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最悪の結果が出た六ケ所再処理工場の目詰まり

 完成が15年も遅れる青森・六ケ所核燃料再処理工場の試運転で起きた、ガラス流下ノズルの目詰まりに最悪の結果が出ました。炉壁に使われている耐熱レンガが剥がれノズルに詰まっていたのです。何年も使っていない溶融炉をいきなり1000度以上の高温に上げて試験した技術的な油断が問題です。目詰まりは試験開始後直ぐに起きており、黒い異物の流下が観察されていました。炉内にはガラス固化体11本分もの溶融ガラスがあり、剥離レンガ片が散在していると覚悟すべきです。

 詰まったノズルをドリルで下から掘削した結果がレンガ発見でした。読売新聞の《溶融炉不具合レンガ破片原因か》は《レンガの発見を受け、「ガラス固化試験」の早期再開を危ぶむ見方も出ている。ほかにも大量のレンガの破片が炉内に存在する場合は再び詰まりを起こす恐れがある上、大きなレンガが落ちていれば、時間がかかる回収作業が必要となる可能性もあるからだ》と伝えました。

 「高温となる炉には耐熱レンガが必要。フランスの場合はレンガが壊れるのを念頭に半年で交換している」と出光一哉・九州大教授(核燃料工学)の指摘にあるように、経年変化に備えた警戒をすべきだったと言えます。

 現在入っているガラス溶液を排出しないと修理も出来ません。ガラス流下を続ければ目詰まり再発必至なのですから、袋小路もいいところです。「核燃サイクルに死亡宣告:再処理工場は完成不能の窮地」で無惨な失敗になったA系溶融炉に続いて、《長い間、使われなかった「B系」炉の内部状態を確認しないで走り出してしまった点に、相変わらず思いこんだら冷静な判断が出来ない技術的未熟さが見えます。「国策」原子力開発の低レベルぶりは改まっていません》と断じた通りでした。

 高速増殖炉「もんじゅ」も含めた核燃料サイクルは、福島原発事故をうけて推進すべきかどうか見直されることになっています。その結論が出る前に再処理工場を完成させようとする、身勝手な試運転は直ちに中止すべきです。

 【参照】インターネットで読み解く!「再処理工場」関連エントリー


事故時迷走の焦点は菅批判よりも悲惨な司令塔

 27日、日米両方から福島原発事故当時に菅直人首相がとった行動に批判が相次ぎましたが、茶飲み話もよいところで本質的な問題点から外れています。国内の司令塔である保安院や原子力安全委が、水素爆発の危険を予期できない「専門家」しか揃えていなかった悲惨さこそ問われるべきです。

 朝日新聞の《首相がベント指示、「米ではありえぬ」 元NRC委員長》は《昨年の原発事故の際、原子炉から気体を出す「ベント」を、当時の菅直人首相が指示した。メザーブ氏はこれを念頭に「米国では考えられない。大統領が決めることではない」と明言。記者会見でも「米国では電力会社が決め、NRCが許可をする。日本の政治家のほうが知識があるのかもしれない」と皮肉った》と伝えました。

 また読売新聞の《菅首相が介入、原発事故の混乱拡大…民間事故調》は《官邸の対応を「専門知識・経験を欠いた少数の政治家が中心となり、場当たり的な対応を続けた」と総括し、特に菅氏の行動について、「政府トップが現場対応に介入することに伴うリスクについては、重い教訓として共有されるべきだ」と結論付けた》としました。

 これでは首相が介入しなければ順調に進んだと言っているようなものです。政治家が迷走しないような、しっかりした司令塔だったのか、それこそが問題の本質です。

 全電源喪失で電源車を急行させても接続すべき電源盤が地下にあって水没していることに頭が回らない保安院、「軽水炉で水素爆発はない」と言い切っていた原子力安全委員長――専門家を名乗るならば冗談も休み休みお願いしますと申し上げるレベルです。これに「恐ろしいほどのプロ精神欠如:福島原発事故調報告」で描いた東電の恐るべき日常的不作為が加わるのですから救いようがありません。《最初に爆発した1号機で電源喪失後に残る最後の安全装置「非常用復水器(IC)」について「1号機の全運転員はIC作動の経験がなかった」との報告にはまさかと思い、目が点になりました》

