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日本の世界人口シェア、江戸中期3.9%が最高

 世界人口が70億人に達します。《「70億人目」認定、31日生まれ全員に 国連人口基金》(朝日新聞)で「70億人目の赤ちゃんたち」認定証がもらえると伝えられるなど、お祝いムードです。人口減少に転じてしまったに日本はこれから影が薄くなっていく一方でしょうが、日本人口の世界人口に占めるシェアはいつが最高だったのかと疑問が湧いて調べてみました。結論は江戸中期3.9%です。

 「図録▽人口の超長期推移(縄文時代から2100年まで)」(社会実情データ図録)で描かれた日本人口の推移グラフを、「70億人目前、人類はいつからどのように増加してきたのか」(GIGAZINE)の世界人口推移グラフで割り算してみようと考えました。全く違う用途で描かれたモノですから、年代もぴたりとは合いません。しかし、1900年以前は人口推計自体が幅がありますから大きく誤ることはないでしょう。「国勢調査」やウィキペディアの「世界人口」からも欠けた所を補いました。



 西暦元年のころ、日本は弥生時代推計59万人、世界は3億人からスタートしたのが、上の一覧とグラフです。西にローマ帝国、東は漢王朝の時代ですから本当に比べものにならないシェア0.2%、ちっぽけな存在でした。それから1200年、律令制国家から鎌倉時代の684万人への成長は、世界人口の伸びを大きく上回って進み、シェア1.5%。そして江戸時代に入った初期は1227万人なのに、八代将軍吉宗のころに3000万人台に達します。シェア3.9%のピークです。その後、幕末まで人口はほぼ横這いで推移するのが江戸期の特徴で、倍増する世界人口に置いて行かれます。明治維新が起きて富国強兵策に転じて以降は、人口も急増しました。しかし、戦後ベビーブーム期の1950年、シェア3.3%でも江戸中期に及びません。現在は人口1億3千万人の手前で頭打ちになっており、シェア1.9%。2050年の推計では1億を割って9515万人、世界人口の1%にまで下がってしまいます。

 70億人時代を迎えて出された「世界人口白書2011」は、色々な資源が人口増に追い付いていかない将来の大変さを考えさせる記述で満ちています。日本の人口減は国内市場規模や活力の低下には響きますが、急増する途上国に席を空けてあげる意味では悪いことではありません。現在でも欧州では8230万人のドイツを除き、6千万人台の英国、フランス、イタリアは世界人口シェア1%を切っています。

 【参照】インターネットで読み解く!「人口・歴史」エントリー一覧


放射性物質で食品安全委の変節にメディアも異議

 国の食品安全委員会が一生を通じた累積線量基準「100ミリシーベルト」を、従来の「内部被曝+外部被曝」から内部被曝のみに変えて、報告を厚生労働省に送りました。福島原発事故の収束が出来ず、今後の外部被曝の見通しがつかない現状での勝手な変更にネット上では不満が噴出しています。マスメディアもさすがに放置できないと異議を伝えていますが、遅いようです。NHKニュースで時系列をたどります。

 27日19時47分の《内部被ばく健康影響で新見解》はこう問題点を指摘しています。「27日の委員会では、自然から受ける放射線を除き、一生を通じて累積でおよそ100ミリシーベルト以上被ばくするとがんの発生率が高まるなど健康に影響するおそれがあるというワーキンググループの審議結果が報告されました」「これまで消費者を集めた説明会などで、『累積で100ミリシーベルト』という値には内部被ばくのほか、体の表面に放射線を受ける外部被ばくも含むという説明をしてきました。27日の見解はこれを内部被ばくの限度とすることで、これまでの説明より被ばくの許容量を引き上げる方向になることから、今後、消費者に対する説明や議論のあり方が問題になりそうです」

