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核心曖昧な事故調報告は安全基準再建に障害

 福島原発事故をめぐる公的な二つの事故調査委員会が相次いで最終報告を公表したのに、事態は解決に向けて進むどころか、最も必要な原発の安全基準再建を始めとした諸課題がますます混迷しそうです。時間に余裕があった政府事故調が津波による電源喪失を主因としつつも全容解明を放棄した点に大きな責任があります。6カ月余りと短期決戦だった国会事故調も、政府事故調と違って地震による損傷も原因と推定をした割に根拠が不足しています。全電源喪失で3基の原子炉が炉心溶融する大規模事故に見合う事故調査態勢だったのかがそもそも疑問で、当該分野の原子力学会が全く協力する姿勢を見せない異常さもあります。政府中枢を巻き込む「原子力ムラ」が事故責任を問われないよう、曖昧な決着を望んだ疑い濃厚ですが、原発再稼働には逆効果になりそうです。

 政府事故調の釈明はこうです。「当委員会は現地調査における困難性や時間的制約等の下で、可能な限りの事実の調査・検証を行ってきたが、それらの制約のため、福島第一原発の主要施設の損傷が生じた箇所、その程度、時間的経緯を始めとする全体的な損傷状況の詳細、放射性物質の漏出経緯、原子炉建屋爆発の原因等について、いまだに解明できていない点も存在する。より早い段階で1号機及び3号機の減圧、代替注水を実施していた場合に原子炉建屋の爆発を防止し得たか否かについても、現段階で評価することは困難である」

 現地に入れないなら、津波か地震か主因が判然としないなら、シミュレーションによる事故の再現作業がなおのこと必要だったと言えます。地震による機器損傷の疑いはNHKスペシャルでも取り上げられていて、耐震レベルが低い機器が事故の収束に重要な機能を担っている可能性があります。(「再稼働へ警鐘:Nスペが過酷事故欠陥を実証」

 大飯原発の再稼働で野田政権は新安全基準は暫定であり、本格的な安全基準は秋に発足する原子力規制委員会が策定するとしました。新安全基準は過酷事故対策が欠如しているのに、過酷事故は起きない前提にした福島事故以前の考え方で再稼働を強行しました。しかし、福島事故で起きた長期の全電源喪失、それに伴う過酷事故への移行について事故調報告は、東電に全く備えがなかった点を明白にしています。命綱の安全装置停止と核燃料の損傷開始以降、福島第一原発3基の炉心溶融ストーリーは違っており、福島第二原発で事態収拾に成功した手法も加えると、検証すべき事故事象の幅は広大です。

 本来、このような事故事象を扱ってきた旧・原研のスタッフを入れないで、聞き取り調査を中心に据えた事故調査をしたことが間違っていたと考えられます。「過酷事故は起きない前提」にして現在は簡単な運転マニュアルで済ませてきました。過酷事故を前提にすると事故推移経路は複雑多岐になります。単独の事故か、複数基の同時事故かでも外部支援を含めて対策が違ってきます。どのような事故対処マニュアルを用意させるべきか、各原発ごとに特性も違います。統一した安全基準を作るのはかなりの力業になるでしょう。

 これとは別に「福島の事故原因が究明されなければ原発再稼働はしない」と主張している新潟県知事の了解を得るのにも、両事故調報告の食い違いは不都合です。両報告ともに多数の提言をしているものの、事故の核心的な原因を確定して、それを防ぐ再発防止決定策はありません。これも非常に物足りない印象を与える理由です。

 【参照】「事故調が責任問わぬ始末では信頼回復は難しい」
   「国会事故調は主因を津波に限らず、地震で損傷も」
   「原因は語らず懸命努力説明ばかり東電事故報告」
   「福島事故責任は誰にあるか、判明事実から究明」
   「恐ろしいほどのプロ精神欠如:福島原発事故調中間報告」
   「2、3号機救えた:福島原発事故の米報告解読」
   インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


本業の事故究明を怠る東電は世間をなめている

 福島原発事故で東電が「原子炉にはまだ水がある」と言っていた時、しばしば原子炉水位は核燃料の上端どころか下端までしかなかった――政府事故調の最終報告は綿密な論証をして、専門家中の専門家であるべき東電の技術的な錯誤を指摘しています。さらに問題なのは本業の原子力発電で起きた事故で「事故の再発防止に全力を挙げて率先して取り組む責務を負っているのであり、一連の事象進展の過程から新しい知見を獲得し、それを事故の再発防止と原子力発電の安全性の向上に役立てようという熱意を持つべきであるが、同社の原因解明に向けた姿勢からは、そのような熱意が認められない」と断じられる姿勢です。世の中をなめていますし、科学技術を恣意的に弄んでいます。

