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公文書と学術雑誌、往時を振り返るアーカイブ

 3月も終わり、ネットを歩いていて、少し前の往時を振り返るアーカイブを見つけました。国立公文書館の「デジタルアーカイブ」と、科学技術情報発信・流通システム(J-STAGE)の「Journal@rchive」の公開記事数100万件突破のニュースです。どちらもネット検索などで引っかかってこず、重ためな中身があります。

 まず「デジタルアーカイブ」です。一般の人が利用しにくかったのを、3月から検索機能を充実させるなどしてリニューアルしました。重要文化財などを大判資料で収録し、細部まで拡大して見られるようにもなって、絵巻物鑑賞も楽しいと思います。今回は公文書で何か探しましょう。最近、日露戦争が話題になっていましたので「日露講和条約」の原本を見ましょうか。批准して署名している明治天皇は「睦仁」ですし、キーワードとして「露」を追加して検索すると49件あり、27番目が「日露両国講和条約及追加約款・御署名原本・明治三十八年・条約」です。「天皇御璽」が押された写真が以下です。


 「Journal@rchive」は独立行政法人科学技術振興機構の下にあるジャーナルアーカイブで、「国内の学協会の学術雑誌の国際発信力をさらに強化するとともに、日本の知的財産の保存を目的として、紙媒体の雑誌を創刊号から電子アーカイブ化」してきています。これまでに650誌くらいがアーカイブ化されています。記事数が100万件とは言え、個々の記事(論文)をキーワードで引けないのが残念です。雑誌名や学会名でまず雑誌を探してから、各号ごとに論文を探すことになります。むしろジャーナル名一覧から当たるべきかも知れません。栄養学関係などごく最近の論文も読めます。

 トピックスとして「Journal rchive Stories 〜数物学会誌の紹介」が用意されていて、日本人初のノーベル賞学者湯川秀樹さんの中間子論の論文などが紹介されています。『数物学会誌』(1935年)に掲載された、その論文のPDF「On the Interaction of Elementary Particles. I.」 (「素粒子の相互作用について I.」)もご覧になってください。


郵政改革見直しは現政権の性格決める指標に

 郵政改革をめぐる政策の見直しが、民主党を中心にした現在の3党連立政権が何者であるか、政権の性格を決めることになりそうです。亀井静香郵政・金融担当相と原口一博総務相が24日に発表した郵政改革法案の骨子には、郵便貯金の預入限度額の1千万円から2千万円への引き上げなど、改革を根底から覆す項目があり、仙谷由人国家戦略相らから異論が噴出しています。小泉郵政改革は不徹底ではあったけれど、巨額な郵便貯金の管理から国が手を引いて民間に任せ、歪んだ金融の有り様を正常化する方向だけは示していました。

 ロイターの「緊急閣僚懇で郵政問題を議論へ、預入限度額など焦点」は「民業圧迫の批判がある郵貯の預入限度額の引き上げなどの扱いが焦点となるが、法案骨子を発表した亀井静香郵政・金融担当相は26日の会見で、限度額などを修正する考えはないことをあらためて表明しており、閣内調整は難航しそうだ」と伝えます。むしろ「閣僚懇において成長戦略や中期財政フレームとの関わりを含めて郵政問題を議論するための緊急閣僚懇談会の開催を鳩山由紀夫首相が指示した」の方が問題で、成長戦略や中期財政フレームで、政権内の議論がこれまでされていなかった不思議さがあります。

 「担当閣僚が決めたからそれが最終案」と言い放つ亀井郵政・金融担当相の非常識さにブレーキが掛けられないようなら、鳩山由起夫首相のリーダーシップは大きく傷つきます。「Japan Blogs Net」を巡回してみると、弁護士で前自民党衆院議員「フェニックス早川忠孝の一念発起・日々新たなり」の「今になって官営事業を推進する愚」がばっさり斬っていました。「亀井さんは思い込みが強い人なので、説得不可能な部類に属する。この人と政策協議を続けると、残るのは徒労感である」「いかにもやり手、仕事師、豪腕のような印象が残るが、要するに人の言うことが耳に入らないだけ。この人は始末に終えない」「亀井さんは早く切った方がいい」

 「極東ブログ」の「郵政改革法案を聞いて、これが民主党なんだろうかと思った」もこれまでの経緯、過去の民主党による郵政改革案を提示して疑問を投げかけています。「今や民主党が、小泉改革の反対勢力の旗頭であった亀井氏のもとに、もっとも古い自民党に変質してしまった。天下りを禁止すると以前は言っていたのに、今では天下りの典型を長に就けている」「とはいえ、民主党内にも数年前の民主党の政策を忘れてしまえる原口総務相のような人ばかりでもないようだ。忘却力に優れている鳩山首相も、なんだかこれは変だなと思っているふうでもある」

 かなりの時間をかけてでも、郵政の金融部門は安楽死させてしまうのが正しい方向だと思います。全国サービス維持を課している郵便事業が赤字だというなら、それを公共として補う別の仕組みを設けるべきです。金融部門の儲けを増やして郵便事業を補うのでは、完全に昔の郵政事業体に戻ることになります。成長戦略や財政運営とからめて議論するのは、性格が不透明に成りつつある鳩山政権にとって大きな意義があります。


中国異聞補遺:5〜10年で高度成長の頭打ち?

