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デジタル放送録画規制は最悪、呪縛脱し思う

 ビデオテープへの録画なら20年を経ても鑑賞できますが、デジタル放送の録画は数年先にも見られなくなる欠陥があることを認識されているでしょうか。録画機能付きの薄型テレビやビデオレコーダーで録画した場合、暗号化して録画したその機械が壊れたら、とりだめした番組はもう見られなくなってしまいます。1年前にブラウン管テレビが壊れて買い換え、デジタル録画の番組が溜まっていくに従って、これは困るなと考え始めました。そこでこの週末、家庭内LANに録画機能付きテレビと切り離されたLANハードディスクを導入しました。他の部屋からも録画番組を自由に見られるようにするとともに、機械が壊れてもオリジナルの録画番組が生き残る方向に歩き出した訳です。

 導入した機器は2万5千円の1.5テラバイトLANハードディスク以外に、東芝のノートパソコンがあります。こちらはテレビがあるリビング以外の場所で録画番組を楽しむためのものです。家族はみなパソコンを持っていますが、DTCP-IPと呼ぶ(技術説明はこちら)著作権保護規格に適合するためには部品交換やソフトウエアの購入がそれぞれ必要になります。必要な視聴ソフトSoftDMAが組み込み済みで、我が家には無いブルーレイディスクドライブを備えながら8万円と格安に買える機種を発見したので、それぞれの改造にお金を掛けるより私の仕事補助機も兼ねて一本化しました。なおLANハードディスクに無償添付の別ソフトがあり、ソニーのゲーム機PS3にも同じ機能があります。

 ご推察の通り、移行した新しい状態も著作権規制でがんじがらめではあります。テレビは東芝のレグザZ7000で、外付けの1テラバイト・ハードディスクに録画しています。ここからLANハードディスクに番組をダビングするのに、録画時間の8割くらいの時間がかかります。一度、独自の暗号を解除してからDTCP-IP側の暗号を掛け直し、LANで送り込むから時間が掛かるのです。テレビ側の録画中などは出来ませんから、連続ドラマをよく予約録画している使い方では、長時間の映画などをダビングするのに気をつかいます。

 少しずつでもダビング番組を増やしテレビから離れて自由に見られるようになると、録画機械に縛られている現状は最悪だと改めて思い至りました。リビングのテレビを2時間、3時間と独占して見るのはやはりまずくなっています。エンターテイメントは個人持ちの画面で楽しむのが常識化した時に、デジタル放送の録画規制が現れました。時代に逆行した規制のおかげでテレビはますます見られなくなっていくのではないでしょうか。

 ブログでも「BDZ-RX100はDTCP-IP対応してる!」や、「REGZAでDLNA(DTCP-IP)」など、家庭内で試みている人がかなり増えています。

 LANハードディスクへのダビングで元の機械の制約から脱しましたが、ハードディスクの寿命問題やクラッシュ事故の恐れがあります。本当に長期保存したい場合は、LANハードディスクの電源を必要な時以外には切っておくことも考えようと思っています。LANハードディスクの増設は簡単なので長期保存用を別に用意してダビングすれば、もっと安心ですが、この愚かな規制のためにそこまでさせられるのも不本意な気分です。

 【関連】2007…デジタル放送不人気でコピー緩和だが [ブログ時評81]


アップルのタブレットPC、やはりエポックメーキング

 年明けからいよいよ出ると騒がれたアップルのタブレット型PC「iPad」が発表されました。やはりエポックメーキングな製品と思われます。今日のところは実物に触れるわけにも、知りたい詳細な動作・仕様が手に入るわけでもないので、ウェブから手に入る製品情報、動画などを集めて見ましょう。本家アップルの紹介ビデオは是非とも見たいところですし、米国の発表会で触っているビデオもなかなか興味深いと思います。

 INTERNET Watchの《Appleがタブレット型端末「iPad」発表、電子書籍市場にも参入 》が基本情報としてはよいでしょう。「9.7インチLEDバックライト付きIPS液晶を使用。解像度は1024×768ドットで、iPhoneに似たマルチタッチディスプレイを採用している。本体サイズは242.8×189.7×13.4mm(高さ×幅×厚さ)、重量はWi-Fiモデルが680グラム」で最安モデルが499ドルという安さがショックでした。言われていたのと比べ半分です。流行のネットブック・パソコンの多くはこれより高いので、市場から追い出されかねないと思います。

