜49歳が21.5%であり平均して25%近くあるべきです。標本の抽出が適正だったとすると、回答を回収できなかった部分に多数の未婚者がいると考えられます。この調査の未婚率は現実よりもかなり低く出ているとみるべきで、45.7%が実は50%を超えている実情を推測させます。なお、グラフで50〜64歳の未婚率が、正規、非正規ともあまり差がないのは、近年の非正規雇用拡大がこの世代までは及んでいないためと考えられます。

 【参照】インターネットで読み解く!「生涯未婚」関連エントリー


全町避難だから異議が言える異常な線量基準

 福島原発事故で全町避難している双葉町が、国が設けた避難区域の線量基準に異議を唱え、町民の帰還に向けた区域再編協議を拒んでいます。年間線量が5ミリシーベルトを超えていても20ミリシーベルトまでは住民を帰す国方針では安全が確保できないと考えているからです。5ミリシーベルトはチェルノブイリ事故での移住基準であり、放射線障害防止法で定める放射線管理区域の設定基準にも相当し、健康に問題があると考えて当然です。ところが、福島市や郡山市など広い範囲が現在も5ミリシーベルト以上なのです。福島県内の自治体が住民を繋ぎ止めるためにしない異議申し立てが、全町避難の双葉町だから出来る構図になっています。今なお国に依存しているマスメディアには不思議に思う気配すらありません。

 福島民報の《国の線量基準に不満 双葉町が再編協議拒否の理由示す》はこう伝えています。《チェルノブイリ原発事故で立ち入り禁止とされた区域の放射線量と国の「居住制限区域」の線量を比較し、日本側が4倍も高いと指摘。国の基準で区域を再編した場合、町民の安全は守れないなどとしている》《国は50ミリシーベルト超を「帰還困難区域」とする一方、20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下は住民の帰宅や通過交通を認める「居住制限区域」、20ミリシーベルト以下は除染やインフラの整備を進め住民の早期帰還を目指す「避難指示解除準備区域」に再編する方針。町内については、この線量基準などに基づき3区域に再編する案を示しているが、町側は住民の安全確保などの観点から町内全てを帰還困難区域にするよう求めている》


 上に掲げたのは4月の「20mSvで居住可の無茶を何年も続けて良いのか」で取り上げた5年後の空間線量予測地図です。帰還困難が年間20mSv以上と限れば原発がある双葉町でも赤色とオレンジ色、黄色の部分は半分以下です。しかし、放射線管理区域の基準で見れば町全体が該当します。そこで放射線管理区域では禁じられている飲食はもちろん、寝泊まりして生活することになったらたまらない――とても正常な判断だと考えます。住民の離散を防ごうと、こんなに高い線量なのに事故直後から避難を妨げている実態がアブノーマルです。「ふくしま集団疎開裁判」の《判決前夜アクション:矢ヶ崎克馬氏の警鐘「いま、申立人の子どもたちは全員、チェルノブイリ避難基準の移住義務地域で教育を受けている」》が指摘する「年間1mSv以上で移住権利、5mSv以上が強制移住」が奇異に受け取られている福島の現状がおかしいのです。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


超高汚染魚が出現:網羅性欠く東電調査に問題

 福島原発事故が起きてから最大の超高汚染魚が現れました。「セシウム:アイナメから2.5万ベクレル 福島第1沖」(毎日新聞)などが一斉に伝えています。淡水魚にはキログラム当たり1万ベクレルを超えるケースはありましたが、海の魚として桁違いです。これまで東電が公表してきた調査を遡れば、原発周辺ほど高汚染という予断で出来た調査体制であり、網羅性を欠いています。河川の汚染が原因で、高汚染魚が原発から離れた沿岸に広く分布している恐れがあります。

 報道では「アイナメは福島県南相馬市の太田川沖合1キロ付近で2匹を採取。放射性セシウムはそれぞれ、1キロ当たり3万8000ベクレルと9300ベクレルで、両方合わせると同2万5800ベクレルとなった」「7月18日から8月1日に魚介類を採取し、放射性物質による影響を調べた。国が定める一般食品の基準値(1キロあたり100ベクレル)を超えたのはクロソイなど10種類に上った」となっています。3月の「放射能海洋流出は止まず:自分に甘い東電に任すな」で紹介しているように、アイナメの汚染は最高3000ベクレル程度でした。


