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計画白紙1兆円申請の東電は上場廃止、国有化に

 新聞の見出しは時にインパクトを持ちます。≪計画白紙で1兆円申請 資本注入 東電、政府管理下へ 会長人事が難航≫が今日の日経新聞の朝刊トップ見出しでした。さらに福島原発事故の賠償支払いのために8459億円の追加支援も要請しています。こんな「民間企業」が存在し得るはずがありません。直ちに上場を廃止して本格的な国有化に移すべきです。東電が存在している結果、事故処理と賠償のために架空の原資があるがごとき幻想が存在します。しかし、突き詰めれば電気料金と税金に、つまり一般国民に負担を求めるしか原資はないのです。

 日経の記事はこうです。≪東電と機構は再建に向けた「総合特別事業計画」を3月末までに枝野幸男経済産業相へ提出する予定だったが、かなめとなる勝俣恒久会長の後任人事が難航。計画の重要部分が白紙のまま資金援助だけ求める異例の事態になった≫

 これがどれだけ経済界の常識を外しているか、経営の当事者能力が無い以上、株式を上場して一般投資家を惑わせるべきではありません。

 毎日新聞の≪東京電力:公的資金を申請 厳しい「値上げ」「再稼働」 特別事業計画先送り≫は≪年明け以降、支援機構関係者が経団連会長経験者や政府の有識者会議の有力メンバーなど複数の財界人に会長就任を打診したが、いずれも固辞されたという。6月の株主総会で新経営陣を決めるには4月中に送付する総会招集通知に新会長を含む新経営陣の顔ぶれを盛り込む必要があるが、財界人でなり手がいないのが現状。このため財務省や経済産業省出身の官僚OB、学識者などの名前も候補として浮上している≫と伝え、経済人の本音として政権がいつまでもつか分からない民主党政権下で大仕事を引き受けて、はしごを外されてはたまらないとしています。

 福島原発事故の収拾をめぐって、民主党政権は東電に責任を負わせ、まるで打ち出の小づちがあるかのごとく対応しています。しかし、既に用意された原資は尽きているのです。これから先に発生する除染、廃炉などの費用は電気料金と税金に求めるしかない、その厳しい現実をこの際、はっきりさせるべきです。そう見切れば、現在の東電経営陣の愚かな判断に今後を委ねることなど出来る筈がありません。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


廃炉撤去は不可能、永遠のお荷物に:福島原発2号機

 東電福島第一原発2号機の内部状態がようやく実測され、8分も中にいれば死ぬ猛烈な線量と、放射線から人間を守るための水が張れない事実から2号機の廃炉作業は実施不能と判明しました。水を張るために格納容器の水漏れ場所を塞ぐ道が模索されるのでしょうが、建屋地下に漏れだしている汚染水の放射能レベルは、そこで人間が作業可能なレベルではありません。廃炉撤去することは不可能で、永遠のお荷物として付き合わねばならない覚悟をすべきです。

 読売新聞の《2号機格納容器内「被曝すれば8分で死に至る」》は「調査は26日に内視鏡を挿入した配管に、線量計を入れて測定した。壁面から50〜100センチの場所で計8か所測り、線量は毎時31〜73シーベルトだった。定期検査中の格納容器内の線量に比べ、10万倍以上高い」と報じました。致死線量10シーベルトを瞬く間に浴びてしまう死の空間でした。

 朝日新聞の《格納容器内の水位、わずか60センチ 福島第一2号機》はこう伝えました。「工業用内視鏡で調査し、水位を確認したと発表した。水位は格納容器の底から60センチの高さで推定より大幅に低かった。水温は48.5〜50度で、推定でしかなかった格納容器内の水の状態が初めて確かめられた」「東電は水位を格納容器の底から3.5〜4メートルにあると推定していた」

 廃炉は高さ30メートル以上ある格納容器を水で満たし、底が抜けている圧力容器、溶け落ちた核燃料へと順番に撤去していく作業手順です。水が張れることが決定的な重要条件です。現状で水が底部のどこから漏れだしているのか全く分かりませんし、炉心溶融で高温高圧を受けた格納容器上部の損傷ぶりも大きいと考えざるを得ません。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


