<< October 2009 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
 
Latest Entry
Profile  Facebook
Dando's Site
Category
Search

Archives
Recent Comment
Recent Trackback
Admin
   
Mobile

NHKが映像素材公開、早速「佳作」も誕生

 31日、「NHKクリエイティブ・ライブラリー」がオープンしました。アマチュアには撮影する機会がない様々なビデオ動画素材を無料で提供し、ウェブ上で素材を切り張りして組み合わせ、BGMも付けられる仕組みが出来ていました。商業目的でなければ、ダウンロードして外部のサイトで公開することも出来ます。

 素材は動植物から、日本や世界の風景、乗り物やCG画像、色別のイメージとかがあり、多彩です。「緑」の素材を眺めているだけで何かイメージが湧いてきます。また、音楽の他に動物の鳴き声や落雷の音といった効果音もあって楽しめそうです。ただ、もう少し大きな画像サイズなら申し分なかったのですが……。

 作られた「人気の作品」から、SLや雲をうまく使った2分余りの「もくもく列車」や「のんびりライフ」など何本か視聴してみました。ちょっとしたアイデアをもとに映像で何かを言う面白さがあります。オープン初日で結構、おやっと思う作品が寄せられていますから、すぐに人気動画サイトになるでしょう。


国際規制強化に間に合ったマグロ完全養殖

 クロマグロの大西洋と地中海での資源が細っているのを問題視して、全面的な輸出入禁止が来年3月のワシントン条約締約国会合で話し合われる動きがある中、読売新聞の「近大の完全養殖マグロ、過去最大の出荷数に」はグッドニュースでした。「幼魚(ヨコワ)の今年度の生産は約4万匹で、昨年度の4倍に増えた」「体長25〜40センチ、重さ200グラム〜1キロのヨコワに育った。すでに先月から、国内4か所の養殖業者に向けて出荷を始めている」といいます。1匹50キログラムサイズに育てれば合計2000トンですから、クロマグロの国内供給量4.3万トンの5%に相当します。

 天然マグロの幼魚を捕まえて大きくする養殖、短期間だけ餌を与えて太らせる蓄養と違って、近畿大は交配、産卵、孵化、飼育まで管理する完全養殖です。2002年に完全養殖成功のニュースが流れましたから、今年出荷分は最初の親から数えて第3世代です。最初は漁師からも相手にされず、成功まで32年かかった研究ですが、資源枯渇から国際的な規制が現実になる時期に間に合うなんて、研究者冥利に尽きる話だと思います。

 時事通信の「漁業国との連携強化へ=クロマグロ取引禁止を阻止−水産庁」は「日本は既存の漁業管理機関で厳しい漁獲規制を決定し、取引を続けたい考え。このため、規制強化に消極的な地中海諸国などに対し、合意形成に向けて働き掛けを強める」と伝えていますが、現在の自主的な規制が生ぬるくて資源を3分の1以下に減らしている現状からは説得力に欠けます。

 マルハニチロなど水産大手はマグロ養殖拡大に手を着け始めました。でも、海外から入る量が大幅に減れば、大きな需要を賄うには足りません。「クロマグロの完全養殖が問うもの 」(TrendWatch)は「養殖事業は、大変リスクの高い事業であり、ある一定の規模を確保すると同時に、技術的課題をクリアにしないと収益が上がる構造にならない」「所轄官庁だけではなく、生産者が潤うビジネスモデルを官民共同で構築することが求めれらている」と課題を指摘しています。

 一方で、近大の先生たちは人工孵化した幼魚を世界の海に大量に放してクロマグロ資源を回復させる夢を持っていると、前に聞きました。規制を避けて目先の利を追うだけでは、マグロ大量消費の日本はいつまでも資源を奪う悪者です。国産の完全養殖技術をもっと大胆に使って、世界に資源回復をアピールすることをなんで考えないのか不思議です。


青森・福井の核燃サイトで初歩的ミス連発

 初歩的ミスの中には重大事態発生時での対応能力を疑わせるケースが含まれます。今週、青森と福井の核燃料サイクル開発サイトで連発されたミスは、危機管理の視点から見れば「失敗しました。ごめんなさい」では済まないものだと考えられます。いずれも、よほど根本的な態勢整備をするのでなければ「来年からの運転はお止めなさい」です。

