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人の会食は当たり前ではなく、霊長類中で特異〜秋葉原連続殺傷事件の根底とは

 今日、大阪本社版の朝刊3面に「理由なき殺人なぜ増加〜個食化、共感力失った現代」とのタイトルで山極寿一京大教授(人類進化論)の大型インタビューを載せました。東日本の方は見られませんし、折角なので私なりにかみ砕いた要旨を紹介しておきます。秋葉原や土浦での連続殺傷事件は、人間らしい共感を育て損なった結果ではないかと考えられるのです。

 家族で向かい合って食事をすることは当たり前すぎて、われわれには特別な行為との意識はありません。しかし、霊長類の研究者からみると極めて特異なことなのです。身近な例ではニホンザルは決して見つめ合いません。下位のサルが上位のサルを注視すると反発になるので、餌場に上位のサルが来ると下位のサルは目を合わせずに譲ります。DNAが人間に近いゴリラやチンパンジーでは小さい方が見つめたり、ねだったりすることがあります。それでも食事は個食が基本です。

 人間だけが一人で食べきれない食材を集めてきて、請われもしないのに分け与え、一緒に食べようとします。サルの目には白目の部分がありませんが、人間にはあり、瞳の動きから何に関心があるのか心の動きが読み取れます。サルの世界では競合やトラブルの原因になる「食事」を、人間はコミュニケーションの手段に変え、何も知らない子どもに人間らしい共感を育む場にしました。命をつなぐ食に、隠れた本来機能があったのでした。

 秋葉原の犯人はネット掲示板にしか身の置きどころが無く、それさえ壊して犯行に及び、土浦の犯人は食事も家族と別々でした。相手は誰でもいい――不条理な殺人の背景には共感の欠如した社会があり、生活が便利になった代わりに、サルに似て目も合わせずに食べる食事風景がその根底にあるという訳です。最近ではせっかく会食しているのに携帯電話を見ながら食べている人をよく見かけるようになりました。

 【参考】「秋葉原事件で思い起こす『隔離が生む暴力』 [BM時評] 」


続・ベルリンフィルに耐えるPC用オーディオ [AV特集]

 この夏、リリースした「ベルリンフィルに耐えるPC用1万円オーディオ」は予想外に多くの方に読んだいただいています。ベルリン・フィル「デジタル・コンサート・ホール」年間会員になって定期演奏会アーカイブの高画質・高音質が自由になるのですから、深夜にかけての楽しみがぐんと増えました。ただ、仕方がないことなのでしょうが、1万円で組んだセットは十分に楽しくても、我が家の主力であるヘッドフォン上級機の切れ味、解像力を生かし切れていないことも明白になってきました。

 最近のヘッドフォンアンプには10万円を超える物も珍しくありません。昨年あたりから各社の最高級ヘッドフォン自体が10万円以上になってきているのです。昔からのオーディオファンながら、そこまでのお金の使い方はしてきませんでしたので、折り合いを付けられる機種を探しました。結局、購入したのが韓国Styleaudio社のUSBオーディオインターフェース「CARAT-RUBY」でした。韓国内向け通販サイト「Gmarket」が日本にもサイトを構えるようになり、「CARAT-RUBYの検索結果」から購入先を選びました。形としては個人輸入の代行になります。品物の入手を確認してからクレジット支払いが実行される仕組みになっていました。


 入手価格はウォン安もあり、送料込みで20,500円ほどです。Styleaudio社は韓国内向け商品であることを理由に国外でのアフターサービスは出来ないと断っています。日本向けには改良型の「CARAT-TOPAZ」がありますが、正規に購入すると5万円近い値段になります。ネット上の評判や情報を集めた結果、使われている部品の質などからも「CARAT-RUBY」に決めました。実際の音質は高域が伸びて、低域は雄大です。ひとつひとつの音の彫りが深くなり、音楽全体としての訴求力が大きく上がりました。ベルリンフィルの高い合奏力は凄まじいものですが、時にある僅かな乱れを感じ取れるようになった気さえします。50時間のエージングがコンデンサー容量回復に必要で、到着直後はオーバーシュート気味の高音ですからご注意下さい。