米国の学資ローン返済地獄に近づく日本

 日本では名前だけ奨学金と呼ばれる学資ローンの返済地獄ぶりが、だんだん米国に近づいてきています。朝日新聞の《奨学金1万人滞納 金融・信販会社に登録》は日本学生支援機構(旧日本育英会)が「2010年度末時点で123万1378人に総額1兆118億円を貸し出し、3カ月以上の滞納額は約2660億円に上る。回収強化のため、10年度から3カ月以上の滞納者の情報を信用情報機関に登録し始めた」と滞納の多さを報じました。

 米国の学資ローン規模は借りている額も人数も格段に大きく、ニューズウィーク日本版の《米経済を圧迫する学生ローン地獄》は「アメリカの学生ローンの残高がついに1兆ドルを超えた」「借り手の多くは利率や返済期限をきちんと確かめずにローンを組むため、卒業後の返済に苦労するはめに。ニューヨーク連邦準備銀行によれば、借り手の25%以上が返済期日に遅れている」と伝えています。

 平均の数字に疑義があったので原資料である「High Debt, Low Information:A Survey of Student Loan Borrowers」にあたると、借りている人は3700万人ですから、平均すると2万7000ドルの借金になります。日本の平均80万円に対して米国220万円くらいでしょう。社会人になっていきなり2百万超の借金があるのでは大変です。マイホームを夢見て「住宅購入の頭金を貯めるより毎月の返済で手一杯になっている」人がこれだけ多数いれば住宅市場にも響きます。

 日本でも「機構や大学から奨学金を受ける学生の割合も増えており、機構の調査で初めて5割を超えた」とされている点が目を引きます。不況による親の収入減少もあって借りることが当たり前になっているのです。それなのに若者の半数は非正規の雇用になっている現状では、就職しても返済していく余力に乏しくなっています。

 実態はさらに深刻と示唆するデータが公表されました。《雇用:10年春新卒者、半数以上就職できずまたは早期離職》(毎日新聞)が「推計によると、大学・専門学校卒では、大学院などへの進学を除いた77万6000人のうち、約7割の56万9000人が10年春に就職した。しかし、このうち19万9000人が3年以内に離職。卒業後、無職・アルバイトなどの人(14万人)と、同年春卒業予定で中退(6万7000人)を加えると、無職か安定した職に就いていないとみられる人は40万6000人に上り、全体の52%を占める」と報じていて、ローンを返さねばならない人の相当多くは不安定な経済状態にあると見られます。

 《「大学無償化」国連人権規約を協議へ 外務省が留保撤回》(朝日新聞)が伝える「大学や高専など高等教育の段階的無償化を求めた国際人権規約の条項について、30年余り続けてきた留保を撤回する方針を固めた。文部科学省などと協議して手続きを進める。授業料の減額や返還不要の奨学金の導入など、条項に沿った施策に努めることを国際社会に示す意味合いがある」が真剣に検討され、実効性がある政策になるべきです。
 【参照】生涯未婚率急増への注目と日米・貧困で非婚化
     30代の『家離れせず・出来ず』は相当に深刻

原発再稼働は事実上無理、夏ピーク対策に舵を

 原発再稼働に向けて政府が推進してきたストレステスト1次評価が関西電力大飯原発3、4号機について原子力安全委が了承して終わりましたが、地元からの反応、メディアの論調に厳しいものが多数あります。与党民主党の原発プロジェクトチームですら「時期尚早」とする提言を出している現状では、夏場の再稼働は事実上無理になったと考えるべきです。既に3月末になり、夏場のピーク需要対策に舵を切らないと物理的に準備が間に合わないと認識すべきです。

 毎日新聞の《大飯原発:安全評価 県や立地自治体など、国の動向注視 「問題ない」確認に /福井》が伝える地元福井はこうです。《満田誉副知事は再稼働について「福島の事故の知見を生かした安全基準など、県が国にお願いしている内容にどのような判断がされるかにかかっている」と述べた。おおい町の時岡忍町長は「ストレステストだけでは不十分。暫定的な安全基準と、これに基づく安全対策について早く答えを出してほしい。回答を得なければ前に進めない」と話した》

