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大飯再稼働の稚拙な仕掛け、橋下流の限界見た

 野田政権は大飯原発再稼働をめぐり反対だった関西広域連合から容認姿勢を引き出せたことで、地元福井の了解を得て、各種世論調査に示された反対の声多数を押し切る構えです。30日に起きた逆転劇に事前のシナリオが存在したことは明らかであり、「夏だけ稼働」を仕掛けたと見られる橋下徹大阪市長の政治的駆け引きの稚拙さも見えました。

 30日の関西広域連合で細野原発相は稼働のための「新安全基準」を暫定基準であると格下げし、これを受けた首長から「暫定基準なら対策も暫定になる」との反発が出たものの、関西広域連合長の井戸敏三兵庫県知事は「安全判断は暫定的であり、再稼働は限定的なものとして(政府に)適切な判断を強く求める」との声明を発表するに至りました(読売新聞「大飯再稼働、自治体の容認受け近く決定…政府」)。安全基準を格下げすることで限定稼働が出来る、一般人には理解しにくい「腹芸」です。

 午後9時半にリリースされた時事通信の「橋下市長『限定は外せない』=大飯原発再稼働」では≪「限定ということが入らなければ、大飯以外もどんどん動かせ動かせという話になる。『限定的な』は外せない枠だ」と述べ、大飯原発再稼働は電力需給逼迫(ひっぱく)時に限るべきだとの持論を強調した≫となっているのですが、午前零時を過ぎると橋下市長の思惑は早くも崩れます。

 「新規制機関が判断=原発の『限定稼働』論で―枝野経産相」(jp.wsj.com)は夏場限定稼働ではない旨を伝えました。≪枝野幸男経済産業相は30日、関西電力大飯原発の再稼働に関連して「国会で審議中の新たな規制機関ができれば、すべての原発について(新たに策定する安全基準を既存原発にも適用する)バックフィットが求められ、判断されることになる」と述べた。関西広域連合が原発の再稼働を限定的なものとするよう求めたことに対し、行政から独立した立場として新設される原子力規制庁などが判断するとの認識を表明した発言だ≫

 国会審議中の新しい原子力規制組織がどのような形になるにせよ、原子力安全委員会が再稼働に必要と求めている過酷事故を扱うストレステスト第2段階を含めて、新安全基準を策定するのには最低でも半年以上かかるでしょう。需要期の夏場限定稼働を打ち上げた橋下市長の意向は、「稼働オーケー」だけを吸い上げられて放置されることになります。

 実は井戸知事も「『限定的』とは稼働期間の限定の意味もあり、政府の基準は規制庁ができるまでの限定的なものという意味もある」(日経新聞)と夏場限定稼働としない解説をしています。大阪府や大阪市で「お山の大将」を演じている橋下市長の限界でしょう。橋下氏の下に集まっているエネルギー専門家は原発稼働なしでもこの夏は乗り切れるとの見通しを出していたのであり、ブレーンの使い方・活かし方の点でも禍根を残す逆転劇でした。

 【参照】インターネットで読み解く!「原発再稼働」関連エントリー


暫定基準だった大飯原発再稼働「新安全基準」

 関電・大飯原発の再稼働をめぐって細野原発事故担当大臣から「大飯原発の安全を判断する国の基準は、原子力規制庁が出来るまでの間の暫定的なものだ」と認める発言が飛び出しました。暫定基準で国内の意見が二分している大問題を片付ける神経が理解不能です。

 NHKニュース「大飯原発 知事の対応分かれる」の報道です。関西広域連合の会合での発言に「大阪府の松井知事は『安全基準が暫定的だということは、それに基づく安全対策も万全ではないということなのに、運転を再開させるのか』と述べ、政府の姿勢を批判しました」。極めて真っ当な反応です。

 読売新聞の「大飯に副大臣ら常駐…原発相、広域連合に再説明」は「規制庁発足後に策定する新たな安全基準で、安全性を改めて評価すると明言した。規制庁発足までの対策としては経済産業副大臣やプラントメーカーの技術者らを現地に常駐させ、3、4号機の稼働状況を常時監視する体制を構築する考えを示した」とも伝えています。

 副大臣やプラント技術者が常駐して何の異常事態抑制効果があるのか、不思議な対策を思いつく政権です。「首長側からは京都府の山田啓二知事が『監視態勢は専門家の観点が抜け落ちている』と再稼働を不安視する声も出た」と、こちらも当然の批判です。

