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『もんじゅ』課長自殺周辺の不審な巨額費用

 高速増殖炉『もんじゅ』(福井県敦賀市)で原子炉容器内に落下した燃料交換用の炉内中継装置を担当していた燃料環境課長(57)が自殺していたことが今週、伝えられました。自殺の理由について日本原子力研究開発機構は何の説明もしていませんが、前後して報道された事項を並べると不審な巨額費用が目に付き、ありがちな鬱病症状からの自殺とは思えません。何かが隠されていて、それが自殺の引き金になっている可能性があります。

 毎日新聞の《もんじゅ:現場課長自殺 “要”失い無念 「影響出ないように」》は「もんじゅの燃料取り扱いは、ナトリウムと空気が触れないようにするため、軽水炉よりも装置の構造や動作が複雑になる。このため今回落下した炉内中継装置のように、もんじゅ特有の機器も多い。課長は燃料の取扱設備についての特許もあり、この分野に長年一貫して携わってきた“スペシャリスト”だった」と報じています。本来、この現場に欠くことができない人物だったようです。

 自殺があった13日前後の出来事を整理しましょう。変形して炉内から抜けなくなった炉内中継装置を、原子炉蓋の一部ごと引き抜く復旧作業を請け負うことになった東芝と契約したのが10日です。14日にはその記者発表が予定されていました。旧動燃の時代から第130回「もんじゅ判決は安全審査を弾劾した◆手続きの公正さ、技術レベルへ疑念」を参照していただけば判るように、『もんじゅ』では自前の設計などせず、完全に業者「丸投げ」で仕事をしてきました。契約が終わって課長の肩の荷は下りたはずでした。ところが日曜日の13日に家族に「ちょっと出てくる」と言い残して課長は外出し、山中で自殺したのでした。

 14日に発表されたのは《もんじゅ復旧に13億8千万円 装置落下事故》(福井新聞)でした。「原子力機構によると、変形して使えなくなった装置を新造するのに約4億4千万円、装置回収に使う器具の製造などに約9億4千万円が必要で、いずれも東芝と契約を結んだ」

 そして15日になると朝日新聞が《もんじゅ装置落下、復旧に17億円》と大きく違う金額の記事を書きました。「落下した装置の状態を観察する3億7千万円の作業を同社と随意契約したほか、計9億4千万円に達する装置本体の引き抜きと復旧作業も随意契約で発注した。4億4千万円かかる新しい炉内中継装置の製作は一般競争入札にしようとしたが、同社しか応札しなかった」

 「落下した装置の状態を観察する3億7千万円」はなぜか当初の記者発表から隠されていたようです。そして、穴から抜けなくなっている炉内中継装置を詰まっている穴周りの大型金属リングごと引き上げるために、こんなに巨額の事前観察費用が必要でしょうか。既に1月18日には「炉内中継装置のこれまでの状況及び今後の進め方」が公表されて、詳細な観察結果は表に出ています。

 撤去作業の妥当性を助言する検討委員会の第1回は1月18日、第2回は2月24日でした。下の工程図では「落下状況等の調査・分析」はもう終わりに近づいていますし、実務作業は始まっています。どこで3億7千万円も使う場面があるのでしょうか。



 これだけ大きなお金は人件費では使い切れず、かなりの装置を作ることが前提でしょう。本当は別な事柄をするための隠れ蓑になっている可能性があります。ここに隠された重大問題があって、自殺した課長の心労になっていたストーリーなら理解できます。

 【参照】インターネットで読み解く!『もんじゅ』関連エントリー


自民党組み替え予算案は政権奪取資格無し証明

 国会で実質的な予算審議が進まない中で、自民党が2011年度予算の組み替え動議案を作りました。民主党が政権を取ってから始めた主要施策をあらかた削除、増やすのは公共事業と企業減税という内容です。2年前の総選挙で敗れる前の自民政権下に戻すだけ――と酷評して差し支えないと思います。政権を取って何をするのか、どんな美辞麗句よりはっきりしているのがお金の裏付けがある国家予算です。それが新たな未来を描くのではなく、行き詰まっていた過去に戻すことでしかないとすれば、自民党に再び政権を奪取する資格は無いと断言できます。自民党はこの構図で解散・総選挙に持ち込んで、勝てると考えているのでしょうか。

