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『米軍に若者肥満の脅威』と各国ランチ事情

 朝日新聞の「米軍に思わぬ大敵 肥満の若者増え、新兵確保の脅威に」が「入隊適齢期(17〜24歳)の若者の27%にあたる約900万人が肥満のため、入隊できない」「1980年代の5%から急速に悪化しており、世界最強とされる米軍も、内なる『脅威』に直面する」と伝えました。

 これは過去に見た記事と似ていると思い、探し出したのがWired Visionの「青少年の75%が軍に不適格:『肥満』『軟弱』が急増」でした。「医療的・身体的理由」35%が肥満・軟弱に相当するようです。「『不適格の主要原因は肥満だ』と、米国防総省の採用責任者であるCurt Gilroy氏は、Army TimesのWilliam McMichael氏に語っている。『腕立て伏せができないだけではない……懸垂ができないし、走れないのだ』」とぼろぼろです。

 朝日新聞の記事は例によって依拠している文献を明記しない欠陥記事ですが、ネットで調べるとArmy Timesの「School lunches impact recruitment」がオリジナルでした。ストレートに学校でのランチ改善を求める記事です。第2次大戦までは栄養不足で徴兵できないことが問題だったのに、いまや全く逆の事態が生じています。連邦議会に対して、ジャンクフードや高カロリーの飲み物を学校から排除して、子どもを健康に育てる戦略を立てるように求める動きがあります。近い将来、国家の安全に関わるからと…。

 ジャンクフードが出る給食なんてと思われるでしょうから、私の「学校給食事情〜飽食国の貧困から始めて [ブログ時評36]」を参照してください。そこでも紹介した「アメリカ学校見学?自動販売機&給食?」(The New York Walker)は「アメリカでは普通に自動販売機が校内においてあり、販売時間などの制限はある程度ありながらも、子供達は自由に飲み食いが出来るようになっているのです。しかも、学校区にとってはこの売り上げが、かなり重要な学校区の歳入となっているのです。自動販売機を撤去したりする事は、歳入を減らす結果となり、学校区の教育行政のレベル低下を招く事になるのですね。なので、この自動販売機での売り上げを下げるような事は本来学校区はする事は有り得ない」とレポートしていました。そしてお菓子がずらり並んだ自動販売機の写真、脂っこそうなメニュー例と、それにピザが毎日つく給食です。

 私の記事で取り上げた英国事情報告でも「ずらずらずら〜っと並ぶポテチとチョコとコーラ類の自販機を見て、しかもそれでお昼を済ませることも可能だと知って、最初は眩暈(めまい)がした」とあるように、欧米ではジャンクフード自販機が学校にあって全く不思議でありません。

 少し前に、日本の高校生が食べる、どうということもないお弁当の動画が世界中から注目され、羨望のコメントが殺到する「事件」がありました。「日本の高校生が教室でお弁当を食べる映像の海外反応【YOUTUBE動画】」(誤訳御免!!)にあるコメント「俺はアメリカのスクールランチが嫌いだ。最初にチーズの付いたプレッツェルを出された時はとても全部食いきれなかったよ。マッシュポテトが出た時もそうだったな。うぇっ」にあるのが先様のランチ事情です。


幼児虐待に積極応用したいオキシトシン効果

 「47Nes」がオキシトシンという「ホルモンで自閉症改善 金沢大が臨床例発表」と伝えました。このホルモン、5年前にも人を信頼させる物質として出たりと時折、浮かび上がってきます。20年ほど前、科学面「心のデザイン」シリーズで最も早い時期にオキシトシンを紹介した者として、この際まとめておこうと思います。

 金沢大の発表は「3歳から自閉症とされてきた20代男性で、会話ができず、人と交流ができずにいた。両親が2008年、スイスからオキシトシンの点鼻薬を輸入し服用すると、男性は診察で担当医の目を見て笑い『はい』『いいえ』と答えるようになり、担当医が驚いた」というものです。「重度の知能障害がある自閉症患者が長期間服用し、改善が確認されたのは初めて」