 最終報告の本文冒頭で、失敗学を標榜する畑村洋太郎委員長らしい各種測定機器の動作解析が延々と続きます。推理小説なら伏線部分です。そして、「総括」で「事故当時を振り返ってみても、原子炉水位計の指示値が長時間にわたって変化を示さなくなったことについて、本店及び福島第一原発関係者の中で、原子炉水位が炉側配管入口(有効燃料下端(BAF)の更に下方に位置する。)を下回っている可能性があることを指摘した者はいなかった」「事故当時もその後も、測定結果を用いて、圧力容器や格納容器の健全性を推し測り、プラント状態の正確な把握に努めようとはせず、マニュアル的に炉心損傷割合を算定して保安院に報告するのみであった」と技術屋失格が語られています。

 失敗学的な観点から、専門職掌別の縦割り組織に問題ありともされました。「自分の専門分野に関する知識は豊富であるが、一方、それとは対照的に、それ以外の分野については密接に関連する事項であっても十分な知識を有するとは言い難い。このような人材によって組織が構成されれば、一人一人の視野が狭くなり、平時には問題なく組織が動いているように見えても、今回のような緊急事態時には、そうした組織の持つ弱点が顕在化してしまう。吉田所長が、3月11日の早期から消防車による注水の検討を指示していたが、あらかじめマニュアルに定められたスキームではなかったため、各機能班、グループのいずれもが自らの所掌とは認識せず、その結果、同月12日未明まで、実質的な検討がなされていなかったという事実があるが、これなどは前記の弱点が顕在化した典型的な事例といえよう」

 過酷事故を想定した教育や訓練の不備が致命的でもありました。「東京電力の事故時運転手順書(いわゆる事象ベース及び徴候ベース)のいずれを見ても、複数号機において、スクラム停止後、全交流電源が喪失し、それが何日も続くといった事態は想定されておらず、数時間、1日と経過していけば、交流電源が復旧することを前提とした手順書となっている。しかし、交流電源はどのように復旧していくかのプロセスについては明示されていない。詳細に手順書を書き込んでいるように見えても、どこかに逃げ道が残されており、なぜその逃げ道が残っているのか根拠不明なのである」。この点に関しては国の原子力安全委も同罪でした。

 政府事故調が東電の事故解析はおかしいと指摘したら「解析の不十分さは認めたものの、再度の解析を行おうとはしていない」のですから、やる気の無さは外部から明らかに見て取れます。「原子力規制委に事故検証チーム 細野担当相が意向」(日経新聞)がこう伝えました。「『東京電力による事故原因の解明については必ずしも徹底されてないという指摘もある。そこも含めて厳しく規制機関としてやっていく態勢は不可欠だ』とも述べ、規制委内の新組織には東電側の事故検証も監視させる考えだ」

 【参照】インターネットで読み解く!「過酷事故」関連エントリー


事故調が責任問わぬ始末では信頼回復は難しい

 国会事故調に続いて公表された福島原発事故の政府事故調最終報告を見て、責任の所在が明らかにならない始末の付け方では国民の原子力発電への信頼回復は難しいと感じました。第一に、公的な両事故調の最終報告を契機に為されるべき刑事処分の可能性が消えました。新原子力規制組織を立ち上げて次の段階に進める機運も、白黒をつけないために生まれた「灰色一色」では薄汚れてしまいます。責任者に刑事罰が当然の大事故ながら、せめて責任があった関係者は新体制から確実に外して欲しいと願うのが国民感情でしょう。しかし、両事故調の提言にはそのような配慮もありません。

 先日の特集F1「国会事故調(4)責任追及がし難い日本的ずさん」で「福島事故の責任を問うなら、まず直接の引き金になった事象を確定し、その行為の責任者や回避するための注意義務を負っていた人物を、現場から経営陣、規制官庁まで含めて特定します。その上で連帯すべき責任者を列挙します。焦点は最初に爆発した1号機」と指摘しました。電源喪失後の1号機安全装置「非常用復水器(IC)」について、国会事故調は地震による損傷説に立ちましたが、政府事故調は地震説を否定し知識が足りず運転できなかったとしています。

 中間報告で「福島第一原発で事態の対応に当たっていた関係者の供述によると、訓練、検査も含めてICの作動を長年にわたって経験した者は発電所内にはおらず、わずかにかつて作動したときの経験談が運転員間で口伝されるのみであったという。さらに、ICの機能、運転操作に関する教育訓練も一応は実施されていたとのことであるが、今回の一連の対処を見る限り、これらが効果的であったとは思われない」とされた部分です。

 最終報告では「他方、発電所対策本部及び本店対策本部は、当直からの報告・相談以外にも、ICが機能不全に陥ったことに気付く機会がしばしばあったのに、これに気付かず、ICが正常に作動しているという認識を変えなかった。かかる経緯を見る限り、当直のみならず、発電所対策本部ひいては本店対策本部に至るまで、ICの機能等が十分理解されていたとは思われず、このような現状は、原子力事業者として極めて不適切であった」と上層部まで無能を拡大するだけです。