 ご本家サイト「iPad」にある「Watch the video」は見るべきです。しかし、混み合っているので時間が掛かるかも知れません。GIGAZINEが《脅威の薄さと低価格、アップル社の新タブレットPC「iPad」の高解像度写真と仕様のまとめ》で手際よく仕様をまとめてくれています。iPhoneのように下部のドック接続でパソコンとつないだり、音声信号を取り出したり、外付けキーボードと結べます。

 気になるのは日本語の扱いです。「日本語入力してみました Japanese input #iPad」で早くも日本語入力の様子が撮されていました。

 《Apple iPad速攻ハンズオン! 超サクサクで日本語もOK(動画・写真ギャラリー)》(GIZMODO Japan)に、電子書籍端末Kindleとの比較写真や、発表会で実物に触っているビデオがあります。タッチパネルだけで軽く動く感じが分かります。マウスやキーボードの操作無しに、これだけ自由にパソコンが扱えるのなら、いわゆるデジタルデバイド層にも使える可能性を感じます。新しい時代が開けた印象です。


新聞有料電子版、日経とデイスポの落差鮮烈

 うわさ先行だった新聞の有料電子版が2社から形を現し、両者の落差は鮮烈でした。INTERNET Watchが26日「デイリースポーツ電子版が2月1日スタート、月額1890円」と伝え、「■[メモ]日経新聞電子版は月4000円で3月創刊か 地方紙への課金システム提供も視野」(edgefirstのメモ)が「FACTA2月号」からの引用メモとして「購読料は電子版単独で月4000円、紙の新聞(月約4300円)と併読する場合はプラス1000円」と書いています。

 日経の方は正式なアナウンスでなく、社内情報が漏れてきたもののようですが、3月創刊が動かないならもう固まっていなければなりません。それにしても日経の月額300円しか差がない値つけはあまりに臆病で現状維持志向と言うか、新規読者は期待しないと宣言したような印象です。デイリースポーツは電子版が紙に比べ58%に下がるのですから、大いにお得用と感じられるでしょう。こちらは新規読者獲得に加えて、紙からのシフトも歓迎すると見えます。

 マイコミジャーナルの「日経電子版の創刊に見る"販売店"という呪縛」が国内の新聞に特有の販売店問題から説いています。「アメリカの新聞(電子版を含めて)購読者は発行本社の"もの"であり、顧客管理は発行本社が行っている。これに対して日本の販売システムでは基本的に新聞購読者は販売店の"もの"であり、顧客管理も販売店が行ってきた」「日本経済新聞社の場合、多くの地域で販売、集金を全国紙3紙、または有力地方紙の販売網に委託している」販売店にとって「講読者カードは現金と同じで、その詳細情報は 通常、発行本社にすら知らせていない」「自らが生殺与奪の権限を握る専売店に対してなら相当強引なことはできるが、いわば他社の暖簾を借りている地域では無理な相談である」と喝破、「併読する場合はプラス1000円」を他社販売店の協力を得て実施することは困難とみています。

 ところが、デイリースポーツは地方紙の神戸新聞から派生したスポーツ紙です。他社の販売店網で配ってもらっている点は日経と似ていますが、読者が電子版に移行して紙の部数が減ってもよいと割り切ったようです。背景として、自社販売網へのしがらみはあったとしても日経より圧倒的に少ないはずです。新聞広告収入減への配慮も薄いようです。日経の場合は電子版への移行で紙部数が大きく減ると広告単価が下がる心配もしているかも知れません。

 結果として日経はなるべく現状を変えないように電子版をスタートさせるようです。これでは電子版をつくり売る新規費用をかけて、どれほど利が出るのでしょうか。じり貧ぬるま湯の国内新聞業界を揺さぶると思われていた日経有料電子版のインパクトは極めて小さなものになりそうです。今度はデイリースポーツの果敢な実験の方に注目です。

 【関連】第193回「時事編集委員の退職と既成メディアの無展望」
   また米国地方紙が廃刊、百紙が同じ運命に [BM時評]
   ……親サイト「インターネットで読み解く!」「教育・社会」分野


続・失敗国家ランクと紙消費量のぴたり

 カリブ海のハイチで大きな震災があったと思ったら、アジアではアフガニスタンで反政府勢力タリバンによる同時多発テロが発生しました。両国共にいわゆる失敗国家ランクの上位を占める国で、不幸な印象が強まりました。ちょうど2年前に第156回「失敗国家ランクと紙消費量のぴたり」を書いて、その後も読まれ続けています。この機会にデータをアップデートしておきます。

