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2010年11月のエントリー一覧

11/28 既成メディアとネットの拮抗、潮目が変わる
11/24 主導権を誇示幻想の北朝鮮と現実離れの暴力装置議論
11/21 『中国で新卒争奪戦』刺激的だが大勢ではない
11/15 探査機「はやぶさ」の快挙、しみじみ嬉しい
11/14 若者が目指す国、捨てる国〜世界総覧を作成
11/11 あまりに酷い文部科学省の我が罪隠し、他人事ぶり
11/09 『尖閣ビデオ』の注目度、日本シリーズの8倍@Twitter
11/04 新聞社の電子版有料化、内外とも苦戦苦悩
11/02 死刑回避、超長期日程、裁判員裁判に難題例

既成メディアとネットの拮抗、潮目が変わる

 27日は大阪で開かれた「ジャーナリズムフェスタ2010」に行きました。この催しの趣旨は既成マスメディアの窮乏化で外部委託費が削られる中、フリーランスのジャーナリストが今後どう展望を切り開けるか考えるものです。新聞、テレビなど既成メディアとオルタナティブであるネット・ジャーナリズムの関係は、今年に入って潮目が変わってきており、皆さんがどのように考えているか興味があったので参加してきました。予想通り、閲覧端末としてのiPadが世界規模で普及し、取材活動の産物がアップルストアのアプリケーションとして売れる可能性がクローズアップされていました。電子書籍化はもっと広がっており、他の手段も含めてネット情報の有料化が論議されましたが、この方向はネット上の全ての情報を検索可能にしてしまおうとするグーグルの野望と正面からぶつかります。

 この催しについて、いま出ているメディアの記事は共同通信の《デジタル時代の報道を議論 「マスメディアと対決」》くらいしかありません。ネット上で輝いている知性が既成メディアの報道を遙かに凌駕しているのは以前からの事実です。2006年にはオーマイニュース日本版について「大型市民記者メディアは無理と決した [ブログ時評65]」と書きました。あの当時から質の高いブログの記事を活用すればずっと善いと思っていたのですが、最近になってポータルサイトがそれを現実にし始めました。

 ポータル最大手の「Yahoo!みんなの政治」「政治クローズアップ」で個別テーマを開けてみてください。ブログから選ばれた記事と既成メディアの記事が同じようにリンクされ、並んでいることに気付くはずです。いや、そのテーマについての「見方」「読み解き方」について言えば、多くの場合、ブログ側が断然優勢です。今回の催しでも指摘する発言がありましたが、「PJ(パブリック・ジャーナリズム)ニュース」という無理筋に手を出したライブドアが、現在は「ブロゴス」という形で読むに耐える専門家を中心にしたエントリーを集め、相当なページビューを稼ぐようになっています。事実上、既成メディアとネット・ジャーナリズムが同じ土俵に立つ、拮抗の時代が来ました。

 パネリストに関西ウォーカーの玉置泰紀編集長がいらっしゃり、全盛期の50万部から10万部弱に減っているものの、編集者がDTPソフトを使って印刷直前の状態まで仕上げて印刷会社に渡すようにしたら、広告料を除いて販売収入だけで黒字になっていると報告されました。レイアウトを描いただけで原稿、写真などの素材を印刷会社に丸投げしていた雑誌が次々に潰れていく中、これも面白い話です。

 これから連想したのがメディア・パブの「マードックとジョブズが手を組む、共同プロジェクトのiPad新聞が来年早々にも登場」です。「the Sunやthe New York Post、 the New Yorker、The New York Times、 AOL News、 The Atlanticなどからジャーナリストをかき集めているとか。Forbes誌によると、総スタッフ数は150人程度になり、News Corpの予算は最初の年が3000万ドル程度と見られている」と書いています。アップルストアのアプリケーション専用として売るのなら紙面編集以降の費用は知れていますから、ある程度のスタッフ数と取材費を投入してもペイするのでしょう。