 IC運転訓練を運転員に課さなかった責任者は誰か、命綱のICが動いていないことに気付くべき注意義務を負った責任者はいないのか、ICが動いていると誤認したとしても8時間で止まるのだから代替注水の準備が遅すぎないか――答えて欲しい疑問はことごとくやり過ごされます。最後の疑問については、マニュアルにない代替注水を担当する部門がなかなか決まらなかったとの情報がある程度で責任者は誰か書かれていません。

 最終報告で明確になった点に、福島第二原発で炉心溶融を免れた聞き取りとの比較があります。例えば3号機では「高圧注水系手動停止の際に代替手段をあらかじめ準備しなかったことにより、6時間以上にわたって原子炉注水が中断した。福島第二原発では、手順の細目について相違があるものの、基本的には、次なる代替手段が実際に機能するか否かを確認の上で、注水手段の切替えを行うという対応がとられていた」と適切な手順を踏めば良かったとしています。2号機についても同様です。同じ東電の福島第二側と比較しても、福島第一原発は「待ち」の態勢で有効な措置を講じておらず、炉心溶融を招いた不作為があまりに多いのです。

 【参照】「国会事故調は主因を津波に限らず、地震で損傷も」
   「原因は語らず懸命努力説明ばかり東電事故報告」
   「福島事故責任は誰にあるか、判明事実から究明」
   「恐ろしいほどのプロ精神欠如:福島原発事故調中間報告」
   「2、3号機救えた:福島原発事故の米報告解読」
   インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


再稼働へ警鐘:Nスペが過酷事故欠陥を実証

 21日放送のNHKスペシャル「メルトダウン 連鎖の真相」は、炉心溶融に至る過酷事故対策が出来ていない問題点を露わにしました。原発再稼働を担保したストレステストは過酷事故を考慮していません。第2段階のストレステストが過酷事故を扱う計画だったのであり、実施見通しは立っていません。番組内容の深刻さを理解すれば、Nスペには再放送がつきものなのに、その日程がない点が象徴的です。大飯再稼働した政府に遠慮でしょう。

 福島原発事故では昨年、既に1号機を扱っているので、今回は続いて炉心溶融した2、3号機が中心です。特に最大量の放射性物質を放出した2号機が、格納容器大崩壊の寸前まで追い込まれ、現地の幹部たちが死を意識した状況にスポットライトが当たっていました。8個もある逃がし安全弁(SR弁)がどれも開かず、原子炉の高圧が続いて外部から注水できぬまま推移し、現在でも確認できない格納容器のどこかの小破壊で終わりました。どうしてSR弁が開かなかったのかの検討で、格納容器の圧力が上がっていれば、原子炉の命綱になっているSR弁は開かない仕組みになっていると結論されました。

 これまでの事故調査報告で初めての指摘です。過酷事故が起きた際に根本的な欠陥があるのなら、再稼働はもちろん「ノー」です。地震対応度が低い周辺装置の地震損傷で、重要機器が働かなかった恐れも出ていました。大飯原発再稼働は第303回「新安全基準は想定外を隠れ蓑にする欠陥品」で喝破した「過酷事故は想定外として棚上げする福島原発事故以前の考え方に先祖帰りしているだけ」で可能になりました。

 この番組の最後は3号機SR弁を開けるためのバッテリー補給問題でした。メルトダウンを防ぐため12ボルト蓄電池10個繋いで120ボルトにしたいのに、2ボルト蓄電池しかなく、12ボルト蓄電池は55キロ離れた備蓄基地には山積みされていました。放射能汚染地域への物資搬入がスムーズにいかなかったとしか伝えられませんでしたが、蓄電池10個はクルマ1台で運べます。全電源喪失が問題になっていた当時に、蓄電池を送る必要を考え出す能力も、犠牲的精神で持っていく胆力も、東電の後方支援組織には無かったという無惨です。

 【参照】インターネットで読み解く!「過酷事故」関連エントリー


必要なし説がある東電の値上げは「待った」を

 東電の電気料金値上げについて「東電値上げ幅、8.5%強へ=人件費など圧縮、19日に判断−政府」(時事通信)など拙速な動きが伝えられています。しかし、毎日新聞の「東電値上げ:5%台まで圧縮可能 有識者試算」は、やり方によっては値上げ自体が不要になると示しています。政治折衝以前の問題があるのは明白で、査定はきちんとやり直すべきです。

 内閣府消費者委の外部有識者による試算は《人件費は健康保険料の会社負担分の10%引き下げなどで0.17〜0.68%圧縮するほか、修繕費.委託費は競争入札の徹底で1.48〜2.95%、事業報酬費は計算ルールの統一で1.46〜4.66%、圧縮できる――などと指摘。圧縮率の下限だけを足しても、値上げ幅は5%台に抑えられるとした》《試算は「東電の経営に配慮」(水上弁護士)するとして、消費者庁が求めた人件費の30%削減や、原発関連費用の料金原価からの除外は含んでいない。仮に人件費30%削減などの要素を加えると、圧縮幅は9.61%となり、値上げ自体をしないことも可能という》