 まず、六ケ所再処理工場で22日に高レベル放射性廃液を流す配管から約20ミリリットルの液体の漏れがありました。東奥日報の「人為ミス3たび/六ケ所配管液漏れ」は「作業員の不注意で遠隔操作機具の一部が配管に接触したのが原因だった。今年1、2月に発生した同配管からの漏えいも作業員の思いこみなどが原因で、人為的ミスが同じ個所で三たび繰り返された」と伝えました。漏れた液体は高レベル放射性廃液の濃度の半分ですが、原子力安全・保安院は「漏れた中身が何であろうと、高レベル廃液が通る配管が閉じ込め機能を失ったことは問題だ」と言っています。

 漏れた場所は、配管の円筒にドーナツ型の円盤を付けた「フランジ」を向かい合わせて締め付け、管を密閉している所です(参考:ウィキペディア「フランジ」)。遠隔操作中に誤って触れたために液漏れを起こしたとの説明ですから、フランジを締め付けて密閉することなく漫然と作業をしていたことになります。高レベル放射性廃液は厚いコンクリートで密閉された再処理工場内でも漏れれば手を焼く厄介者です。現に今回の遠隔作業も前回廃液漏れの後始末に当たる洗浄作業をしようと準備していたものです。「核燃再処理工場に安全思想の設計無し!! [BM時評]」で「フェールセーフ思想なしに作られている」と指摘しましたが、運用面でも初歩的安全確保すらなかったのでした。

 福井の高速増殖原型炉「もんじゅ」では、23日にまた電源関係のトラブルでナトリウム漏れ監視できずです。朝日新聞の「> 原子炉ナトリウム漏れ 一時監視できない状態 もんじゅ」は「ナトリウム測定用の気体を取り込んで検出器に送るサンプリングポンプの仮設電源を入れたところ、このポンプと一緒に、別の2種類の検出器についているサンプリングポンプの電源も切れ、ナトリウム漏れが監視できなくなった。仮設電源から本来の電源に戻し、55分後に復旧させた」と報じました。

 今月始めの「高速増殖炉もんじゅの危うさ、早速また誤警報」でも点検作業中に電源を切ったら、別の検出装置の電源も切れてしまったトラブルを取り上げています。日本原子力研究開発機構は配線を洗いざらい調べ直した方がよいと思えます。原発内の配線は本当に複雑で、運転する側の「つもり」と違う配線になっているようなら有事には悲惨です。前回も今回も、なぜか電源が切れてしまう――のでは危なくて見ていられません。


銀河系を地球から見た360度パノラマ荘厳写真

 WIRED VISIONの9月15日付「天の川全景の動画とパノラマ」に、「らばQ」さんのトピックが出て気付きました。民主党中心の新政権発足1カ月余り、全てが整合して動けるはずもないのに、あちこちやり玉に挙げている細かい報道やブログにうんざりしていると、「The Milky Way panorama 」は俗世を離れて、荘厳な気分にさせてくれます。カット写真の右にある欄から選択すると横が800、1280、1600、4000ピクセルの写真が現れるので、自分のディスプレイに合わせて全画面表示でじっくり見てください。


 われわれの太陽系は銀河系の辺縁部に位置しています。国立天文台の「『天の川全国調査』キャンペーン」から「銀河系(想像図)」を下に引用します。


 この絶妙な位置のためにパノラマ写真で円盤状の銀河をイメージできるのです。もし銀河系の中心部にいたのなら、360度見回しても厚い星の壁が続くだけでしょう。もっとも撮影は簡単ではなく、天の川の半分は足下の大地、つまり地球で隠されています。2人のフランス人写真家は北半球と南半球で何カ月も掛けて1200枚の夜空を撮影し、合成したそうです。横1800万ピクセルという、恐ろしく高精細な写真が出来ており、ネットで見られるのは一部になります。

 パノラマ写真で全体の感じをつかんでもらったら、今度は宇宙空間の中に浮かんで、地球の位置で前後、左右、上下を見回してみましょう。「One thousand billion worlds」の一番上の写真では、まるでQUICK TIMEパノラマ写真のように、マウスの操作で視野を移動できます。まず、右でも左でも動かして、星が多く明るい銀河系中心部から反対側に目を移しましょう。確かに暗い宇宙に変わり、われわれが辺縁部に位置することが確認できます。マウスのスクロールを使うと拡大・縮小も可能ですから、拡大してみましょう。すると星がまだまだ現れてきます。暗いと思った空間に数限りない星が埋まっています。その輝きのひとつは星1個ではなくて、遠い銀河の姿かもしれません。マウスの操作で頭の上や足の下にも視野は転じられます。そこにも暗い空間と拡大すれば見える星の数々があります。


