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2009年12月のエントリー一覧

12/27 疑問だらけ――鳩山内閣への危機説・退陣説
12/25 鳩山首相からのソーシャルメディア発信が始まるよう
12/22 女性の支持層形成で民主盤石〜朝日新聞分析
12/19 『プロジェクトX』の悪影響から抜け出そう
12/16 経済金融以外も「黒船」〜WSJ日本版をチェック
12/13 [食のメモ]北陸紀行〜海鮮丼と干しホタルイカほか
12/12 受験生らに回したい新型インフル・ワクチン接種
12/11 時事編集委員の退職と既成メディアの無展望
12/08 科学界の仕分け批判大合唱、愚かさに気付け
12/05 注目したい「アップルの30年ロードマップ」
12/04 恐るべし、Google日本語入力。席巻の予感も…
12/02 米軍アフガン増派へ違和感と目を引いた草の根

疑問だらけ――鳩山内閣への危機説・退陣説

 過去最大額になった新年度予算案の編成が済み、鳩山内閣発足100日で蜜月期間も終わり、メディアの論調はますます辛口に転じています。「Japan Blogs Net」の巡回でも鳩山内閣批判や見切り説が露骨になり、早期退陣を予想するメディアすらあります。サイトやブログにお客を引きつけるにはよいのでしょうが、私には皆さん集団ヒステリー状態で冷静に事態を見る目を失っているように見えます。

 まず、内閣支持率が早くも50%前後にまで低下したことを重大視する方たちがいます。この数年、自民党内閣の支持率が発足からつるべ落としのように下がって、政権投げ出しにつながってきた事実が頭にあるのでしょう。よく思い出してください。支持率低下が次の国政選挙で敗れることに直結していたから起きていたことです。22日にリリースした「女性の支持層形成で民主盤石〜朝日新聞分析」から小沢代表時代(昨年9月から今年4月)と鳩山代表に代わった5月から、さらに鳩山政権になってからの3時期でみた民主党と自民党の平均支持率データを再録しましょう。

      小沢代表時代 鳩山代表時代 鳩山政権下
 男性30代 23(自)31(民) 18(自)36(民) 14(自)47(民)
   60代 30(自)34(民) 25(自)39(民) 18(自)52(民)

 女性30代 22(自)14(民) 16(自)27(民) 10(自)42(民)
   60代 35(自)21(民) 27(自)27(民) 18(自)46(民)

 小沢代表時代から自民党は男性では民主党に後れを取り、鳩山代表になって女性でも押されるようになりました。だから内閣支持率低落は致命的だったのです。しかし、鳩山政権下での民主党と自民党の支持率の差はこんなに何倍も開いてしまっています。政党支持率と比例区での投票行動は強く相関していますから、全国区がある来夏の参院選で民主党が敗れる可能性は極めて小さくなっています。内閣支持率に一喜一憂する必要はありません。

 過去最大になった予算案について、財政規律を持ち出して落第としたり、埋蔵金10兆円の活用を問題視して「次年度への展望がない」と批判するのも、政権発足後すぐに予算編成に突入せざるを得なかった事情を無視していると思います。自公連立政権下と同じ方式で予算編成をすれば合格点だというのなら、政権交代の必要は無いし、議論する必要もないことになります。また、景気の二番底が心配される現状では死蔵してきた埋蔵金を最大限生かすこと自体に問題はないはずです。事業仕分け論議で明らかになったように、国家運営の上で何が無駄で、何を重視するのかの原理原則が薄弱ではあります。早急に手をつけるべきはこれでしょう。

 沖縄・普天間基地移設問題でも年内に決着しなかったことを問題視する意図を持ったメディアの世論調査がされています。「年内に決めなかったことを評価するか」といった聞き方を電話でして好意的な反応が返って来る方がおかしいと思います。「しなかった」事実が評価されるには相当の背景理解が必要だからです。この問題の一からの見直しをするつもりなのですから、本来は時期を小出しにするのではなく「最低でも半年は必要」と言って調査と調整を始めるべきでした。