 事故の責任を問わないことがいつの間にか当然視されています。これが事態をねじ曲げています。責任がある人、対処が駄目だった人には早急に退場していただきましょう。菅氏は既に退場している一方で、退場すべき人がごろごろ居残って指示を出しているのは醜悪です。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


庶民の懐具合は東京五輪以前:貯蓄なし世帯急増

 貯蓄なし世帯急増を伝える「金融資産を保有しない世帯が3割、単身世帯は4割−家計金融行動調査」(ブルームバーグ)は、庶民の懐具合が東京五輪(1964年)以前の状態に落ち込んだことを示しています。「2人以上の世帯で金融資産を保有していないという回答が28.6%と、前回10年の調査(22.3%)から大幅に増え、調査を開始した1963年以来最も高い水準となった」。相関するデータを検索すると、決定的なのは賃金水準の急速な低下です。

 まず「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](平成19年以降)」にある1963年からの長期推移をグラフにしてみました。これには近年、調査方法の手直しでデータ不連続がありトレンドとして見るように注が付いています。貯蓄がある世帯割合が調査開始の1983年を下回ったのは、前年比6.3ポイントも減らした2003年が最初でした。以後は一進一退を繰り返し、2011年に再び6.3ポイントと大きく落ち込みました。「毎月勤労統計調査 平成23年分結果確報」にある時系列表・賃金指数と時期を合わせてグラフを並べました。


 現金給与総額を示す賃金指数は2005年を100としていて、1999年から2011年までで最高の2000年「105.6」から最低の2009年「95.1」まで「10.5」ポイントもの下落です。同じ期間について貯蓄のある世帯割合をみると、1999年「87.9%」が2011年「71.4%」へと「16.5」ポイント下げています。貯蓄のある世帯の中でも「貯蓄しなかった」と答えた割合が1990年代は2割程度だったのに、2007年以降は3割にもなっています。収入減少が貯蓄に大きく響いているのは間違いありません。

 過去を遡ると1964年に東京オリンピック、1968年には国民総生産(GNP)が第2位に上り詰めて、20世紀の間は貯蓄がある世帯が9割前後を維持してきました。しかし、この20年ほどで進んだ大企業も含めた合理化・給与カット、非正規労働者の大幅な増加などで、庶民の生活基盤は根底から揺さぶられているとみてよいでしょう。弱者に向けたセーフティネットを強化しないと、このところ頻発している、周囲が気付かない内の餓死事件がさらに増えそうです。

 【参照:別の観点から】『失われた20年』見直し機運、悪くない日本未来


原発無しの夏確実、太陽光発電でピークカットを

 組織消滅を前に原子力安全・保安院が目論んでいるストレステスト(1次評価)合格による原発の再稼働は、福井県の再検討要求安全委が同調しないためほぼ不可能になりました。夏の需要期に原発が全く運転されないのはほぼ確実で、猛暑のピーク電力をどう凌ぐかが焦点に浮上します。今からでも間に合う強力な武器は太陽光発電です。

 メディアの対策論調は火力発電であり、電力会社間の融通ですが、設備投資が半年後に間に合うはずがありません。しかし、個人住宅や企業のビル・工場の屋上に太陽光発電システムを設置することは容易です。国内では電力業界が再生可能エネルギー装置の送電網への接続を嫌って、過小評価する傾向が続いていますが、実は違うのです。1997年に書いた第22回「太陽を友に暮らそう」で、電力中央研究所の報告を紹介しています。「ピーク電力需要が特に大きい日には、蓄電池を併置しなくとも太陽光発電システムの総合設備容量の50%程度まではピーク電力需要を削減できる」と。設置件数さえ増やせば大きな力になります。同様な新しいデータもあります。

 猛暑をもたらす日差しと太陽光発電効率の向上は完全にシンクロしているから可能なのです。もちろん蓄電池を設けたきちんとしたシステムである方がベターですが、簡易なシステムを大量生産することで深刻なピーク電力を抑えられます。また、本来は原発の存在を前提にしている揚水発電所も、夜間に火力発電で水を蓄えて昼間のピーク時に発電する運用を積極的に進めなければなりません。