 オキシトシンは女性が赤ちゃんに乳首を吸ってもらうなどすると脳からリリースされます。男性の血液中にも存在するのですが、自閉症患者には少ないとも言われていました。「心のデザイン・脳内物質」のシリーズでは「母性行動」についてこう書いています。

   ◇

 処女ネズミのそばに、生まれたばかりの赤ちゃんネズミを置いて、1週間近くいっしょにすると、母性本能に目覚め、体を丸め赤ちゃんを抱きかかえるようになります。この不思議な行動の秘密は、1979年に米国で解き明かされました。脳の視床下部で造られているホルモン、オキシトシンを処女ネズミの脳に注入してやると、46%のネズミが2時間以内に完全に「母親化」し、あらかじめ女性ホルモンで発情させておけば、その割合は85%にも増えました。「オキシトシン」は出産のための子宮収縮や射乳の作用があるホルモンで、脳内では母性行動をとらせる作用もしていたのです。

 オキシトシンには構造がよく似たバソプレシンという兄弟分があります。こちらは血圧上昇などの作用をします。このふたつのホルモンは、下等な動物の「バソトシン」というホルモンから、ほ乳類に進化する際に分化したと見られています。バソトシンも鳥類などで輸卵管の収縮などの作用をします。

 興味深いことに、バソプレシンは記憶を良くする、物覚えがよくなる働きをするのに対して、オキシトシンは記憶を作ることを阻むのです。さらに、オキシトシンは一度できた記憶を思い出させる作用が強いらしいことも分かってきました。わき目もふらずに子育てに専念し、子のためには少々の危険や困難も厭わない母親の愛情。その裏側を示唆していると思われませんか。そして、母乳で育てることが母性を強化していることも。

   ◇

 「科学に佇む心と身体」の「オキシトシン:これが愛情と信頼のホルモン」が「人を信用させる物質オキシトシンを鼻にスプレーしたら効いた」との記事紹介から始めて、【オキシトシンで「かわいい」!】【オキシトシンで愛の対象を記憶に刷り込む】【警戒しないこと、信頼すること、愛すること】など関連分野別に書籍も取り上げてくれています。

 「赤ちゃんにオッパイをあげているときに、親が赤ちゃん怖いとか、吸われてキモイとか感じてくれてはまずいわけで、親の赤ちゃんに対する警戒心はグッと下がってもらわないと困る。『たまらない』ほど、愛おしんでもらわないと赤ちゃんは生きられず人類滅びてしまう。ゆえに、オキシトシンはせっせとヒトの母性本能を刺激する」

 近年、新聞の社会面を賑わせている事件に多数の幼児虐待があります。自分が幼児期に母親から虐待された女性が、我が子の虐待行為に走る例もかなりあります。心理学的な解説もあるのですが、オキシトシンをつくる能力が低い遺伝的な基盤があるのではないかと疑っています。金沢大の点鼻薬は母乳分泌促進用だったようですが、幼児虐待傾向にある母親にも積極的に投与することを検討してよいのではないでしょうか。名目は母乳用でも構いません。母乳で育てて自分の脳内でオキシトシンをつくだすように指導するだけでは間に合わないほど、虐待事件は頻発しているようです。母の日(5月9日)を前に考えたところです。


低いガン検診受診率をメタボ健診が押し下げ

 OECD諸国の中で最低レベルである日本のガン検診受診率が、2008年度にあろうことか下がってしまいました。47Newsの「市町村のがん検診受診低下 メタボ健診で混乱か」が伝えている通り、厚生労働省のメタボリックシンドローム健診推進は、国民の寿命を伸ばすために本当に必要なガン検診をブロックしたと言うべきです。メタボ健診が始まるときに私が「インターネットで読み解く!」第159回「メタボリックS健診は男性短命化政策」で指摘したように、過去の大規模健診追跡データは標準より小太りの男性の方が長生きだと示しているのです。多少太いウエストサイズを問題にすべきではなく、求められるべきは低いガン検診受診率改善の方なのです。

