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視聴者のテレビ離れが歴然とするグラフが出た

 グラフ化の技が秀逸な「Garbagenews.com」から「主要テレビ局の複数年に渡る視聴率推移をグラフ化してみる」がリリースされました。テレビ主要局が軒並みゴールデンタイムの視聴率を下げている実態が一目で分かります。テレビの電源を入れている家庭が1997年に比べて1割ほど減っている事に加え、各局は強引なコストカットを進めて質の低下が言われている点も視聴率低下に結びついているようです。いよいよテレビ離れ本格化です。

 ゴールデンタイム(19時〜22時)の視聴率各年度第1四半期(4〜6月)での比較によく傾向が出ていますから、是非グラフをご覧になって下さい。そこから2005年春と2010年春のデータだけ引用します。

       2005年春  2010年春
 日本テレビ 12.6% → 11.6%
 TBS   12.7% →  9.6%
 フジテレビ 14.6% → 12.6%
 テレビ朝日 12.9% → 11.6%
 テレビ東京  8.3% →  6.0%

 2年前のエントリー「企業のテレビCM離れ、本物になった!?」でスポット広告が前年比1割も落ち込み、世界金融危機が起きる前から企業のテレビCM離れが進んでいたことを紹介しました。そこから番組製作コストの削減が強力に推し進められ、各局とも似たようなつまらない番組が並ぶ結果に直結して、軒並みの視聴率低下につながったようです。

 視聴率低下は企業のテレビCM削減に結びつきますから、完全に負の連鎖サイクルに入っています。放送業界は地デジ移行で多額の資金を要し大騒ぎしていますが、実は「本丸」が危うくなっているのです。


地上デジ放送移行巡るドタバタ、一段と混迷増す

 読売新聞が「BSで地デジ…総務省が緊急対策」で「2011年7月の地上デジタル放送への完全移行時に、アンテナ工事などが間に合わない世帯が、BS(放送衛星)放送経由で地デジ番組を視聴できるようにする緊急対策を講じる方針を固めた」と伝えました。地デジ難視聴対策で極めて限られた世帯にしか見せていないBS経由地デジ番組を、工事が間に合わない多数の世帯にも開放する措置で、デジタル化は最初からこのBS方式にしていれば現在のような大騒ぎは無かったと、国が認めたようなものです。

 BS経由で地デジ番組が見られるのを知らない人が多いと思います。「地デジ難視聴対策の衛星試験放送を22日から開始」(AV Watch)にあるように「2011年7月の地上アナログ終了までに地上デジタル放送が送り届けられない地区に居住している人を対象に、暫定的に衛星放送を利用して地デジ放送を行なうもの。スクランブルをかけているため対象地区以外は視聴不可となっている。3月11日から本放送を開始し、NHKおよび地域民放と同系列の東京キー局番組の放送を2015年3月末まで実施予定」となっています。

 電子番組表(EPG)のBSデジタル291〜298チャンネルに見られない番組があることに気付いていらっしゃれば、あのチャンネルが視聴できるようになるのです。「地デジ工事が間に合わない世帯が申請した場合に限り、BS放送経由で視聴できる地デジ番組にかけている暗号を解除し、アンテナ設置までの『時間稼ぎ』をする」そうですが、本末転倒と評すべきか、混迷の度合いはますます深まった感じです。

 毎日新聞は「地上デジタル放送:完全移行に延期論 広瀬道貞さんと坂本衛さんに聞く」で移行延期論についてまとめています。「総務省の3月調査の普及率『83・8%』は、実態をまったく反映していない。機械的に生成した固定電話の番号に電話して了解のあった人に調査票を送る方式だが、携帯しか持たない若者や、昼間自宅を留守にしている単身者や共働き世帯には電話がつながりにくいからだ。我々はせいぜい60%台とみている」など、あちこちで施策の綻びが指摘されています。

 また本当にテレビ放送が見られない世帯が発生すれば、NHK受信料を払う義務は無くなります。「『地デジ難民』問題はNHKにとっても悩みの種だ。内部調査で受信料収入が91億〜666億円減る恐れがあるとの試算も出たからだ。最悪の場合、受信料収入の約1割が失われる計算になる。福地茂雄会長は今月14日の会見で、『600億(円)も減ったら大変なことで、予算なんかできやしない』と述べた」――難視聴対策BSのスクランブル解除は広くNHK総合・教育の視聴を確保する意味を持ち、受信料支払いを止める世帯に説得材料になりますが、話の順番が逆ではありませんか。県域で電波を区切り、地域別CMを流したいという放送局のエゴを守るから、このように歪んだ経過になったのだと明かしてしまいました。

 【参照】インターネットで読み解く!「地デジ」関連エントリー


反日デモ、Twitterの大波に中国当局が逆上

 中国におけるTwitterの使われ方に一連の反日デモを通じて注目が集まっているところですが、「【速報】冗談つぶやいたツイ民まで拘束=本日の重慶反日デモ潰しに当局が見せた本気」(Kinbricks Now)が民衆操作が思うようにならぬ中国当局の逆上ぶりを伝えています。容認した反日デモが政府批判の様相を強くしている誤算からでしょうか。

