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2010年9月のエントリー一覧

9/25 京大さん、日経さん、ネット調査信頼は無茶
9/24 10年連続200安打、まだまだ夢は続くイチロー
9/21 地検特捜の劣化を個人の資質としてはならない
9/19 戸別所得補償が米専業農家救出に効き始めた
9/17 電子書籍、登場直前?の気になる周辺情報
9/13 新聞がウェブの使い方を変えつつあるよう
9/12 お隣の惑星、火星の驚異に満ちた高解像写真
9/10 無罪判決、検察特捜部の劣化にどう責任とる
9/08 時間67ミリ豪雨で首都水没、Twitterで実況
9/05 男性で逆だったコレステロールの善玉と悪玉
9/02 2年延期でも完成は無理?六ケ所再処理工場

京大さん、日経さん、ネット調査信頼は無茶

 8月に京都大や同志社大などのグループがインターネット調査で約1600人調べた結果、「理系は文系より年収が100万円高い」と発表したので、《「理系が文系より高給」京大さん、それは無茶》で批判しました。マスメディアがこうした発表があったと伝えるのは中身にどんな問題があろうと構わないのですが、9月20日に日経新聞が事もあろうに教育面でグループのリーダー、西村和雄・京大特任教授の寄稿を大きく掲載しました。これでは日経新聞としてオーソライズしたことになります。世論調査を手がけた経験者には当たり前の「インターネット調査はきちんとした社会調査に使えない」との常識が欠けているのは大問題です。

 日経新聞の見出しは「理系卒、職業選択肢広く/京大特任教授ら調査/年収、実は文系よりも高く/定説は誤り/文理問わず勉強を」となっています。このグループは2000年と2001年にも私立3大学の文系学部卒業生の平均年収を郵送調査し、入学試験で数学を選択した方の748万円に対し選択しなかった方は641万円(2000年分)などの結果を出しているそうです。「数学を勉強しても社会で役に立たない」と言われることへの実態調査だそうですが、文系進学でも数学を選択できた能力の高さが反映しているだけともとれます。

 今回のインターネット調査は「予備調査で約9万人のサンプルに配信した上で大卒者6870人に絞って配信し、2152人の有効回答から分析に用いる変数に欠損がない1632人を分析した」とだけ説明されています。その結果が平均年収で文系(平均41.11歳)583万円に対し、理系(平均41.05歳)が681万円と高く、これは年齢別でも大学の難易度別でも同じだったといいます。文系で数学選択の有無をみると、636万円対506万円で数学選択者が高く、前回同様といいます。

 このインターネット調査だけで結論が出せる度胸の良さに唖然としました。この1632人がどうして日本の大学卒業者全体を代表できるのか、どこにも説明がありません。たまたま調査会社に登録した人から大卒者を選び、3割もない有効回答率の下で議論をしています。年収は完全に自己申告でしょうから正確とは思えません。また、テーマが収入であることを考えると、ネット調査会社に登録してお金を得ようとしている人ばかりが対象となれば、かなりひねくれた偏り、いわゆるバイアスがあると考えられます。

 広く認められている世論調査でサンプルを集める手法は層化2段無作為抽出法と呼ばれます。調査地点を最初に選びます。全国3000人調査なら、1地点10人として300地点を全国から選んできます。その際に全国から集めてもどこも都市中心部だった、では困ります。地点の性格を商業地、住宅地、工業地帯、農林漁業地区などに分類、全国的にみてこの地区性格の割合も全国の縮図になるようにランダムに選びます。「層化」とはこういう意味で、2地点しか選ばれなかった小さな県では都市部なしの田舎ばかりというケースもあります。

 新聞社ではあらかじめいくつもの全国調査地点セットを用意しておき、必要に応じて使い分けます。面接調査をするなら有権者名簿や住民基本台帳で地点ごとにもう一度、ランダムサンプリングして対象者を確定します。最近多い電話調査の場合は、電話番号の下から3桁目以上が所在地を表しているので、調査地点に入る電話番号を集めてきて、コンピュータでその中からランダムに番号を発生させます。電話帳に載せず、誰にも知らせていない番号でも掛かることがあります。