 平たく言えば、東電がいかに無駄が多い「殿様商売」をしてきたかを示しています。余分の金は子会社など周辺に流れているのです。また、《東電の電気料金「私物化」は過去まで遡り返済を》で指摘した、悪質な過去の清算も済んでいません。朝日新聞による「過去10年間で東電が費用を6000億円も高く見積もっていた」報道もあります。止まっている原発の減価償却問題など議論が尽くされているとは思えません。

 【参照】インターネットで読み解く!「東電 電気料金」関連エントリー


原発何でもなし崩しに新潟知事だけが歯止め

 福島原発事故の国会事故調報告がすっきりした事故原因を打ち出せない中、大飯原発再稼働に続いて何でもなし崩しにする雰囲気が広がっていますが、泉田裕彦・新潟県知事だけが「新潟知事 原発事故原因検証を」(NHKニュース)と歯止めを掛ける姿勢を保っています。来週23日には政府事故調の報告も公表されます。ここでも納得がいく解明がされないようなら、事故の始末を付けていく見通しが立たない状況に陥ります。

 泉田知事は東電の新しい会長・社長との会談で「東京電力が原子力損害賠償支援機構と共に策定した総合特別事業計画で、柏崎刈羽原発を来年度から順次、運転再開するとしていることに関連して、『東京電力が原発事故の加害当事者としての意識を持っているのだろうかと疑わざるをえない。原発事故の原因を検証しないうちに運転再開の議論を行うことはありえない』と述べました」。さらに「原発事故の対応は基本的に妥当だったとした東京電力による事故調査報告を見直すことや、事故直後に福島第一原発と東京電力本店などとの間で行われたテレビ会議の映像を全面的に公開することなどを求めました」

 日経新聞「柏崎刈羽原発、再稼働にらみ地ならし」は「知事との会談後、記者団から「来春再稼働」の見直しについて問われた下河辺会長は自ら回答することは避けた。代弁した広瀬社長が『(再稼働の時期は)料金原価の計算などのため仮置きしただけ』と説明するにとどまった。経営再建をにらんだタイムテーブルを撤回したわけではない」と、再稼働に振れたトーンです。

 福島原発事故では、政府と東電ともに事故責任の所在も問わず、何もかも曖昧にすることが暗黙の合意であるかのごとく振る舞ってきました。大手マスメディアまで同調する気配なのには呆れます。しかし、泉田知事のように明確に異議を申し立てる存在がある限り、これだけの事故を起こしておきながら闇から闇に葬ることは出来ません。9月発足で本格的な新安全基準を作る役目を負った原子力規制委員会にとっても、事故の原因解明は前提条件のはずです。

 【参照「原因は語らず懸命努力説明ばかり東電事故報告」
   「福島事故責任は誰にあるか、判明事実から究明」
   「恐ろしいほどのプロ精神欠如:福島原発事故調報告」
   「2、3号機救えた:福島原発事故の米報告解読」
   インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


余る税金。増税への疑問が言えぬ大手メディア

 東京新聞が「6兆円余らせ なお増税 復興予算未消化問題」で、復興増税まで受け入れた国民の率直な疑問を代弁しています。これに対して日経新聞社説「余った予算を安易にばらまいていいのか」の切れ味の悪さは目を覆うばかり。消費増税まで推進した共犯関係だからやむを得ない、当然とするなら、ジャーナリズムの自殺行為です。

 東京新聞はこう主張します。「約15兆円が被災地の道路や住宅などの建設に向けられた復興予算だ。しかし、復興庁がまとめた執行額(実際に使った予算)は、約9兆円にとどまった。残る約6兆円は11年度内に使われなかった」「被災自治体の復興計画が年度内に整わないなど12年度以降に繰り越された額が約4兆8千億円あった。さらに、見逃せない点がある。復興事業が遅れたり、被害想定の見込み違いなどで『不用額』と区分された予算が、約1兆1千億円もあった」「社会保障と税の一体改革関連法案の審議が始まるが、予算の使い道がズレたまま増税ばかりを求める政府に、国民の信頼が集まるはずもない」

 日経新聞は苦しそうです。「復興予算も再検証する必要がある。政府は15年度までに総額19兆円を投じる計画を上方修正する検討に入った。11年度中に手当てした復興予算の6割しか支出されず、繰り越しや使い残しが目立つ今の時点で、早くも上積みに言及するのは理解に苦しむ」「3党は10兆円規模の復興増税を実行に移し、今度は13兆円規模の消費増税を課そうとしている。これに乗じて予算を湯水のように使うのでは、穴のあいたバケツに水を注ぎ込むのと同じだ。家計や企業に負担増を強いる以上、厳しい規律を自らに課すべきだ」

