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「もんじゅ」と再処理工場の廃止に踏み出そう

 細野原発相が26日、高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉を含め検討と表明し、衆院決算行政監視委員会が中止を含む抜本的見直しを求める方向と伝えられるなど、もんじゅ廃止への包囲網が出来上がりつつあります。しかし、それだけでは片手落ちです。六ケ所再処理工場と巨額な無駄コンビで出来ている核燃料サイクルの『重し』を取り除き、原子力政策の転換を確かなものにしなければなりません。

 新聞の「もんじゅ廃止」社説は「脱原発」の朝日新聞が「もんじゅ―開発はあきらめる時だ」を7月に、11月に入って東京新聞、琉球日報、さらに西日本新聞、信濃毎日新聞と有力地方紙が続いています。西日本新聞の《もんじゅ 廃止が素直な結論だろう》は「もんじゅに対する風当たりが強い。長い時間と巨額の費用をかけているのに成果が乏しい。東京電力福島第1原子力発電所の事故によって国の原子力政策が見直される中、無駄遣いの象徴になった」「もんじゅ計画がなくなれば核燃料サイクルは崩れる。すると、原発の使用済み核燃料はどうするのかなど、これまでの政策のひずみや矛盾が表面化してくる」「すべてを見直すしかない。国には無駄な事業を続ける余裕はないのだから」と当然の主張しています。会計検査院の調べで、もんじゅ経費は1兆810億円と割り出されましたが、これまで発電は全くしていません。

 当初予定の3倍にもなる建設費2兆円余りを投じて、まだ完成しない核燃料再処理工場も無駄の親玉です。「2年延期でも完成は無理?六ケ所再処理工場」で焦点になっている最終工程の大幅改修について「プラントの現場は既に高レベル放射性廃液で汚染され、人間が立ち入れない『死の空間』になってしまいました。大幅改修を遠隔操作でしなければなりません。これまでの試運転でのドタバタぶりを見れば、改修が成功し、安定した運転が続けられる可能性は低い」と指摘したように、13年遅れた計画を15年遅れに延ばしても完成の保証はありません。

 もんじゅと再処理工場の決定的遅れで、核燃料サイクル政策は早くから見直さざるを得ない状態だったのに、厄介な問題が発生するからと見送ってきました。既に保有している大量のプルトニウムをどう扱うかと、使用済み核燃料を再処理しないならどう処分するか――です。とりわけ前者は国際的な問題があって厄介です。来年夏までに政府のエネルギー・環境会議が原子力政策の全体像を決めることになっていますが、こちらの具体策検討を急がないと、判断しようにも出来ない状況に陥ります。民主党政権に官僚に指示して段取りをつける能力があるのか心配です。


『この国は病んでいる』〜回復を疑う愚鈍な日本

 福島原発事故で「原発から飛び散った放射性物質は東電の所有物ではない。したがって東電は除染に責任をもたない」とする東京電力の主張を伝えた、朝日新聞の連載記事「プロメテウスの罠『無主物の責任』」が話題になっています。主張の答弁書は除染を求める福島県のゴルフ場の裁判に出されたもので、東京地裁は10月末に東電の主張をそっくりは認めぬものの、ゴルフ場の訴えを退けました。本来ならストレートニュースとして真っ正面から怒るべき東電と裁判所のやり方を、連載企画の素材としてさらりと扱うだけ。この惨憺たる構図に、深く傷ついた日本が本当に回復できるのかと疑わせる典型例を見ます。

 まず裁判所の考え方を見ておきます。「除染の方法や廃棄物の処理の具体的なあり方が確立していない現状で除染を命じると、国等の施策、法の規定、趣旨等に抵触するおそれがある」。原発訴訟で行政の裁量に委ねるとして、ほとんど実質的判断をしなかった司法の過去を今も引きずっているのです。朝日新聞は「待っていれば民間企業は倒産してしまう」と裁判所の手ぬるさに非を鳴らすのですが、驚いたことに東電の主張には何の評論もありません。無主物の理屈が通るなら、水俣病を引き起こした有機水銀もチッソの工場から遠く流れ出た無主物で賠償の必要は無かったのです。東電主張の愚かさはこの例だけで明白であり、もっと言えば重大な反社会性を指摘すべきなのです。

 東日本大震災そのものの本格復興策の遅れには民主党政権の手際の悪さに加え、国会が党利党略に走って急ぐべき審議を怠り、どうでもよい揚げ足取りに奔走している点が効いています。司法、立法、行政の三権がこの体たらくぶり。権力へのチェック機能を期待されるマスメディアは依然として「大本営発表」報道から脱せません。社会システムの機能不全には呆れるばかりです。「説明責任を果たさない政府・東電・メディア」を参照してください。

 「レコード芸術」11月号で音楽評論家吉田秀和さんの『之を楽しむ者に如かず』を読み、文化勲章受章者のこの人にして音楽が聴けなくなるほど社会認識のありようが変わったのかと、深く共感するところがありました。吉田さんには若い頃、『私の文章修業』(朝日選書)で感銘を受けたことがあります。その『之を楽しむ者に如かず』冒頭部を引用します。