 47Newsは「大腸がん検診は前年度まで受診率が上昇傾向にあったが、2・7ポイント下がり16・1%に低下。前年度唯一20%を超えていた肺がんは17・8%(3・8ポイント減)、胃がんは10・2%(1・6ポイント減)と下がった。子宮がんは19・4%(0・6ポイント増)、乳がんは14・7%(0・5ポイント増)とわずかに上昇した」「07年度までは、市町村が基本健康診査とがん検診を実施。しかし、08年度に基本健診が廃止され、代わりに始まった特定健診は市町村運営の国民健康保険(国保)に実施が義務付けられ、がん検診と実施主体が分かれた」としています。

 特定健診とはメタボ健診のことで、受診率が低かったり保健指導での改善が無かったら、市町村や健康保険組合に対して後期高齢者医療制度への支援額を増やすペナルティを課しました。このインセンティブは強烈ですから、本当は重要であるガン検診よりもメタボ健診に力が入って当然でしょう。

 ところが、国の「低い日本の検診受診率|がん検診受診率50%達成に向けた集中キャンペーン」はこう記載しています。「日本の乳がん検診、子宮頸がん検診は、OECD(経済協力開発機構)加盟国30カ国の中で最低レベルに位置しています。欧米の検診受診率が70%以上であるのに対し、日本は20〜30%ととても受診率が低いのが現状です。例えば、米国では子宮頸がん検診の場合、83・5%の女性が検診を受診しているのに対して、日本では21・3%にとどまっています」

 実は2007年の閣議決定で2012年には「がん検診の受診率50%以上」が打ち出されているのです。キャリアブレインnewsの《がん検診受診率、「なかなかショッキング」》は受診率低下に接した「がんに関する普及啓発懇談会」の模様をこう伝えます。「中川座長は『なかなかショッキング。危機感というか、もう土俵際という感じ』と述べ、受診率向上に向けた個別勧奨の重要性を指摘した」。韓国は受診率53%を達成していて「2年後に50%達成するんだ、がん検診が大事だ、予防医療が大事なんだということを、日本政府にはっきり打ち出していただくことが必要かなという気がしている」とも。

 2007年の「第2回がん検診事業の評価に関する委員会」に出された「資料3:がん検診受診率向上に向けた取組方策について」などには、受診対象者をうまく調整してメタボ健診と同時に受診する仕組みにしたら受診率が上がるとの知恵が書かれています。しかし、現実は小太り男性にとっては無意味、有害なメタボ健診「命」と突っ走ったのですから、厚生労働省の罪は重いと思います。


盛り上がるか、個人所有本のPDF化サービス

 大和印刷という会社が「BOOKSCAN(ブックスキャン) 低価格・書籍スキャン代行サービス」を4月下旬から始めるとのニュースが伝わり、ネット上で大きな話題になっています。アップルのiPad発売が間近になっても国内では電子書籍の動きは鈍く、欲しい本がiPadやKindleで読める可能性は極めて低い現状です。そんな折に、過去に買っている本を1冊105円でスキャンしてくれ、携帯機器に入れて持ち運べるようになるという話です。

 著作権法との絡みで問題があるでしょう。「404 Blog Not Found」の「ブックスキャン代行サービスは合法だよね?」あたりでも論じられています。実際上は侵害を受けた著作権者が、侵害に気付く可能性は薄いのでグレーゾーンとして運用されてしまうのでしょうか。また、不便なことに発売後2年以上経過した本はお断りです。「10.裁断しスキャン後5%以上読み込めない箇所がある書籍は、対象となる書籍の購入金額の全額を返金致します」との注意事項もあることから、かなり読めない部分が発生する覚悟も要るようです。

 持っている本をスキャンする話がにわかに現実味を帯びてきたので、さらに調べると、スキャンするために本をきれいに裁断だけしてくれるサービス「scanbooks.jp」がありました。高速スキャナーを無料レンタルしてくれて、所有者本人がスキャンすることで、著作権法が許す私的複製「使用する者が複製することができる」状態になる仕組みです。こちらは1冊110円です。ただし、高速スキャナーの往復送料で何千円か掛かります。百冊くらいまとめてPDF化するのなら割安かと思います。