 28日5時7分の《食品安全委の姿勢に疑問の声》ではこうです。「専門家からは、十分な議論がないままこれまでの説明が変更されたとして、委員会の姿勢に疑問の声が上がっています」「食の安全の問題に詳しい消費者問題研究所の垣田達哉代表は『本来、こうした変更がされる場合は十分な議論がなされるべきで、今回の答申には疑問を抱かざるをえない。食品安全委員会は消費者に分かりやすく説明する必要がある』と指摘しています」

 ところが、28日4時2分の《食品による被ばく量限度引き下げへ》は「食品に含まれる放射性物質の基準値について、厚生労働省は現在の暫定基準値の目安とした被ばく量の限度を来年4月をめどに5分の1に引き下げ、年間1ミリシーベルトにする方針を固めました。これによって食品ごとの基準値は厳しくなります」と事実上、政府側が動き出していると伝えます。

 新しい基準が年間1ミリシーベルトで内部被爆しか考えないとすると、現在の公衆に対する法定年間線量限度1ミリシーベルトを超えてしまいます。またまた厄介な問題を抱えそうです。先週の「今年の福島県産米を食べるべきか考えたら」では、年間5ミリシーベルトがもとになっている食品の暫定基準「500Bq/kg」について、まず5分の1にし、さらに安全率2倍を追加して、10分の1の「50Bq/kg」にするよう提唱しました。安全率分を外部被曝の分とみて、事故収束の動向を見ながらですが、取り敢えず、この考え方で自分を守る方向しかないと思います。外部被曝が大きくなるようなら食品分をさらに半分にする判断もあり得るでしょう。


原発過酷事故コスト論争、メディアも官僚も駄目

 25日の原子力委員会「原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会」の報道が一斉に流れていますが、マスメディアは十分に理解しないで記事を書いているとしか思えません。事務局がはじき出している、事故コストによる電気料金への上乗せが1キロワット時当たり「0.1〜1.1円」で済むとの試算も信じがたいモノです。この国の官僚組織もマスメディアも「あなた方、本当に大丈夫なのかい」と思ってしまいました。

 まず読売新聞《原発事故コスト、従来の発電費用の2割》の「日本の原発が事故を起こす確率は、全国の原発がこれまでに延べ時間数で1400年あまり稼働してきたなかで福島第一原発1〜3号機が過酷事故を起こしたことを根拠に、『500年に1回』と算定」です。

 原子炉1基を1年運転すると「1炉年」と数えます。国内では過去に1400炉年余りの運転実績があり、福島第一原発事故で3基が炉心溶融の過酷事故を起こしました。だから確率は「500炉年に1回」にするというのです。しかし、国内には54基もの原発がありますから1年で54炉年を消化します。10年もせずに500炉年は終わりますから、この計算方法だと10年後までにまた過酷事故あり、と言っていることになります。『500年に1回』では決してありません。

 次は中国新聞《原発事故1キロワット時最大1円 原子力委、コスト試算》です。「事務局は福島第1原発事故を参考に、損害賠償や廃炉費用を試算し、総額は3兆8878億円とした。ただ除染で出た放射性廃棄物の中間貯蔵施設や、森林の除染費用は含めず、今後の状況により見直すという」「小委員会メンバーの原子力資料情報室の伴英幸・共同代表は『損害費用が少なすぎる。48兆円に達する』としてコスト上昇は1キロワット時12〜16円と反論」

 例えば人口6千人の飯舘村だけで総額3000億円の除染計画を打ち出しています。これは極端なケースかと思いますが、除染費用は非常に膨らみそうです。米スリーマイル島事故と違って今回は原子炉3基で圧力容器の底が抜け、溶融核燃料が格納容器全体、あるいはその地下まで散らばる巨大な高レベル廃棄物体が出現してしまいました。廃炉・撤去を諦めて超巨大な石棺に封印しなければならない恐れすらあります。不確定要因がこれほど大きいのに、数兆円で済むなんて希望的観測を発電コスト比較に持ち込むのはルール違反です。冷温停止の虚構を信じて実態が見えなくなっているのでしょう。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


