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2011年3月のエントリー一覧

3/30 福島原発2号機で原子炉圧力容器の底抜けたか
3/30 非常用ディーゼル発電機は落ちて当然だった
3/28 公衆の被ばく限度、運用で10〜50倍も切り上げ
3/26 福島市で年間の公衆被曝許容量を超えたのに
3/24 『もう少しでチェルノブイリ』をグラフで実感(追補)
3/22 福島、女川など3原発、津波高さと対策が判明
3/20 大失態はご破算にして日本の技術力を見せよう
3/16 原発所内の電源回復が大惨事を防ぐには必須
3/15 原発事故制御不能に至らせた手順の悪さは最悪
3/14 爆発も怖いが、炉心溶融の進行が止まらない
3/13 福島第一原発3号機も炉心溶融、後手の連続
3/12 福島第一原発は既に大きく壊れている可能性(追補あり)
3/10 中国の原発、無謀とも見える大増設は大丈夫か
3/07 高速炉もんじゅ落下装置の引き抜きは困難
3/04 入試カンニング:メディアも大学も踏み外し過ぎ
3/02 [AV事情]家庭内LANでビデオ視聴、文字通り輪(和)に

福島原発2号機で原子炉圧力容器の底抜けたか

 原子炉の圧力が上がらぬ一方で非常な高濃度放射能が周辺から検出されて尋常ならぬ状態と思われている福島第一原発2号機について、47NEWSは《福島2号、核燃料が炉外漏出か 英紙で専門家指摘》と伝えました。英紙ガーディアン(電子版)によると「福島原発の原子炉を開発した米ゼネラル・エレクトリック(GE)社で福島原発建設時に同型炉の安全性の研究責任者を務めた専門家は、少なくとも溶融した燃料が圧力容器から『溶岩のように』漏れ、格納容器の底にたまっているようだと説明」したと言います。

 ガーディアンの記事《Japan may have lost race to save nuclear reactor》に従えば、最悪なら溶岩のようになった核燃料が受け皿の底をも溶かし、コンクリートの床と反応して放射性ガスを大放出する恐れがあります。今のところ、格納容器下部に満ちた海水で一応は冷やされていると見られます。しかし、2号機の格納容器が15日に圧力抑制室水素爆発で破損しているために外部に一部、漏れだしているのです。

 原子力安全委員会の「原子炉圧力容器が破損した可能性があり、溶融した燃料と接触した外側の格納容器内の水が直接流出したとの見方」は何が起きたのか意味不明な説明でしたが、ガーディアンのメルトダウン説なら理解できます。今後、炉心溶融で出来た「溶岩」の冷却をどう確保するのか、これ以上の進展は防げるのか、次の手を考えていかないと失敗した初動対応の二の舞になりかねません。

 【追補】毎日新聞が31日未明、《福島第1原発:沸騰水型の構造裏目に》をリリースし「圧力容器は厚さ約16センチの鋼鉄でできているが、底部には制御棒や中性子計測管を貫通させる100本以上の配管がある」「現在、福島第1で発生している高濃度の汚染水や放射性物質は、圧力容器の底から漏れ出したものだと専門家は見る」と指摘しました。必ずしも底が抜けた訳ではないということでしょうが、格納容器の底に溶融した核燃料が落ちて溜まる現象が起きれば、抜け方の大小という差にすぎません。


非常用ディーゼル発電機は落ちて当然だった

 海江田万里経済産業相が電力各社に、緊急時の電源確保など1カ月以内の原発の緊急安全対策実施を指示しました。福島第一原発で13台もあった非常用ディーゼル発電機が大津波ですべてダウンし、今回の惨事に至ったためです。

 肝心の東電からは発電機が落ちた説明が十分されていませんが、時事ドットコムの《非常用電源故障、東海第2原発も=想定引き上げ、功を奏す−冷却ポンプ1台水没》が「11日の地震で東海第2原発は自動停止。外部からの電源供給が途絶え、3台の非常用ディーゼル発電機が起動した。その後、約5メートルの津波が襲来。発電機を冷却するためのポンプ1台が水没し、発電機1台が使えなくなったため、残り2台で電源を供給した」と伝えています。東海原発は想定津波規模の見直しのため改良工事中で、生き残った2台は改良済みでした。

 非常用ディーゼル発電機は大量の熱を出します。その熱を海水に捨てる冷却ポンプが津波に弱い所にあった点が敗因だったと示しています。福島原発の非常用ディーゼル発電機は落ちるべくして落ちたのでした。津波という単一の事象で13台全部が駄目になりました。ロイターの「特別リポート:地に落ちた安全神話─福島原発危機はなぜ起きたか」によると、東電の専門家チームが4年前に、50年以内に想定を超える「9メートル以上の高い波がおよそ1パーセントかそれ以下の確率で押し寄せる可能性がある」との英文レポートを出しているというのにです。1パーセントは無視出来ない数字です。

 実は空冷式の非常用ディーゼル発電機も存在します。《美浜原発 高台に空冷式発電機…関電が増設方針》(読売新聞)が「美浜原発は、最大2メートルの津波を想定して海抜4メートルに海水冷却式の非常用ディーゼル発電機を置いているが、東日本巨大地震級の津波が来ても原子炉が冷やせるよう、高所に空冷式発電機を設けることにした」と報じています。

 13台も設置するならせめて2台でも3台でも空冷式にすればよかったのですが、水冷式よりは高価です。安全にさほどお金を掛けたくなかった電力各社に、これまでその発想は無かったのでした。


公衆の被ばく限度、運用で10〜50倍も切り上げ

 年間1ミリシーベルトと定まっている公衆の被ばく線量限度が、福島原発事故に伴う原子力安全委員会の運用で10〜50倍も切り上げられていることが明らかになりました。先週末、新聞各紙は「国際放射線防護委員会(ICRP)が20倍までの引き上げを検討するよう提案」と伝えましたが、実際には国民にはっきりと説明をすることなく、ずっと上の線量限度が実施されていました。妊婦や乳児について心配無しとは言えない線量限度ですから現状は「棄民状態」であり、自衛策を選べるよう国民に説明すべきです。