 「26日には重慶市でのデモが予定されているが、同日未明、取り締まり強化を象徴するような事件が起きた。24日、宝鶏市デモのニュースを知った重慶市在住の女性ネットユーザーは『26日にもし重慶でデモがあったら、”おめでとう!暁波おじさん”っていう横断幕を持っていくよ』(暁波とはノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏のこと)とつぶやいたところ、26日未明、警察に突然訪問され、派出所に連れて行かれたという」

 言論の自由が無かった国に、ぽっかりと生まれた自由空間で軽口を叩いたら未明に警察連行とは。実質的に罪になりそうな点が無いのですから人権抑圧勝手放題の国とは言え、あまりにも酷いと思えます。Kinbricks Nowの「誰が反日デモをしかけたのか?!中国系メディアは反日デモ報道を封殺―中国」はデモの大波が襲った16日のネットの状況をこうも書いています。「ネット掲示板にはデモの写真や動画のアップが続いていますが、それも削除されたところが多いよう。中国版ツイッターの新浪微博では『デモ(游行)』が検索できないばかりか、『散歩』(デモではなく、『たまたま』ひとところに集まった風を装う中国の運動方式)も検索できず。さらにさらに『日本』『西安』『成都』『鄭州』も夜には検索できなくなっていました。自国の主要都市さえ検索できないって一体」

 中国からTwitterへは正式には遮断されていることになっていますが、様々な方法でアプローチされ、その情報が新浪微博など国内ネットに流れ出る構図になっています。Kinbricks Nowでは四川省綿陽市でデモ隊を追っかけて実況中継した長編が翻訳されていて興味深い内容です。

 ちょうど良いタイミングで「Business Media 誠」に「『Twitterは中国に100%自由な言論空間を与えた』――トップツイーター安替氏の視点」が掲載されました。劉暁波氏の夫人、劉霞さんは現在は取り上げられましたが、受賞決定からしばらくの間、iPadを使ってつぶやくことができました。「劉霞さんのフォロワー数は5000〜6000人ほどで長らく推移していたのですが、劉暁波さんがノーベル賞を受賞した10月8日ごろから増え始めて、1万人を大きく超える数にまで伸びたことが分かります。それは明らかに、『劉霞さんが何を考えているか』を外部の人が知りたいと思ったからでしょう」と中国の先駆的ネットユーザーの情報を伝えています。

 ブログの場合は「だいたい半日に1回、管理者がチェックして、まずい情報が出た時にブログが削られるという管理が行われていました」「しかし、Twitterでは一瞬のうちにたくさんのツイートが投稿されるので、それをすべてチェックするためにはものすごく多くの人手が必要となり、その費用も莫大なものとなるわけです。そのため、Twitterに代表されるマイクロブログは管理できない状態になってしまいました」

 即時にブロックできなかったからといって、後になって冗談まで摘発する中国当局が相手では甘い見通しは控えるべきかも知れません。この自由な発言空間が守られ、中国社会に影響を広げていくかどうか、注目したいと思います。

 【参照】2010/10/11「中国でもTwitterは効く?白虎頭村の強制執行止まる」


韓国核融合記事で改めて気付く日本勢の独善

 先週、朝鮮日報が「韓国の人工太陽『KSTAR』、核融合に成功(上)核融合研、2000万度で6秒間プラズマを維持」と報じたのを見て、20年以上前に核融合を取材していた頃にタイムスリップした感じで目眩がしました。何億度到達が問われている現在、ニュースは超電導コイルを使った点だけですが、核融合による高速中性子を検出したと胸を張っていらっしゃいます。これを機に久しぶりに日本の核融合「業界」をサーベイしてみると、こちらも我田引水の独善ぶりでくらくらする思いでした。

 核融合研究は大型化にするにしたがってお金が掛かりすぎるようになり、各国ばらばらではたまらないのでフランスに建設する「国際熱核融合実験炉(ITER)」計画(1兆6000億円)に一本化されたはずでした。そこで超電導コイルが使われるので、韓国はその走りになります。サムスンの当該部門がそっくり移行して製作したそうで、やる気は買いましょう。しかし、微量の核融合中性子線が検出されたと騒いでいるのはあまりに時代遅れです。今や実験装置ながら膨大に出る中性子線による周辺物質の放射化が問題になっており「ITERや核融合炉の放射能は?」が「ITERでは、約20年間の運転終了後には約3万トンの放射化物があるとの試算がなされています。 100年後にはその放射能は、50万分の一になります」と説明しているほどです。

 実験装置でこれですから、定常運転する核融合発電炉と周辺の放射化には空恐ろしいものがありますが、低放射化材料がそのうち開発されるだろうとして発電装置を備えた原型炉への道筋が「核融合開発ロードマップと今後の原型炉開発への展望」(2009)で描かれています。核融合反応を最も低いプラズマ温度で起こせるのは重水素と三重水素(トリチウム)の組み合わせです。ITERは2020年代にこの反応を初めて本格的に使い、DT燃焼で大量の中性子を生んで熱に変え、発電につなげます。日本の原型炉はITER実験が全てうまく進む前提に立って設計を前倒しし、DT燃焼実験が終わる2020年代末には建設に入る性急さです。