 「3.11が起きてから、音楽をじっくりきいているのが、とてもむずかしくなった。心を鞭打ってCDをかけたり、近来とみに弱くなった身体を無理矢理動かした音楽会に出かけたりしないわけではないのだが、たとえそうしていても、気がつくと、いつの間にか心は音楽から逸れて、別のことを考えている。そうなると、もう一度音楽に戻るのがひどくむずかしいのに気づくばかりだ」
「熱心に私に執筆をすすめてくれる編集者、また彼の言うことを信じてよければ、私の書くものを楽しみにしておられる読者の皆さんが待っておられるのだと思うと、一層気が気でなくなるのだが、心は重く、筆は進まない。この国は重く深く大きな傷を抱えている。この国は病んでいる。それは時がたてば治るだろうと、簡単にいえないような性質のものように、私には、思える」

 吉田さんの『この国は病んでいる』認識を私なりに上に書きました。さらに見える形としては、福島第一原発の事故現場がきれいに撤去されるまで吉田さんも私も生きていないでしょう。いや、撤去できず、永遠に管理するべき『汚点』施設として残る可能性が高まっています。優秀な官僚が政府を支えているから政治家がぼんくらでも何とか国家を運営していけるという平時の幻想も、緊急事態の到来で見事にうち砕かれました。そして、最も深刻なのは、社会システムのあちこちのパーツが再建しなければ使えないほど傷んでいるのに、パーツの当事者が再建の必要性を感じないほど愚鈍になっている点です。例えば「原発震災報道でマスメディア側の検証は拙劣」のお粗末さをご覧ください。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


抗議の民衆に狙撃映像、エジプト軍部は一線越す

 ムバラク独裁政権を退陣に追い込んだエジプトで、軍部の横暴に抗議して再び民衆が立ち上がりました。既に30人を超える死者が伝えられ、CNNは治安部隊が威嚇用に空に向かって発砲するのではなく、明確に水平方向に標的を狙って射撃する映像を流しています。エジプト軍部が守るべき一線をあっさりと越えてしまったので、民政移管の流れを加速せざるを得ないでしょう。

 アルジャジーラのライブ・ブログにあるビデオ「Tahrir:November 19-22」の後半には、死亡した人の遺体を安置した映像がいくつも出ており、頭や胸に撃たれた傷口が見られます。

 しかし、民政移管は単純には進みそうにありません。イサーム・シャラフ内閣が総辞職し、軍最高評議会のタンタウィ議長が大統領選を前倒しや軍の役割を問う国民投票を実施する意向を示しても、ウォールストリートジャーナルの《エジプト軍政、大統領選前倒しを表明―デモ隊は不信感示す》は「首都カイロのタハリール広場に集まっている数万人に上るデモ隊は、この演説に対してすかさず冷笑を浴びせ不信をあらわにした。タンタウィ氏が示した誓約を、ムバラク前大統領が追放前に行ったものと同じだとする人もいた」と報じています。

 やはり問題は、2月の「エジプト人は軍部=性善説。未来は大丈夫か」で心配したように、国民を代表できる民主的な政治勢力が育っていない点です。28日に予定される総選挙で議会最大勢力になりそうなムスリム同胞団は選挙実施を優先して、大衆の抗議行動から引き揚げてしまいました。タハリール広場の映像を見ていると若い人たちが主導する草の根抗議行動で、軍部としても交渉相手を見つけるのに困っているのではないでしょうか。軍部とイスラム勢力のムスリム同胞団で仮に合意しても、タハリール広場に集る大衆には無縁です。


混迷続く企業疑惑で「闇株新聞」は貴重情報源

 大王製紙の井川意高前会長(47)が特別背任容疑で22日に逮捕され、100億円を超える金をカジノで使ったと認める声明を出しました。一方、1000億円を超える巨額損失隠しのオリンパスには、海外メディアから暴力団など闇経済への資金流出の疑いが指摘されています。オリンパス事件の立ち上がりで後れをとった国内マスメディアは相変わらず精彩を欠いています。ネットではウェブ「闇株新聞」がオリンパス事件当初から、裏事情に通じた貴重な情報源として高く評価されています。

 例えば「大王製紙・巨額の金が吸い込まれた闇  その2」は、カジノで金を巻き上げる手口を詳細に描いています。井川前会長は「最初に儲けて深みにはまった」と述べていますが、カジノ側が勝敗の行方まですべて分かって仕組んでいるのですから、文字通り赤子の手をひねるようなものです。

 「オリンパス『新たな闇』の始まり?  その2」は、国内では証券取引等監視委員会の開示検査課が担当し、悪質な案件を裁く特別調査課担当ではない点で上場廃止はないと見抜きます。そして東京地検特捜部は事前に立てた見立ての外に出るのを嫌い、世論を納得させるべくスケープゴートを何人か立てればよいとするから、「なんとなく『捜査当局』の落とし所が見えてきています。件(くだん)の『闇経済{云々(うんぬん)』については、仮に証拠が出てきているにしても『無視』の公算が強いのです」と指摘しています。