インフル接種回数、「混乱」報道はメディアの無知

 新型インフルエンザの予防接種回数をめぐり、16日の専門家会議で2回とされた方針の撤回が合意されて1回で済ませると報道されたのに、今週になって健康な成人以外はやはり2回に戻りました。毎日新聞の「新型インフルエンザ:ワクチン「原則2回」 行政判断で方針転換−−厚労省」は「足立政務官は19日の会議について、16日の結果に異論があったため新たなメンバーを指名したと説明し『科学的、医学的に正しいとされたものが、すべて行政判断にならない部分はある』と述べた」と伝え、あたかも政務官の非科学的なごり押しがあったかのようです。他のメディア報道もこのニュアンスを含んでいます。

 ところが、「新型インフル 議論そのものを公開 足立政務官ヒヤリング」(ロハスメディカル)を読めば、事情が逆であることが分かります。医師でもある(「足立信也氏プロフィール」)政務官が専門家を招いて、200人の健康な成人に対して実施した臨床試験結果を、健康成人以外の対象にまで広げるのは無理であることを当たり前に議論しています。こういう議論の議事録がそのまま読めるようになったのも、政権交代の雰囲気かなと思えました。

 一般のブロガーは「新型インフルエンザのワクチン接種回数は何回?接種を受けられる時期は?」が「別の専門家を加えた会議を招集し、最終的にはまた『原則2回』と当初の方針に逆戻り。二転三転する方針に、医療現場からは困惑の声が上がっているそうです」と書いているようなに受け取ります。しかし、これはメディアの伝え方が悪いのです。いや、それ以上に上の議論を聞いたメディアの記者が議論の意味を理解できなかったとは、恐ろしく無知だと言えましょう。自分の頭で理解しないで「専門家」の発言を右から左に垂れ流すだけのジャーナリストなんか必要ない、と申し上げておきます。

 ロハスメディカルの記事は「緊急ヒヤリングは、大変に白熱して面白かった。しかし終了後の記者たちの顔を見ていると、金曜日の専門家会議について旧来型取材の常識に則って記事を書き、結果的に"誤報"とされて面白くなかったらしい」と皮肉っています。


グーグル検索数からインフル流行予測が稼働

 グーグルが提供してきた斬新なサービスに「インフル トレンド 」が加わりました。「特定の検索キーワードでの検索数がインフルエンザの流行の指標となることを発見」していました。このデータを提供するサービスを昨年11月、米国から始め、10月初め世界20カ国に対象を広げました。日本も入ったわけです。

 下に引用したグラフは「2009〜2010」と「2008〜2009」を比べる設定です。10月4日の「中規模流行」が10月11日には「大規模流行」にはね上がっています。2番目のグラフは国立感染症研究所感染症情報センターの「新型インフルエンザA(H1N1)の流行状況−更新17」からの引用で、集計に時間がかかるので9月27日分までしか出ていません。




 「インフル トレンドの仕組み」には、過去6年間、米国での特定ワード検索数とインフルエンザ流行がきれいに相関した有り様が示されています。国内はどうでしょうか。2番目のグラフにある折れ線は、全国に5千ある定点観測医療機関のインフルエンザ様患者報告数の平均です。今年1月に流行のピークがあり、昨年末と3月に小さな「こぶ」が出来ています。上の「インフル トレンド グラフ」がかなり的確にこの動向を捉えていて、ちょっとびっくりです。

 逆にトレンド・グラフにある5月前後の山が定点観測グラフにありません。もちろん、この山は新型インフルエンザによるものです。「新型インフル5千人。お寒い都の監視体制 [BM時評]」など一連の新型インフル記事で書いている通り、各地の保健所の多くは新型インフルエンザの確定診断、つまりウイルス遺伝子検査を医療機関が望んでも回避するよう動きました。神戸や大阪のように全国の保健所が動いていれば、実態は違って見えたはずです。