 オフィス環境に持ち込んでみると少し印象が変わります。静かな自室と違って背後の騒音が邪魔して細かな違いが聞き取りにくくなります。外部電源が必要なこともあり、ノートパソコンと一緒に自由に持ち運ぶことは出来ません。1万円セット「AUDIO GENIE PRO」+「Fiio E5」はUSBバスパワーで動くので新幹線の中でも使えましたが、「CARAT-RUBY」は新幹線の騒音中では電源があったとしても良さは半減してしまいそうです。新幹線に大型のヘッドフォンを持ち込むのも困りものです。また、「AUDIO GENIE PRO」は外部のレコードプレーヤやビデオデッキからパソコンに音を取り入れるデジタルソース化にも使っていますが、「CARAT-RUBY」にはその機能はありません。逆に光入力はあります。1万円セットの方は円高からか安くなっています。

 「デジタル・コンサート・ホール」の最近のヒットは10月24日、リスト作曲「ハンガリアン・ラプソディ」です。ピアノのご先祖楽器「ツィンバロン」を魔法のように鳴らす快演とオーケストラの見事なアンサンブルが融合して、楽しくてたまらない16分間を作り出します。アーカイブの無料予告編で一端は知れますが、是非、全編を聞いてもらいたい演奏です。


グーグル検索独占に新聞が反撃するのは困難

 しばらく前から米国で「Wall Street Journal」を擁する「News Corp」がグーグルに記事検索させることを拒否する動きが伝えられていました。どうやら本物になり、それに検索サイト「Bing」を売り出したいマイクロソフトがかむ話になったようです。しかし、「新聞に拒否されてもGoogleは痛くも痒くもない?という驚異の調査結果」(TechCrunch)が伝えられたように、有力紙であっても新聞社がグーグルに反撃して、独占状態を崩すのはとても難しいのです。グーグル検索から離脱すること自体は収集ロボットを拒否する簡単な命令を入れるだけの話ですが……。

 「あるドイツの調査機関が、Googleの“財務的搾取”に反対する宣言にハンブルグで署名したドイツの148の出版社の、およそ1000のドメインがGoogleを去ったらGoogle自身はどうなるか、という調査を行った」「Google Germanyの上で100万種のキーワードについて検索したところ、結果の上位10項目に占めるドイツのニュースサイトの比率はわずかに5%であり、しかもそれらはGoogleに対する反対宣言に署名をしなかった出版社/新聞社のものだった」やはりそうなんですね。

 「メディア・パブ」の「WSJ記事の独占的な検索,マイクロソフトがニューズに支払う金額は?」はグーグル検索から離脱する対価をこう見積もっています。「WSJ.comへのトラフィックの25%がグーグルサイト経由からとなっている。WSJ.comの記事をグーグルが検索できなくする措置を取ると,その25%のトラフィックを失うことになる」その結果「広告売上が10〜15%減ると見積もっている。WSJ.comの広告売上高は1億ドル程度と推定しているので,1000万ドル〜1500万ドルの売上が消える計算になる」

 マイクロソフトは自社の検索サイト「Bing」に「Wall Street Journal」を独占的に検索させることで客を集めようとしています。広告の売り上げ減分を支払っても抱き込みたい意向のようです。しかし、ニューヨークタイムズなど他の大手新聞社が同調する可能性は薄いようです。そうなると「Wall Street Journal」だけを優遇した検索結果を提供することになりかねず、かえって検索の価値を落とすことになります。

 実は、個人的に「Bing」の能力を疑っています。検索を日常的にとても多く使っているので良い物ならどんどん使うポリシーですが、私のサイト「dandoweb.com」を入力すると「Bing」だけは「index.html」を見つけられないのです。グーグルはもちろん「Baidu」あたりでも問題なく検索結果のトップに「インターネットで読み解く!」を持ってくるのに不思議です。他のサイトと比べて検索結果に不満を感じたことはいくつもあり、対グーグル包囲網の軸にするには「筋」が悪すぎると思っています。


全国取材網の放棄は必然、毎日新聞の共同再加盟

 半世紀ぶりに毎日新聞が共同通信に再加盟するニュースは、内実がきちんと説明されていないと思います。「全国の支局の取材網は維持したうえで、脱発表ジャーナリズムを進める」という毎日・朝比奈社長の発言を額面通りに信じているOBブログもありますが、実情を知らないにもほどがあります。「毎日新聞が共同通信に再加盟する事情」(永田町異聞)が「経営陣の本心は、全国にはりめぐらした支局網と記者の数を減らし、リストラで経営悪化を食いとめたいということではないのだろうか」「共同への再加盟で、新たにいくら分担金を支払わなくてはならないのか、朝比奈社長は明言していないが、他社の例だと年間十数億円はかかるはず」と見抜いている通りでしょう。