 ネットに出てこない新聞記事ながら、しばしば出さないのがもったいない、是非読むべきであると感じるのが日経新聞の「経済教室」です。3月26日、前の東大総長で三菱総研理事長、小宮山宏さんの「『創造型需要』で先行利得を」もその一つでした。特に注目は中国の高度成長の行方を、人口1人当たりのセメント生産量の累計、自動車販売数などから考える思考方法です。結論は「このことから見ると、中国の成長が世界経済をけん引できるのは今後5〜10年ほどと見ておかしくない」です。

 記事そのものを読んでいただきたいところですが、安く重くて地産地消主体であるセメント関係だけ抜粋すると、セメントの1人当たり総投入量は2008年で日本29トン、米国16トン、フランス22トンです。中国は既に11トンに達し「このままの成長率が続くと仮定すると12年に米国、16年にフランス、20年に日本並みに達する」と見積もられます。

 中国についての未来予測で、これほど具体的な指摘は珍しいと思います。セメントや自動車のような人工物の飽和は近い将来に訪れるから、それを「普及型需要」とし、逆にまだ姿を見せていない需要を「創造型需要」として、そこにこそ日本の強味、「ものづくり」活性化の場があると主張されています。

 私のサイトでも、2008年の「今こそ求められる市場開拓型商品開発 [BM時評]」などで論じてきたテーマと通じるものがあります。そこでも紹介している京都ベンチャー企業群の「ものづくり」にこそヒントが秘められていると思います。


日経電子版の客寄せ特ダネ、いただけない素人騙し

 国内の有力紙として本格的な電子版を23日スタートさせた日経新聞さん、朝刊トップの”特ダネ”「ゲイツ氏、東芝と次世代原発 私財数千億円投入も」を電子版に誘導する客寄せに使ったのは感心しませんでした。「ゲイツ、原発挑戦の真相」へと読み進ませて、原子力分野の素人さんには大変な原発が出来ると大いなる幻想を持たせたと思います。しかし、これが簡単に出来るくらいなら核融合実用化の大きな障害がひとつ取り除けるのだと申し上げたら、いかに困難な話なのか理解していただけるでしょう。

 いつもはもう少し醒めている「木走日記」あたりが「ビルゲイツを有料電子版販促に使う日経の姑息」と題名では皮肉りながら、「『核燃料を交換せずに最長100年間の連続運転を実現』とはすごい技術です、これが実現できれば新興国などこれから原発需要が見込まれる中でゲイツ氏の新たなビジネスチャレンジが世界規模で展開されるかも知れませんね。すばらしい」「お陰で不肖・木走も電子版購読者登録(最初の一ヶ月は無料ですが)してしまいました」と釣られてしまっているのが可笑しくて、笑いました。

 協力を求められた東芝の「小型高速炉(4S)」はナトリウム冷却高速炉ながら、出力1万キロワット級とコンパクトさが売り物です。小さいが故に中性子の発生も少なくて、核燃料体交換無しに30年運転をうたいます。ところが、今回取り上げられた米テラパワー社の「TWR」は10万〜100万キロワット級といいます。これで100年間連続運転すると原子炉は膨大な中性子線を浴びます。

 TWRと非常に似た発想の炉を国内で関本博・東工大教授が研究されていて「CANDLE」と名付けています。その「革新的原子炉CANDLEの研究」はウランを「いっきに40%燃焼した場合、一般に使用されている材料では持たない。材料を変更し、温度を下げることによりこの燃焼度を達成することも可能であるが、温度を下げることは原子炉の性能を落とすことに繋がることから、ここでは、被覆材への高速中性子の照射量が限界になる前に被覆材を交換する方法を採用する。この作業は高い放射線レベルで行なうことになる」と記述しています。炉の材料がもたないから途中で交換する訳です。

 言われるように100年間も連続運転して中性子線に耐える材料は、核融合炉開発で求められているものに近いのです。そうそう出来ると楽観的には考えられていませんし、もし耐えたとしても高度に放射化して非常に厄介な存在に化します。これくらいは少し原子力を取材していれば見えてきます。素人を騙すような「客寄せ」は、国内新聞メディアの将来にかかわる電子版スタートにふさわしくなかったと考えます。


混沌の現状と将来像を占う中国異聞3件

 中国について今週、注目したい記事を3件見ました。食用油の1割は極めて不潔な方法で再生されたものという驚愕、また中国政府が最も恐れるのはネット世論、そして中国の将来に民主化は来ないだろうとの予測――巨大な「象」が今どこをどう歩き、どこへ向いていくのか、考える資料になると思います。