 週間購読料99セント、200万読者を目指す「iPad新聞」ですが、こんな大規模ではなく、限られた分野やローカルな地域で小規模な新聞を作る方向にも応用出来るのでないでしょうか。地方紙が潰れて地方ニュース空白地帯が広がる米国でローカル新聞を再興する可能性だってあるかも知れません。国内でも少し知名度があるジャーナリストを中心にすれば、ミニiPad新聞が可能でしょう。有料と言えば、「まぐまぐ」から出している「ホリエモン」こと堀江貴文氏の有料メルマガが、来年初めには年間1億円の売り上げ規模に達するとの見通しも会場で「まぐまぐ」から報告されました。少し前までなら信じられない数字です。月間数百円程度の購読料なら広く受け入れられる状況になっています。

 どのような形であれ有料コンテンツはインターネットでの検索対象から外れます。その主翼であるアップルはますますグーグルと対峙する存在になっていきそうです。

 【参照】新聞社の電子版有料化、内外とも苦戦苦悩


主導権を誇示幻想の北朝鮮と現実離れの暴力装置議論

 誰も相手にしてくれなくなると「主導権はこちらにある」と誇示するのが北朝鮮の毎度の行動パターンです。死傷者多数が出た韓国・延坪島への砲撃ニュースから一夜明けて、《北朝鮮「敵視しないなら核兵器開発放棄」 米紙報道》(朝日新聞)を見て、その思いを強くしました。先週、米国の専門家に新たにウラン濃縮型核開発を見せておきながら、従来のプルトニウム型核兵器製造の中止と見返りに「米朝が国交完全正常化を目指すことなどをうたった2007年10月の6者協議の合意文書の尊重を、米国が改めて表明することを求めた」そうです。

 砲撃には韓国側も砲撃で対抗し、日本の新聞で見ているとそこそこの効果があったように読めますが、北朝鮮側が一枚上手だったよう。朝鮮日報の《北朝鮮砲撃:韓国軍の対応は適切だったのか(上)》は「北朝鮮の海岸砲陣地は、岩盤に狭い穴を掘り、射撃に使う砲口だけが開いている構造で、正確に砲口やその付近を狙わなければ破壊できない」。対抗して使った「自走砲では正確な破壊が困難だ」「正確に目標を破壊するためには、同日出動したKF16、F15K戦闘機計8機から衛星利用測位システム(GPS)で誘導される統合直接攻撃弾(JDAM)や空対地ミサイルで攻撃する必要があった」と伝えました。ここで敢えて空から攻撃すれば、相手から大反撃を引き出す恐れがあり、断念したのでしょう。

 大局的には無謀な行動でも、こうした細部での駆け引きに周到なところも北朝鮮の常です。間違えればソウルが火の海になりかねない朝鮮半島でのにらみ合いの構図については、2006年の核実験の際に「北朝鮮が求めているのは誇りでないか [ブログ時評66]」に書いていますのでご参照ください。文字通り「武士は食わねど」の国ですが、突然の砲撃は朝鮮戦争停戦協定の当事者だった中国無視もいいところで、当然ながら軋轢を生むでしょう。

 このところしばらく、仙石官房長官の「自衛隊=暴力装置」発言を問題視して空転する国会やマスメディアの対応を見て、あまりに呆れ果てました。工学部出身の私でも大学時代に学んだ程度の政治学の常識です。マスコミ内部で見れば政治学や社会学、経済学、法学などの人文系出身者が多数派なのですから、よほど不勉強だったのだと思わざるを得ません。こうして近隣の国際情勢が緊迫してくると、何のために武器を備えているのかが見えるでしょうから、前の政権党である自民党とマスメディアは目を覚ますべきです。


『中国で新卒争奪戦』刺激的だが大勢ではない

 朝日新聞の《中国で新卒争奪戦 日本企業、「負けず嫌い」求める》がブログなどで話題になっています。「日本の企業が、本格的に中国で大学新卒者の確保に動き出した。年630万人という世界最大の市場に狙いを定め、日本本社の幹部要員として採用する」という話ですから、就職難に喘いでいる日本の大学生を刺激します。「リクルートによると、3〜6日、北京と上海で開いた面接会に参加した大学は39校。北京大や清華大、上海の復旦大など中国のトップ校を中心に約1万人の学生が集まり、その中から適性テストや面接を通過した大学4年生計1千人が面接に臨んだ」そうですから、「贅沢なご馳走」を用意された企業の採用担当者が喜んだのも無理からぬところ。