 また、かつての「旗艦」実験装置JT60は役目を終わったはずでしたが、「JT60SA」としてもう一度建設される話になっています。SAは「super, advanced」の略で、こちらも超電導コイルを使い、ITERの相似形装置として運転条件の模擬に役立てるとか。運用は国際協力の枠内ですが、建設と実験は「国内のトカマク重点化装置としての費用は別枠で必要」といいますから、呆れてしまいます。国際的にITERに一本化したはずなのに、巨額を要するミニチュアを欲しがっているのです。「原子力政策大綱等に示している核融合研究開発に関する取組の基本的考え方の評価に関する報告書(案)に対する御意見」(原子力委員会)の冒頭で「JT60SA に期待するが、核融合エネルギー開発への貢献が見えにくい」と言われて当然です。

 昔から予算の分捕りには強い研究者が集まった日本の核融合「業界」で、独りよがり、独善は後発の韓国以上のものがあります。しかし、説明責任が果たせない巨大科学プロジェクトに大きな予算が付く時代は去ったと気付くべきです。

 【参照】親サイト、インターネットで読み解く!「科学・技術」分野


2010年代はネットもアジア太平洋の時代に

 世界人口69億人、携帯電話契約53億件、ネット人口20億人――立て続けに世界規模の人口関連統計が発表されています。特に注目しているのがインターネット利用人口です。国際電気通信連合(ITU)の「プレスリリース ITU estimates two billion people online by end 2010」を読んでみましょう。

 「家庭でインターネット使う人は2009年末の14億人から2010年末には16億人になる」「新たに増える2.26億人の内、1.62億人が途上国であり、急成長している」しかしながら「2010年末までに先進国では人口の71%がネット利用が可能な環境にあるのに、途上国ではまだ21%だ」「それを家庭でみると先進国は62%、途上国では13.5%にすぎない」

 このプレスリリースにはとても興味深いグラフが添えられていますので、以下に引用します。

 グラフの本体は2005年から2010年までの地域別インターネット利用者数の推移を積算しています。2010年で既にアジア太平洋が3分の1を占めていることが分かります。グラフの上には地域別に人口当たりのインターネット利用率が表示されています。アジア太平洋の21.9%に対して、南北アメリカは55%、欧州が65%と先進国は頭打ちの段階に近づきつつあります。過去5年間で世界のネット利用者は倍増しましたが、次の5年間でもその勢いを保つのはアジア太平洋と現在9.6%の利用率しかないアフリカでしょう。

 このグラフが5年後にどのように変化していくのか、想像してみましょう。全体の規模は30億人を少し超えた程度でしょうか。その中で、伸びしろが大きいアジア太平洋が過半数を占めているはずです。利用者数だけでパワーを測ることは出来ず、コンテンツも大事ですが、2010年代はこれまでの5年間とは違う時代がやって来ることを予感させるグラフです。


韓国GP、薄氷の準備。路面はF1カーに耐えられるか

 お隣、韓国がFIA(国際自動車連盟)から誘致したF1レースが今週末、木浦市近郊、霊岩郡の新設サーキットで開催されるのですが、サーキットの完成が遅れに遅れて、本当にレースが出来るのか、現在もなお疑問符が付いたままです。完成延期が繰り返し伝えられるたびに、この半年ほどネット上はとても賑やかでした。一応の舗装が出来たのが今月11日の最終査察直前であり、F1本番までに別のカーレースを開催する約束も実行されませんでした。路面にもの凄い力を及ぼすF1カーに、通常必要とされる養生期間を全くとれなかった路面が耐えられるのか、見物になっています。

 最新情報です。「F1-Gate.com」の「F1関係者、韓国の第一印象」には「ドイツの Auto Motor und Sport は、いまだ圧延機械がアスファルトの最上層に取り組んでおり、スターティンググリッドもまだスプレーされておらず『金曜日にならなければ路面がF1マシンのストレスに耐えられるかわからない』と報道」とあります。本来なら木曜日には各ドライバーに練習走行が許されるはずですが、それも無しのぶっつけ本番なのでしょうか。

 「F1韓国GP、サーキットでは工事が終わらず」(F1TopNews.JP)は「22日(金)にいよいよ開幕を迎える韓国GP。しかし、舞台になる韓国インターナショナル・サーキットは、完成にはまだまだ程遠い状態だ」「縁石が実際には設置されておらず、ペイントで縁石を描いているだけになっている部分があることも確認できる。スターティング・グリッドの枠線は、20日(水)になってようやく書かれたようだ」と伝えます。

 電気系統や下水設備も完全でないようですし、レースコースを跨いでメインスタンドに向かう橋が韓国の伝統様式で、瓦で葺いてある点にも疑問の声があります。大量の観客が通ると、建物は緩んできますから、瓦のコース落下が心配されます。また、敷設したばかりのアスファルトからは油が浮いてきます。超高速レースでのスピンは命取りになる恐れ大です。

 【レース本番10/24】
 コーナーに穴が出来るなど大変な出来ながら予選は何とか終了。本番の24日は雨でアスファルト敷いたばかりの路面には水が溜まりぱなし。日没まで時間が無くなって無理無理にスタートしたレースを今、見ていますが、スピンに巻き添え、水煙で前が見えない中でドライバーは大変です。
 なお、コメント欄の指摘にあるようにフリー走行は金曜でした。