 地元が求めてきた暫定的な安全基準を示せていない点でアウトです。また最初から安全委は1次評価が安全を担保するとは考えていません。過酷重大事故を扱う2次評価こそ必要という立場です。京都や大阪の市長も反対です。加えて野田首相は消費税増税法案での党内調整、閣議決定で手一杯です。これまた異論が多い原発再稼働で党内取りまとめを図る余裕はありません。日経新聞などが「増税法案を国会に提出するまでは、再稼働問題で党内に波風を立てるのは得策でない」雰囲気にあると報じています。

 東電管内はこの夏が猛暑ならば最大13%の供給不足と政府は試算しています。夏の最大需要期を原発全面停止状態で乗り越えられるか、その検証を急ぐなら朝日新聞が24日朝刊で伝えた《冬の電力、余裕あった 関電、供給力を過小評価》は有意義でした。「節電要請が始まった12月19日からの3カ月間で供給力に対する電力の使用率が90%を超えたのは5日間」であり、最高でも93%に止まりました。供給力が見通しよりも300万キロワットも多い2730万キロワットあり、最大需要は見通しより87万キロワット少ない2578万キロワットでした。

 深夜の余剰電力で水を汲み上げて昼間のピーク時に発電する揚水発電が「予想より199万キロワット増えた」となっています。昨年夏に東電が意図的に非常に厳しい電力需給を公表し、それには1050万キロワットの揚水発電分が隠されていた事情と似ています。各電力会社が出している供給計画は精査しなければなりません。

 民間の自家発電や太陽光発電、コジェネなどの力も借りるべきで、その前提になる電力買い取り価格など条件整備を急がないと、時間切れで導入できずに終わりかねません。「原発無しの夏確実、太陽光発電でピークカットを」で指摘しているようにポテンシャルは十分高いのですから、政治がいま動くべきはこちらの分野です。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


自分で福島事故を究明しなかった原子力学会

 こんな逃げるばかりの専門家しかいなければ大事故も起きる――20日朝刊の原子力学会の記事を見て唖然としました。自らの専門分野で福島原発事故という超重大事故を目の前にしながら、日本原子力学会は事故経過を真剣に究明していなかったのです。福井市で始まった定期大会で身内から批判を浴びて、遅ればせながら6月末を目標に取りまとめるそうです。

 毎日新聞の《原子力学会:福島原発事故、独自調査へ 「志低い」批判で》はこう伝えます。《学会は事故を受けて調査専門委員会を設置、5月に提言としてまとめた。しかし炉心溶融や水素爆発などがどう起きたか事故の詳しい分析はしていない。大会初日のこの日、事故の特別シンポジウムが開かれ、沢田隆副会長が政府の事故調査委員会など他機関の調査と、学会の提言との比較を発表した。ところが会場から「福島第1原発で何が起きたかを学会として科学的分析をして明らかにすべきだ」と独自調査を求める声があがった》。

 専門家として事実の究明、分析なしに何を提言できるのでしょうか。「5月に提言」とは、まだ何も明らかになっていない時期です。

 事故の当初から「個人責任を追及するな」と学会声明していた点で際立っていました。《福島第一原子力発電所事故「事故調査・検討委員会」の調査における個人の責任追及に偏らない調査を求める声明》にこうあります。「日本原子力学会としては、この方針に則り、また、学術会議報告書にも述べられているとおり、結果だけをみて直接関与した個人の責任を追及するのではなく、設置者のみならず規制当局等も含めた組織要因、背景要因などについても明らかにされ、関係者間で共有されて再発防止に活かされることが重要と考える。今後の調査において、事故関係者からの証言聴取が、国際的に整合性を持った手法で、実効性を最大限高めるべく進められることを求める」

 外部に対して求める以上、自分でも個人責任追及はしないかわりに「実効性を最大限高める」事実関係の究明をすると思っていましたが、意味があることは事実上してこなかったようです。昨年11月、第288回「2、3号機救えた:福島原発事故の米報告解読」で「米国の原子力専門家組織が、福島原発事故について初めて時間を追って現場の措置・経過を詳細に記した98ページ報告書を公表」と紹介した際に国内からの事実究明が遅れていることにもどかしさを感じました。

 何ということか、日本の当該学会は事実を究明するつもりすらなかったわけです。触れたくない事実に目をそむけて科学技術の進歩はありません。一言、「恥を知れ」と申し上げます。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー

過去の検証無しに原子力規制替えする愚かしさ

 経済産業省原子力安全・保安院と原子力安全委員会が組織替えで原子力規制庁になる直前、原子力防災強化を巡る両者の衝突が表面化しました。2006年に原発重大事故に対応するため新たな国際基準に合う予防防護措置区域を設定しようとしたら、保安院が強硬に反対、結局は見送られました。福島原発事故の過去責任を問わない政府の姿勢が全てを曖昧にしてきて、埋もれている問題は山積と疑わせます。個々の問題所在を明らかにしない原子力規制強化のため組織替えが、役に立つはずがありません。

 毎日新聞の《原発防災強化:「寝た子を起こすな」保安院》は《当時の広瀬研吉保安院長(現内閣府参与)が強化に着手した内閣府原子力安全委員会の委員に対し、「寝た子を起こすな」と反対していたことが16日、安全委への取材で分かった。保安院の組織的な関与が明らかになった》《安全委側は、原発から半径3〜5キロにPAZ(予防防護措置区域)を設定するなど、02年に国際原子力機関が定めた新たな国際基準の導入意向は変わらないと伝えた。保安院はその後、安全委事務局に対し、文書や電子メールで導入凍結を再三要求》と伝えています。

 15日に安全委がウェブ「平成18年のPAZ等に関する防災指針見直しにおける原子力安全・保安院からの申し入れ、意見等に関する経緯について」で公開している文書はかなり大量で、無念さがこもっている感じがします。

 「保安院の意見、考え方を十分に確認せず、一方的に防災指針の改訂の検討を開始したことは、原安委管理環境課の不注意と言わざるを得ず、原安委管理環境課の責任として、保安院の考え方を十分斟酌して検討すること」と申し入れされているのですが、安全委と保安院は対等の関係にあり、安全について検討を開始することまで「伺いを立てろ」とは奇異に映ります。保安院から安全委事務局に職員が出向して実務を切り盛りしている実態から、安全委を指揮下に置いていると錯覚しているのでしょう。

 過去の問題点を克服する仕組みを持たずに、新しい原子力規制の在り方がこれまでと違ってくる保証はありません。海外からも日本は規制組織の確立が出来ないと見なされています。国会でも原子力規制庁への異議が表面化しています。こうした状態ならば国会の事故調が要求しているように、夏に事故調査報告が出るまで規制組織替えを凍結すべきです。

 【参照】「福島原発事故責任の曖昧化は再発を許す道」
 インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


中国経済成長が低下する真実味と大きな影響

 中国経済の先行きに黄信号との警告論調は前々から出ていたものの、2月に入ってにわかに数字として具体化して来た観があります。気になったので、どのように語られているか、データの真実味と影響をまとめておきます。

 まずは2月上旬の国際通貨基金(IMF)による中国経済見通しでしょう。ロイターの《中国成長率、世界経済後退なら予想の半分に低下の恐れ=IMF》は《欧州債務危機により世界経済がリセション(景気後退)に陥った場合、中国の2012年成長率は予想の半分となる4%台に低下する恐れがあると警告した。IMFは1月、基本シナリオに基づく中国の2012年の成長率予想を8.2%とし、これまでの9.0%から下方修正した。これに加え、この日公表された見通しでは、世界経済の「下方」シナリオの下では、成長率がさらに8.2%から4%ポイント低下するとの予想を示した》と伝えました。

 続いて3月10日、2月の中国貿易統計が314億ドル(2兆6000億円)の巨額赤字と発表されました。実務的には春節時期の影響を除くため、1〜2月を合計して42億ドル(3485億円)の赤字が焦点です。ロイターのコラム《中国、経済構造変化で貿易赤字が日常風景に》は根深い変化が起きていると指摘します。「国内総生産(GDP)の約40%を貿易が占め、この比率は欧米の3倍だ。そしてこれまでは貿易の大半は、最終的に輸出される製品の原材料や部品が占めていた。輸入後に安い労働力でわずかの価値を付けて再輸出していたのだ。しかし中国が裕福になるにつれて労働コストは上がり、国内消費が増えている」「ほとんどすべての輸出が加工製品で占められているときには貿易黒字を維持するのはたやすい。だが、輸入経済の勢いが増して輸出貿易から離脱するようになれば、毎月の貿易統計がたびたび赤字となるのを避けるのは困難になるだろう。今回の貿易赤字は来るべき未来の前兆なのだ」