中国高速鉄道事故、システム本質欠陥を発見できずか

 7月に死者40人の追突事故を起こした中国高速鉄道事故の原因が「信号システムに問題」から「管理体制の不備」に覆ったとの報道が、中国メディアで相次いでいます。「日頃から設備の手入れをきちんと行っていれば、故障には至らなかった」とは不思議の極みです。高速すぎて人間の注意力では安全を保証できないから、通常の信号だけでなく列車同士の接近を許さない列車運行制御システムも備えています。日本などから導入、継ぎ接ぎしたシステムの本質的な欠陥を発見できなかったから、苦し紛れに人為的ミスに持ち込んだと見るべきでしょう。

 レコードチャイナの《<高速鉄道脱線事故>主因は「人と管理の問題」、従来の「信号設備の欠陥」説を覆す―中国》は事故調査専門家グループの王夢恕(ワン・モンシュー)副リーダーが「調査の結果、信号設備には何の問題もなかったと言って良い。最大の原因は人と管理の問題だった」「同じ設備は別の区間でも使っているが、故障など起こしていない。全体的な管理体制と心構えに問題があった」と述べたとしています。

 事故発生後に車両残骸や通信データなどを差し押さえ、現場近くの路線で再現実験までしているそうです。9月末には報告書を国務院に提出済みといい、後は政府の意見表明を待つ段取りです。「今後は責任の所在を明らかにするため、管理体制や事故当時の担当者に対する調査が行われる」そうです。

 7月の「核心は信号の青・赤ではない:中国高速鉄道事故」で「CTCSと名付けられている列車運行制御システムには、中心的技術として日本の川崎重工業のものが導入されているほか、仏独など欧州各国の技術も使われている。しかし『中核のプログラムは解析すらできていない』と関係者が認めるように、つぎはぎ状態で、業界内では以前から信頼性を疑問視する声があった」との報道を紹介しました。

 こうした状況では政府の専門家チームであっても欠陥の特定は難しいでしょう。当日は7分間に100回以上の記録的な落雷だったといい、通常状態で試験して異常を再現しない方が当たり前です。システムの本質的欠陥を発見できていない以上、惨事の繰り返しを防ぐことは出来ないと覚悟すべきです。


2、3号機救えた:福島原発事故の米報告解読

 米国の原子力専門家組織が、福島原発事故について初めて時間を追って現場の措置・経過を詳細に記した98ページ報告書を公表しました。事故後8カ月も経過しながら国内に同種の報告が存在せず、どうして原子炉が3つまでも炉心溶融を起こしてしまったのか、統一した理解が出来ませんでした。報告を解読して浮かび上がるのは、どの炉でも炉心を冷やす注水の判断遅れが根底にある点です。津波襲来で全電源を失った今回事故でも自動的に冷却を続けてくれる最後の持ち時間はあり、その間に早く廃炉の覚悟をし海水注入に踏み切れば2号機、3号機は炉心溶融から救えたと読めます。東電の愚図愚図ぶりに苛立ちを覚えます。これだけの大事故の収拾にはナショナルチームであたるべきなのに、一企業の欲得がらみの対処に任せた政府の責任は大きいと考えます。

 報告は東京電力の操作員や幹部からの聞き取りと東電データ閲覧で出来ています。「Special Report on the Nuclear Accident at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station」で、日本国内では「事故対応に追われているから」と本格的な事故経過取材に応じていない東電のダブルスタンダードに、マスメディアは怒らないのでしょうか。

 【1号機】住民避難完了を待ちベント?

 最後の持ち時間は各原子炉に備えられた緊急時対応装置によって決まります。一番短いのが旧式の1号機で非常用復水器は最大8時間しか動きません。3月11日午後4時前には津波による全電源喪失ですから、11日中に代替えの冷却を始めなければ核燃料が溶け始めると覚悟しなければなりません。夕方には消防車による炉心注水を決めますが、消防車は道路が地震で破壊されて到着が遅れ、淡水注入を始めたのは翌12日午前6時前です。午前2時45分には原子炉圧力容器に穴が開いて格納容器と同じ圧力に下がったと観測されていますから、この時点で炉心溶融は起きてしまっていたとみるべきでしょう。既に勝負は着いていました。非常用復水器はなぜか途中で運転が停止され、冷却機能は3分の1しか使われなかったと判明しています。

 1号機では格納容器の高圧破壊を防ぐための大気放出「ベント」が遅れ、被害を大きくしたとの批判があります。当時の菅首相が12日早朝に現地入りした関係で遅れたとの見方がありましたが、この報告は注目すべき東電側釈明を入れています。「6時50分、経済産業省は1号機のベントを命令」「7時11分、首相到着、討議の後、東電は住民の避難が完了したら午前9時にベントすると約束した」。この報告を紹介しているニューヨークタイムズの「Report Gives New Details of Chaos at Stricken Plant」は「この報告が示唆するところ、当初のベント遅れは原発幹部が周辺住民の避難を待つよう求めたからだ」としています。