 特定キーワードを持つブログ記事数の推移を見て世論動向をつかむ試みを、夏の総選挙でしています。まとめた結果は「衆院選ブログ観測(4)4年前が政権交代の伏線 [BM時評] 」にあります。ブログを書く行為は全有権者からみて一部の人にすぎませんが、「民主党が単独で3分の2超」との予測報道で自民党側にやや揺れ戻された有権者の動向が反映されました。ブログに比べグーグル検索を利用する人の数は遙かに多いでしょう。患者発生という物理的な動きが、心配などの心理を通して検索数に表現されるとみていいと思います。グーグルは膨大な過去の検索記録を保存しています。「宝の山」からまだまだ色々な発掘がありそうです。


テクノラティ終了、ブログ界肥大化の果て

 14日、突然に「テクノラティジャパン サービス終了のお知らせ」がアナウンスされました。これだけブログが増えすぎれば収集も大変で商業的に成り立つまいと思うと同時に、昨年まではとても有用なサービスだっただけに残念です。第167回「ブログ記事数グラフで見る米大統領選」の「Obama」「McCain」グラフ対比はとても興味深いものでした。

 「米国テクノラティ社の事業方針の変更に伴い、日本語システムの開発及びサポートの継続が困難になったことにより、今回のテクノラティジャパンの全サービス停止の決定にいたりました」との説明です。本家だけは残るのかも知れませんが、ブログが増えすぎている現在、キーワードによる単純なブログ検索では有用な記事を探すことは困難です。おそらく米国でもお客さんが来なくなるのでサイト維持は難しいでしょう。

 3月に書いた「ブログ検索エンジンへの失望、日米同じか」で「ブログ・エントリーのリリース順に大きな検索リストを出すテクノラティやグーグル・ブログ検索が本当にゴミの山だと思ったのは、かなり前からのことです」と切り捨てた通りです。Googleはウェブ検索で定評があり、顧客を確保しているから成り立ちますが、テクノラティのようにブログ検索だけでは苦しい。

 「衆院選ブログ観測(4)4年前が政権交代の伏線 [BM時評] 」で提供した記事数グラフを手に入れようとすれば、地道にグーグル・ブログ検索から期間を限定して該当数字を拾ってくるしかなくなりました。結構な手間ですし、毎日定時に検索する作業は忙しいと忘れがちです。昨年まで、思いつきでテクノラティに頼れたお手軽さが懐かしい。グーグルは設備増強をして徹底的に収集しますから、ブログ界肥大化について行くとは思いますが、本当に限界は無いのでしょうか。


アフリカ寒村の少年が短期独力で風力発電

 ネット上でいい話として評判になっているCNNの「マラウイの少年、独学で風力発電に成功 7年かけ」を調べてみました。見出しの取り方がやや不適切で、14歳の少年が思い立って3カ月で風力発電を実用にしてしまったというのが話の核です。それから7年、サクセスストーリーに続きがあって、9月末に自叙伝が英語で出版、ヒットしてCNNの記事に繋がったようです。

 人口1500万人、東アフリカの国マラウイ。首都から車で2時間半、北東に行った寒村でウィリアム・カムクワンバ君は1987年に生まれています。「William Kamkwamba」によると、農家7人兄弟の2番目。小学校は卒業できたのだけれど、2001年の大干ばつで年間80ドルの中学校授業料が払えなくなり中退します。小学校にあった図書館に通い「エネルギー」の教科書を見つけ、表紙にあった風力発電に魅せられて、自宅照明用に造る決心をしました。夜の灯りには灯油を使っていて、光はゆらゆらするし、臭いもあり、高価だったのです。

 2007年に書かれたブログ「A new wind blowing in Africa」に高さ12メートルの風車台にカムクワンバ君が立つ写真があります。発電機が無かったので廃品自転車の灯火用を使い、回転力の伝達も自転車部品ですから、とんでもなく素人っぽい奇妙な風車発電です。高さ5メートルの第1号機では、風車のブレードはポリ塩化ビニル・パイプを加熱加工したそうです。それでも12ボルトの蓄電池に充電が出来て、4つの電球と、2個のラジオ、携帯電話の電源になったのです。