 ドイツは福島原発事故で脱原発を決め、原発の半分8基を停止しました。しかし、毎日新聞の「ドイツ:脱原発でも電力輸出超過 再生エネルギー増加で」が伝える通り、電力不足の原発大国フランスに電力輸出するほどになっています。「昨年秋に入ってから好天が続き、太陽光や風力など再生可能エネルギーの発電に有利な条件が整った。また、ドイツ政府が住宅の断熱化などエネルギー効率化を推進したのに加え、原油価格の高騰も手伝って、エネルギー消費量が前年比約5%減になった。このため昨年10〜12月の電力収支は輸出超過を回復。11年の通年で約4200ギガワット時の輸出超過になった」

 昨年夏のように東電や関電などに任せきりで乗り切れるはずがありません。火力発電燃料費増加による電気料金値上げも発生します。国家規模での取り組みと、国民の納得と協力をスムースに得られるよう、政府が司令塔を早急に立ち上げるべきです。原発再稼働にこだわって時機を失してはなりません。民主党政権が政治主導で官僚をドライブしていくと言うのなら、今がその時です。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


原発再稼働安全策、福井県は保安院に再検討要求

 停止中原発の再稼働で先頭になるはずの関電大飯3・4号機について、説明に訪れた原子力安全・保安院に福井県側は「国の説明が不十分。安全対策の再考を」と要求しました。朝日新聞の21日朝刊3面《原発ゼロ、再開へ攻防》が伝えました。「原発再稼働ストレステスト、安全委は保安院に同調せず」もあり、再稼働はますます難しくなりました。

 福井県の原子力安全専門委員会は「県が求める暫定的な安全基準では、数値的なものを含めた判断基準が明確になっていることが重要」と主張しました。保安院が「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の技術的知見について(中間とりまとめ)」に盛り込んだ安全対策30項目について、「事故の知見は網羅されているが、どう具体化するのか改めて基準をまとめてもらう必要がある」との立場です。

 これに対して保安院側は「基準化することは4月発足の原子力規制庁の仕事になるだろう」と語っており、福井県が求める暫定基準をいつ提示できるか明言を避けています。保安院としては30項目の安全対策が福井県の求める暫定基準になるとの期待があり、「それだけに、今回の福井県の対応に、保安院の内部では戸惑いが広がる」と報じられています。

 国と地方自治体が原発推進で一致していた時代には、あうんの呼吸で受け入れられた「変化球」が全く通用しなくなった現状を保安院は理解していないのです。住民の厳しい目に晒されている今、要求そのものに答える「直球」が返ってこないと、自治体として住民へ説明が出来ません。

 まして「ストレステストを自ら否定:保安院の技術知見」で指摘したように、ストレステスト(一次評価)がオーケーを出しているのに、実は30項目の安全対策を満たしていない事実が知れ渡れば、保安院の信用は瓦解するしかありません。政治家は駄目でも優秀なテクノクラートが国を支えてくれる――その幻想がここでもまた崩れていきます。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


原発再稼働ストレステスト、安全委は保安院に同調せず

 停止している原発の再稼働をめぐり、原子力安全・保安院がストレステスト(1次評価)の審査結果で立地自治体を説得する構えだったのに、審査書を送られた原子力安全委員会は同調しない方針です。東京新聞が《班目委員長 1次評価のレベル疑問「原発再稼働と関係ない」》と伝えました。安全委に決定権はないものの自治側体が安全確認できないと判断するのは必至で、民主党政権による原発再稼働は遠のきました。

 安全評価(ストレステスト)の一次評価について班目委員長の見解は「再稼働とは関係ない。二次評価まで終わらなければ、安全性の判断はできない。一次評価は安全委が要求している(安全性の)レベルに達していない」というものです。「安全評価には、定期検査で停止中の原発の再稼働の条件となる一次評価と、全原発対象の二次評価がある。一次評価は核燃料の溶融を防ぐ対策のみ、二次評価は核燃料が溶融する深刻な事故の対策までを対象とする」と考えているためで、二次評価を提出した原発はありません。