 ブログを見回すと、裁断機とスキャナー「ScanSnap S1500」を買い込んで自分でPDF化した経験を書かれている方が何人もいらっしゃいます。「Lifehacking.jp」の「中身を捨てずに空間をすてる。漫画も本も iPhone に入れる全工程」は「場所がないから捨てなくてはいけない、でも捨てるには惜しい」漫画本を処理しています。漫画1冊がスーパーファイン(300dpi)カラーのPDF 形式で50MBくらいになり、ページの脱落がないかチェックするのに時間をかけて1冊処理時間は15分くらいだそうです。

 毎分20枚の高速スキャナー「ScanSnap S1500」は「価格.com」で調べると4万円を切っています。本以外に各種ドキュメント類も一気にペイパーレス化してしまうことも考えてよいかも知れません。「あらゆる紙資料をパソコンに取り込んで活用する技」といった情報もあります。音楽でそうしているように書籍も自宅から持ち出して、いつでも参照できる時代に突入しそうです。


アイスランド噴火は地球規模で気候に響くか

 アイスランド南部の火山噴火で大量に放出された火山灰を吸い込とむジェット機が安全に飛べなくなる恐れがあって、欧州の航空網が麻痺してしまいました。噴煙は高さ1万6千メートル、成層圏に達したと報じられたのを見て、空の混乱もさることながら、地球規模の気候にも響くのではないかという危惧も感じ、関連するサイトを調べてみました。まず、噴火の様子を見てください。




 刻々と情報を流しているサイトとしては、英国BBCの「Live: Volcanic cloud over Europe」がよいでしょう。写真集としては「Iceland's disruptive volcano」が大判で迫力があります。雲の海を突き破って上がる噴煙は巨大ですし、前段にあった3月の割れ目噴火で溶岩が噴き出す情景も収められています。

 国内の専門家たちがTwitterでやり取りしている様が「2010年春アイスランド火山噴火:専門家系TL」でのぞけます。現在の段階は「アイスランドで14日から始まった噴火が、1783年ラカギガルの噴火と同規模に発展すると予想される観察事実はありません」というレベルのようです。

 このラカギガル噴火こそ北半球の平均気温を2度下げ、飢饉を招いたと言われる恐ろしい災害でした。今回噴火のエイヤフィヤットラヨークトル氷河にある火山とラカギガルは100キロくらいしか離れていません。ラカギガル噴火について詳しいデータを求めてみると、「ヨーロッパ火山紀行」の「第3章 アイスランド」に行き当たりました。真ん中あたりに「ラカギガルLakagigar―18世紀の災厄と異常気象」の項があります。

 「ラカギガルの1783年噴火がもたらした災厄の主犯は,溶岩や火山灰ではなく,おびただしい量の火山ガスであった.火山ガスは,噴火終了後も火口や溶岩流の表面から絶え間なく放出され続けた.この火山ガスの中には大量の硫黄酸化物が含まれており,それらは青味を帯びた硫酸の霧となって大気中をただよい,一部は酸性雨となって地上に降りそそいだ.また,成層圏に昇った霧は北半球全体の空をおおい,日射をさえぎって世界的な気候の寒冷化を引き起こした」

 ラカギガル噴火は長期間であったのに加えて、噴火後にも火山ガスの大量放出があったのです。今回の噴火も今後の成り行きを注目していかなければならないようです。

 地球のプレートを引き裂く現場は通常は大海の底に見られるのですが、アイスランドではそれが地上に顔を出しています。地理資料シリーズ「地球の裂け目. (アイスランドのギャオ). 」には「アイスランドの西半分は『北アメリカプレート』であり、東側は『ユーラシアプレート』である。ふたつのプレートは互いに反対方向に移動しているため、アイスランド島は平均すると毎年2cm程度、東西に引き裂かれている」とあります。激烈な火山活動はここに起因しています。裂け目が直下にあるのですから、溶岩や火山ガスの放出源は無限とも言えます。