 まず「レコードチャイナ」の「『リサイクル食用油』その原材料は下水道の汚水!年間300万トンが国民の胃袋へ―中国」です。最初は半信半疑、ちょっとオーバーな言い方をしているのだろうと思っていたのですが、違っていました。「<続報>リサイクル食用油、当局が飲食業界の実態調査へ―中国」「<レコチャ広場>汚水から作る『リサイクル食用油』は中国人の浪費好き・拝金主義が生み出した―中国」と続くニュースを見ていると、この国民には倫理観が無いのかと、絶望したくなります。中国旅行をされた方は胸が悪くなる思いでしょう。

 「リサイクル食用油のニュースは全ての中国人の怒りと驚きを招いた。われわれは豊かになった。しかし病気、特にがん患者はその数を増している。リサイクル食用油は高温で精製されるために細菌やウイルスの心配はないかもしれない。しかしその中にはヒ素の百倍も毒性が高く、地上最強の発がん性物質とも呼ばれるアフラトキシンが含まれているのだ。なるべく外食は避けること。特に揚げ物や水煮魚(油で川魚を煮る料理)はリサイクル食用油が使われることが多い料理だ」

 「ニューズウィーク日本版」の「中国がアメリカに背を向ける理由」がネット世論こそ中国政府を動かしていると指摘しています。

 「中国が自信満々だという印象を受けるかもしれないが、実際は違う。いま中国の指導者を突き動かしているのは、底知れない不安だ」「今や世論の動向を無視すれば、共産党支配の存続が脅かされかねない。『現在の中国政府はこれまでなかったほど、国民のナショナリズムの高まりに応えて振る舞いを決めなくてはならなくなった』と、中国屈指のアメリカ専門家との呼び声も高い北京大学国際関係学院の王緝思(ワン・チースー)院長は言う」「『世論とは主にネットユーザーの意見のこと』だと、中国人民大学国際関係学院の金燦栄(チン・ツァンロン)副院長は言う。『中国のネットユーザーは、アメリカより1億5000万人多く、3億8400万人。中国の指導者は方針を決める際、この層の多数意見に大きく注目する』」

 民主主義のシステムを持たない国だからこそ、「世論」は無視できないはずです。自由な世論調査を許さない以上、膨大な参加者の間から勝手に出来上がってくるネット世論を尊重せざるを得ない理屈になります。だからこそ、グーグルと衝突している、ネット上の言論統制は捨てられないのです。

 中国の将来の民主化に期待する人は多いと思います。ところが、「JBpress」の「民主化の道は絶対に選べない中国」は台湾民主化の過程との比較から、その可能性は低いと論じます。「李登輝の民主化運動は、政治制度の正当性を確立するだけでなく、台湾という島から国共合作、国共対立といった『外来的要素』を排除し、台湾人のための台湾をつくるための手段であった」「李登輝の『民主化』は我々が知るような『中国的』現象ではなかったのだと思う。どうやら中国が『何かの拍子に』民主化することはなさそうだ。やはり中華人民共和国の究極のモデルは『台湾』ではなく、『シンガポール』である」

 御しにくい相手であることがますます明白になっています。おまけに大国になった(あるいは数百年ぶりに大国に復帰した)にもかかわらず、時として不都合があると「途上国」の面をかぶってすませます。地球温暖化問題などで世界から不評を買ったのに、中国政府が内向きにならざるを得ない仕組みも見えてきています。

 【関連】インターネットで読み解く!「人口・歴史」


ネットの新サービス:カーリルとradiko

 春の声を聞いた途端、新しいネットサービスが相次いで現れました。全国4300以上の図書館の蔵書検索が出来る「カーリル」と、ネットで民放ラジオが聴ける「radiko.jp」です。カーリルは全国通しのサービスです。しかし、radikoは東京と大阪周辺の放送局に限っていて、アクセスできる人をIPアドレスで判別して弾いていますから私の場合、職場では聴けず、家庭ならオーケーです。

 大都市なら図書館のウェブに検索機能が実装されています。書名がはっきりしている場合はそちらを使う方が早いはずです。カーリルは本の表紙画像が並んでいて楽しいのですが、検索に時間がかかります。出来がよい作家リストを使ったりして、本について色々と発見しながら使うものでしょう。

 そこで、radikoでラジオを聴きながら、ゆったりカーリルを使うのが面白いと思います。多くのウェブは音の情報を持っていませんから、インターネットとラジオは相性が良いと言われてきました。「ながら」をすると、この二つのサービスはいい組み合わせです。

 あちこちで評判になっていて、既にradikoの番組を録音するためのフリーソフト「radika」が開発されています。音質は48kbpsのステレオですから、それほど高音質ではないものの、AMラジオなら実際のラジオを聴くよりもクリヤーに感じられます。