 続いて出た、The Economistの《製造業:安い中国の終焉》は「コンサルティング会社のアリックスパートナーズは、興味深い推計を示している。中国の通貨と輸送費が年間5%ずつ上昇し、人件費が年間30%上昇すると、2015年までに、北米でモノを生産するコストは、中国で生産して北米に輸送する費用と同程度になるというのだ(図参照)」と、従来の考え方による中国でのアウトソーシングが無効になる時期が迫るとしています。ただ、これだけ整備された部材のサプライチェーンは捨てがたいので、ベトナムなどに行かず製造工程を自動化しても中国に残る動きも紹介しています。

 前々から批判的な論調だった石平氏の《中国経済成長の終焉 2012年は冬の時代》は次のような厳しいデータを並べています。「成長の象徴である自動車市場の場合、10年の全国の自動車販売台数が前年比32.44%だったが、11年は2%台にまで激減した。そして今年1月の新車販売台数は前年同月比で26%減となったと中国汽車工業協会は発表」「鉄鋼業界の利益率は04年の8.11%をピークに下降し、10年は2.57%と、全国の工業各野の中で最低レベルとなり、11年にこの数値がさらに下がった。今年に入ってからも、鋼材市場は消費が伸び悩み、価格は継続的に下落する一方、在庫だけは急速に増えている」

 冒頭のIMF見通しが欧州経済の混迷を前提にしているのですから、中国経済が急減速する事態になれば、日本経済にとっても逃げ場はありません。対中輸出が減って成長のエンジンを片方もがれたようになるでしょう。米国にとっても景気に大影響があり、また中国に貿易赤字が頻出する事態は外貨準備として米国債を買ってくれていた大スポンサー消滅を意味するので一大事です。急ブレーキが掛かった時に、中国政府がリーマンショック後のような強引な浮揚策に打って出られるか、高度成長が終わってからも財政出動を繰り返して失敗した日本のようになるのか、ウオッチが欠かせません。

 【参照】インターネットで読み解く!「中国経済」関連エントリー

放射能海洋流出は止まず:自分に甘い東電に任すな

 福島第1原発周辺の海に放射性物質が漏れ続けている可能性を、共同通信が気象研究所の分析として伝えました。東電は流出を否定していますが、水産庁がまとめている水産物の放射性物質調査結果から底魚アイナメについて以下のようにグラフ化すると、汚染は全く収束しない状況が浮かびました。セシウム流出量が従来の東電推計の6倍に上るとの重要な報道も現れました。身勝手で自分に甘い東電に判断を委ねてはいけません。政府は適切な指導体制を構築し、地下水の遮断を急ぐべきです。


 アイナメのセシウム含有量は秋口に一時的に下がったものの、秋から年を越えて1キロ当たり1000ベクレル以上の高い水準を保っています。放射性物質の海への流出が止まれば、セシウムは魚の体内から代謝されて減って行かねばなりません。高汚染の魚が揚がり続けている以上、新たなセシウムを魚が摂取していると考えるしかありません。

 《福島原発の汚染水、依然流出か 海のセシウム濃度下がらず》は《事故後の昨年4月、海への汚染水の流出が発覚し、東電は地中に薬剤を入れて止めた。東電は「この3〜4カ月は濃度低下が緩やかだが、昨年3月より大きく下がっている。11月ごろから下がりきったところで推移しており、漏えいがあるとは考えていない」としている》と東電の反論を伝えていますが、証拠はこの通り。昨年末の「放射能海洋流出拡大なのに事故収束宣言とは」で心配した地下水と汚染水の混合からの漏出が現実になっています。

 一方、読売新聞は《セシウム流出量、東電推計の6倍…海洋研試算》で福島原発事故で「原発から海に流出した放射性セシウム137の総量は最大で5600テラ・ベクレル(1テラは1兆)に上るとの試算を、海洋研究開発機構がまとめた。東電の推計量の約6倍にあたる」と報じています。昨年5月7日までのセシウム移動経路をきちんと模擬計算した結果で、これほどの差が出ると東電への信頼性は著しく下がります。海洋へのセシウム流出量は海外の関心が高い重要事項であり放置は許されません。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