 ストレステスト意見聴取会委員で「関西電力大飯3・4号機ストレステスト審査書提出に抗議する緊急声明」を出している後藤政志さんが《なんと! 安全委員会・班目が、保安院の「大飯原発3・4号」再稼働判断を却下!『ストレステストは「原発再稼働と関係ない」』ーー後藤政志氏が解説》で次のように述べています。

 「ストレステストの委員会の中でも、井野委員や私だけではなくて、岡本委員、司会役をやってますね、東大の岡本委員も、最初に2次評価の重要性を指摘しているんですね、委員会の中で。で、ほぼ、考え方としては委員は大体、2次評価まで要るというような、それに近いニュアンスで話しをしてきているわけです」「ところが、保安院は、1次評価だけで、判断を止めてると、こういう構造なんですね。これは一体どうしたものかと。いうことです」

 間もなく原子力規制庁が出来て組織が消えてしまう保安院が、勝手に原発再稼働に向けて独走していると、原子力安全委員会まで認めた形です。さらに、保安院自身による福島原発事故経過の反省・点検があり「ストレステストを自ら否定:保安院の技術知見」で指摘したように、ストレステストの設定を超える備えが必要であることが既に安全対策30項目として判明しています。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


ストレステストを自ら否定:保安院の技術知見

 関電大飯3・4号機は再稼働に向けストレステスト合格――として原子力安全・保安院が原子力安全委員会に審査書を送ったばかりなのに、16日に公表された福島原発事故の技術的知見に基づく30項目安全対策には明確に不合格です。昨年夏に用意したテストですから、最新の知見で否定されるのは仕方ありません。保安院は自らの見解に責任を持って再稼働不可を宣言すべきです。

 公表された東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の技術的知見について(中間とりまとめ)」から、分かりやすい電源問題を取り上げましょう。福島原発事故は全交流電源喪失で主要機器が停止して冷却機能が失われ、1〜3号機がメルトダウンに至りました。事態が悪化する過程で、バッテリーに蓄えた直流電源にも重要な役割があると認識されました。最後の命綱になっている安全装置は電源無しで稼働するのですが、それを起動する弁の開閉にも電気が必要だったり、温度計や圧力計などの値を監視しないと動作状況が確認できません。

 そこで「技術的知見」は「一系統の蓄電池の蓄電容量のみで負荷の切り離しを行わずに少なくとも8時間(事態の正確な把握、冷静な判断、作業の準備・実施に必要な時間)、さらに不必要な負荷の切り離しを実施した上で少なくとも24時間(注:電源車や別途の非常用発電機など外部からの給電に時間を要する事態を考慮)、プラントの特性に応じて必要な時間の稼働を可能とするよう蓄電容量を確保することが求められる」との対策を打ち出しているのです。8時間は事態を把握するまで取り敢えずの余裕、24時間は無駄な機器を外して外部からの救援で電源補給があるまで待つ余裕です。

 大飯3号機でこれに対応する部分を見ましょう。「東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた大飯発電所3号機の安全性に関する総合評価(一次評価)の結果について(報告)」のちょうど真ん中あたりにあります。

 「蓄電池については、その容量から約5時間の時間余裕があり、また、空冷式非常用発電装置の重油については、発電所構内にある補助ボイラ燃料タンク及び非常用ディーゼル発電機燃料貯蔵タンクの重油で補給するが、プラント外部からの支援がない場合でも、これを消費するまでには約85日間の時間余裕がある」

 しかし、この空冷式非常用発電装置は事故が発生してから取り付けると説明されているものです。福島事故を踏まえた「技術的知見」が事故の状況を把握するまで最低「8時間」見込んでいる余裕よりも、ずっと短い5時間で外部から応援が来て必要な電源を補充してくれるとの超楽観的な想定しか、鳴り物入りのストレステストは課していないのです。当然ながら24時間待てる余裕などありません。

 ストレステストが作成される段階ではこうした「技術的知見」が固まっていなかったのですから仕方がありません。これほど明確に福島事故の反省点に違反している状態で再稼働などあり得ません。保安院は自ら作成した30項目安全対策に合格していないストレステストは撤回させるべきです。