 中国での本質的な人余りぶりは、昨年の第171回「世界不況を契機に経済成長神話見直そう」で大紀元時報の報道「2008年中国国内失業者数、2.5億人に達する恐れ」を紹介しました。「政府は毎年2400万人の雇用機会を創出しなければならないと計画しているが、しかし人材需要に関しては、毎年8%から9%の経済成長率を持続していくには現有の労働力の上、1200万人の新たな労働力があれば十分だという試算がある」。中規模国の産業社会をそっくり毎年、新たに造りだしていくような異常な目標を掲げなければならないのですから、人は余ります。

 一方で、ニューズウィークが先日「中国エリートは欧米を目指さない」と題した、名門・清華大でのインタビューをもとにしたレポートを出しました。「欧米、特にアメリカは、かつて世界で最も上昇志向の強い人々の最終目標だった。だが今は、世界のエリートにとっての通過点でしかない。本気でビジネスに取り組み、富の創造を始める前に、学位を取って履歴書に箔を付けるための場所だ」「彼らにとっては、新興諸国こそリッチで有名になるための舞台だ。今後数十年の世界経済の成長の大部分は新興諸国が担うだろう」

 そこで先週の第228回「若者が目指す国、捨てる国〜世界総覧を作成」では割愛した高学歴層の移住希望動向に目を向けましょう。ギャラップの調査から拾い直すと、中国は若者での移住希望指標はマイナス10%でしたが、4年制大卒以上の高学歴層ではマイナス18%と、さらに多くの人が祖国を離れたがっています。香港の指標は若者マイナス5%に対し高学歴層マイナス28%と一段と顕著です。

 産経ニュースの《【石平のChina Watch】始まった「中国からの大逃亡」 エリートばかり6万5千人》が「2009年に中国から米国への移民だけでその人数は6万5千人に上り、しかもその大半は、エリートや富裕層であるという。彼らの移民先は主に、米国を筆頭にカナダやオーストラリア、シンガポールなどの諸先進国である」と伝えています。

 これからのし上がろうとする若手は新興国に、財をなしたグループは先進国に目が向いている状況です。日本の採用活動はささやかなエピソードでしょう。

 【参照】インターネットで読み解く!「中国」関連エントリー


探査機「はやぶさ」の快挙、しみじみ嬉しい

 宇宙航空研究開発機構が16日、「はやぶさカプセル内の微粒子の起源の判明について」で小惑星探査機「はやぶさ」が持ち帰った微粒子1500個は「そのほぼ全てが地球外物質であり、小惑星イトカワ由来であると判断するに至りました」と発表しました。月以外の天体に初めて行って、その物質を持ち帰った、文字通りの快挙です。太陽系の原初的状態を残す物質を地球にもたらしたのですから、科学的な価値は極めて高いと思います。

 7年間に及ぶ苦難に満ちた旅からの奇跡的な帰還で、6月にはほとんど擬人化しての大歓迎でした。持ち帰った物が無くても――という感覚もあったのですが、これで胸を張ってよくなりました。しみじみ嬉しい思いです。

 【追補11/17】記者会見での「はやぶさ」スタッフの生の声がいっぱいあるレポートが「大塚実の取材日記」から出ていますので紹介します。「はやぶさ記者会見 微粒子1,500個はイトカワ由来と判明!」「私は1粒でいいと思っていたが、中村先生から1,500粒と聞いて そんなにたくさんいらないのにと思った。正直そう思った。本当に信じられない」

 先日の「尖閣ビデオ」で開発したTwitterでの反応測定をしてみました。「はやぶさ OR イトカワ」で「buzztter(バズッター)」サイトを検索すると、以下のようにピークが「711」のグラフです。「尖閣ビデオ」のグラフも並べましょう。


 8時間で「2345」のtweetがあったようです。「尖閣ビデオ」で最初の8時間なら「3772」です。「はやぶさ」の快挙もかなりのインパクトでした。


若者が目指す国、捨てる国〜世界総覧を作成

 AFPが米世論調査企業ギャラップの調査を紹介した《「日本飛び出さない若者」像、米調査でも 頭脳流出はアジア全体で問題化》のデータがとても興味深かったので、元の調査結果から「若者が目指す国、捨てる国」という観点で世界総覧を作ってみることにしました。目指す国としてシンガポールが飛び抜けて高い点や、大人口の中国、インド、あるいは隣国である韓国、台湾の位置なども面白いところです。なお、上記の記事は最近流行の切り口に無理矢理持っていった見出しのせいで、中身がスポイルされています。