 CNN記事に「風車を作るんだと話すと、だれもがぼくを笑った。あいつは頭がおかしいといううわさが、村中に広がった」という中で3カ月、電球が光ったとき「これでもう頭がおかしいなんて言われないと思い、ほっとした」とあります。ユーチューブにある「Moving Windmills: The William Kamkwamba story」では「教科書の風車も誰かが造ったのだから自分にも出来ると思った」と語っています。5基造った風力発電は、地下深くにあるきれいな井戸水の汲み上げなどに使われています。

 評判が広まり、各地から見学者が急増、政府から認められて大学にも行けたカムクワンバ君のサイトは「William Kamkwamba, author, "The Boy Who Harnessed the Wind," and Malawi Windmill Maker」です。発電機の構造図も載っていて、お金が無い中での苦労がしのばれます。戦後の日本を見る感じもあります。

 現在は米国でのテレビ番組出演や著書のサイン会など忙しそうです。自叙伝のタイトルは「風をつかんだ少年」とでも訳すのでしょう。アフリカからこうした成功物語を聞くことは少なかったと思います。アジアに比べ発展の足取りが遅いアフリカから、これに刺激され、続く若者が多く出れば世界はかなり変わるはずです。「マラウイの少年、独学で風力発電に成功」(風に聞け)は「核廃絶のオバマ大統領の政治的発言力は大きいもののその実行力はわからない」「むしろ,この少年のほうがある意味ノーベル賞ものと言えなくもないような気がする」とコメントしています。


高速増殖炉もんじゅの危うさ、早速また誤警報

 第187回「信頼性無し、もんじゅ運転再開は愚の骨頂」で危惧を指摘した高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市)でまたナトリウム漏れ誤警報です。不調だった検出器は全部を交換したばかりで、今度は全く違うタイプのトラブルです。

 メディア報道では毎日新聞の「もんじゅ:ナトリウム漏れ誤警報、装置点検で電源切り 想定外、液面計が停止 /福井」が最も詳しく「警報を発したのは原子炉容器から漏れたナトリウムを受ける『ガードベッセル』に取り付けられた液面計。同日から別の1次系漏えい検出器の点検を始めており、作業でこの検出器の電源を切った際に、液面計の電源も切れて鳴った」と説明されています。

 「原子力機構は、液面計の電源が切れることは予測しておらず」という点が重要です。別の検出器と液面計の電源が共通になっていることを、事前に、配線図から読みとれなかったミスが最もありそうです。二番目が液面計の電源が切れて感知不能になっても警報が出る仕組みを知らなかった可能性です。そして最後が、配線図と現場の配線が違っていた、あって欲しくないケースです。

 建設した旧動燃の技術者は歳月の経過でどんどん退職してしまい、本当の中身を知らない人たちが運転することになっています。今や開けてみることが出来ない密閉部分だらけの装置です。今回は小さなミスに見えても、上記のどれが原因であったにせよ、現在の技術水準には大きな疑問符が付きます。大きなトラブルが起きたとして、それを収拾する修羅場を任せられるとは思えません。下手をすると事故を大きくしてしまう可能性を感じます。


ウィニー開発者逆転無罪、児童ポルノとも関係

 ファイル共有ソフト「Winny(ウィニー)」開発が著作権法違反ほう助になるとされた事件で、大阪高裁は一審の有罪判決を破棄、元東京大大学院助手の金子勇被告に無罪を言い渡しました。京都地裁判決は不当との批判が多かったネット上では、歓迎するブログ記事が圧倒的です。しかし、運営している「Japan Blogs Net」でウオッチしているブログから拾うと、なかなか厄介な問題をはらんでいます。

 ソフトの使い手ではなく、ソフト開発者を罰する捜査や判決は、国内のソフトウエア技術開発を阻むものでした。「『有罪なら萎縮』訴え実る…ウィニー開発逆転無罪」(読売新聞)に「金子被告は1審公判中の2004年12月、東京大を退職。ウィニーの技術を応用したコンテンツ配信事業を行うIT会社で技術顧問を務める。今ではウィニーを開発したときのように趣味で無料ソフトを作ることもないといい、判決前には『面白い発想が浮かぶこともあるが、捜査で萎縮し、動けない』と話していた」とあるように、天才的と言われた金子氏に空白の期間を強いる結果になっています。