 しかし、9時すぎ実際にベント操作を始めてみると電源があるとの前提で書かれた手順書と違って、容易に進みません。遠隔操作できないので現場に行ってバルブを操作しようとしても、放射線量が高すぎて帰ってくる作業チームも出ます。電池を持ち込んだり、空気圧縮器を導入したりして午後2時半にようやくベントが成功しました。この直後に防火用水からの淡水源が尽きてしまい、所長から海水注入に切り替える指示が出され、作業員は海辺からの中継ホースの設置に追われました。

 格納容器から外部へ放出があったのですから、穴で繋がった圧力容器から、ジルコニウム水蒸気反応で作られた水素が格納容器に流れ込みました。設計圧力の2倍もの高圧に長く晒された格納容器に隙間が出来ていた恐れは強く、原子炉建屋にも漏れだしたと見られます。正確なガス流出経路は不明ですが、午後3時36分に水素爆発が起きてしまいました。早々に炉心溶融した状態で長時間、ベントを遅らせたのが不利な条件を生んだ点は否定できないでしょう。海水注入は爆発の後で始まりました。

 【3号機】海水注入に切り替えで失敗

 2番目に爆発した3号機の緊急時対応は原子炉隔離時冷却系で20時間後の12日正午過ぎに停止し、代わって高圧注水系が自動的に起動してくれました。しかし、高圧注水系も13日午前2時過ぎには電池切れで停止しました。消火用ディーゼルポンプで注水を始めますが、圧力容器が1号機と違って高圧すぎて水が入りません。逃がし安全弁を開いて圧力を下げるべきなのですが、これも電源無しでは動きません。格納容器のベントは午前8時半ごろに成功、間もなく集めてきた電池で逃がし安全弁も開くことができ、淡水注水が始まりましたが、正午過ぎには淡水源が尽きてしまいました。

 海水注入に切り替えるべく急ぎましたが、余震発生による避難などでもたつき、炉心の水位は大きく下がってしまいました。午後1時の測定では核燃料の上端から2メートルも露出していると判明しました。海水注入が始まっても核燃料の露出はずっと収まりません。原子炉の水位や圧力は一度、変動してしまうと簡単には元に戻せません。最初から海水注入を続けていれば善かったケースでしょう。結局、丸1日、核燃料の冷却は足りず、炉心溶融から水素ガス発生に至ります。消防車の追加や自衛隊給水車の派遣を要請しても遅く、14日午前11時過ぎに原子炉建屋で水素爆発が起きました。爆風は周辺に配置されていた発電機や消防車、給水ホースなどに大きな被害を与えました。

 【2号機】60時間もの余裕を生かせず

 1号機と3号機の爆発で割を食ったのが2号機です。2号機は12日午後3時半には応援に駆けつけた電源車との接続が出来て機能回復に向かっていたのに、わずか6分後に隣の1号機が爆発し、電源車も接続ケーブルも直撃されて回復不能に陥りました。14日の3号機爆発では圧力抑制室のバルブが閉じられなくなり、海水注水用に展開した消防車や中継ホースが痛めつけられ、準備作業に支障を来しました。

 悪いことに爆発から間もない14日午後1時過ぎ、緊急時対応の原子炉隔離時冷却系が止まったと判断され、この時、原子炉水位は核燃料の上端から2.4メートルも上でした。しかし、午後4時半には核燃料の露出が始まりました。海水注入には圧力容器が高圧すぎるので逃がし安全弁を開く準備に掛かりますが、集めた電池のパワー不足で開きません。注水無しで水位は下がり続け、ジルコニウム水蒸気反応で水素ガスが発生していきました。

 午後6時には逃がし安全弁の開放に成功しましたが、圧力はなかなか下がらず、水位はどんどん下がる副作用を生んで核燃料の全面露出にまで至ります。逃がし安全弁開放で水素ガスと放射性希ガスは格納容器に流れ出しました。海水注入が可能になったのは午後7時20分でした。その後も炉心の水位回復は進まず、翌15日午前6時頃、圧力抑制室付近での小爆発による損傷で大量の放射性希ガス外部流出に至ったと考えられます。3つの原子炉で最も長い60時間以上も時間的な余裕があったのですから、原子炉隔離時冷却系が止まる前に海水注入の条件整備をしておけばと悔やまれます。

   ◇◆◇

 民間レベルで福島事故の調査活動をしている「FUKUSHIMAプロジェクト 」の委員長、山口栄一同志社大教授は「FUKUSHIMAの本質を問う【1】原発事故はなぜ起きた?」で「1号機の場合は毎時25トンの水を入れ続ければ熱暴走を防げますが、貯水タンク内の淡水では到底足りません。豊富にあるのは海水だけ。もはや、海水注入以外の選択肢はなかったのです」と指摘しています。淡水が尽きたら海水に切り替えるのは素人目には当たり前でも、今回の報告にある原子炉の思うようにならない特性を考えると、3号機のように海水注入で将来は廃炉やむなしの判断を先送りして、まず淡水を使ってみる戦術は自殺行為と評すしかありません。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー

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原発ストレステストに専門家から当然の批判続出

 停止中の原発を運転再開させるか判断する材料として導入されたストレステスト(耐性評価)に専門家から批判が続出したと、主要紙が伝えました。原発の安全を担保してきた安全審査指針が福島原発事故で崩壊したのに、それに手をつけずに別基準で安全を担保しようとするのですから、これまで原発に携わってきた専門家が納得できるはずがありません。まさしく「原発運転再開:安全指針の担保外す政府こそ違法」なのです。

 経済産業省原子力安全・保安院はストレステストについて専門家の意見聴取会を14日に初めて開きました。朝日新聞の《国がストレステストの審査開始 専門家から批判相次ぐ》は「聴取会委員の井野博満・東京大名誉教授(金属材料学)は『不備があった安全審査を見直さないまま、テストを安全性の判断に使うのは理解できない』と指摘。テスト以前に、耐震設計への安全評価の見直しや、老朽化した原発の運転をどうするかを再検討すべきだとした」と報じました。

 また、テストは2段階で、まず再稼動させるための1次評価をし、その後に厳しい条件の2次評価をすることになっています。「この点でも井野委員は『すぐに全原発を停止して、2次検査をするべきだ』と批判した。岡本孝司・東大教授(原子力工学)も『安全の本質を確認する2次評価を先にやるべきだ』と訴えた」と批判が相次いで、この日に予定されていた関電大飯原発3号機の1次評価報告書の検討には入れませんでした。

 また毎日新聞は《ストレステスト:評価手法に疑問−−有識者会合》で「出席者からは『ストレステストの有効性を検証する上でも、事故が起きた東京電力福島第1原発を対象にストレステストを実施すべきだ』など、評価の手法などに疑問や注文が相次いだ」と伝えています。

 別の角度からの異論も出ています。地震や津波など自然現象を想定するだけでは不十分で、航空機の衝突や船舶の座礁、さらにテロによる破壊活動なども考えるべきだとされました。


宇宙から地上から、秀逸ハイビジョン動画3題

 この秋、ネットで巡り会った、飛び切り美しく見応えがあるハイビジョン動画3題をリンクしておきます。国際宇宙ステーションからのオーロラを冠した輝く夜景に、地上から夜空を見上げ、あるいは地上の自然を愛でた作品です。このブログを訪れていただいている皆さんに見ていただきたいと思うと同時に、私も出先で見たいなと思うことがありそうなので公開リンク集にしました。画面右下のフルスクリーンボタンを押して鑑賞されることをお勧めします。

 最初の動画は国際宇宙ステーションから夜の地球を撮影、編集したものです。極には緑のオーロラ、大陸の街々の輝き、雨雲からは雷のとどろきが光として見えます。通常画質の短いバージョンで見ても宇宙からはこう見えるのだと感銘を受けました。5分間たっぷりの高精細動画で堪能してください。

Earth | Time Lapse View from Space, Fly Over | NASA, ISS
from Michael Konig on Vimeo.



 2番目「A Timelapse Journey with Nature: 2009-2011」は北米を中心に世界各地の情景をふだんは見ないアングルで切り取っています。こんな撮影条件を待つだけでも恐ろしく時間がかかると思えるシーンお連続です。自然美に驚くビデオです。

A Timelapse Journey with Nature: 2009-2011 from Henry Jun Wah Lee on Vimeo.



 3番目「The Mountain」は先の2作品とうってかわって映像の展開に驚くのではなく、大自然に和む映像美です。天の川いっぱいの夜空、雲海のざわめき、高地のお花畑、森の美しさに心安らぐ感覚があふれます。

The Mountain from Terje Sorgjerd on Vimeo.




朝読に全面広告、中国嫁日記の不思議な売れ方

 1年前に「中国嫁日記がブレーク。不毛の日中対立に清涼剤」とネット上で注目されていると紹介した4コマ漫画『中国嫁日記』がこの8月、単行本になり、1カ月で20万部突破。今週は朝日新聞と読売新聞に全面広告が出ました。「日中関係が、なんだか おかしい」という大見出しコピーに、事情を知らない方は、どきっとしたかも知れません。全国通しの全面広告は広告料金ダンピング時代でも1000万円以上するはずで、版元は百万部は売るつもりでしょう。

 「40才オタク夫×20代中国人嫁」が繰り広げる、日中文化・生活習慣ギャップを笑いに織り交ぜたエピソードが微笑ましく、ウェブに毎週、見に行きます。ジャパンタイムズ「Top blogger illustrates Chinese wife's struggles」に初めてツーショットが載りました。ただし、奥さんは「月(ゆえ)さん」仮面です。