 内閣府が2008年に調査研究「世論調査におけるインターネット調査の活用可能性〜 国民生活に関する意識について 〜」を実施しています。上述の層化2段無作為抽出法で得た20歳以上全国1万人調査と、年齢・性別の人口構成を合わせたモニタ5359人によるネット調査の結果を比較する研究です。有効回収は面接が6146人、ネットが1500人です。面接分からネットを毎日使う2088人を取り出した結果も並べられています。

 所得・収入での満足度を尋ねると、ネット調査では「満足2.2%、まあ満足25.7%、やや不満28.9%、不満38.3%」に対して、面接の世論調査は「満足5.6%、まあ満足35.2%、やや不満37.4%、不満20.3%」で、ネット側の不満の高さが目立ちます。面白いのは面接分でネットを毎日使う層が両者の真ん中に入るのではなく、不満度は一番低いのです。ネットを使う人の中でもネット調査モニタはかなり特異です。「現在の生活の充実感」などの質問でも同じ傾向です。

 研究の「比較分析」はネット調査と面接の世論調査について「結果を見ると,前回と同様に,経済面とはそれほど関連しない『時間のゆとり』においては差異が小さく,『今後は心の豊かさか/まだ物の豊かさか』,『将来に備えるか/毎日を楽しむか』など,経済面に大きく関連する分野においては差異が大きい」と述べ、「現時点で世論調査が直ちにネット調査に置き換えられる可能性はほぼない」と結論づけています。

 社会調査も科学として見れば、現実に起きている事象・現象の観測行為です。何を観測しているのか説明できないのに、結果だけを一般化してしまうのは最悪です。京大さん、日経さん、それは無茶です。


10年連続200安打、まだまだ夢は続くイチロー

 気分の晴れない極東の空気にすかっとしたニュースでした――イチロー10年連続200安打達成で、大リーグ史未踏の名を刻みました。今年の場合は、10年連続ではないけれど200安打10回を記録している名選手ピート・ローズとの確執がありました。ローズは並ばれるのが不愉快なのでしたが、イチローは試合後のインタビューでこうコメントしています。「200安打10度でローズに並んだ」と尋ねられて「ぜひ超えてあげたいですね」。

 スポーツナビの「イチローの内野安打は“ラッキー”なのか? 10年連続200安打を追って」で、問題のローズ発言が紹介されています。「先日、ローズは『イチローは世界で一番ラッキーな選手だ』などと話した」「それは、内野安打が多いことを指摘したものだが、ローズの考えでは、内野安打はすべてとは言わないまでも『偶然の産物』。つまり、“ラッキーによるもの”ということのよう」

 期せずして日本でも久しぶりに200安打が話題です。阪神のマートン選手が今期201安打を記録し、ヒットの分布が分析されています。内野安打はわずかに18本です。イチローの大リーグでの内野安打数は、上の記事から引用するとこうなっています。

 2001年 : 56本
 2002年 : 53本
 2003年 : 45本
 2004年 : 57本
 2005年 : 34本
 2006年 : 40本
 2007年 : 57本
 2008年 : 56本
 2009年 : 63本
 2010年 : 55本(9月21日現在)

 「“ラッキー”で毎年毎年、年間50本前後の内野安打など打てまい」――まさにその通りです。イチローはフライを打たない、ゴロの多い選手で、ヒットに出来る可能性を求めて意図的に転がしています。内野手が慌てて球をとり、イチローの俊足と勝負するスリリングさが名物になっています。左サイドへのゴロの数はフライより多いのだそうです。