 また、原子力安全委員会への審査書送付についてはストレステスト意見聴取会委員のお二人から「関西電力大飯3・4号機ストレステスト審査書提出に抗議する緊急声明」が出され、技術的な問題点がさらに指摘されています。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


東電国有化に反対する財界・財務省の現状誤認

 枝野幸男経済産業相が、国が東京電力の経営権を取得することを事実上の条件として6900億円の追加支援を認定しました。《「東電国有化はとんでもない勘違い」経団連会長》(読売新聞)と反発が出ています。「国有化してきちんとした経営を行った企業は見たことがない」との主張ですが、現在の東電がきちんとしているとの認識こそ誤認そのものです。国の存続に響く大事故を招いた経営責任を誰もとらない▼膨大な資金を受け入れながら避難民への補償は遅れに遅れて出し渋っている▼合理的な説明も無しに17%もの電気料金値上げをいきなり通告▼過去の電気料金に不当な水増しがあったと判明しているのに是正しない――地域独占企業でなければ存続さえ許してもらえないケースです。

 政府内部でも財務省が反対する意向と伝えられます。毎日新聞の《社説:東電実質国有化 政府も責任を自覚せよ》は「政府が過半数の議決権を得ることに関し、財務省は原発廃炉や賠償への国の負担が増すことを理由に反対している。政府内で意見が対立し、責任負担への腰が引けているようでは、東電の経営を任せられるか心もとない」と指摘します。

 財務省にも大きな事実誤認があります。法律上の賠償の枠組みから東電に福島原発事故の責任が一本化されているのですが、原発の安全審査でゴーサインを出した国の責任は消せる物ではありません。責任の半分は国にあるのです。全てを電気料金に転嫁してまかなえないのは明らかである以上、「国の負担が増す」と逃げるなどお笑い沙汰です。

 マスメディアも当初は財務省のような不見識をうたっていましたが、資金不足の重さに《賠償と東電改革は国も一体で責任果たせ》(日経・社説)と変わってきています。「決算で判明したように、東電の財務基盤は脆弱だ。今後も廃炉費用が膨らめば、債務超過の懸念も浮上する。銀行も資金を貸しにくくなり、電力供給と賠償に支障をきたしかねない」

 電気料金の大幅な値上げはGDPにも影響します。東電経営陣の総入れ替え、人件費など経費を世間が納得する水準に是正するなど政府主導で進めるべきです。事故から間もなく1年、東電の自主性に任せては駄目だと判明しています。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


明治の立体写真など3件:Facebookページの話題

 Facebookを始めていることは少し前にお知らせしていて、ブログで扱うより話題の幅を広げています。最近、私のページで面白がられた明治の立体写真を簡単に見られるウェブなど3件のトピックを紹介します。もっと多様な話題を扱っているので関心がある方はおいでください。「団藤保晴」で検索すれば直ぐに見つかります。

 ★明治初期の写真を立体視

 DDN JAPAN(DIGITAL DJ Network)の「飛び出た!4万枚の歴史的立体写真をニューヨーク公共図書館がGIFアニメ化」を見て、左右2枚を並べた写真からする面倒な立体視を、ウェブ上で簡便に実現できる点に感心しました。アニメーションGIFといって、1画像がいくつかの動作を繰り返す画像テクニックで見えた感じになるのです。残像を利用しているのでしょう。

 ところが、よく読んでみると、同じサイトで2年前に「飛び出た?GIFアニメで明治初期の写真を3Dにしてみたから見て。 21枚。」として試みられていて、日本人の感覚ならこちらがずっと興味深い素材です。日本の原風景のような景色、人物像ながら、奥行きがある立体視で見るととても新鮮です。

 ★Twitter発言で入国拒否騒動

 SPA!の《「ツイッターで入国拒否」騒動でわかった米政府のSNS検閲》が「1月末に米国ロサンゼルスに入国しようとした20代の英国人カップルが入国を拒否されたあげく、長時間事情聴取されて強制送還に遭った」「米入国管理局が入国を拒否した理由は、なんとツイッターでのつぶやきだった」と報じています。情報元の英DailyMail紙「'I'm going to destroy America and dig up Marilyn Monroe': British pair arrested in U.S. on terror charges over Twitter jokes」にあるようにスラング「アメリカを破壊してやる」が「アメリカに“お楽しみ”に行く」ととられず、ストレートに受け取られたケースでした。

 膨大なツイッターの発言内容をスクリーニングして、その結果を実際の入国管理の場で発動させている点がまず大きな驚きでした。システムを作り、実際にエネルギーを掛けている真剣さに、滑稽と思いつつも、米国土安全保障省という役所まで作らせた「911」事件の重さを感じました。それに比べると「311」は真剣に取り組まれているのでしょうか。

 ★中国は男子厨房に入るが主流

 中国についての話題はブログでもよく取り上げています。「男が料理が作るのは当然!社会主義事情が生み出した中国クッキング男子(百元)」は中国の家庭では男が料理を作るのが主流で、女性は全く出来ない人も珍しくないとのエピソードながら、隣国の曲折した現代史に触れ、強い印象が残りました。

 社会主義建国の政治闘争の過程で「一時期食事は全て職場や団体等の『単位』関係の食堂で食べるようになっていまして、その結果家庭で料理をするという習慣が一時期消滅していました」。女性がしていた家庭料理が消滅して、お袋の味が消え去ったのです。掲示板の発言はこうです。「俺の知っている限り、自分の親戚で料理できるのはほぼ全部男だわ。中にはプロの料理人もいる。そして知っている限り女性陣には料理できないのが多い。てか、俺の母親も結婚当時料理できなかった」

 お祖父さんの世代には厨房に入る男などいなかったというのですから、この変貌は過激です。現在は、男が作った方が美味しいから料理するとも主張されていますが……。


早期帰宅が困難な原発避難民に未来選択の自由を

 福島原発事故の避難区域は大半で、事故発生から2年以上経っても帰宅できない実態が判明しました。時間が掛かっても帰還を望む人はさておき、故郷を諦めて早く新しい人生に踏み出したい人には国が土地や資産を買い上げるなど、未来選択の自由を保証すべきです。

 朝日新聞が《避難区域の市町村、除染・インフラ整備に優先順位》で野田政権の具体的な復旧手順案を報じました。市町村別に汚染度に応じて5つに区分、最も汚染軽微な田村市と川内村で「除染作業を2013年度末に終えて早い時期の帰宅を目指す方針」です。次の区分「おおむね20ミリシーベルト未満」である南相馬市などになると、除染作業の一方で大津波で破壊されたインフラ整備も進めなければなりません。

 20〜50ミリシーベルトの飯舘村などは「放射線量が低い地域と比較的高い地域が混在しており、まずは地域全体を20ミリシーベルト以下にすることを目標にする」段階であり、実現できる時期のめどはありません。さらに高い汚染度の大熊町と双葉町では高汚染の除染方法を調べるモデル事業に止まります。

 河北新報の《焦点/町外避難者調査/「浪江帰還望まず」3割》が「放射能汚染で生活環境を取り戻せないと見越す人が多いためだ。町は帰還の姿勢を崩していないが、町民の3人に1人は帰還を望まない結果が示され、町の存続に影を落としている」と伝えたように、相当多数の避難民が新天地での生活を始める意向に傾いています。

 これまで福島県や地元市町村は帰還・帰宅だけを掲げて作業を進めてきました。しかし、元の生活はもう取り戻せないと考える人、限りある人生の何年もの期間、ただ待つだけに費やせないと考える人が出て当然です。政府の施策には「帰還しない」選択肢が抜け落ちています。避難区域に残した財産を事故以前の評価で買い上げるなど支援するのは、原発の安全審査でゴーサインを出した当事者である政府として当然の責任です。早急に枠組みを整えるべきです。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


インドの大気汚染は中国以上で世界最悪の報道

 北京五輪で大気汚染が懸念されたことなど中国の環境汚染は知られていますが、同じ大人口国であるインドはさらに大気汚染度が高くて世界最悪――「大気汚染、インドが世界最悪=米エール大など132カ国調査」(時事通信)と報じられています。サイロなど社会基盤整備が遅れてせっかく収穫した穀物を大量に腐らせる国ですから、行政による規制が出来ていないようです。