高速炉もんじゅに出た『生殺し』死亡宣告

 福井県にある高速増殖原型炉もんじゅで原子炉内に落下してしまった炉内中継装置(直径46cm、長さ12m、重さ3.3トン)を引き抜く作業が13日、失敗に終わりました。毎日新聞が「もんじゅ:誤落下、中継装置抜けず 運転休止長期化も」と伝えましたが、技術的常識に従えば本格運転も廃炉措置も出来ない袋小路に追い込まれたと言えます。『生殺し』死亡宣告が出されたのです。

 炉内中継装置は「2本の筒を8本のピンで上下に接合した構造で、下から約5メートルの部分に接合部がある。この接合部あたりで抜けなくなっている」「引き上げ作業では、設計上の限界4・8トンまで引く力を段階的にかけて24回試したが、抜けなかった。もんじゅは構造上、装置を引き抜かなければ原子炉の運転ができない。現状では接合部が原子炉容器内部にあり、アルゴンガスやナトリウムで覆われているため、目視で調べることができない」

 10月1日に日本原子力研究開発機構から出された中間報告で「落下による影響はない」としたばかりでした。15日に開かれた県原子力環境安全管理協議会で、「委員の『炉内の傷の有無はどう確認するのか』との質問に、もんじゅの向和夫所長は『物理的に装置は真っすぐ落ちており、炉内や燃料にぶつからない』と強調した」(「もんじゅ、国の管理不備指摘 県安管協、炉内装置落下で」=福井新聞)のですが、落下した装置側に変形がある以上、ぶつかった先の炉内が無傷と考えるのは工学的に非常識です。

 読売新聞が「もんじゅ炉内装置落下 長期化恐れ/原因究明を 福井大・竹田所長に聞く」で今後の対処法を聞いています。「最終的には原子炉容器の上ぶたを外さないと、装置を取り出せないかも。しかし、冷却材用のナトリウムが空気と反応して燃えないよう、容器内にはアルゴンガスを満たしており、簡単にはふたを外せない。装置を壊して取り出すなどの方法を考えた方がいい」

 「装置を壊して取り出す」とまで言い出す点に、専門家がいかに困惑しているのかが現れています。原子炉容器の上蓋を外すにも、この炉内中継装置が健全である必要があります。なぜなら上蓋を外すとアルゴンガスが抜けて空気と触れた液体ナトリウムが激しく反応して燃え出しますから、まずナトリウムを抜いて置かねばなりません。冷却材のナトリウムを抜く前には、炉心から燃料棒を全て引き抜く必要があり、燃料棒を炉外に出す装置がこの炉内中継装置なのです。第215回「もんじゅの炉心用装置落下、死んだも同然に」に引用した図「原子炉内での燃料交換と移送」をご覧ください。燃料移送の要の位置にあります。

 では原子炉容器の上蓋を開けるのを避けて、装置を壊せるのかです。下の図は原子力機構が公表しているもので、厚さが3.695メートルもある上蓋の穴に炉内中継装置がはまっています。

 直径46cmのパイプ状ですから、内部に何らかの切断機械を押し込んで壊すだけなら可能でしょう。しかし、パイプの下は原子炉内ですから、大きな破片はもちろん小さな切削片すら落とすことは許されません。不透明なナトリウム液中で回収は不可能で、本格運転した際に物理的な損傷や炉心中性子分布の異常を引き起こします。滅茶苦茶に厳しい条件で、現状では壊して引き上げる方法を知りません。ロボット装置のようなものを研究開発すれば何年もかかるでしょうし、出来ない可能性が高いと思います。

 運転も廃炉も出来ない『生殺し』を避けるわずかなチャンスが残っています。健全でないと判っている炉内中継装置、その下の炉内にも何かの異常があることに目をつぶって燃料棒を炉外搬出するのに使ってしまうのです。もし全て搬出できればナトリウムを抜いて作業が出来ます。しかし、燃料搬出の途中で止まりでもしたら、旧ソ連チェルノブイリ原発のような『永遠のお荷物』が出現します。

 (2011/6/10お知らせ:この問題を検討した最新記事は「高速炉もんじゅ落下装置引き上げに工学的無理」です)

 【参照】インターネットで読み解く!高速炉もんじゅ関連エントリー


米国住宅ローン問題の病根深く景気は戻らず

 リーマンブラザーズ破綻などの米国発、世界金融危機を引き起こした住宅サブプライムローン証券化がまた亡霊のように蘇って米国経済の首を絞めているようです。今日の日経新聞「差し押さえ住宅 米金融、売却停止広がる」での「物件の競売に際し、書類に不備のあった事例が多いとの疑いが浮上」とは単純な手違いではなく、ローン証券化とその世界規模販売による副作用で、問題物件の所有権者が判然としなくなった事態を指します。

 先週末に米銀行大手バンク・オブ・アメリカが全米で差し押さえ住宅の転売を一時やめると発表し、12日には米金融サービス会社アリー・ファイナンシャルも全米で住宅競売を一時停止しました。「全米50州の司法長官、住宅差し押さえで共同捜査着手−金融機関対象」(ブルームバーグ)は「銀行やローン回収業者が不適切な書類や署名を用いて数十万件にも上る差し押さえを正当化しなかったか、共同で捜査に乗り出す」としています。