立て続けのネット規制は現実とミスマッチ

 3月末に都議会のネットカフェ規制条例が成立したのに続いて、最高裁が8日、ネット上で名誉棄損などの不法行為を受けた人が、書き込みルートである「経由プロバイダ」に書き込み者の顧客情報を請求できるとの判決を出しました。やはり3月の最高裁判例でネット上の記事による名誉棄損罪の基準をマスメディアと同じにするとされたばかりです。額面のまま受け取れば、ネット上の表現に非常に厳しい規制が課されたことになります。

 「みんなにわかる!最高裁判所・判例解説」の「H22.04.08:発信者情報開示請求事件@経由プロバイダはプロバイダ責任制限法『特定電気通信役務提供者』に該当する」は判決の趣旨をこう説明しています。「経由プロバイダは(サービス利用者に課金する都合上)情報の発信者の個人情報を有しており,その反面,経由プロバイダ以外(電子掲示板のサーバー管理者など)はそう言った情報を有していないことが多い」「ここで,経由プロバイダは情報を開示する義務を負わないとすると,加害者の特定が困難になり,この開示制度を設けた意味が無くなってしまうから,としています」

 こうしたプロバイダに個人情報を登録せずにネットに書き込める場所がネットカフェです。都条例はネットカフェ側に運転免許証などで本人確認をし、その記録を残すように定めています。副作用として夜の寝場所を求めるホームレスが締め出される恐れがあったり、ネットカフェ側に残る個人情報記録が漏れたり、悪用されたりすることがないのか懸念されます。

 経由プロバイダに書き込み者情報を開示させる今回の判例確定にも、副作用の懸念があります。たとえば似非科学的な悪質商法業者に対する批判がネット上では盛んにされています。業者側が民事裁判に訴えて脅しをかけることがこれまで以上に増えると予想できます。マスメディア並みの調査義務を課すとした3月の判例と合わせれば、「自分が儲かるわけでもないのに悪質商法批判などしていられない」と萎縮させてしまう恐れが大です。

 一連の規制強化に対してマスメディアは問題意識をあまり持たないようです。ネット関連でマイナスの事例が持ち上がると大きく報道するけれど、ネット社会がもたらした前向きの意義を理解していない証拠です。従来はマスメディアが社会の知をランク付けしていたのに、検索システムと個人のウェブ、ブログが複合したネット社会は自らの力で知のランク付けを果たしてしまいました。メディアに頼らずとも、社会の持つ知の評価、流通が出来るようになりました。市民社会が自律的な発展で次の段階に移行したのです。そこに旧社会のルールすべてが適用できるはずもありません。

 3月の判例では「ネットの名誉棄損、最高裁が無理強いしても」と書きました。今回も実はネット上の反響は大したことはありません。それを見る限り、ネット規制が浸透していくのか疑わしくさえあります。司法や行政が罰則をたてに強制するのではなく、中学校あたりでネットの利用・活用法をトータルに教える仕組みを早く確立すべきです。それにしてもネットの書き込みをマスメディアと同じ基準とする最高裁には同調しかねます。現実に起きていることは法の建前よりも説得力がありますから、子ども達に建前だけ教えるネット教育は無効になる恐れが大きいので困ります。


マグロに続きウナギも完全養殖の国産技術

 暗いニュースが多い中で水産総合研究センターの「世界初の『ウナギの完全養殖』、ついに成功!〜天然資源に依存しないウナギの生産に道を開く〜」といったサクセスストーリーに接すると、ほっとします。前に書いた「国際規制強化に間に合ったマグロ完全養殖」と合わせて、海外に比べて圧倒的な差をつけている国産の養殖技術です。

 「完全養殖が実現しても、国内のウナギ養殖に必要な億単位の種苗を生産する技術は確立されていないので、今すぐに養殖用種苗を人工生産によってまかなえるということにはならないが、この成果は、資源の減少が危惧されている天然ウナギに依存せずに飼育下でウナギを再生産できることが示されたという点、および飼育環境に適応したウナギを選抜して世代を重ねることによって安定的大量生産技術開発に向けての進歩が期待できるという点で大きな意義を持っている」

