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年間1mSvは法定の限度線量:遵法感覚はどうした

 今回の福島原発事故では被ばく放射線量の限度をめぐり、最初から大きなボタンの掛け違いがありました。今一度、確認しておかねばなりません。現行法体系では一般人の年間被ばく線量限度は1年間につき1ミリシーベルトです。緊急時に用いる運用線量「20mSV」「50mSv」を政府は現行法との関係と制約条件を説明することなく勝手に使い、「悪質」と申し上げるしかない「御用科学者」は「100mSvまでは安全」と言い続けました。既成マスメディアの遵法感覚はすっかり麻痺してしまい、東京東部が法定限度線量を超えかねないと指摘されても不感症になっています。原発付近は野戦病院状態ですから年間20mSVで一時的に運用しても、東京には現行法の年間1mSvを適用する以外の選択はありません。

 法律の書き方が一般人をずばり対象にしていない表現なので、ネットで活動している良心的な方にも法定限度ではないかのごとき誤解があるようです。例えば放射線障害防止法のどこを読んでも「年間1mSv」は出てきません。この法律は放射線源施設の認証基準をそれぞれ規制していって、外にある一般社会での線量を一定以下に落とすよう出来ています。

 法第十二条の三「認証の基準」は文部科学大臣らに省令で定める技術基準で認証するよう求めています。それに基づく施行規則第十四条の三には「当該申請に係る使用、保管及び運搬に関する条件に従つて取り扱うとき、外部被ばく(外部放射線に被ばくすることをいう。以下同じ。)による線量が、文部科学大臣が定める線量限度以下であること」とあります。そして、文部科学省の「設計認証等に関する技術上の基準に係る細目を定める告示」で「文部科学大臣が定める線量限度は、実効線量が一年間につき一ミリシーベルトとする」となるのです。

 福島の学校での被ばく規制をめぐり多くの心配する父母が文科省に押し掛け、20mSVは撤回しないものの「1ミリシーベルト以下目指す」ことになりました。学校は「野戦病院」ではありません。公務員の遵法義務はどうしたのか、と言いたくなります。この問題で在京メディアが見せた腰の引け方はまた酷いものでした。法定の限度線量であることが忘れられています。低線量なら問題ないとお考えの方、「反例:低線量でガン増加確認のスウェーデン」をご覧になってください。

 【参照】インターネットで読み解く!「在京メディア」関連エントリー


在京メディアは東京の年間限度線量超過も無視(追補)

 ほとんどの在京メディアが騒がないので共産党の貴重な提言「東京都内各地の空中放射線量測定結果について」を見落とすところでした。放射線障害防止法など国内法で決まっている一般人の年間被ばく限度線量1mSvを、東京23区の東半分では超える恐れがあるとの指摘で、特に資料の放射線量分布マップは必見です。

 ずっと前から東大の「環境放射線情報」で、本郷(3)地点の線量が0.12μSv/hを維持しているのが気になっていました。これが年間被ばく限度線量1mSvに相当するからです。共産党が都内各地で組織的に測定した結果が上のマップになっていて、本郷は境界線付近にあり、特異点ではなかった訳です。これは真剣に詳細な測定をすべきです。1mSvを超える地域ではそれなりの自衛策を考えるべきですし、人口密度が大きい都内に高線量ホットスポットでもあると困ります。

 毎日新聞都内版の《東日本大震災:共産党都議団、放射線量公表 葛飾・水元公園が最高 /東京》を読んで唖然としました。「都は、都健康安全研究センター(新宿区百人町)の地上約18メートル地点にあるモニタリングポストで24時間放射線量を測定し、公表している。24日の平均値は毎時0・0623マイクロシーベルトだった。都の担当者は『高さによって線量に差があるのは把握しているが、それでも現在の数値は健康に影響があるものではない。ただ、安心のために今後地域ごとの測定を進めるかを検討している』とした」

 最後の談話にもありますが、共産党がしている地上1メートルでの測定がスタンダードです。地上18メートルなんて、故意に低く見せるための露骨な操作です。こんな「大本営発表」記事を、遠く福島ばかりでなく、自分の足下、東京についてまで臆面もなく書き続けているとは社会にとってもはや害毒です。「在京メディアの真底堕落と熊取6人組への脚光」の「そもそもこうした体質の在京メディアにジャーナリズムを名乗る資格があるのか疑われます」を改めて投げかけましょう。