 「原発再稼働ストレステスト、安全委は保安院に同調せず」で「間もなく原子力規制庁が出来て組織が消えてしまう保安院が、勝手に原発再稼働に向けて独走していると、原子力安全委員会まで認めた形」と指摘した通りで、今回の「新安全基準」の枠組みには最初から無理がありました。今頃になって、「やはり暫定基準でした」「後日、見直します」と逃げを打ちつつ、電力需給が切迫しているから再稼働では、ますます首尾一貫しなくなります。福島原発事故の反省から最も遠いのは細野原発相のようです。「無謀・大飯原発再稼働へ4つの駄目」を見直していただきたいと思います。

 【参照】インターネットで読み解く!「原発再稼働」関連エントリー


目が離せぬ5月の太陽:直径を観測、寒冷化

 金環日食で太陽への関心が一気に高まり目が離せなかった5月でした。国内研究者がリードして「太陽の直径 金環日食で計算」(NHK)されたばかりか、4月の《太陽観測衛星「ひので」、太陽極域磁場の反転を捉えた》で予測された「四重極構造」化と寒冷化が始まっていると考えられます。

 《今月21日の金環日食の際には「ベイリービーズ」と呼ばれる月の谷間からこぼれた小さな光が玉のように連なる珍しい現象が全国で観測されました》《光の玉が月のどの谷間によってできているのかを月探査衛星「かぐや」のデータと照らし合わせて割り出し、観測地点からその谷間を通る直線を引いて太陽の中心との間で直角三角形を作りました。その結果、太陽の半径が求まり、最終的に太陽の直径は139万2020キロと精度よく計算できたということです》

 太陽の直径は望遠鏡の直接観測では1300キロものばらつきがありました。金環日食の限界線は日本を縦断しており、多数のアマチュアにも呼びかけて限界線を現場に行って確定することで太陽直径を決めようとしました。国立天文台の相馬充助教らによる学会発表のプレプリント「2012年5月21日の日本における金環日食限界線」を見ると、限界線を確定するのも簡単ではなく、定義の仕方を変えると2キロも動いてしまうもののようです。

 現場の観測も難しく「皆既日食とは違って周りからの強い光のノイズを受ける厳しい環境下での観測になるため,金環日食になったかどうかを判断するのが困難で,限界線の位置が正確には定められないということが起こりうる.そのため,太陽の半径を正確に求めるためには,限界線決定のための観測と並行して,ベイリーの数珠が現れたり消えたりする時刻を正確に測定する観測を行うことも必要」となりました。苦労がしのばれる話ですが、国産のアイデアを生かし、ともかく測定に成功したのを喜びたいものです。

  ◆  ◆

 太陽磁場の「四重極構造」化については冒頭にあげた、国立天文台やNASAなどによるプレスリリースのほかに、《「ひので」による今回の観測の意義と最近の太陽活動について》に詳しくまとめられています。太陽観測衛星「ひので」が4年間にわたり安定した観測を続けた成果です。

 《予想される時期より約1年早く、北極磁場がほぼゼロの状態に近づいていることが、2012年1月の観測で発見されました。すなわち、北極の磁場を担う斑点状の磁場の数が急速に減少し、低緯度から逆極性の斑点が現れました。この結果、現在太陽の北極域では、逆極性の磁場の大規模な消滅と極性の反転が発生していると考えられます。この観測の結果から、太陽の北極磁場がまもなくマイナスからプラスに転じると予想されます。一方、驚くべきことに、南極では極性反転の兆候がほとんどみられず、安定してプラス極が維持されていることを、「ひので」は確認しています》以下がそうして生まれる四重極構造(北極プラス・南極プラス)です。


 太陽の黒点数が減って活動が弱まった時期に最近ではマウンダー極小期やダルトン極小期があり、その開始時期前後に四重極構造が現れたと考えられています。それぞれの極小期に京都では冬の気温が2.5度下がりました。



 「最近の太陽活動についてのまとめ」はこう述べています。「太陽周期が10.6年から12.6年に2年伸びている」「太陽活動は上昇しているが、黒点の数は以前のサイクルより少なく、また北半球に偏って発生している」「北極の負極磁場が大幅に減少し、現在正極に反転中。予想された反転の時期より約1年早い」「一方、正極磁場が卓越していた南極は安定な状態を維持しており反転の兆候はない」「以上から、太陽の基本的対称性が崩れていると考えられる」「同様の事象は、マウンダー極小期、ダルトン極小期の開始前後に発生していたと推定され、太陽が従来と異なる状態になっていると推測される」