 閣僚が色々な発言をして「閣内不一致」と騒がれた点について「Japan Blogs Net」で集めているブログ中で「かみぽこ政治学」「日米関係:米国とは揉めてるくらいがちょうどいい(前編)。」は他とは違う見方をしています。「マスコミはこれまでの『政治家の発言は結論』という固定観念を少しは捨ててみる必要があるんじゃないかな」「ちなみに、この鳩山内閣のような政治家による百家争鳴のやりとりは、英国の内閣では日常的に当たり前のことなんだよね」「英国のマスコミは、それをいちいち『閣内不一致』『不規則発言』などと騒ぐことはない。閣僚が調整の過程で意見をぶつけ合うのは当たり前のことだからね」

 そして、「後編」では「日本側からみると『普天間基地移設問題』で米国と揉めていることはそう悪いことでもないということになる」「米国に従順な姿勢を守り、言われるままにいろんな援助をしていたら、米国は日本を無視して対中関係に集中するだろうね」「それよりも、揉め事を起こして、それを解決しようとする時に、いろんな果実を得られるチャンスが生まれてくるだろう。米国は、とにかく早く日本との揉め事をなくしたいんだからね」と一歩引いて、日米中の三角関係で考えるよう求めています。

 鳩山内閣を無条件で擁護する気はありませんが、退陣すべきだとか要求するような客観情勢ではないことは理解していただけるのではありませんか。


鳩山首相からのソーシャルメディア発信が始まるよう

 いつもの「Japan Blogs Net」巡回で「www.さとなお.com」に注目。「国民と政治の距離を近づけるための民間ワーキンググループ」が「国民と政治の距離の遠さをコミュニケーションの力で大幅に改善したい」「ソーシャルメディア(ブログやツイッターやYouTubeなど)を使ったコミュニケーションから始めて、首相だけに限らず、政治全体をもっと国民からわかりやすく、オープンで、透明な存在にすることが当面の目標」と首相官邸で話し合ったようです。

 さとなおさんは鳩山首相と2回の個人的な会食を通して、首相から原則的な賛同を得ているといいます。「もうちょっとしたら具体的に刷新(発信)が始まる」「まずは第一段階として首相の発信を刷新すること」「こうして第一歩目が踏み出せただけでも政権交代の意味があったかなと思う。民間の意見に対してこんなに聞く耳を持ってくれる空気感は以前にはなかった」

 実は鳩山謝罪会見を受けて民主党議員の発言をウオッチした「肝心なときにツイートがないぞ」(赤尾晃一の知的排泄物処理場)が「政治家のtwitterは,一部の議員を除いて,片方向の政治宣伝に終始している感が否めない。“生の声”が聞こえてこないのだ」と嘆いていています。

 25日は鳩山首相の偽者らしいtwitterが現れたりしてちょっとした騒ぎになっていました。本物登場はもう少し待ってからになるようです。


女性の支持層形成で民主盤石〜朝日新聞分析

 国内の新聞は最も得意とする分野の面白い記事をネットに提供しない傾向があります。今日の朝日新聞朝刊だと東京本社版の1面、大阪本社版政治面に出た《民主、政党支持率は堅調 高齢女性に「与党支持層」 本社世論調査》がその典型です。これだけ政治の流れの基底部を明かした記事をネットに流さないから、既成メディアは大したことを伝えていないとネット大衆に誤解されるのです。

 小沢代表時代(昨年9月から今年4月)と鳩山代表に代わった5月から、さらに鳩山政権になってからの3時期で民主党と自民党の平均支持率を比較しています。引用の範囲にとどめるために30代と60代だけの数字(%)を抜き出します。