 【追補 杪召料換饂罎琉靴い鮹凌佑膨瓦戮討發蕕辰燭蕁朝日新聞も都内版のベタ記事で《「放射線量の計測地点 知事に増設申し入れ」共産党都議団》。「共産党都議団は25日、大気の放射線量の計測地点を都内各地に増やすよう、石原慎太郎都知事に申し入れた。同都議団が独自に今月6日から25日、都内全域約130カ所で放射線量の測定をしたところ、都が公表している新宿区の都健康安全研究センターで測定した値より高い地域が多かったという」「都健康安全課の担当者は『現在観測されている都内の放射線量は健康に影響のない数値だ。ただ、地域による違いはあるだろうと考えているので、対応を検討している』と話している」。
 一方、読売新聞には記事が見あたらないそうです。

 【追補◆枦豕の自然放射線レベルはかなり低いことを前提にして書いておきましたが、仕事から帰ってきたので資料を補足します。共産党の測定マップが以下です。



 これに対して、日本地質学会の「日本の自然放射線量」から都内付近を取り出したのが以下です。



 東京東部の自然放射線量は0.036〜0.054μSv/hの水色ゾーンに入っています。上のマップにある葛飾区0.391、足立区0.257、江東区0.186、江戸川区0.18などは大きく上回っています。超過分が問題であり、葛飾区付近はもう一段低い自然放射線ゾーンかも知れません。


日本人の4割はパソコン無縁:欧米と大きく乖離

 パソコンが安くなれば普及率が100%に迫る欧米に比べ、日本では60%を前に頭打ちになる――《元麻布春男の週刊PCホットライン〜低価格化が進まない日本のPC事情》で不思議な傾向が紹介されました。米インテル社の投資家ミーティングで公開されたグラフを、一部トリミングして以下に掲げます。その国のパソコン価格が週給の4〜8倍くらいまで下がるとノートPCの普及が加速する様子が描かれていて、100%に迫っている黄色が北米、オレンジが西欧、離れたブルーが日本です。



 ヨーロッパ諸国の国別普及率を追加したグラフも紹介されていますが、「普及率が60%で頭打ちになる国は、日本以外ほとんどない。現時点で日本より普及率が低いのはチェコ、スペイン、ポルトガル、ギリシャといった国々だが、日本のように60%手前であからさまな頭打ちになっている様子ではない」そうです。中国はようやく普及ゾーンに入りました。

 「日本以外の先進国では、PCが不可欠なものになっているのに対し、日本ではそうなっていない、ということだ。日本では多くの人にとってPCは、あると便利なものではあっても、ないと困るものではない、ということが、普及の妨げになっているのではないか。わが国でPCは、40%の人にとって、買えないものではなく、買わないものなのだ」「もちろん、PCが不要なものであれば、それはそれでいい。しかし、他の先進国との普及率の差が40%近い状況を放置して、本当に大丈夫なのだろうか。教育や産業に与える影響を考えると、不安を感じざるをえないのが正直なところだ」と、元麻布さんは心配しています。

 私は10年近く前に書いた「インターネットで読み解く!」第118回「iモードは日本でしか成功しない?」 を思い出しました。海外にiモード携帯電話を普及させようとして結局はかなわなかった、入り口での考察ですが、パソコンについては逆パターンという気がします。「デジタル・ディバイド層にはパソコンよりずっと向いている。この層から求められているデジタル・データはそんなに複雑なものではない。普及して安価になればどこの国でも、この事情は同じだから、日本と全く同じ爆発的な展開は無理としても」と書きましたが、海外では日本式「ガラパゴス携帯」は広がりませんでした。海外では普通の人はノートパソコンを買い、それがあることを前提にスマートフォンが普及してきました。

 維持費まで考えると相当に高価な高機能携帯電話に、日本人はこだわりすぎていると感じます。その一方で、どの大学でも招かれて講義する際にサービスとしてネット利用法をざっと話すのですが、いずこの学生も知らな過ぎる印象です。パソコンでこんなことまで出来ると知らなければ使う気もしないでしょう。十代からの情報教育が硬直化していて、面白くない中身であろうことは容易に推測できます。


