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文系も理系も高学歴プアー:年上世代は身勝手

 この国の高学歴プアーは文系にも広がろうとしています――11月から司法修習生への給費打ち切りの記事が、マスメディアでたびたび取り上げられています。理系ポスドクの就職難が厳しくなる中、今週は22年度科学技術白書がネット公開されて、過去の詐欺に等しい失政を反省することなく「国際的競争には博士号取得者の増大が重要だ」と厚かましくも主張しています。政策を決める年上世代は既得権益に守られて温々とし、若い世代の人生がどうなろうと知ったことかと構える身勝手さ。日本の政治家、官僚はどうかしていませんか。

 例えばMSN産経ニュースの「司法修習生はつらいよ 『給与なくさないで』支援本格化」は「新人弁護士の半数以上が法科大学院の奨学金などで平均300万円の借金を抱え、一部は弁護士になっても収入がほとんどないという実態がある。給費制がなくなればさらに借金が増えるのは確実で、『社会のための仕事ができなくなる』と訴えている」と伝えました。

 月20万円の給費が貸与制になれば、専念義務でアルバイトを禁止されている司法修習生の間にさらに借金が膨らみます。検察官や裁判官になれば収入は安定しますが、弁護士の場合は司法制度改革で数が急に増えたため司法修習を終えても職場が見つからず、家族に養ってもらうケースさえ出ています。スタート時の借金が増えればお金になりにくい人権派の仕事など、さらに手が出せなくなるでしょう。従来の弁護士像は崩壊しつつあります。

 22年度科学技術白書の「第2章人を活いかし知をつなぐ科学・技術システム」は「我が国の自然科学系の博士課程入学者数の推移を見ると、平成3年以降、大学院重点化に伴って増加していたが、近年減少傾向に転じており、平成15年の13,190人をピークとして平成21年には11,348人に低下している(第1-2-4図)。また、修士課程から博士課程への進学率の推移を見ると、近年低下傾向にあり、特に、理学及び農学分野の低下が著しい(第1-2-5図)」と表現しています。理学系の博士課程進学率は1991年の31.1%が2009年には18.6%にまで落ちています。

 博士課程が不人気なのは修了後の身分があまりにも不安定だからです。平成14〜18年度修了の理学系一般学生7513人の進路が集計されています。大学教員585人、ポストドクター2811人、教師・公務員・医師159人、民間企業1128人、公的研究機関277人、その他の就職者543人、学生(留学など)356人の他に「不明等」が全体の2割を超え、1654人もいるのです。彼・彼女の人生はどうなったのでしょう。ポスドクからもさらに不明等が生じます。農学系なども似た状況です。「博士課程修了直後に定職に就くことができない可能性や、ポストドクター期間が長期化していることは、修士課程在籍者が、博士課程進学を検討する際の懸念材料となり得る」という切実感がない分析が空しく響きます。

 「博士課程学生が同年代の就職者に比べて経済的に厳しい状況におかれ、望ましい能力を持つ修士課程在籍者が博士課程進学を避ける要因となってはならないことから、博士課程学生への支援を充実することが不可欠である。米国では、大学院生の約4割が生活費相当額の支援を受けている」しかし、日本では「年間180万円以上の支給を受けている博士課程学生の割合は15%程度にとどまっている」のが実情です。大学院時代に奨学金で何百万円かの借金を作らざるを得ない状況を改善しなければ、国全体でみても科学技術の明日は厳しいでしょう。

 司法制度改革で合格者数を急増させて、給費がかさみすぎると打ち切られる司法修習生。大学院重点化で定員を倍増した上で、大学教職の枠や無償奨学金を絞った理系博士課程修了者。どちらも制度をいじる側の身勝手な思惑から生まれた問題です。第120回「負け組の生きる力・勝ち組の奈落」 の第3節「◆大学院重点化は一種の“詐欺”商法」に詳述してあります。科学技術白書はいまだに積極的に解決する気はなく「大学教員の年齢分布を見ると、団塊の世代の大学教員数が前後の世代に比べて多く在籍しており、平成24年ごろからこれら団塊の世代の大量退職が見込まれることを勘案すると、これを契機に各大学・大学院は若手教員の採用数を増加させることも可能となる」と希望的な観測を述べています。