 原子力安全委員会が25日に「第19回 原子力安全委員会臨時会議」を開き、文部科学省環境モニタリングの結果に対する原子力安全委員会による評価結果の公表が始まりました。26日公表の「環境モニタリング結果の評価について」で事故後、高い放射線量を記録し続けている福島第一原発北西30キロ、浪江町がどう扱われているのか判明しました。

 170マイクロシーベルト/時を観測した18日には「身体への影響を生じるレベルのものではありませんが、約3日程度で屋内退避に関する指標(10mSvから50mSv範囲)の下限値に達するため、この状況がさらに継続する場合には、屋内退避地域の一部見直しについても検討する必要があると考えられ、文部科学省に対して、積算線量計を設置し、推移を注意深く見守るよう要請」とあります。170マイクロシーベルト/時なら6時間も屋外にいれば1ミリシーベルトの年間公衆許容量を超します。それに言及することなく屋内退避の是非を論じているのですから、許容限度は実質的に「屋内退避に関する指標(10mSvから50mSv範囲)」に移っています。実際に一般国民は規制当局から「危ないので避難してください」と言われない限り動けません。

 この指標は昭和55年6月の安全委決定「原子力施設等の防災対策について」に基づいています。10〜50ミリシーベルトの予測線量があるときは「住民は、自宅等の屋内へ退避すること。その際、窓等を閉め気密性に配慮すること」となっています。

 時事ドットコムの《「健康影響は最小限」=被ばく限度上げで文科省審議会》が伝えるように「東日本大震災で福島原発事故が発生した後、国が緊急作業従事者の被ばく線量限度を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げ」ました。しかし、公衆については正式な線量限度変更はありません。

 職業人と公衆との間に大きな許容限度差を置いている理由は、職業人は放射線量が測定されている区域にいるか個人別線量計を持っているのに対して、公衆の中、ある地点で測定された線量と個々人が浴びる線量に大きなばらつきが存在することが第1点。加えて公衆には妊婦や乳幼児といった放射線に弱い存在が含まれていて安全率を大きく取らねばならないからです。

 緊急事態だからと言って公衆の限度を職業人の近くまで引き上げるのは無謀であり、少なくとも妊婦や乳幼児といった弱者は別扱いを前提にすべきです。「福島市で年間の公衆被曝許容量を超えたのに」で指摘したように既に人口29万人の県庁所在地で2ミリシーベルトの累積放射線量があり、今後もしばらくは放射能漏れは続く見込みです。飯館村のように相当に高い線量まで行った所もあります。国や福島県は従来の放射線についての考え方と現状で運用されている大幅な線量限度拡大の違いをはっきり説明し、弱者には事前疎開を選ばせるなど適切な対処をすべきです。


福島市で年間の公衆被曝許容量を超えたのに

 京大原子炉実験所の今中哲二さんがグラフにしている「福島県内各地方環境放射能測定値のプロット」を見て驚愕しました。福島県災害対策本部のデータから16日以降の線量率は平均10マイクロシーベルト/時と見積もられますから、概算すると福島第一原発の北西にある福島市での累積放射線量は2ミリシーベルトにもなるではありませんか。ICRP(国際放射線防護委員会)が定めた年間の公衆被曝許容量1ミリシーベルトの2倍にもなります。


 マスメディアはどうして大騒ぎをしないのでしょうか。もっと凄まじいのが福島市と原発の中間、40キロ地点にある飯館村の線量です。累積値は福島市の2倍以上は確実でしょう。さらに現在も10マイクロシーベルト/時以上の線量率が継続している訳ですから、3、4日で年間の公衆被曝許容量を浴びてしまいます。人口6千人の村民の半数は既に避難したそうですが、なぜ全面避難の対象にならないのか、不思議でなりません。

 例えば47NEWSの《飯館村でヨウ素117万ベクレル 土壌、直ちに退避不要》は「土壌の放射性物質の量には国の基準値がなく、文科省は『直ちに退避が必要なレベルではないが、長期的な影響については専門家の判断が必要だ』としている」と伝えています。土壌の基準が無いのは想定された事態でないからにすぎず、この修羅場での生ぬるさは論外です。この土の上に住む人間が浴びる線量が計算できるように単位面積あたりの放射性物質量を出させるべきです。飯館村の簡易水道からは水1キロ当たり965ベクレル、国基準値の3倍にもなる放射性ヨウ素を検出、飲用禁止になっています。

 人口29万人の福島市で発生している公衆被曝、もっと酷い飯館村について、マスメディアはきちんとした専門家に取材して、市民はどうすべきか情報をまとめるべきです。国や県に頼りきりはどう見ても不適切です。

 【続報3/28】公衆の被ばく限度、運用で10〜50倍も切り上げ


『もう少しでチェルノブイリ』をグラフで実感(追補)

 福島第一原発の状況はまだ予断を許さない緊迫したものがありますが、環境汚染の現状は『もう少しでチェルノブイリ』とするグラフを京大原子炉実験所の今中哲二さんが「チェルノブイリ事故と福島事故の周辺線量率の比較」で公表されています。チェルノブイリ6日目と福島7日目を比べています。以下はそこから引用すると同時に、30キロ以内のデータとして東電が公表している「福島第一原子力発電所モニタリングカーによる計測状況(3月17日)」で「事務本館北」地点が3600〜4100マイクロシーベルト/時、「正門」地点が646マイクロシーベルト/時とあるので赤い文字でグラフ中に書き込みました。福島30キロ地点の最高値は170マイクロシーベルト/時でした。