 「リアル『電車男』として 井上純一『中国嫁日記』」のような書評も出ています。これは「40才オタク夫」目線が強いのですが、ツイートを見ていると女性からも広く支持されていると知れます。「月さん」の明るいキャラクターが大いに効いているのでしょう。昨年11月末には共同通信の中国語ウェブで大きく紹介され、ダントツのアクセスを稼いだそうです。

 8月のジャパンタイムズの英語記事では「月さん」がインタビューに答えているのが注目です。子どもが出来たら幼児期までは医療環境が良い日本で育て、学校教育はしっかり勉強をさせる中国で受けさせ、日中バイリンガルにするのだそうです。昨夏の「中国との国際結婚は嫁日照りから次の段階へ」で指摘した通りに進んでいくなと感じます。変わっていく時代に沿いつつ、適度に特異なこのカップルのフレッシュさが楽しまれていると思います。

 【11/17追補】家族旅行した、この動画に月さんの声が・・・「しまわれるパンダ」


福島原発から海へのセシウム流出が再発生か

 福島原発事故による魚類汚染で《恐れていたことが現実に 魚介類のセシウム汚染 日に日に上昇》(ゲンダイネット)が話題になっています。しかし、水産庁のデータを詳しく見ていくと、魚類汚染は夏にいったんは収まったのに10月以降、再拡大する傾向であり、原発から海への放射性セシウム流出が再び起きていると考えるべきでしょう。

 「10月初旬ころまでに公表されたセシウムの値は、国の規制値(1キロ当たり500ベクレル)に達しない魚介類がほとんどだったが、中旬ごろから、規制値をオーバーする検体が徐々に出始めた。例えば、19日公表の福島沖の『コモンカスベ』は、国の規制値の2倍を超える1280ベクレルを検出。26日公表の福島沖の『シロメバル』は、ナント、2400ベクレルだった」。さらに11月に入り1000ベクレル以上の魚が続出しています。

 福島沖を中心にした水産庁の「水産物の放射性物質調査の結果について」にあるエクセルデータを加工してみました。魚種別に分類し直し、公表日付順に並べました。事故直後からよく採取されている底魚のヒラメとアイナメ、それに表層を泳ぐカツオについてグラフにし以下に掲げます。



 いずれも7月頃のピークが注目です。食物連鎖による生物濃縮に3、4カ月の時間が必要だったとみられます。7月20日、いわき市久之浜沖のアイナメが3000ベクレルと恐ろしい値を記録するものの、規制値を超えていたヒラメも8月、9月と下がっていきます。ところが、アイナメもヒラメも9月に突然、1600ベクレル前後の大きな値を記録、10月に入って反転し、増加傾向に転じます。ゲンダイネットの記事は最後の部分だけを捉えています。原発事故直後の流出セシウムは海洋での拡散、希釈で一度薄まり、また新たな生物濃縮が進行しているのでしょう。原因として考えられるのは原発からの再流出です。「福島原発の地下水、流入があれば汚染水流出も」で指摘したように、原発建屋地下の汚染水と地下水は出入り自由になっているのです。

 海の表層にいるカツオの汚染も気になります。多くは10ベクレル台とレベルは低いものの、回遊魚ですから漁を止めている福島沖にとどまらず、太平洋側各地に広がっていくはずです。表層の状態は希釈が進んで安定しているのか、一定の汚染レベルが持続しそうです。


タイの洪水はまだ序の口、大規模支援が必要

 タイの首都バンコクをめぐる洪水ニュースが途切れ気味で、このまま何とかなるのかと思われている方がいらっしゃるでしょうが、まだ序の口なのです。《バンコクの洪水、まだ序盤戦? 専門家が警告》(newsclip.be タイ発ニュース速報サイト)で明かされた洪水規模は凄まじく、さらに2倍もの水の塊が北から襲ってくると言います。日本は高性能ポンプ車10台を海路で送っていますが、数百から千台規模のポンプを支援しなければものの役に立ちそうにありません。

 タイの公共放送で8日夜、専門家から明かされた洪水の水量は次のようです。「チャオプラヤ川の東側では、バンコクの北側に流れ込んだ水が3億トン、このうち中心部に流入したのは1億トンなのに対し、バンコク北郊のパトゥムタニ県、アユタヤ県にはさらに5・6億トンの水があると指摘。チャオプラヤ川の西側の情勢はさらに厳しく、バンコクに流れ込んでいない水が16億トンに上るという」

 3億トンに対しては、バンコク北部にある空港の境界線に巨大土嚢の壁を築いて凌いでいます。その壁「通称『ビッグバッグ』を今後7日程度で水が乗り越えるという」のが専門家の見解です。5億トン、6億トンの水がひたひたと南下してくるのに抵抗するのは難しいでしょう。と言うのも、壁で防いだ水は西か東に振り向けるしかありません。西側は上記のように水で溢れかえっており、東側はバンコク中心部よりも標高が高いのですから、逃がしようがありません。

 東京ドームの容積が124万立方メートル、水なら124万トンです。1億トンは東京ドーム80個分にもなります。5億トンとか巨大すぎると見えますが、水害時によく使われる軽量の排水ポンプは毎分30トンを流します。1日フル稼働なら43000トン、1億トンを処理するには2300台を並べたらよい計算です。