 ランキングは2009年版になっています。「Failed States Index 2009」がオリジナルです。社会、経済、政治の12指標で評価して合算、割り出されたものです。2年前は各国の1人当たり紙消費量との相関関係を主題にしていたので、紙消費量データがある2005年で比較しました。紙消費量データの方が更新されていないので、失敗国家ランクだけワースト20を並べて比較しましょう。

 順位 2009      2005 2005紙消費(kg)
 1 ソマリア     スーダン   1.01
 2 ジンバブエ    イラク    1.59
 3 スーダン     ソマリア   0.03
 4 チャド      ジンバブエ  11.72
 5 コンゴ共和国   チャド    0.17
 6 イラク      象牙海岸   3.81
 7 アフガニスタン  コンゴ共和国 2.84
 8 中央アフリカ   アフガニスタン0.02
 9 ギニア      ギニア    0.32
 10 パキスタン    中央アフリカ 0.26
 11 象牙海岸     ハイチ    1.10
 12 ハイチ      パキスタン  8.07
 13 ミャンマー    北朝鮮    4.55
 14 ケニア      ミャンマー  1.67
 15 ナイジェリア   ウガンダ   1.92
 16 エチオピア    バングラデシュ2.09
 17 北朝鮮      ナイジェリア 2.39
 18 イエメン     エチオピア  0.43
 19 バングラデシュ  ブルンジ   0.35
 20 東チモール    東チモール  0.21

 警告レベルの国は2005では32カ国だったのに、2009には38カ国に増えていますから、このリストの倍近いことになります。このリスト中で核兵器を実戦配備しているパキスタンが指標値も順位も上げていることがとても気になります。 上位20カ国で4年間にほとんど出入りがないのが特徴的です。

 2009ランクで最悪になっているソマリアの2005紙消費量は年間1人当たり30グラムですから、当然とも思えます。アフガニスタンの20グラムと並んで多くの子供たちにノートの1冊が渡らない、極度に劣悪な水準です。

 先進国では年間1人当たり200キログラムを超えるのが普通です。「製紙産業の現状 | 世界の中の日本」によると、2008年に日本は241.5キロでした。2008年は中国が59.1キロと、世界平均57.8キロを初めて突破した年でもあります。2005年には44.66キロでしたから、この巨大人口国が毎年1人5キロずつ増やしていることになります。紙資源は森林などからの新規分と再生古紙が半々という感じです。紙資源の限界が早晩現れるでしょう。

 【関連】2005…「近未来中国が呼ぶ紙資源危機を考える」
  1997…インターネットで読み解く!第4回「紙資源・千倍の落差」


後ろ向き新聞業界のもの知らず、本当に心配になる

 新聞協会など6団体が日本版フェアユース規定導入に反対する意見書を公表しました。そこで問題例として取り上げられているのがウェブページの印刷なのです。平たく言って、広告と一緒に閲覧してもらうべきものであり勝手にプリントしてもらっては困る――との趣旨が述べられています。 早速、弁護士さんから「これからは新聞記者は資料としてウェブをプリントアウトしたりなどしない。」(benli)で「私は、新聞社のカタから、『あなたのウェブページを、取材の際の資料に使いたいので、印刷させて下さい』との許諾願いを受けたことがありません」と皮肉を投げつけられてしまいました。

 新聞業界に身を置く者としても、このもの知らずぶりには呆れ果てます。そんな些細な事柄を問題にする時ではないと、なぜ気づけないのか、です。「マスメディアはコンテンツ置き場になってしまうだろう」(Tech Wave)が「そんなイノベーションの最後尾でエネルギーを使ってる場合じゃないんじゃない。そんなことに労力を使っていると、コンテンツ置き場としての役割が確定してしまいますよ」と主張しているのに賛成しておきます。ネットで起きている実態を知らず、新聞が既にメディアの傍流に出つつあることを知らない各社幹部が新聞協会に集まっている様子が容易に想像できます。

 フェアユース規定は著作権ばかりが強く主張され、社会全体のためにならない面が出てきているから浮上しているのです。「『フェア・ユース』は著作者の権利を守らない?」(三田典玄の「体育館の裏話」 Ver.2)はこう指摘します。「日本の著作権法での一番の問題は、この法律があるために著作権者が過剰な著作の防衛を行い、結果として著作権法の目的である『文化の発展』に寄与しているとは到底思えない異常な事態が始まっている、という認識があることだ。それが日本のコンテンツ産業そのものを没落させている、という疑いが非常に濃い」「多くの人にエンターティンメントを供給する立場の会社は、『人に見てもらったり、買ってもらったり、気持ちよくしてあげてナンボ』の仕事である『河原乞食』でしかない、ということはいつの時代も肝に銘じておきたいものだ」