 「Winny事件第2審判決について」(benli)は「ベータマックス事件米連邦最高裁判決以来の『実質的な非侵害用途があるか否か』という基準に、『違法な利用を誘引していたか否か』という基準を加えて判断しています」と見立てています。ソニー・ベータマックス事件とはビデオテープレコーダーの販売がテレビ録画を促し、映画の複製権を侵害すると訴えられたのに対して、技術は中立で侵害の可能性を認識しただけでは問題にならないとの判例です。今回の判決が、こうした筋を通しているのなら妥当でしょう。

 ところで実態として、ファイル交換ソフトでの違法なやり取りは収まっていません。特に日本で盛んな理由について、「Winny事件を振り返る」(高木浩光@自宅の日記)に興味深い指摘があります。「もうひとつの理由があると気づいた。それは、欧米諸国では、P2Pファイル共有が登場するより早い段階で、児童ポルノが強く規制されていたこと、その結果ではないかという点である」「欧米諸国では、児童ポルノの単純所持が重罪化されているので、無差別にファイルのダウンロードをして、不用意に児童ポルノを入手してしまったら、児童ポルノ罪で摘発されかねない」という事情です。

 児童ポルノの単純所持禁止は今、議論の真っ最中です。確かに禁止となればウィニーや他の交換ソフトも怖くて使えないものになります。日本の特殊性がこういうところにも影響しているとは思いませんでした。

 【参照記事】「警察・司法の功利主義が歪ませる社会(Winny判決考) [ブログ時評71]」


信頼性無し、もんじゅ運転再開は愚の骨頂

 液体ナトリウム漏れ事故を起こし、13年も停止している高速増殖炉「もんじゅ」の運転再開を目指す動きが急です。総選挙のさなかに年度内に再開の方針が伝えられ、9月半ばに「もんじゅ運転再開審議でPT設置 原子力安全委」(福井新聞)が報じられました。超長期に止めていた原発を動かす不安が大きい上に、建設した旧動燃の技術水準が信頼できぬ証拠は積み上がるばかり。運転再開は愚の骨頂です。

 安全委のプロジェクトチームは六ケ所核燃再処理工場に次ぐ異例の設置で「10月中旬か下旬に、保安院が確認すべき『視点』を提示する。その上で、11月以降にもんじゅで現地調査も行い、原子力機構の報告や保安院の評価が視点に沿ったものかどうかを確認する」といい、自ら乗り出して行かざるを得なくなっています。

 これほど心配されるのには理由があります。9月8日開催の「政策評価・独立行政法人評価委員会 独立行政法人評価分科会」で「今度のもんじゅの再開というのは、次に問題を起こすと日本から高速増殖炉が消えてしまうという危険性も含んでいる。そういう意味でも万全を尽くしていただきたい。文部科学省から機構に対してどのような指示を出し、どこが改善されて見直し当初案として出てきたのか」「もんじゅについては、13年間も止まっていたものが急に動き出すと不具合が起きても不思議ではない。文部科学省としても自信を持って再開できるという宣言を出していくような意気込みでやっていただきたい」と強い危機意識が噴出しました。

 運転再開は何度も延期になり、一番新しいトラブルは「もんじゅ:漏えい検出器の交換すべて終了−−敦賀 /福井」(毎日新聞)が取り上げているナトリウム漏えい検出器の誤警報作動です。不具合は4割を超す148本にも上り、1年半かけて全部を改良型に交換しました。検出器は電極の先に10ミリの隙間が必要なのに、電極を無理に押し込んで隙間を無くしていたのが原因でした。施工時にこれほど多数のミスがあるのは異常です。いや、ミスではなく、取り付け作業をした側が検出器の技術と構造を理解していなかったと考えるべきでしょう。

 高速増殖炉という先端技術を担っているはずの機関(現在は日本原子力研究開発機構)に、そんな愚かしいことがあり得るのでしょうか。2003年に書いた第130回「もんじゅ判決は安全審査を弾劾した」で、旧動燃内部にいる「読者」から、機構が自ら設計をしないで外部に丸投げする体質が告発されたと伝えました。読者と幹部職員とのやり取りは秀逸なので以下に再録します。

 「ちゃんと設計した上で、発注すべきだ!」
 「そんな設計できない。」
 「ならば,外部に出して設計し詳細設計を機構の所有として、あらためて発注できるでしょ!」
 「機構の設計としてもし何か有った場合、責任が持てないからダメだ!!」