 チェルノブイリ事故で6日目、5〜10キロ前後に見られる高汚染地点はまだ福島第一原発敷地外では報告されていませんが、福島7日目の所内で匹敵する高汚染があるのです。文部科学省が報告している30キロ地点の高めの汚染は北西方向です。23日に原子力安全委員会が出した「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の試算について」と照らし合わせると、報告されていない各地の汚染ぶりが想像できます。


 SPEEDIはヨウ素被曝で試算していて意味が判然としなかったのですが、環境汚染地図だと割り切ればよいのです。北西30キロ地点とは浪江町から葛尾村にある飛び地のレベル「4」スポットでしょう。その内側、双葉町、大熊町、富岡町にかけてレベル「3」(2倍)、レベル「2」(10倍)と高い汚染の領域が広がります。上のグラフにプロットされるべき、チェルノブイリでのやや低め汚染に相当する地点がそこにあります。

 放射性物質の放出はまだ続いています。原子炉と使用済み核燃料プールを早く通常の冷却に戻した上で、密閉にかからなければなりません。それが出来るまでに劇的なイベントが起きないよう祈るばかりです。

 【3/25追補】原発近くの詳しい汚染状況を具体的に示すデータが日本からは出ていません。米国が航空機で17〜19日に調べた結果《Radiation Would Have Spurred U.S. Evacuation .》が衝撃的でした。特に北西方向では20キロの範囲を超えて高い汚染があります。汚染地図を引用しておきます。原発から遠い地点で、しかも粗い点でおさえる日本の放射線モニタリング態勢は問題ありです。





福島、女川など3原発、津波高さと対策が判明

 原発に甚大な被害を出した津波の高さがようやく判明しました。福島で14メートル以上、女川で敷地標高14.8メートルぎりぎりだったことが伝えられました。また、東海地震が心配されている中部電力浜岡原発は高さ10メートルの砂丘が頼みでしたが、12メートルの防波壁設置計画が公表されています。

 福島原発について共同通信やNHKのニュースから拾うと「東電は当初、津波の高さは第1原発では10メートル、第2原発では12メートルだったとしていたが、その後、両方とも高さ14メートル程度まで津波の痕跡があるのを確認したという」「想定していた津波の高さは、▽福島第一原発では最大5.7メートル、▽福島第二原発では最大5.2メートル」「福島第一原発の、原子炉がある建物やタービンがある建物は、海抜10メートルから13メートルのところに建てられていて、これらの設備でも一部が浸水する被害が出ました」となります。

 河北新報の《女川、復旧計画立たず 一部設備浸水、点検 東北電力》によると女川原発の敷地は14.8メートルの高さにあり「過去最大の津波を9.1メートルと想定して設計された。潮位計の不具合で実際の高さは不明だが、『敷地まで押し寄せた跡はない』(原子力部)という」「2、3号機では、原子炉建屋内のポンプやモーターを冷やす冷却系に海水が浸入した。うち2号機は熱交換器室の設備も浸水。外部電源の給電で運転に支障はなかったが、非常用発電機3台のうち2台が起動しなかったといい、海水の浸入経路を調べている」といいます。


 上の図は東北電力が出している「女川原子力発電所における津波に対する安全評価と防災対策」から引用しました。敷地ぎりぎりまで津波が迫れば表面は無事でも建屋地下にある海水ポンプ室なども水で満たされ、津波の力で突き上げられる構造であることが分かります。標高が低い福島原発の場合は海水が建屋地下からも噴き上げる状況が考えられ、内部設備にも大きな被害が出ているはずです。

 朝日新聞の《浜岡原発「福島とは対策違う」 中電、新たな津波対策も》は「中電によると、福島第一原発の津波対策は高さ5メートルまで。一方、浜岡原発は海岸との間に高さ10〜15メートルの砂丘があり、この砂丘が津波を防ぐとした。また、非常用ディーゼル発電機の設置場所について、福島第一原発はタービン建屋内だが、浜岡原発は強固な構造で水を通さない原子炉建屋内にあると説明した」と伝えています。「大震災後、中電は砂丘と原子炉建屋の間に、高さ12メートル以上の防波壁を設置する計画を公表。冷却用の海水を取り込むポンプの周囲に防水壁も設けることにした。これまで浜岡原発にはなかった発電機車2台も確保した」

 しかし、住民の不安は強く、説明会では「子どものころに波が砂丘を超えて池ができたことがある」「6、7回津波が起きても砂丘は耐えられるか」「住民をどう退避させればいいか不安が募る」と質問が続き、納得させられる状況にはなかったようです。

 【参照】インターネットで読み解く!「原発」+「地震」関連エントリー


大失態はご破算にして日本の技術力を見せよう

 米スリーマイル島事故を超える規模の原発事故になってしまった東京電力・福島第一原発事故。東北電力の高圧送電線から電気を引いて、20日にはようやく所内電源が復活する見通しです。マスメディアが伝えるトーンは電気を引いても被害にあった装置が動くか分からないと懐疑的ですが、第248回「原発所内の電源回復が大惨事を防ぐには必須」で示している通り、これしか大きな破局を防ぐ方法はありません。

 大津波のために非常用ディーゼル発電機を含めて全ての電源が失われてしまいました。駆けつけた電源車が接続すべき受電設備も海水中に沈んでいました。原発事故の想定事象を予め整理したイベントツリーには全く存在しない状況がいきなりやって来た結果、当事者の東京電力を含め政府側も原子炉の冷却水や使用済み核燃料プールの温度が上がって冷却が出来なくなる事態に、取り敢えず対処する注水や放水をするだけになりました。核燃料が持つ崩壊熱が運転停止から何ヶ月も問題になることを忘れたかのような素人ぶりで大失態を演じ、世界中の晒し者になりました。各国から露骨な不信の声が聞こえるほどです。

 この間の失敗続きで福島第一原発の1〜4号機は原因や場所が違う水素爆発などで、それぞれに違う痛手を負いました。電源が来ても破壊された装置は違いますから、各号機により動いたり動かなかったりするはずです。しかし、復旧の目標が明確に設定された状況こそ、日本の技術力を示すのに最も適した技術状況です。政府、マスコミを含めて余分な口出しで邪魔をすべきではありません。ひとつひとつ機能を回復していく様を期待を込めて見守りましょう。どうにもならない深刻な大惨事が想定されることを論じるのは、その見通しが出た後です。