福島原発冷温停止の虚構に共犯を続けるメディア

 福島原発事故で政府・東電から流された虚偽・虚構で、今後に尾を引きそうなものが「冷温停止」です。毎日新聞の《福島第1原発:冷温停止の定義に疑問…保安院に専門家ら》を見れば、保安院が招く体制派の専門家でも明らかに「ノー」を突きつけています。ところが、メディアの大勢はこれを無視して政府・東電と楽観的な虚構の共犯関係を続けるつもりのようです。

 毎日新聞から引用すると「工藤和彦・九州大特任教授(原子炉工学)は『本来の”冷温停止”は、圧力容器を開けても放射性物質が放出されない状態を指すもので、第1原発に適用すべきではない』と指摘。東之弘・いわき明星大教授(熱力学)も『(冷温停止の目安の一つの)圧力容器底部の温度は、内部の溶融した燃料の位置によって異なる可能性がある。内部状況をできるだけ早く把握するとともに、温度測定方法も検討すべきだ』と注文を付けた」となります。

 冷温停止は核燃料が圧力容器内にあって冷却が行われ、冷却水が沸騰しなくなった状態を指し、崩壊熱が減るのをゆっくり待つ状況です。1〜3号機で燃料が全面的に溶融して圧力容器の底が抜けたと認識される現状では、目安になる温度を圧力容器の底で測っていること自体が無意味です。圧力容器に残る核燃料が少ないほど温度は下がるからです。格納容器の底か、あるいはさらに深く地中に沈んでしまった溶融核燃料を探すのが焦眉の急だ、温度ももっと深いところで測れと専門家は言っているのですが、「経過は順調」の建前を崩したくない政府・東電はとぼけています。

 北海道新聞は社説《原発冷温停止 見極めに甘さは禁物だ(10月23日)》で「事故を収束させるには、原子炉の状態を安定させ、放射性物質の放出を食い止めることが何よりも大切だ。幕引きを急ぐあまり、達成時期の見極めが甘くなるようなことがあってはならない」「冷温停止状態は、放射能漏れがまったくないという意味ではない。こうしたあいまいな言い方では、国民は放射能が外に出ていない状況と誤解しかねない」「政府や東電はもっと丁寧に冷温停止状態の説明をするべきだ」と苛立ちをみせます。

 「もう嘘は止めよう」とはっきり言うべきです。溶融核燃料の深さ・位置によってどのような事態が起きる心配があるのか、国民に公式に説明せよと要求すべきです。現状ではどこへ行ったか見つけることは非常に困難ですが、起きうる事態を並べ上げることは可能です。その確率を推測することも幅を持たせれば出来るでしょう。放射能放出が増加に転じる可能性がどの程度あるかは、避難住民の帰還計画に響きます。

 事故半年の「説明責任を果たさない政府・東電・メディア」での小出裕章・京都大原子炉実験所助教のコメントを再録するとこうです。「溶けた燃料の溶融体が格納容器を損傷する可能性もある。その場合、溶融体が原子炉建屋の床を突き破って地面に潜り込んでいる事態もありうる。海洋や地下水に放射性物質が拡散しているかもしれない。溶融体が地下水に接触しないよう『地下ダム(遮水壁)』の建設を進めるべきだ」。早い時期からこの指摘はされてきましたが、遮水壁は2年後と緊張感が無い計画が言われています。


今年の福島県産米を食べるべきか考えたら

 Facebookの公開グループ「福島第一原発を考えます」で《二本松のコメ、初出荷 市長「ぜひ食べてほしい」 福島》をめぐって討論に加わっていました。福島原発事故をうけて今年の福島県産米は食べるべきでないと主張する方が多数のようなので、データを集めて考えてみました。私の結論は、法定の年間線量限度1ミリシーベルトに収まる見込みなので食べたらよい――となりました。先日書いた「市教委から無視される国の食品放射線暫定基準」を前提にした模索です。