 《一般会計89兆円規模に圧縮 自民、予算組み替え案》(47news)はこう伝えました。「子ども手当廃止などで5兆3100億円の財源を捻出。赤字国債を1兆8千億円分減らし、2兆2500億円を公共事業費や企業減税に充てる」「子ども手当のほか、農家への戸別所得補償や高校無償化、高速道路料金無料化をやめることで2兆6800億円、公務員人件費の削減で1兆5千億円、地方への一括交付金の見直しなどを通じ捻出する」「公共事業は地方中心に1兆4100億円増額。企業に対し、研究開発税制や減価償却制度の見直しで4300億円の実質的な減税措置を講じる。児童手当と保育所の拡充にそれぞれ1千億円、防衛費増に200億円を計上」「赤字国債を含む新規国債発行額は、44兆2900億円から42兆4900億円に縮小」

 予算の提出権は政府にしかないので、野党からは予算組み替え動議になります。与党には予算関連法案の成立が難しい膠着状態を打開するために、野党案を丸飲みするしかないとの動きまで出ていますから、「そうはさせない」と意地悪な対案を作ったのが本音でしょう。しかし、この修羅場に来て、自民党が政権を失ってから政権復帰のための本格的な政策づくりをサボってきたことが証明されてしまいました。愚かなマスメディアとタッグを組んで、「政治とカネ」の問題にひたすらのめり込んできたツケを払わねばならなくなったのです。

 政権交代を機に国会を中心にした政策論争に移行すべきなのに、無為に時を失ってきた日本の政治です。年初の「『新政権を育てるのに失敗』年賀状での心配事」で「政権交代で待望された国家戦略の転換をアシストする役割が国内の既成メディアには見えなかったと評するしかありません。年金・医療など社会保障、農業と貿易の問題、内需拡大と成長戦略といった緊急を要する大きな政策課題に成果を上げさせねば、政権交代の意味そのものを失わせ、長く尾を引く後遺症になると心配します」と書きました。混迷している民主党政権へ政治の世界が用意できる対案が自民党組み替え予算案でしかないとすれば、我々はこの2年、何をしてきたのでしょう。


リビアはエジプトとは違う部族社会で軍は貧弱

 自国の首都で反政府デモをする大衆に空から無差別に機銃掃射をしたリビアの独裁者――あまりのことに言葉を失います。アルジャジーラの《実況ブログ22日》(英語版)は、エジプト側から入国したCNN記者が「リビア側には入国管理や税関の役人もいなかった」と報告、既に政権が崩壊しつつある様を伝えています。死傷者多数の話も出てきますが、混乱、混沌のひどさが感じられるばかりで、全容はつかめません。エジプトのような都市型社会ではなく、外国特派員もいません。そして、昔ながらの部族社会だそうです。

 東京外語大の翻訳《コラム:リビア、懸念すべきシナリオ》2月20日付 al-Quds al-Arabi紙は注目すべき指摘をしています。「エジプト、チュニジアと異なり、リビアには強力な軍隊が存在しない。リビア指導者は軍を恐れていた。信頼せず自身の体制への脅威とみなしていたため、『武装部隊』という名称のものを代わりにおき軍を解散させた」「リビアに軍組織が残っていないとは言えないが、脆弱でその権限は疑わしく、情勢を決する大役を演じることはない。リビア指導者が、その子息や彼の属する部族メンバーが率いる民兵組織や私設治安部隊を強化しようとしているのはこのためである」