 「Market Hack(外国株ひろば Version 2.0)」の「ロボ・サイナー問題とは何か? アメリカの不動産市場、オワタ」がこの間の事情を説明してくれます。

 「マイホームのオーナーが住宅ローンが払えなくなり、住んでいる家を銀行が差し押さえするとき、銀行の担当者が『この物件の所有権はまちがいなくわが銀行にある』という宣誓書(affidavit)に無造作にサインする」「『アンタ、これ本当にアンタの銀行の所有だって、証明できるの』そう異議を唱えたのは不動産名義保険会社(タイトル・インシュアランス・カンパニー)です」不動産登記システムが信頼できない米国で「タイトル・インシュアランス・カンパニーは誰から誰へと所有権が変わってゆく物件の歴史をしっかり追跡、記録しています。言わば『私設不動産登記所』みたいなイメージです」

 「アメリカで庶民がマイホームを購入するとき住宅ローンを銀行から借ります。銀行は殆どの場合、そのローンを第三者に転売します」「転売されたローンをひとまとめにして(証券化)さらに取引するということが行われてきました」「JPモルガンやバンク・オブ・アメリカの担当者が差し押さえを実行するにあたり『もちろん、この物件はオレのものだよ』という宣誓書にサインしたのに対し、タイトル・インシュアランス・カンパニーは『アンタ、この権利はバラバラにされて、転々と転売されてきたのに、これが本当にアンタのものだと、本当に調べたの?』と言っているわけです」「でもこれを調べ始めたらいままで輪切りにされ、転売された証券化商品の歴史をぜんぶ遡らないといけないわけで、『ヒト・ゲノムの解読作業』みたいな膨大な作業が待っているわけです」

 こう説明してもらえると事態の深刻さ、病根の深さが見えます。差し押さえ住宅の競売すらままにならない状況が続けば、住宅市場の回復などありません。景気回復が見通せなくなっているためにドル安は続くでしょう。米国で住宅価格が上がり続け、庶民は値上がり分を消費に振り向けて消費ブームを謳歌していた「昨日」が嘘のようです。

 「米国 住宅差し押さえ状況」(記録)が拾っているブルームバーグからの数字は興味深いと思います。9月に「デフォルトや競売の通告を含む差し押さえ手続き開始件数は前月比3%増の34万7420件で、これは全米で371世帯に1世帯の割合で通知を受けた計算になる」、「手続きの不備を受けた住宅差し押さえの遅れは米金融機関にとって1カ月当たり20億ドル(約1600億円)のコスト」などです。 いずれも1カ月の数字なのです。


前特捜部長ら拘置延長、供述調書1通も作成されず

 大阪地検特捜部の証拠改ざん・犯人隠避事件で拘置されている前特捜部長・大坪弘道(57)と元副部長・佐賀元明(49)両容疑者が拘置延長を不服とした準抗告について、読売新聞が《「いたずらに身体拘束」…犯人隠避、前特捜部長ら準抗告で検察批判》と伝えました。最高検からのリークが連日、マスメディアで大きく扱われる中で世間の心証は有罪に振れており、検察捜査の在り方に慎重であるべき事件だけに是非とも必要な記事でした。

 「2人は最高検の調べに、故意の改ざんと伝えられたことを否定している。供述調書は1通も作成されていないという」「大坪容疑者の準抗告申立書では『逮捕前に参考人として長時間の取り調べを受け、自白するよう強く誘導された。これまでに自らが認識している事実をほぼ供述しているので、強要されない限り、新たな供述は生まれない。自供に追い込むためにいたずらに身体拘束しているに過ぎない』などと批判している」

 まさしく従来型の思いこみ検察捜査が密室で進められているのです。村木事件でこれが駄目だったのだとの認識が、まだ最高検に出来ていないことが不思議です。自分の見立て通りで最後まで突っ走る捜査は止めていただかなければなりません。今回、取り調べ状況の可視化が要請されたのに拒んだので、それなりに配慮しているのかと思いましたが、やっぱりでしたか。

 もう一度、申し上げて置かねばなりません。「逮捕の特捜幹部は最高検の見立ては間違っていると全面的に争う姿勢だといいます。マスメディアの報道も従来の検察報道パターンと変わっておらず、冤罪の可能性を担保する姿勢が希薄です。全体の構図がとても歪んでいて、奇妙だと思います」(第221回「信頼が無い最高検が特捜幹部を逮捕しても」から)


中国でもTwitterは効く?白虎頭村の強制執行止まる

 中国最南部、広西チワン族自治区北海市に属する白虎頭村で武装警官数百人による村民追い出しと家屋取り壊しが7日から始まり、Twitterで現地から実況が流されていましたが、強制執行は止まったようです。「ついに中央介入か。何故か止まる強制執行」(中国という隣人)が「お隣広東省を根城とする南方都市報が先頭切って報道を行ったことで、流れが変わりそうです。南方の記事を新浪、捜狐などのポータルサイトが転載したことで、政府が乗り出す下地を作りつつあると見られます」と伝えています。