 「福島県の米の検査まとめ_10月14日発表分まで」に、測定された米1328サンプルが一覧表になっています。国の暫定基準ぎりぎり、1キロ当たり470ベクレルが出た二本松市旧小浜町分は地区全体を市場から隔離すると報じられています。これが前提なら103〜163Bq/Kgが5点、52〜99Bq/Kgが15点ある以外は50Bq/Kg以下で、大半は「検出されず」(20Bq/Kgあるいは10Bq/Kg未満)です。

 暫定基準がどう計算して出来たか――簡単に言って年間5ミリシーベルトをあらゆる分野に分配して出てきたのが暫定基準「500Bq/Kg」だということです(参照ウェブ)。従って米の分が5分の1の「100Bq/Kg」以下なら、線量も年間線量限度1ミリシーベルトの範囲におさまるはずです。安全率2倍をみて、50Bq/Kgにおさえたらまず大丈夫ではないか、と考えました。

 メディアの報道は国の暫定基準500Bq/Kg以下だから安全と紋切り型で、家族の食を預かる主婦たちの不安を解消できていません。しかし、法定の年間線量限度1ミリシーベルトには一定の信頼があります。放射線の利用について利便と危険性を秤に掛けて、かなりの安全率も見込んで出来た社会的合意だからです。福島県産米の汚染分布を考えると同じ土地の米ばかり食べ続けるのを避ければ、50Bq/Kg以下にするのは容易です。汚染レベルがずっと低いはずの西日本の米も食べればいいでしょう。

 しかしなお、福島事故以前のように1Bq/Kg以下でなければ駄目だと主張する方たちがいらっしゃいます。一つの根拠は元ゴメリ医大学長、バンダジェフスキー博士の研究です。「人体に入った放射性セシウムの医学的生物学的影響」に、ざっとした要約があります。年間限度1ミリシーベルトよりはるかに低い線量を問題にしている研究で、長年付き合っている京大原子炉の皆さんをはじめとして私の周囲の研究者でこれに依存して論じている方はいません。

 放射線レベルは低ければ低いほど善いのは間違いありませんが、汚れてしまった国土・海洋を相手に生きねばならない一次産業の生産者を見殺しには出来ません。その意味で福島県産米の汚染分布が上記の程度で済んだことを喜ぶべきでしょう。福島県産米は知名度が低く、業務用の需要が大きいと聞いています。外食用に汚染が高い米が出回っていないか、不安を持たずに済みます。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


大震災時、伝説の壁新聞が国会図書館で画像公開

 東日本大震災で社屋が被災して輪転機が使えなくなり、6日間にわたって手書きの壁新聞で発行した「石巻日日(ひび)新聞」号外6点のデジタル画像公開が18日から国立国会図書館ホームページで始まりました。トップページから入ると一覧する適当なリンクが無いので「石巻日日新聞号外一覧」を利用してください。それぞれの日のメイン見出しを拾うと次のようになっています。

3月12日「日本最大級の地震・大津波」
3月13日「各地より救難隊到着」
3月14日「全国から物資供給」
3月15日「ボランティアセンター設置」
3月16日「支え合いで乗り切って!!」
3月17日「街に灯り広がる」

 台北で開かれた国際新聞編集者協会(本部・ウィーン)の第60回総会で特別賞を贈られ、米国の博物館にも展示された、伝説的な壁新聞です。石巻市内の避難所に壁新聞として張り出されました。接着テープ片や破れなど壁からはがした跡が生々しく残っています。相当に高精細でスキャンしてありますから細部まで拡大して読めます。号外画像をフルスクリーン表示にするとよいでしょう。マウスのスクロールボタンで拡大縮小が出来ます。