 大リーグの「MLB.com」はトップページに「Ichiro's 200th hit extends own record, ties Rose」の見出しを掲げています。そして、記録達成のビデオを見ると中前打を放った瞬間にガッツポーズで立ち上がる観客がたくさんいて、ちょっと熱くなります。場所はアウェーのトロントで、日本人でもないのに、です。30秒は拍手が続き、遠慮していたイチローがようやくヘルメットを掲げて応えるシーンも善いものでした。


地検特捜の劣化を個人の資質としてはならない

 朝日新聞のスクープ「地検改ざん疑惑」でマスメディアは一斉に、前田恒彦・主任検事の犯罪と言うしかない証拠フロッピーの日付データ改ざんを報じています。最高検が証拠隠滅容疑で異例の捜査に乗り出し、逮捕にまで至っているのですから当たり前ではありますが、厚生労働省の村木元局長郵便不正事件での無罪判決について、検察に同調してきたマスコミの反省は十分ではないと感じているので、違和感があります。地検特捜の劣化を個人の資質として逃げることになる恐れを強く感じます。

 検事が証拠を改ざんする事態は刑事訴訟法では全く想定されていません。「ビジネス法務の部屋」が「検察の捜査資料改ざん事件(特捜検事のコンプライアンス)」で「郵便不正事件の無罪判決以上に驚くべきことであり、弁護士としては戦慄を覚えます」「もし私が弁護人だったら、まず今回の事件を枕詞として利用し、検察庁ではこういったことが行われているのです・・・これから始まる裁判でも、同様のことが行われているかもしれません・・・と、裁判員の方々に説明することになると思います」と述べるほど、法律の専門家の背筋を寒くしました。

 そうであるが故に、最高検の「捜査」で国民に対する説明責任が果たせるのか、どのような結果が出ても納得できない感じがするのです。村木裁判で最高検は、大阪地検特捜部の捜査、起訴、裁判での立証を、事前協議の上で了承してきたのであり、当事者そのものです。そして、最高検は判断を誤った今回の無罪判決に対してきちんとした自己検証をしていません。前田検事の個人的な「犯罪」がクローズアップされ、マスコミがそれを伝えることでマスコミ自身も地検に同調してきたことを免罪してしまうのは、冤罪問題の将来を見据えてとても拙いことではないでしょうか。

 3月の「地検特捜の捜査ここまで劣悪。東京も大阪も」で「大阪地検特捜部の捜査がいかに劣悪か、笑い出したくなるほど明白になってきました。しかし、こんな面白いニュースに対してマスコミは出来るだけ踏み込まず、扱いを控えめに努めているように見えます。NHKにいたっては、ここでも地検の側に立って報道する姿勢です。東京地検特捜部の小沢政治資金疑惑事件といい、検察当局とマスメディアは『心中』するつもりなのでしょうか。これから国民から生じるリアクションの大き、深刻さを思うと愚かしさに唖然とします」と指弾した立場から強い懸念を表明しておきます。

 【参照】2010/9/10……第218回「無罪判決、検察特捜部の劣化にどう責任とる」


戸別所得補償が米専業農家救出に効き始めた

 新米価格が大幅に下がって消費者にはうれしいニュースだが、農家や農協から悲鳴があがっているとマスメディアは伝え、民主党政権の農家戸別所得補償制度は小規模農家も救う仕組みなので、農水省は「心配ありません」と構えています。ところが価格下落でこの制度は大規模な米専業農家支援に効く性格であることが表面化してきました。2007年の「専業農家の救出を急がねば稲作は崩壊」で心配した稲作崩壊に歯止めが掛かりそうです。

 「今日の一貫〜大泉一貫のBlog」の「戸別所得補償の性格は明らか 朝日9月5日 日経9月7日」に朝日新聞が東北大と実施した農家アンケートによる記事「戸別補償、恩恵に差 大規模農家、投資に活用 小規模農家、生活費に」が収録されています。大泉一貫宮城大副学長は記事中のコメントで「少額の補償があっても、米価の下落が今後も進めば小規模農家は救済できない。制度を修正するとすれば、補償の対象を大規模農家に限ったり」と、制度の手直しを主張しています。