 上の地図に追加記入したように、太田川は原発20キロ圏ぎりぎりで太平洋に注いでいます。原資料は東電が3月30日に発表した「福島第一原子力発電所 20km 圏内海底土中放射性物質濃度(セシウム)移行調査結果図」で、原発近くに目が行って太田川周辺まではよく調べられていません。

 地元の「放射能測定センター・南相馬 とどけ鳥」が太田川から2つ北の真野川を調べた「南相馬市5つの川の放射能マップ完成!!真野川編」があります。上流の真野ダムの土手土壌からセシウムキロ当たり5万ベクレル超が検出されるなど、川の汚染は高レベルです。太田川も上流に横川ダムを持っていて、福島原発事故で放出されたセシウムがダムの流域から集まり、海に流れ出ている恐れがあります。

 NHKのニュースによると、東電は「これまで海底の土から検出された1キログラム当たり25ベクレル前後と比較すると高いので、いわゆるホットスポットにいた餌を食べたと考えられる。来週から9月末まで、毎週、今回と同じ沖合1キロを中心に2キロ四方でアイナメと、餌になるエビやゴカイ、それに海底土を採取して原因を調べたい」としています。これでは真野川など他の川の沖に高汚染魚がいても見つかりません。調べるなら沿岸部を網羅して取り組むべきです。原因が河川汚染なのか、原発本体からの流出によるかの判別は非常に重要です。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


インドの大失速が理解できる材料が出そろう

 インドの人口が十数年先で中国を抜いて世界一になるのは確実なものの、経済大国として君臨する可能性は乏しいと考えるべき背景データが出そろってきました。開発独裁の中国ですら順調に経済を拡大し続けるのは世界にある各種資源の限界からみて難しいのに、発展の準備が内側に出来ていない世界最大の民主主義国家インドは非常に厳しそうです。最近のニュースでは《インド、2012/13年度の成長率見通しを6.7%に引き下げ》ですが、象徴的なのはこの夏、6億人を巻き込んだ大停電でしょう。

 財経新聞の《インドのブラックチューズデー(大停電):2012年7月31日》は計画目標の半分しか発電設備が出来なかったと伝えます。「人口の50%を占める推計約6億人が電気の供給を断たれたこの大規模な事故は、インドの電力系統がここ10年に渡って逼迫状態であったことを明確に示しています」「送配電ロスと電力の盗難(無断使用)は依然として発電量の20%に近い割合を示し、設備発電容量の拡大は国の必要量を満たすに至っていません。過去の5カ年計画で打ち出された目標はほとんど満たされておらず、過去3期の計画容量は推計必要量を下回り、有効設備発電容量の実現率は50%に落ち込んでいます」

 実は偶発的な大停電が問題というよりも、長時間停電が日常になっています。インド南部、人口110万人の古都に嫁いでいる女性のブログ『マドゥライから』の「2011国勢調査結果からインドの現状を知る」が訴えます。「想像してみてください――日本の6月から9月に掛けて、週末も含めて、朝6時−9時▼正午−午後3時▼午後6時−6時45分▼夜8時15分−9時▼夜10時30分−11時15分▼夜中3時15分−4時――毎日これだけの停電が会社・病院・学校などで実施され、停電中は扇風機も電気も使えません。しかも、猛暑時期には、さらに停電状況は悪化するのです」「急激な発展を遂げている故の電力不足で、こんなことは今までにない状態。しかし、インドの発展のために日本を含め、さらに多くの外資系企業が南インドへ工場などを建てているため、電力需要は増すばかり」

 2011年国勢調査によれば電気が来ている世帯は全国で67%しかありません。工場を造り、商品を生産する上で重要インフラである電力供給が既に破綻しています。政府に電力供給を正常化する力は乏しいようです。緩やかな発展に慣れてきた政治家・官僚組織が、中国のような土地まで取り上げ放題の開発独裁体制ではないのに、急速発展に適応できると考える方が無理でしょう。民主主義の手続きを踏むならゆっくりと進まざるを得ません。電力ばかりでなく、穀物生産でもサイロが整備されていないので、収穫量の1割以上は腐らせてしまうと言われます。