 もっと、すっきり言いましょう。「そんなに余っているのだから増税は不要ですよ」と。復興増税が実現するまでは復興予算を組まないと財務省がごねたことは、記憶に新しい事実です。あれだけ復興への取り組みを遅らせて、執行してみれば、この体たらくです。

 「hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)」の「『一体改革』はなぜ支持を広げないか@宮本太郎」が財務省の体質についてこんな指摘をしています。

 財務省は国庫にお金が入ってくることばかりを重視した「『金庫番』をやめて『社会的投資家』になるべきです。国民から預かっているお金を有効に使う。それが地域に入り、雇用を作り、地域を活性化させ、戻ってくる。それが『社会的投資』です。怪しいからカネを出さないということを言うのではなく、ちゃんと最後までお金の行く末を見届けて、それが本当に役に立っているか、そこまで見届けて欲しい」「ほんとうはそれこそ『政治主導』な政治家の務めのはずなのですが」

 復興増税に続く消費増税。増税の必要性と支出されていく先が妥当なモノなのか、マスメディアは検証する任務を負っています。最初に増税賛成を言ってしまったから任務放棄では、ジャーナリズムとして問題外です。

 【参照】第310回「民主党を政策的『死に体』にしたマスメディア」
   インターネットで読み解く!「政党支持率」関連エントリー


国会事故調(4)責任追及がし難い日本的ずさん

 発足時から福島原発事故の責任追及はしないと明言した政府事故調に失望していた国民は、国政調査権を後ろ盾にした国会事故調への期待大でした。ところが、公表された報告書には誰の責任でチェルノブイリに迫る規模の大惨事が引き起こされたのか、明らかにされていません。東電と規制官庁の倒錯・複合した無責任構図が描かれているだけです。既成マスメディアに問題意識は希薄でも、国内のソーシャルメディアで不満が渦巻いていますし、海外メディアから《「国民性が事故拡大」 英各紙、国会事故調報告に苦言》(sankei.jp.msn.com)でタイムズ紙のコメントとして「過ちは日本が国全体で起こしたものではなく、個人が責任を負い、彼らの不作為が罰せられるべきものだ。集団で責任を負う文化では問題を乗り越えることはできない」が伝えられました。

 107人が亡くなったJR西日本福知山線脱線事故では強制起訴とはいえ、歴代の3社長が法廷で責任を問われました。福島原発事故の場合、これから出される政府事故調報告が責任所在を打ち出す可能性は乏しいから、検察が動こうとしても「個人責任」に到達するのは無理と考えるでしょう。

 海外が長かった黒川委員長は英語版ダイジェストの冒頭で「What must be admitted ? very painfully ? is that this was a disaster “Made in Japan.” Its fundamental causes are to be found in the ingrained conventions of Japanese culture: our reflexive obedience; our reluctance to question authority; our devotion to ‘sticking with the program’; our groupism; and our insularity. 」と、日本語版に無い表現で率直に語っています。「とても苦痛ながら、これはメイドインジャパン災禍です。従順で権威に逆らわず、前例踏襲、集団主義、島国根性といった日本文化が根源にあります」

 しかし、敏腕内科医の黒川委員長を絶望的にしている過失や不作為のオンパレードを日本文化と呼ぶのは間違っています。こんな体たらくでは普通の民間企業は生きていけません。地域独占の電力業界でも、1984年にデミング賞を受賞したころの関電を取材した経験では、役員から運転員の訓練センターまで品質管理の意識が共有されていました。導入された初期加圧水型炉は不完全との認識も共有されました。

 政府の規制など、癒着しているから小手先でかわせると高をくくった「東電特有の文化」と看るべきです。報告書535ページ「長年放置された配管計装線図の不備」を読んで福島第一原発では複雑な配管の最新経路図が存在しなかったと知り、現場のエンジニア精神の腐敗、技術経営の無責任に呆れました。これまでに調べられた7割の配管で15000カ所の図面修正が必要と認識されたのに、作業はまだ終わっていませんでした。有名になった「ベント作業」がなかなか進まなかったのも、配管図に不備があったため放出経路を考え出すのに時間を要したのです。

 福島事故の責任を問うなら、まず直接の引き金になった事象を確定し、その行為の責任者や回避するための注意義務を負っていた人物を、現場から経営陣、規制官庁まで含めて特定します。その上で連帯すべき責任者を列挙します。焦点は最初に爆発した1号機で、国会事故調は地震動による小規模の冷却材喪失(LOCA)を推定し、政府事故調中間報告は最後の安全装置「非常用復水器」が運転員未熟で使えなかった点を問題視しているように見えます。実際には相当の専門家とお金を投入し、事故再現作業をしてみないと決められません。「日本的杜撰(ずさん)」は日本文化に求められるべきではなく、最初から責任特定を期さない両事故調の枠組みにあります。