参院選で与党苦戦:地方で自公共闘復活、自民へ流れ

 参院選序盤の情勢調査報道がおおむね与党の過半数獲得は難しくなったと伝えています。「参院選予測いろいろ」(H-Yamaguchi.net)にまとめがあります。地方で自公共闘が復活している可能性が高いのと、自民を離れて民主に行き、民主の政権運営に嫌気がさして無党派化した層が再び自民指向を強めているのかも知れません。

 朝日新聞が27日の朝刊で詳報を流して、地方の1人区が与野党伯仲の激戦になっている理由を明かしています。「1人区で自民が堅調とはいえ実は、政党支持率では1人区全体で民主28%に対し自民19%と劣勢。それをカバーしているのが公明支持層と無党派層だ」と分析しています。公明の8割は自民へ、無党派層も自民へ45%が向かい、民主へは33%に止まると言います。政党支持率で上記ほどの差があれば、党派色がものを言う国政選挙の1人区で民主苦戦はおかしいと昨日は感じていたのですが、この状況説明なら理解できます。

 無党派層と言っても、地方と大都市部では質が違うと思われます。自民へ向かう割合が2人区では28%、3人区と5人区では17%、比例区で24%と様変わりして低いのです。では何が起きているのか、ヒントは昨年末に書いた「疑問だらけ――鳩山内閣への危機説・退陣説」で描いた政党支持の基底変動にあるように思えます。民主連立政権の成立をきっかけに自民から民主にシフトした「勝ち組志向派」に、地方を中心に離反が起きているのではないでしょうか。

 選挙現場の雰囲気を伝える、こんな報告もあります。自民のアジテーター論客として知られる参院議員《山本一太の「気分はいつも直滑降」》の「柔らかい空気 [編集]」は遊説の感想として「3年前の夏に比べると、どこか空気が柔らかい。 柔らかいと、『言霊』が弾かれない。 メッセージが、滑らかに伝わる気がする。 ふうむ」と述懐しています。民主の失政が自民を生き返らせている構図です。まだ2週間、投票率が大きく上がるなど変動要因があれば、マスメディアの予測は大きく外れることもあります。


岡崎図書館事件を知るとIT立国など到底無理

 岡崎市立中央図書館のホームページにアクセス多数を繰り返して、利用者が閲覧しにくくした偽計業務妨害容疑で38歳の会社社長が愛知県警に逮捕される事件が5月に起きました。20日間も拘留されて不起訴処分(嫌疑不十分)になったご本人の説明では、新着蔵書を自動チェックしてリスト化していただけです。図書館に電話で説明を求めた専門家がいて、その回答を知れば、日本にグーグルのような企業が育つわけがないと知れます。司法、マスコミを含めた社会全体のデジタルデバイドは深刻で、これじゃIT立国など到底無理です。

 ご本人がネット上への説明用に作ったウェブが「Librahack」です。逮捕翌日の朝刊記事を集めた「各社新聞記事の比較」には「図書館にサイバー攻撃」「図書館HPにアクセス3万3000回」とかが並んでいます。5月に記事を読んでとんでもない誤解の可能性を直感したのですが、被疑者側の反論が全く取材されておらず、一方的な捜査側の発表しかありませんでした。これを疑うようにマスメディアの記者は教育されているはずなのに、裏付けのためにサーバーの専門家に聞いてみることすらしなかったのでしょう。サイバー攻撃と言えるアクセス回数とは桁違いに少なすぎるのです。