      小沢代表時代 鳩山代表時代 鳩山政権下
 男性30代 23(自)31(民) 18(自)36(民) 14(自)47(民)
   60代 30(自)34(民) 25(自)39(民) 18(自)52(民)

 女性30代 22(自)14(民) 16(自)27(民) 10(自)42(民)
   60代 35(自)21(民) 27(自)27(民) 18(自)46(民)

 内閣支持率は落ちてきているのに、政党支持率は民主が40%台を続け、10%台で低迷する自民をダブルスコア以上で圧倒しているのです。先月当たりからとても不思議な気分で世論調査の結果を見ていました。それをようやく分析してくれた記事でした。見出しは「高齢女性に」とありますが、自民の最後の拠り所だった女性層全体が大きく民主になびき、新支持層を形成したことがはっきりしました。政治資金疑惑で検察、そして自民党、メディアが女性に不人気な小沢代表を辞任に追いつめたとき、これは政権交代に好アシストだと思っていた通りです。支持率の数字だけでなく、現場を回ったもう少し突っ込んだ取材が載っていますので、新聞の政治面をご覧ください。

 これまで本格的な政権交代が無かったので分からなかったことですが、女性の中高齢層は時の政権党に惹かれやすいようなのです。劇的な転換は政権交代と同時に起きたようです。小選挙区導入に伴うブロック別比例区の当落判定システムを作るために、私は過去の世論調査と国政選挙で得た膨大な結果をパソコンに掛けてマザーボードを焼き切ったくらい分析したことがあります。その経験からも、従来あり得ない変化だと言えます。来年の参院選を含めて、近い将来に自民党が女性支持層を奪い返す可能性は限りなくゼロに近づいたと思えます。


『プロジェクトX』の悪影響から抜け出そう

 NHKスペシャルの「チャイナパワー 第2回 巨龍 アフリカを駆ける」について書かれた「中国の特番を見た」(レジデント初期研修用資料)と、そのはてなブックマークが気になりました。結論から言えばこうした中国のやり方は日本には参考にも何にもならないと考えるのですが、NHK『プロジェクトX』という安易な「頑張りました、出来ました」番組があったために、日本の企業活動について大きな誤解が広がっています。

 「チャイナパワー」は道も整備されないエチオピアの山奥まで中国企業が携帯電話網を整備する話です。全土にアンテナを建てまくる人海戦術です。「なんだか『プロジェクトX』みたいに見えた」「プロジェクトXは、日本独自の昔話だと思っていたんだけれど、あれが昔話になってしまったのは、要するにああいう『泥まみれになって働けるプロジェクト』を、日本の政府とか、企業が取って来ることができなくなったからなんだな」と思われ、はてなブックマークでも納得されてしまっています。

 いまトヨタ自動車が苦境にあります。筋肉質な、リーンな生産様式を作り上げて米ビッグスリーを追い落としたはずなのに、米国の住宅バブルに浮かれて利幅が大きい大型車に手を出してしまいました。その一方でこれから実需が立ち上がる途上国で足場を築くことを怠っていました。損益分岐点が大幅に上がり、リーンどころかぶくぶくの肥満体です。それなのに経営の意思決定が過去に縛られがちで方向転換が難しいのです。ソニーなど日本の大手メーカーは似たような状況にあります。

 日本には「頑張れば出来た」の過去しかないなら悲惨の限りですが、そんなことはありません。日本企業が米国を追い上げる過程で発揮されたのは知恵と創造性だったのです。ソニーのウォークマンが全く新しい音楽の聴き方を切り開いたのが、その典型です。ウォークマンは例外的な存在ではなく、様々な業種、局面で新市場を切り開く商品開発が行われました。今一度、そこに立ち返るべきです。そうした営みを「独走商品の現場・京都」として20年前にシリーズにしています。「京都商品開発ストーリー閲覧への招待」から入れます。興味がある方はどうぞ。


経済金融以外も「黒船」〜WSJ日本版をチェック

 15日にスタートした「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」(WSJ日本版)をのぞいてみました。国内メディアの関心は月額1980円の有料ニュースサイトとして成り立つのかにあるのですが、売り物の経済・金融情報以外にも可能性を秘めているように見えました。

 どんな記事が読まれているのか、「ランキング」で調べましょう。今週分(つまり15、16日分)トップは「米政府、雇用創出に向け官民合同でフォーラム開催」、今日16日分のトップは「米国新規公開銘柄パフォーマンス一覧表」です。両ランクで計20本ある記事の内18本は有料会員登録をしないと読めない鍵マーク付きで、相場などに関心がある人の好みと言えそうです。米国で106万人、中国版で70万人を集めているように国内でもそこそこ行くのでしょう。

 無料記事も結構、充実しています。日本版開設とあって内外からの特別寄稿、中国自動車メーカーの物まね脱皮物語、鳩山首相夫人のインタビュー、国内小集落でのルポルタージュが相当な長さを持つ点が印象的でした。国内メディアのウェブは本業の紙媒体に遠慮して細切れの記事しか出さない傾向があります。WSJ日本版には紙媒体はありませんから、きちんと取材した長尺ものの記事を出していけます。日本語障壁に阻まれてジャーナリズムは海外との競争から逃れてきましたが、そこに踏み込んできたと言えます。


[食のメモ]北陸紀行〜海鮮丼と干しホタルイカほか

 新しいシリーズ[食のメモ]を時に交ぜようと思い立ちました。「食」について経験したこと、思ったことを「インターネットで読み解く!」風でお届けします。第1回は11月末に行った北陸・金沢の味です。

 中心部にある近江町市場は、金沢行きでいつも足を運ぶ所です。そこでのランチで最も多く食べるのが「山さん寿司」の海鮮丼です。撮ってきた写真をご覧ください。


 20種類以上のぴちぴちした寿司ネタが器からこぼれるように並んでいます。お店の人から「お刺身感覚で食べてください」と言われます。その心は「丼」なのに、しばらくは器の中にあるご飯に到達しないのです。

 近江町市場は完全に観光客向けの価格だと思っています。鮮度で評判の回転寿司もそれなりに食べるとお得感は乏しくなくなります。もちろん5千円以上、ランチに出す気があれば豪華な食事になりますが、ちょっと違うのではないかな――です。2625円で良質な寿司20貫を一盛りにし、自分好みの順番を考えながらゆっくり食すのが、この海鮮丼の妙味だと思います。

 山さん寿司から数軒先にある「まるか」近江町店で買ってきたのが下の「干しホタルイカ」です。本店は福井にあるそうで、通信販売もしています。100グラム(70〜100匹)が千円です。冷蔵庫で2、3カ月は保存できるようです。


 店頭の試食ではライターで炙ってくれます。能登半島特産の「いしる醤油」で漬け込んでから干してあり、炙ることでイカの内臓を使った醤油の風味が引き立ちます。しかし、タバコを吸わない私はライターを持っていないので、電子レンジの活用を思い立ちました。写真はそのために小皿に入れた状態です。透けて見える内臓が美味しそうでしょう。レンジの出力で変わりますが、1匹10秒内外です。

 失敗してレンジの時間を掛けすぎ、苦くしたこともあります。でも、たまたま飲んでいたシングルモルトスコッチには合いました。日本酒か焼酎が正統派の相手、強い味のウイスキーやバーボンでも決して悪くありません。

 北陸の味と言えばもうひとつ幻の高級魚「のどぐろ一夜干し」を近江町市場から持ち帰り、家族で食べて滅茶苦茶、好評でした。これも通信販売があるようです。魚の開き、干物と侮ってはいけません。こんな濃厚な味と上品な油分は驚きで、骨までしゃぶって食べることになります。