原発所内の電源回復が大惨事を防ぐには必須

 福島第一原発事故で《被曝の恐怖、余震…真っ暗な建屋で決死の作業》(読売新聞)のような記事があちこちで見られます。事故は発生から何日も経過するのに現場には明かりをとる電源すら無いのです。短期に収拾する望みはなくなり事故対応が長期化することが明確になった現在、大惨事を防ぐためにも「原発所内の電源回復が欠かせない」と指摘しておきます。

 今日の日経新聞社説にある「一連の事故の根本にあるのは、原子炉の冷却能力の不足だ。もとから原発にあった強力な注水装置が津波の被害で動かず、消防ポンプ車などで応急的に原子炉に海水を送って核燃料を冷やしている」事態を解決するには「急がば回れ」です。早くから現地に届いているディーゼル発電装置多数を所内電源に接続して、本来の機能を回復するべきです。

 接続しようとしても「受電設備が水浸しで繋げない」と伝えられています。ネット上で翻訳されている《■「放射性物質の放出は数ヶ月続く可能性」ニューヨーク・タイムズ》に、米国で設計された同じ型の原発を知る技術者のコメントがあり「問題は津波で浸水した地下室にある切り替え設備で電気系統の接続を行わなければならないことにある。『現地に発電機があっても、まず地下から水を汲みださなければならない』」のですが、この緊急時に乗り越え不可能な障害とは思えません。

 電力会社なのですから子会社を含めて即戦力になる電気工事チームはいるはずです。使われている部品もはっきりしていますから、浸水で使えなくなっていても代替品の入手も簡単です。事故対策を指揮している部門が少し長い目の戦術すら考えず、極端な対症療法、「もぐら叩き」を繰り返しているのが現状でしょう。使用済み核燃料プールの冷却といった日常的には容易な管理が欠けて4号機で重大な放射能放出につながっているのを見ても、「急がば回れ」作戦を推奨します。原発を管理する指標がどれほど多いか、少し現場を知っていれば本来機能回復なしに手探りを続ける現状の危うさは自明です。

 原発事故としての重大度は既に米スリーマイル島事故を超え、旧ソ連チェルノブイリ事故に迫ると海外で評価されつつあります。早期に電源車が現場到着しても使えなかったボタンの掛け違えから事態は悪化の一途です。今ならまだ大惨事になるのを食い止められるはずです。


原発事故制御不能に至らせた手順の悪さは最悪

 15日は福島第一原子力発電所2号機の圧力抑制室で爆発、4号機でも使用済み核燃料プールの周辺で水素ガス爆発とみられる火災が起きました。測定される放射線量がマイクロシーベルト毎時の単位から、千倍のミリシーベルト毎時の単位に跳ね上がる有様です。原子炉と周辺装置内の事故制御は不能に陥ったとしてよいでしょう。

 格納容器の上部にある使用済み核燃料プールの冷却が出来ていないために水素ガスが発生した結果のようです。4号機は定検で停止中でしたから、同じ状態の5、6号機にも心配があります。既にプールの水位低下が伝えられています。原発の核燃料は崩壊熱を持っているので停止中でも冷やさねばなりませんから、原発所内の電源喪失を何日も続ける方が「常識外れ」なのです。

 1、2、3号機ともに消防車のポンプを使って無理やり海水注入で冷やしてきたのですが、それが継続できるか危惧されます。電源車は早くから到着しているのですから、早期に原発側の電源で冷却系を動かせるように整備を急がなかった手順の悪さか悔やまれます。

 ネット上で翻訳されている《■「放射性物質の放出は数ヶ月続く可能性」ニューヨーク・タイムズ》に、米国で設計された同じ型の原発を知る技術者のコメントがあり「問題は津波で浸水した地下室にある切り替え設備で電気系統の接続を行わなければならないことにある。『現地に発電機があっても、まず地下から水を汲みださなければならない』とのことだ」と伝えています。津波の海水をかぶった受電施設は確かに面倒ですが、超緊急事態ですから突貫工事でやればこの3日間でどうにかなったのではありませんか。

 【参照】インターネットで読み解く!「原発」+「地震」関連エントリー

 ※注:以上を16日に更新しました。



 =====================以下、15日朝のオリジナル=====================

■『メルトダウン』に至らせた手順の悪さは最悪■

 福島第一原子力発電所2号機の圧力抑制室で爆発があったとの報道を聞けば、部分的な炉心溶融から原子炉を崩壊させる『メルトダウン』に至ったと考えるしかありません。原子炉格納容器の現状を推測すれば、核燃料が溶けだして下図のようになっていると思われます。

 【15日午後6時に追加訂正】その後の進展を見ると4号機からの汚染の方が深刻で、2号機では朝に推測したほど大規模なメルトダウンが起きていないようです。「Blog vs. Media 時評」コメント欄に指摘があるような「水素ガス充満説」の方が妥当かも知れません。なお今回分でも電源喪失の早期回復を怠った問題点指摘は有効だと思います。


 これまで爆発があったのは建屋の上部ですが、今回の圧力抑制室は最も下部に設けられています。炉心で発生した軽い水素ガスは建屋上部に向かいます。下の圧力抑制室に水素ガスがあるためには、核燃料が溶け高温になって圧力容器を破り、格納容器の底をはって圧力抑制室に流れ込むしかありません。

 2号機『メルトダウン』で1、3号機も心配になってきます。消防車のポンプを使って無理やり海水注入で冷やしてきたのですが、それが継続できるか危惧されます。電源車は早くから到着しているのですから、早く原発側の電源で冷却系を動かせるように整備を急がなかった手順の悪さか悔やまれます。