 このほか補強する観測事実として「過去45年間の観測史上最多の宇宙放射線量」が指摘されています。太陽風活動が活発ならば宇宙放射線は太陽圏内に侵入しにくいのですが、低下しているために入ってくると考えられます。 今後は10月ごろに北極域の集中観測をして予測の推移を確かめることにしています。


原価知らずに電気料金を認可してきた経済産業省

 「東電の利益 9割は家庭など向け部門」(NHK)などの報道が一斉に東電の収益構造のいびつさを問題にしています。この一般消費者に強く大企業に弱い体質は酷いと思いますが、驚くべきは電気料金を認可してきた経済産業省が原価を把握していなかった点です。この料金でいくら利益が出るのか知らなかったとは、原価に適正な利益分を上乗せして認可する電気料金の仕組みが全く機能していなかったのです。

 「電力会社10社の電気事業からの利益は、平成22年度までの5年間の平均で、大口の企業など向けの部門が31%だったのに対し、販売電力量に占める割合が38%しかない家庭など向けの部門が69%を占めているということです。中でも東京電力は、大口向けからの利益が9%であるのに対し、家庭など向けからの利益は91%を占め、家庭など向けに利益を大きく依存していることが分かりました」

 これに対して枝野幸男経産相はフジテレビで「ようやく、この利益割合の具体的な数字が、経産省も初めてわかった。これは、さらに透明性を高めさせないと、とてもじゃないけど世の中は納得しない。わたしも納得しない」と述べたそうです。冗談ではありません。具体的な中身の数字を知らないで認可してきたとの告白ですよ。

 昨年末の「東電の電気料金『私物化』は過去まで遡り返済を」で指摘したように、朝日新聞が過去10年間で東電が6000億円も高く見積もっていたと報道し、東京新聞が発電と無関係な福利厚生費計上や社員健康保険料の2割転嫁などの不正を伝えています。こうした報道内容に相当する不正分の是正があったとも聞きません。

 東電が悪質で巧妙な操作をしていると思ってきましたが、今回分かった事情は監督する経産省が原価明細はもちろん総額もきちんと突っ込まずに電気料金認可してきただけの話でした。歴代の経産省幹部は東電と連帯して過去の不正分の弁済をすべきだと考えます。


必死の養殖増産で人口増を賄う水産資源は限界

 世界や日本の漁業の行く末を心配する声を最近また聞き、昨年11月に公表された国連食糧農業機関(FAO)の「世界漁業・養殖業白書2010年」を見直してみました。世界人口が増え漁獲量が頭打ちする中、必死の養殖増産で1人当たりの年間食用魚介類供給量を維持しています。特に中国の内水面養殖は1980年代から凄まじい勢いで増加、海面養殖と合わせて2009年に3410万トンと世界養殖生産量の62%を占めました。ただし、世界の養殖は今後10年は増えるとしても伸び率は鈍化するばかりで、水産資源が人口増と購買力増加に対応しきれるか疑問です。

 中国は養殖生産量のほか漁獲量でも1490万トンと世界一です。人口の増加ペースが速く、世界と分けて見る方が実態を掴みやすいので、世界全体から「中国を除く世界」の統計を引き算して、中国分だけを出しました。2004年から2009年の養殖生産量と漁獲量の推移をグラフにしました。


 年率がかつての2桁伸びから5%台に鈍化しても、中国養殖生産は5年間で750万トンも増加し3410万トンです。中国を除く世界も570万トン増えて2100万トンになっているのですが、中国養殖の存在感、ボリューム感がグラフにある通り圧倒的です。中国養殖は内水面の割合が65%で、その他の世界の61%より多いのが特徴です。一方、漁獲量は中国が5年間で40万トンの微増だったのに、その他の世界は280万トン減の7510万トンでした。最近の中韓の漁業紛争激化に見られるように中国近海でもますます魚は獲れなくなっています。

 こんなに増産していても人口増加ぶりが半端ではないので、中国の1人当たり食用魚介類供給量は30キロ前後で横這いです。中国を除く世界も13.7キロほどで変わっていません。両者を合計してしまうと、中国人口増加の大きさに引きずられて世界規模で1人当たり量が増えて見えます。世界統計の見え方として要注意です。