 秋田県大潟村で親の代から続けた反減反を止め、戸別所得補償制に転じた大規模農家の計算です。「すべて主食用米を植えた一昨年は1600俵余りの収穫があった。1俵(60キロ)1万4千円で2290万円余りの売り上げ。だが、仮に今秋1万2500円まで下がれば、245万円の減収となる」「減反に応じれば、6割(10・9ヘクタール)しか主食用米を作れなくなるが、そこに1ヘクタールあたり15万円、計163・5万円が補償される。残り6・3ヘクタールの転作部分では加工用米をつくる。ここには1ヘクタールあたり20万円の転作補助金が出る。合計で一昨年よりも50万円余りの増収になる。村の半数を占めていた反減反派の7割にあたる約180人が同じ理由で、減反参加に切り替えた」

 コメ専業農家は農村部でも人口的には少数派ですが、日本の稲作を支えているのです。民主党の戸別所得補償は選挙目当てで考えられ、小規模零細農家まで救うことで票を集めようとしました。それが成功して動き出してみると、大多数を占め、漫然とコメを作っている小規模農家には補償は借金の穴埋めにしかなりません。貿易制度や経済の荒波から逃げていたい、旧態依然とした小規模農家には単純に米価が高い方が善いのです。「JAcom 農業協同組合新聞」の「正義派の農政論」「低米価政策へ転換する本当の理由」がそれを代弁しています。

 「政府は米価の下落を放置している」「隠された本当の理由がある。それは、今後、米価を低く抑える低米価政策へ、ひそかに転換しようと目論んでいるからである」「この制度を充実すれば、安心してFTAなどを推進できる、という訳である」「そのためには、膨大な財政負担が必要になることである。いまの日本の補助金割合は、表で示したように8%で、EUは41%だから、補助金を5倍に増やさねばEC並みにならない。いまの財政状況では、それは不可能だろう」「この制度を続けられたとしても、もう1つ重大な問題がある。それはカネの問題ではない。農業者の心の問題である。特に米の場合、所得の大部分が補助金になるような、この政策を、農業者の誇りが許さないだろう。その結果、米作りをやめてしまうだろう」「米の緊急買い上げを速やかに実施するしかない」「買い上げた米は、棚上備蓄し、あるいは、米粉米や飼料米として活用すればよい。そうすれば、日本農業の明るい未来が見えてくる」

 拠っている基盤が戦略的に米作りを考えている専業農家ではなく、農協が抱えている多数派・小規模農家であることは明らかです。

 9月になって2010年農林業センサス(速報値)が発表され、専業的な農業就業人口は260万人と、5年前に比べて75万人も減りました。河北新報の社説「農林業センサス/再生の道筋読み取れないか」は「まず目を引くのは、今までの担い手がそれだけ離農していながら、生産基盤である農地はそれほど荒れていないことだ」「耕作放棄地は40万ヘクタールに拡大したものの、5年前に比べ1万ヘクタール、2.6%増にとどまり増加率も縮小した。離農農家の大方の土地が貸借や売買で別の担い手に移動したことを意味する」「経営規模5ヘクタール以上の農家と法人組織の増加は顕著で、農家の集合体である集落営農組織や参入企業の増加もあり大規模化が進行する」と変化の兆しをとらえています。

 しばらく国政選挙が遠のいた今、本音で日本農業の明日を考え、論じられる時が訪れました。


電子書籍、登場直前?の気になる周辺情報

 相変わらず煮え切らない電子書籍の国内登場話ですが、「電子書籍出版の事なら イーパブス・ドット・ジェーピー出版」の「原稿募集のお知らせ」で「第一期で審査に合格した作品は、11月にオープンする予定のKindle日本語ストアで順次販売されます。(iBookStoreの日本語ストアのオープン時期は未定です)」と「11月」がアナウンスされています。INTERNET Watchの《書籍の電子化、「自炊」「スキャン代行」は法的にOK?〜福井弁護士に聞く著作権Q&A》とともにネット上、話題になっています。