 【関連】「ウェブ通」リンク集


ネットの名誉棄損、最高裁が無理強いしても

 ネット上の記事による名誉棄損罪の基準を緩めないとの初判断を最高裁が示しました。日経新聞の「ネットの名誉棄損罪 新聞・雑誌と同基準 最高裁初判断」は名誉棄損罪の成立要件を「表現媒体によって区別をしないとする初判断を示した。ネットを理由に責任が緩和されることはないとした今回の判断は、ネット上にはんらんする度を越した中傷行為への警鐘といえそうだ」と伝えています。しかし、ネットの現状を知っていれば、この無理強いが無数のネット大衆に浸透していくとは考えにくいと思います。

 この判決に賛成と反対の立場で、これまで経緯を注目していた弁護士さんが発言しているので取り上げます。

 賛成は「貧乏庶民の法的思考」の「インターネットでの誹謗中傷 その4」です。無罪とした一審判決について「一般人は(マスコミとかと違って)調査能力に限界があるし(必要性)、一般人の書込みは読む者は(マスコミの記事とかと違って)疑いの目で読むから(許容性)、名誉毀損の成否は違法になりにくいよう甘めに判断する、ということ──には驚きましたね」とします。「だいたいこんな刑事裁判になるようなヤツは、企業が『事実と違うから訂正せよ』と要求しても訂正しないんですよ。いわゆる『確信犯』ですから。『わかってやっている』のですから。『害意の一念』でやっているのですから。だから大問題なのです」

 反対は「弁護士紀藤正樹のLINC TOP NEWS−BLOG版」の「不当な最高裁判決に驚き!と困惑!! 本日午前11時47分加筆あり」です。「この事件で、中傷という評価は誤っています。少なくとも、この事件は、市民として『できうる調査』はしていた事案です。ですから今回の最高裁判決は、本当に驚きです。たった4頁の判決で、市民に、マスコミと同様の調査義務を課すというのでしょうか?」と批判します。伊藤整翻訳のチャタレー事件を例にあげて「時代の変化を経て、以前は有罪であったものが、有罪でなくなるという事件も現にあります」「一体なぜ、その時代に、伊藤整氏は、有罪とされたのでしょうか?それは時代の変化に、裁判所がついていけていないからです」と判例は将来変わる可能性があるとします。

 新聞によっては1面にも取り上げた最高裁判決ですが、ネット大衆の目に触れるかと言えば極めて狭い範囲だけでしょう。グーグルのブログ検索でキーワード「最高裁判決・名誉棄損」で出てくる記事は、過去1日でわずかに174件です。「最高裁判決」のTwitterが40件余り。マスコミが伝えられる伝播力はこの程度のモノなのです。「警鐘」になるのか、極めて疑問です。圧倒的多数のネット大衆はこれまでと同じペースで書き続けるだけでしょう。最高裁は自分の権威を過大評価していると評しておきましょう。

 ※注:コメント欄指摘により「伊藤聖」を「伊藤整」に訂正


「非実在青少年」でメディアの権力監視に疑問符

 著名な漫画家たちが都庁に押しかけて記者会見したおかげで、都青少年保護条例改正案に重大な問題点があることをマスメディアが一斉に報じました。「アニメ・漫画・ゲームの児童ポルノ規制 都が条例改正案」(朝日新聞)は「東京都がアニメなどに登場する18歳未満と判断される架空の人物の性描写を規制対象にする、青少年健全育成条例の改正案を都議会に提出している」「指定の基準にはあいまいな部分があり、出版界などは『表現の自由が侵される』と批判。15日は漫画家らが記者会見して規制への反対を表明した」と伝えました。

 条例案によると「十八歳未満として表現されていると認識されるもの(以下「非実在青少年」という。)を相手方とする又は非実在青少年による性交類似行為に係る非実在青少年の姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」を取り締まるというのです。どうにでも拡大解釈できる条文であり、この問題点を条例案が提案された段階で見抜けなかったマスメディア各社の権力監視機能は死んだも同然です。

 「たけくまメモ 」の「都条例『非実在青少年』規制問題について」が問題提起で先駆けた藤本由香里・明治大学国際日本学科准教授の指摘を収録しています。見方を変えれば「国の方で何度も改正(改悪)が話題に上りながらも、反対が多く先に進まないでいる『児童ポルノ法』における、「単純所持規制」(=とくに売買する意思を持っていなくとも、『児童ポルノにあたるもの』を単純に『持っている』だけで逮捕)、『マンガ・アニメ・ゲームその他、画像として描かれる青少年の姿にも児童ポルノ法を適用する』というもくろみを、都の条例で先に決め、規制してしまおうという法律です」

 提案と審議の日程も驚くべき拙速さです。「2月24日に案が発表されて、都民が意見が言えるのは25日まで(つまり1日だけ)」「議会での質問が許されるのは3月4日(代表質問)・5日(一般質問)だけで、これも数日前には質問を提出していなければならない。(つまり議員でさえ、検討できるのは3日程度)で、18日の13:00の付託議案審査がもっとも重要で、今月末には投票、決定、ということになります」