 最近、「売れる記事」という言葉をしばしば聞くようになっています。これも業界の認識がおかしくなっている、貧すれば鈍する例です。「売れる記事」を目指して仕事をしていくのは邪道です。結果として多くの人に読まれることは素晴らしいけれど、そのためだけにジャーナリズムが存在しているのではありません。ネット関連の側面方向ばかりでなく、正面方向も怪しい対応ぶりなのですから、本当に心配になります。


摘発基準を下げた検察に追従はメディアの自殺行為

 小沢民主党幹事長の政治資金疑惑をめぐる報道にはうんざりしているのですが、大切なことを一点だけ指摘しておきます。ロッキード事件も捜査した東京地検特捜部が、政界の事件で強制捜査に出る摘発基準を、今回は大幅に下げている異例さです。これまでなら現職の衆院議員を逮捕してまで着手したなら、相当な巨悪が潜んでいると推定されたものです。当然、世論の厳しい反応もこうした「相場観」に基づいています。ところが、言われている罪の可能性は野党にいて職務権限が無い小沢氏に対する裏献金があった程度にすぎず、当然ながら贈収賄事件には発展しません。

 ところが、マスメディアは従来の「相場観」と同じ感覚で小沢幹事長を責め立てていて、とてもプロとは思えません。これで世論調査をするから民主党の支持率が下がって当然です。最終的に事件捜査が終わったときに何の容疑が示されるのか、まだ分かりませんが、新政権を揺るがす強制捜査に世間がなるほどと納得できる可能性は極めて少ないと思います。検察は大きな痛手を負い、マスメディアへの信頼感も同様に大きく下がるでしょう。ネット公衆に批判されている局面と違って、各社がコアにしている読者・視聴者から失望を買うことになるのです。メディア各社はこれが予想できないのでしょうか。検察と心中しても構わないのでしょうか。早急に大きな距離を取るべきです。

 19日付朝日新聞のオピニオン面「国会議員の逮捕 誰もが納得できる捜査こそ」で元東京地検特捜部副部長の永野義一弁護士が現役時代に、与党の有力議員を「数百万円の収賄容疑で逮捕したい」と上司に相談して「誰が見ても納得する罪状」「数千万円のわいろでなければ無理」と断念させられた経験を書いています。今回のケースに対しては「もし、金丸信自民党元副総裁のように脱税などで立件できず、政治資金規正法違反の共犯程度で終わったとしたら、検察は大きなダメージを受けることになる」と警告しています。


スズキとVWのクルマ強者連合が走り出した

 自動車メーカーのスズキは自社株19.9%を独フォルクスワーゲン(VW)に譲渡、VWが筆頭株主となりました。この発表があった1月15日に鈴木修会長兼社長がマスメディア各社と記者会見、前日にはロイターがVW日本法人社長との会見を流しました。両者とも日本では販売面で提携するつもりはないと言っていますし、スズキの言い方では海外でも販売は別のニュアンスです。これから豊かになる途上国市場に焦点を合わせたクルマ造りに強者連合が走り出しました。VWはトヨタを押しのけて世界最大、スズキは今回の経済危機でも赤字転落を免れ新興インド市場で過半を占めます。

 スズキの会見では日経新聞の「スズキ、独VWに株譲渡完了 10年度にも部品共通化」から「提携の具体策ではまず部品の共通化に取り組む。部品やプラットホーム(車台)、エンジンなどを対象に両社で共通化が可能な品目を洗い出し、早ければ2010年度から実施する」を引いておきます。スズキはこれまでゼネラル・モーターズ(GM)との間で進めていたハイブリッド車などの共同開発の打ち切りも表明しました。

 国内にいるとトヨタを中心に自動車産業を見てしまうことになりがちです。230万台も販売していてもスズキは物の数に入っていない印象がありました。それをどう改めるのか、メディア各社もまだ不慣れな感じです。実際に過去の世界ナンバーワンGMとスズキの提携でもほとんど果実はなかったのですから、VWとの提携話も意味があるものなのか半信半疑なのです。

 自動車評論家、両角岳彦氏の「スズキに益をもたらすVWの骨太なものづくり」は「スズキは、確かにベーシックな移動空間をできるだけ安価に造ることにかけては、一日の長がある。しかも、それを徹底的に『泥くさい』プロセスで推し進める。これは欧州メーカーが簡単に真似できることではない」「ただ、それだけに、自動車そのものを形作る技術に『奥行き』がない」「サスペンションやステアリング、さらに車体骨格、あるいはシートなどに至るまで、人と組織の『知』の蓄積がまだまだ足りないのである。この『知の蓄積』こそは、VWの得意分野」と指摘します。GMもこれを欠いているからこそ小型車競争で敗れたのです。