 軍の将校団が反旗を翻したとの報道があっても、大きな流れにはなりにくいのでしょう。当初、デモ鎮圧に出た部隊に外国人傭兵がいたとのニュースに違和感がありましたが、こういう事情のようです。部族の対立が表に出れば、国家分裂の危機すら考えられるようです。

 al-Quds al-Arabi紙は「現状でリビアには三つの選択肢がある」としています。「1:政権が去ってダメージを最小にとどめる。1969年軍事革命に直面したイドリース・アッサンヌーシー国王がしたように。同王は、在位中の資産全てを新政権に残しナセル体制下のカイロへ向かった。2:リビアを二、三の国に分割し、現体制はその一つとして残る。3:蜂起が全土にいたり、元首とその親族に脱出を迫る」

 豊富な石油資源のおかげで一人当たりの名目GDPは9500ドルとエジプトの3倍以上あるリビアですが、人口は633万人しかなく、雇用者数や失業率のデータが見あたらず相当に遅れた社会のようです。(リビア統計データ


中国式反政府デモ封じ込めが効くか注目モノに

  • 2011.02.20 Sunday
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 中東諸国で独裁者を退陣に追い込んだ大衆による反政府デモを、中国政府は本気でコントロールしようとしています。それに対して20日には一党独裁終結などを求める中国版「ジャスミン革命」集会が全国の主要都市で呼び掛けられて、実際に逮捕者が出たと報じられました。中国式封じ込めが本当に効くのか注目ですし、当局との対峙は当然ながら長期戦になるでしょう。

 読売新聞の《胡総書記「ネット管理強めよ」中東デモに危機感》が「中国の胡錦濤・共産党総書記は19日、北京の中央党校で開かれた会議で社会の管理に関する重要演説を行い、『情報、ネットの管理を強化し、仮想社会に対する管理の水準を高め、ネット世論を指導するメカニズムを整えよ』と指示した」と伝えました。党最高指導部の政治局常務委員が全員出席していた会議ですから、半端ではありません。

 たまたま中国に出張しているブログ関係者が天津の20日の様子を実況速報してくれています。《<中国ジャスミン革命>天津よりツイッター実況=壮大な釣り?変革の兆し?》(KINBRICKS NOW)はこうです。「参加者らしき人もほとんどいないし、何も起きないかと思ったところで事件。40代前後の男二人が大きな紙の横断幕を広げ演説をしようとするも、やってきた警官、私服にあっという間に取り押さえられる。そしてわさわさわく私服と野次馬。野次馬のうちどれほどがジャスミン見物かわからないが」「写真を撮ったおいらも警官に怒られ、写真消される。パスポートなければもっと大変だったかも……とほほ」

 朝日新聞の《上海で大学生3人を当局が連行 デモ呼びかけを封じ込め》は「上海市の中心部の繁華街で20日午後2時(日本時間同3時)すぎ、民主化を求めるデモの呼びかけに応じて集まっていた地元の男子大学生数人が警察に連行された」「北京でも、デモが呼びかけられた中心部の繁華街に厳重な警備が敷かれ、少なくとも男性2人が連行された」と伝えており、各地で連動した動きがあったのは間違いありません。

 真偽は不明ですが、デモ・集会参加者に共産党内の「一党内人士」からあったアドバイスを日本語訳した「党内人士?中国茉莉花革命集会的建?(日本語訳)」というページも面白いと思います。「党内の人間は自身の退路を確保し、独裁政権に魂を売るのをやめてほしい。一党独裁の弊害は限界に来ており、人々が主権もち、人々の意見が政府に通じ、司法が独立し、汚職の摘発、公平と公正などの諸々のことを実現していくのは、まったく不可能になっている。さらには私のような古い党員も、一党独裁に失望している。誰が共産党が覆らないと保証できるだろうか?」