 都庁の記者クラブに常駐している多数の記者たちは、いったい何をしていたのでしょうか。ネットで今回の記者会見を伝える記事を拾うと、質問でもフリーのライターたちに後れを取っているようですし、それでもなお都庁よりの姿勢だったとの指摘もあります。


iPad登場目前、電子新聞など内外で動き急

 4月3日の米国発売が決まったアップルのタブレット型端末「iPad」。13日から先行予約が開始されて、「Apple iPadの初日販売総数は12万台? - 人気はWi-Fi版に集中」(マイコミジャーナル)という人気ぶりです。無線LANで記憶容量が少ないタイプが強いのですから、自宅やオフィスで専らメディアブラウザとして使うのでしょう。4月までに100万台規模の生産が進むようです。日本国内では4月下旬の発売です。

 「メディア・パブ」の「ソニーの電子書籍端末,17紙の電子新聞と5誌の電子雑誌が購入可能に」が、iPadに足下を脅かされかねないソニーの電子書籍リーダーが「これまでの電子書籍に加えて、17紙の電子新聞と5紙の電子雑誌もReader"! Storeから購入できる。今後、購読可能な電子新聞や電子雑誌を増やしていく」と伝えています。この分野では先行のアマゾン「キンドル」では月額27.99ドルで提供のニューヨークタイムズが、ソニー側では月額13.99ドルで出しています。他の新聞では9.99ドルが多数見られ、なかなかリーズナブルな値付けです。

 国内については1月に「新聞有料電子版、日経とデイスポの落差鮮烈」で日経が月額4000円、デイリースポーツが1890円と伝えています。日経に至っては紙の新聞の販売に影響させないことを至上命題にしている観さえあります。月額1000円前後まで下がれば劇的な変化を起こす可能性があると思います。iPad側は米国でどう出るのか、日本国内ではどうするのか、注目です。

 「TechCrunch Japan」が「iPadの対抗機7種を見てみよう?甘美なインタフェイスだけがすべてじゃないぞ」で、既に発売済みやこれから出るタブレット型を集めて紹介しています。どれもグラフィックは美しいのですが、アップルとの決定的な差はアップルストアによるコンテンツ供給力の有無だということです。コードレスのメディアブラウザとして最初から色々な楽しみが出来ると期待されてこそ大きく売れるし、販売台数が大きくなれば参入するコンテンツ供給媒体も増えることになります。

 日経新聞が今週、《「iPad」に雑誌配信、「おとなの週末」など38誌》で「電通は講談社など有力出版社と組み、米アップルが4月下旬にも日本で発売する新型の携帯端末『iPad(アイパッド)』向けに雑誌38誌の記事を有料で配信するサービスを始める」と報じたように、国内も動いています。


クロマグロ禁輸で漁業と水産養殖を見直せ

 大西洋と地中海のクロマグロについて全面禁輸が話し合われるワシントン条約締約国会議が13日、カタール・ドーハで始まりました。この海域のクロマグロは8割を日本が消費しているのに、EUや米国など禁輸賛成派の勢いは強く、太平洋にまで影響してくると心配する水産関係者もいます。実はマグロだけに気を取られてはいけないことは、2006年の「世界規模での漁業崩壊が見えてきた」で指摘しました。漁業・養殖業の在り方を早急に見直すべきなのに、稲作・農業問題と同様に放置が続いています。

 マグロの漁獲量推移は「主なマグロの海域別漁獲量」で見ることが出来ます。焦点の高級魚クロマグロについては西大西洋での資源枯渇が著しく、1964年の1万8679トンが2007年には10分の1以下に減っています。クロマグロに並んで高級なミナミマグロは南半球に生息していますが、これも急速に漁獲が減っています。1961年のピーク8万トンが2007年には1万トン余りです。東大西洋のクロマグロはまだ余裕があり、1996年のピーク5万トンが2007年に3万トン余りです。

 「世界規模での漁業崩壊が見えてきた」で紹介した「スシが食べられなくなる 2048年までに世界の海産食品資源が消滅−新研究」から引用すると、「過去200年、沿岸の生物多様性は、汚染による水質悪化、有害藻・沿岸の洪水・殺魚の急増に伴い、急速に低下している」「海産食品資源についても、1950年に利用できたものの29%が2003年時点で失われており、残ったものも2048年までにはすべて消えてしまうだろう」という恐ろしい予測を国際研究チームが出しているのです。

 農水省の「農林水産基本データ集」を見れば、水産国日本と言いつつ漁業・養殖業が放置されてきたことが分かります。漁業総生産量は2008年の概数で559万トンで、ピークだったのは1984年の1282万トンです。養殖で主流の海面養殖は115万トンと、1994年のピーク134万トンに比べてかなり落ち込んでいます。マグロに関してなら「国際規制強化に間に合ったマグロ完全養殖」のように明るい展望がありますが、これも不可能とされた技術開発に近畿大がねばり強く挑んだおかげであり、国が強力にサポートしたものではありません。

 いま大学ではバイオ系大学院研究者の過剰感が目立っています。国内にバイオ系の企業が少なく就職先が無いのに、研究者養成の枠だけが大きいのです。少し目先を変えて、水産養殖業に本腰を入れる、柔軟な発想転換が出来ないものかと前々から思っています。