過失特大の政府賠償責任が論じられぬ不思議

 福島原発事故を巡る損害賠償の論議は、法曹関係者が多い政権にして不思議な非論理的展開になっています。「被災者は国策による被害者だから最後まで面倒をみる」「賠償は東電の責任で天井無しに払わせる」――これは矛盾しています。損害賠償は過失があって発生しますから、原発の安全審査でオーケーを出した政府の責任と、当事者である東電の責任を明確に区分しなければ賠償の枠組みが決められないはずです。金融機関に債権放棄を促す官房長官発言も電力各社にツケを回すのも、過失の考え方では論外です。

 折しも《原発の安全設計審査指針、改訂へ…安全委》が「電力各社は同委員会が定める各種指針に基づいて原発を設計・建設している。班目委員長は19日の記者会見で、外部電源や非常用ディーゼル発電機などの電源を長期間喪失する事態を考慮する必要はないとしている現行指針について、『明らかに間違い』と述べた」と伝えています。安全審査の指針が明らかに間違っている特大の過失がありながら「金は払わない」で済むはずがありません。

 各地の原発で定検後の運転再開が問題になっています。《川内原発再開は「住民の納得後」 鹿児島知事》をはじめ福井県知事らも再開に難色を示しています。安全審査の指針が明らかに間違っている状態で運転を始めるのは「違法状態」です。もし事故になって裁判でもあれば絶対に負けます。運転するなら国の責任で安全を保証してほしいと訴える知事たちの考え方は、とても理解しやすいと思います。

 もし保証するなら、暫定の安全審査指針が要ります。福島原発事故はどうやら津波だけではなく、前段の地震でも設備の大損傷が起きていたようです。どうして事故が起きたのかの具体的な究明が、賠償の仕方にも他の原発の運転再開にも絡んでいるのに2カ月を経ても遅々として進みません。

 《「志賀原発再開、安全支障なし」》で「定期検査などで停止中の志賀原子力発電所(志賀町)について、経済産業省原子力安全・保安院は20日、『運転再開は安全上支障ない』との見解を県と志賀町に伝えた。福島第一原発の事故を受け、北陸電力が行った安全対策を評価した」とあるのを見て、保安院の愚かさ、日本のテクノクラートの駄目さ加減を思い知りました。これは福島事故前の発想です。現行の安全審査体系は存続しているようでいて、裁判になったら否定されてしまうでしょう。


非常用復水器使わず:原発事故、人災が決定的(追補)

 福島第一原発事故は不可抗力の天災か、あるいは人災か、果てしない議論が続いてきましたが、人災説が決定的になったと思えます。本当の山場で電源を必要としない「非常用復水器」が使われなかったことが明白になりました。

 NHKニュース《1号機 地震後の状況は(5月17日 19:40更新)》が「午後3時に止まった非常用復水器は、本来、電源がなくても動きますが、再び弁が開けられたのは午後6時18分」「しかし、冷却機能の最後のとりでである非常用復水器は、その後も起動と停止を繰り返していました。再起動から僅か15分後に弁が閉じられています」と伝えました。

 メディアの報道は、津波襲来前の11日午後3時に手動で停止した事を問題視していますが、決定的だったのはむしろ6時18分の再起動と15分後の再停止です。下図に示すように、ここが事故進展にとって極めて重要なタイミングでした。



 冷却水が減り続けて核燃料の頂部まで下がったのが18時ごろ、19時半には一番下まで露出してしまいました。燃料の頭がのぞき始めた時点で非常用復水器がフル稼働していたら、1号機は救われたかも知れません。下に敦賀1号機の非常用復水器系統概要を引用します。



 異常時の説明図で余分なことが書いてありますが、原子炉圧力容器との間にある弁さえ開けば、自動的に蒸気が送り込まれて復水器で水になり、蒸気が出ていった後を補うように水が炉心に戻っていく仕組みです。一度、再起動した非常用復水器をどうして短時間で停止したのか、どのような判断ミスが運転員にあったのか、あるいは自動的に停止してしまったのか、現時点では判りません。しかし、非常用発電機を含めて全ての電源が失われている11日午後6時段階で、無電源で働く非常用冷却システムが動いたのに使わずメルトダウンに至ったことだけは、はっきりしました。3号機では13日まで、2号機では14日まで別の非常冷却系が動きました。1号機が救われていたら、対処の仕方は大きく違っていたはずです。