 ネット上で翻訳されている《■「放射性物質の放出は数ヶ月続く可能性」ニューヨーク・タイムズ》に、米国で設計された同じ型の原発を知る技術者のコメントがあり「問題は津波で浸水した地下室にある切り替え設備で電気系統の接続を行わなければならないことにある。『現地に発電機があっても、まず地下から水を汲みださなければならない』とのことだ」と伝えています。津波の海水をかぶった受電施設は確かに面倒ですが、超緊急事態ですから突貫工事でやればこの3日間でどうにかなったのではありませんか。

 【追補】4号機で爆発があり、猛烈な放射能放出が起きています。格納容器の上部にある使用済み核燃料プールの冷却が出来ていないために水素ガスが発生した結果のようです。4号機は定検で停止中でしたから、同じ状態の5、6号機にも心配があります。原発は停止中でも冷やさねばなりませんから、電源喪失を何日も続ける方が「常識外れ」と言われて当然でしょう。


爆発も怖いが、炉心溶融の進行が止まらない

 福島第一原発の3号機で14日、1号機に続いて原子炉建屋の爆発が起きてしまいました。これも確かに怖い事象ですが、海水注入を続けている1、3号機で燃料棒が水面に露出する状況が解消できません。核燃料の崩壊熱を水で吸収できないと、炉心溶融の進行が止まらないのです。14日午後には2号機まで自前で冷却する機能を喪失、1、3号機に続いて海水注入を始めてしまいました。2号機の燃料棒は一時、完全に露出したと伝えられました。

 日経新聞が14日朝の《福島第1原発3号機、水位が上昇》で3号機では「午前9時5分には水位が上昇し、露出している長さは1.5メートルになった」「1号機については午前9時5分に1.8メートル露出しており、前日から大きく変化していない」と報じています。


 海水を注入しても水位が上がりにくいのは、圧力があって入らないか、どこかに漏れているかです。上の図は「New photos of reactor building partial collapse」から引用した沸騰水型原子炉格納容器の断面図です。中心にあるのが原子炉圧力容器で、ここに注水していますが、ご覧の通り外に漏れても格納容器には膨大な空き空間があるので圧力容器の外側から水で一杯になることはあり得ません。燃料の溶融で水素ガスが発生して注水を妨げる要因があり、大規模なメルトダウンに至らないよう注水作業を見守るばかりです。

 【参照】インターネットで読み解く!「原発」+「地震」関連エントリー


福島第一原発3号機も炉心溶融、後手の連続

 福島第一原発では12日の1号機に続いて、13日に入り3号機でも炉心溶融が起きたとみられます。東京電力が後手に回っている様について《給水能力不全、弁開き圧力逃がす 福島第一原発3号機》(朝日新聞)は「11日の地震で外部からの送電や非常用発電機が止まり、緊急炉心冷却装置が動かせない状態が続いた。3号機では別の装置を使い、原子炉内に残った余熱を冷却水で冷やしていたが、給水の仕組みが止まった。装置のバッテリーが切れたとみられる」と伝えています。電池はいずれ切れて当然です。


 上は敷地境界で観測された最大放射線量の推移です。原子力安全・保安院が出している緊急情報のデータです。1号機は12日午前中から炉心溶融に入っていたとみられ、午後2時40分の蒸気放出後、3時29分に1015マイクロシーベルト毎時の高い放射線量を記録しました。3号機は13日午前5時10分に注水機能が喪失、格納容器内の圧力が高まったために午前8時に蒸気放出に入りました。直後の8時20分に882マイクロシーベルト毎時を記録していますから、1号機と同じパターンです。制限値は「500」です。

 現場の電源が回復していない現状では1号機と同様に海水を注入して、部分的な炉心溶融が全面的な炉心崩壊に進むことを防ぐしかないでしょう。福島第二原発を含めて完全停止に至っていない原子炉で、今後同じ心配があります。

 【追補】テレビ朝日の《【地震】3号機冷却のため海水を注入 福島第一原発(03/13 15:37)》は「3号機について、13日午後1時過ぎから海水を注入し始めた」「午前9時25分から、中性子を吸収する性質を持ち、核分裂反応を抑えるホウ酸水を含んだ水を注入しました。こうした作業の結果、原子炉の水位は午前11時に燃料頭頂部からマイナス1メートル30センチ下だったのが、午前11時30分にはプラス2メートル10センチ上に上昇しました。しかし、その後、必要な水量が不足したため、午後1時12分から海水を注入し始め、福島県に報告した」と伝えています。老朽化していた1号機ばかりでなく3号機まで事実上、廃炉にする決断になったのですから、東電は追い込まれています。

 【参照】インターネットで読み解く!「原発」+「地震」関連エントリー


福島第一原発は既に大きく壊れている可能性(追補あり)

 東日本巨大地震による福島第一原発をめぐる昨夜来のニュースで、原子炉格納容器の圧力を下げないと破裂する恐れがあるとされて午後3時半に外気に逃す弁が開けられましたが、原子力安全・保安院が出している緊急情報を時系列で整理すると、既にこの原発は大きく壊れていると考えるべきです。炉心溶融がさらに進むことも心配ですが、原発にとって欠かせない周辺環境と核燃料の隔離機能が大幅に損なわれています。これは問題の弁開放をする前に起きていることです。原発正門付近での放射線量推移グラフを見てください。


 12日午前4時に0.07マイクロシーベルト毎時だった線量は4時半に0.59、7時40分には5.1、11時には6.7にも達しました。通常の値は0.05にも足りないようなので、周辺環境は百倍以上の放射線量になっています。また、中央制御室では通常の1000倍、150マイクロシーベルト毎時と伝えられていますから、敷地境界の正門で22倍しか薄められていない訳です。これは「だだ漏れ」と表現して良いレベルです。放射線管理区域のバリアが破られている上に、内部に桁違いの大放射能暴露がある証拠です。