 アマゾンはついに日本語書籍でも本格的に動くのでしょうか。印税・手数料として「Kindleの場合:作者様20%、弊社15%、Amazon65%」が提示されています。販売価格は作者が決められ、「Kindleの場合:通貨単位はドル・セントで、1セントきざみで指定できます。$0.99(約86円)や$2.99(約260円)が多いようです」とされています。募集はキンドルですから当然ながら白黒原稿に限られ、第一期審査は9月19日までです。iPadでも読めるようになるはずです。

 「著作権Q&A」は電子本の自主生産「自炊」をめぐる法律的な判断を、細かな岐路を含めて解説してくれます。これまでで最もまとまった形で法律専門家の見解が知れます。「そうなのか」と思わされたのが「Q3:家族などを除いて、自炊したデータを知人に譲渡するのは?」「A3:ハードごと渡す場合を除けば、基本的に違法です。」で「当初の“自炊”は私的複製だった場合で、これらのデータが保存されたUSBメモリーやiPadなどの機器ごと知人に譲渡する(デジタルコピーを行わないで譲渡する)ことは基本的に適法と考えられます。データを含む機器そのものを特定の知人に提供する行為は、複製権や後述する譲渡権を侵害しないためです」とあった点。「当初が私的複製なら」との前提ですが、デジタルデータ譲渡が適法とされるんですね。

 現れそうで現れない電子書籍。ハードウエアの販売が先行していますから、1カ月前にウオッチしたときと比べてオークションでの裁断済み本取引はますます盛んになっています。「裁断済」をキーワードにしてみるとヤフーでの書籍点数、種類が膨らんでいました。売り手はデジタルデータとして取り込みが済んでいますから、裁断処理料金程度の格安値付けがかなりあります。やはりコミック類がたくさんあり、需要が大きそうです。新書類をまとめて売って入札が多いケースもあります。


新聞がウェブの使い方を変えつつあるよう

 北海道新聞のウェブに13日、《【ウェブ特報】札幌連続女性暴行「容疑者の実家」ネットデマ 電話攻撃の全容(1)「違うって証拠あるのか」》が出されました。ネット掲示板でデマを流された被害者をフォローした記事です。注目したいのは「*この記事はウェブ・携帯サイトのみの掲載です。」との但し書きが最後に置かれていた点です。最近のホメオパシー騒動で、朝日新聞の記者がブログを積極的に使って紙面に出た記事をフォローする情報を大量に流しました。新聞とウェブ、ネットの関係に変化の兆しありでしょう。

 これまでもウェブだけの記事はありました。長い会見の記事全文を収録するなど、便宜的なものでした。北海道新聞の記事は掛かってきた迷惑電話の内容で冗長にすぎ、普通の紙面には出せない性質の内容です。しかし、延々と載せてみないと、その愚かしさが見えない点で伝える意味はあります。

 朝日新聞のブログは「こちらアピタルです。」に目次があります。100件を超えるようなコメントが付いていることに注目しましょう。ホメオパシー療法について、読者からも体験談を提供し合う情報センター的な機能を持ちました。昨年3月の「市民メディアの不毛と既成メディアの守勢」で批判した問題点が改善されていくかも知れません。


お隣の惑星、火星の驚異に満ちた高解像写真

 政治も経済もぱっとした話がありません。「DDN JAPAN」の「想像を超えていた、再び。火星表面写真 29選」を覗いて、異様な光景の連続にびっくりしました。引用元になっている「Martian landscapes」(www.boston.com/bigpicture)の方がずっと高画質で、説明は英語ながらクレーターの大きさなども書かれて参考になります。高解像度ならでは発見もありますから、是非、オリジナルでご覧になって下さい。最初の写真、砂丘に描かれた模様から一部分を切り出してみました。