 既に今年の収支は赤字になっているのですから、何百人分もの人件費をカットするとかしないと新たな分担金はひねり出せません。まとまった部数が出る大都市部に特化した紙面の新聞になり、地方はニュース取材、新聞販売、あるいは新聞印刷まで含めて、包括提携する地方紙に任せると考えるしかありません。徹底的に地方取材網を絞ってしまった産経新聞の後を追いかけるとみます。取材網を維持できないが故の、別の噂も聞いているからそう考えるのです。年明けにも事態はだんだん明らかになってくるでしょう。

 「毎日新聞、共同通信に半世紀ぶり再加盟」(edgefirstのメモ)は「調べてみたら、毎日新聞社の従業員数は『約3,200人』で、地方紙の中で部数トップの中日新聞社が『3,439人』といつの間にか逆転されていた。人数的にも全国をカバーするのはもう限界だったのだろうか」と指摘しています。そして、さらなる人減らしは相当な規模でなければ計算が合いません。

 マスコミ労働運動の関係者からは「生き残りが自己目的化しないことを期待〜毎日と共同、共同加盟社の包括提携に寄せて」(ニュース・ワーカー2)のような声も出ています。「企業としての新聞社の生き残りを自己目的化するのではなく、組織ジャーナリズムの成果として多様な情報、多様な言論が社会に担保されることが最終的な目的でなければならないだろう」とおっしゃるのですが、本当にメディアの生き残りが難しくなっている今現在を考えると無い物ねだりにも見えます。


人間ドック学会も禁煙宣言、でもメディアは

 11月に入って男性喫煙率が36%と、過去5年で10ポイント下がったニュースや、来年度予算に向けて大幅増税の議論が表面化するなど、たばこ関連の動きが目立ってきました。この秋、一番の注目は日本人間ドック学会が9月の大会で「禁煙宣言」をしたことだと思っています。タバコによる健康被害がこれほど言われる中、遅れに遅れてです。ところが、なお及び腰なのがマスメディアです。記者個人の嗜好や思いこみと、市民社会の中でメディアが果たすべき役割がごちゃごちゃにされています。

 日本禁煙学会がまとめている「禁煙宣言学会等の一覧」をご覧になってください。1997年の日本呼吸器学会を先頭に臨床系の学会はあらかた宣言しているのに人間ドック学会は、「営業上の問題」から躊躇していたのでしょう。しかし、ちょっとばかりコレステロール値が高いことは問題にしながら、ヘビースモーカーであることを不問にするなんて、人間ドック本来の在り方からはとても可笑しいのです。重篤な症状が出てきたところで治療する方針で良ければ、人間ドックは不要です。

 WHOが2008年に世界規模で初めてまとめた報告「Global TOBACCO Epidemic」のメッセージは強烈でした。「20世紀の間にたばこによる死者は世界で1億人だった。各国政府が手を打たなければ21世紀には10億人の死者が出る」です。先進国の中で日本の喫煙率は突出しているのですが、現在は所得が低い国で喫煙率が急増する傾向にあります。これは人口増加が著しい国に売り込む販売戦略のためで、日本たばこ産業が国内を穴埋めするように海外のタバコ事業を買収して大きく収益を伸ばしていることから分かるように、我々とも無縁ではありません。

 日本生活習慣病予防協会の《たばこ値上げで喫煙率を減少 「1箱500円」は世界的な流れ》がたばこ価格と税率について、日本と先進各国の違いをまとめています。「米国や英国の最近の男性の喫煙率である23%に比べると、日本の喫煙率はまだまだ高い。欧米のたばこ1箱の価格は、英国843円、フランス556円、ドイツ466円、米国706円と、日本よりも大幅に高い」「日本の1箱300円のたばこにかかる税は175円で税率は58%、増税すると75%に増加すると見込まれる。これに対し、海外諸国の現在のたばこ税率は英国77%、フランス80%、ドイツ76%、カナダ69%、米国37%、ノルウェー76%、インド69%などとなっている」 >

 これまで述べた基礎データを知っていらっしゃるはずの地方紙の雄、北海道新聞のコラム「卓上四季」の「喫煙率低下(11月15日)」は「喫煙派にとって、次のハードルは鳩山政権が検討するたばこ増税となる。拍手する非喫煙派も多いが、大衆増税だ。分煙する限り、喫煙という『ささやかな自由』の機会は狭めなくていいと思うが、いかがだろう」と結んでいます。誰も自由を奪おう何てしていませんよ。「狭めなくていい」とは言い回しの貧しさに呆れます。