福島原発事故責任の曖昧化は再発を許す道

 野田首相が外国プレスとの会見で福島原発事故は「誰の責任というよりも、誰もがその痛みは、責任は共有しなければいけない」と語り、炉心溶融を起こした刑事責任追及を退けました。みんなで責任を感じようと曖昧化して、東電も政府も誰1人として責任をとらない収拾策は事故再発を許す道です。今回は備えられた安全装置を運転員が使えませんでした。事故事象の何がポイントで大惨事にしたのか明確にし、その追及と同じ鋭さと細やかさで考えられる危機の芽を潰す安全基準を作らないなら、原発再稼働など許してはなりません。

 AFPの《野田首相、原発事故「責任は共有すべき」 外国プレスと会見》はこう伝えています。《日本の法律下での一義的な責任は運営事業者である東京電力(TEPCO)にもちろんあるとしながらも、メルトダウンに関する刑事責任については次のように述べて退けた。「政府も、事業者も、あるいは学問の世界においても、安全神話に浸りすぎていたということは総括として言えるだろうと思う。誰の責任というよりも、誰もがその痛みは、責任は共有しなければいけないんだろうと思う」》

 非常用発電機12基を津波で失って全電源喪失を起こし、圧力を逃がすベントや海水の原子炉注入も手違いから遅れてしまい、3つの原子炉がメルトダウンに至りました。しかし、実は最初に爆発した1号機に備わっていた「最後の命綱」非常用復水器の使い方を、東電の運転チームが一度も実地で訓練したことがない「過失」さえなければ、冷却は維持され何も起きなかったと考えられるのです。安全装置はあったのに人が使えなかったのです。詳しくは「福島事故責任は誰にあるか、判明事実から究明」を参照してください。

 原発事故の安全評価は起きる事象を網羅して確率をはじき出します。「想定外」として除外されていた多数の事象が今後、加えられるでしょう。さらに今回のように安全装置があるのに人間側が使えないお粗末さも評価する必要が出て来ました。明確に存在する責任を、総懺悔という曖昧なオブラートに包んでいては抜本的な改善、安全確保は進みません。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー

福島事故責任は誰にあるか、判明事実から究明

 海外メディアからは福島原発事故について「誰も責任を追及されず、報告書だけ積み上がる」と揶揄されています。刑事責任を含めて免責すると決めたはずはないのに、政府事故調査・検証委の委員長が昨年6月「責任追及は目的としない」と表明した点に「原子力ムラ」体制は甘えきっているようです。政府と国会の事故調が結論を出すのはまだまだ先なので、事故1年の時点で判明している事実から大惨事にしてしまった事象の分かれ目はどこにあったのか、その責任は誰に帰すかを考えます。

 【民間事故調】

 一番新しい福島原発事故独立検証委(民間事故調)の「報告書要旨」には《事故(昨年3月11日)の直接の原因は、津波に対する備えが全く不十分で、電源喪失による多数の機器の故障が発生したことに尽きる。設計で用意された原子炉注水手段から代替注水へと、速やかに切り替えることができなかったことが決定的な要因となり、放射性物質の放出を抑制することができなかった》とニュースを調べれば小学生でも書ける、当たり障りのない結論がさも意味があるように述べられています。

 民間事故調といいながら半ばは体制派メンバーであり、ジャーナリズムの質を落としまくって国民の信頼を失った在京マスメディアが支える構図です。切れ味が良い追及が生まれようはずがありません。「決定的な要因」とする「代替注水へと、速やかに切り替え」失敗の中身こそ問われているのです。《関係者全員の「安全」に関する考え方が不十分であった》といった生ぬるい表現で済ませる問題ではありません。これでは何も言っていないのと同じです。

 【FUKUSHIMAプロジェクト】

 もう少し前に、やはり民間有志のFUKUSHIMAプロジェクト委員会がFUKUSHIMAレポート「原発事故の本質」を刊行しています。こちらの問題意識は「マスメディアが伝えてきたこととは違う」と言い切り先鋭です。「設計で用意された原子炉注水手段」を「最後の砦」と捉え、全電源喪失でも炉心溶融した1〜3号機で全て作動しており、それが有効に働いている間に海水注入に切り替えれば何の問題も起きなかったと断じます。