 教育面の立ち後れから膨大な若い労働力を生かせそうにないとするのが、英フィナンシャル・タイムズの《インド株式会社は決して中国に追い付けない》です。「インドは、深刻な栄養失調状態にある世界の子供の約半分が暮らしている国だ」「一方、中等教育(質にばらつきがある)を受けているインド人はわずか23%に過ぎないが、中国ではその割合がインドの2倍を超えている。中国は大学を卒業する若者を増やそうと奮闘しているのに対して、インドはいまだに、若者が初等教育から落ちこぼれないようにするという問題に取り組んでいる」「2011年の調査では、インドの第5学年(10歳)の生徒の半分が、3歳年下の生徒向けの文章を読めなかったことが明らかになった」

 フィナンシャル・タイムズは5月にも《[FT]失速するインド経済、政府は自由化推進を(社説)》を掲げて、ルピー安がインフレに拍車を掛け、経済を落ち込ませているとしました。「インドの失墜の象徴がルピーだ。ルピーは今年、対ドルで17%以上下落し、史上最安値を記録した。通貨安は本来、少なくとも輸出の助けになるはずだ。実際には輸出は、3月に3.5%減少した工業生産とともに落ち込んだ」「ルピー安のせいで石油などの輸入品は高くなった。おかげで国内総生産(GDP)比約4%と既に憂慮すべき水準にある経常赤字は一段と拡大した。ルピー安はインフレにも不利に働く。インドのインフレはきちんと制御されたことがなく、今では再び7%台に達している」

 規制や労働環境が面倒なインドに工場を造るくらいならば、隣国バングラデシュの方が手っ取り早いとの声も聞かれます。暴動が起きたスズキのインド子会社マルチ・スズキのマネサール工場は再開されますが、少なくともインフレの進行に見合う賃上げは欠かせないはずです。見え始めた歪みだらけの全体図はどこから改善に着手すべきか判然とせず混沌としたものです。強力な改革志向政治家がもし現れたとしても、10億を超える民を動かすカリスマ性が無ければ単なる「大風呂敷」に終わります。しかも、粗衣粗食を通した独立の父ガンジーが残した言葉「インドが英国のようになれば地球がいくつあっても足りない」の先見性は21世紀の今、中国の発展まで射程に置きながら輝き出しそうなのです。

 【参照】第304回「インド国勢調査と経済大国予測のギャップ」
   第298回「インドの大気汚染は中国以上で世界最悪の報道」
   インターネットで読み解く!「インド」関連エントリー


ブログ界定点観測ネットに『中国・海外』追加

 ブログ界定点観測「ジャパン・ブログズ・ネット」に新分野『中国・海外』を追加しました。中国を中心にインドや東南アジアからなど最近、収集した、見るに値するサイトのRSSフィードが新着順に並べてあります。東日本大震災・福島原発事故の発生でメンテナンスが停止状態でしたが、『政治・経済』など各分野にも手を入れて行きます。フィードに全文を収録するサイトが増えているなかで、多くのブログをざっと概観できるよう先頭段落程度に限って引用してあるのが特長です。

 ちょうど竹島・尖閣列島の領土問題があちこちで取り上げられています。国内の反応は『政治・経済』などから、海外の情報は『中国・海外』から得られます。研究者や専門家の多様な意見が見られます。まだ解散風が吹いているとは考えませんが、総選挙への動きで橋下新党についての関心も高まっています。この動向も睨みながら収録サイトを増やしていきます。是非ご活用下さい。


なでしこサッカーが米国と『両雄相並んだ』日

 五輪女子サッカー決勝の光景は今まで見たことがない、強者同士がぶつかり合う美しさでした。《米メディアがなでしこらを称賛「聖地で美しいサッカーが行われた記念すべき夜」》(soccer-king.jp)が「『ESPN』は世界女王決定戦について、『ウェンブリースタジアムには、オリンピックの女子サッカー史上最多となる80,203人の大観衆が詰めかけた。日本とアメリカはどちらも攻守の切り替えが素早く、一瞬たりとも目が離せないサッカーを繰り広げ、改めて両チームがトップレベルのチームであることを証明してみせた』と報道」と伝えました。