 あるいは毎日新聞の「たばこ税:増税、効果は 税収、消費減り減収も/禁煙促進、がん減少?/生産者は反対」です。増税は健康増進のためにするのであり、税の減収大いに結構です。税収が減らないようにじわじわ上げていく方法は、密売組織が麻薬患者から金を搾り取っていくのと同じ発想です。それに「がん減少?」と疑問符を打つ勇気は相当なものですよ。所得が減るタバコ生産農家には税収から所得補償をすれば良いだけです。WHOは「世界で毎年20兆円ものタバコ税収がありながら、タバコ規制に使われているのは0.002%にすぎない」と批判しています。

 【関連】第71回「新・たばこをめぐる日米の落差」(1999/06/03)
     第135回「たばこ依存脱せぬ日本人を考える」(2003/06/12)


官房機密費の持ち逃げにメディアは甘過ぎる

 総選挙で政権交代が決まった2日後の9月1日、河村建夫・前官房長官が官房機密費2億5千万円を内閣府に請求、半月後には官邸の金庫を空っぽにして現政権に引き継いでいたことが分かりました。鳩山首相は「政権交代が起きる時って、こういうものじゃないか、という思いもある」と言っているそうですが、マスメディアが「そういうこともあるでしょう」と引き下がるなんてとんでも無いことです。毎月1億円ずつ請求して処理できていて、突然、2.5倍も引き出して「持ち逃げ」したのに、メディアの論調に怒りはあまり感じられません。

 グーグルのブログ検索で調べると過去1日内に「官房機密費」について書かれたブログは1451件で、かなり関心が高いと思います。「官房機密費:使途を追及」(naotanの部屋)は「選挙関係で使われた可能性が高い」と述べた福島消費者相の言葉を引きながら、「中途半端に機密費額がわかり使途がわからないと非常に不満に思う。疑惑ばかり想像してしまう。このままだと使途が非公開なら使いたい放題ということになる」と怒っています。

 「機密費はすべて公開すべき 」(続 wankoのブログ)も「あたしの日本の政権に対する不信のメーターの針は一気に振り切れてしまった。莫大な機密費を手にして民主党に政権を渡すわずか半月の間に日本の国益に見合うような大きなことを麻生政権はやったのか」「退陣する直前に多額の官房機密費を手にして消え去るというのは、まさにあのフイリピンの故マルコス大統領がハワイに亡命する直前まで、多額の国家資産を横領したことと根は同じ」「前麻生政権が退陣の半月前に2億5000万円もの官房機密費を国益のためにどう使ったのかをすぐさま明らかにすることは現鳩山政権の責務である」と主張しています。

 「官房機密費政権交代決定 二日後 2億5千万円 首相使途公表も検討」(ひげログ人)はもっと辛辣です。「ヒラの官房長官は、自民党時代のことを追及しないから、今のことは追及しないでくれとでも言いたげだ」「使途不明で使い放題にしているというのは、国民の目から見ると、額の違いがあっても、政治家などというものは、同じ穴のムジナのようだ」「問題が広がるばかりだ。支持率が下がっていくのが目に見えるようだ」

 メディアの怒りの無さは、例えば毎日新聞は「官房機密費:政府公表 先手で批判かわす狙い 思惑は不発気味」で「機密費の透明化を求めていた野党時代の民主党の方針転換への批判が強まる中で、自ら公表する姿勢を示して批判を弱める狙いがあったとみられる。ただ麻生政権末期の2・5億円の不透明な支出を追及せずに穏便に済ませる姿勢は、野党時代の主張とかけ離れている上、具体的な使途の公表には踏み切らず、思惑は不発気味だ」と書いていて、何か腰が引けていて、他人事のようです。


仕分け騒ぎは混迷。文科省がネットで反論募集

 新年度予算の事業仕分けでばっさり斬られる事業が続出した文部科学省が16日「文科省、仕分けの“反論”募集 政務三役が指示、HPで」(47NEWS)と、ネットの知恵を借りて逆襲を試みるようです。共同通信が午後10時過ぎにリリースしているので、他のメディアも17日の朝刊などに出すのかも知れません。それにしても「川端達夫文科相ら政務三役が指示。ネットで“反論”を集め、年末の来年度予算の編成で巻き返しを図りたいとの思惑があるようだ」とは、仕分け騒ぎの混迷ぶりは失笑を買います。