 この中国や世界中から輸入して、日本の1人当たり食用魚介類消費量は世界最高の60キロ近くにもなります。《「獲れない、売れない、安い」 深刻な事態に直面する日本の漁業》はこれだけの消費を賄う上で、既に起きている水産物「買負け」現象よりさらに深刻な「買えない」事態を案じます。「日本以外の国々の購買力が高まり、日本向けの販売価格と変わらなくなってきたのです」「日本側にはすっかり主導権がなくなってきています。他国の輸入は毎年伸びていますので、ほとんどの主要水産物において、日本向けの比率は毎年減少しているのです」

 FAOの「世界の農林水産」2012年春号に所収の「漁業・養殖業の展望と水産養殖局の役割」は「2000年から2008年の間に養殖生産量は3,240万トンから5,250万トンと、その伸びは60%以上に達し、2012年には食用として消費される魚介類の50%以上が養殖生産によると予測されています」「養殖をめぐる課題も山積しており、養殖業がこれまでのような高い伸びを今後とも持続していけるとは限りません」と伝えています。

 「FAOが把握している漁業資源のうち半分はすでに十分に利用されており、これ以上の漁獲量の増加は望めません。まだ開発の余地がある資源が15%あるものの、過剰開発・枯渇あるいは枯渇からの回復状態にある資源は30%を越えています」。これが世界水産資源の現状です。

 CNNが「英皇太子がフィッシュ&チップスの未来を憂慮、持続可能な漁業訴え」で「スコットランドで開かれた世界水産学会議で講演し、英国民が愛する伝統食のフィッシュ・アンド・チップスを今後も食べ続けられるよう、持続可能な漁業の重要性を訴えた」と報じています。「北海のタラの資源が10年前の枯渇寸前の状態から回復の兆しを見せていることは特に喜ばしい」と言わねばならい、お寒い背景だからです。

 国内はもちろん水産白書に描かれているはずですが、平成22年度第1部第1章「私たちの水産資源 〜持続的な漁業・食料供給を考える〜」あたりを読むとあまり切迫感がありません。2006年の研究者による警告「スシ、刺し身が消える……」「世界規模での漁業崩壊が見えてきた」の衝撃が、養殖漁業の頑張りで薄らいだとしたら残念です。楽観的になれるほど事態は好転していません。特に周辺の好漁場を乱獲で荒らして輸入に頼る日本は、自国周辺での漁業持続性を確保しないと早い時期に干上がってしまう恐れすらあります。


動かぬ再処理工場に年維持費1100億円:東京新聞

 在京マスメディアが「311」以来、自分の頭で考える取材を自ら放棄している中で、権力中枢から一歩離れた東京新聞だけが真っ当な取材活動をしていると評価されています。「核燃料再処理工場 動かなくても年1100億円」も高く評価されてよいと思います。詰め方に多少の問題点を見ますが、国策事業の失敗をめぐりデータを出したがらない国や電力業界とのせめぎ合いを経験した立場からは立派な労作です。

 「使用済み核燃料の再利用に向け、試験が進む日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)は、仮に稼働させなくても、維持費だけで年間千百億円もの費用がかかることが、政府の資料や日本原燃への取材で分かった」

 この再処理工場は当初の目標から既に15年も完成が遅れており、未だに完工の目処が立っていませせん。もちろん、再処理の実績もありません。それでも工場の点検や搬入された使用済み核燃料の管理(200億円)、工場の警備や放射線管理(200億円)、1500人の人件費(128億円)、福利厚生や再処理技術の研究費(172億円)、固定資産税や銀行への返済(400億円)と、巨額な年間維持費が必要と伝えています。

 これとは別に核燃料サイクル施設が青森にあるために、地元自治体が政府から92億円の交付金を得ているのです。核燃料サイクルのもうひとつの柱、高速増殖炉「もんじゅ」が年間で200億円の維持費を必要としている点はかなり知られるようになりましたが、六ケ所核燃料再処理工場についての報道は初めてです。こちらは5倍以上あり、ほとんどは電気料金から支払われています。世界的に見て割高な、国内の電気料金に隠されて見えなくなっていたのです。

 どうして15年も再処理工場完成が遅れているのか、それは第180回「敗因は何と工学知らず:六ヶ所再処理工場」で明らかにしています。日本の国策原子力開発は「もんじゅ」といい開発監理の仕方に根本的な欠陥があるのです。福島原発事故で誰も責任を取らなかったように、失敗を隠蔽して事業延命を自己目的とする体質がビルトインされています。「原子力ムラ」の体質です。