 1年前の第270回「女子サッカーW杯優勝:敵を知る米国も防げず」で描いた神懸かりでなく、五輪ブラジル戦・フランス戦での堪え忍んで勝つサッカーでもない、最強米国と互角にした秘密を、キャプテン宮間選手の半年前のインタビューから覗けます。《宮間あやサマを「ネ申」だと思う理由》(Sam-Home Sam-Camp WEBマスターのお気に入り!)が収録しています。

 質問「アメリカの選手たちはフィジカルが強くコンタクトプレーでは日本はどうしても不利になる。ロンドン五輪ではアメリカとの再戦も予想されます。再び勝利を収めるためには、何が必要だと思いますか?」に対し宮間選手はこう答えます。「日本とアメリカとの間にあるのは『差』ではなく『違い』だという発想が大事になるでしょう。たとえばフィジカルを差ととらえてしまうと、アメリカのようにフィジカルの強いチームを目指さなければならない。これは私の持論ですが、フィジカルの強さは『決定的な勝利の要因にはならない』けれども、フィジカルの弱さが『負ける要因にはなる』ので、ある程度、フィジカルのトレーニングは必要です。だけど、それによって(差を埋めることで)勝つのではなく、『違う』点で勝負をすることが大事だと思っています」

 W杯での奇跡的勝利が、米国選手には「悪夢」であり雪辱に燃えていたことを《リベンジにかけるアメリカ選手の心境》(MikSの浅横日記)が『ワシントン・ポスト』紙からまとめています。

 ワンバック選手は「あんなつらい敗北の後の数日間は、朝、目が覚めると、『あれは現実だったのか?』と自分に向かって考えるようになるものです」と語っているそうです。「確かに、本当に起こったのだ、そしてあの試合の細部が――色々なことがあったこのオリンピックのトーナメントの最中でも――アメリカ選手に付きまとっていたのだ。ワンバックは当初、あの試合の悪夢を何度も見たことを初めて打ち明けた。あのきわどかった準決勝のカナダ戦の勝利の直後、MFのカーリ・ロイド(Carli Lloyd)は、まぢかに迫る決戦を念頭に『復讐(revenge)』や『つぐない(redemption)』という言葉を使った」

 この米国相手の決勝は、フランス戦等を考えると非常に厳しい試練になるはずだったのに、《澤「チャンスがあれば、やれるところまでやりたい」=帰国後、監督&選手コメント》(スポーツナビ)で澤選手が胸を張って語っています。「(決勝での失点は)早い時間帯での失点だったので、そこは課題として残りましたけど、なでしことしてやれることはできていたので、そこは成長として感じていました。五輪の中では一番いい試合ができたんじゃないかと思います」

 佐々木監督には、今回のハイレベル日米決戦の彼方が見えています。「(ここ数年で各国の女子サッカーが進化したことについて)デンマークとかノルウェーとか、僕が監督に就任する前は、前に蹴ってフィジカルで勝負するスタイルでベスト4に勝ち上がっていた。それが北京(五輪)での、われわれのゲームがセンセーショナルだったと思います」「ああいうフィジカル(能力)の高い選手たちが、本当にスキルを重んじるようになったら、今度はなでしことしては、身体能力のある選手が加わる中で、スキルを重んじながら、なでしこらしいサッカーを構築していくという、向こうが上がれば、こっちも上がるという環境の中で、女子サッカーもスペクタクルな男子のようなサッカーになっていくというのは間違いないと思います」

 【参照】インターネットで読み解く!《文化・スポーツ》


東電テレビ会議、問題意識ある研究者らに公開を

 東電テレビ会議映像の公開による報道が続いていますが、視聴が認められた報道陣だけでは検討し尽くすのは無理で、問題意識がある研究者らにも公開するべきです。河北新報の《「健康被害ない」と広報を 爆発直後、福島県が東電に要請か》や時事通信の《水素爆発「聞かれたら否定」=「国民騒がせる」東電会長−情報開示、消極浮き彫り》など重要な事実が公になった例は、記者の問題意識がその周辺にあったから可能になったはずです。このまままなら原子炉工学などに詳しい研究者なら分かる問題点が発掘されない恐れが大です。