 意見募集の文科省ウェブは「行政刷新会議事業仕分け対象事業についてご意見をお寄せください」です。「事業仕分けを契機として、多くの国民の皆様の声を予算編成に生かしていく観点から、今回行政刷新会議の事業仕分けの対象となった事業について、広く国民の皆様からご意見を募集いたします」とあります。その下に「廃止」「縮減」だらけの仕分け結果を一覧にしている点で意図は透けて見えます。意見提出先メールアドレスは担当の副大臣と政務官になっていて、スパム対策を考えずに実物のメアドを出しているところが急ごしらえぶりをうかがわせます。

 ネット上では「はてなブックマーク」が百数十も付いて大きな話題です。真剣に応じようとする人もいれば、当然ながら斜に構える人、「文科省には仕分け人が突っ込んだ以外に突っ込みたいことがあるぞ」と言う人と大騒ぎです。私も「仕分けで科学技術ばっさりなら本格政策を」を書いた以上、こんな予算擁護より「言わせていただきたいことが多い派」です。

 文科相ら政務三役は自分の役所が過去にどれだけ聞く耳を持っていなかったか、ご存じないのでしょう。政務三役がこんなデータ集めに一生懸命では、科学技術政策を本質的に立て直す立案など期待出来ないと申し上げておきます。


仕分けで科学技術ばっさりなら本格政策を

 新政権による新年度予算の事業仕分けで「13日の仕分け結果の詳報」(47NEWS)にあるとおり、科学技術関係項目がばっさりと削られる事態になっています。ネット上では「次世代スーパーコンピューティング技術の推進」が「(予算計上の)限りなく見送りに近い削減」になった点や、「博士課程修了者らに経済的不安を感じさせず研究に専念させることなどを狙った特別研究員事業(要求170億円)」や「若手研究者養成のための科学技術振興調整費(同125億円)と科学研究費補助金(同330億円)も削減」となったことが特に批判されています。

 《「事業仕分け」中間報告:若手支援は切り捨ての方向に向かい、最悪のシナリオが一歩現実味を帯びた》(大「脳」洋航海記)など、研究者があげる危惧の声が支持されているようです。効率が悪い物は切り捨てよ、では基礎科学の研究が出来ようはずがありませんから「若手はドロップアウトして表舞台から消えていくか、さもなくばもっと待遇と環境の良い海外へと逃げ散っていってしまうか、ともかく日本から姿を消してしまうはずです」「ポスドクを含む若手研究者が日本から姿を消し、『科学先進国ニッポン』は後継者ゼロとなって一気に崩壊に向かう」との指摘です。

 では従来の科学技術政策が今後も維持されるべきものだったでしょうか。若手やポスドクについての上記予算は、大学院定員を大膨張させ悲惨な現状を引き起こした文部科学省が、本質的な改革・改善を避けて打ち出した「つぎはぎ」策にすぎません。そこに何の未来もないことは科学技術政策に関心がある者には自明ですらあります。旧文部省のしたことは第120回「負け組の生きる力・勝ち組の奈落」の第3節「◆大学院重点化は一種の“詐欺”商法」で明らかにしています。また、大学運営の有り様や科学技術予算の大型プロジェクトには疑義が山積みです。

 《もう日本国民は「科学技術創造立国」をのぞんでいないのだろうか?》(WINEPブログ)は「『科学技術基本法』の精神に則って、日本は「科学技術創造立国』を目指してきたが、この精神は終わったのかと思わせてしまうものがある」「一通りこの人民裁判的な<事業仕分け>が終われば、民主党は頭を冷やして、冷静に総合的な判断を行い、今後の科学技術政策を構築すべきであろう」と主張しています。

 大学院重点化が動き出して20年近くになり、大学の現職教員でも現状の可笑しさがどこから来たものか、認識できていない方が多数になっています。にわか「仕分け人」に、十分な過去と現状への認識を持ってもらうことは無理でしょう。本格的に仕組みを変えていくしか、本質的な改善は出来ないのですから、見直す、あるいは立ち止まって考える――ことにまで文句を付けるべきではないと思います。その代わりに民主党連立政権に本格政策を早急に立案するよう迫るべきです。

  ※関係の親サイト分野別入り口・・・《教育・社会》 《科学・技術》


アフガン支援50億ドル、これでノートの雨を

 アフガニスタン復興に5年間で50億ドルを民生支援する方針が打ち出されました。ペルシャ湾からの海自撤退をにらみ、野党になった自民党を中心に、湾岸戦争を念頭に「小切手外交の復活」などの批判を浴びせています。しかし、このお金こそ使いようで生きるのです。昨年書いた第156回「失敗国家ランクと紙消費量のぴたり」 を見ていただければ、アフガニスタンの紙消費量が年間1人平均でわずか20グラム、世界最小であることを知っていただけるでしょう。これは公文書から本、トイレットペーパーまで全ての紙類を合わせた数字です。