 工場が1メートルは水没必至と聞いて準備しているブログ「工場の洪水対策」は「ゆっくり南下してくる洪水の先端が見えるには、まだ、数日かかるだろう。そして、万が一、水に浸かったら、引くまで、『1ヶ月』もそのままなのかも知れない」と憂鬱です。北の工業団地が水没してから1カ月、まだ復旧していないニュースを見ているからです。

 海に近いところから大規模機械力で排水してやれば、水は繋がっているのですから復旧は早まります。主体的に動くべきタイ政府がどう考えているのか見えない点が問題ではありますが……。


『福島農業の未来見えず』地元農家の深刻告白

 毎日新聞が《福島第1原発:大量のふん尿…畜産農家限界 福島・中島村》でセシウム汚染により肉牛農家と耕作農家の相互供給が絶たれたために起きた絶望的状況を報じました。この事態に原発30キロ圏内からの「農家の婿のブログ」が「福島農業はどうなるんだろう」で表だって言えなかった事実、農業者の本音を告白しています。

 毎日の記事冒頭はこうです。「たまっていく排せつ物の中で動けなくなった牛たちが、じっと飼い主を見つめている。東京電力福島第1原発から70キロ離れた福島県中島村。原発事故により野菜農家が作付けをあきらめ、肉牛農家が堆肥(たいひ)の提供先を失って大量のふん尿を抱えたまま行き詰まっている。放射性セシウム汚染による肉牛の出荷停止が解除されて2カ月余り。福島の農業が崩れつつある」

 セシウムの暫定許容値を下回っても耕作農家は敬遠しがちです。「県からはふん尿を牛舎の外に出し、別の場所で適切に保管するよう助言されているが、『周囲に住宅が多く、無理に野積みすれば公害になりかねない』と頭を抱える。県によると、同じような状況に追い込まれている畜産農家は少なくない」

 事実上、肉牛農家は詰んでいるのです。また、耕作農家にしても土壌の質を維持するための堆肥を遠く県外から求めるのは費用面で大変です。

 「農家の婿のブログ」は「農業は地産地消の各業連鎖です。畜産の堆肥を畑に入れ、畑から出る廃棄物を家畜が食べる。この循環が崩れるとTPP言ってるときにコストが跳ね上がる。もうその循環は崩れ始めています」と指摘します。そして「ウチから出る廃棄物は産業廃棄物扱いでいいのか・・? もしかして放射性廃棄物なのか・・・?」と農家は悩んでいるといいます。

 「上記の堆肥なんて1例でしかないですよ。キノコ農家の培木やら何やら、ウン万ベクレルの葉物を漉き込んでしまった畑。半値まで下がってる商品価格。引き取ってくれないクズ米」「放射性物質が山から少しずつ川に流れ、その水を引いてる豚屋さん。増えすぎた在庫を抱えて爆死寸前のJA福島」「かさばる検査費。溜まるストレス。減る資金」

 「個人では限界があるんですよ。どうやって動くか全体で決めて全体でやるしかないのに、決定者が責任を怖がって何もしないもんだから、問題だけが綺麗に残っていきますね」「個人では無理なのに、補償や支援もまだわからない」「農協は知らんぷり、知事はドM政策」と切り込んだ上で、こう結ばれています。「福島の農業は終わったというつもりは全然ありません。ていうか思ってたとしても言いたくないし」「でも今、今現在は、僕みたいな凡人には、福島農業の未来が見えません」

 このブログは9月の「農家の内部被曝の議論ってやんないの?」でも、セシウムを吸着した汚染土にまみれて農作業する人のことを考えているのかと、注目すべき指摘をしています。

 「耕す時ってトラクターを使うんです。アタッチメントはロータリーです。土に空気を含ませなきゃなので、結構いっぱい耕します。土をふんわりとさせます。畑をロータリーにかけるとですね、ものっっっそい土ぼこりが舞うんですよ」「普通に吸ってますから近隣住民、数千から数万ベクレルの土壌から出た埃をね。そんでさらに言うと、土を吸う機会なんて他にも腐るほどありますね」「そういう議論が全く聞こえてこないのは僕の気のせいでしょうかね。まあそりゃあお偉いさん方にとっては、我々クラスなんて単なる消耗品なんでしょうけど、実はこれでも家族がいたりするんですよね」

 「がんばろう」の精神論だけではどうにもならない福島農業の未来を考えるべき時間は、この8カ月近く空しく浪費されてきました。いや、問題点を露わにすることを避けてきたと言うべきでしょう。

 【参照】「今年の福島県産米を食べるべきか考えたら」


あまりに緩慢な政府のタイ大洪水支援スタート

 NHKニュース《タイ洪水に援助隊とポンプ車》は5日、横浜港から高性能の排水ポンプ車10台が貨物船でタイに向かったと伝えました。現地到着はなんと17日だといい、首都バンコク中心部で心配される水没には間に合いません。これだけ騒がれ続けていたのに、あまりにも緩慢な支援策の立ち上がりにがっかりです。