 当時の菅首相は事故翌日「12日早朝に『海水注入』を求めていた。しかしその場にいた東電の代表者はそれを拒む」「同席していた原子力安全・保安院、原子力安全委員会の代表者とも、東電の『不行使』に同調した」「法律によれば、菅には、それ以上の現場への介入が許されていなかった」。海水注入で塩分が入れば原子炉は二度と使えなくなり、廃炉にするしかなくなります。

 以下が責任についての結論です。「三つの原子炉とも『最後の砦』は動いて原子炉の炉心を冷やし続けた。ところが、原子炉が『制御可能』であったときに『海水注入』の意思決定はなされなかった。よって東電の経営者の『技術経営』に、重大な注意義務違反が認められる」

 【1号機非常用復水器が焦点】

 昨年末の政府事故調中間報告を見て「恐ろしいほどのプロ精神欠如:福島原発事故調報告」で驚きの新事実に触れました。《最初に爆発した1号機で電源喪失後に残る最後の安全装置「非常用復水器(IC)」について「1号機の全運転員はIC作動の経験がなかった」との報告にはまさかと思い、目が点になりました。発電所幹部はICが順調に作動していると思いこんで「1号機の海水注入が遅れた一因はICの作動状態の誤認識にある。1号機のベント(蒸気を放出して圧力を下げる措置)に時間がかかったのは、ICの作動状態の誤認に起因すると考えられる」としています》

 昨年11月、米国側の報告を読んだ「2、3号機救えた:福島原発事故の米報告解読」で「淡水注入を始めたのは翌12日午前6時前です。午前2時45分には原子炉圧力容器に穴が開いて格納容器と同じ圧力に下がったと観測されていますから、この時点で炉心溶融は起きてしまっていたとみるべきでしょう」と1号機の「最後の砦」は機能不全との認識は持っていました。しかし、最後の命綱を動かす実地訓練すらなかった運転員教育は劣悪すぎます。

 読売新聞が「炉心溶融、回避できた?冷却装置を早期復旧なら」で《2基あるICは、計16時間作動するとされており、日本原子力研究開発機構の研究チームは「その間に代替の注水手段を確保するなどしていれば、炉心溶融を防げた可能性がある」としている》と報じました。この命綱がきちんとしていれば16時間どころか数日でも炉心溶融は延ばせたのです。16時間は冷却水が切れる時間であり、東電自身の報告書が当日午後9時には水が足りなくなれば給水できる態勢を作ったとしているのです。

 給水態勢を作ったのに弁が閉じて作動していないと認識できないちぐはぐさも、使ったことがなければ当然でしょう。事故調中間報告はこう伝えます。「福島第一原発で事態の対応に当たっていた関係者の供述によると、訓練、検査も含めてICの作動を長年にわたって経験した者は発電所内にはおらず、わずかにかつて作動したときの経験談が運転員間で口伝されるのみであったという。さらに、ICの機能、運転操作に関する教育訓練も一応は実施されていたとのことであるが、今回の一連の対処を見る限り、これらが効果的であったとは思われない」

 ICの弁は電動で開く仕組みであり、電源喪失時には手動で開きに行かねばなりません。米国ではその手動操作の訓練が運転員教育に組み込まれていると後に伝えられました。沸騰水型炉の開発元で採用されている運転員訓練の情報が東電に伝えられなかった可能性はゼロでしょう。事故進展の分岐点を分けた東電の経営責任は明らかだと考えます。もちろん、運転員教育の質を監督する責任は政府にあります。

 【新規制組織への疑問】

 誰の責任かも明らかにしないまま、新たな規制組織、原子力規制庁が4月に発足します。国民からすれば事故責任がある者にはもう携わって欲しくない、少なくとも意味がある反省をした上でしか認めたくないと思うでしょうが、その担保は全くないのです。国会事故調は法律で「行政組織の在り方の見直し」を含め提言を行うことを任務としているのに、調査中に組織替えは理解不能と抗議しました。批判に対して聞く耳を持たない「原子力ムラ」体制を温存する「表紙」の付け替えにしか見えません。

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