 放射性ヨウ素が見つかっているとの報道がありますから、炉心溶融が起きて間違いなく核燃料の被覆管が損傷しています。《東電「燃料棒、半分露出」 水位低下で》(日経新聞)は「午前9時に燃料の上部50センチメートルが露出していたのが、10時30分には90センチメートル、午後1時には1.5メートルに拡大。午後3時28分には1.7メートルになった。燃料の長さは4メートルで全体のほぼ半分が露出したことになる」と伝えました。しかも、沸騰水型の原発では冷却水の上部は水と泡が混じった状態ですから冷却は十分でなく、水位がマイナスになる以前から核燃料の溶融が始まっている可能性があります。上のグラフはその溶融進行ぶりを示していると思います。

 【12日18時追補】NHKニュースが「福島県によりますと、福島第一原子力発電所の敷地の境界では放射線が観測され、その値は、1時間に1015マイクロシーベルトになったということです。この値は、一般の公衆が1年間に浴びる放射線の限度量を僅か1時間で受ける量に当たり、また国が法律に基づいて電力会社に緊急事態の通報を義務づけている基準の2倍ほどの放射線の強さだということです」と伝えました。驚くほど高い放射能汚染です。

 【12日21時追補】朝日新聞が「東京電力は12日午後8時20分、福島第一原子力発電所1号機の圧力容器を冷却するため、容器内に海水を入れる作業を始めた。海水を入れると設備の復旧が難しくなるが、炉心溶融の可能性も否定できないため、安全性を優先することにした。小森明生常務は同日夜の記者会見で「電源が十分ない中で、そういう手段を考えた。(原子炉に)ダメージがあるのは重々承知している」と述べた」とネットで報道。廃炉にする決断です。


中国の原発、無謀とも見える大増設は大丈夫か

 中国の全国人民代表大会代表(全人代)は今月、4年前の計画に比べ倍増になる原発大増設を打ち出しました。今日の朝日新聞「中国原発、10年で60基増」がその細部を伝えています。《原子力発電:2020年に設備容量8000万キロワットに》(朝日新聞)が全人代ニュースでした。2007年の《原子力発電、2020年までに現在の2.4倍規模に》(サーチナ)の目標が4000万キロワットにすぎなかった点を比較してください。いま稼働している原発は11基、1700万キロワットです。

 今日の朝日新聞記事は国有企業幹部とのインタビューで出来ています。向こう10年にわたって毎年6基ずつ増設する計画で「2020年には70基余りが稼働し、日本を上回る」「2年余り準備し、建設を始めれば5年以内に商業運転に入れる。日本のような地元の抵抗はない」石炭火力に比べてクリーンと思われているし「雇用や税収で地元も潤う」。急速な大量建設を心配する記者の質問には「20年来の安全運転をしてきた実績がある。安心してほしい」

 安全対策がそれほど万全と思えない証拠が中国側から提供されています。3月9日「人民網日本語版」の《中国、原発プラント運転訓練シミュレータの開発に成功》は「2010年12月18日、中国が初めて自主開発・設計した100万キロワット級原子力発電所の運転訓練シミュレータが福建省の寧徳原子力発電所に導入。原子力発電の設計の自主革新力や重要設備の国産化率が高まり、原子力発電の運転員育成に重要な役割を果たした」と報じています。「海外の技術独占状態を打破し、中国の原子力発電建設の大発展に確かな保証を提供する」との切り口なのですが、あまりに遅すぎませんか。

 海外から導入した技術を次々に国産化していく中国ですからプラントの改変部分が多々あるはずです。運転には適切なシミュレータを持たないと怖くて見ていられない印象です。それに報道管制の厳しさは知られた通りで、内部で何があったのか伝わらぬ不安がつきまといます。


 中国のどこに原発が建てられるのか、「中国の原子力発電所立地」から地図を縮小して上に引用しています。稼働、建設中のサイトは沿岸部ですが、内陸にも多数計画されています。地震とのかねあいはどうなのか、検討する資料を持ちませんが、過去に地震が無かった場所に建設する方針が必ずしも正しくなかったことは日本国内で証明済みです。そこには解消されていない地下の歪みエネルギーが溜まっているのかも知れないのです。国有企業幹部は大きな被害があった新潟・柏崎刈羽原発を昨年見学し「地震について学んだ。良い機会だった」と言っていますが……。

 【参照】インターネットで読み解く!「原発」+「地震」関連エントリー「中国」関連エントリー


高速炉もんじゅ落下装置の引き抜きは困難(改)

 (6/10お知らせ:この問題を検討した最新記事は「高速炉もんじゅ落下装置引き上げに工学的無理」です)

 福島原発事故の直前に書いた「高速炉もんじゅ落下装置の引き抜きは困難」の考え方に問題があったので改訂版に差し替えます。引き抜きの困難さをもたらすポイントが、「もんじゅ」建設時と比べて現在、炉内は200度以上も高温になっている点であることは変わりません。(2011/5/10)

 重量3.3トンもあって落下した炉内中継装置が抜けなくなっている対策として、抜くと食い込んでしまうスリーブごと外してしまうのが日本原子力研究開発機構の目指す解決法です。スリーブは原子炉の上蓋「しゃへいプラグ」(厚さ3.695メートル)に組み込まれていて、もし建設時と全く同じ条件下ならば抜くのは造作もないことでしょう。下に、状況を考えやすくするための概念図を用意しました。



 燃料孔スリーブは外径640ミリ、内径465ミリの筒状。空気と触れると激しく反応する金属ナトリウムを守るために、原子炉内はアルゴンガスで満たされており、このスリーブの機能は外気遮断ですから高精度に、すき間が極めて小さくなるよう仕上げられたはずです。また、直径500ミリ前後の円柱や円形の穴は機械加工技術上、とても精度が出しやすいゾーンです。