 40ページもある厚い新聞なら1部200グラムもありますから、あの10分の1が20グラムです。保存すべき公文書さえ、きちんと作られていない恐れすらある数字です。まして子どもたちに勉強するためノートが行き渡るはずがないでしょう。今年、国内で公開されたアフガニスタンが舞台の映画「子供の情景」はノートが重要な役割をしています。これを撮ったイラン人女性、ハナ・マフマルバフ監督は父親でやはり映画監督、モフセン氏の言葉「多くの国がアフガニスタンに爆弾を落として、この国を救おうとした。もし、爆弾ではなく、ノートが落とされていたらこの国の文化はずっと豊かになっていただろう」から発想して映画を作ったそうです。

 20グラムは2005年の消費量です。第156回「失敗国家ランクと紙消費量のぴたり」では失敗国家10カ国について1995年消費量も調べて比べています。失敗国家として最悪といわれるスーダンですら10年間で290グラムから1010グラムに増えています。10カ国でアフガニスタンだけが唯一の減少国です。しかも1人当たり80グラムが20グラムに減っていたのでした。「ノートの雨」を降らせてあげなければならない理由がお分かりになると思います。狂信的なタリバンの勢力を削ぐためにも、民衆の生活を豊かにし、知識や情報を行き渡らせることを考えるべきです。ちなみに、たいていの先進国は1人200キロ以上を消費しています。


留学による大移動は新段階、中韓米日で見る

 社会状況の変動をグラフで見せてくれるサイト「社会実情データ図録」にはよくお世話になっています。10月に世界の留学についての動向が9件まとめてリリースされ、特に「各国の海外留学生数ランキング」は面白いと思っていました。大人口国である中国とインド、それに続く韓国からの留学生送り出しは半端ではありません。内向き指向で留学生送り出しが減っている日本には、こういう状況が届いていない観があり注目しました。ただし、使っているデータがOECD諸国への留学であるために、留学生の大量送り出し国であると同時に、近年、大きな留学生受け入れ国になった中国が見えない弱点があるとすぐに気付きました。

 ユネスコから今年、「Global Education Digest 2009」が出ていると知り、「New trends in international student mobility」にもあたりましたが、これもOECDデータの段階でした。それでも大枠をつかむには良いデータがちりばめられています。留学生の世界規模は
  1975  80万人
  1985  110万人
  1995  170万人
  2007  280万人
と拡大してきています。最近の変化は激しく、1999年から2007年にかけて受け入れシェアを比べると、トップ米国が25%強から21.4%に落ちる一方、中国が1.5%、韓国が1.1%をほぼ新規に得ています。日本も受け入れについては1ポイントほど伸ばして4.5%あります。

 中国の受け入れ状況を取り入れたデータ、しかも新しいものが欲しい、こうなると最近のニュースを検索してでも作るしかないようです。OECDデータに追加する形で、中韓米日にしぼって推定した状況を並べてみましょう。データ引用元は後で一覧を出します。中国関係ではユネスコの数字と桁違いになる物も現れます。

 中国……2007年受け入れ 19万人(2007ニュース)
     2007年送り出し 42万人?
    米国へ10万人
    韓国へ5万人(2008ニュース)
    日本へ8万人
    カナダへ4万1000人(2008ニュース)
    オーストラリアへ5万人
 韓国……2007年受け入れ 3万人?
     2007年送り出し 17万人(10万5000+中国分)
    米国へ6万3772人
    中国へ6万4481人(2007ニュース)
    日本へ2万2109人
 米国……2007年受け入れ 59万人
     2007年送り出し 6万2000人(4万8000+中国分)
    中国へ1万4758人(2007ニュース)
    韓国へ553人
    日本へ1888人
    英国へ1万5956人
 日本……2007年受け入れ 13万人
     2007年送り出し 7万4000人(5万5000+中国分)
    米国へ3万6062人
    中国へ1万8640人(2007ニュース)
    韓国へ1235人

 ユネスコのデータでは中国の受け入れシェアは1.5%ですが、実際には4倍以上あるようです。送り出しも2008年にかけて韓国やカナダで倍増の勢いですから50万人を突破するのでしょう。韓国の送り出しは中国分を合わせるとインドの15万人を抜いて世界2位になるようです。人口10万人当たりの留学生数は350人にも達し、日本の5倍以上あります。受け入れナンバーワンの米国はこれまで送り出しが少なかったのに、旧宗主国である英国に並ぶほど中国に関心を寄せている姿が現れています。中国人を中心に留学先で居着く人が増え、この数字の大きさは大規模頭脳移動でもあります。