 国際的にマグロ資源の心配が言われていますが、ウナギ資源の方がもっと深刻かも知れません。農水省の「ウナギ人工種苗の実用化を目指して」にあるグラフと解説を引用(国や自治体の資料は引用元を明記すれば転載は自由)してみます。「世界的に見ても各種ウナギの資源水準が低下していると言われています(図3)。一方、中国のウナギ養殖ではヨーロッパウナギも種苗として利用されていますが、資源の枯渇を懸念して2007年のワシントン条約締約国会議において、ヨーロッパウナギの国際的な取引が規制されることになりました」。日本より欧米ウナギの枯渇が大変で禁輸の動きもあります。 ヨーロッパウナギはニホンウナギよりも大ぶりです。


 人口生産の稚魚から育てたウナギを成熟させ、これから稚魚を得て完全養殖のサイクルが出来たのですが、実用化への道のりはまだ長いとも言えます。と言うのもウナギの稚魚は人工環境では、なかなか大きくならないからです。平たく言えば何がエサなのか、まだ判然としないのです。「(4)ウナギ仔魚の正常な育成のための飼料の開発と飼育環境」はこう説いています。稚魚「ウナギレプトケファルスはゼラチン質プランクトンなどを起源とするマリンスノーを主に食べているという説が有力ですが、その構成要素や栄養成分の特定には至っていません。最近始められた消化管内容物のDNA解析によるアプローチでは、これまでに真菌、珪藻、クラゲ類などのDNA配列がわずかに得られていますが、餌生物を特定するにはさらなる研究が必要です」

 親ウナギはグアム島の西側に当たる海域の深海で産卵、誕生した稚魚は少し大きくなってから黒潮に乗り、「白いダイヤ」とも呼ばれるシラスウナギとして日本列島にやって来ます。この回遊状況が解明されたのも最近のことです。特定の深海で育つので、そこの環境条件がウナギには大事なのでしょう。本当はその現場を見に行きたいところですが、人間には簡単ではありません。


iPad発売、見えてきた新用途や幅広い性格

 米国で3日、アップルのタブレット型パソコンiPadが発売になりました。予約制なのに前の晩から泊まり込みで店頭に並ぶ行列が出来るなど、人気ぶりは相当なものです。グーグルのブログ検索を見ていただけば分かるとおり、手にした人たちが続々とレビューをあげたり、便利ツールを紹介したりと賑やかなことになっています。

 ITmediaの《ELECTRIBEもハモンドもiPadアプリに 「楽器としてのiPad」は一気に開花するか》がシンセサイザーやキーボードなどの楽器として人気を得そうだと伝えています。「初代モデルであるELECTRIBE・R(ER-1)は生産が終了しており、中古以外入手することができない。その機能をiPadに実装してわずか1200円で売り出したのだ」そうですから、好きな方にはとても魅力的でしょう。発表時にスクリーン上の仮想キーボードを見てマルチタッチなのだから「これは携帯ピアノになる」と思っていたので、楽器の話は納得です。

 新しく画期的なプラットフォームが提供されたのですから、どんどん新しい用途が開発されてアプリとして追加されていくでしょう。iPhoneより格段に大きいだけに向き不向きに差が出ます。携帯楽器アプリは、iPhoneでは画面が小さすぎて実用にならなかったと言われています。ゲーム機としても、あの画面の大きさは車のハンドルに近いので、操作する側にリアルな感覚を持たせそうです。

 電子書籍リーダーのKindleとは対抗するようにも言われましたが、《アップル、iPadに対応した「Kindle 2.0」を承認〜App Storeで公開》となりました。iPadアプリのひとつとしてKindleが使える訳です。「これにより、iPadのユーザーは購入初日から『iBookstore』だけでなく、45万タイトルを揃える『Kindle』のコンテンツも同時に楽しむことができるようになります」。日本国内では電子書籍の大きな動きがまだ見えないだけに羨ましいところです。

 発売を前に米国メディアには試用機が渡されており、レビューが出ています。ロイターの「著名レビュアー、iPadの使い勝手とバッテリーを評価」は使いやすさを認めつつもこう言います。「New York Times(NYT)とWall Street Journal(WSJ)によると、同製品はまだノートPC市場を壊滅させるほどではないという」「要するに、フルキーボード、DVDドライブ、USBポート、メモリカードスロット、カメラ、仕事用の機能が備わったノートPCをiPadより安く買えるということだ」「iPadは、機械恐怖症の人や高齢者、若者に適した、誰でも使えるコンピュータとしていいかもしれないと言った人がいた。まったくその通りだ」