 【参照】インターネットで読み解く!「再処理」関連エントリー


電力需給検証の大雑把さには怒りたくなる

 何が第三者専門家による需給検証だろうと精度の貧しさに驚き、西日本4電力の5%節電で関西電力管内の不足を補う方針には「算数が出来ますか」と問いたくなります。野田政権が大飯原発の再稼働一辺倒でやってきたために電力不足対策の準備が遅れた点を勘案しても、まだ検証に値しない低レベルです。日本の官僚の「優秀さ」はどこに消えたのでしょうか。

 毎日新聞は「需給検証委:関電に4社融通拡大 5%節電で制限令回避へ」と伝えています。中部、北陸、中国、四国の4電力はこの夏も余力があるのだけれど、最大供給力が445万キロワット足りない関電のために「5%の節電」を上乗せして4電力計459万キロワットを生み出し、補うと言います。関電は関電で不足分(14.9%)に対応する20%節電をするべしとしています。両方同時に実施したら、計算する必要もなく余力が2倍になってしまいます。

 もともと電力各社が出した最大ピーク電力量は軒並み過去最大を上回る「超猛暑」型で、検証委ではこれに対する刈り込みはほとんど出来ませんでした。わずかに形ばかり下げただけです。このような無茶な最大ピークに対して計画節電を実施して経済活動を実際に縛る意味を考える必要があります。ピークが続くのは僅かな時間です。ピークをならす政策的な提案がされています。

 電力融通と言えば、東の50ヘルツ地域から西の60ヘルツ地域に周波数変換して流せる100万キロワット分が、今の計画から消えています。余裕がある東電からの融通は当然、考えるべきなのです。また、日本列島は東西に長いので電力ピークの時刻も東西でずれます。従来のように単一の電力会社だけで考える問題では無くなっているのに、その視点も欠けています。ピーク時にバッファーになる揚水発電の利用方法も、東電まで巻き込んで全国規模で運用を考えるべきです。関電の説明は関電管内での収支に止まっていて、全国で考えればもっと大きな余裕が生じます。

 政府としての計画決定は今週前半になるようです。それを見て改めて論評しますが、12日の「第6回 需給検証委員会」で開示された資料類を読む限りでは、事務局側は完全に消化不良です。参加した専門家たちもかなり怒っているようです。「国家戦略室」とかいう生煮えの組織ではなく、完全に独立した機関に事務局を委任すべきでした。

 【参照】インターネットで読み解く!「原発再稼働」関連エントリー


福島のメディア各社は汚染隠しに手を貸すのか

 在京マスメディアの「大本営発表報道」と並んで、在福島のメディア各社には自治体と結託した放射能汚染隠しが疑われてきました。「2012年5月8日火曜日【速報】1年1ヶ月後に初めて明るみにされた郡山市内小学校のホットスポットの一端」(ふくしま集団疎開裁判)を見て、これが全国ニュースとしてきちんと伝えられなかった点だけでも、メディアの役割放棄と恣意性は十分に証明されたと言えます。

 《福島県内の小中学校など教育施設でのホットスポットの測定は3.11以来の緊急の課題であり、「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」などは昨年6月以来その実施を要求してきましたが、ずっと無視されてきました。福島県内の市町村で小中学校等のホットスポットの測定結果が公開された話はまだ聞いたことがありません。しかし、郡山市では教育委員会が、本年1月23日より、ひそかに市内の小中学校でホットスポットの測定を週1回のペースで実施していました。今回、一市民が情報開示手続によって、この事実を突き止めました》

 測定器のスケールが振り切れてしまう10マイクロシーベルト毎時以上の小学校が5校、排水溝や体躯館の裏側などで3マイクロシーベルト毎時以上の学校が多数あります。年間なら20mSvを軽く超えます。この実態が保護者に知らされず、問題視されないのは異常です。測定場所がきちんと検討して選ばれていない点もさらに大きな問題です。本来、子どもたちが長時間にわたって滞在する学校なのですから、しらみつぶしに校内汚染マップを作成すべきなのに、汚染が高そうな場所を勝手に選んでいるだけです。お話になりません。

 在福島のメディア各社はこの1年間、何をしてきたのですか。福島原発事故の地元だから汚染が酷いのは当たり前なのですか。極力、住民に県外避難をさせまいとする自治体への批判が出来ない体質は聞こえていましたが、市民が開示させた数字まで見ない振りが出来る体質は、もはやジャーナリズムではありません。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