 例えば、京大原子炉実験所の小出裕章さんは《東京電力 テレビ会議の分析「班目さんは官邸に居座ってる 他の安全委員の人たちが何をしていたのか一言も聞こえてこない」小出裕章8/8》で、1時間半だけ一般公開されたビデオを見て、「3月11日当日のことをまずは知りたかったのですけれども」「そのことは殆ど無かった…」「起きた時が一番その事故というのが劇的に、変化、というか、事象が進行するのです」と残念がっています。

 また、音声の大半が消され、「ピー」音でブロックされているのは犯罪的とさえ言えます。河北新報が伝えた、3号機爆発後の福島県による非常識極まる「健康被害の心配はない」文言要請も、東電以外の不祥事発言なので残されたと考えられます。プライバシーを理由にブロックされている部分に東電にとって都合が悪い発言が隠されていると考えて当然でしょう。

 特定非営利活動法人OurPlanet-TVの「東電テレビ会議映像〜全ての人に公開必須」 は「プライバシーを守る必要がある」との東電側に対し「報道機関に公開されている映像は、個人が特定できる名前などは全て音声修正がほどこされており、このまま一般に公開したとしても、プライバシーが侵害される恐れはない」と指摘しています。テレビ会議映像の復元も重要ですが、現状のままでも報道陣以外に広く公開させるべきです。

 【参照】インターネットで読み解く!「過酷事故」関連エントリー


事故調報告を逆手に取り東電会長は人災否定

 日経ビジネスの「東電・下河辺新会長、原発事故を語る」で、東電による人災が公然と否定されているのに愕然としました。法律家である新会長は「故意・過失に結びつくものにおいて」しか人災は成り立たないと主張します。真相の究明を優先して個人の責任は問わないとした政府事故調、時間が足りなくて究明しきれなかったが東電カルチャーに問題があるとした国会事故調。いずれも個人の責任まで踏み込んでいない点を逆手に取って、人災とは言えない説がまかり通っています。

 インタビューの核心部分はこうです。「基本的には、あれだけの津波が極めて残念なことに福島第1原発を襲ったのが事故の原因です。大きな津波が起きる可能性は事故以前から指摘されていましたが、津波の危険性への認識が『可能性』の域を出ず、1つの試算値としてしか受け止められないうちに3・11が来てしまった」「事故原因は、端的に(言えば)そこに尽きる。東京電力はこれまで、社内で積み重ねてきたモノの考え方や想定のなかに閉じこもっていて、外部の新たな状況や刺激を柔軟に取り込んでいくという姿勢や体質に欠けていた」

 「それが人災ということではないのですか」との質問にこう答えます。「あえてカギ括弧付きで言いますが、これを『人災』という人もいます。ただ、もともと私は弁護士であり、法律家というベースがあるので、『人災』というと帰責事由としての故意・過失に結びつくものにおいて成り立つもの(用語)という認識がある」

 個人責任に遡及できないものは人災ではないと考えているわけです。公的な二つの事故調報告が福島原発事故の究極の原因と個人の責任まで問わなかったのは怠慢と考えますが、東電側の問題点は多数指摘しています。政府事故調の場合は「個人責任を問わない」と最初から表明して、関係者の事情聴取をしやすくしました。「誰の責任」とまで言わないが、自分で考えてしかるべき処置をしなさいといった「武士の情け」的な立場と報告の構造になっています。それなのに、責任が明示されていないから個人には及ばない、だから人災ではない、との論理は不適切極まりないものです。

 外部から新会長を招くのが、実質国有化後の新生・東電の目玉人事だったのですが、とんでもなく不適切な人を選んだようです。あるいは短い時間で東電体質に同化してしまったのでしょうか。

 【参照】「事故調が責任問わぬ始末では信頼回復は難しい」
   「国会事故調は主因を津波に限らず、地震で損傷も」
   「原因は語らず懸命努力説明ばかり東電事故報告」
   「福島事故責任は誰にあるか、判明事実から究明」
   「恐ろしいほどのプロ精神欠如:福島原発事故調中間報告」
   「2、3号機救えた:福島原発事故の米報告解読」
   インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


性交経験率低下:もっと魅力的なモノ存在?