 建設時と違うのは上蓋やスリーブの上部が室温であるのに、下部は液体ナトリウムから放射される高温で200度以上になっている点です。温度勾配のデータは不詳ですが、途中段差のところでも100度の温度差があるとみてよいでしょう。鉄は1メートルの材料が100度上がると1.2ミリくらい熱膨張します。スリーブは下部ほど熱膨張の度合いが大きくて、円錐形のようになります。はまっている上蓋の穴も同様に円錐状に変形しますから、上に行くほど狭まります。スリーブを上に引き上げようとすると、途中で上蓋の穴とぶつかってしまう可能性が高いと考えます。スリーブは下部がナトリウムに浸かっている炉内中継装置を抱いたままですから、高温熱源を持って上がっていきます。

 引き上げをさらに難しくするのが、上蓋とスリーブのすき間に入って付着しているナトリウムです。反応性が高いナトリウム蒸気として潜り込み、金属表面の酸化膜を侵してナトリウム化合物を形成していると考えられます。「発明の名称 高速増殖炉用制御棒駆動機構」で「制御棒駆動機構においては、燃料棒を交換するために炉心上部機構を保管庫に保管時、上部案内管と延長管の間に残ったナトリウムが化合物となり、これが蓄積・固着する可能性があるため、再び炉心上部機構を炉上部に取付け制御棒を駆動する場合に延長管の動作に支障を来し、制御棒駆動に不具合を起こす課題がある」と指摘される化合物です。

 こうした化合物は400度、500度の運転温度に上げれば溶けてしまいしますが、今回の引き上げでは温度が低く、固着物として存在、狭いすき間を狭めているとみるべきでしょう。河野太郎さんは「もんじゅは今、どうなっているか」で「もんじゅの原子炉内には液体ナトリウムがあり、それが気化したものがさやの壁面に蒸着していることが予測され、引き抜きに必要な力はかなり大きくなると思われます」「このスリーブは、抜くことを想定しておらず、これまで抜いたこともありません。構造上は、抜くことは可能です」と書いていらっしゃるのですが、これまで論じてきた観点からは6月にも実施される引き抜きはやはり困難であると思います。

 注:《考え方の変更》以前のエントリーでは上蓋「しゃへいプラグ」は原子炉構造物の一部として周囲から拘束されていると思っていましたが、福島原発騒ぎで色々と図面を見るうちに、熱膨張に関してはフリーな自然膨張をすると改めました。

 【参照】高速炉もんじゅ関連エントリー


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┃ 2011/3/7リリース当初の記事

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 高速増殖炉もんじゅ(福井・敦賀)で落下した炉内中継装置の引き抜きは、詰まっている燃料孔スリーブごと抜けばよいとする日本原子力研究開発機構の解決法では困難と考えられます。最大の理由は20年前に筒状のスリーブを原子炉の厚い蓋に組み込んだ時より、200度くらい温度が高まっているからです。組み込んだ際のすき間は現在は存在せず、熱膨張で蓋とスリーブはがっちりかみ合っている可能性が高いと思われます。工学的常識として引き抜きにかかる前に模擬装置で抜けるのか実験しておかねばならず、引き抜き費用で後からこっそり公表された「落下した装置の状態を観察する」3億7千万円がそれに該当するのではないでしょうか。


 燃料孔スリーブは外径640ミリ、内径465ミリの筒状で、厚さ3.695メートルの蓋の中に埋まっています。上の図では「燃料出入孔スリーブ」と表記されており下部は一段細くなっています。直径が50センチ程度の円筒と穴の組み合わせは切削加工の上で精度が出しやすい大きさです。お金に糸目を付けない一品生産の『もんじゅ』ですから非常に高精度に仕上げたはずで、特に原子炉内のアルゴンガスを封じねばならない下部ならすき間が0.5ミリもあるとは考えられません。

 鉄は1メートルの材料が100度上がると1.2ミリくらい熱膨張します。冷却材の金属ナトリウム温度は原子炉入口で397℃、原子炉出口で529℃となっていますが、これは本格出力運転の仕様で現在のように温態停止中は2百数十度です。それでもスリーブを組み込んだ室温よりも200度は高いでしょう。温度が上がると円筒形のスリーブは外に膨らみ、広大な蓋に彫り込まれた穴は内側に縮みますから、当初に存在したすき間はなくなります。経年変化を起こすシール剤などを使えない『もんじゅ』の場合はむしろ好都合で、予想される温度上昇ですき間を無くすように設計するべきなのです。

 ところで、小さな金属板でも鏡面仕上げをしてくっつけると接着剤がなくても接合してしまう現象が見られます。金属原子が境界面から互いに拡散、浸透して分離不能になるのです。20年間、熱膨張で圧着されてきた、高精度加工のスリーブと蓋の間に同様の現象が起きる条件が整っている感じがします。もしあれば非常な障害になります。

 引き抜くためにせめて温度を室温に戻したいところですが、金属ナトリウムを固まらせる訳にはいきません。核燃料を取り出しておければナトリウムは抜けますが、八方塞がりぶりは昨年10月に書いた第224回「高速炉もんじゅに出た『生殺し』死亡宣告」の段階に戻ります。

 旧ソ連チェルノブイリ原発のような『永遠のお荷物』にしないための方策を真剣に考えるべきでしょう。運転はもちろん、廃炉にもできないならナトリウムを無為に加熱するだけでも膨大な電気料金を支払い続けねばなりません。既に不幸な出来事が起きてしまいました。


入試カンニング:メディアも大学も踏み外し過ぎ

 京大などで入試の際に携帯電話を使ってネットの質問サイトに書き込みをし、カンニングで正解を得ていた事件は仙台の予備校生逮捕に至りました。一報があったのは週末のニュースが薄い日でしたから、新聞朝刊の1面トップ扱いも「場合によっては、ありかな」と思っていましたが、連日のように1面を使うクレージーさに怒りを覚えています。ニュースをネットだけでしか見ない人には分かりませんが、紙の新聞は1枚の紙面の中でもニュース価値の大小を表現しますし、紙面が30ページ、40ページと連なった新聞全体としても価値を表現する機能を持ちます。長年培ってきた新聞読者とのお約束を考えれば、この事件での容疑者逮捕は1面モノではありません。