 【追補】石巻日日新聞には菊池寛賞も決まったそうです。


原発震災報道でマスメディア側の検証は拙劣

 東日本大震災と福島原発事故をめぐる国内マスメディアの報道ぶりは一般大衆から強い批判を浴びています。まるで「大本営発表」報道だったり、依拠する専門家が偏り放射線被曝を軽視したり、取材現場を捨てて恥じない報道の有り様に、マスメディア側の自己点検・検証がようやく始まりました。マスコミ倫理懇談会の全国大会や新聞週間の特集などです。しかし、本当に判っているのか疑わしい拙劣さ・愚劣さが見えます。

 下野新聞の《原発震災報道を検証 マスコミ倫理懇》はこう伝えました。「約50人が参加した『原発災害をいかに伝えるか』では、福島県飯舘村の菅野典雄村長、南相馬市の桜井勝延市長のインタビューを上映。原発事故直後、政府の避難指示や屋内退避指示に伴い多くのメディアが原発被災地での取材を控えたことについて、桜井市長は『メディアの役割は現場で起きている事実を正確に伝えること。被災地なのに情報も分からず、取り残された』と指摘した」「これに対し、討論では『取材陣の安全面をどう確保したらいいのか葛藤した』『放射線量を測定する専門家を同行させるなど対応策はあったはず』などの意見が出された」

 この問題で朝日新聞の15日付新聞週間特集が記者管理責任者の発言を収めています。「強い危機感を持ったのは3月12日午後の1号機水素爆発」「夜になり政府は避難指示を原発から半径20キロに拡大したが」「チェルノブイリ事故での避難と同じ半径30キロから外に出て、屋内取材を中心にするよう福島の記者に指示した」

 事故が拡大していく始まりから現場を捨て完全に引いてしまう判断です。さらにフリージャーナリストが現地取材をする例が出ても動きません。「朝日OBからは『突っ込め』という声も寄せられた。社内では『志願者に行かせたらどうか』という意見もあったが、警戒区域内での単独取材には踏み切れなかった」と、知恵がない優柔不断ぶりを長々と書いています。

 記者の低線量被曝をこれだけ怖がっているのに、3月16日朝刊紙面では「100ミリシーベルト以下なら健康上の問題になるレベルではない」との専門家談話を載せているのです。今これを書けば新聞を買ってもらえなくなるかも知れません。ダブルスタンダードと言うよりも、取材力の無さ、幹部判断力の欠如が、報道紙面と取材行動と両方を縛っています。内外多数の専門家の意見を広く集約する取材力があれば、放射線被曝影響を異様に軽視する紙面を作ることもなければ、現地の南相馬市長が呆れるほど腰が引けた電話取材を延々と続けることもなかったはずです。放射線への恐れ方を突き詰めないで記事を書き続けた点こそ問題です。(参照記事

 朝日新聞は14日付でマスコミ倫理懇談会の特集も出しています。「取材の壁・報道の揺れ」分科会で出た事故発生直後へのサイエンスライターの田中三彦さんの批判を紹介しています。「メーカーの技術者やOBに意見を求めず、過酷事故の分析や予測が得意と言えない推進派の学者を起用した。専門知識の欠如やパニックを恐れた踏み込み不足の報道も目についた」

 東電の情報統制は厳しくて、福島第一発電所内の建物配置図さえ公表されていませんでしたから、大阪にいる私などは基礎情報欠乏で苦労しました。それでも3月12日の「福島第一原発は既に大きく壊れている可能性(追補あり)」で最初から炉心溶融必至と指摘したのに、いつしか報道から炉心溶融の言葉が消え、5月半ばに突然1〜3号機とも全面溶融していたとの発表になりました。

 朝日新聞の新聞週間特集を見て納得しました。科学医療エディター(部長)の談話として「原子炉は何時間空だきするとどうなるのかなど詳しいデータを知っていたら、もっと的確に記事を書けた」があります。「知っていたら」ではなく、ニュースソースを見つけて疑問に思うことを知る、データを取ってくるのが取材なのです。部員は記者会見の放送を聞いているばかりだったそうです。新聞社の名刺を出して知らない人に会ってくる基本行動が取れなくなっているのだと知りました。