 しかし、デモ・集会の呼びかけを伝えた米国サイトにはサイバー攻撃です。《中国反体制派系サイトに攻撃=「革命」集会呼び掛けの詳報後》(時事通信)にはこうあります。「米国の中国反体制派系ニュースサイト・博訊新聞網がハッカー攻撃を受け、閉鎖に追い込まれた。インターネット上では『中国当局が攻撃を仕掛けた』との見方も出ている」「20日付の香港紙リンゴ日報によると、同サイトの責任者は『19日未明から激しい攻撃を受け、アクセスできなくなった』と説明した。その後、臨時サイトを開設して、『ジャスミン革命』集会関係の情報を発信している」

 尖閣列島問題に絡んで発生した反日デモが反政府色を帯びて、中国政府の目の色が変わりました。今度のように真っ正面から一党独裁反対では飛び上がってしまうのも当然です。
 【参照】インターネットで読み解く!「中国」関連エントリー

 【2/22追補】朝日新聞は《中国、中東デモの報道規制 一党独裁と「関連づけるな」》で「文書では、長期独裁政権を続けてきたエジプトやチュニジアの政治体制と、中国の共産党独裁を結びつけるような報道を禁止。双方の指導者の名前を並べるような記事も禁じた。記事で一連のデモの原因が民主化要求や物価上昇への不満であることに触れたり、『革命』という言葉を使ったりしないようにも指示されているという」と報じました。報道の規制とともにネット上のエジプト関連の書き込みも20日以降、完全に削除されています。


若者はセックスまで避けだしているのか

 お酒は飲まない、車は買わない――最近の若者に対して言われる風潮に「セックスも避ける」が加わりそうです。日経メディカル「日本では主な性感染症の報告数が減少傾向に」で性感染症(STD)と人工妊娠中絶がこの十年来急減しているとする、とても気になるグラフを見たので以下に引用します。


 「京都大健康医学系社会疫学教授の木原正博氏らが厚生労働省が定点観測している性感染症のデータを基に解析したところ、例えば2008年の淋菌の報告数は、ピークである2002年に比べて半減。性器クラミジアも、約30%減少している」「日本の若年層の性行動自体は米国の若年層に比べると無防備ではあるが、性経験率が減少しており、その影響が大きいのではないか」と見られています。人工妊娠中絶のピークは2000年前後にあり、2009年は3、4割減っている感じです。そして「先進国の中で、日本以外にSTDが減少している国はまずない」のだそうです。

 性感染症と妊娠中絶の減少傾向がここまで一致している以上、日本の若者には他の先進国にはないセックス回避指向が出現したと考えるべきでしょう。年齢が低いハイティーンで最も顕著ではあるものの、若年層に非正規雇用が急速に広がった経済的不安定事情が背景にあるはずです。昨年のエントリーなら「生涯未婚率急増への注目と日米・貧困で非婚化」第233回「30代の『家離れせず・出来ず』は相当に深刻」が該当します。

 しかし、米国や欧州でも貧困や就職難の問題は多かれ少なかれ共通にあると思いますから、日本の性感染症の発生状況が欧米とここまで違う理由を説明できるファクターは何なのでしょうか。最近になって流行の「男子の草食化傾向」あたりでは弱いでしょう。


エジプト人は軍部=性善説。未来は大丈夫か

 独裁者ムバラクは追い出したのだけれど、その独裁者が出身母体とした軍部に民主化への段取りを丸投げ――エジプトで起きている事態は歴史を知る者の常識からは目を疑うものです。行政府が倒れたなら国会に実権が移るべきですが、エジプトの国会は露骨な選挙干渉の結果、オール与党の異常さであり、国民の信頼を得られない事情があるのでしょう。憲法の規定は無視し、一夜明けて軍最高評議会は現在の内閣を暫定的に延命させ、国際間の条約、約束は維持することを明らかにしました。これにはイスラエルとの平和条約も含まれます。