 ナトリウム漏れを起こした段付きさや管でも、事故があってから「そんな風に使うと説明は無かった」と下請け側が言い出していました。驚くべきことに、丸投げすると言っても周到な設計条件を示さずに発注しているのです。プラモデルを作るように、部品を発注して組み合わせれば何とかなると、旧動燃は考えていたようです。冷却系に高温の液体ナトリウムを使う、日常的にはありえない厳しい条件下ですから、全体を理解した上で細部の設計・施工にも目を光らせる技術者が必要です。上記のやり取りを見れば、そんな能力がある技術者が存在するはずがないでしょう。

 もんじゅは「トラブルの伏魔殿」と称してよいと思います。次にどんな破綻があるのか、想像できません。こんな怖い巨大装置をよく動かす気になるものです。ダム問題と同様に、これまで大きな資金を投下したから続けているだけです。大幅な完工延期が決まった第180回「敗因は何と工学知らず:六ヶ所再処理工場」といい、国策原子力開発は悲惨な様相です。


ブラウン管TV国内終息、世界規模で変化加速

 9月30日にパナソニックが「ブラウン管製造事業の終息について」というプレスリリースをひっそりと出しました。「1954年以来、55年にわたり継続してきたブラウン管の製造事業を終息します。全世界でPDPや液晶などの薄型テレビへの需要シフト、ブラウン管需要の急減を受け、中国側合弁パートナー」に、何と譲渡価格100ドルで事業を譲り渡すそうです。同社が国内最後でした。この数年、言われていた予測より変化は加速していて、今年、世界で売れるテレビのうちブラウン管は3分の1にまで減る見込みです。

 ネット上で調べてみると、国内でブラウン管テレビが逆転されたのは、ほんの少し前、2006年3月だったのです。「大画面薄型テレビが出荷好調、液晶がついにブラウン管を逆転」が詳しい。今年の世界状況は「世界の液晶TV需要1.3億台 米調査会社が上方修正 」(U.S. FrontLine)に「ブラウン管テレビなどすべての方式のテレビを合わせた09年の全世界の販売予測は1億9500万台で、前年比5%減少すると見込んだ。ブラウン管テレビの販売減少が予想以上に進む一方で、薄型テレビの売り上げの伸びが追いつかない」とあります。世界で液晶がブラウン管を抜いたのは、つい昨年のことでした。

 科学部にいたころAV技術に首を突っ込み、三菱電機・京都が37型テレビを開発して旋風を巻き起こした話を取材したことがあります。あれだけ大きなブラウン管になると、内部を真空にしているために何トンもの力がガラス面に掛かります。必然的にガラスは冗談ではないほど厚くなります。製品の重さは大変なものになりましたが、開発された皆さんは喜々としていらっしゃいました。現在の薄型テレビ開発にも別の苦労があるのですが、牧歌的で良かったと思い出します。

 純粋に画質から言えばブラウン管の方が優れています。色の正確な再現性もそうですし、動きが速い画像で液晶には残像が出るうらみがあります。サッカーなどスポーツ番組が好きな方、あるいは激しい動きのゲームをする方にはブラウン管に未練が残ります。「ブラウン管テレビ、どんどん縮小。」(フォルツァ! トロ・ロッソ!!)が「いずれ、こいつが壊れてしまうまでに、液晶やプラズマ(もしくは新方式?)の画質の改善がされれば良いですけどね」と案じる気持ちは良く分かります。先頭を切る国内の技術陣が、この注文に数年でこたえられるかどうかです。


9月29日は民主党とネットの接触記念日に

 9月29日、岡田外相がリードして、大手メディアが作る記者クラブに限定されていた大臣レベルの記者会見を広く開放しました。対象がネットメディアやフリーランスの記者にまで広がったのは、本当に画期的な出来事でした。他省庁にも拡大していくはずで、既得権の上に胡座をかいてきたマスメディア、特に在京メディアには衝撃的でした。たまたまこの日、鳩山首相が、ある有名ブロガーと夕食を共にし、Twitterを初体験するハプニングもありました。オバマ大統領の得意技を知らないで済むはずがないでしょう。民主党とネットが接触した記念日として記憶されるかも知れません。