受験生らに回したい新型インフル・ワクチン接種

 小学校以下の子どもへの新型インフルエンザ・ワクチン接種が11日から各地で始まりましたが、困ったことにほとんどの子どもは既に感染済みのようなのです。妊婦から始めた優先順位にこだわると、結果として何の役にも立たない恐れが出てきました。大学受験生ら順位が低い希望者にも、どんどん受けてもらうよう方向転換すべきだと思いますが、メディアは順位違反の報道ばかりやっています。

 朝日新聞の「新型インフル、2割は症状なし 集団感染の中高生ら検査」は5月に集団感染があった学校関係者の血液検査から感染と症状の実態を伝えています。「98人を分析すると、38度以上の発熱やせき、のどの痛みなどインフルエンザ特有の症状を経験していたのは44人(44.9%)にとどまった。」「18人(18.4%)はまったく症状がなく、36人(36.7%)はインフルエンザ特有の症状まで至らない軽症だった」

 つまりインフルエンザ症状があって受診した人以上の感染者がいるということです。11月末、国立感染症研究所が推計した累計患者数は1070万人で、0〜4歳が95万人、5〜9歳が285万人、10〜14歳が309万人、15〜19歳が168万人とみられています。5歳から14歳については同世代の半数に相当しますから、ほとんどの子が感染済みと考えられます。

 中学、高校生らは2回接種の対象者で、4週間の間隔を置くことが推奨されています。受験生らのニーズを考えると、小さい子が不要になった分を早く回してあげるべきなのです。


時事編集委員の退職と既成メディアの無展望

 時事通信編集委員の湯川鶴章さんがブログに出した、年末での「退職のご挨拶」を見て、同じ業界に身を置く立場から「ついに既成メディアを見切られたな」と感じました。『ネットは新聞を殺すのか』などの著書で知られ、最近はマスメディアが将来生き残るにはSNS的な要素が欠かせないと主張されていたのですが、「わたしの専門であるオンラインビジネスの領域で時事通信社に貢献したいとこれまで努力してきましたが、自分自身の未熟さからほとんど結果を出せなかったのが一番の理由です。また今後も出せそうにないという展望に立ち、社を去ることが社への最大の貢献であるという結論になりました」と会社を去る理由を述べていらっしゃいます。

 彼とは一度だけ、新聞社内向けの勉強会で講師をされたときにお会いしたことがあります。私も社員なのに半ば社外講師のような形でその場に招かれていたので、突っ込んで話し合うことはありませんでした。米国で長く仕事をして帰国されたので海外のIT状況に強いながら、国内メディアの取材、営業現場にはあまり土地勘を持たれていないと思っていました。その一方、編集委員として会社公認でネット活動をされ、会社と完全に離れた私のネット活動とは違う立場だったので、時事通信社を内部から変えることが出来るかとも思っていました。しかし、国内既成メディアは新しい動きを作り出せる人材や経営陣の判断力を欠いていると悟られたのではないでしょうか。

 今週は米国でグーグルとニューヨークタイムズ紙、ワシントンポスト紙が組んだ《米Google、新しいニュースの見せ方「Living Stories」の実験開始》のニュースが流れています。例えば地球温暖化問題のページ《The Politics of Global Warming》をニューヨークタイムズがもともと持っているトピックス《Global Warming- Science》と比べると興味深いものがあります。新聞社が提供するニュースセットの上にグーグルが様々なデータを追加構築していくと、時々刻々と動いている感じがするし、張り巡らされたリンク多数の厚みは相当な物です。ネット上にはいろんな料理法がまだまだあるようです。

 しかし、こんなハードな話題を求める需要は相対的に小さくなっているように感じています。新聞などが得意とする話題分野は、市民社会が追いかけている話題全体に比べて少数派になったと言うべきです。数年前はネットの膨張により新聞の守備範囲に大きな「抜け」が生じていると言われたものですが、いまやカバーしていない方が大きくなりました。サブカルチャーを含めた多様で個人志向に振れた話題をどう捕まえ、どう伝えていくのか、既成メディアは生き残るためにも将来に向けた構想を打ち出すべきなのですが、今年も携帯電話と提携するといった「形」ばかりが追求されました。

 卑近な例で恐縮ですが、私の硬派サイトとしては珍しいAV特集「ベルリンフィルに耐えるPC用1万円オーディオ」その続編が意外に多数の方に読まれました。なぜかグーグル広告の収益も目立っています。クリック率の高さはじっくり読まれたということでしょうか。ジャーナリズムの仕事と音楽と食の趣味は、個人的な思いとしては一体の「トライアングル」をなしていて、それならもう少し提供する話題の幅を広げるかと思い始めています。


科学界の仕分け批判大合唱、愚かさに気付け

 ノーベル賞学者まで引っ張り出す科学界の「仕分け」批判大合唱に、それこそ既存の利権を温存するだけの動きだと呆れていたら、NPO「サイエンス・コミュニケーション」から「研究よ変われ!巻頭言」(科学政策ニュースクリップ)が出て、少し救われた気分になりました。「そもそも今回の事業仕分けは、科学技術自体の評価をしておらず、予算に無駄がないか、という点を評価している」「一度計上された予算項目に対し、外部の視点も入れて、妥当性、必要性、有効性、効率性の観点から公開の場で吟味していくというものだ」「残念ながらそれを理解して批判や抗議をしている声明は少ない」

 学会あげての批判もたくさん出ています。それが科学技術政策の現状を是とし、変えること自体を拒んでいる点で、長く科学技術分野をウオッチしてきた私には信じられない思いです。そこまで問題意識が欠如しているのなら、事業仕分けをもっと徹底的にやって目を醒まさせるべきではないかとも思えます。

 例えば天文学会の声明「国民の皆様へ 事業仕分けと科学研究の将来について」は文部科学省の「科研費は、多数の研究者が審査員となり、公平、厳正、透明な審査で配分が決定され、終了時点の評価も行われるなど、諸外国にも類を見ない」とおっしゃいます。それこそ国民を欺く声明です。米国の同種研究費がどのように審査、配分されているのか、比べれば決定的な立ち後れがあると知っている人も読むことをご存じないようです。今すべきことは悪しき現状を固定することではなく改革していくことです。

 もし疑問に思われる方があれば、2004年に書いた「インターネットで読み解く!」第145回「大学改革は最悪のスタートに」 をお読みください。英国の日本研究電子ジャーナルに載せるために書いたので、国内学術研究の問題点をかなり包括的に整理しています。


注目したい「アップルの30年ロードマップ」

 いつもの「Japan Blogs Net」巡回で見つけた「Life is beautiful」の「アップルの30年ロードマップ」が読んでから非常に気になってきたので、メモとして記録しておきます。スティーブ・ジョブズ氏の側近だった日本人から「今のAppleのビジネス戦略は、倒産寸前だった97年当時に作った『30年ロードマップ』に書かれた通りのシナリオを描いている」と聞いた話です。

 「映像・画像・音楽・書籍・ゲームなどのあらゆるコンテンツがデジタル化され、同時に通信コストが急激に下がる中、その手のコンテンツを制作・流通・消費するシーンで使われるデバイスやツールは、従来のアナログなものとは全く異なるソフトウェア技術を駆使したデジタルなものになる。アップルはそこに必要なIP・ソフトウェア・デバイス・サービス・ソリューションを提供するデジタル時代の覇者となる」

 この路線の途上としてiPodの成功があり、Apple TVはまだ売れていないけれど将来の位置づけがありそうだし、「ある時点でAppleが書籍・雑誌のデジタル配信ビジネスに本気で出て来ることがほぼ確実」と考えられているようです。そして、さらにはゲーム機まであるらしい……。30年ロードマップはまだ12年しか過ぎていません。後の18年分に何があるのか考えるとき、昨年春に出された《稀代の発明家Ray Kurzweil氏による基調講演〜とてつもない未来を語る、「The Next 20 Years of Gaming」》(GAME Watch)の問題意識も視野に入れておきたいものです。