資源の限界を考えない中印鉄鋼業:新聞を読んで

 8日の各紙朝刊を読んでいて、とても気になった二つの関連記事を見つけました。日経新聞1面の「インド、20年粗鋼生産5倍2億トン 日韓勢含む10社で」と、朝日新聞経済面の「資源メジャーの鉄鉱石『高すぎ』中国鉄鋼業協会長がクギ差す」です。どちらもネット上には提供されていない記事ですが、2010年現在の世界を考える重要な視点を提供しています。

 日経の記事に付いているグラフはインドの大手鉄鋼10社粗鋼生産がこれから10年で5倍、年間2億トンに迫ると示しています。ところが、一緒に書いてある中国粗鋼生産は過去10年で1億トンが6億トン近くにもなっているのです。この10年間、米国も日本も1億トン前後のラインで終始し、むしろ最近の不況で頭打ちです。

 朝日の記事は、大幅な上昇が予想される2010年度の鉄鉱石価格交渉についてのインタビューです。中国鉄鋼業協会長が資源メジャーを「採掘コストが十数ドルの鉄鉱石を中国に百ドル超で売っている」と非難しているのですが、こんな市場原理を無視した発言が世界に通用するはずがないでしょう。10年5倍という、無茶苦茶な増産をしていたら、原料供給側の一方的な売り手市場にならない方がおかしいのです。供給側にだって設備投資の膨大さや、それに伴う将来へのリスクが頭にあるでしょう。中印の言うままに供給をし、もし倒れたら膨大化した設備・従業員とも一蓮托生ではかないません。

 限りある資源をどう使うのか、頭を冷やして考えねばならない時が既に来ていると思います。市場の自律的な抑制力はむしろ活用すべきです。私には、中国の粗鋼年間生産6億トンは途轍もない資源無駄遣いに見えます。

 【関連】インターネットで読み解く!「環境・資源」


地検特捜の捜査ここまで劣悪。東京も大阪も

  • 2010.03.06 Saturday
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 障害者向けの郵便料金優遇制度悪用に便宜を図ったとして起訴されている村木厚子元局長の裁判で、大阪地検特捜部の捜査がいかに劣悪か、笑い出したくなるほど明白になってきました。しかし、こんな面白いニュースに対してマスコミは出来るだけ踏み込まず、扱いを控えめに努めているように見えます。NHKにいたっては、ここでも地検の側に立って報道する姿勢です。東京地検特捜部の小沢政治資金疑惑事件といい、検察当局とマスメディアは「心中」するつもりなのでしょうか。これから国民から生じるリアクションの大き、深刻さを思うと愚かしさに唖然とします。

 村木元局長事件は、民主党の石井一議員が「凜の会」代表の倉沢被告を紹介したことから始まったというのが地検特捜部が描いたストーリーです。4日の公判に出廷した石井一議員はこれをありえない事実として根底から否定しました。ジャーナリストの江川紹子さんがツイッターで公判廷を「実況中継」しているのを《「この裁判は検察の倫理、検察の存在(意義)を問うている」(石井一議員)*村木元局長裁判の様子を江川紹子氏がツイート!》が記録しています。

 「今日の公判で弁護側証人として出廷した石井議員は、過去40年にわたって自分の予定と実際の行動について克明に手帳に記録している、と証言」倉沢被告と面会したとされる日は「午前7時頃に自宅を出て、1ラウンドプレーをし、風呂に入って着替えをして4時頃ゴルフ場を出たとのことです。その後は東京に戻り、赤坂の料理屋で議員や業界関係者との懇親会に直行」「捜査段階で大阪地検の前田検事の事情聴取を受けています。そのときも、2004年分の手帳を全部並べて『見ていただいて結構ですよ』と言ったのに、検事はあまり興味を示さず、パラパラを見ているくらいで、その日について詳しく聞かれることはなかった、とのこと」

 私が検察官を取材した経験からは、これが事実なら、もう勝負は「終わっています」ね。事実だったことを法廷で「証明」するために、検事だけでなく都道府県警の捜査官もどれほど細部を詰めていることか。それほど要るのかと思えるほど複数の関係者から証言を集め、補強するのが、捜査では当たり前の世界だったのです。特捜部の捜査がこの程度の思いこみで進行しているのなら、検事総長の首がいくつあっても足りないと思います。

 江川ツイッターの続きです。「検察官は石井議員の証言を崩そうと必死。一緒にゴルフに行った議員が、当日、国会の委員会に出ていたという議事録を突然出してきた。ところが石井議員、『いい所に目をつけられましたが、議事録には出席してもしなくても、メンバー全員の名前を載せるんです』」「さらに検察官、『その日はインのスタートで……』と言ったところで、弘中弁護士すかさず立ち上がり、『異議!』。それは証拠に出てないと。尋問が終わった後、弘中弁護士が再び立ち上がり、『インからスタートしたと分かっているのは、ゴルフ場に照会をしているんですよね。それを開示してください』とたんに検察官しどろもどろ」