 外相会見は「外務大臣会見記録(要旨)(平成21年9月)」にテキスト版と動画版が用意されています。テキスト版はテーマ毎に切り張りされているので、全体の雰囲気を知るには動画(45分)をお勧めします。30分で広報責任者が会見を打ち切ろうとしたのですが、外相が「もう少しやりましょう」と引っ張るところなど、新政権下で確かに変わったと思わせます。

 出席したフリーランスの記者側がどう見たのか、「田中龍作ジャーナル」は「『記者クラブ談合』の一角は崩れた」「記者会見開放の効果、フリー記者がスクープ」などの連作エントリーで追っています。後者は次のように伝えます。「『民主党スタッフと岡田幹事長(当時)の政策秘書が総選挙前に米国政府の働きかけで渡米し意見交換していた…(中略)』とする記事を朝日、毎日が30日付で伝えた」「この記事は29日の記者会見に出席していたフリージャーナリストの宮崎信行氏のスクープである」「朝日と毎日は記者会見で宮崎氏の質問と岡田大臣の答弁を聞き記事にしたに過ぎない。朝日と毎日は『後追い』したのである」

 記者会見の開放について大手メディアは正面から取り上げるのを避けていましたが、30日付の朝日新聞は「大臣会見、民主『開放』」と大きく報じました。この中で総務相や環境相らが会見で開放を口にしたことも伝えています。ただし、中見出しに「恣意的運用に危惧」とあったりして歯切れはかなり悪いと思います。外務省記者クラブは外相から投げられた問題提起に答えを出せず、見切り発車の形で会見開放はスタートしました。

 私個人は全国紙記者ながら、記者クラブの枠にこだわって取材する時代はとっくに終わったと思っています。クラブなどに拘束されずに取材活動全体をオープン化すべきなのです。中央官庁の役人の情報を有り難がっているから、在京メディアには起きている事実が見えないと判断しています(参考に10年前ながら時評「この国のメディアが持つ構造死角」)。なお、米国では2005年にホワイトハウスがブロガーに記者証を発行しています。「ホワイトハウスで初めて記者証を得たブロガーの物語」をご覧下さい。

 「鳩山首相とご飯した」を書いたのは、ブログが始まるずっと前からグルメ・文化記事系のネット活動をしている「さとなお」さんです。鳩山首相がブログ読者であったことから、朝、突然に夕食を一緒にする話が舞い込んできたそうです。恵比寿の立ち飲みから古い居酒屋へ。「途中、首相にお断りをした上で、このご飯の様子を少しだけ Twitter で実況中継した」「実況中継することで首相に興味をもってもらうのが狙い」「このソーシャルメディアが持つ『フラットでオープンにつながる世界』に少しでも触れていただき、トップダウンなコミュニケーションとは違う流れを感じてもらいたかったからである」「書き込む姿を見てもらったり、ボクの実況へのみなさんの返信をパソコン画面で見てもらったり(熱心に読んでくれた)、いろいろしているうちにかなり興味はもっていただけた模様」

 このエントリーはかなりボリュームがあるのですが「はてなブックマーク」が600を軽く超える大反響を呼んでいます。好感を持たれた方がかなり多いと感じます。時事通信の「首相、酔って羽目外す=『宇宙人だから』」に、居酒屋2階窓から乗り出す首相の写真がありますが、その部屋ではこんなやり取りがあったのですね。マスメディアに出ない、いい話がネットで読めるのは楽しいことです。


2009年9月のエントリー一覧

9/30 自民の新執行部、危機感の無さは絶望的
9/27 第185回「音楽不況に追い打ち、ネット配信もダウン」
9/26 鳩山内閣発足、翌日のブログを保存(Japan Blogs Net)
9/22 報道されぬ自民総裁選、ブログの注目まだあり
9/20 グーグル著作権訴訟、包囲網が急速に形成
9/17 民主党の記者会見開放放棄にネットはホット
9/14 第184回「イチロー200×9達成、大リーグが驚く」
9/13 2700億円の最先端研究費は国費乱用の典型
9/11 医師の61%が民主へ投票、日医の正統性なくなる
9/09 石破茂農相のブログ釈明はある意味で画期的
9/06 自民再建、中身検討より首相指名選で躓く
9/03 政権交代、ブログの反応を保存(Japan Blogs Net)