 ただし、データが明らかでなく不詳ですが、非常用復水器系統が地震のショックで使えないほど壊れていた可能性があります。津波襲来前の起動と停止など、何度も繰り返されているのは試し調べるためかも知れません。これまでの東電の説明では津波までは正常だった事になっていますが、既に説明の信頼性は失われつつあるので疑いたくもなります。 (4月4日保安院の報告書「2011年東北地方太平洋沖地震と原子力発電所に対する地震の被害」「3-7. 1号機における主要な事象の進展(1/4)」では高圧注入系が津波で運転不能になっても「隔離時復水器」運転可能とされる)

 【18日夕に追補】WSJ日本版の《福島第1原発、事故直後の新事実が明らかに―WSJ分析》は津波による交流電源喪失でも「本当に深刻な事態に発展するまで、電源を復旧させる時間はまだ8時間あると考えていた。原子炉の燃料棒の冷却や主計器の電源となる予備電源は8時間持つと想定されていたためだ。予備電源は、発電所の最後の頼みの綱だった」と伝えています。つまり予備バッテリーで動く高圧注入系はまだ使えると現場は考えていたかも知れません。実際は予備電源は浸水で消えました。

 また、「福島第1原発に夕暮れが近づくと、技術者たちは取り外した車のバッテリーを使って臨時装置の電力とし、原子炉の中で何が起こっているのか解明しようとした。午後9時21分には危険なサインを発見した。1号機の水位が急激に下がっており、燃料棒がいまにも露出しそうだった」というのですから、水位低下の認識はずいぶん遅かったようです。1号機水位計の不確かさは一貫しているので、この時点で燃料は露出していたと見てよいでしょう。メルトダウンが既に始まっている段階で危機認識の入り口に立ったのです。手探りしながら起きている事態を完全に見抜くことは無理ですが、津波襲来後に全く注水できない中で最悪まで考えて対処すべきであり、想像力の欠如は否定できません。


東電は信用できず、機動的対処へ主導権を政府に

 東電が15日に公表した「当社福島第一原子力発電所1号機の炉心状態について」を読んで唖然としました。大津波到来から5〜6時間で核燃料が完全に露出、溶融に至っていたと認めているのですが、当初から既知情報である冷却機能停止を前提に計算しただけです。逆に言えば、あの当時でも下のグラフに似たものは直ちに提出できたはずで、肝心のメルトダウンを知らずに緊急の収拾策を考えていた政府、原子力安全・保安院、原子力安全委の愚かさは酷すぎます。東電は信用するに足りません。機動的に対処するために生データの全てと主導権を政府に召し上げるべきです。



 崩壊熱を放つ核燃料が冷却水から全露出すれば早々に2800度の高温になります。この説明が淡々とこうです。「現在得られている記録データおよび記録に基づく推定による炉心状態の解析を実施することといたしました。その結果、『1号機は、津波到達後比較的早い段階において、燃料ペレットが溶融し、圧力容器底部に落下した。』という評価となりました」。海水注入の是非が大問題になったのがここです。私が政府なら「今になってふざけるな」と怒鳴るケースです。

 2003年に第134回「大停電目前?東電の技術力を疑う」とのエントリーを書いて前から東電技術陣に懐疑的な私ではありますが、今回事故当初から炉心溶融を指摘しなかった技術者が1人もいなかったとは思えません。しかし、水位計で水がほとんど無いと確認するまで大きな声を出せなかったのでしょう。

 この東電体質は、まだまだ収拾の目処が立たず、機動的に対処する必要が続く局面では大問題です。あり得る可能性はすべて並べ尽くして、責任をとれる部署が総合的に判断していくしかありません。今の保安院や安全委に自信がなければOBや学界を含めて人材を集めるしかありません。私の取材経験からは頼れる人はいると思います。もっと早くから、そうすべきでした。


食の安全も特権:中国で幹部専用農場暴かれる

 原発事故に目を奪われている間に、食の安全が危機的になっている中国で特筆モノの報道があったようです。ブログ「幹部専用の食糧生産基地が存在した」(中国という隣人)によると、専用農場では「化学肥料を一切使わず、農薬の使用もかなり制限した野菜が栽培されていました。洗わずにそのまま直に食べられるレベル」といいます。「南方周末」が《「こっそり」野菜を栽培》で報じました。

 報道のきっかけは記者が北京税関専用の農場を聞き込んだ事に始まり、「各省へ提供するためだけに作られた食料基地が同じく順義区や全国各地に存在するんだとか」「野菜以外にも、豚、鶏、アヒルや魚の養殖などが行われる『基地』もあり、実際に従事しているのは周辺に住む農民。これらはすべて党機関や政府機関の食堂や、職員が自宅で使う食材用に育てられます」と広がっていて、中華人民共和国建国以来続いている幹部特権としています。