 ウィキペディアによると火星の大気圧は地球の0.75%しかなく、希薄ですが、火山活動があります。大気の95%が二酸化炭素で、冬になるとドライアイスの厚い氷が張ります。「極に再び日光が当たる季節になると二酸化炭素の氷は昇華して、極地方に吹き付ける400km/hに達する強い風が発生する。これらの季節的活動によって大量の塵や水蒸気が運ばれ、地球と似た霜や大規模な巻雲が生じる」といった激しい気象変化があるので、地球にいる我々の想像を絶した現象が起きているのでしょう。

 写真はNASAのMars Reconnaissance Orbiter (MRO)が2006年から撮っているものです。高度は300キロ前後と言います。Google Marsでの地点とリンクがはって対照できるようになっています。遠くから見れば茫漠とした地形の中に、画家やデザイナーが作りだしたようなシュールな模様が存在している訳です。


無罪判決、検察特捜部の劣化にどう責任とる

 これだけ無惨に地検特捜部が敗れる判決があったでしょうか。厚生労働省の村木厚子・元局長を被告とした郵便割引制度をめぐる偽の証明書発行事件で、大阪地裁は10日、無罪判決(求刑懲役1年6カ月)を言い渡しました。検察による取り調べ調書の大半が裁判所に証拠採用されなかった異例の事件ですから、控訴できるはずもないと思います。検察はどのような「けじめ」をつけるのでしょうか。検察幹部の更迭が必要です。

 冤罪事件として考えると、マスメディアも片棒を担いでいると言わざるを得ません。「村木厚子さんを支援する会」のサイトには、「事件」発生からの動き、ドキュメントが掲示されています。「7月30日(木)の毎日新聞に玉木達也記者による接見記が掲載されました」には2009年7月19日付の毎日新聞「記者の目:郵便不正の虚偽公文書作成事件」が出ていますが、大変な冤罪になりうるとの視点は希薄です。事件は終わっていないと疑問を投げるのが精一杯でした。

 村木さんの共犯者とされた部下、上村被告は取り調べ段階では上司との共謀を全面的に認めています。昔のように認めさせようと拷問をしたわけではありません。何があったのか、公判で明らかになりました。「10.02.26 ジャーナリストの江川昭子さんが、第8回公判を傍聴し文章を発表しました。」にこうあります。

 「S検事『でも、村木さんの関与について書かれている調書に、あなたは署名してますよね?』」  「上村氏『村木さんの関与なんて、自分は一度も言ってないのに、拘留期間が長引くよとか、再逮捕をちらつかされたり・・・有形無形の圧力が有って、関与について『はい』と言ってしまったんです。それだけじゃなく、あの人はああ言ってる、この人も認めてるって、外堀を埋められるような感じで言われると、弱い立場なので、もういいや・・・と諦めの気持ちになってしまいました。自分の意思とは違うけれど、大人しくしないとダメだ・・・と、ずるいかもしれないけど、自分の身を守ることだけを考えるようになってしまいました。検事さんはね、体調はどう?とか食事はちゃんと食べれてる?とか、優しく聞いてくれるんですが、僕の供述は無視して、自分の考えをどんどん冷静な態度で調書にして行くんです。この人が豹変したら僕はどうなるんだろうって・・・その冷静さがすごく恐ろしかったです。話が、どんどん大きくなって行き・・・恐怖感でいっぱいでした。』」

 被告のあまりの小心さ、検察官の思いこみの酷さに驚きますが、捜査する側が丁寧に裏をとっていけば、こんな虚構が表に出る事はないのです。捜査は単独でしているものではありません。