 「エール大などは水資源や大気、森林、農業など環境に関連する計10分野を総合的に調査し、国別番付を発表した。インドは総合ランキングでは125位だったが、大気は100点満点中3.73点で最下位。大都市の大気汚染が深刻化しているとされる中国は19.7点で128位だった」とあります。大気汚染度は著しく進んでいる訳です。

 WHOの世界調査「Exposure to outdoor air pollution」で都市別に「PM10」エアロゾル粒子の濃度を見ましょう。単位は1立方メートル当たりのマイクログラムで、インドの最高は北部パンジャーブ州のルディアナ「251」、首都デリー「198」、最大の都市ムンバイ「132」です。これに対して中国では最高がほぼ国の中央、黄河沿いの蘭州「150」、首都北京「121」、商業の中心地上海「81」で、差は歴然です。さらに、この値は先進国ではほぼ「30」以下です。

 「PM10」粒子濃度だけに限ればもっと高汚染都市は世界にあって、イラン西部のアフヴァーズ「372」、モンゴルの首都ウランバートル「279」が目立っています。しかし、10億人を超える大人口で国土も広い中印両国で環境汚染が深刻である点は大きな問題です。インドは本格的な経済発展が立ち上がったところであり、すでに一定の経済水準に達した中国ですら規制ができていないのですから無秩序状態が長引く恐れがあります。健康被害が顕在化する恐れ大です。

 中国からは今月、《都市のごみ捨て場と化した農村、「なぜわれわれの玄関先に捨てるのか…」―中国》(レコードチャイナ)といった気になる環境破壊ニュースも伝えられています。経済発展の速さにゴミ焼却施設整備が追い付かないのでしょう。「湖南省常徳市郊外の漢寿県。風光明媚な農村は今、ごみの山と汚水に悩まされている。都市部から持ち込まれた大量のごみが田んぼのあぜや道端、用水路、川などいたるところに捨てられているのだ。埋め立て処分場とされた場所には10メートルを超える高さにまでごみが積み上げられ、ビニール袋がひらひらと舞っている。夏は鼻をつく異臭が漂い、ハエが大量に発生する」

 【参照】インターネットで読み解く!「インド」関連エントリー


あまりに寂しいソニー社長交代人事への反響

 ソニーの没落を反映しすぎて取り上げるのを躊躇してきたほどです――4月1日にソニーのCEO(最高経営責任者)がハワード・ストリンガー氏から、平井一夫社長へ交代する人事は、一電機メーカーの人事として扱われつつあります。7年前、ストリンガー登場で「輝きが無いソニー改革人事の違和感」と書いた際に、それでもネット上でまだ期待感が残っていた状況と比べるべくもありません。

 AV WATCH「本田雅一のAVTrends」の「ユニークで、好奇心を刺激するソニーへ  PSNをもたらした平井新社長が描く“One Sony"」はそれでも率直に評価をしている方でしょう。「今回の記者会見で、平井氏に対する懐疑的な見方は和らいだようにも見えた。平井氏はありきたりの返答をしたり、余裕の表情で煙に巻くといったことをせず、ソニーの状況に関して難しい局面であることを認めつつも、自分の言葉で将来について話をしたからである」

 この10年ほど、抜かっていた問題点は明確になっています。「結論から言えば、ソニーはデジタル製品のハードウェア単体を改善することに力を注ぎ過ぎ、サービスとハードウェア、ソフトウェアを一体化するための投資を怠った。この三つを密接に関連付け、ひとつに見せることができなければ、製品に“魅力”という息吹を吹き込むことはできない」

 米国で急速に伸びるタブレット市場は、アイパッドとキンドル・ファイアーの2強に支配され掛かっていると言われます。アップルとアマゾンの広大で強固なサービス基盤があるから、その上で自分好みの生活スタイルを自然に実現できる端末として売れ、使われているのです。平井氏の“One Sony"がどのような展開を見せるか、創業者たちが演出したワクワク感がそのまま発展していたらと考えると、遅すぎるけれど最後のチャレンジなのかとも思えます。

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