 5月はじめのニューヨーク・タイムズ報道を転載した《中国の「食の安全」事情はまだまだ厳しい》は「この数週間だけでも、違法薬物の『痩肉精(塩酸クレンブテロール)』入りのブタ肉、カドミウムに汚染されたコメ、亜ヒ酸入りの醤油、抗生物質入りのモヤシなど食の安全を脅かす事件が相次いだ。そして、それは『不可侵領域』と思われるタマゴにまで広がった。化学品やゲル、パラフィンを使い、ニセタマゴを作ったものと思われる」とまとめています。1年前には「混沌の現状と将来像を占う中国異聞3件」で下水から再生したリサイクル食用油が年間300万トンも使われている、胸が悪くなる報道を紹介しました。

 中国政府の反応が私たちには意外に見えるほど鈍い原因は、自らの食の安全が完全に保証されていたからなのですね。庶民と幹部では所得格差があるからと解釈していましたが、同じ中国に住んでいると言いつつ、実は別世界に生きていたわけです。

 「南方周末」の記事はグーグルで調べると数百のブログなどにそのままコピーされています。漢文の知識に機械翻訳の力も借りてコメント欄を見てみました。「中国産品は一流品は官僚に、二流品は輸出に回り、三流が庶民のものだ」「権力は腐敗するものだ。中国歴代王朝の衰亡期が証明している」と相当に手厳しいものがありました。ただ、ネットでも表現規制が厳しい中国ですから、本当に強烈な批判は削除済みかも知れません。


1号機メルトダウンより格納容器破損判明が深刻

 12日夕になって深刻なニュースが報じられました。福島第一原発1号機の原子炉圧力容器にほとんど水が溜まっておらず、燃料棒の形をとどめないメルトダウン状態が判明しました。これまでに圧力容器に注いだ水は格納容器に流れ出ていたのです。しかし、もっと深刻と指摘したいのは《1号機“工程表見直し必要”》(NHKニュース)で「圧力などから推定される格納容器の水の量は、原子炉から漏れ出た量よりも少ないとみられるということで、東京電力では、格納容器からも原子炉建屋などに水が漏れ出ているという見方を示しました」と伝えられた点です。

 東電の工程表発表時点で既に2号機は格納容器下部に破損があって泥沼状態であり、1号機もこれに加わってしまいました。燃料棒冷却のために水を注げば注ぐほど、溶融した燃料棒から高い放射性物質を洗い出して、それが外部に漏れ出てしまう「打つ手無し」状態が拡大しました。

 東電は1号機を「水棺」状態にするため格納容器に大量の水を入れていましたが、やはり漏出を拡大する、とんでもない錯誤でした。事故発生当初に書いた「福島第一原発は既に大きく壊れている可能性(追補あり)」からたびたび指摘している通り、格納容器の密封性が疑わしかったのです。3号機の「水棺」化も止めた方がよく、事故収拾の全体像を描き直さなければなりません。


在京メディアの真底堕落と熊取6人組への脚光

 福島原発事故から2カ月にもなり、ようやく《福島第一、土壌汚染800平方キロ 琵琶湖の1.2倍》(朝日新聞)など事態の全貌を考えるデータが出始め、それが大騒ぎすべき時に騒がなかった在京メディアの真底からの堕落を実感させつつあります。逆に中央官庁に依拠しないオルタナティブ情報源として、大阪・熊取にある京大原子炉の研究者6人組が長年築いてきた原子力批判能力が脚光を浴びています。

 「半減期が約30年のセシウム137の蓄積濃度が1平方メートルあたり60万ベクレル以上に汚染された地域は約800平方キロメートル」「チェルノブイリ原発事故で、強制移住の対象になった55.5万ベクレル以上の地域の約10分の1にあたる」

 今になってこう平然と記述されると噴飯モノもいいところです。4月1日の「高汚染無視で飯舘村民を棄民する国とメディア」でこう指摘しました。国際原子力機関(IAEA)が福島原発の北西40キロ、飯舘村で1平方メートル当たりで2000万ベクレルという実にショッキングな汚染を検出、日本政府に通報したのに「『自分の手持ち測定データでは安全です』と言ってしまうお役所、毎日新聞に限らずこれに納得してしますマスメディアにはあきれ果てます。『どういう基準か分からないが』と書いた新聞までありました」。後者の新聞は朝日新聞です。この無視のせいで飯舘村民は1カ月半を経過してこれから避難するところです。