 独学で日本語を学んだという中国人高校3年生がツイートを翻訳してくれ、それが「<その2>【実況】中国農村の土地強制収用」でまとめて読めます。青い「死に装束」の老人が覚悟を固めてプロパンガスボンベの前にいる写真や、瓦礫になった家の現場写真も出ています。中国の人権抑圧がこんな形で生々しく世界中に流されるとは驚異的です。

 8日のツイートで「マスコミの記者多く到着。政府の取り壊し行為は一時的に中止」「午後2時10分、村人:『北京からの二人の記者が警察につれて行った』。午後3時、政府の取り壊し行為は一時的に中止」とあって、地方政府もごり押し出来なくなったようです。

 経緯は《「武装警官が突入してきた」土地強制収用の生々しいツイッター中継=蹂躙された人々の悲痛な叫び―広西チワン族自治区北海市》(Kinbricks Now)にあります。これだけ話題になったのは「中国版ツイッター・新浪微博で実況され、中国中のツイ民が注目する事態となったから」で「武装警官1000人が村を包囲」「消防車や救急車が待機。当局、やる気だ…」「武装警官が窓から入ってきて、村民を引きずり出した」「ぶっ壊される自宅を見て涙する村民」「最後まで戦うべく、火炎瓶の準備を急ぐ」などが現地から流されました。

 昔なら電話線を切断すれば済んだのでしょうが、携帯電話やモバイルパソコンには手の施しようがありませんね。ウェブ上の情報については「百度で検索すると、今春までは違法土地収用に関する記事がどっさり。ところが6月以後、ニュースが完全に消える。明らかに『河蟹』(検閲を指すネットスラング)された」そうですが、リアルタイムのTwitterをブロックするのは難しいはずです。

 【参照】これまで書いてきた「インターネットで読み解く!」『中国』関連ファイル


公務員給与水準グラフが見せた、なれの果て日本

 「社会実情データ図録」の最新リリースグラフ「図録▽OECD諸国の公務員給与水準」で日本の公務員数比率とGDP比の公務員給与比率がいずれも最低と示されて、ネット上で話題になっています。「はてなブックマーク - 図録▽OECD諸国の公務員給与水準」にはショックを受けた感じのコメントも見られます。

 グラフ制作者の意図は、縦軸に公務員給与比率、横軸に公務員数比率をとって一次近似直線を引き、その直線からの乖離具合で公務員給与が高めか低めかを考えようとするものです。「日本についても、この直線より下であり、給与水準が高いとは言えない。ただし、図録5193で見たとおり、日本の公務員は高年齢化が相対的に進んでいないので、勤続年数の長い高年齢公務員が少ないせいもあって、給与水準が相対的に低く出ている可能性もある。同一年齢、同一役職で給与水準がどうかは、そのための調査をしない限り分からない」「日本の公務員が給与的に恵まれているとしたら、それでも、海外の公務員が恵まれている程度以上ではないことを示している」

 ネットを最も利用している若い世代で非正規雇用化が恐ろしい勢いで進み、半数を占めようかとしています。9月末の国税庁・民間給与実態統計調査で民間企業の平均給与が2009年は前年比5.5%も減ったことが伝えられるなどして、安定している公務員への風当たりが強まっています。しかし、今回のはてなブックマークを見ると「公務員の人数比において諸外国と比べて圧倒的に低いということは言える。これで公務員削減するの?」「これさ、“人件費”がかかってないんならじゃあどこに金がかかってるんだ?って話になるわけだよね。そこが問題の根源だよね」「これでも日本国内の価値観は『公務員=勝ち組』。とってもふしぎだね」と驚きがあります。

 疑問を感じたら出典データにあたればよいわけで、OECDの「Government at a Glance 2009」を見ましょう。まず政府・自治体のコスト内訳を示す「8.1. Production costs as a percentage of GDP (2007)」と、労働力人口に対する公務員の割合「9.1. Employment in general government as a percentage of the labour force (1995 and 2005)」のグラフを掲示します。


 政府コストの青色部分が公務員給与比率で日本は6.2%しかなく、最低です。それでもGDPに対する政府コストの割合はOECD諸国最低ではなく、赤色部分の公共事業費などが大きく積み上がっています。「図録▽OECD諸国の公務員給与水準」は下の公務員数比率(日本が最低の5.3%)とを抜き出して関係を見ていた訳です。実際の歳出合計には膨大に積み上がっている国債・地方債の償還が大きく加わります。

 ここにもうひとつ歳入構成である「2.1. Structure of general government revenues as a percentage of GDP (2006)」のグラフを加えると財政状況の見通しが良くなります。

 こちらもGDP比で描かれており、下の黒っぽい部分が社会保障関係を除いた純粋の税収です。日本は18.0%でスロバキアの17.6%に次いで下から2番目です。最高であるデンマークの48.5%など北欧、3割前後の英仏、21.5%の米国に比べても際立って低いのです。

 このような特異な国の在りようを志向して出来たのではありません。総じて言えば冷戦終結後、日本をどのような国家にするのか、本格的に議論することなく、いや議論を避けて、ずるずると公共事業だけ続けてきた、なれの果てですね。「Government at a Glance 2009」には興味深い分析グラフがまだ多いようなので時間をとって眺めてみます。