 こうしたやり取りが法廷で取材したNHKの記者によると「石井一議員 検察側主張を否定」で「石井議員は『その日は、同僚の議員らと千葉のゴルフ場に行っており、議員会館には行っていない』と述べました。これに対し、検察官は、その日の国会の議事録を示して『同僚の議員が委員会に出席しているとの記載がある』と指摘し、石井議員は『ゴルフをいっしょにしたという自分の記憶にまちがいない』と反論しました」と変わってしまうんです。どういう記者トレーニングを受けてきたのでしょう。あるいは細部まで書いた記事をデスクが勝手に書き換えた可能性もあります。

 ブログには辛辣な声が溢れています。例えば「あえて記者クラブ存続論」は「検察とメディアが一緒になってブクブク沈没しているわけで、こうなってくると私はもう元凶と言われる記者クラブのオープン化問題なんてどうでもいいんじゃないかと思い始めた。むしろ、記者クラブを放置して晒しておいた方が問題点が浮き彫りになっていいのではないか」と主張します。

 東京地検特捜部の酷さとメディアの問題点は第199回「政治家とマスコミの愚、公認会計士が直言」「マスメディアによる『私刑』の様相すら」などで指摘したばかりです。

 【続報】無罪判決が出て……第218回「無罪判決、検察特捜部の劣化にどう責任とる」
  証拠FD改ざん判明、前田検事逮捕……「地検特捜の劣化を個人の資質としてはならない」


手ぬるい新聞労連「記者会見の全面開放宣言」

 新聞労連の新聞研究部が4日、「記者会見の全面開放宣言〜記者クラブ改革へ踏み出そう〜」を出しました。昨年秋の政権交代に伴う記者会見開放に、マスメディア側は抵抗したのを反省して動き出したとも言えますが、かなり手ぬるい印象です。

 「本来ならば記者クラブ側が主体的に会見のオープン化を実現すべきでしたが、公権力が主導する形で開放されたのは、残念であると言わざるをえません。さらに、政府の動きに比べて、記者クラブ側は総じて積極的に素早く対応しているとは言えません。一般市民、記者クラブに加入していないメディアやジャーナリストからみて、記者クラブ、ひいては私たち新聞人自身が開放に抵抗していないか、問いかけなければなりません」とは、事の核心と距離を置きすぎです。

 例えば、開放するための【実行のための手引き】として並んでいる中に「さ者クラブへの加入を阻んでいませんか?」「記者クラブへの加入に際し、『日本新聞協会加盟社の記者であること』『会員の推薦が必要』といった条件を設けるなどして門前払いをしていませんか?」とあります。しかし、実際には新聞協会の方針でこう縛られているのです。

 新聞協会の「記者クラブに関する日本新聞協会編集委員会の見解」を読んでみましょう。【解説】には「外国報道機関の加盟基準としては、(1)外務省発行の外国記者証を保有する記者(2)日本新聞協会加盟社と同様の、またはそれに準ずる報道業務を営む外国報道機関の記者―の2条件を満たしていることが望ましい」とあって、実質的に既成マスメディア以外の加入を阻んでいます。個人の問題であるかのような呼びかけをし、業界の問題であるとの事実認識をはっきりさせないで開放を提言しても無意味です。

 「Japan Blogs Net」で反応を拾うと、「大石英司の代替空港」の「徴兵制来る?」が「本気なわけはない。こういうことをたまに言えば、危機感が募って記者クラブは引き締まるし、官房長官みたいなアホな人がクラブのご機嫌取りに走り回ってもくれるから、時々この手のポジショントークをやるんでしょう」とばっさり斬っていました。

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お産をめぐる現場の危機がいびつな形で表面化

 産科領域での医療崩壊を象徴する事件のひとつ、奈良・大淀病院での民事賠償訴訟は医師の過失を認めない大阪地裁判決が出され、一区切りついたのですが、思わぬ方向から産科診療所が閉鎖に追い込まれる危機がクローズアップされています。少子化対策の一つとして、妊婦が出産時にまとまったお金を用意しなくてもよいようにした施策の結果なのだと言います。

 キャリアブレインの「一時金直接支払制度の影響?『黒字』で閉院に追い込まれる産院が増加」は「調査によると、2009年9月から10年2月までに、閉院や分娩の取り扱いの中止を決定した病院や産科診療所は、明らかになっているだけでも全国で25施設。そのうち10施設は採算ラインとされる1か月で20回以上の分娩を扱っていたにもかかわらず、閉院や分娩中止に追い込まれていた。中には、1か月で67件もの分娩を手掛けていたのに閉院した診療所もあった」と伝えています。

 出産一時金として42万円が健保などから渡されます。従来は出産時に数十万円の費用を妊婦がまず支払い、その後で一時金を受け取っていました。この一時金を分娩施設に直接、支払ってしまうのが新制度の趣旨です。昨年10月から導入され、医療機関への支払いが2カ月程度遅れることから反発が強く、3月末まで完全実施は猶予されています。