 日本についての公式データは「我が国の留学制度の概要 受入れ及び派遣」(平成20年度版)にありますが、受け入れ側に傾いている上に2005年データが中心で古いと感じます。むしろ「留学生数の推移調査報告」が好ましいと思いました。留学先の米国離れが大きく進んできた一方、取って代わるというほど中国も伸びません。留学生受け入れ30万人計画も結構ですが、世界の留学事情が動いている中で日本も主体的にどうするか考えなければなりません。現状は思考停止状態にあると見ます。 なお、「アジアにおける留学生と留学生移動」では新たな人的ネットワークの可能性が唱えられています。

 【採用ニュースデータ】
「中国の外国人留学生、昨年19万人を突破」
「中国人留学生、韓国抜き最多に!4万1000人を突破―カナダ」
「韓国の大学、なんと留学生の8割は中国から」


また米国地方紙が廃刊、百紙が同じ運命に

 いつもの「Japan blogs Net」巡回で「メディア・パブ」が《「新聞の時代が終わった」と言い残し,East Valley Tribune紙が大晦日に廃刊へ》と伝えているのを見ました。1891年創刊の老舗紙です。「“End Of An Era” ひとつの時代が終わった・・・」を掲げた紙面イメージ付きです。ネットに浸食されてと、世界不況のダブルパンチで、また米国地方紙がひとつ消えます。

 ストレートニュースとしては4日前に廃刊決定が流れたようです。JACQUES BILLEAUD (AP)署名による「East Valley Tribune in Mesa, Ariz. to close」によると、1997年の最盛期に部数94,500部、今年、ピューリツァー賞(ローカルニュース部門)を受けたばかりだといいます。昨年終わりに4割の人員カットをし、140人の従業員で再生を目指していました。親会社自身が連邦破産法11条で再建途上であり、新たな買い手を見つけようとして果たせなかったのでした。この記事は「米国全土で百紙ほどがいつまで紙の新聞を続けられるか、日を数えている状況だ。ウェブに移行してしまう新聞もあれば、Denver's Rocky Mountain Newsなどのように完全廃刊もある」とも伝えています。East Valley Tribuneも残る140人を解雇しての廃刊です。

 同紙自身による「East Valley Tribune to shut down Dec. 31」は年代記まで付け、関係者の惜しむ声を含めた、かなり長い記事になっています。その中でアリゾナ州立大ジャーナリズム学部のStephen Doig教授は「新聞の廃刊や大幅縮小を目にするたびに、喜ぶのは監視されることが無くなる詐欺師や無法者ばかりだと思う」「ジャーナリズムは生き残るが別の形になるだろう。たくさんの実験が行われ、多くは失敗し、いくつかが成功しよう。10年後にはニュースを生み出す光景は、今と全く違っていよう」と述べています。

 米国が違う光景になって、日本だけが今と同じはずがありません。それにしても、米国の地方ではローカルニュースの書き手が存在しなくなる地域が広がっていくことになります。市民社会にとってこれは想定外の事態です。


ゴジラMVPおめでとう、松井苦節7年の末

 WBCでの日本連覇で始まった野球シーズンの終幕に、こんな劇的なイベントが来るとは。ヤンキースのワールドシリーズ優勝に貢献した松井秀喜が日本人初のMVPに輝きました。優勝を決めた第6戦で2点本塁打、2点シングル、2点二塁打と大爆発して、スタンドの観客が「MVP」と叫びだしたのには、ちょっと胸が熱くなりました。ワールドチャンピオンになるために米国に渡って7年、やっと思いがかなった時、もうひとつの願いもかないました。

 ネット上では読売新聞の4年前のインタビュー記事が見直されています。「いつかメジャーでMVP」です。「車のアクセルを踏み込みつつ、『おれ、いつかメジャーでMVP(リーグ最優秀選手)をとりたい』と継いだ。驚く記者に向かって“演説”を続ける。『ただし、優勝した上でね。一番、優勝チームに貢献したという選ばれ方で、MVPがほしい』」「不思議なぐらいに言葉があふれ出す。高速道路の渋滞が解消し、遅刻を免れると判断して、フッと気が緩んだのだろうか」