 福島事故で最初から責任を問わないと標榜している政府の事故調査委に期待が持てない中で、一般寄付を募って進行している「FUKUSHIMAプロジェクト」は事故責任の所在を明らかにしてくれそうです。国会にも国政調査権に基づく事故調査委が出来ます。マスメディア側が再生を期すならば自前の取材力で何があったのか掘り起こして欲しいものです。

 【事故半年のまとめ】「説明責任を果たさない政府・東電・メディア」


中国の富裕家庭1%ながら英独仏を数で超える

 住宅を除く可処分資産が10万ドル(約767万円)を超えるという基準で富裕家庭を定義すると《中国の富裕家庭の数、ドイツ・英国・フランスを超える―英メディア》とレコードチャイナが流しています。中国は約300万戸で「英国が約290万世帯、ドイツが約250万世帯、フランスが約270万世帯だった」からです。ただし、国全体から見ると原調査資料「BIGGEST EVER STUDY OF GLOBAL AFFLUENCE SHOWS 80% OF WORLD’S WEALTHY ARE STILL IN THE WEST」(tns)は「インドや中国では富裕家庭は1%ほどでしかない」と指摘、両国とも大富豪や富裕家庭数を増やしているが全体が富んでいるわけではないとしています。

 この富裕基準では米国は3100万戸、国内の27%にも達します。原調査の対象は24カ国・地域でしかなく、日本は含まれません。でもまだ8割の富は西側にあるというのです。

 日本の統計でこれに近い数字は金融資産でしょうか。《金融資産500万円を持っていれば、ちょうど真ん中》(Business Media 誠)は「金融資産の平均は1259万円だったが、実は全世帯の約7割が平均値よりも保有額が少なくなっている」「平均値の欠点を補うため金融広報中央委員会は、中央値を用いることで一般的な家計像を調べている。中央値とは金融資産の保有額の少ない順(または多い順)に並べると、真ん中に位置する世帯の金額だ」「今回の調査で中央値500万円を保有していれば、ちょうど半分の世帯が自分の貯蓄額よりも多く、残り半分の世帯が自分の貯蓄額より少ない」と「家計の金融行動に関する世論調査」を伝えています。

 1500兆円を超える金融資産を持つ日本ですから、中印にこの基準ではまだ負けないようです。欧州諸国は一国の規模がそれほど大きくないので、数では追い越されてしまう結果になりました。中印に抜かれるGDP問題については以下をご参照ください。

 【参照】「中国に続きインドにも抜かれるGDP推移グラフ」
    第182回「日本抜く中国GDP、矛盾する数字と未来」


この放射能の雲の下に膨大な人がいた事実に戦慄

 文部科学省の航空機モニタリングによる放射能測定が関東まで出そろいました。【SAVE CHILD】が「【地図】早川教授の福島第一原発から漏れた放射能汚染ルートとタイミング地図と文科省航空機モニタリング地図」を合成して作っているので紹介します。福島原発事故発生から10日ほどの間に何度も放射能の雲は関東を襲い、たまたま降雨があった場所にセシウムが多く沈着したことを示しています。しかし、雨が無かった場所でも雲の下には膨大な人がいて放射線を浴びた戦慄すべき事実を指摘しておきます。



 それなのに政府や自治体から何の警告も発せられませんでした。3月15日には原発周辺から放射能の雲に沿うルートで大量の避難民が逃げた惨状がありました。程度の差こそあれ首都圏でも事情は同じだったのです。本来ならば外出を制限して屋内に止まるよう努めるべきでした。半年遅れでこのような地図を見せられると、この国は主権者である国民のことなど何も考えていないと改めて思わされます。群馬大の早川教授は自治体などの測定結果を収集して、早い時期から汚染マップの作成と改訂を繰り返してきました。文部科学省の航空機モニタリングはそれを追認しているようなものです。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