 朝日新聞が伝えた《女子も「草食化」、経験率減る 日本性教育協会調査》は、妊娠中絶減少などから推測されていた若者のセックス離れを確認する調査結果でした。昨年の第240回「若者はセックスまで避けだしているのか」に減っている中絶数や性感染症の患者数グラフを掲げています。この機会に東京都性教育研究会のデータもネット上で収集すると、やはり「地殻変動」が起きているようです。

 「1974年の調査開始以来、一貫して上昇傾向にあった女子大学生・女子高校生の性交渉の経験率が下落に転じたと、日本性教育協会が4日、公表した」「性交の経験率は男子大学生が54%、女子が47%。前回の05年と比べると、男子は7ポイント、女子は14ポイント減り、女子の減り幅が大きかった。高校生も男子が前回の27%から15%に、女子が30%から24%に減少。大学生・高校生とも男子は93年、女子は99年の水準に下がった」「キスの経験率は男子大学生が66%(前回72%)、女子が63%(同72%)、高校男子は37%(同48%)、女子44%(同52%)で、いずれも上昇傾向にあったのが今回の調査で減少した」。グラフを引用します。



 東京都のデータは2005年までのグラフが《思春期の性行動と性差/「産婦人科治療」 特集 思春期の教育と医療》にあり、「都性研’08児童・生徒の性意識性行動調査結果の概要(2008.11.12更新)」から2008年分を補って引用しました。

 東京の2008年調査で、性交経験率は高3男子47.3%、高3女子46.5%、中3男子5.5%、中3女子8.3%です。高3は全国調査と違ってほぼ大学生並の高い水準です。興味深いのは2008年調査で中学生についてです。「性交についての願望は『経験してみたい』は男子31%、女子14%となり、特に男子は99年以降40%近くも減少し続けており、この点をどのように捉えていくか課題である」との指摘です。中3男子は1999年に性交経験率のピーク15.3%を記録してから、2002年12.3%、2005年4.3%と激減、かつてない低水準になっています。セックスよりも関心を引くモノが中学生の頃から身近にあるのでしょう。例えば2000年にパソコン普及率が5割に達し、ネット利用率も34%になっています(普及率データ)。

 2010年国勢調査関連の第267回「30前後世代に明確な結婚回帰:国勢調査を分析」を見ていただくと、50歳時点の生涯未婚率予測を世代別に出しています。今、大学生の世代は男性が32%、女性が23%も未婚のまま過ごすと考えられます。性交経験率低下は、この非婚化傾向に拍車を掛けるかも知れません。

 【参照】インターネットで読み解く!《人口・歴史》


原子力規制委員長にはレフェリー役の中立派を

 秋に発足する原子力規制委員会の人事案国会承認をめぐり、一気に批判が高まっています。民主党内から「規制委人事“差し替え検討を”」(NHKニュース)や「規制委員長人事に反対=『原発推進してきた』−小沢氏」(時事通信)、国会議員「原発ゼロの会」による「規制委人事案の撤回申し入れ=超党派議員ら、細野原発相に」(時事通信)などです。

 民主党内からの異論は極めて真っ当です。「民主党の政策調査会の合同会議で『反原発の立場の人が含まれていない』などという異論が相次ぎ、座長を務める荒井元国家戦略担当大臣は、政府側に対し委員を差し替えることができないか検討するよう要請しました」。5人の委員候補がいずれも原子力の専門家や体制派ばかりだからです。

 福島原発事故の大失態を契機にした規制体制の出直し・見直しである以上、原発批判側からもメンバーを選ぶべきですし、委員長にはレフェリー役の中立派が求められると考えます。それが元原子力委員会委員長代理の田中俊一氏では「原子力推進委員会」と受け止められます。政府は人事選考で「原子力ムラ」との関係を関係業界からの年間報酬額で割り切りましたが、原子力ムラは政府中枢にも存在しているのですから無意味です。この人事案もその原子力ムラ住民が書いたのでしょう。中立派と言える人材を例えば学術会議に推薦して貰ってもいいでしょうし、国会事故調の黒川委員長に重ねて無理をお願いする手もあります。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー