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連休で遠出できない方にグーグル2新サービス

 個人情報関連で色々な物議を醸しているグーグルですが、新しいサービスに素晴らしい物が2件あります。大型連休でも遠出が難しい皆さん、これでお楽しみください。ひとつは《お金がいらない世界旅行! Googleマップが世界の1万5000以上の観光名所を回れる3D「フォトツアー」を開始》、もうひとつは世界の美術館・博物館めぐり、《Art Project》です。

 ★3D「フォトツアー」は《写真共有サービス「Picasa」と「Panoramio」に投稿された写真を組み合わせて、3D表示するという仕組みを利用しており、よりリアルな世界旅行が味わえる》サービスです。欧州が高密度に設定されていて、例えばスペイン・バルセロナで、サグラダ・ファミリアなどガウディの足跡を辿るなら文句無しです。市内のあちこちにある建築物の写真が数多くあって、次々に出てくる「次のツアー」を辿るとたっぷり楽しめます。

 アジアでは日本が特に多く設定されています。京都・三十三間堂から始めると京都タワー、東寺、東福寺、伏見稲荷大社…と京旅行を果てしなく楽しめます。なお、台湾もやや多く、中国、韓国などは少な目です。

 問題が1点あります。ブラウザがインターネットエクスプローラでは3D表示が不可能で動きません。まだ半数の方はこのブラウザでしょうから、「グーグルクローム」をインストールするなどしてください。(参照元:フォトツアーリスト……世界版日本版

 ★《Art Project》の方はどのブラウザでも構いません。早速、名画鑑賞を始めましょう。例えばレンブラントの「夜警」を選ぶと、レンブラント作品が下段にずらりと並びますから選び放題です。用意したリンクは有名作品直行にしてありますが、美術館や芸術家の名前からも入れます。上部のリンクを使ってください。日本からも美術館と博物館6館(東京国立博物館大原美術館)、台湾から故宮博物院も加わって、世界150館以上、3万件の美術品が楽しめます。自分専用のコレクションも作れます。

 「夜警」のような有名作品、絵巻物などは非常な高精細で収録されていて、望みの部分の大きく拡大できます。この機能を生かすためにも、パソコンのディスプレイはフルスクリーンにして見たいものです。さらに「F11」キーを押してブラウザの外枠を消すことをオススメします。マウスで次々に選択して前に進めばよいし、戻るなら「バックスペース」キーを使います。ブラウザの外枠を再表示するなら「F11」キーです。

 【参照】インターネットで読み解く!「文化・スポーツ」関連エントリー


20mSvで居住可の無茶を何年も続けて良いのか

 政府は22日の「双葉地方町村と国との意見交換会」で福島原発事故での汚染状況を、20年後までの年間空間線量率予測図として公表しました。メディアは20年後も高汚染地域が残る点を主に報道しましたが、現行法の放射線管理区域に比べ4倍も高い20ミリシーベルトを居住可能としている無茶を、5年、10年と続けて良いのか、大いに疑問です。当座の緊急避難措置が終わったら、厳格に管理されている放射線管理区域(3カ月で1.3ミリシーベルト)以下の地域を居住推奨とすべきでしょう。

 毎日新聞の「放射性物質:高線量域20年後も 政府、初の予測地図公表」は「原発が立地する大熊町と双葉町の境界付近では20年後でも居住が原則制限される帰還困難区域(年間被ばく線量50ミリシーベルト超)が、両町に加えて浪江町、葛尾村では居住制限区域(同50ミリシーベルト以下20ミリシーベルト超)が残る」と伝えています。

 「資料3 空間線量率の予測」から現状と5年後の予測地図を引用します。



 政府が年間20ミリシーベルトまで居住可能としているのは、ICRP(国際放射線防護委員会)が示した範囲「事故からの復旧時は1〜20ミリシーベルト」の上限を選んでいるためです。しかし、20ミリシーベルトに5年住み続ければ100ミリシーベルトに達し、生涯の被曝はここまでに抑えたい限度になってしまいます。また、放射線管理区域との矛盾も無視できません。上の地図で水色以上の地域は、本来は放射線管理区域として扱わねばならない汚染度なのです。放射線管理区域では飲食は禁止ですし、業務が済めば速やかに退出しなければなりません。そこに住んで食事をし寝ているというのは、現行法の精神からとんでもなく逸脱しています。

 例えば地図中央上部の飯舘村は5年後には20ミリシーベルト以上の黄色地域が大幅に減りますが、村全体が依然として放射線管理区域に指定されるレベルです。どうしても元の場所に住みたいと希望する人はともかく、一般の方に「お帰りください」と勧めることは法治国家として出来ないはずです。

 福島原発事故の発生以来、場当たりの緊急避難ばかり繰り返してきた政府も1年が経過したのですから、現行法と整合するようにソフトランディングを図るべきです。放射線管理区域レベル以下を居住推奨と定義し直せば、住むことが勧められない地域は広く、避難した住民に提供する将来の選択肢を拡充して、見切って新天地を目指す人を支援しなければなりません。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


愚かな核燃コスト比較:再処理試運転を止めよ

 核燃料サイクルの近未来コスト比較についての報道はあまりにお愚かです。原子力委員会の事務方が核燃料再処理路線の維持を意図して、不自然で不思議な条件設定をして試算したものだから本質が見えなくなっています。読売新聞の「核燃料の直接処分、再処理より2兆円割高」と毎日新聞の「使用済み核燃料:全量再処理は高コスト」が、同じ発表資料から書かれたとは思えないでしょう。

 東京新聞の「原発ゼロが最安7.1兆円 使用済み核燃料処理費用」にあるように、脱原発ケースのコスト計算が初めてされた点に意味があるくらいなものです。直接処分が最も安いのは世界の常識です。

 「直接処分の場合、再処理施設の廃止費用約五兆円が上乗せされているため割高感はあるが、それでも原発ゼロとすれば、処分する使用済み核燃料も少ないため、安く済むとの結果だった。逆に、原発への依存度を高めるほど費用もかさみ、直接処分と組み合わせると最も高コストとなった」

 再処理工場の建設費が2兆円あまりなのに廃止費用に5兆円も掛かる理由は、高レベル放射能で汚染された「死の空間」が出来ているからです。全て再処理するケースが比較的低いコストに抑えられている理由は、再処理工場廃止を遠い将来に先送りして廃止費用を計上しない「手品」を使っているからにすぎません。実際は再処理工場をフル稼働していけば汚染はどんどん酷くなります。

 核燃料サイクル見直しを前提にこのようなコスト論議をするなら、真っ先にするべきは青森・六ケ所核燃料再処理工場で再開された試運転を直ちに中止する措置です。残念なことに、試運転で高レベル汚染された場所が増えてきましたが、それでも現状で凍結すれば5兆円よりずっと安く済むはずです。既定路線を守る、即ち既得利権を守るために、将来、税金か電気料金で賄わねばならない廃止費用を、むざむざ膨らませている現状は犯罪的です。

 【参照】インターネットで読み解く!「核燃料再処理」関連エントリー


「やぶ蛇」野田政権に原発再稼働の読売が呆然

 18日の読売社説「原発再稼働問題 冷静で現実的な議論が重要だ」には笑いがこらえられませんでした。野田政権があまりの「やぶ蛇」を演じてしまったために、原発再稼働推進一本やりだった読売にして「これはまずい」と深刻になっている内情が読みとれます。首相は自治体を説得できればよいと安易に考えたのですが、自治体は住民を説得しなければなりません。その結果、《原発「被害地元」を明記 京都・滋賀知事が7項目提言》(京都新聞)と”ヘビー級の宿題”が出され、野田政権には説得力がある解答を書く能力が疑われるのです。

 読売社説は「関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働論議が迷走気味である」と始まります。京都、滋賀の両知事には「約10日間に計6回の閣僚会合で安全性を確認したのは拙速だ、との思いが強いようだ」。「関電の大株主である大阪市の橋下徹市長の度重なる再稼働反対発言も、波紋を広げている」「枝野氏の発言の『ぶれ』も、混乱に拍車をかけた。枝野氏は『再稼働』と『脱原発』のどちらに軸足を置いているのか、真意がわかりにくい」と続いて、結論だけ「枝野氏は再稼働の担当閣僚として責任を全うするべきだ」では、読売自身も事態打開の策が見えないと告白しているようなものです。

 両知事の提言は「提言は反対のための反対、賛成のための賛成をするためのものではない」となっている分、「使用済み核燃料の最終処理体制の確立に取り組み、工程を示す」「中長期的な電力確保策を示し、国民に節電の協力を求める」といった根源的な課題にまで触れています。こんな課題にさらりと答えられる政治家・官僚がいる訳がありません。「福島第1原発事故の事故原因を徹底究明し情報を公開する」――いまやっているところです、待てないから無理なお願いをしました▼「大飯原発の免震事務棟、防潮堤など恒久対策ができていない段階での安全性を説明する」――過酷事故は急には起きないと考えているわけでご勘弁……と本音で答えてしまっては身も蓋もないでしょう。「原発再稼働:落とし所を考えない野田政権の愚」で指摘したように、昨年夏から環境整備をしておかねばならなかったのです。

 国会答弁のような木で鼻をくくった作文が返ってくるしかない――両知事はそれを見越しているはずです。一方、福井県の西川知事は関西圏の説得は政府の仕事と釘を差しています。この構図では早期の原発再稼働は見えてきません。推進派読売新聞が呆然となっている心情がよく分かります。仙石氏の「集団自殺」発言といい、今回の狂言回しをしているであろう政府中枢官僚の質が悪すぎます。

 【参照】インターネットで読み解く!「原発再稼働」関連エントリー


インド国勢調査と経済大国予測のギャップ

 BRICS首脳会議に合わせた「2050年にはインドが世界一の経済大国」(CNN)の予測を見て、2011インド国勢調査の速報値を知ったばかりだったので、世帯の半分以上にトイレが無い現実とのギャップの大きさに戸惑ってしまいました。中国共産党のような開発独裁のリーダーシップが存在せず、非効率的な官僚組織が幅を利かせているインドにそのような大変貌が可能なのか――成長率の数字だけいじっている近未来予測には疑問符です。

 英ナイトフランクと米シティプライベートバンクがまとめた「世界の富の配分に関する報告書」はこうです。「中国は2020年に米国を抜いて世界最大の経済大国となる見通し。しかしインドの国内総生産(GDP)は購買力平価(PPP)ベースで2050年までに85.97兆ドルに達して中国の80.02兆ドルを上回ると予想。米国は30.07兆ドルで3位に後退するとした」「ブラジルとロシアが上位10カ国にとどまり、インドネシア、ナイジェリア、メキシコ、エジプトも上位10カ国入りを果たすと予想。日本は6.48兆ドルで9位に後退している」

 GDPが米国30兆ドルで日本6兆ドルの時に、80兆ドル台のインドと中国が存在しているとの予測なのです。宮本憲一さんの『環境経済学新版』(岩波書店)にインド独立の父、ガンジーが「インドが英国と同じことをすれば、地球がいくつあっても足りない」と主張したとの記述があります。地球規模の資源限界を超えかねない、まさにその事態でしょう。

 南インドに日本から嫁いでいる女性のブログ「2011国勢調査結果からインドの現状を知る」(マドゥライから)が統計値が見やすく興味深いと思いました。人口12億人の国の世帯別で、「住居1部屋のみ」37%、「上水道あり」32%、「電気あり」67%、「トイレあり」46%、「テレビ所有」47%、「電話(固定または携帯)」63%、「自転車」44%などなど並んだ数字を眺めると、生活インフラ整備が途轍もなく遅れていると分かります。大人口国ですから改善に要する資金とエネルギーの大きさはちょっと想像できません。


 トイレについては「東南アジアにおける衛生設備の不備がもたらす経済損失」に比較データがありました。インドの都市部81%、地方30%の家庭トイレ普及率をグラフにならべてみると、だいたいインドネシア並みです。特に地方は東南アジア2004年の平均水準の半分と遅れてます。つまり野外で用を足している訳でトイレットペーパーはほとんど使われず、自然にあるもので代替しているはず(紙資源消費参照)。

 「月収が約3万円を超えているのは人口の2.5%のみ」「月収1万円以下が、国民全体の77%」という所得水準のグラフが上記ブログに掲げられています。月収4981〜6640円と3321〜4980円の世帯が最も多く、それぞれ4000万戸を超えています。貧困からの脱出は簡単ではありません。「今の平均月収が3万円だとして、毎年10%ずつ経済成長して、月収も10%ずつ増えても、10年後にも約8万円にしかなりません。インドが順調に経済成長し続けても、彼らが、海外旅行へ行くことは、10年後でも容易では無いのです」

 英エコノミスト誌は最近、「インド経済:魔力を失いつつある国」をリリースしています。「インド経済が拡大を続けることを疑う人はいない。だが、インド経済の軌道の角度は急降下してしまった。前四半期には6.1%まで成長が減速した。政府が期待しているように成長が回復するとしても、多くの人は、トレンド成長率が7%を大きく超える可能性は低いと心配している」と、古めかしい絶望的な官僚主義が蝕んでいる現状を指摘します。

 思い出せば1年前にもジョセフ・S・ナイ・ハーバード大学教授が「インドは中国と並ぶ大国になれるのか?」(東洋経済オンライン)を書いていました。《中国国民の91%は識字能力があり、43%が都市に住んでいる。だが、インドの識字率は61%で、都市居住者は29%にすぎない。毎年インドでは、エンジニアリングやコンピュータを専攻する大学卒業生が米国の2倍生まれる。しかし、英『エコノミスト』誌によると、「ソフトウエア会社で働く能力を持つ卒業生は4・2%にすぎず、6カ月の訓練を施した後でも、17・8%しかITサービス会社で働ける水準に達しない」。これはインドの大学のレベルが低いためである》。インドのソフトウエア産業は強いと思いこみがちですが、大量養成して一部の技術者が使い物になる実態のようです。

 また、長く続いた低成長に慣れたお役所の仕事ぶりは、高度成長の歪みをフォローするどころではないようです。「インドの大気汚染は中国以上で世界最悪の報道」も最近ありました。上記ブログの女性宅には電気は来ていますが、1日に何度も何時間も停電するのが常態化しています。外国資本の導入、工場進出で停電はますます酷くなっているそうです。

 【参照】インターネットで読み解く!「インド」関連エントリー


法無視する政治主導の愚:原子力安全委は無関与

 枝野経済産業相が14日午後、福井県庁に西川知事を訪ねて大飯原発の再稼働に向けた協力を要請しました。そのやり取りで露わになったのが、民主党政権が掲げてきた「政治主導」の愚かしさです。福井県側は専門家に諮ると答えたのに、政府は現行法の枠組みを無視し4閣僚が勝手に安全だと判断しただけなのです。

 テレ朝の「大飯原発再稼働へ協力要請 福井県知事は回答保留」はこう伝えています。《福井県・西川一誠知事:「妥当性については今後、福井県としては、県が設置している県原子力安全専門委員会において、厳正にチェックを加えて参りたい」》《橋下大阪市長:「原子力安全委員会のコメントがきちんと出ないまま再稼働していくなんていうのは、本当に危険な統治のやり方。ものすごい強い怒りを覚えている」》

 西川知事が勝手な政治判断をしても、原発の安全性については県民が納得しないでしょう。だから、県原子力安全専門委に諮るのです。現行法で国の原子力安全についての総元締めは原子力安全委です。そこが「安全委を外して原発の新安全基準了承は論外」で指摘したように蚊帳の外に置かれていて、国民が納得できるはずがありません。

 毎日新聞の「大飯再稼働:関西圏の理解が必要…経産相要請に福井知事ら」はさらに《西川知事や時岡町長は現時点での判断を保留した上で、「電力消費地の理解に責任を持って対応してもらう必要がある」と述べ、大阪市など関西圏の理解が必要との認識を示した。大阪市や京都府などは政府の再稼働に向けた性急な動きに反発を強めており、国は重い課題を突きつけられた格好だ》と報じました。

 政治主導は先例主義に傾く官僚の抵抗を押し切って、新たな政策を実現するためにならば理解できます。しかし、原子力安全委を基盤に置いた現行法の枠組みを政治主導なら無視できるというのでは、法治国家ですらありません。

 【参照】「新安全基準は想定外を隠れ蓑にする欠陥品」


新安全基準は想定外を隠れ蓑にする欠陥品

 ストレステスト(1次評価)では炉心溶融のような過酷事故は考えなかったのに、にわかに出来た原発再稼働の新安全基準ではそこまで評価してあると野田政権は言っています。マスメディア報道では判りにくかった点が、発表資料原文を読んで判然としました。過酷事故は想定外として棚上げする福島原発事故以前の考え方に先祖帰りしているだけなのです。こんな欠陥品で、炉心溶融と水素ガス爆発を実際に見てしまった国民を欺いては困ります。

 3つある判断基準で騙しのポイントは「基準2」にあります。「今回の事故並みに、想定値を超えた地震・津波に襲われても、燃料損傷に至らないことの確認」が出来ることになっているから、過酷事故対策は先送りして事業者任せで良い――と能天気に構えられるのです。

 福島事故が明らかにした事故進展のポイントは、これまでは手を尽くしてある建前だったのに人間のミスや錯誤が簡単に防御の壁を乗り越えてしまう恐ろしさでした。1号機の最後の安全装置は運転員の誰も使用経験がなかったお粗末な笑い話ですが、3号機の場合は安全装置を運転員が誤って止めてしまい、2度と起動せずにメルトダウンに進みました。

 「判断基準に対する大飯発電所3、4号機の対応状況」で「基準2」部分を見ると、高台に設置した空冷式非常用発電装置からの電源供給など「これらの対策が、設計上の想定を超える地震や津波が重畳するような厳しい環境の下においても実施が可能であることを、以下のとおり現地調査を含めて確認した」と主張して、人間の錯誤などに突っ込むことなくお終いです。

 事故時対応手順書をどのように準備しようが、人間が易々とぶち壊しにしてくれた福島の教訓を、経済産業省原子力安全・保安院は学んでいません。事故以前の古い考え方に戻り、過酷事故に進む事象の経路はまず無いから「想定外」に祭りあげて構わないと見くびっています。関電も同じ構えで、ベントのフィルターや水素ガスの建屋からの排出装置設置など先のこととしています。事故や災害では想定しなかった惨事が起きることを忘れてはなりません。

 原発再稼働の新安全基準は、本来なら安全の総元締めである原子力安全委がお墨付きを与えるべきなのに、今は蚊帳の外です。しかし、安全委は昨年夏から過酷事故を扱うストレステスト2次評価が再稼働には不可欠との立場を変えていません。起きてしまった現実を見る目は保安院よりも確かなようです。「無謀・大飯原発再稼働へ4つの駄目」で指摘しているように、付け焼き刃の新基準で誤魔化せる問題ではないのです。

 【参照】インターネットで読み解く!「原発再稼働」関連エントリー


原発再稼働:落とし所を考えない野田政権の愚

 民主党政権が発足して以来、最後の落とし所を考えずにアドバルンだけ打ち上げる愚行が繰り返されてきました。最たるものだったのが沖縄・普天間基地移設で、全国的に影響が大きい原発再稼働問題でも新安全基準が土壇場の3日間で出来上がる拙速ぶりです。福島原発事故で放射能の大量放出を起こした水素爆発への備えさえ出来ていない現状では、立地自治体は安直に同意できないはずです。ストレステストを言い始めた昨夏から、1年先を見通して環境整備していく政治家が存在しない、恐るべき無計画政権です。

 新安全基準を決めたのは野田首相ら4閣僚で、原子力技術そのものに強いとは思えませんし、現行法で安全の総元締めである原子力安全委を完全に外した点で法律にも強いとは見えません。しかし、大飯原発の立地自治体である福井県は原子力の素人ではありません。知事は慎重姿勢で記者会見を拒んでいますが、こういう時は地元紙である福井新聞が意向を側聞していると考えるべきでしょう。

 6日付けの論説「大飯再稼働へ新基準 安全対策、それで十分か」はかなり否定的です。「今回の安全基準は実質、県の要請に答えた形で、全電源喪失事故の進展防止策など三つの基準で構成した。電源車の配備、建屋の浸水防止策など、事故後の緊急対策で実施済みの項目を盛り込み、防潮堤のかさ上げや、事故対応拠点となる免震事務棟など完成に数年かかる中長期対策も列挙。30項目の実施計画をあらためて示した格好だ」と評価しつつも「しかし、新たな知見となる活断層の連動による耐震安全性や誘発される津波の評価をはじめ、地震による道路寸断、配備された電源車、消防車の被害想定が十分なのか、オフサイトセンターの機能不全の懸念など不安材料は多い」と具体的な不安を挙げます。

 福井県が求めてきたのは暫定基準であるのに、政府は安易に「新安全基準」としている点にも懐疑的です。「炉心のメルトダウン、放射性物質の大量拡散被害という過酷事故が発生し、原発の安全性に大きな不安が渦巻いているのが現状だ。再稼働に向けたハードルは格段に上がっている。国が『新基準』として判断するのはよほど慎重を要する」。実のところ原子力安全委が全く関わらずに原発の新安全基準が出来る発想こそ、過去の経緯を見れば著しく異常です。

 長年、原発と向き合ってきた側からすれば野田政権がとった態度は、あまりにも付け焼き刃で、薄っぺらいと見えるはずです。水素爆発など中長期の事故対策を先送りして再稼働し、現実に過酷事故が起きたらどうするのか――4閣僚は責任を取ると言っていますが、国家の存立を危うくするほどの危機に切腹などして貰っても困ります。各地の原発サイトは福島事故後も実質的には何も変わっていません。机上の空論であるストレステストをしただけです。実効的な対策ありとして地元の理解を得やすくするために、欧米では常識になっている水素爆発対策換気装置だけでも突貫工事で済ませて置くなど、早くから実質的に形の見える対策を進めるべきでした。

 【参照】インターネットで読み解く!「原発再稼働」関連エントリー


安全委を外して原発の新安全基準了承は論外

 大飯原発の再稼働をめぐり5日夜の閣僚会議で「原発の新安全基準 おおむね了承」(NHK)と伝えられています。経済産業省の原子力安全・保安院が用意した案を了承、文言は詰めるというもので、現行法で原子力安全の総元締めになっている原子力安全委が全く外されています。大事故を防げなかった保安院お手盛りの基準に説得力はありません。安全委の目さえ通っていないとは、論外です。

 《案では、▽福島第一原発を襲ったような地震や津波が来ても、全電源喪失という事態の進展を防ぐ対策が取られていること、▽ストレステストの一次評価を終えていること、さらに▽ストレステストで一層の取り組みを求められたことなどについて、電力会社が実施計画を示していること、の3つの基準を示しました。これについて、野田総理大臣と関係閣僚が協議した結果、新たな安全基準は、おおむね了承されました》

 後は国民に理解しやすい文章にするのが問題で、6日に改めて安全基準を確認するといいます。そんな表現上の問題などどうでもよいことです。原子力安全委はどこに消えてしまったのですか。

 「原子力の安全確保と原子力安全委員会の役割」はこう述べています。「原子力安全委員会の最大の責務は原子力安全確保の基本的考え方を示すことです。このため、安全審査にあたっての安全性判断の基礎として、多くの安全審査指針等を策定してきています」「原子力安全委員会は、行政庁による安全規制が原子力安全委員会の示した基本的な考え方を踏まえて適切に行われていることを確認し、さらに安全規制や事業者自身による安全確保における新たな課題に適確に対応するための調査審議を行っています」

 問題は2点あって、〆2鵑諒‥膰業事故を踏まえた「基本的考え方」を安全委が整理できていない安全委が行政庁側が適切な対応をしているか確認していない――です。,遼楹憤汰幹霆爐難しいなら暫定基準を考えるしかありません。しかし、暫定基準の作成から安全委が外され、行政庁の対応をチェックすることすらしないとは、現行法の枠組みを完全にないがしろにするものです。マスメディアは「大本営発表」のごとく平然と伝えて済ませるのですか。

 【参照】「無謀・大飯原発再稼働へ4つの駄目」


無謀・大飯原発再稼働へ4つの駄目

 大飯原発再稼働について2日の参院予算委での審議で、政府は京都・滋賀まで含めた地元意見重視を表明し慎重姿勢も見せつつありますが、無謀な決断に踏み切らないよう4つの端的に駄目な点を示しておきます。

 そもそも論としてまず問われるべきは、「安全」の総元締め原子力安全委が不十分と言っているストレステスト1次評価だけで、なぜ再稼働の根拠に出来るのか、です。「原発再稼働ストレステスト、安全委は保安院に同調せず」でこう指摘しました。《安全評価(ストレステスト)の1次評価について班目委員長の見解は「再稼働とは関係ない。2次評価まで終わらなければ、安全性の判断はできない。1次評価は安全委が要求している(安全性の)レベルに達していない」というものです》。過酷事故を扱う2次評価が必須の立場です。

 2番目は「ストレステストを自ら否定:保安院の技術知見」で電源問題を具体例に上げた通り、1次評価そのものが保安院自ら言っていることと違っています。大飯原発では《保安院の福島事故を踏まえた「技術的知見」が事故の状況を把握するまで最低「8時間」見込んでいる余裕よりも、ずっと短い5時間で外部から応援が来て必要な電源を補充してくれるとの超楽観的な想定しか、鳴り物入りのストレステストは課していないのです。当然ながら外部救援を想定する24時間まで待てる余裕などありません》

 3番目は再稼働して、もし重大事故が起きたら水素爆発対策はどうするのかです。「水素爆発には建屋にドリルで穴:保安院過酷事故対策」で伝えた通り、保安院は「福島原発事故で苦渋をなめた水素爆発には、当面は電気ドリルで穴開けに行くしかないとしています」。電気ドリル特攻隊の愚かしさには失笑を禁じ得ません。「全電源喪失で過酷重大事故が進行している混乱の最中に、誰が適切なタイミングで指示を出せるのでしょうか。行かせるタイミングを誤れば爆発させに行くことになるのです」

 最後に確認して置かねばならない点は「原発再稼働は法に基づく安全確認しかあり得ない」です。現在の法律では原発の安全は国による安全審査で担保されています。現行法に何の根拠も持たないストレステストの結果だけ示して、原発立地自治体が住民に安全と言えるはずがありません。福井県が再三求めている「暫定的な数値基準」の意味は、数字さえあればよいのではなく、何らかの法的な裏付けを設けてくれと解すべきなのです。

 【参照】インターネットで読み解く!「原発再稼働」関連エントリー