 【参照】「原因は語らず懸命努力説明ばかり東電事故報告」
   「福島事故責任は誰にあるか、判明事実から究明」
   「恐ろしいほどのプロ精神欠如:福島原発事故調報告」
   「2、3号機救えた:福島原発事故の米報告解読」
   インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


国会事故調(3)官邸介入酷いが現場に肩入れ過ぎ

 国会事故調の報告書は福島原発事故発生当時の菅政権に厳しい半面、現場で悪戦苦闘した運転員らにはシンパシーを持つトーンが貫かれています。特に後者については東電の経営陣と分離して「悪条件下でよくやった」とまで言いたい様子です。この点が報告書の大きな欠陥になっていると思えます。炉心溶融まで引き起こしてしまえば取り返しがつかない傷跡を国土に残してしまう立場のプロに対し、自覚が問えない論理構成です。少なくとも私なら過酷事故に当たる「最後のブレーキの踏み方」を教えて貰わないで自動車を運転する気はありません。

 一部のマスメディアは、東電が「福島原発から全面撤退する」と言い出して菅首相がそれを止めた判断が正当かをまだ問題にしています。国会事故調の報告は字面だけなら「全面撤退の意向」は否定していますが、吉田原発所長の発言として「最後の最後は、昔から知っている10人くらいは一緒に死んでくれるかな、ということは考えた」を収録しています。炉心溶融を起こした3基の原発を10人で面倒を見きれるはずもなく、800人いた関係者を退避させる状況を世間一般の常識は全面撤退と呼ぶでしょう。この議論は無意味です。

 報告書はかなり多彩な場面で、福島原発現地と官邸・東電本店側とのやり取りを記録しています。読み進んでいる内に可笑しくて吹き出したのが次の場面です(P269)。3月14日午前11時に3号機が爆発しますから、切迫したその未明のことです。

 午前3時22分に東電本店・高橋フェローが「官邸が用意した4台の消防車を運んだはずなんだけれど、それが使えない。駄目な理由を教えていただけませんか?官邸に答えないといけないんです」と問います。2台は来ているとの原発側返事に「本当につまらない話をして申し訳ないんだけれど、官邸対応の話だけれど、早くその(オフサイトセンターの)2台現場に持って行って何か使って欲しいんだけれどさあ」と畳みかけます。吉田所長は「基本的に人がいないんですよ。物だけもらっても人がいないんですよ」と答えます。

 間違えれば言い訳が出来ない災禍をもたらす原発の運転スタッフとして、一生に一度も炉心溶融を見たくないでしょう。それが既に次々に起き、付随する水素爆発の危機に頭を抱えている現場に、指揮系統で一段上にある東電本店が投げる注文でしょうか。絶対的な危機にあっても官邸の顔色ばかり気にする東電本店にはおそれいります。このような愚かしい現場状況が隠蔽されたままで、政府による無内容な記者会見が延々とテレビで流れていたと、今になって知ります。

 運転員の教育問題では次の説明にショックを受けました(P191)。「(株)BWR運転訓練センターにおける過酷事故の教育・訓練は、直流電源が確保され中央制御室が使えるという条件であり、本事故のように直流電源まで喪失し、中央制御室の制御盤が使えない条件での過酷事故は対象にしていなかった。かつ、そこでの教育・訓練は、『過酷事故対応』の内容を『説明できる』ことが目標の机上訓練にとどまっており、実技訓練はなかった」。そうなった理由は実技には制御室外の人員との連携が必要だからであり「原子力発電事業者からのニーズがなかったことだという」

 このようなお粗末で「悲惨」な訓練しか受けていない運転員が、杜撰(ずさん)極まりない過酷事故マニュアルであの大惨事に立ち向かったのです。同情は出来ますが、開発元の米国側から伝えられる情報では米国の運転員には実技訓練があります。下請けだらけで運営されている原発ですが、唯一、中央制御室の運転チームだけは電力会社の社員で構成されます。まさに頭を持った精鋭チームなのです。何も知らなかったでは通らない、自己研鑽が課せられていると、過去に原発取材が長かった私は考えます。その前提でなければ危険な原発の運転など、国民として任せられません。

 【参照】「原因は語らず懸命努力説明ばかり東電事故報告」
   「福島事故責任は誰にあるか、判明事実から究明」
   「恐ろしいほどのプロ精神欠如:福島原発事故調報告」
   「2、3号機救えた:福島原発事故の米報告解読」
   インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