 まるで4年後、今日の自分を言い当てているような言い方です。大リーグに渡った野手として、イチローと並ぶ存在なのにイチローに比べて話題が少なかった松井です。7年前、最初のワールドシリーズで日本人初の本塁打を打ったくらいしか、すぐに思いつくものがありません。次々に大リーグの打撃記録を塗り替えていくイチローに比べて、この数年は特に地味でした。

 両膝の故障を持っている松井は守備が出来ません。今年で4年契約が切れるヤンキースが契約を続けるか、シーズン後半から注目の的でした。大リーグのホームページでも、「地元紙」ニューヨークタイムズの記事でも賛辞の後で、これでヤンキースを去ることになれば、最後のゲームで最高の仕事をすることになるという感じの書き方をしていたのが気になりました。NYTの記事のコメント欄以上に国内のブログも大漁です。グーグル検索によると半日で4000以上あります。悲願の世界一達成と合わせて、今日はまず、お祝いムードです。


ブログ記事数推移で見る政権交代への3年間

 8月の総選挙で政権交代が決まってから2カ月が過ぎました。総選挙期間中には「衆院選ブログ観測(4)4年前が政権交代の伏線 [BM時評]」など、毎日調べた結果から一連のブログ観測を発表しています。今回はもう少し長い視野で2007年始めからの動きを、「民主党」と「自民党」のキーワードを持つブログ記事数の推移から分析しました。手法はグーグルのブログ検索で「日付を指定」を利用、2007年1月から毎月の記事数をリストアップしました。なお、このデータは10/31夜に採取したもので、11/1朝には再現しない部分があります。再現性については最後に議論します。まず、グラフを見てください。


 現時点では政権与党になった民主党が良きに付け悪しきに付け話題の中心になっており、野党になった自民とは大きな差がついています。この大差が意味することは、民主党単独で語られるブログ記事が非常に多くなったという事実です。しかし、自民党が忘れ去られたのではないことも明らかで、過去3年で見れば、なお高い水準にあります。過去に目を向けると、政権交代へ動き出したのは2008年9月であるとみてよいでしょう。福田首相の辞任、麻生政権登場です。そこから世界不況対策の補正予算、衆院解散時期の模索、数々の失言問題など与党自民党側に脚光が当たる形で推移したのですが、この夏、一気に注目度が逆転しました。

 3年間を通して見ると、2008年前半の特異性が際立っています。野党民主党についての記事が与党自民党の2倍近くある時期が7カ月も延々と続きました。参院で多数を押さえた野党側の攻勢で、手詰まりに陥った福田政権からの発信力が弱まりました。圧勝した現時点と同様に、もはや自民党とセットでではなく、ブログでは民主党単独で語られるようになっていた訳です。政権交代への基盤は参院での与野党勢力逆転の結果、この時期に養われたと考えられます。

 データの再現性について考えておきます。グーグルのブログ検索で10/31夜に「2009/10/1〜10/31」の日付指定で「民主党」を調べると「254,387」件が得られました。11/1朝ではこれが「79,107」件しかありません。「1カ月以内」指定をすると「81,149」件でした。グーグル・ブログ検索に長く付き合って気付いたのですが、検索の条件によっては、同じデータベースにアクセスしているのではないようなのです。その証拠に11/1朝に「10/1〜10/15」の日付指定では「103,138」件を出力してきますから、半月分が1カ月分を2万件も上回って矛盾しています。やはり「254,387」件の方が正しいようです。11月に入った時点で検索対象のデータベースに何らかの「調整」があったと考えられます。今回は10/31夜に収拾したデータで一貫させておくことにします。


2009年10月のエントリー一覧

10/31 NHKが映像素材公開、早速「佳作」も誕生
10/28 国際規制強化に間に合ったマグロ完全養殖
10/25 青森・福井の核燃サイトで初歩的ミス連発
10/24 銀河系を地球から見た360度パノラマ荘厳写真
10/21 インフル接種回数、「混乱」報道はメディアの無知
10/18 グーグル検索数からインフル流行予測が稼働
10/14 テクノラティ終了、ブログ界肥大化の果て
10/11 アフリカ寒村の少年が短期独力で風力発電
10/10 高速増殖炉もんじゅの危うさ、早速また誤警報
10/08 ウィニー開発者逆転無罪、児童ポルノとも関係
10/06 信頼性無し、もんじゅ運転再開は愚の骨頂
10/04 ブラウン管TV国内終息、世界規模で変化加速
10/02 9月29日は民主党とネットの接触記念日に