 カイロにある、イスラム教徒の大半を占めるスンニ派の最高学府アズハルが出した声明「アズハルは自由と正義という原則に導かれることを求める」はこう述べます。「アズハルがエジプトの行く末を決定する立場にある者たちの賢明さに信頼を置いていること、そして軍最高評議会およびその名誉ある男たちが約束したことは(イスラム法的に)正当なものであり、それは自由で誠実な人間の約束であることを確認した」「選出された(新しい)政権への平和的な移行が行なわれること、そしてできる限り早い時期に(非常時対応の)すべての例外的な処置が取り消されることを望んでいる点についても指摘した」

 何という楽天家ぶりでしょう。しかし、この国には他に打つ手が無いのも事実です。メディアの報道を比べるとウォール・ストリート・ジャーナルの《UPDATE2:ムバラク大統領辞任、揺れる中東》が最後に何があったのか一番、要領よく説明していました。

 「米当局者が11日明らかにしたところによると、ムバラク氏の辞任発表前の48時間に政府内で共有されていた機密情報報告では、エジプト政権は『状況を正しく把握していないほか、軍部はムバラクの取り巻きに一段と我慢できなくなっていた』ことが明らかになっていたという。同当局者は『特に軍部の転換点は10日のムバラク演説のトーンだったと』と語る」

 「エジプト軍高官に近い関係者によると、危機が長引く中、タンタウィ国防相とスレイマン副大統領の関係がほころび始めた。ある軍関係者は『スレイマン氏が野党からいかなる種類のコンセンサスも得ることできないと分かると、軍部は介入を決めたようだ』と指摘。『スレイマン氏がしたことはすべて状況を悪化させただけで、デモも増えた』」「デモ隊が11日、政府の主要機関などを取り囲み、抗議行動が拡大すると、軍指導部は行動する必要があると決定した」

 国民を代表できる民主的な政治勢力を育てるには、本来は相当な時間が必要です。迫害されてきたイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」以外には大きな政治勢力を欠いたまま民主化を進めなくてはならず、憲法の規定も無視せざるを得ない危うさは大変なものです。

 ところで、エジプトの事態を中国政府は報道統制を敷いて国民に出来るだけ知らせまいとしているようです。《エジプトは他人事でない、中国は5日に1回騒乱が勃発》(サーチナ)は「騒乱事件は全国 29省・自治区・直轄市で起きたが、43%は地元と上級の2つ以上の政府の介入でようやく鎮圧に成功している。また、事件が外部に露見するルートは、インターネット特にミニブログが大部分を占めた」「複数の政府が一時的に制圧しても、最終的にはエジプトのように大規模な火山の爆発が起こるだろう」としているのですが……。


北京で2月に初雪。大干ばつを象徴、地下水に危機

 寒い北京に雪がなかった――《カラカラ北京 やっと初雪 過去60年で最も遅く》(西日本新聞)が「カラカラ天気が続いていた北京で9日夜から10日にかけて、雪が降った。気象データが残る1951年以降で、最も遅い初雪」と報じました。それも数センチまでの雪で雪化粧にはなっても、華北地域で続いている干ばつの渇きをいやす効果はないようです。当面は既に水位低下が著しい地下水に頼るしかなく、その先には自然破壊が案じられる、長江からの水移送計画が進んでいます。

 WorldWatch-Japan.org「China Watch 2006-8」の《【中国資源】北京近郊で地下水位が大幅に低下》が「北京の南に位置する華北平原中部で、2030年までに平均で浅層地下水位が16.2メートル、深層地下水位が39.9 メートル低下すると推定されている」「北京と天津(総人口は2,600万人)の主な水の供給源である。地下水がこの地域の水供給の90%も占めているが、都市部の生活用水や農工業用水の需要が急増しているため、無理な過剰揚水が行われている」としていました。