 ギャラップの調査は「世界148か国の成人35万人を対象にした調査に基づき、ある国へ移住したいと回答した人数から、その国から出たいと回答した人数を引いて」人口がどう増減するかパーセントで示しています。15歳から29歳までの若者を対象にした部分と、4年制大学以上を出た高学歴層の部分とがありますが、今回は若者層に話をしぼります。個別データが示されている116カ国について、若者層人口の増減順に並べてみました。右側に付いている数字は第156回「失敗国家ランクと紙消費量のぴたり」で使った2005年の1人当たり紙消費量(kg)で、社会状態を示唆してくれます。

 《若者移住指標%と紙消費量kg》
Singapore    537 144.11 
Canada      301 241.94 
Australia    276 204.42 
New Zealand   235 189.65 
Sweden      181 219.98 
France      168 178.72 
Iceland     153 129.84 
Switzerland   153 211.53 
Norway      153 170.46 
United States  152 297.05 
United Kingdom  152 201.20 
Spain      140 169.66 
Ireland     128  90.55 
Italy       74 205.71 
Germany      66 231.65 
Portugal     62 105.48 
Denmark      47 243.67 
Botswana     46  5.67 
Austria      43 276.96 
Malaysia     34 114.78 
Japan       23 233.55 
South Africa   21  69.01 
Greece      12 105.29 
Namibia      7  0.00 
Israel       4 120.11 
Netherlands    1 227.38 
Zambia      -3  2.63 
South Korea    -4 168.86 
香港       -5 データ無し
Indonesia     -7  20.67 
Uzbekistan    -8  1.76 
Tajikistan    -8  0.17 
Venezuela     -8  36.55 
Pakistan     -9  8.07 
India       -9  4.59 
China      -10  44.66 
Turkey      -10  27.30 
Angola      -11  1.16 
Rwanda      -12  0.39 
Egypt      -13  15.68 
Russia      -13  37.53 
Benin      -13  0.85 
Iraq       -14  1.59 
Panama      -14  21.57 
Laos       -15  0.56 
Argentina    -15  55.46 
Kazakhstan    -17  15.37 
Burundi     -18  0.35 
Armenia     -18  3.97 
Togo       -20  0.73 
Hungary     -20  80.04 
Syria      -21  13.14 
Mexico      -21  64.81 
Jordan      -22  30.84 
Uruguay     -22  35.59 
Brazil      -23  39.49 
Nepal      -24  1.09 
Georgia     -24  1.34 
Niger      -25  0.29 
Kyrgyzstan    -25  3.90 
Azerbaijan    -25  20.31 
Yemen      -26  3.90 
Bosnia      -26  25.30 
Belarus     -28  34.27 
Philippines   -28  17.61 
Ecuador     -28  23.53 
Madagascar    -28  1.58 
Estonia     -28  61.56 
Poland      -28  90.38 
台湾       -28 データ無し
Guatemala    -29  24.42 
Djibouti     -29  16.51 
Paraguay     -29  13.76 
Sri Lanka    -30  13.52 
Tanzania     -30  1.88 
Mali       -30  0.38 
Afghanistan   -31  0.02 
Iran       -31  14.06 
Bolivia     -31  5.39 
Mozambique    -31  0.85 
Ukraine     -31  28.05 
Lithuania    -31  51.72 
Vietnam     -32  14.75 
Sudan      -33  1.01 
Kenya      -35  6.88 
Latvia      -35  54.52 
Chile      -35  64.57 
Algeria     -36  13.32 
Tunisia     -36  28.03 
Morocco     -37  12.75 
Romania     -38  27.27 
Cambodia     -39  2.01 
Serbia      -39  56.08 
Bangladesh    -41  2.09 
Honduras     -42  34.04 
Dominican Rep  -43  13.65 
Guinea      -45  0.32 
Uganda      -45  1.92 
Colombia     -45  25.29 
Macedonia    -46  19.96 
Rep of the Congo -47  0.08 
Malawi      -48  1.17 
Nicaragua    -48  6.60 
Peru       -48  13.03 
Liberia     -49  0.46 
Cameroon     -51  3.68 
Ghana      -51  6.36 
Moldova     -52  4.49 
Albania     -53  6.30 
Nigeria     -54  2.39 
Senegal     -56  2.44 
Somalia     -59  0.03 
Zimbabwe     -59  11.72 
Comoros     -60  0.00 
Ethiopia     -61  0.43 
Sierra Leone   -64  0.47 