 図書館側の新着図書表示が3カ月と長く、日付もないのでどれが本当の新着か分からない事情から、同図書館のヘビーユーザーだった社長さんがプログラムを作ったのでした。「1秒に1回」の設定アクセス頻度には必然性はなく、「1分に1回」でも十分に役だったでしょう。ところが、私も同図書館に手動でアクセスしてみてレスポンスに何十秒もかかる場合がありました。かなりの低能力システムだから、しばしば処理をため込んでダウンする始末になったようです。

 「サーバ管理者日誌」が「岡崎市立中央図書館に電話してみた」で貴重な情報を提供してくれています。図書館側が不調を管理会社に訴えると「外部からの攻撃が判明」「警察に被害届を提出」「警察からは2,3回、問合せ」「令状を持った捜査が行われたことは無」く「逮捕は報道で知った」そうです。

 国内の過剰アクセスで迷惑したら、まずプロバイダーを通じて警告を出すのがネットの常識です。聞いてくれないなら「特定IPアドレス遮断」の機能を使うものです。これを一切省いていきなり逮捕、しかも20日間も拘留する乱暴さには唖然としました。また、大衆に広くサービスを提供する図書館は思わぬ利用をする可能性を考慮しなければなりません。「サーバ管理者日誌」が指摘するように図書館利用情報は重要な個人情報として守らねばなりません。安易に警察に提供する情報ではありません。

 これで事件だと騒ぐ警察と、冤罪を疑おうとしないマスメディアで固められていては、グーグルのように新しい検索システムを試そうと収集ロボットをあちこちに走らせるベンチャーが存在したとして、とても無事では済まないでしょう。「SQLer 生島勘富 の日記」は「岡崎図書館事件について」でシステム動作について詰めた分析をしていて、追記の中で「私が同じことをしたとして、仮に落ちたとしても自分の所為だと認識したかどうか……。これで逮捕はとにかく怖いと思います」と記しています。

 【続報】2010/8/21 「岡崎図書館事件を朝日新聞が独自取材で追及」


鹿児島・阿久根市長の超・漫画的な恐怖独裁

 ブログ市長として知られる竹原信一・阿久根市長の独裁ぶりも、ここまで進むとは思いませんでした。市議会での執行部答弁禁止から、次いで定例市議会を開かない、職員のボーナスを半減する条例改正の専決処分、そしてさらに市議報酬を日額1万円の日当制とする条例の専決処分です。議会を年に1日も開かなければ、反発する議員を無報酬状態に追い込むことも出来ます。専決処分は議会が開けない事情があってするものですから逆さまも極み。「阿久根市長の専決に対抗、市議が知事審決申請へ」(読売新聞)という事態になりました。

 地方自治法では「市町村の処分で違法に権利を侵害された場合、知事に審決の申請をすることができると規定。申請後、知事は必要に応じて専門家らを自治紛争処理委員に任命し、処分が妥当か調査させることができ、審決は強制力を持つ」のですが、なにせ市職員不当解雇の地裁判決が確定しても従わない市長です。知事審決の強制力が発揮できるのかが疑問です。

 元公務員の「『専決処分』って何だ?」(社会福祉士Maa-chanのブログ)は「いくら悩ましい市長とはいえ,選出された過程はすべて合法です。従って,その解職にも合法的な手続きが必要です」「ただ何せ,今の阿久根市では選管職員も『市長の部下』ですから,正しい判断ができなくなっている可能性が高いですよね。(リコール成立の決定をしようにも,したら懲戒免職になりそうです)」と内部状況を心配します。「今の地方自治法は,独裁者の誕生をそもそも想定していません。あまりにも目に余る時には,一定の住民の署名と,裁判所での手続きを経て『解職』できるような仕組みが必要なのかもしれません」