原発事故避難民には戻らない選択肢も提供を

 朝日新聞は福島大との共同調査《原発避難住民「戻りたい」4割に減る 家族別居は半数に》で「住んでいた地域に『戻りたい』という人は43%で、前回6月調査の62%より減った。震災で家族が別々に暮らすようになった人は46%と半数近くに上った」と伝えました。国による除染が終わる時期が2年半も先の2013年度末であることも明らかになった今、住民帰還が前提になっている施策は破綻しつつあります。福島原発事故避難民には元の地域に戻らない選択肢も早く提供されるべきです。

 老後を故郷でと考えている世代はともかく、子どもを育てたり、これから家庭を作ろうとする若い世代が2年も3年も空白期間を置いて自宅に戻り、生活を再建する想定にはもともと無理があります。自宅や土地、家財、田畑などを適正な価格で国が買い上げる仕組みを、急いで作らないといけません。自治体は地域再建のことしか念頭にありませんから、個人の思いや事情がこれまで表面に出ていませんでした。ただ、完全に転出してしまう人をどの時点まで避難民として扱うのか、所得補償の期限をどうするのか厄介な問題が発生します。

 それがなくとも、ZAKZAKが《東電“極秘文書”を入手!これが政府無視の補償“裏マニュアル”だ!》で東電が考えている所得補償期間は「裏マニュアルには、事故の収束とは無関係に、正社員の場合で最長が来年9月末、バイトやパートに至っては1月末までと明記されているのだ」とすっぱ抜いています。原発事故を起こして避難させておきながら、勝手に補償期限を切るのは許せません。裏マニュアル通りなら、年明けからトラブル続発でしょう。

 政府の施策に個人の生活再建ビジョンが抜け落ちているのは事実です。帰還できるとしてもこれだけ長期になると判明した以上、もっときめ細かい対応が必要です。事故を起こしたのは東電ですが、原発の安全審査を通したのは国なのですから共同責任の関係にあります。年間1〜5ミリシーベルト地域の除染には財政支援しないと言い出して引っ込めるなど、政府には責任感が欠けているようです。膨大になる除染費用の検討もされていません。費用対効果の関係で除染を止めるべき場所もあるはずですが、そうした想定も出ていません。


市教委から無視される国の食品放射線暫定基準

 福島原発事故による食品放射線汚染で政府が設けた暫定基準に不信の声が渦巻く中、学校給食の現場を預かる市教委が国基準を無視してチェルノブイリ事故があったウクライナ基準を採用する事態になりました。中日新聞の《松本市、学校給食で放射線測定 ウクライナ基準を採用》は「松本市教育委員会は3日、市内4カ所の学校給食センターで、給食用食材の放射性物質の測定を始めた」「食品を対象にした国の暫定基準値は1キロ当たり500ベクレルだが、松本市教委はチェルノブイリ原発事故の汚染地となったウクライナの基準である1キロ当たり40ベクレルを採用した」と伝えました。

 ネット上などで政府不信が言われ始めたきっかけは、チェルノブイリ事故当時での食品輸入規制値が1キロ当たり370ベクレルだったのに、今回の暫定基準はそれを緩めてしまった点です。さらに中国新聞の《乱発の暫定基準値、根拠もバラバラ》にあるように、各省庁から「乳牛の餌となる牧草は300ベクレル」「海水浴場の海水は50ベクレル」と一般消費者にはにわかに納得しがたい数字が飛び出してしまいました。

 政府不信の結果、Facebookなどのソーシャルメディアで、とんでもない流言飛語がいくつも飛び交いました。例えば東北のある大学教授を名乗る人物が「放射性セシウム137が500Bq/Kgも含まれた食品を3年食べたら致死量に達します」と発言し、相当多数の支持を得ました。ツイッターでも広がっていきました。WHOの基準に根拠があると言い張っていましたが、そのような根拠があるはずもなく、現在は素知らぬ顔で発言原文を削除しています。