 「【2029年:融合の時代】1,000ドルの計算力=人間の脳の1,000倍。人間の脳の完全解析が完了」「Kurzweil氏は、20年後に大規模なパラダイムシフト、『技術的特異点』がくると予測している。『技術的特異点』とは、同氏自身が唱えている概念のひとつで、進歩の原動力が人間の生物学的知能から人工知能に置き換わり、それ以前の進歩の法則が通用しなくなる地点のことだ」

 実現性は定かではありませんが、そのころ人間と変わらない人工知能が出来ているとの技術予測です。長期戦略を練る企業経営者でないとしても、ある程度、先読みしていないと対応しきれない時代が来ています。現状が続くことを前提に考えるなんてことをしていませんか。


恐るべし、Google日本語入力。席巻の予感も…

 グーグルがまたまた新サービスを出しました。パソコンでの日本語入力です。それも本業の検索での研究開発を加味、入力途中の文字列から類推する、ひと味違う能力を持っています。まだベータ版ですが、「MS-IMEより良い」との声が出ていて国内を席巻するかも知れません。《グーグル、日本語入力ソフト「Google日本語入力」を公開》(INTERNET WATCH)は「Google日本語入力は、グーグルのソフトウェアエンジニアである工藤拓氏と小松弘幸氏の『20%プロジェクト』により開発を開始。工藤氏はGoogleの『もしかして』機能を担当しており、誤変換に起因するスペルミスを『もしかして』のシステムが高い精度で修正していくことから、『Google日本語入力』の可能性を確信したという」と伝えています。

 GIGAZINEの《「Google 日本語入力」はATOKやMS-IMEを超えることはできるのか、実際に使って実用に堪えるかどうか試してみた》は「実際に使ってみた印象としては、MS-IMEよりは割と上な感じ、辞書を鍛えまくったATOKよりは少し下、という感じです」と報告しています。早速《郵便番号辞書(for Google 日本語入力) 2009.11.30更新版 登録方法 with 根性》のように便利アイテムを提供する人が現れています。

 《Google IMEの先にあるもの》(GoTheDistance)は非常に興味深い考察をしています。「このGoogle IMEの先にあるものは、『翻訳』と『同時通訳』にあるんじゃないかと思います。今僕はMSのIMEでこのエントリを書いていますが、Google IMEは1文字ずつこの言葉をUPしているわけで、それを応用すると『。』と打った段階でズバっと英語に変換するとか、そんなことができるようになる可能性があります」「言語学は言語を記号体系として捉えることで文化的なアプローチも数学的なアプローチでも研究できる奥の広い学問です。言語⇒記号⇒記号体系⇒処理ルーチン⇒マッピング⇒うへぇという流れもありうると思います。超すげぇ」

 しかし、「Google日本語入力」をインストールすれば大きなプログラムが常時、パソコンの中で動き回る状態になります。本当に善意のプログラム部分だけなのか、心配になるのも当然です。《■「Google 日本語入力」を利用した雑感 》(適宜覚書はてな異本)がこう危惧を表しています。「裏を返せば、既定ではのべつまくなしに動作しているということです。これをわざわざオプションとして表示していること自体相当行儀が良い作りではありますし、既定で動作可能なのも実用上の判断だと思います。ただ、なんかキナ臭い感じはしますよね、こういうの。先程のシークレットモードもそうです。言葉遣いとして不安を煽り立てるようなもので、機能に即した命名が他にあったのではと思います。そういったところから、Googleは本当にEvilじゃないのかという不安が心底からは解消はされません」