 日経ビジネスの「『お産難民』――医者も妊婦も救われない少子化対策」が危機の実例をとらえています。「直接支払い制度の欠陥は、そもそも分娩施設が費用を肩代わりするところにある。現場では、書類作成など手続きが煩雑になり、そのためだけに事務員を1人雇わないと仕事が回らなくなるという」。最大の問題は立て替え金による負担増で「池下院長の場合、経営する2つのクリニックでは月平均で70件近くのお産があり、2カ月分を立て替えるとなれば、その分だけでも5880万円に上る」。こんな現金を持っているはずもないので継続的に借金をすれば利息が要るし、税金の取られ方でもかなり不利になります。

 それでなくとも絶対的な人手不足で勤務が大変な産科の医師に余分な心配をさせなくて済むように、政策立案が出来なかったのでしょうか。お役人達が考えている以上の深刻な影響を現場にもたらしそうです。

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口に出来ぬほどの技術的愚劣、もんじゅ再開

 1995年、ナトリウム漏れ事故から停止したままの高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が3月中にも運転再開になる見通しとなりました。読売新聞の「もんじゅ再開 安全重視で事故再発を防げ」ほか、各メディアの論調を見ていると、安全確保に疑問を抱きつつも原子力安全委員会のお墨付きなどにもたれかかっています。「運転再開がこれだけ遅れたのは、事故そのものの重大性に加え、現場を撮影したビデオの核心部分の存在を隠すなど、事故後の対応に問題があったからだ」とするあたりで再開問題の本質が見えていないと告白しています。

 もんじゅを運営する日本原子力研究開発機構に統合、吸収された元日本原子力研究所労働組合委員長の告発があります。《原発「もんじゅ」、関係者の苦言》(さとう正雄 福井県政に喝!)は「基盤とすべき技術水準が低い。すべてが業者まかせになってしまい、技術の要をおさえることができない」「旧サイクル機構では、隣の人の仕事がおかしいと思っても、間違いを指摘したり議論したりする雰囲気がない」「ねじを締めたり、施設の腐食を管理したりを確実にできることなどの常識的センスを持つことなしに『世界の先端』といっても砂上の楼閣」と喝破します。

 私のサイトも「もんじゅ」の技術的愚劣について多くを指摘してきました。「既視感ばりばり、もんじゅ低技術の恐怖」は燃えやすいナトリウム漏れを検出する電極が設計よりも13.5ミリも長く作られて、10ミリの隙間で足りずに無理矢理押し込まれていた事実を取り上げています。第187回「信頼性無し、もんじゅ運転再開は愚の骨頂」は内部証言をもとに、機構が一貫して自ら設計せず、パーツごとに脈絡無く下請け業者に丸投げしてきた結果、全体をつかんで目を光らせる技術者がいないと指摘しました。

 そして、15年の空白があって、各パーツを発注しただけの技術者すら退職してしまいました。安全確保のために点検すると言って、実は何をしたら善いのか、現場がどのようになっていれば正解であり、安全なのか判然としない技術陣が、巨大で危険な高速増殖炉をこれから動かすのです。例えばナトリウム漏れ検出電極の異常は誤警報続出の結果、判明したのであり、多数の施工ミスがあることは、その際の点検結果で表面化しました。自主的な安全点検で調べ得たものではないのです。どれほどのミスが隠れているのか想像を絶します。

 「青森・福井の核燃サイトで初歩的ミス連発」では「日本原子力研究開発機構は配線を洗いざらい調べ直した方がよいと思えます。原発内の配線は本当に複雑で、運転する側の『つもり』と違う配線になっているようなら有事には悲惨です。前回も今回も、なぜか電源が切れてしまう――のでは危なくて見ていられません」と書きました。高速増殖炉の経済性とか高尚な議論をする以前の、技術的愚劣の山盛りが「もんじゅ」なのです。故障・異常の山を築くための運転再開など見たくありません。高出力の運転に移っていて無事に止められるのか、技術陣が欠陥の予想も出来ていない以上、予想外の方向に転がっていく可能性があり、安全の保証はないのです。


2010年2月のエントリー一覧

2/28 超長距離の津波を警戒する報道は難しい
2/25 国内で新聞電子版が普及するには意外な落とし穴
2/23 ネットで経済産業省への提言サイト動き出す
2/21 政治家とマスコミの愚、公認会計士が直言
2/19 タバコ追放、厚労相が周回遅れの全面禁煙通知へ
2/17 ブルーレイディスクの本格普及が見えた
2/15 グーグルのリアルタイム検索を対比して使うと
2/14 医療崩壊阻止へ疑問あり、中医協診療報酬改定
2/11 若年ホームレス急増:単身者向け政策転換を
2/07 マスメディアによる「私刑」の様相すら
2/05 トヨタにあった安全技術思想の独善に驚く
2/02 生涯未婚率急増への注目と日米・貧困で非婚化