 若者が目指す国、つまり希望を集計して若者人口がプラスになる国が116カ国の内で26しかない点をまずおさえておきましょう。欧米が上位独占ではなく、1位はシンガポールで537%なので6倍以上にも増える計算です。2位カナダ301%のあとにオセアニアのオーストラリア276%、ニュージーランド235%が続きます。以下は17位のデンマーク47%まで欧米諸国で、1人当たり紙消費量100〜200kgが並びます。18位に突然、アフリカからボツワナ46%が現れます。24位ナミビア7%と並んで22位南アフリカ21%の北側にある国で、いずれも貧しい国ながら地下資源の開発で脚光を浴びています。下位を占めるアフリカ諸国ではマイナス40%や50%が珍しくなく、まさに「国を捨てる」勢いの中で、この地域だけが希望が持てるようです。

 アジアの2番手は20位マレーシア34%。日本は21位23%ですが、高学歴層調査ではマイナス13%になる点は付け加えておきます。インドがマイナス9%、中国もマイナス10%と並んで現れます。並の国の10倍はある大人口国ですから、移住希望はそれぞれ並の1カ国分そっくりの規模だと思わなければなりません。華僑も印僑もいるシンガポールが人気なのは分かる気がします。オーストラリアへの留学も多いと聞きます。

 韓国はマイナス4%、香港もマイナス5%です。1人当たり紙消費量100kgを超す中進国以上でマイナス側にいるのは韓国と、70位の台湾マイナス28%だけでしょう。未来を見通しにくい、難しい国情が現れています。 ロシアはマイナス13%、やはり経済が伸びているブラジルもマイナス23%の位置にいます。

 マイナス20%台には東欧や中南米、旧ソ連邦諸国、中東のちょっと問題がある国が並びます。マイナス30%台に入るとアフガニスタンといった失敗国家がありますが、紙消費量は数十kgが多くて必ずしも貧しい訳ではありません。さすがにマイナス40%を超える23カ国では、紙消費量で見ても貧しさは歴然としてきます。バングラデシュのほかはアフリカ、南米が占めています。60%台は悲惨です。

 最後に日本で派遣の仕事を辞めて、シンガポールで10月から現地採用になったOLのブログ「LiKe A roLLinG sTonE〜シンガポール編〜Do not fear going forward slowly; fear only to stand still〜」を紹介しましょう。アメリカ留学はされていますが、それほど特別な能力はお持ちでないようです。それでもシンガポールを目指して行けるのですね。就職準備の話や現地事情、アフリカの珍しい国の人との出会いなど、人気国シンガポールの内情が見えるようで興味を持ちました。昨年、リリースした第190回「留学による大移動は新段階、中韓米日で見る」も、若者の動向を理解する資料になります。


あまりに酷い文部科学省の我が罪隠し、他人事ぶり

 「元気な日本復活特別枠」公開ヒアリングをめぐるサイエンスポータル編集ニュースの【 2010年11月11日 若手研究者の内向き思考も問題に 】を読み、憤ったので、簡単にまとめておきましょう。その場で文部科学省から「ノーベル賞のきっかけとなる業績は30代をピークとする若い時期に集中している実態があるが、大学教員に占める30-35歳の若手研究者の割合も減少している。01年に11.3%だったのが07年には9.8%まで落ちている、という数字も示された」のですが、何を寝言を――です。強引な大学院重点化を推進して、助手を中心にした若手大学教員ポストを激減させたのは文部科学省自身です。サイエンスポータルはそういう現状認識もなくて運営されていたのですか。

 2002年に書いた「インターネットで読み解く!」第120回「負け組の生きる力・勝ち組の奈落」の第3節「◆大学院重点化は一種の“詐欺”商法」を読んでいただけば一目瞭然です。このエントリーの前文で書いた「浮かび上がるのは、政策的な整合性に詳しく成り行きに責任を持つべきテクノクラートが、調子の良い、場当たり政策セールスマンになってしまった逸脱である」こそが、起きている事の本質です。8年も前に指摘した以下の問題点に、文部科学省は目に見える、本質的な手を打ったでしょうか。