 その結果が昨年の「サーチナ」《すでに琵琶湖5杯分!傾く家、走る亀裂…中国・華北地域の地下水問題》です。河北省隆尭県西店子村では「農民たちは豊富な地下水に活路を見出したのである。80年代以降、5〜6軒に1つの割合で井戸が掘られ、現在では人口3500人、土地300ヘクタール(東京ドーム60個分)に計120の井戸が掘られた。当初は25メートル程度掘れば水が出てきたが、約30年の間に井戸の深さは120メートル前後まで掘り進められていった」「大規模な地盤沈下が発生しているにもかかわらず、西店子村の農民たちは『深刻な水不足』であることを自覚しておらず、『出なくなったらまた掘ればいい』と考えているようだ」

 北京の水不足への抜本対策として「南水北調」プロジェクトが進められています。南にある長江流域の水を長大なパイプラインを造って自然流下で北に送る構想です。1000キロを超える規模で、水を送る側にも途中にも多大な影響が出ます。南水北調・北京区画工事は2014年には完成が言われています。《じじぃの「南水北調計画!未来への提言」》(老兵は黙って去りゆくのみ)は計画と問題点をまとめた上で「すでに、重慶下流から北京に繋がるパイプラインが通る地域住民の移動が始まっているのだそうだ。『南水北調計画』は北京市民のための壮大な自然破壊計画である。こうまでして北京、北京市民を守りたいのだろうか」と指摘しています。

 【参照】インターネットで読み解く!「中国」関連エントリー


『iPad新聞』の大欠陥:存在証明はテレビ以下

 既に1500万台以上売れているアップルiPadに特化した有料新聞「The Daily」が2日に創刊されて1週間が経ちます。紙の新聞はもちろん、ウェブ版も作らず、しかも米国のApp Storeでしか入手できないので、日本からはiPadを持っていてもアクセスできない存在です。辛うじてボランティアが作った非公式な目次集《The Daily: Indexed》があるので記事の一部は読めていますが、豊富な動画などマルチメディアを駆使しているという実像には手が届きません。気になりつつ横目で見ているうちに気付きました。新しい電子新聞の期待に反して、この形態の『iPad新聞』は社会的な批評の対象として考えるとテレビにも劣る存在になっています。

 概観してもらうには「ITmedia」の《写真で見る「The Daily」――これは新たなデジタルメディアか?》がよいと思います。iPadの大型画面で記事を載せた各ページがどう現れて、どう見せているのか感じはつかめます。

 有料と言っても週で99セント、年間で39.99ドルの画期的な安さです。その経営見通しはこうです。「News Corp.がThe Dailyの制作に100人体制のスタッフを組織し、その開発に3000万ドルもの金額を投じたということ、そして、今後の運営にも週に50万ドル程度が掛かる」「長期的には購読料と広告料のバランスが取れたメディアになる」「初期投資を考慮しなければ25万人程度の購読者獲得がまずは最初の目標となるだろう」

 「メディア・パブ」の《マードックが仕掛けたiPad専用の電子新聞「The Daily」、ユーザーの第一印象は》はiTunes app storeのユーザー評価を引いて「ユーザーの第一印象は比較的良かったようだ。2300人以上のユーザーが5段階評価(5つ星から1つ星まで)に参加している。平均すると、3.5となっている。満点(5つ星)を投じた人は、43%の1008人であった」と伝えています。

 その上で「ソーシャルメディア陣営の一部からもブーイングが」「90年代半ばに登場したCD-ROM版マルチメディアの復活で、閉じたパッケージメディアであると」「The Dailyの記事には、リンクがないし、RSSフィードもない。筆者や編集者と連絡するためのメールアドレスもない。検索エンジンからアクセスができない。対話性も決められた範囲内に限定される。などといった不満が聞かれる」

 CD-ROM版マルチメディア以上に困るのは、あの記事は面白かったね、と言い合う基盤を欠く点です。iPadをネットに接続して開くたびに60本以上もある記事が更新されて、前のものは読めなくなります。個人的に切り抜きたい記事はクリップ出来るようですが、大量の情報は日々にどんどん流れていき、テレビ番組を録画して批評を交換するといった程度の連携すら難しいのです。