 ヘビーなパソコンユーザーには当然ながらもっと適した機器があります。そうした人でも気楽にネットを見たり、音楽や映像ソフトを楽しみたい場合の機械だと思います。さて、国内では発売までに出版ソフトの準備は出来るのでしょうか。ユーチューブで、米国漫画を画面を回して縦長、横長にどんどん変えながら見ている動画があり、便利だと思いました。紙とは違う世界と割り切ると面白いことになりそうです。

 【関連】iPad登場目前、電子新聞など内外で動き急


結束だけ標榜の谷垣・自民党から与謝野新党

 みんな仲良く結束して行こうというスローガンは政権を持った与党としては意味があるでしょうが、政権を奪取する立場の野党が唱えても有権者に響く言葉ではありません。「全議員懇談会」で中堅・若手から批判を浴びても、自民党の谷垣禎一総裁は野党転落の状況をいまだに把握できていないようです。与謝野馨元財務相が谷垣総裁から呼び出されたのを機会に離党届を渡してしまい、読売新聞が「与謝野・平沼氏が共同代表…新党合意」と伝えました。

 「与謝野氏は、谷垣氏ら党執行部を刷新し、中堅・若手を起用して参院選に向けた態勢立て直しを図るよう求めてきたが、谷垣氏は執行部刷新を拒否した。このため、与謝野氏はこのままでは党再生は困難だと判断したとみられる」

 前衆院議員「フェニックス早川忠孝の一念発起・日々新たなり」の「与謝野・園田新党のインパクト」は「この動きには、必然性がある。政権交代を歓迎したものの、民主党の打ち出す一連の政策にはどうしても不信感が拭えないでいる人たちのための確かな受け皿となる政治集団をどうしても作り上げなければならない、、という大義が今回の新党運動にはある」「政権交代に失望し、自民党の再生にも失望した人たちのための受け皿が、この新党である」と期待します。

 一方、参院議員山本一太の「気分はいつも直滑降」は「与謝野氏の離党と比例復活当選の矛盾」で「与謝野馨氏と園田博之氏が新党結成を決めたって?! 平沼赳夫氏と組む?! 申し訳ないが、このメンバーで発足する『新党』が、次の選挙で『台風の目』になるとは、到底、思えない!!」と辛辣です。

 民主も自民も支持率を下げる中、各種の世論調査で「みんなの党」に無党派層が流れる傾向が出ています。しかし、与謝野・平沼という一般受けしない顔で、その流れを横取りするのは難しいでしょう。早川氏が「若手が奮起することだ。後藤田正純、平井卓也、田村憲久、河合克行氏らの中堅・若手といった人たちが前面に出ることだ」と希望する事態にならない限り、大きなうねりにはならないでしょう。


2010年3月のエントリー一覧

3/31 公文書と学術雑誌、往時を振り返るアーカイブ
3/28 郵政改革見直しは現政権の性格決める指標に
3/27 中国異聞補遺:5〜10年で高度成長の頭打ち?
3/23 日経電子版の客寄せ特ダネ、いただけない素人騙し
3/21 混沌の現状と将来像を占う中国異聞3件
3/20 ネットの新サービス:カーリルとradiko
3/17 ネットの名誉棄損、最高裁が無理強いしても
3/16 「非実在青少年」でメディアの権力監視に疑問符
3/14 iPad登場目前、電子新聞など内外で動き急
3/13 クロマグロ禁輸で漁業と水産養殖を見直せ
3/08 資源の限界を考えない中印鉄鋼業:新聞を読んで
3/06 地検特捜の捜査ここまで劣悪。東京も大阪も
3/05 手ぬるい新聞労連「記者会見の全面開放宣言」
3/03 お産をめぐる現場の危機がいびつな形で表面化
3/01 口に出来ぬほどの技術的愚劣、もんじゅ再開