「文部官僚は研究費大幅増と大学をだまし『安い投資と』大蔵をだますことに成功した。定員が増えたのだから、修了する博士課程卒業者は増える。本来はそれを収容できるアカデミックポストも増えていなくてはならないのに教官定員は変わらず、むしろ若手が就ける助手ポストは激減した。場当たりに考え出されたポスドク1万人計画で、当座の失業問題はしのいだが、ポスドクの任期が終わり、本格的に就職せざるを得ないこれからの対策は全く見えない」

 「参考データ集(第5回基本政策専門調査会)」に見やすいグラフがあったので引用しておきます。大学における37歳以下の若手教員の推移を示しています。全体は増えているのに若手は減っており、2007年の21.3%に対して2001年の23.3%、1998年の25.2%という数字があります。今すぐには数字が見つけられませんが、それ以前にはもっと若手の割合が高かったのです。学生ばかりでなく、若手研究者の海外留学も減っていますが、ポストが激減して手放せなくなっている事情を考えれば当たり前でしょう。





『尖閣ビデオ』の注目度、日本シリーズの8倍@Twitter

 5日未明に突然、ユーチューブにアップロードされた「尖閣ビデオ」を巡る議論は国会もメディアも混沌として焦点が定まらず、拡散気味です。そちらの議論に参戦するつもりはありませんが、ネットウオッチしている立場からは社会の衝撃度観測に関心があり、今回の出来事を大衆がどれほど感じたのか、ツイッターの頻度グラフが見事に記録してくれたので報告しておきます。最後に劇的に盛り上がったプロ野球日本シリーズ第7戦に比べると、注目度8倍だったとして善いでしょう。

   【訂正】はてなブックマークで《「日本シリーズ OR 中日 OR ロッテ」で
  2800を超える》と検索結果への異議がありました。11日に再度検索した
  のですが、24時間以上前のデータが失われているようで、確認できません。
  その通りなら、日本シリーズのtweetは4倍にはなるでしょうから、
  「注目度、日本シリーズの2倍」とすべきかと思います。

 Twitterの周辺にある「buzztter(バズッター)」サイトを利用すると、ツイッターでささやかれたキーワードごとに集計してグラフを作ってくれます。140文字の制限があるツイッターでは「尖閣ビデオ」が必ずしも言われる訳ではなく、色々と試行してみると「尖閣ビデオ OR 流出 OR 海保」の組み合わせがベターでした。これでピーク時が1143件です。一方、「日本シリーズ」のピーク時は614件です。以下に8日正午現在で作成のグラフ(右端が8日正午)を並べます。


 グラフをなぞることでTweet回数を推計しています。「尖閣ビデオ等」は夜中に急激に立ち上がった後、一時落ち込み、夜が明けてから再び盛んになります。グラフは1時間に1つの点と考えられるので、7日未明までの45時間で区切ると合計が10262件になります。「日本シリーズ」は低調でしたが、第6戦の史上希な壮絶な引き分け試合で一気に盛り上がったのがツイッターでもはっきり分かります。視聴率20.3%を叩き出した最終の第7戦について、10時間で区切って集計すると合計が1324件です。比は7.75倍になります。ただし、グラフの刻みが30分間隔かもしれず、その場合はTweet回数合計は両者ともに2倍になります。

 出来事への大衆的な関心度を見る指標にブログのエントリー件数推移を使う試みを、第154回「世論の形成をブログの頻度から観察」第167回「ブログ記事数グラフで見る米大統領選」などで続けてきました。しかし、便利だったテクノラティ社が撤退してしまい、現在はグーグル・ブログ検索で日付を指定してカウントしていくしかありません。ところが、11月に入ってからはグーグル・ブログ検索「尖閣ビデオ」で、
 1日 4770件
 2日 4167件
 3日 3603件
 4日 3307件
 5日 7507件
 6日 7250件
 7日 7014件
 8日 7628件
 9日 4427件(16時現在まで)
となっており、国会で限定的にビデオを視聴した段階から盛り上がっていましたから、5日未明のビデオのゲリラ的公開がどれほどの衝撃だったか見えないのです。