 さらに日本自動車産業の危うさをこう見ます。VWは「2世代前の『ゴルフ4』系のプラットホームは、中国の現地企業に独自車種を開発するのに使ってもよい、と譲り渡したという」「今後、自らの製品をさらに大きく進化させる明確な技術ビジョンがあり、それを次々に投入していく時には、ゴルフ4を基にした製品は競合対象にならない、と判断していることになる」「中国には既にVWをはじめとする欧州各社の最新製造設備や部品産業が供給されている。逆に日本の自動車産業のものづくりは、ただひたすらコスト削減を追いかけるばかりで、基本要素はもちろん、得意分野だとされる製造技術についても、停滞の中にある」。最近、「日本品質」とも言える品質の余裕をぎりぎりまで削ってコストを下げることが始まりました。本当にこれで善いのでしょうか。

 VWから見たスズキについては、東洋経済オンラインの「老練スズキの危機感、GMからフォルクスワーゲンへ鞍替えの真意」が的確でしょう。「ダウンサイジング競争が激しくなる中で、『小さな車をなるべくコストを下げて造るのが持ち味』(鈴木会長)であるスズキという存在は、VWの目にかつてなくまぶしく映っていたはずだ」「そのうえ、スズキのインド事業も間接的に手に入れることになる。VWはシュコダブランドで参入しているものの、シェア5割の王者スズキの足元にも及ばない。ヴィンターコルン会長は『VWはアジアで大きく前進する』と満面の笑みで語った」

 「【産業天気図・自動車】新興国需要で10年4月から『雨』に一段回復も、本格回復は道半ば」(東洋経済)は「新興国は元気だ。09年は中国が米国を新車販売台数で抜いた」「有望市場であるインドも、11月の新車販売が7割近く伸びるなど、力強い回復を見せている。それでも、先進国の落ち込みを補い本格回復をもたらすには至らない」と先進国市場の見通しは暗いと伝えています。もう贅沢な大型車が大量に売れる時代は戻って来ないと見切りをつけなければなりません。また、途上国市場をにらめばハイブリッド車や電気自動車に専念してもいられません。その点、強者連合は他のグループに比べて旗幟鮮明とみます。

 【関連】第195回「アジアと生きるしかなくも簡単ではない」


ハイチ地震の惨状をグーグル・アースでつぶさに

 「Japan Blogs Net」の巡回で「Googleがハイチ向け特製衛星画像の提供を依頼された」(TechCrunch Japan)を知りました。これまでグーグル・アースを使われた経験がない方も、被災後の惨状を空からの写真でつぶさに見せてくれるので是非ご覧ください。「支援が殺到するだろうが、正確な航空写真画像があれば、被害地がより正確に分かるはずだ。ヘリコプターは人や物資の輸送に追われて、偵察に割く時間も人手もないだろうから、衛星画像がこの目的のためにはいちばんだ」

 Googleによるハイチ救援活動と画像のページ「Support Disaster Relief in Haiti」に行って画像を見ると、建物は大小問わず崩れているし、港湾部には多くの亀裂や地盤の液状化を思わせる状況が写っています。避難できる安全な屋内が無いのでサッカー場などに人が集まっているようです。


グーグル対中国政府の戦い、一気に本格化

 検索大手のグーグルが13日に「中国政府による検閲などにもう耐えらない」とし、場合のよっては中国撤退も辞さないと発表しました。そして、CNN.co.jpが14日に「中国のグーグル検索に『天安門事件』登場、オフィスは厳戒」を流しました。「これまでは同サイトで『天安門事件』を検索しても、天安門の写真が出てくるだけだったが、13日以降は1989年の天安門事件について解説したサイトへのリンクが表示されるようになった」

 実際に中国にある「google.cn」にアクセスしてみましょう。「天安門」で検索すればユーチューブの天安門事件ビデオなどが検索結果に並びます。中国政府にとってはとても刺激的でしょう。完全に喧嘩を売った状態になりました。「ダライラマ」「法輪功」などの検索結果も同様に出しています。

 「Japan Blogs Net」で巡回してみると、「アンカテ」が「おまえらいい加減にせんと無検閲のgoogle.com見せちゃうぞ!」というエントリーを出して、グーグルが中国撤退した後の展開を占っています。