国会事故調(2)本格解明に事故の再現作業必要

 国会事故調が打ち出した「主因を津波に限らず、地震で損傷も」には、《東電「厳しい内容」=事故調報告に対応検討》(時事通信)で東電が「福島第1原発に津波が到来する前に安全上重要な機器が地震で損傷した可能性については、社内事故調の報告書に基づき否定」と反論しています。半年間の聞き取り調査だけで原発内部の複雑な動作を追い込むのは難しく、専門家を動員した事故経過の再現作業が必要でした。調査で先行し間もなく報告をまとめる政府事故調が、その作業をしてこなかった点がそもそも異様です。

 国会事故調の報告を読む限りでは、津波襲来と電源停止時のずれなど色々な状況証拠は集められています。次のデータも有力証拠でしょう。「6)1 号機の逃がし安全弁(SR弁)に関しては、事故時、必要なときにそれが実際に作動したことを裏づける弁開閉記録が存在しない(2、3号機には存在する)。さらに、2号機の場合は、中央制御室や現場でSR弁の作動音が頻繁に聞こえたが、1号機の運転員の中に1号機のSR弁の作動音を耳にした者は一人もいないことも分かった。以上から、実は1号機のSR弁は作動しなかったのではないかという疑いが生まれる。もしそうであれば、1号機では地震動による小規模の冷却材喪失(LOCA)が起きていた可能性がある」

 1号機で最後の安全装置「非常用復水器」についてもこうしたデータの積み上げで、3月11日午後6時過ぎには水素ガスが入り込んで機能不全を起こしていたと推定します。しかし、小規模LOCAでの水素ガス発生で説明するなら、時系列をもっと詰める必要がありそうです。「未解明な部分が残っており、これについて引き続き第三者による検証が行われることを期待する」と国会事故調も求めています。

 問題の現場機器多くは高レベルの放射線下にあり、当分は現地を調べられません。国会事故調は敢えて被曝しても調べたいと申し出たようですが、東電は従業員の被曝増加を理由に断っています。公的な事故調査報告を単なる指摘に留めないためにも、政府は早急に再現作業を立ち上げるべきです。旧原研系のスタッフなど、その能力は持っているはずです。今、何をしなければならないのか、政府司令塔の判断力欠如は事故当初から依然として続いているようです。


国会事故調は主因を津波に限らず、地震で損傷も

 福島原発事故に対し国会が作った事故調査委員会(国会事故調)は5日、報告書を公表、東電が主張している津波主因説を覆し、最初に爆発した1号機では地震による機器損傷で小規模の冷却材喪失が起きて大きな役割を演じたと推定しました。機器耐震対策では大きな手抜きを指摘しており、「想定外の大津波で不可抗力」とする東電に厳しい判定になっています。また、事故全体の構図は特定の個人に責任が帰するものではなく「規制される側とする側の『逆転関係』を形成した真因である『組織的、制度的問題』がこのような『人災』を引き起こしたと考える」と、原子力安全委と原子力安全・保安院を含めて断罪しています。

 「事故の直接的原因について、『安全上重要な機器の地震による損傷はないとは確定的には言えない』、特に『1号機においては小規模の冷却材喪失(LOCA)が起きた可能性を否定できない』との結論に達した」としています。1号機にある電源喪失でも働く安全装置「非常用復水器」をめぐり、政府事故調は中間報告で運転チームが全員、作動させた経験が無い点を問題視しました。これについても、LOCAで早期に燃料被覆管が溶け、水素ガスが充満して非常用復水器は機能を失ったとみています。

 機器耐震対策での東電の手抜きと、規制官庁である保安院のずさんさは次のように指摘されています。本来ならば今回の地震の前に済んでいるべき耐震補強が先送りされていました。

 「平成18(2006)年に、耐震基準について安全委員会が旧指針を改訂し、新指針として保安院が、全国の原子力事業者に対して、耐震安全性評価(以下『耐震バックチェック』という)の実施を求めた」「東電は、最終報告の期限を平成21(2009)年6月と届けていたが、耐震バックチェックは進められず、いつしか社内では平成28(2016)年1月へと先送りされた。東電及び保安院は、新指針に適合するためには耐震補強工事が必要であることを認識していたにもかかわらず、1〜3号機については、全く工事を実施していなかった。保安院は、あくまでも事業者の自主的取り組みであるとし、大幅な遅れを黙認していた」

 規制当局が事業者に寄りかかっている例として全電源喪失への備えがあがっています。「安全委員会は、平成5(1993)年に、全電源喪失の発生の確率が低いこと、原子力プラントの全交流電源喪失に対する耐久性は十分であるとし、それ以降の、長時間にわたる全交流電源喪失を考慮する必要はないとの立場を取ってきたが、当委員会の調査の中で、この全交流電源喪失の可能性は考えなくてもよいとの理由を事業者に作文させていたことが判明した」

 「今回の事故は、これまで何回も対策を打つ機会があったにもかかわらず、歴代の規制当局及び東電経営陣が、それぞれ意図的な先送り、不作為、あるいは自己の組織に都合の良い判断を行うことによって、安全対策が取られないまま3.11を迎えたことで発生したものであった」と厳しく弾劾しています。