 この暫定基準がどのようにして出来たのか、事故半年を経過して暫定のままでよいのか、マスメディアがきちんと報道しない怠慢が社会の混乱に輪を掛けています。メディア報道だけよく見ていると暫定基準が年間の被曝線量5ミリシーベルトを基にしているらしいと見えますが、一般大衆にはアピールされていません。その結果、上記のような3年致死説に飛びつく人が続出しました。

 「勝川俊雄 公式サイト」の「食品の放射性物質の暫定基準値はどうやって決まったか」は説明されていない暫定基準の算出過程をフォローした労作です。資料としてあげられている《「飲食物摂取制限に関する指標について」 原子力安全委員会 平成10年3月6日》が防護対策を導入するか判断する線量としている年間5ミリシーベルトでの計算とだいたい合うようです。

 しかし、文部科学省が子どもの被曝線量として法定の年間限度線量1ミリシーベルトを目指すと公表しているように、「暫定」の季節は終わりつつあります。汚染の存在自体はどうしようもありませんが、年間1ミリシーベルトを目指すなら食品の放射線基準値はいくらになるのか、政府は早急に示すべきです。松本市教委が1キロ当たり40ベクレルを採用したのも、法定年間限度1ミリシーベルトを担保してくれる基準が無いからだと思います。「基準見直しで子どもに配慮して厳しくする」と野田首相は発言していますが、親子で食卓を分けられるはずもなく、現在の法律に戻るしかありません。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


中国高速鉄道は欠陥を知りながら開業していた

 朝日新聞が《中国高速鉄道、開業前に不具合把握 追突防ぐ装置》で開業1カ月前に「上海で開かれた会議で各地の鉄道局や車両メーカーの幹部らに安全上の問題点や対策について説明する中で、列車の追突を防ぐ自動列車保護装置(ATP)など、安全の根幹にかかわる装置に不具合があったことを報告した」と伝えました。「ハードもソフトも安全装置総崩れ中国高速鉄道」でも指摘していた欠陥を事前に知っていたのに、共産党創設90周年に合わせて無理矢理開業していたのです。

 ネットに出ない新聞紙面から問題の要点を拾うと、「車軸やディスクブレーキが安全基準未達成」「自動列車保護装置(ATP)が過熱により焼損」「緊急ブレーキの不具合」「車両検査員1830人のうち900人が現場経験が全くない新人」「1カ月前で試運転が出来ていたのは86編成中で完成していた39編成の一部だけ」と恐ろしい惨状です。日本国内の常識なら大幅開業延期でしょう。

 こうした欠陥を見るにつけ、7月の事故現場で追突した先頭車両を重機でぺしゃんこに潰し穴に埋めたのは、あまりな暴挙だったと思えます。上記のような項目が今度の追突事故に関係したのかを知るためにも、無傷状態での検証は是非モノだったはずです。あれだけ壊して元の状態を知り得たとは考えにくいのです。物証無しには責任を追及される側は納得しませんから、事故原因調査に時間が掛かっているのは当たり前です。

 【参照】インターネットで読み解く!「中国高速鉄道」関連エントリー


2011年9月のエントリー一覧

9/29 低線量地域除染に支援ゼロで政府は東電を免責
9/28 中国地下鉄の追突事故、高速鉄道事故と同根?
9/27 今更の運転手順書提出命令、政府組織の駄目さ露呈
9/25 除染に期待が持てない福島市渡利地区調査結果
9/23 中国に続きインドにも抜かれるGDP推移グラフ
9/20 福島原発の地下水、流入があれば汚染水流出も
9/18 放射能除染は難事業、専門部隊の多数編成を
9/16 事故対応で東電は無能:専門家の指摘相次ぐ
9/14 30代の再婚熱が高まっている:推移グラフ作成
9/11 説明責任を果たさない政府・東電・メディア
9/08 福島第一原発で高線量下、瓦礫除去の生々しい証言
9/06 欧米の経済不安深刻化は愚かな日本を相対化
9/03 遅すぎる溶融予測公表より現実的予測しない罪が大