 【参照】親サイト、インターネットで読み解く!「政治・経済」分野


過剰なノーベル賞騒ぎ、もうお終いにするべき

 ノーベル賞の日本人受賞者が18人にもなっているのに、最初の数人の頃と変わらぬお祭り騒ぎ、あるいは準備が出来ているためにもっと過剰なマスコミ報道が続いていると感じます。無意味な騒ぎはもう終わらせ、淡々と伝える時期が来たと思います。サーチナが《【米国ブログ】ノーベル賞受賞者に殺到する日本メディア「文化の違いを感じた」》でパデュー大学や根岸教授宅周辺での、日本取材陣の過熱ぶりを目撃した米国人ブロガーの反応を伝えています。

 「日本では、多くの朝のテレビ番組が、パデュー大学の根岸教授と中継で放送を行い、さらに日本の夕方のニュースに備えて、根岸教授の周辺に残っていると驚きをもって伝えている」「米国メディアについては、地元の放送局2社が取材に訪れ、撮影を終えたらすぐに帰り、その後、正午ごろにAP通信のテレビが取材に来て、撮影した映像が全米のテレビで放映されていたが、その他の米国メディアは訪れなかった」「日本のテレビ局各社は、朝のテレビ番組で何か独占的な内容をいれようとやっきになっている様子で、カメラマンと中継車は、根岸教授の家のすぐ側にとどまり、教授が飼っている猫が出てきただけでも、その一瞬を逃がすまいと撮影に専念していたそうだ。また根岸教授の周辺の人々は、慣れないインタビューに戸惑っていたと伝えている」「筆者は、プライベートな部分にまで立ち入る日本のメディアの過熱ぶりに、驚きを隠せなかったとつづっている」

 日本国内での取材ぶりを知っているので想像が付きますが、マスメディアとして事の本質とこれだけ懸け離れた取材をしていて恥ずかしくないのでしょうか。また教訓を引き出すのが仕事とは言え、根岸教授の発言で「受験戦争の支持者」という部分を切り出して見出しにするのもいかがなものかと思えます。空騒ぎも読売新聞の「ノーベル賞・鈴木さんの座布団発見、展示へ」あたりまで来ると、もう勘弁して欲しいと言わざるを得ません。

 【参照】「インターネットで読み解く!」ノーベル賞関連ファイル


ノーベル化学賞らしい地味な研究に日本人2人

 ノーベル賞の中でも化学賞は特に地味な分野で、研究の面白さを一言で言い表しにくいことが多いのです。この賞が今年、根岸英一・米パデュー大特別教授(75)、鈴木章・北海道大名誉教授(80)、リチャード・ヘック・米デラウェア大名誉教授(79)に与えられると発表されました。メディアからネット上にも色々な情報が提供され始めています。狙いを絞った化合物を的確にかつ容易に合成できる方法を開発されたのですが、共通して特許を取られなかったと知って、研究者魂のようのものを感じました。

 根岸さんの声は《根岸さん「受賞は現実的な夢だと思っていた」》(読売新聞)にあります。ストックホルムのノーベル賞発表会場から電話でつないだインタビューで「――特許は取りましたか?」と聞かれ「クロスカップリングについて意図的に取っていません。多くの人が使いやすくするためです」と答えています。

 鈴木さんについては日経新聞が昨年の記事「新合成反応、30年経て脚光――有機ELや医薬、日本の技術貢献(日曜版)」を掘り起こしています。「鈴木名誉教授は、クロスカップリング反応に関して特許を出願しなかった。米国の研究者仲間からは『もったいないことをした』と指摘されるが、『当時、大学の教官が特許を出す雰囲気は全くなかったから』と振り返る」「仮に特許を出願していれば、企業はこの方法を回避する道を選んだかもしれない。『特許にしなかったので使いやすかったのでしょう』(鈴木名誉教授)。応用が広がった隠れた要因といえそうだ」

 人生万事塞翁が馬――なのですね。医学生理学賞を受けた体外受精開発のロバート・エドワーズ英ケンブリッジ大名誉教授と同様に、1970年代からの仕事が評価されての受賞です。ある研究分野が大盛況を迎えているとき、その分野のブレークスルーを起こした第一人者を特定して顕彰するのがノーベル賞の王道です。だから良い仕事をしても長生きしなければいけません。逝ってしまった惜しい人を思いながら、ニュースを聞きました。


検察審再議決、マスメディアの困った論調

 小沢一郎・民主党元代表をめぐる政治資金規正法違反事件で、東京第5検察審査会が2度目の議決をし、小沢氏の強制起訴が決まりました。読売新聞の社説《検察審再議決 小沢氏「起訴」の結論は重い》をはじめとしてマスメディアは再議決に乗った形の論調を展開しています。予想はしていましたが、こうまで横並びだとはがっかりです。

 読売社説は「『有罪の可能性があるのに、検察官だけの判断で起訴しないのは不当で、公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけるべきだ』とする検察審の指摘を、検察は重く受け止めなければならない」と主張するのですが、司法の取材を担当した経験があれば暴論としか思えないはずです。これでは起訴のハードルが限りなく下げられ、起訴される事件が大幅に増えるでしょう。日本の司法制度が根底から狂ってくることになります。