 「茂木健一郎 クオリア日記」《京都大学等におけるカンニング事件について》の「京都大学が被害届けを出し、『偽計業務妨害罪』でカンニングをした学生が逮捕されるに至ったことに、強い違和感を覚えるものである」「今回の受験生が、その手法の『目新しさ』ゆえに『警察沙汰』になってしまったとすれば、他の事例と比較しての公平性の点からも、はなはだ疑問だと言わざるを得ない」、あるいは「Matimulog」《news:カンニングで逮捕は行き過ぎだ》の「世間が、マスメディアもこぞって、ものすごく悪質な行為をしたかのように騒ぎ、ネットの闇がまたまた現れましたみたいにはしゃいでいるのは、全く見るに堪えない。手口がわかってしまえば単なる出来の悪いカンニングに過ぎず、これからは通信機器にいっそう注意しましょうというだけのことだ」のような批判的視点で書かれた記事ならともかく、大上段に1面トップで断罪する中身ではありません。

 「大石英司の代替空港」は《司法コスト》で大学側が被害届を出したことに捜査当局を頼らなければならぬ事情をくみつつも「素朴な疑問として、じゃあ普段の学内の試験は、ノートの貸し借りはもちろんそこそこカンニングもできるだろうに、そっちはせいぜい停学処分で済んで、こっちはいきなり国を挙げての晒し者にして良いのか? な疑問は残るわけです」と、出発点での疑問を提起します。教育者として取るべき行動だったのか、熟慮があったとは思えません。マスメディアに煽られて重大犯罪並にしてしまったのではありませんか。

 「ガ島通信」は《京大の入試問題漏洩の背景がネットの闇と若者の劣化という筋書きに絶句する》でメディアの取材を受けて断ったこと、さらに取材してきた記者に指摘した問題点を書いています。「一つはそもそもネットのせいではなく大学側の問題ではないのかということ、もう一つはカンニングを事件化したことの今後の影響について考えてほしいという事です」「もうひとつは警察の権限の拡大への危険性です。カンニングを警察問題にしてしまったおかげでカンニングで逮捕という実績ができてしまいました」「スムーズな業務を妨害すると罪になるという幅広い適用にしていくと、通常の期末試験でカンニングを後からツイッターで告白して、関係者が確認などに煩雑な業務を行った場合でも逮捕可能ということがあり得ます」

 この事件で1面トップを何度も使うほどに、国内情勢は問題もなく平穏に推移しているのでしょうか。ジャーナリズムを標榜している新聞社をはじめテレビも含めマスメディアの幹部には猛省を求めます。

 【参照】インターネットで読み解く!マスメディア関連エントリー


[AV事情]家庭内LANでビデオ視聴、文字通り輪(和)に

 最後にS-VHSデッキを買ってから何年経つでしょうか、久しぶりにビデオレコーダが我が家にやってきました。ブルーレイディスクに録画できるパナソニック機で、家庭内LANを使って家族が自室のパソコンから録画指示を出せて録画済み番組の視聴も出来てしまい、テレビに触れる必要がありません。これが今回の「目玉」機能です。チャンネル権の争いもなくなります。携帯機器への録画番組持ち出しも可能ですが、それほどは使わないでしょう。

 東芝レグザのテレビ直結ハードディスク録画なら最も機械音痴の妻でも使いこなせたので、しばらくテレビ録画は任せていました。1年前の第198回「デジタル放送録画規制は最悪、呪縛脱し思う」にあるようにアイ・オー・データのLANハードディスクを接続してデジタル放送規制の縛りを抜け、今度のビデオレコーダに移すとブルーレイに保存できる「輪(和)」が完成しました。もうひとつ、妻用にブルーレイプレーヤが必要そうです。

 この輪に大容量のハードディスクが家族の共有機器として繋げるので、DVDソフトなどはここに置くつもりです。家族間でパッケージソフトをやり取りしていると誰が持っているのか分からなくなりますし、棚に行って選ぶよりも簡単になります。

 メインで使っているデスクトップパソコンが壊れたので、並行してそちらの手当ても進行中です。昨夏の酷暑時に無理をしてパソコンの寿命を損なった反省があるので、水冷CPUクーラー(¥7980)を付けています。近く3Dソフトの視聴も出来るようにする計画で、ブルーレイドライブも最新型に代えました。これに付いてきた「PowerDVD 10」が、通常のDVDビデオをフルハイビジョン画面に耐えるように高精細化する機能にちょっとびっくりしました。


 上は映画「ミクロコスモス」の一場面です。左半分がオリジナルで、右半分は高精細化されています。東芝レグザにも超解像処理がありましたが、初期のもので大した効果はありませんでした。最新の処理は細かな質感まで伝えていて、かなり効いています。フィルムで撮っているよりビデオカメラで撮った感じになる副作用もありますが、ビデオ映像処理技術の進歩は目覚ましいと思います。現在、2D画面の3D化処理はDVDビデオにしかできませんが、年内にブルーレイビデオにまで広がります。それに耐えるようにマシンパワーを増強してあります。


2011年2月のエントリー一覧

2/26 『もんじゅ』課長自殺周辺の不審な巨額費用
2/24 自民党組み替え予算案は政権奪取資格無し証明
2/22 リビアはエジプトとは違う部族社会で軍は貧弱
2/20 中国式反政府デモ封じ込めが効くか注目モノに
2/16 若者はセックスまで避けだしているのか
2/13 エジプト人は軍部=性善説。未来は大丈夫か
2/11 北京で2月に初雪。大干ばつを象徴、地下水に危機
2/10 『iPad新聞』の大欠陥:存在証明はテレビ以下
2/06 中東に見る権力の倒し方:無血革命では困難
2/03 トヨタマーケティングの敗北:SNSアプリ公募