包括的な原発対処には全電力国有化しかない

 現存する原発50基が5日に止まりました。メディア各社世論調査で原発再稼働反対が賛成を圧倒している以上、「地元自治体の説得」といった局地的対応をしてきた野田政権には早期の再稼働に向けた布石が出来ていません。いや、問題の核心は再稼働ではなく、福島第一を含めてあちこちの原発を廃炉にしつつも電力供給をし、経済運営をしていく条件整備です。包括的対処には日本原電を含めた全電力会社の国有化しかないと指摘しておきます。

 大型連休を前に出された東電の事業計画にはあきれました。実質国有化されても電気料金値上げで収益を改善、廃炉費用など足りなくなれば、また国に支援を要請する枠込みです。東電だけを見ているから、このような愚かな計画が生まれるのです。東電の言いなりに電気料金を上げれば、国内で著しい料金負担の格差が生まれます。企業によっては工場を移転したいと考えるでしょう。

 どう考えても再稼働は無理な廃炉候補には運転30年を超える炉や、活断層上の原電敦賀などいくつもあります。それが浮上するたびに廃炉費用を電気料金に転嫁して、国内各地で凸凹の電気料金を実施していくのでしょうか。国内経済の運営上、狂気の沙汰に見えます。

 福島第一原発事故の始末で未だに忘れられている重大事があります。事故に結びついた安全審査の欠陥は国に帰せられ、責任の半分は国にあるのです。民主党政権はもう気付いて、責任に応じた対処に転じなければなりません。巨額資金を投じた原発本体と核燃料を諦め、核燃サイクルの始末をする事態に至った責任も、半分以上は国にあります。各電力会社に任せられるはずがありません。

 長期的、国家的視点に立ってこれから必要な資金計画を練る必要があります。国民が電気料金として負担できる分と、税金から投入する部分とを決め、全電力国有化によって負担を全国にならさねばなりません。現在のような上場企業のままで株主から賛成を得ることは不可能です。

 【参照】インターネットで読み解く!「原発再稼働」関連エントリー


生涯未婚率2割に驚くのは愚:内外もっと高率に

 読売新聞の「生涯未婚の男性、2割を突破…30年で8倍」が連休谷間のニュースとして話題になっています。生涯未婚率は人口学の約束から50歳時点で計算しています。私が過去の国勢調査トレンドから予測した結果では、10年後の生涯未婚率は「男性32%、女性20%」にもなってしまうのです。「男性2割、女性1割」の現状に比べ衝撃度は格段に高くなります。

 実はアジア各国に広がる現象です。第276回「アジア工業国の非婚化は日本以上に進んでいる」で「2004年の合計出生率は日本が1.29と下がって騒いでいるのに、韓国1.16、台湾1.18、シンガポール1.24、香港0.93とアジア工業国(地域)は一段と低い状況です。欧米と違って婚外子があまりいないアジアですから、この数字は非婚化の進展を表しています」と指摘した通りです。出生率が早くから落ちている日本は50歳の生涯未婚率に数字として現れた訳で、アジア諸国も近い将来、日本以上に生涯未婚率が上がってしまうと考えられます。

 英エコノミスト誌は「多くのアジア人は結婚を先送りしているのではない。一生結婚しないのだ」「40〜44歳の女性の未婚率は、タイのバンコクでは20%、東京では21%に上る。シンガポールでは、この年齢層の大卒者は27%が結婚していない」「アジアで起きている結婚からの逃避は、現代の女性が大きな自由を享受できるようになった結果であり、それ自体は祝福すべきことだ」と指摘しています。しかし、結婚できない男性を大量に生み出し、非常な速さで高齢化社会に突き進みます。

 先週は中国関連でも注目すべきニュースを見ました。サーチナの《超少子化危機に学者「第2子認めるだけでは全然足りない」=中国》は「合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子の平均)が1.5以下に低下したことで、この20年で『ある世代の人口が前世代より30%減少する』状況が発生した」「上海市ではすでに合計特殊出生率が世界最低の0.7に達しており『このまま出生率が下がり続ければ、高齢化が最も深刻な国となり、国際競争で劣勢に立たされる』と警鐘を鳴らした」と報じています。

 上海のような中国大都市部では、「結婚しない派」あるいは「結婚出来ない派」が主流になりつつあるのかも知れません。「男性は家とクルマが無ければ結婚できない」というハードルが加われば、日本国内だって結婚は激減しますから。

 【参照】インターネットで読み解く!「生涯未婚」関連エントリー