 「情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)」の《小沢起訴は、検審が「国民の責任において、公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度」だから》は「検察審査会は、有罪であることが明確であるにもかかわらず、起訴していない事例についてのみ、強制起訴の判断をなすべきであることも明白だ」「秘書が5年前に小沢氏に報告したか、どうかを裏付けるものはない。密室での取り調べの中で報告したとの供述があるようだが、その後訂正されている。5年前のことについて記憶がゆらぐのは当たり前であり、物的な証拠もなしに、100%近い確率で有罪にできると言い切れるだろうか」と指摘、「検察審査会は、超えてはならない一線を越えたように思う」と述べています。

 読売社説の結語は「無責任な検察審批判は慎むべきだろう」ですが、この議決をきちんと検証できない論説委員しかいないのなら、新聞社に論説委員室などという組織は全く不要です。

 【参照】第199回「政治家とマスコミの愚、公認会計士が直言」


信頼が無い最高検が特捜幹部を逮捕しても

 大阪地検特捜部の証拠改ざん事件は、当時の特捜部長らの逮捕にまで発展しました。事情を知らないでいれば最高検が身内の犯罪に厳しく襟を正しているように見えるのですが、第218回「無罪判決、検察特捜部の劣化にどう責任とる」で指摘したように、村木厚子・元局長の事件で強制捜査と起訴を容認したのは最終的に最高検なのです。国家権力を執行する当事者が、部下が全部を報告しなかったから犯罪だと騒ぎ、一方で逮捕の特捜幹部は最高検の見立ては間違っていると全面的に争う姿勢だといいます。マスメディアの報道も従来の検察報道パターンと変わっておらず、冤罪の可能性を担保する姿勢が希薄です。全体の構図がとても歪んでいて、奇妙だと思います。

 「Japan Blogs Net」で拾っても、多数の方がこの問題を取り上げていらっしゃいます。

 「大石英司の代替空港」の「検察を裁くのは誰?」は「日本の検察に於いて、このような組織的な犯行が成されることを、日本の司法制度は全く想定していない。言ってみれば、現代に於ける特高組織ですよね。彼らを監視して裁く仕組みが無い。検察が組織的な犯行に及んだ場合、やっぱりそれを裁くのは検察なのか? 泥棒に荒縄をなわせるのはやっちゃ行けないことです」「アメリカでは、ご存じのように自治体検察のトップは選挙で選ばれます。そういう仕組みをそろそろ検討すべき時期も知れないですね」と踏み込んでいます。

 「■法、刑事裁判、言語を考える」の「■特捜検事証拠かいざん事件ー特捜幹部逮捕」は「危機管理のできない正義の味方。内に敵がいた途端に、全面崩壊に近い」と指弾し、「(1)『特捜解体』をさっさと宣言すること」から「(5)上村裁判での公訴取消ー刑罰権行使不適格の宣言」まで厳しい5項目を掲げ、「こんなことを迅速に果敢に行わない限り、特捜捜査など国民が信頼しない。さらに、検察捜査も社会が拒絶する」とまで主張しています。

 「中山研一の刑法学ブログ」の「元特捜部検事の談話」は検察OBに今なお「特捜検察の原点に帰れ」といった時代の読み違えがあるとしてき、「ここまで来てしまえば、取調べの適正化のために、『全面可視化(録音・録画)』は避けられないのでないか、という意見も出ていることが注目されます」と述べています。

 「ビジネス法務の部屋」の「(元)京都地検次席検事逮捕への雑感・・・・・」は内部で告発した女性検事について「内部告発代理人や内部通報窓口業務の経験からすると、やはり女性の力はすごいなぁと改めて感じます。組織を動かすのは、やはり今回も」「もし調査をしないのであれば、私は検事をやめます」と発言した女性検事であり「組織の空気を変えることができるのは、やはり女性の力だと改めて認識したような次第であります」と感想を書いています。

 最高検がしている捜査は形だけ整っているようで、この事態に対して、国民が本当に望んでいる対処ではないと考えます。今回の捜査だけについても、弁護士や法律学者による第三者組織を早急に立ち上げて委任すべきでしょう。


中国嫁日記がブレーク。不毛の日中対立に清涼剤

 ほのぼの漫画ブログ「中国嫁日記」がこの数日で大ブレークしたようです。40代の日本オタク男性と20代の中国一般女性の出会いや生活、これまでを4コマ漫画で描いていて、「今、中国嫁ブログこんな感じ。今までの閲覧... on Twitpic 」によると9月29日には1日のアクセスが5万件を超しました。ずっと続く不毛で愚かしい日中対立に、一服の清涼剤と感じる人もかなりいらっしゃるようです。掲示板などの評判でそうした発言が散見されます。

 《初めて食べた「お好み焼き」》なんかの中国嫁、表情が確かにチャーミングです。

 この夏、第213回「中国との国際結婚は嫁日照りから次の段階へ」で紹介したように、両民族間の結婚事情に大きな変動が生じつつあります。国家の付き合いもどうにかして欲しいものです。そこで取り上げたブログ「嫁さんは中国人」の筆者は「中国政府が煽っているのは間違いないのですが、中国や台湾などでは『反日』がまた本格化し、デモだけでなく、破壊活動に出るという悲しい現実があります」と嘆いています。