 「現地に送られる排水ポンプ車は、1分間に30立方メートルの大量の水を排出する能力があり、東日本大震災でも津波の浸水地域で使われましたが、海外への派遣は今回が初めてです。派遣されるメンバーの責任者の、外務省外国人課の舩山光一企画官は『現地の人たちが一日も早くふだんの生活に戻れるよう、自分たちの役割を果たしたい』と話していました」と、最初から「戦後処理」のつもりです。付いている動画を見ると、大型貨物機をチャーターすれば十分に運べる大きさです。

 タイ大洪水の情報は、ウチャラポーンさんの日本語ブログ「バンコクでコンサルティング」でウオッチさせていただいています。5日には「明日にも日本人学校も被災か/男性がワニに噛まれ重体/危惧される地下鉄への浸水 」と、いよいよ都心部が危うくなっていると伝えています。現地の洪水情報システム地図に中心部繁華街やスクムビットの日本人居住区などを書き込んで以下に掲げます。政府の洪水対策本部があるビル周辺は水没していますが、ビルそのものは遮水壁に守られている状況です。



 「報道によると南下を続ける大量の水が、日本人も多く居住するスクムビットエリアや商業の中心シーロムエリアから数キロの所まで迫っており、徐々にスピードを緩め、早ければ明日にもバンコク日本人学校に、3〜4日後にはスクムビットへ届くと言われています」「昨晩の報道では、地下鉄のラチャダー ピセーク駅周辺も浸水し始め、その先には地下鉄の操車場もあり、水の流入が心配されています」

 10月末の大潮でチャオプラヤー川が溢れた危機は何とか凌いだのですが、標高差に乏しい平野を北部からゆっくり南下してくる洪水の塊に抵抗する手段は多数ある運河を活用するだけです。平らな土地にある運河に排水力を多く期待するのが間違っていると思います。日本の強制的な機械排水力は確実に役立つはずなのに、時機を失したのは残念です。


TPP参加問題、ソーシャルメディアでは反対数倍

 環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加問題で日経新聞の世論調査《TPP「参加を」45%、反対上回る 本社世論調査 内閣支持率横ばい58%》は「『参加すべきだ』が45%で『参加すべきでない』の32%を13ポイント上回った」と伝えましたが、ソーシャルメディアでは反対の意見表明がかなり優位に立っています。賛成に振れている既成マスメディアに対して、ブログやフェースブック、ツィッターで情報を集めている市民は反対派が数倍多数の傾向です。

 グーグルのブログ検索で、各キーワードを持つエントリー数を過去1カ月分集計すると以下のようになります。

   TPP           297,000 件
   TPP AND 反対       108,000 件
   TPP AND 賛成       33,300 件
   TPP AND 反対 AND 賛成  25,500 件

 「賛成」と「反対」の両方を持つ分を差し引くと、「TPP反対」82,500件に対し、「TPP賛成」は7,800件にすぎません。10倍の差が付きました。この計算をしないでも3倍の差があります。

 今年になって急速に国内利用者が増えているフェースブックはグーグルのウェブ検索で「site:ja-jp.facebook.com」と集計するサイトを指定して調べました。こちらもこのままで反対が3倍、「賛成」と「反対」の両方を持つ分を差し引くと、反対がほぼ10倍です。

   TPP           8,400 件
   TPP AND 反対       1,450 件
   TPP AND 賛成        568 件
   TPP AND 反対 AND 賛成   453 件

 ツィッターでの発言数は"buzztter"でモニターすることが出来ます。2日16時時点から過去1週間分はこうなっています。縦軸が最大値の大きさに合わせて縮まっている点にご注意ください。「TPP」全体のツイート数は「原発」を上回るほどになっています。



 3番目にある「反対」のグラフは2番目の「賛成」に対して最大値「111」と「79」の比1.4倍大きく見なければなりません。目分量でも反対のボリュームは賛成の3倍程度はありそうです。一番下の「賛成」と「反対」の両方を持つ分は、ブログやフェースブックの分に比べると小さめです。ツイート出来る文字数の制限が効いているのでしょう。


2011年10月のエントリー一覧

10/30 日本の世界人口シェア、江戸中期3.9%が最高
10/28 放射性物質で食品安全委の変節にメディアも異議
10/25 原発過酷事故コスト論争、メディアも官僚も駄目
10/23 福島原発冷温停止の虚構に共犯を続けるメディア
10/20 今年の福島県産米を食べるべきか考えたら
10/18 大震災時、伝説の壁新聞が国会図書館で画像公開
10/15 原発震災報道でマスメディア側の検証は拙劣
10/14 中国の富裕家庭1%ながら英独仏を数で超える
10/11 この放射能の雲の下に膨大な人がいた事実に戦慄
10/09 原発事故避難民には戻らない選択肢も提供を
10/05 市教委から無視される国の食品放射線暫定基準
10/02 中国高速鉄道は欠陥を知りながら開業していた