 非公式な「The Daily」目次集を作成している方のブログ《Waxy.org: Andy Baio lives here》をのぞくと、「法的に問題があるから止めろ」と言われれば何時でも止めますとメールアドレスを掲げていらっしゃいます。しかし、ジャーナリズムの有り様として今日の記事しか見えず、以前の記事が全く読めないという形態には問題があるとの認識で、共感できます。

 昨年11月の第230回「既成メディアとネットの拮抗、潮目が変わる」ではiPad新聞に期待を持ったのですが、いざ現れてみるとネット社会の中で位置づけが難しいと感じます。少なくとも、非公式な目次集すら無い「The Daily」ならば存在感は極めて希薄ですし、物書きの側からしても何のために書いているのか魅力に欠けます。


中東に見る権力の倒し方:無血革命では困難

 チュニジアで長期独裁政権が倒れたのに続いて、エジプトで大規模な大衆抗議行動が起きています。その現場に入っている記者からの報告が核になっているせいか、マスメディアの報道は無血革命が簡単であるかのトーンです。しかし、中東で起きている現実は権力がそんなに脆いものではないことを示していると思います。この騒ぎを機会に東京外語大が中東の新聞記事を日本語訳してくれるなどデータが豊富になっていますから、状況を整理してみましょう。

 あのチュニジアがどうなったのか、急に見えなくなっていましたが、6日にCNNが「警官隊がデモ隊に発砲、2人死亡 チュニジア」と伝えました。「現場の警察署前にはデモ参加者約1000人が集結。建物に石や火炎瓶を投げ付けたり車に放火するなど暴力行為を繰り返していた。デモが実施された理由は明らかでない」「警官隊は催涙ガスや空砲で威嚇して沈静化を図ったがデモ隊が応じないため、発砲したとされる」

 1月21日には「チュニジア暫定政権が初閣議 政治グループを承認」が報じられました。「ベンアリ政権の与党・立憲民主連合(RCD)の中央委員会が解散し、所属していた全閣僚が離党した。ムバッザア暫定大統領とガンヌーシ暫定首相も18日に同党を離党。ムバッザア氏は『過去とのあらゆるつながり』を断ち切るとの方針を示したが、国民の多くはこうした対応を不十分だと考えている」「英語教師のモハメド・バシャさんは、『チュニジア国民は独裁政党の(RCD)を求めていない』『我々は真の革命を求めている。うそはもうたくさんだ。23年間だまされ続けた』と話す」

 結局は首相が暫定首相に横滑りし、野党などからも新閣僚を迎えて選挙実施を目指すことになっているのですが、独裁者を追放した抗議行動の高揚が求めたものとかなり違っています。

 人口が1000万人ほどのチュニジアと違って、エジプトは人口7600万もあるアラブの大国です。「エジプトの統計情報」を見ると一人当たりの名目GDPが2,450USドルで貧しい国とは言えず、そこそこの豊かさです。100万人が抗議に結集しようと、「物言わぬ大衆多数からの支持がある」と政権側が抗弁できる余地があります。

 東京外語大「日本語で読む中東メディア」から「エジプトの体制変革、可能性のあるプレーヤーは誰か」はムバラク大統領が去った場合の指導者リストを掲げています。国際原子力機関(IAEA)事務局長だったエルバラダイ氏や野党政治家、ノーベル化学賞受賞の研究者、ムスリム同胞団の団長と並んでいますが、いずれも国民的基盤が弱く人口7600万の国として見ればかなり貧困なリストだと思えます。30年間も非常事態宣言を敷き続け、治安警察に政敵を圧殺させてきた後遺症は大きいようです。

 ウォール・ストリート・ジャーナルは5日、「エジプト副大統領主導の政権移行を支持=クリントン米国務長官」で「スレイマン副大統領が実権をにぎる現在のエジプト政府が発表した移行プロセスを支持することが重要だ」「エジプト政権内では、ムバラク大統領が実権をスレイマン副大統領に委譲し、象徴的国家元首になる案が検討されている」と伝えました。チュニジア暫定政権とほぼ同じような形で選挙まで持っていこうというのでしょう。