 「中国政府は当然これを遮断して、 google.com はもちろん、グーグルのサービスにはどれも中国国内からアクセスできないようにするだろう」「Google Apps というgmail(+もろもろ)の企業版を使っている会社は、中国へ出張した人とパソコンのメールも通じなくなるかもしれない」「そうなったとしたら、グーグルはこれに対抗して、技術的な手段でアクセスを確保しようとするだろう」通信が暗号化される技術「VPNを通してインターネットにアクセスすると、中国にいても自分の会社の中からネットを見るのと同じことになる。だから、中国政府がいかに検閲しても、会社から使えるサービスは、gmailであれGoogle Appsであれ、何でも使える」

 国内マスメディアの反応は、グーグルの戦いにあまり勝算がないとみる向きが多かったのですが、そう単純なものではないようです。「Googleの対中国戦略は問題ない?」(Ad Innovator)は「対中国戦略の変更は、直近では6億ドルの売上と長期的には100億ドルのビジネスを失うと考えられているが、The Business InsidersはGoogleが非常に賢明な決定をしたという説を展開している」と伝えています。

 【参考】グーグルは過去の進路の過ちを修正しようとしています。国内でも日本企業の力を自ら衰えさせたマスメディアによる誤解と過ちをただすべき時にあると思います。
  ……『プロジェクトX』の悪影響から抜け出そう



アップル以外もタブレット端末ラッシュ、でも国内は…

 先日の「本当にタブレット型PCの年になった」でアップルが長期戦略『30年ロードマップ』に基づくタブレット端末を発表予定と伝えた後で、各社が似たような端末を次から次へと発表しました。ITmediaが「HP、Dell、Motorolaも乗り出す――『タブレット革命』は始まるか?」でまとめてくれています。「Thomas Weisel Partnersのアナリスト、ダグ・レイド氏は、タブレットマシン市場はAppleにけん引され、2010年は35億〜53億ドル規模、2014年には300億ドル規模に拡大すると見積もっている」

 マルチメディア対応の「タブレット」あるいは「スレート」マシンばかりでなく電子書籍リーダーとして注目のキンドルに「キンドルDX」が発表されました。これがタブレットと似た大きさです。キンドルのオリジナルは日本語に使うには小さすぎると思ってきたので、これも大いに注目です。池田信夫ブログは「キンドルDX」で「これはもしかすると、絶滅危惧種の活字メディアを救うかもしれない。それなのに、日本ではハードウェアもコンテンツも入手できない」と嘆いています。

 ソニーは「Sony Reader」でキンドルを追いかけているとは言え、一連の新しい動きから国内メーカーは取り残された印象です。経営者がますます近視眼的になり、新しい分野に打って出ることが出来なくなっていますね。タブレット端末は以前には失敗しましたが、現在の技術をもってすれば魅力的な商品にすることは十分に可能です。マシンだけでなくコンテンツの整備、無線LAN環境が進んできているからです。新聞を読む、読書をする、映像ソフトを楽しむ端末になりうるのでマスメディアにも大きな影響を与えるでしょう。


アジアと生きるしかなくも簡単ではない

 先行きの不透明さが世界全体を覆っている感じがして、すっきりした年明け気分になれそうにありません。世界の成長センター、アジアの一角にいる有利さを生かして行くしか日本の明日はないとは思いますが、ヨーロッパはひとつの理想が体現されつつあるEUと違って、アジアは東アジアというフィールドだけで見ても様々な障壁があります。9日付の朝日新聞「週刊アジア」新年特集号でタイ人の人気作家が「欧州は絶えず域内で交流を繰り返してきたが、アジアの国々は概して隣国に対して互いに冷笑的だった」と指摘しているのを読んで、改めてアジアと生きていく困難さに思い至りました。

 そのアジアも急速に変わりつつあります。同じ紙面に取り上げられている携帯電話の普及率推移を見ただけでも歴然です。2003年と2008年の比較で、日本の(68%→83%)に対して中国(21→48)、インド(2→29)、インドネシア(9→61)、タイ(35→96)といった数字が並びます。激変と言うべきです。年末から年始にかけてネットで集めたアジアを考える情報を読み解いて行きましょう。

 世界の成長センターぶりを示すGDP推移グラフを国連貿易開発会議(UNCTAD)の情報経済報告2009から引用します。


 2007年のアジアの成長率は2桁台でした。2009年の景気落ち込みで世界全体がマイナス成長、先進国はマイナス4%にもなる中、アジアは5%前後の成長を保ち、2010年には6%を超える見通しです。これに対して先進国側は2010年にゼロ成長に戻るだけです。アフリカはアジアに次ぐのですが、半分くらいのラインを描いています。