 私も半年前まで籍を置いていた商業新聞は、古典的左翼の物言いならば「ブルジョア新聞」と蔑視されますが、市民大衆の大地に根を下ろす重要な仕組みを持っていました。少し年上の新聞人にしか通用しない信条「読者への忠誠心」です。有料定期読者への配慮は、広告主への遠慮より確実に上回っており、この例のように市民の安全・健康に関わる問題では弱者を守る立場から「安全側に倒した」論調が当然とされてきました。

 これが破られています。一例として毎日新聞が5月4日なって掲載した《東日本大震災:福島第1原発事故 放射線、健康への影響は 正しく知って行動しよう》を挙げます。

 焦点は低線量被ばくの取り扱いです。「科学者の間では『○ミリシーベルト未満ならば健康影響がないという”しきい値”がある』『低線量でも直線的にがん発症率が増え、しきい値がない(LNT仮説)』などと見解が分かれている」と不確かさが強調され、国際放射線防護委員会(ICRP)が取っている低線量から発ガンは比例して増える考え方がスタンダードであることを隠しています。このスタンダードを前提に、もっと発ガンが増える厳しい考え方と、逆に閾値ありとする楽観論を両方、説明するのが放射線影響を説明する常道でした。低線量であっても被ばくする本人の選択を尊重するのです。

 毎日新聞は「政府は計画的避難で実際の避難までに1カ月の猶予を持たせた。これは、がん発生のリスクが高くなるという明確な証拠があるのは100ミリシーベルト以上で、『生活への影響も考慮すると、一刻を争って避難する状況ではない』というのが理由だ」と地の文で『100ミリシーベルト伝説』に賛成し、ネット上で一方の論者から喝采を浴びました。これと同様の一方的な放射線影響報道は他の新聞でも大勢を占めています。

 このような人間を無視した報道になる理由は、霞ヶ関周辺にしか情報源を持たない在京メディアの特質によります。中央官庁から漏れ出る情報を「特ダネ」として追い求める取材習慣に何十年と浸り、代替えになる情報源を持とうとしなかったのです。取材に行く相手すら中央官庁が挙げるリストに載っていなければ信用しない有り様です。

 大阪本社科学部で原子力を担当していたため、25年前のチェルノブイリ事故当時、熊取の京大原子炉実験所にはよく通いました。当時在籍していた6人に一昨年亡くなられた阪大講師の久米三四郎さんらを交えて、事故の検証、汚染の度合いや拡大、影響の検討会に加わりました。スウェーデンの研究機関にメールを送って汚染データを取り寄せたり、原発の南方キエフに文化取材に行った記者がフイルムケースに隠した川の中洲の砂粒を計測してもらい、意外に高い放射線量に驚いたりしました。当時、そこは「西の科技庁」と呼ばれ、原子力を批判するグループが霞ヶ関に対抗するための実証的なデータを得る拠点になっていました。

 4月4日の「飯舘村南部に広い高汚染地域:現地調査で確認」で今中哲二さんら飯舘村周辺放射能汚染調査チームの仕事ぶりを紹介して、当時を思い出さずにいられませんでした。熊取にいるもう一人の現役助教、小出裕章さんも福島原発の事故収拾をめぐり的確な発言を続け、講演など忙しく活動されています。勤務があるので放送メディアに出るにも電話によるコメントが主体ながら、「小出裕章(京大助教) 非公式まとめ」に言動が詳細に記録されています。なお、彼ら原子力安全研究グループのホームページは《Nucler Safety Research Group》です。

 熊取の6人について、週刊現代の《迫害され続けた京都大学の原発研究者(熊取6人組)たち〜危険性を訴えたら、監視・尾行された》などを糸口に見直しの機運があるようです。私は科学部を去った後も年に1回くらいは「安全ゼミ」で熊取に顔を出していましたが、マスメディアの記者は本当に数えるほどになっていました。在京メディアは上述のように、オルタナティブな情報源を確保する意味を理解していません。日本のジャーナリズムにとって不幸ですし、そもそもこうした体質の在京メディアにジャーナリズムを名乗る資格があるのか疑われます。