 しかし「議員報酬は、1日1万円の日当制でもいいのではないでしょうか」(Exam Core Seraphim)といった草の根の賛同があるのも事実です。「日本の国家公務員や地方公務員も、国際的に見ても高すぎます。阿久根市長のブログにありましたけど、日本の国家公務員の平均年収は662.7万円、地方公務員の平均年収は728.2万円。主要先進国と比較してみると公務員の平均年収はドイツ 355万円、イギリス 410万円、カナダ 320万円、フランス 310万円、アメリカ340万円で、明らかに日本はおかしいです」

 これまで傍観してきた原口総務相が18日、専決処分の繰り返しに調査を指示しました。「もし違法状態があれば鹿児島県とも相談し、対応を検討していく」のだそうですが、地裁判決確定後も解雇を取り消された職員に給与を払わない「無法状態」なのですから、既に1ランク違った独裁世界が出来上がっています。

 【関連】投票勧誘でないブログの意見表明は全く自由に


携帯ガラパゴス事情に風穴が開きつつある

 聞き飽きている携帯電話での日本=ガラパゴス説に、大きな風穴が開きつつあるようです。「ソフトバンクモバイル、iPhone 4の予約を一時中止に--過去最高の予約数」(CNET Japan)、さらに日経新聞の朝刊記事「携帯大手4社の通信料収入、データが音声を逆転へ」などがそう物語っています。

 日経新聞の記事は次の表がポイントです。各社上段が2010年3月期実績、下段が2011年3月期予想の通信料収入比率です。

          データ   音声
  NTTドコモ  46%    54%
          50%    50%
  KDDI    42%    58%
          46%    54%
  ソフトバンク  50%    50%
          52〜53%  47〜48%

 タブレット端末iPadに加えてiPhone 4が大評判のソフトバンクモバイルが最高益をあげそうなのに、スマートフォンで出遅れているKDDIが利益を減らしそうです。

 昨年末の「AT&T、ヘビーユーザーを対象にデータ通信料値上げを示唆」(japan.internet.com)は「ニューヨークとサンフランシスコにおけるデータ利用に関して」「わずか3%のスマートフォン ユーザーが、ネットワーク容量の最大40%を消費しているという」とスマートフォンの米国での使われ方を伝えています。

 KDDIもiPhone 4発売の日に合わせて、《au、Windows phone「IS02」を6月24日に発売--同社初の個人向けスマートフォン》となるのですが、いまさらWindowsというのがチャーミングでありません。


自民総裁が素人に一喝され。やはり負の遺産大

 小惑星探査機「はやぶさ」帰還の続きで、「はてなブックマーク」の「Twitter / 大塚実: なに言ってるんだコイツは。自民政権の無関心でこうなっ ...」が目につきました。自民党の谷垣総裁が「はやぶさ」後継機を潰したのは民主党だとつぶやいて、素人から軽く一喝されました。やはり自民党長期政権の負の大遺産を乗り越えて選挙に勝つのは容易ではありません。

 谷垣総裁のTwitter該当部分はこうです。「『はやぶさ』も同じです。麻生政権での17億円の概算要求が事業仕分けで3000万円まで削られ『はやぶさ2』に着手ができなくなっています。未来への投資が『いちばん』につながります」(3:56 PM Jun 15th webから )

 これは(12:10 PM Jun 13th webから )の「『はやぶさ』が帰還します。小泉政権時代のミッションで、人類初のパイオニアワークに果敢に挑み、次々に困難が生じても決してあきらめない姿に感動を覚えていました。本当にお疲れさまでした。自民党はこれからも夢の実現、『いちばん』を目指す政治を行います」を受けた発言です。

 しかし「はやぶさ」後継機は自民政権下で予算がつかず、イタリアに打ち上げロケットを無償提供して貰うなどの節約交渉を延々と続けた末に、2014年目標まで引き延ばされた事情は、調べれば直ぐに分かります。「はてなブックマーク」コメントにも「ネットの有象無象ならともかく自民のトップがでたらめ吹聴し始めるようではもう終わりだな」とあります。