 3月の「地検特捜の捜査ここまで劣悪。東京も大阪も」で「私が検察官を取材した経験からは、これが事実なら、もう勝負は『終わっています』ね。事実だったことを法廷で『証明』するために、検事だけでなく都道府県警の捜査官もどれほど細部を詰めていることか。それほど要るのかと思えるほど複数の関係者から証言を集め、補強するのが、捜査では当たり前の世界だったのです。特捜部の捜査がこの程度の思いこみで進行しているのなら、検事総長の首がいくつあっても足りないと思います」と指摘しました。

 大阪高検から最高検まで協議を重ねて強制捜査に踏み切り、起訴しているのですから口をぬぐうことは出来ません。


時間67ミリ豪雨で首都水没、Twitterで実況

 東京都心に午後3時に時間雨量67ミリの集中豪雨。NHKの放送は義経伝説とかのんびり再放送していますが、Twitterでは実況が流れています。「都内水没情報」から強烈な写真を拾うと、「渋谷でマンホールが噴水」や、「青山が海に」があります。現場にいる人が伝えてくれています。

 2009年初に『ハドソンの奇跡』に見る米ネットの活性で、エアバスA320型機のハドソン川不時着とTwitterによる速報を取り上げました。まさに、あの感覚が再現されました。

男性で逆だったコレステロールの善玉と悪玉

 毎日新聞の「コレステロール値:『高い方が死亡率低い』 日本脂質栄養学会で研究成果発表」や読売、中日の同じ報道が週末に出て、ネット上で半信半疑の反応が見られます。2008年に第160回「年3000億円の大浪費・コレステロール薬」を書いて既に検証済みの私としては目新しい話ではありませんが、この機会に最新の研究成果をあたってみました。通説で言われるコレステロールの善玉と悪玉は男性ではほぼ逆転、女性ではほとんど気にする必要なしになっていました。巨額医療費が投じられている悪玉コレステロール低下薬は真っ青でしょう。

 大櫛陽一・東海大医学部教授らによる総説「日本人はLDL-Cの高い方が長生きする」 (脂質栄養学:2009)がその論文です。通常のグーグル検索では出てきませんが、グーグル学術文献検索なら簡単に手に入ります。

 まず悪玉コレステロールとされているLDL−コレステロールを見ましょう。「神奈川県伊勢原市で1995年度から2005年度まで男性9.949人(平均年齢64.9才)、女性16、172人(平均年齢61.8才)を追跡して、LDL-Cレベルと原因別死亡率を調べた結果」を下に引用します。平均追跡期間は8年を超します。

 「悪玉コレステロール」なのですから増えるほど、つまりグラフの右側ほど死亡率が高くならなければいけません。一目瞭然、話が逆でグラフは右下がりです。コレステロールが問題になるであろう虚血性心疾患などが棒グラフ中央の白っぽい部分です。男性の一番高いグループでやや増えていますが、LDL−Cが低いグループは悪性新生物つまり癌や呼吸器系の疾患が多くて遙かに高い死亡率になっています。LDL−Cが足りないと抵抗力が弱まるからです。一方、女性でいずれのグループもあまり変わらず、「LDL-Cを下げる必要性は全く無い。従って、女性では120/dl以上が最適値である」と指摘されています。ところが、実際のLDLコレステロール健診では日本動脈学会のガイドライン
  適性域 120mg/dl未満
  境界域 120〜139mg/dl未満
  高LDLコレステロール血症 140mg/dl以上
の診断基準が用いられています。病気とされる「140mg/dl〜」のところに、男性では死亡率の最低値があるではありませんか。

 次は「善玉コレステロール」のHDL−コレステロールで、正常とされる基準値は40〜119mg/dlです。高いほど死亡率が下がらなければなりませんが、これも死亡率との関係をグラフに掲げます。