 これだけの力を持つようになったのは所得階層の構成がこの10年余りで大幅に改善されたからでしょう。木村福成・慶應大教授の「『アジア諸国』の成長と金融・経済面での日本の役割・課題」に中国とASEAN、インドの4人家族の年間家計合計の推移グラフが出ています。1800米ドル以下の貧困層が中国では1995年の54%が2005年に16%まで減り、3000〜12000ドルの中間層が41%から57%に増えました。ASEANではほぼ同時期に貧困層が36%から19%に、中間層が33%から50%になっています。インドは1993年と2004年の比較で、貧困層が49%から42%に、中間層が18%から24%へです。インドは完全に一歩立ち後れています。

 成長しているから単純に善しとしてはいけないことを、日本人なら深刻な環境汚染を起こした高度成長期の経験から知っています。成長が著しいアジアであるからこそ表裏になっている環境問題をリードし、手を貸す必要があります。しかし、これが簡単ではないのです。植田和弘・京大教授が《「成長」「脆弱」に揺れるアジア 「アジア環境庁」創設の提言》で中国の研究者が報告した例を取り上げ「環境運動のより本格的な進展には大きな壁がある、と陳雲副教授は指摘する。地方自治や民主主義制度という社会的・政治的基盤が整わなければ、これ以上の進展は難しいかもしれないというのである」と述べています。公害被害者が泣き寝入りするしかない社会状況がアジアのあちこちで見られます。

 鳩山首相提唱の東アジア共同体構想はまだ中身が見えませんが、第一生命経済研究所の《アジア経済事情:「東アジア共同体」と政府の成長戦略》は先回りして対応策を考えています。日本は東アジア域内諸国への輸出が全体の4割を超えるほどにもなっているのに、自由貿易協定推進など貿易障壁を取り除く政府の取り組みが諸外国に比べ遅れています。「国内の反発が予想されることから一段と困難が予想される。政府には、日本経済の将来像を見据え、そのボトルネックになっている課題の解消に向けて、果断な政治的リーダーシップを採ることが期待される」と主張しています。

 年明けのニュースで《ノーベル賞学者、「2040年の中国人は日本人よりも遥かに裕福」と予測》を見て、苦笑してしまいました。いま8兆ドル弱の中国GDPが123兆ドルにもなるとの予測ですが、資源の限界を考えない暴論でしょう。もう資源量の限界があちこちで露呈し始めています。成長するアジアでどう分け合って使うか、これも頭が痛い問題です。


本当にタブレット型PCの年になった

 昨年から騒がれつつあったアップルのタブレット型パソコンが本当に発売されるようです。「アップル、タブレット型端末を3月以降に出荷へ」(The Wall Street Journal日本版)が報じられました。「新しいタブレット型デバイスは10〜11インチのタッチスクリーンを搭載」「動画やテレビ番組の視聴、ゲームやインターネット、電子書籍や新聞の閲覧などが可能なマルチメディア型デバイスとなる見込み」とあり、「Appleタブレットは3月1000ドルで発売!?」には予想イラストまで掲載されています。まさに特大のiPhoneです。

 ブログでは「タブレットの年になる」(MIZの日記)が「おととしの年末あたりから既に胎動はあった」「携帯性を追求したeeePCなどのネットブック。amazon発の電子ブックリーダー、Kindle。そして言わずもがなな、iPhone。今年はその流れが1つにまとまる年かもしれない」と指摘しています。入力はあまりしないで専ら閲覧する使い方でしょう。

 値段がちょっと高めの気がするかも知れませんが、《「iPhone 3G S」の価格や解約時の費用が気になってなかなか購入できない人のためのまとめ》(らばQ)によればiPhoneだって2年間で7〜9万円は覚悟しなければならないそうですから同じような価格です。

 画面の解像度情報はまだですが、現在のノートパソコン程度はあると考えてよいでしょう。新聞の閲覧は可能です。少なくともiPhoneで産経新聞紙面を見るよりは遙かに快適に読めるはずです。国内のマスメディアも、新聞はもちろんテレビも出版社もこの事態に早急に対処するべきです。無線LAN接続で使う大型タブレットPCで新聞を読む、読書をする、映像ソフトを楽しむ生活スタイルが大きなシェアを占めるのは確実だと思います。

 【関連】注目したい『アップルの30年ロードマップ』

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[AV特集]ベルリンフィルに耐えるPC用オーディオ新春版