 谷垣さんは弁護士ですから最近の事実関係について嘘は言っていません。でも、最も言わねばならない「核心」を避けているようでは多数の国民を愚弄していることになります。参院選で勝つのは無理でしょう。


7年ぶりの地球帰還「はやぶさ」に熱い視線

 50億キロの長い旅の苦難を乗り越えて、小惑星探査機「はやぶさ」が今夜遅く地球に帰ってきます。再突入で本体は燃え尽きるのですが、小惑星で採取したはずの試料カプセルはオーストラリアの砂漠に投下します。自前のエンジンを動かして惑星間を航行し、地球からの遠隔操作もままならない場所で採取作業をこなして帰ってくる点だけでも世界初の快挙です。相次いだトラブルにあの手この手を工夫して対処した宇宙航空研究開発機構(JAXA)技術陣も凄いと思いますが、それに奇跡的に応え続けた「はやぶさ」のストーリーは既に伝説化しつつあります。

 「はやぶさ帰還ブログon Twitter」は約4万人がフォローする状態で再投入を待ちます。午後12時45分からは《「はやぶさ」帰還日のイベント情報》にあるようにライブ中継などが準備されています。「はやぶさ、地球へ! 帰還カウントダウン」公式サイトのほかに、読み物として《祝帰還!「はやぶさ」7年50億kmのミッション完全解説【その1】》などもあります。

 【追補】「松浦晋也のL/D」が2カ月ぶり更新でした。オーストラリアで現地取材中だそうです。「オカエリナサイ――南オーストラリア・ク−バーペディにて」。「はやぶさは世界初の壮挙を成し遂げつつある。それは終わりではなく始まりだ。より深く太陽系を理解するためにより様々な場所へ、より遠くへ」「後継機『はやぶさ2 』は、開発が開始できるかぎりぎりのところにある。当初2010年を予定していた打ち上げは、奇妙なことに引き延ばされるだけ引き延ばされ、現状では2014年である」

 【大気圏再突入する「はやぶさ」=午後11時ごろ和歌山大チームの中継から】
 解説を聞いていると画面下中央をよぎる光は試料カプセルのよう。  

 ※録画はこちらに(6/13)
 ※NASAの撮影動画から見てやはり本体の燃焼のようです。(6/14)


失われた20年を経て日米の仕事観も大逆転

 GEWELというNPO法人が実施した「ビジネスパーソンの働く意識調査〜日米比較」を見て仕事への価値観・自信など日米落差に驚き、同時に過去のいきさつを知っているので納得できることに思い至りました。東西冷戦が終わった1989年以降、失われた20年の間に何の戦略的な方向も見いだせずに日本の社会は彷徨ってきたのですから。

 働く意識調査は日米ともインターネット調査で、サンプルの概要はこちらに紹介されています。社会学的に認められる本格調査ではありませんし、日本側2471人に中小企業が多く、米国側1600人にやや大企業が多いとの差もあります。それでも次のような結果になれば十分に有意な差があると思えます。

 まず「会社・組織に愛着を感じているか」では「日本55.8%」「米国79.8%」になります。「仕事の内容に満足しているか」は「日本52.6%」「米国73.9%」です。「自分の能力は、他社に行っても十分役立つと思う」では「日本44.3%」「米国90.4%」とダブルスコアになってしまいます。職場の人間関係や報酬など、たくさんある項目から同じ傾向が読みとれます。(ダイバーシティなどカタカナ概念の設問は、日本側の対象者が理解できなかったでしょうから無視されることをお勧めします)

 働くことの意味は新聞記者の仕事としても熱心に考え、追ってきたテーマです。第120回「負け組の生きる力・勝ち組の奈落」にまとめがあり、日米欧の社会心理学者による「働くことの意味」国際調査をグラフ化した「日米、世代別の仕事中心性推移」を掲げています。週に16時間以上働く人にアンケートし「レジャー、地域社会、仕事、宗教、家庭」の5部門が、それぞれの個人生活の中でどれくらい重要に思えるか、合計100点になるよう配分してもらっています。これを1982年と91年の2回実施(米国は89年)しています。グラフを掲げます。