 女性では高いほど死亡率が下がる通説通りの関係ですが、男性はU字型カーブを示しています。「男性にとってHDL-Cは善玉とは言えない。男性でHDL-Cか80mg/dl以上の群についてLDL-Cを調べると、他の群より低く、中央値が100mg/dlであった。つまり、 LDL-Cが100mg/dl未満の人が半数存在する。先に、男性でLDL-Cが100mg/dl未満になると死亡率が上昇ずることが判明している。その原因は悪性新生物と呼吸器系炎患であったので、男性での高HDL-Cは組織破壊や炎症を意味している可能性が示唆される」と分析されています。HDLコレステロールは余ったコレステロールを肝臓に運んだり、血管壁についたコレステロールを除去したりするはずなのですが、男性での作用は通説通りではありません。

 毎日新聞の記事で発表者の浜崎智仁・富山大学和漢医薬学総合研究所教授は「日本でコレステロール値を下げる薬の売り上げは年間約2500億円。関連医療費も含めると7500億円を上回る。この中には多額の税金も投入されており、無駄と思われる投薬はなくすべきだ」と主張しています。「マスメディアの怠慢極まる1.3兆円自然増報道」で社会保障費の自然増を当たり前と考えるべきでないと指摘しました。欧米でのコレステロール低下薬投与基準は日本よりずっと高いLDL-Cで190mg/dl以上なのですから、大きな疫学調査で今回のような結果が出ている以上、製薬業界と医学界の暗い部分に目を向ける必要があります。

 【参照】インターネットで読み解く!「食・健康」分野


2年延期でも完成は無理?六ケ所再処理工場

 2兆2000億円を投じながら完成が13年遅れている青森の六ケ所核燃料再処理工場について、さらに2年の延期をする見通しとマスコミが一斉に報じました。朝日新聞の「六ケ所・核燃再処理工場、完成2年延期へ 原燃方針」は「処理過程で出る高レベル放射性廃棄物をガラスに閉じこめる『固化試験』でトラブルが続出。このため、炉の温度を細かく調整するための大幅な改修が必要と判断」としています。しかし、この延期で完成が保証されるのか、極めて疑わしいのです。

 朝日新聞青森版の「原燃 試運転終了を2年延期へ」は「原燃は、溶融炉内の温度管理のノウハウをさらに高めるとして、模擬廃液を使った試験でデータを蓄える方針。県幹部は『れんが落下は、放射性廃液をいきなり使って試験をしたため起きたのではないか。模擬廃液での検証に長期間かけ、工場完成につながる試運転には当面入るべきではない』と指摘した」とも伝えています。日本原燃の技術レベルの悲惨さがあらわになって、行政側も不信感を高めています。

 昨年の第180回「敗因は何と工学知らず:六ケ所再処理工場」で高レベル放射性廃液のガラス溶融炉に「実証されていない新方式を採用した時点で、工学とはかけ離れた『ロマンの世界』に移ってしまいました。ブレークスルーすべき要素技術があるなら、実プラントの建設ではなく、まず研究室で実証すべきです」と指摘したように、実用技術として確立していない方式を大型の実機に採用した点に根本的な問題があるのです。

 最近になって、東海村にある実規模試験装置で細かな温度管理をすればうまく動作する場合があると知れたようです。その細かな温度管理のために大幅な改修をしようというのですが、プラントの現場は既に高レベル放射性廃液で汚染され、人間が立ち入れない「死の空間」になってしまいました。大幅改修を遠隔操作でしなければなりません。これまでの試運転でのドタバタぶりを見れば、改修が成功し、安定した運転が続けられる可能性は低いと思えます。昨年、津島衆院議員が「なぜ国産技術にこだわるのか。自信がなかったら外国の技術を取り入れるべきだ」と主張しました。2年も延期するなら運転実績がある方式を新規に導入するべきです。

 高速増殖炉「もんじゅ」での炉心装置落下事故への対処が行き詰まっている問題といい、国策原子力開発には技術的な常識を持つ人材が欠けていると断ぜざるを得ません。巨費を投じているのですから、民間なら失敗を許されないケースです。


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