 早稲田大の瀬川至朗さんが《原発事故とメディア 「大本営発表」報道を克服できたのか》で「全国紙やNHKには、さまざまな工夫が見られ、良質の記事も散見された。しかし、総体として、政府や東京電力の発表をそのまま提示する『大本営発表』報道の域を出なかった」と断じています。「いざというときに、主体的かつ批判的に問題を読み解ける」専門ジャーナリストを育ててほしいと言われていますが、熊取の研究者と電話一本で普通に話せる記者を育て損なったのは毎日新聞で科学環境部長をされた、ご自身なのではありませんか。

 【参照】インターネットで読み解く!「在京メディア」関連エントリー


高速炉もんじゅ落下装置の引き抜き問題で改訂版

 福島原発事故直前の3月7日にリリースした「高速炉もんじゅ落下装置の引き抜きは困難」の考え方を変更して、改訂版をアップしました。結論として困難と見ている点は同じですが、関心がある方は参照してください。

大津波2階建て構造論(NHKスペ)の衝撃は大

 7日夜放送の《NHKスペシャル「巨大津波 “いのち”をどう守るのか」》で、今回の大津波は2階建て構造になっていたという衝撃的な議論が出ました。防災対策上、非常に大きな想定変更を要求する観測があり、三陸沖、GPSブイに最初は2メートルの波高が押し寄せ、それが間もなく7メートルまで積み上がったのです。2階部分が積み上がるモデルとして、_,気譴討い紳舂Ε廛譟璽箸猟靴余紊りで従来から想定されていた第一波、沈み込むプレートとの間に長年堆積したV字地層でも活断層が目を覚まして跳ね上がり第二波――と考えられるようです。

 巡視船が沖合で10メートル級の波の壁に遭遇したのはまさにこれだったのでしょう。津波は岸に近づくにしたがい地形の影響で高さを増し、奥の谷間などでは最後に運動エネルギーを位置のエネルギーに変えて斜面を駆け上がります。三陸では結果として39メートルまでの大津波になったのです。仙台平野を深く襲った津波のボリュームの大きさにも効いたでしょう。12日午前0時15分から再放送があるので見ていただくとよいでしょう。

 前々から過去の大津波をプレート説だけで説明するのに不足感があったので納得しました。しかし、こうなると津波の防災想定を大幅に見直す、いや完全にやり直す必要が出てきました。ブログの反応はどう逃げるかの話に傾いていますが、こちらが本筋だと思えました。放送であるためにネット上の「はてなブックマーク」などでの注目が少ないのは残念です。


浜岡原発停止:やっと事態のドライブに動く首相

 福島第一原発事故発生から間もなく2カ月、菅首相が初めて自分の側から動きました。6日夜に《首相、浜岡原発の全原子炉停止を要請 防波壁完成まで》(朝日新聞)となったのですが、伝えるマスメディア側が《浜岡原発、全基停止すると夏場の供給力に不安も》(読売新聞)など疑問符を付ける雰囲気なのは解せないところです。隣には関西電力、さらに余裕がある西日本の電力各社が同じ周波数60ヘルツで並んでいます。

 「首相は同日夜、首相官邸で記者会見して明らかにし、『浜岡原発で重大な事故が発生した場合、日本社会全体におよぶ甚大な影響を併せて考慮した結果だ』と強調。停止要請を出した理由について、浜岡原発が東海地震の想定震源域上にあるとして『30年以内にマグニチュード(M)8程度の地震が発生する可能性が87%という数字も示されている』と説明。特有の事情があるとの認識を示し、浜岡以外の原発への対応については言及しなかった」「防波壁の設置など中長期の対策が完成するまでの間、すべての原子炉を停止すべきだと判断した」

 次々に起きる事態に振り回されるだけだった首相にして、この際は英断と申し上げて善いのではないでしょうか。

 例えば2006年の「原発震災の可能性を裁判所が認めた [ブログ時評52]」のように、原発震災の危険性は認められ始めていたのです。木で鼻をくくる対応だったのは殿様企業、東電ならばこそでした。浜岡にまで及ぶ今回の津波問題は「福島、女川など3原発、津波高さと対策が判明」で紹介済みです。