《日米、世代別の仕事中心性推移/100点満点》
    点|
    40|−                                          ------->
      |
      |
      |                                                  
      |                        
    35|−
      |                                  
      |              
      |
      |                        
    30|−'82日  '91日
      |    ------->
      |
      |                                                    
      |                                  
    25|−'89米
      |                    
      |                                            
      |  '82米  '89米               
      |    ------->
    20|−  
     === '91日
     0|------------------------------------------------------------
          10代      20代      30代      40代      50代    60歳以上
='82年日本 ='91 年日本  ='82年米国 ='89年米国


 社会心理学者たちは、この調査で一度身につけた仕事中心性は、ほぼ10年を経てもあまり変わらないことを知りました。日本人は年を取るほど仕事中心になっていくのかと思っていたのに、中年世代では10年後にやや落ちました。大注目は、90年前後に日米の20代で仕事中心性が逆転した点です。20年後の2010年現在に時を移してグラフを描き直しましょう。


《日米、世代別の仕事中心性推移/100点満点》
    点|    20年後→→2010年現在に時を移す
    40|−                         
      |          
      |
      |                                            
      |                                  
    35|−          
      |                                            
      |                        
      |
      |                                  
    30|−          '82日  '91日
      |               ------->
      |
      |                            
      |                                            
    25|−          '89米
      |    ?    ?    ★                
      |                            
      |            '82米  '89米               
      |               ------->
    20|−  ?    ?    ●
     ===           '91日
     0|------------------------------------------------------------
          10代      20代      30代      40代      50代    60歳以上
='82年日本 ='91 年日本  ='82年米国 ='89年米国


 20年前とはまるで異なる状況が現れます。大学在学時からベンチャーを興そう目指す米国の学生を見ていると、米国側の若手で仕事中心性はさらに高まっていると考えられます。「ビジネスパーソンの働く意識調査〜日米比較」に表現されている意識の差は不思議ではなくなります。

 調査結果を見た「Joe's Labo」の「労働市場という宝の山」は「一言でいうと、日本人サラリーマンは仕事に愛着も満足感も抱いちゃいないということだ。それでいて実労働時間だけは先進国一長いわけだから、もうほとんど人生=拷問みたいなものである」と切り捨てます。「普通、労働市場では、満足度って何かとトレードオフの関係であると思うのだけど、何一つメリットがなくて不利益だけついてくるっていうのはある意味凄い。 いや、安定性という意味ではメリットらしきものもあるのだろうけど、それは大手だけの話だし、大手にしてもいっぺん落ちてしまうと長期失業という形でロックされてしまうわけで、日本型雇用のメリットっていったいなんだろうか」と固定された閉塞感を打ち破る必要性を指摘します。

 何も考えずに従来通りを踏襲してきた、この国の政治。その間に世界の状況も、国民の意識も大きく変化してしまいました。もう、この辺りでアップデートしなければなりません。


NHKの強制執行は時限爆弾炸裂を早めるだけ

 NHKがついに、受信料支払いの法的督促後も不払いが続く5都府県の契約者5人に対して強制執行を申し立てました。福島県の1人が支払いに応じたものの、残りの4人については差し押さえに出るそうです。「支払い受け福島は強制執行取り下げ…NHK」(スポーツ報知)は「福地茂雄会長は3日の定例会見で『(強制執行の申し立ては)今後も当然続けていく』と述べた」と伝えました。一罰百戒を狙っているのなら大間違いです。ビルトインされている「時限爆弾」の炸裂が早まるだけです。