 昨年リリースした二つのAV特集「ベルリンフィルに耐えるPC用1万円オーディオ」「続・ベルリンフィルに耐えるPC用オーディオ」は予想外に多くの方に読んでいただきました。この年末年始休みもたっぷりとベルリンフィルの音を楽しみつつ、その後のフォローを兼ねた発展編を考えました。本格的な音楽を安く聴けるサイトも紹介します。

 ベルリンフィルの定期演奏会アーカイブは既に40本以上(日本語版曲目リスト)あり、中で出色の指揮者は、1981年ベネズエラ生まれのグスターボ・ドゥダメルでした。若き天才として名前は聞いていましたが、実際の演奏は初めてでした。プロコフィエフの交響曲第5番ではベルリンフィルがラテンバンドになったのではないかと思わせる、鮮やかで生き生きとした色彩感と躍動感を生み出して驚かされました。もっと聞いてみたいと思うのが人情で、ネット上で探してみました。

 ドイツ・グラモフォンのDG WebShopがとても便利で安価なサービスを1年ほど前から始めていました。ネット上でCDアルバムをダウンロード販売しているサイトですが、多くのCDは0.99ユーロ、130円くらいを払うと1週間だけ自由に聴けるのです。決済はクレジットカードで出来ます。ドゥダメルについてはチャイコフスキーの交響曲第5番を注文してみました。聴いてみると彼の面白さは十分には発揮されていないと感じました。ベネズエラのユースオーケストラですから、ベルリンフィルとは能力が違いすぎます。改めて指揮者と楽団の関係に思い至りました、

 さて、ではDG WebShopでベルリンフィルを聴いてみましょう。これはいくらでもあります。ベートーヴェンの交響曲全集ならカラヤン、後任のアバトほかも揃っています。しかも全集なのに料金は同じ0.99ユーロと超徳用でした。比較できるCDを持っているカラヤンを選びました。ストリームの形式はMP3の320kbpsのようです。圧縮音楽ではありますが、高いビットレートです。元のCDと比較するとかなり良く出来ていて、管楽器の艶や甘美さがやや薄まるくらいの僅かな差でした。ベートーヴェンの全交響曲演奏会が毎年末に催されていますが、130円で自室で9曲通して聴くのも一興でしょう。

 パソコンで音楽を聴くためのハードについても最近、進展がありました。二つのAV特集はUSBオーディオインターフェースを利用するもので、「AUDIO GENIE PRO」+「Fiio E5」の1万円セットと、韓国から「CARAT-RUBY」を輸入する2万円でした。新しい製品がAVウオッチの「2009年のヘッドフォン/イヤフォン事情を振り返る――超高級ヘッドフォンからiPodデジタル出力まで」で「■ ヘッドフォンアンプ/USBオーディオDACなど」としてかなり詳しく紹介されています。「フューレンコーディネートが2010年1月から発売する、米NuForceのヘッドフォン出力付き小型USB DAC「Icon uDAC」(13,650円)や、WiseTechのAudinst製「HUD-mx1」(実売22,800円前後)、フォステクスの32bit DAC採用「HP-A3」(2010年1月7日発売/38,850円)など、年末にかけてUSB接続対応のDAC/ヘッドフォンアンプの新製品発表が相次いでいる」といった具合です。

 メーカーがこの分野に本格的に目を向けてきた感じです。USB接続での音質改善に手が着いたようなので、「Icon uDAC」など期待できそうです。同種製品で「Fiio E7」が間もなく登場すると言われています。


鳩山首相がブログとツイッター開始。メディアは?

 鳩山首相がブログ「鳩cafe」ツイッターを新年から始めました。昨年末の「鳩山首相からのソーシャルメディア発信が始まるよう」で紹介した通りです。

 ツイッターの方は2日午後8時でフォロワーが5万人を超えました。内容はまだまだぎこちないと思いますが、首相がネットをここまで使う姿勢を見せた点だけでも面白いと思います。オバマ大統領がツイッター使いとして有名でしたが、中国訪問時に自分では発信していないと暴露しました。鳩山さんは「『本当に本人が書いてるの?』というコメントを読ませていただきました。スタッフの意見も聞きつつ、基本的に私が書いています。それをメールで秘書官付に送り、ツイッターへの送信はその人がやってくれています」と答えているのですから、十分に合格です。

 メディアも色々と伝えています。ちょっとがっかりなのが読売新聞の「首相がブログ開始、予定公表で周囲ハラハラ」です。「首相はこの中で、『これから皇居での新年祝賀の儀に出席します』と自らの予定を“発表”。これには『警備上望ましくない』と指摘する声もある」とは、ニュース性をあまりにも知らな過ぎます。でも、首相ブログへの直接のリンクを張っている点では評価したいと思います。