 【参照】「原因は語らず懸命努力説明ばかり東電事故報告」
   「福島事故責任は誰にあるか、判明事実から究明」
   「恐ろしいほどのプロ精神欠如:福島原発事故調報告」
   「2、3号機救えた:福島原発事故の米報告解読」
   インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


大飯原発再稼働と反原発の先人たち雑感

 大飯3号機の再稼働、制御棒引き抜きが始まってしまいました。東京の官邸デモに参加された方、福井の現地に行かれた方には残念の思いがあるでしょうが、脱原発を実現するにはおそらく長い時間が要ります。6月27日に京大原子炉(熊取)の原子力安全ゼミに出て、これまで高齢化していたメンバーが若返ったことに驚きました。チェルノブイリから四半世紀お付き合いしてきて、最近はある意味でろうそくの火が消えかかる状態に近く、憂慮されていたのです。

 脱原発を志されている皆さんは、これから全てが始まると思ってください。新しい安全文化と行動様式を作りながら、粘り強く原発を止めていくしかありません。新たにネット上の情報精度の問題も問われます。

 福井で孤軍奮闘、長く運動を引っ張ってこられた原発反対福井県民会議の小木曽美和子さんが、6月24日に亡くなられたニュースを象徴的に聞きました。何度もお会いした方で、若い世代に後を託すと思われたに違いありません。原発を批判しても逆風の今と全く違った時代に、全国各地の運動を叱咤激励して回った、元阪大講師の久米三四郎さんがいらっしゃいました。病気でもう言葉が出せなくなった、亡くなる直前に、見舞いに来た小木曽さんの手をただただ握りしめて後を託したように、久米さん、小木曽さんら先人からのリレーを心で受け止めてくださればと思います。

 【参照】インターネットで読み解く!「原発再稼働」関連エントリー


民主党を政策的『死に体』にしたマスメディア

 民主党から小沢グループの離脱が避けられなくなっています。過半数を割っている参院に続いて、衆院でも不安定な国会運営になるとみられます。2009年の政権交代からダムの建設中止など騒ぎは色々とありましたが、民主党が実現した変革らしい変革を数えられません。政権交代の果実が公約になかった消費税増税だけに終わる、恐ろしい結末に導くのは増税の大合唱をした既成マスメディアです。来年に予想される衆参同日選まで、『死に体』民主党政権には自公両党との社会保障協議以外に、自前のエンジンで政策を実現する力は残っていないでしょう。

 衆院を押さえていた民主党を大きく分裂させ、内閣不信任案が可決されかねないところまでボロボロにするのなら、増税よりも後世に残すべき政策はあったはずです。「難問先送りは『日本化』…やゆされ野田首相決意」(読売新聞)では野田首相が「英誌エコノミストが財政赤字削減などの難問を先送りする欧米諸国の政治状況を『日本化』とやゆする記事を掲載したことが、社会保障・税一体改革に取り組む決意を新たにした契機となったことを明らかにした」となっていて、理念に基づいた政策の選択ではなかったことをうかがわせます。

 この野田首相を後押したのが在京マスメディアでした。「赤旗」の「消費税増税 あおりにあおった末に… 巨大メディア この異常ぶり いまごろ「公約違反」批判 !?」は《全国紙をはじめとした巨大メディアは》消費税増税を後押しする社説を書き続け《法案採決までの1カ月間、連日のように法案採決をあおってきました。とくに「朝日」はこの期間に14本、「読売」も16本の社説を掲げる突出ぶりです》と指摘します。これに「毎日7本」「日経7本」が加わります。

 「2大政党時代を終わらせる首相に議員統制は無理」で、日経新聞が自らの世論調査を恣意的に扱い、有権者多数が明確に増税に反対している点は後回しにして、小沢グループの造反に焦点を当てた報道ぶりを問題にしました。こうしたご都合主義は各社とも同じでした。朝日新聞28日社説は《マニフェストについて民主党が非難されるべきなのは「約束を果たさなかったから」ではない。「果たせない約束をしたから」である》と増税は擁護して、実現不能な政策をマニフェストに持ち込んだ小沢氏を非難しました。

 マニフェストを信じた有権者の立場がない理屈の展開ぶりです。しかし、第308回「政党支持率4割連合が決める政治に正統性無し」の政党支持率推移グラフが、有権者の過半は増税合意をまとめた民自公3党から離れたと示しています。マスメディアの援護も無力だったのです。自民党は半ば与党に戻った錯覚に陥っており、分裂の民主党は漂流の度を増しそうです。政権交代への失望に輪を掛ける決定的な政治不信に手を貸したマスメディアに責任の自覚があるのか、素知らぬ顔で批判者の役回りだけ演じてはいられなくなりました。

 【参照】インターネットで読み解く!「政党支持率」関連エントリー