 ネット上に公開されている「ISSUE BRIEF NHKの受信料問題」は国会図書館の資料です。そこから受信契約の状況の推移を見ましょう。

    表3 各年度の受信契約の状況 (単位:万件)
        H14   H15   H16   H17   H18
 契約対象数  4,563  4,605  4,646  4,678  4,704
 契約件数   3,675  3,690  3,662  3,618  3,618
 未契約件数   888   915   984  1,060  1,086
 契約率    80.5%  80.1%  78.8%  77.3%  76.9%
 未払い件数   113   122   293   359   298
 全体の徴収率 78.1%  77.5%  72.5%  69.7%  70.6%

 一連の金銭不祥事が収まって(あるいは記憶が薄れて)平成18年度には契約者中での未払い件数は16年度並に減りました。しかし、未契約件数は着実に増え続けて4年間で200万件も増え、全体の徴収率は7割かつかつになりました。この未契約件数が急増する時期が迫っているのです。

 MSN産経ニュースの「【金曜討論】NHKの強制執行 服部孝章氏、松原聡氏」で服部孝章・立教大教授は「テレビ離れが進んでいる。10、20代のNHK番組の視聴は驚くほど少ない。そのため、彼らが30、40代となって家庭を持った時、おそらく、受信契約をする割合は低い」と指摘しています。

 大学生の下宿に上がり込んで「ワンセグ携帯を持っているから」と受信契約を迫るケースが各地で伝えられ、これもNHKをほとんど見ない若い世代の反感を買っています。比較的余裕があった団塊の世代までは受信契約にそれほどナーバスになりませんでしたが、今や若い世代の半分が非正規雇用の状態です。契約義務制で契約の自由を否定していますから、一度、契約してしまえば解除できず、滞納すれば強制執行まであると見せつけられて、新たに契約に応じようとする若い世代が多い方が不思議です。強制執行のニュースが繰り返されれば、少し先と思われていた新規契約急減を早めるでしょう。

 法律では受信機を持てば契約義務があるとされていますが、支払い義務は明記されていません。強力な徴収が出来るように法改正がされるには、NHK側に問題がありすぎです。「ISSUE BRIEF NHKの受信料問題」は6千億円の受信料に対して、徴収コストが800億円余りで13%を超えているとし、多大な無駄を示唆しています。同じ立場の英国BBCは4.9%の徴収コストなのです。人件費を含めた高コスト体質を抜本的に改める動きもありません。「NHK受信料を考える」など手厳しいブログが増えています。

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官房機密費の闇、これでは自民政権を笑えない

 総理大臣の指名選挙は済みましたが、菅直人・新首相は天皇の葉山静養日程に配慮してか、組閣も、皇居での首相任命式や新閣僚認証式も8日にずらしました。国家権力の有り様にとって、とても不思議な、宙に浮いた状態です。国会終盤なのに時間を取って大幅な内閣改造をするのかと思っていたら、マスコミの組閣内定情報が伝えられ始めて大半の閣僚は残り、主要閣僚で退任は平野博文官房長官と赤松広隆農水相の2人だけとも言われます。

 朝日新聞の「機密費の使い道、闇にしたまま去る構え 平野官房長官」が「平野博文官房長官は3日の記者会見で、鳩山内閣が内閣官房報償費(機密費)を何に使ったのかの記録を、後継内閣には引き継がない考えを明らかにした。鳩山由紀夫首相は透明性を高めるなど機密費のあり方を見直す考えを示していたが、平野氏の方針に従えば、鳩山内閣時代の記録は公開されないことになる」と報じています。

 昨年の政権交代期に「官房機密費の持ち逃げにメディアは甘過ぎる」で問題にしたように、河村建夫・麻生内閣官房長官による官房機密費2億5千万円持ち逃げ事件が発生しました。東京地検に市民団体が告発しているのに捜査に動く気配がありません。これも酷い話ですが、平野官房長官がやはり闇から闇に葬るのでは民主党政権にした価値は無かったことになります。この無能無策な官房長官は、陰に隠れても自民党並の政権運営しかしてこなかったと告白したようなものです。