 今回のようにツイッター集計で社会的な注目度、衝撃度を評価できるのなら、今後にも応用が利きそうです。なお、測定のツールとしてはフリーソフトの《!0_0! Excel 「長さ・面積測定」》を使わせていただきました。


新聞社の電子版有料化、内外とも苦戦苦悩

 今年は日経新聞がある程度の無料記事を残して有料電子版に踏み切り、英国ではタイムズ紙がウェブに無料記事が存在しない完全有料化を果たしました。来年からはニューヨークタイムズ紙もこうした電子版有料化に加わります。日英の両紙は公式には順調を装うものの、私は実際には苦戦模様と受け止めています。ニューヨークタイムズも有料読者への価格設定をどうしたものか、頭を痛めている様子です。経済金融情報中心で唯一の成功例と言われるウォール・ストリート・ジャーナル「電子版有料読者120万人」に続くのは、なかなか難しいようです。

 完全有料のタイムズ紙について「EBook2.0 Magazine」の「英国Times紙の有料読者獲得は10万」は、逆に無料主義を続けるライバル紙、ガーディアン側の見方をこう伝えています。「評価は、とにかく手厳しい。10万の購入者のうち、定期購読は半分にすぎないとみているからだ」「電子版を購読するのは従来からの愛読者のみ。数百万人がトップページだけを見て去っていく。わずかな購読者を得ることで、つねに『会話の中心に存在すべき』共鳴器としての地位を失っているではないか」。数百万人の客が10万、20万人になれば広告価値は激減します。示されているシェア・グラフの落ち込みは深刻です。同紙の電子版購読料は月8.67ポンド、1100円余りなのに、5万の定期購読者しかいないのです。

 日経新聞の電子版有料会員は始めて1カ月もしない4月17日に6万人を超え、7月7日には7万人とアナウンスされました。朝日新聞は「3年前後で30万人の有料会員を目ざしていた同社では『想定を若干上回るペース』(広報グループ)と話し、順調な滑り出しと位置づけている」と報じたのですが、その後の動きが見えませんでした。11月になってようやく「コンテンツメディアの在り方」(読売新聞)にパネルディスカッションでの同社幹部発言が収録されました。「日経電子版は有料サービスで、しかも従来のサービスと比べても非常に高価だ。しかし、開始以降約8万人が有料サービスの会員になり、その属性は企業の部長以上が40%、役員が25%という属性になったという」

 電子版有料会員の増え方は「4カ月で1万人」にペースダウンしたと見られます。電子版の定価は毎月4000円ですが、既に紙の新聞を定期購読している読者は1000円の追加で済みます。日経新聞の最終版を読めなかった「早版地域」の読者にはこの1000円は価値があり、4月の立ち上がりに多数集まったはずで、その後の追加は少ないとみられます。そして、企業幹部中心の読者属性は「社用」で利用されている現れであり、一般市民読者の心を捉えているとは言い難いでしょう。

 「WSJのweb有料会員になってみたよ。」(一若者が観る三千世界)が月1660円のウォール・ストリート・ジャーナル日本版Web有料会員になって、日経新聞との比較をしています。「Nikkeiは4000円/月の魅力はちょっと感じなかった」日経に「好ましく感じなかった点は、1) ブロガーは個別記事へのリンク禁止、 2)リンク切れ起こす(会員サービスとしてアーカイブ検索は存在する)、3) URLがなんか変」「紙面でどんな広告うたれているかが分からず、メジャーな流れについていけない」「あの記事見た?という新聞購読者同士のコミュニケーションがない」とあり、それぞれ理解できます。日経の場合、外部のネット世界、ソーシャルメディアなどで話題にされる利用方法を最初から拒絶しています。

 ニューヨークタイムズ紙については、「ニュースサイトの有料化」(From the Land of Freedom Fries)に、同紙のアンケート依頼に応じた話が書かれています。「『nytimes.comは来年から有料になります。月$10ならあなたはアクセスしますか?』これに『ノー』と答えたら、次は『$10の8割引ならアクセスしますか?』」「この料金設定の質問が延々と続いた。日曜版(紙媒体宅配)プラス電子版無制限で月$60とか、日曜版プラス電子版記事月に10本で$20とか(正確な設定、金額はよく覚えていない)、とにかくありとあらゆる組み合わせ、値段で、これでもか、これでもかと聞いてくる」