 しかし、同じ6日に47newsは《経産省、原発重視の方針堅持へ 安全宣言で電力確保目指す》と報じています。「原発の緊急安全対策を進めて『安全宣言』を早期に行うことで既設の原発からの電力供給を確保し、2030〜50年には『世界最高レベルの安全性に支えられた原子力』を3本柱の一つとするとした、経済産業省の今後のエネルギー政策に関する内部文書が6日、明らかになった」とは、福島の事態収拾が到底見えない折にあきれます。

 既成マスメディアに、この期に及んでも原発とエネルギーの問題をゼロベースで考え直す動きが乏しいのが気になっていました。いま自前で議論の土俵を構築しないで何時やるのですか。新聞各社とも専門家ぶった論説委員を何十人も抱えているのに……。


計画的避難区域の飯舘村に避難先から通勤とは!!

 福島第一原発から30キロ以上離れていたにもかかわらず高濃度の放射能汚染があって、政府から計画的避難区域に指定された飯舘村の避難が難航しています。チェルノブイリ事故で強制避難の基準になった汚染レベルより何倍も高い土壌汚染観測値が珍しくないほどの惨状なのに、避難しても村内の勤め先に通勤する例外措置が認められそうです。《福島第1原発:飯舘村内での事業継続、国が条件付きで容認》と報じられました。

 「国は5月中に工場や店舗を村外に移転させるなど避難を求める一方、規模の大きい事業者で屋内作業に限定すれば例外的に事業継続を認めることを明らかにした」「村内での事業継続を認めるのは▽屋内作業だけで、屋内の放射線量が年20ミリシーベルト未満▽従業員は村外から通勤▽数十人以上勤務し、村の雇用確保につながっている−−など条件を満たす企業や福祉事業者」「 飯舘村は国に対し、避難後も村内での事業継続を求めていた。企業2、3社や特別養護老人ホームが候補に挙がって」いるそうです。

 勤務先を残そうとする管理者層と危機感を募らせる若い層の間にあるギャップとしがらみが、ツイッター発言のまとめ《【飯舘村】逃げたくない村長と動き出した村の若者達》で読めます。

 「早期避難を求めている!交渉事や土壌改良なんか後でもできるだろうに! 村長は未だに、避難しても村に通わせようとしている!そんなリスクの有ることを何としてもしたいらしい一部の企業の為に! こうして交渉が長引きまた避難が遅れていく」「いいたてホーム職員会議で理事長である村長は『雇用を守りたいので企業として残せるように国にお願いしている。人命が最優先なので避難はして,通う形に…』人命優先なのに,入居者は放置か!!おい,村長…いいかげんキレるぞ,あたし」「村長の被雇用者の生活を思いやる発言は方便です。被雇用者は逃げるに逃げられない状態にされていました。子供の被曝リスクを軽んじる人が被雇用者の生活を考えてる筈がない。これが現実」

 工場がいくつもあって従業員が300人いる企業や、107人の入居者と職員110人の特養ホームが焦点のようです。避難が大幅に出遅れたために福島県内で集団避難できる場所が見あたらない特殊事情があるとも言いますが、避難すべき人を汚染地域に縛り付ける措置の是非を政府は真剣に検討したのでしょうか。村内にはまだら模様で高汚染ホットスポットがあり、「年20ミリシーベルト未満」に通勤途上の被ばく分を含めないでよいとは到底思えません。

 このような姑息なルール違反で困難を避けるのではなく、1カ月以上も高汚染下に放置した罪滅ぼしの意味でも、費用の懸念がない手厚い全村一括移転を政治主導で進めてあげるべきでしょう。政府の防災対策に大きな手落ちは明白なのですから、もし不公平と文句が出ても説明できます。


2011年4月のエントリー一覧

4/30 内閣参与が痛切批判し辞任:児童の放射線許容量
4/27 遅い放射線量地図公表、都市内部にホットスポット
4/25 反例:低線量でガン増加確認のスウェーデン
4/24 テクノクラートが支える国だったはずなのに
4/20 TV録画やブルーレイ、何でも3D視聴してみたら
4/18 東電工程表の水棺方式に頼っては危険、長期化
4/16 マスメディアの劣化:水位上下報道にうんざり
4/13 最悪レベル7より日経の原発『見切り』記事
4/10 これから起きる深刻事を政府は想定していない
4/04 飯舘村南部に広い高汚染地域:現地調査で確認
4/03 放射線の空白ようやく埋める――政府に把握義務感欠如
4/01 高汚染無視で飯舘村民を棄民する国とメディア