 野中広務・元官房長官による「機密費は政治評論家にも渡っていた」との暴露に始まり、J-CASTニュースの平野貞夫・元参院議員インタビューで新聞記者接待が明かされるなど、闇は深まるばかりです。


鳩山退陣表明への経緯は『藪の中』そのもの

 鳩山首相の「突然」の退陣表明をめぐる報道は錯綜していて、『藪の中』そのものの様相です。もう少し情報が出るのを待つべきでしょうが、2日夜の段階で目を引いたのが時事通信の「『解任動議通る』小沢氏が引導=自信の親指立てで情勢一変−首相退陣の舞台裏」と、47Newsの「首相、記者団とのやりとり全文」です。両者は全く反対の「事実」を告げています。

 「『解任動議通る』小沢氏が引導=自信の親指立てで情勢一変−首相退陣の舞台裏」のストーリーはこうです。「1日夜の段階では、首相が逃げ切るかに見えた。一夜にして情勢を一変させたのは、首相の不用意なしぐさだった」「首相の姿をとらえた映像は1日夜、幾度となくテレビで流れ、首相秘書官の1人は『辞める気がないということだ。ちゃめっ気だ』と解説した。しかし党内の受け止めは冷ややかだった。『自分の進退問題なのだから神妙にするものだ。首相のやることじゃない』。首相続投もやむを得ないと、比較的冷静だった衆院側にも怒りと反発の声が広がり、首相の運命は暗転した」「『両院議員総会で代表解任動議を出せば通ってしまうよ』。小沢氏が電話でこう言って辞任の決断を促すと、首相は『分かりました』と答えるしかなかった。この電話会談は2日早朝にあったとみられる」

 テレビがしつこく流した謎の「親指立て」が参院選でやっきの参院議員ばかりか、衆院議員まで敵に回したと解説しています。鳩山首相の自発性はゼロです。

 「首相、記者団とのやりとり全文」には全く違う経緯が出てきます。《月曜日には私の方から身を引きたい、辞したいということを申し上げました。そしてその翌日(輿石東参院議員会長を含む)3人でお会いしたときに「私も辞めますが、一番求められているのは政治に対する『政治とカネ』におけるクリーンさだ」「クリーンな民主党に戻さなくてはいけない。そのために幹事長にも身を引いていただきたい」ということは申し上げた。「分かった」ということでありました》とあって、事態は鳩山首相主導で進んだ事になっています。

 さらにこんな不思議な表明もあります。「私は自分が身を引くことが結果として国益につながると判断しました。そんなに遠い話ではありませんが、10日から1週間くらい前からそのことを自問自答しておりました」というのです。この心理状態なのに、沖縄・普天間基地問題を辺野古周辺移設の閣議決定として決着させ、社民党を連立から追い出したとは、夢遊病者のようです。

 何が真実かまだ分かりませんが、この間のメディア報道を見ていると、官房長官を指しているとしか読めない文脈で思い違い甚だしい発言が連発されています。端的な例は、社民党を切ることが国家安全保障で高い評価につながると思ったのに――などです。『藪の中』の可笑しさに、平野官房長官の政治感覚の錯誤が絡んでいるように感じられます。鳩山政権が短命に終わった要因の一つは、愚かな官房長官選びにあったと思います。

 【関連】第204回「ここまで戦略性無しで首相を続けるのは無理」


2010年5月のエントリー一覧

5/30 ネット選挙は大衆には解禁済み。運動でなければOK
5/29 ここまで戦略性無しで首相を続けるのは無理
5/26 LD『ブログ奨学金』とグーグル・アドセンス
5/25 日本は尊敬されているか――客観データで
5/22 都青少年条例改正への反対請願署名募集始まる
5/15 もんじゅ報道、マスコミまで旧動燃品質!
5/11 もんじゅ驚愕の運転再開、制御棒の操作知らず
5/09 裁判員制度で極度の体調不良に陥った女性
5/08 衝撃:ネアンデルタール遺伝子が現生人類に
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