 月1000円前後が可能なのか、思い切って下げるべきなのか、悩みは深いはずです。そして、アクセス数の激減があれば広告収入だけでなく、話題の中心から外れる結果、マスメディアとしての社会的地位の変動も招きます。

 【参照】インターネットで読み解く!「電子版」関連エントリー


死刑回避、超長期日程、裁判員裁判に難題例

 裁判員裁判で非常に難しいケースが相次いでいます。東京地裁で1日に判決があった「耳かき店員」2女性刺殺事件では死刑が回避されて無期懲役になりました。こちらも死刑の可能性があって裁判日程が40日間にもなる鹿児島地裁の高齢夫婦殺害事件では、450人もの裁判員候補を用意したのですが9割に当たる404人が辞退し、結局、34人が1日の選任手続きに出席しました。これまでにも指摘してきた裁判員制度の問題点が表面化しており、放置するのは問題でしょう。

 死刑まで真剣に議論したのが、今回の事件です、毎日新聞の「東京・西新橋の2女性刺殺:地裁判決 裁判員会見(要旨)」で女性の裁判員が「この2週間、ふとした時に遺族や被告の顔が浮かび、心安らげる時間はなかった」「遺族の陳述を聞いたりして気持ちが高ぶったが、皆さんの意見を聞いて冷静に判断した」と述べています。負担の大きさが分かります。

 J-CASTニュース《「耳かき店員殺害判決」プロの裁判官でも無期懲役》にあるコメント「縁もゆかりもない、何の恨みもない人間に対し、絞首刑の踏み台を外すスイッチを押すわけですから、被害者の死と被告の死の狭間に入って感情が揺れたと思う。無期にしたからといって、遺族の方はどう考えるかという思いにずっとかられていくでしょう」「裁判員に初めから死刑だ、無期だという判断を求めるのは厳しい。小さい刑から馴らして行ったほうがいい」は妥当と思えます。

 被告が無罪を主張していて、長期裁判が必至の高齢夫婦殺害事件も裁判員裁判には馴染まないと考えます。《鹿児島・夫婦殺害:裁判員選任 「なぜ日程40日間も?」 /鹿児島》(毎日新聞)は超長期に仕事を休む裁判員の事情をこう伝えました。「選任手続き前、20代の女性保育士は『辞退も考えたが、勤め先が理解してくれた』と話した。その一方、『勤務先から”何でこんなに長いのか”と言われた。有給は4日だけで残りは普通の休み。会社もどうしていいのか分からなかったと思う』という境遇の20代のアルバイト女性もいた。さらに、鹿児島市の事務職の女性(25)は『仕事の引き継ぎはしたが、すべて任せることはできない。裁判のない土曜日は出社するつもり』と覚悟していた」

 辞退を認めているとはいえ、8週間も平日を潰せる勤め人がどれほどいるでしょう。死刑廃止論の人を選任するかどうかという問題も含めて、裁判結果にバイアスが掛かる問題点を洗い直すべきです。

 【参照】インターネットで読み解く!「裁判員」関連エントリー


2010年10月のエントリー一覧

10/31 視聴者のテレビ離れが歴然とするグラフが出た
10/30 地上デジ放送移行巡るドタバタ、一段と混迷増す
10/26 反日デモ、Twitterの大波に中国当局が逆上
10/24 韓国核融合記事で改めて気付く日本勢の独善
10/22 2010年代はネットもアジア太平洋の時代に
10/20 韓国GP、薄氷の準備。路面はF1カーに耐えられるか
10/17 高速炉もんじゅに出た『生殺し』死亡宣告
10/15 米国住宅ローン問題の病根深く景気は戻らず
10/13 前特捜部長ら拘置延長、供述調書1通も作成されず
10/11 中国でもTwitterは効く?白虎頭村の強制執行止まる
10/10 公務員給与水準グラフが見せた、なれの果て日本
10/08 過剰なノーベル賞騒ぎ、もうお終いにするべき
10/06 ノーベル化学賞らしい地味な研究に日本人2人
10/05 検察審再議決、マスメディアの困った論調
10/02 信頼が無い最高検が特捜幹部を逮捕しても
10/01 中国嫁日記がブレーク。不毛の日中対立に清涼剤