 政権を揺るがす大規模抗議行動がツイッターやフェイスブックなどネットを使って引き起こされた特筆すべき事件でしたが、権力の奪取となると無血革命は容易ではありません。奪取する主体が確立しないまま権力を倒そうとしている滑稽さも見えます。ましてエジプトでは軍が政権側にいるのです。

 【参照】インターネットで読み解く!「権力」関連エントリー


トヨタマーケティングの敗北:SNSアプリ公募

 過去の経緯や前提をすべて無視したら「若者のクルマ離れを食い止めるソーシャルアプリを! トヨタがアイデア公募」(INTERNET Watch)は現代風の面白いニュースになるのかも知れませんが、これは『トヨタマーケティングの敗北』と指摘するしかない事態ではありませんか。トヨタ自動車は高度成長期にはクラウン、現在はレクサスといった車で所有自体が社会的ステータスとなると消費者を信じ込ませて売ってきたのです。ライバルのホンダが運転して面白い車を目指したのと全く違うマーケティング戦略でした。ハイブリッドで世界に先駆けたプリウスですら、そのステータスシンボル戦略に乗っかっている印象が強いのです。

 クルマ離れの実態を示す「生活者のクルマへの関心低下は深刻」と題したグラフが掲げられています。「よくする趣味が自動車・ドライブ」とする層が1992年は35%に迫っていたのに坂道を転げ落ちるように減っており、それが軽自動車を除く自動車販売市場縮小とぴったり合致しています。グラフ以前の1980年代なら、自分の経験からももっとクルマへの関心が強かったはずです。

 「トヨタマーケティングジャパン代表取締役の高田坦史氏は、自動車メーカーであるトヨタがソーシャルアプリのコンテストを開催するに至った理由について、生活者のクルマへの関心が離れる一方で、それとは対照的にインターネットや携帯電話などのデジタルカルチャーへの関心が高まっている背景を挙げる。そこで、『デジタルカルチャーとクルマカルチャーを対立させるのではなく、融合することができないか?』と考えたという」

 しかし、これはマーケティング専門の人によくある、言葉をもてあそぶ誤解ではありませんか。ツイッターの反応をTweetBuzz《若者のクルマ離れを食い止めるソーシャルアプリを! トヨタがアイデア公募》で見ましょう。

 「このコンテスト、天下のトヨタ自動車の企画ですが、車離れの根本理由が消えないと意味なし!車は買うのも維持するのも多額のお金が掛かるので『だったら要らない』との結論が出ても変ではない」(happy415)、「安くて楽しい車を作ったらええねん。あと、商売抜きでモータースポーツに金使って夢を見せろや! F1参戦して面白い車で優勝しろ!」(semimaru)、「ソーシャルアプリ以前に、単純に『欲しい』と思えるクルマがトヨタに無いのだが…」(akoustam)とかなり散々です。もちろんアイデアがあり応募してみようと書いている方もいらっしゃいます。

 トヨタの広告スポンサーとしての力は絶大ですからGREE、モバゲータウン、ミクシィといったプラットフォーム主要事業者の協力体制はがっちりです。アプリ企画応募は元になるアイデアだけでもよく、選定した優秀アイデア(最優秀企画賞金100万円)を年内いっぱいかけてアプリ開発し、サービス開始へ持っていくそうです。

 【参照】インターネットで読み解く!「クルマ離れ」関連エントリー


2011年1月のエントリー一覧

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1/30 『対中赤字、実は黒字』良い記事ゆえの問題点
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1/23 ニュースの質自体を低下させる既成メディア
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1/15 中国軍「北」駐屯で朝鮮半島統一に楔打つ?
1/13 『結婚できない中国人男性』気になって調べた
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