米軍アフガン増派へ違和感と目を引いた草の根

 オバマ大統領はアフガニスタンへの米軍3万人増派と再来年夏からの撤退開始を打ち出しました。既に米軍だけで6万8000人、NATO加盟国など42カ国から5万人が駐留しているのに、対タリバンの軍事情勢は好転するどころが泥沼化しています。「政府、追加支援要請を懸念 アフガン新戦略」(47News)は「増派には1年で約300億ドル(約2兆6千億円)の費用が必要とされる。北沢俊美防衛相は」「『オバマ政権はアフガニスタンのベトナムやイラク化を懸念しており、日本にさらなる援助を要請してくる可能性が大きい』との見方を示した」と伝えています。米国民の支持もなく、多額の軍事費を浪費するだけに終わる恐れが強いと思います。

 中東報道研究機関「メムリ」が気になる緊急報告を出しています。「アルカーイダの健在と対テロ戦争の失敗」は「アメリカの愚かさと、アフガニスタンとイラクにおける戦争の失敗、さらには、アラブ人とムスリムに屈辱を与えようとした前(ブッシュ)政権のせいで、アルカーイダは世界的な組織になった」「アルカーイダは現在西側で主要な作戦を行っていない。それは、アルカーイダがアフガニスタンとイラクで容易に米軍に接近できるためだ」と手ぐすねを引いて待ちかまえているとしています。

 もうひとつの報告「パキスタンはアフガン・タリバンとアルカーイダを支援するな―アフガン人ジャーナリストの声―」は「外国部隊の増派は、タリバン排除のため駐留している部隊の助けにはなる。しかし、アフガニスタンの完全修復にはならない。そもそもアメリカやヨーロッパ、いやアフガニスタンの指導者すらも、アフガニスタンを国家として認識せず、戦場と考えている。これが根本的な問題である」「アフガニスタンの国民の安寧は二の次である」と指摘しています。

 アフガニスタンの紙消費量は年間1人当たり20グラムで、世界最低です。先進国に比べれば1万分の1、子ども達にノート1冊すら渡らない水準で、これを何とかしなければいけないと、先日の「アフガン支援50億ドル、これでノートの雨を」で訴えたばかりです。民生を考える草の根の動きが一昨日「青空教室で使ってね ランドセル2600個、アフガンへ」で伝えられました。これまでに5万個が送られており「ランドセルには寄付で集まったノートや鉛筆、クレヨンなどを詰めた。仏事などで少しだけ使われて不要になったロウソクも寄せられており、電灯がないアフガンで役に立つという」

 「JOICFP (ジョイセフ) | 想い出のランドセル募金」の「ランドセルが語るアフガニスタンの教育事情」で「今でも男女が就学年齢に達しても約 50 パーセントは学校に行けず、義務教育を受けていません。 2003 年の成人非識字者数は 1100 万人です。現在でもアフガンの国民の識字率はわずか 28.7 パーセントです」と23年間にわたる長い内戦の後遺症と惨さが語られています。

 【参照】第156回「失敗国家ランクと紙消費量のぴたり」


2009年11月のエントリー一覧

11/30 人の会食は当たり前ではなく、霊長類中で特異〜秋葉原連続殺傷事件の根底とは
11/29 続・ベルリンフィルに耐えるPC用オーディオ [AV特集]
11/28 グーグル検索独占に新聞が反撃するのは困難
11/27 全国取材網の放棄は必然、毎日新聞の共同再加盟
11/22 人間ドック学会も禁煙宣言、でもメディアは
11/21 官房機密費の持ち逃げにメディアは甘過ぎる
11/16 仕分け騒ぎは混迷。文科省がネットで反論募集
11/14 仕分けで科学技術ばっさりなら本格政策を
11/12 アフガン支援50億ドル、これでノートの雨を
11/08 留学による大移動は新段階、中韓米日で見る
11/07 また米国地方紙が廃刊、百紙が同じ運命に
11/05 ゴジラMVPおめでとう、松井苦節7年の末
11/01 ブログ記事数推移で見る政権交代への3年間