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自民の新執行部、危機感の無さは絶望的

 谷垣新総裁が新執行部を固めました。「自民、苦悩の末の“地味地味執行部” 町村派に内紛の火種?」(産経ニュース)がかなり説明になっていると思います。幹事長に大島理森・前国対委員長を起用した時点で終わりでした。政調会長にした石破茂氏を幹事長に据えるのなら、まだ戦う姿勢が見えますが、派閥領袖ら多方面と仲がよい調整型の大島氏では「保守党の再定義」など考えもしないでしょう。

 「結局、谷垣氏が大島氏を幹事長に決めたのは、川崎二郎元厚労相の処遇だった。川崎氏はかねて国対委員長への就任を熱望しており、20年来の側近を冷遇するわけにはいかなかったのだ。川崎、園田両氏の旧谷垣派を執行部に起用すれば『側近政治』と批判されると考えたようだ」というタネ明かしが出来て、これが「新生・自民党の根幹」とはとても思えません。谷垣氏の政治家としてのレベルが透けて見えます。

 時事通信の「大島氏、公明に補選の支援要請へ=自民新三役が就任会見」には、参院10月補選で「早急に(公明党側と)話し合いをして、協力を願えるよう努力したい」とあります。まだ同じ自公協力で選挙が出来ると考えているとは唖然とします。公明党側には何のメリットも無いではありませんか。いや、民主党との距離感を模索している公明の新執行部には、国政選挙で自民と組むだけで手足を縛られ、フリーハンドを制限されるのですから、迷惑なだけです。

 ブログの意見をひとつ。「自民党総裁選挙」(おっさんサラリーマン日記)は期待した河野太郎氏が小泉さんのように山を動かせなかった事について「河野太郎には田中真紀子がいなかったこと。小泉さんが大劣勢を跳ね返し圧倒的な党員票での支持を得て総裁になった。これはいい悪いは別として田中真紀子の存在は無視できない。そいういゆ応援団的存在が山本一太じゃ喧嘩にならない」「これでもう自民党の再生は難しいんじゃないかな」と厳しい評価です。


第185回「音楽不況に追い打ち、ネット配信もダウン」

 「オリコンシングルチャート、20位が史上初の3000枚割れ…59位からは売上1000枚に満たず」(The Natsu Style)がネット上で話題になっています。ミリオンセラーが当たり前だった1990年代に比べて、あまりに寂しいCD売り上げ減への感慨ですが、気になって調べるとCDに取って代わるはずの有料ネット配信も今年になって落ち始めていました。CDの売れ行き不振は加速していますし、世界不況が個人の懐具合まで締め付けて、音楽不況に追い打ちを掛けているとみるべきでしょう。


 上のグラフは日本レコード協会の「過去10年間の生産実績・オーディオレコード総生産金額」からの引用です。これは音楽ビデオまで含む音楽ソフト全体を表しています。1999年の5695億円から2008年の2961億円まで本当に転げ落ちています。「音楽ソフト種類別生産金額の推移」も参照すると、ピークだったのは1998年の6074億円ですから、2008年は半分以下になっているのです。

 転落の勢いは今年になってさらに加速しています。2009年1〜8月の音楽ソフト生産は前年同期比で84%しかありません。2008年は2007年比で89%でしたから、一段と縮小が進んでいます。音楽ソフトをCDなどかさばる物で持つのは古い、ダウンロードしてパソコンや携帯用の機器に入れるのが最近のスタイルです。その有料音楽配信の動きを「有料音楽配信売上実績」から以下にまとめました。

  《有料音楽配信売上実績(四半期毎)》  
    (単位)数量:千回,金額:百万円
           数量 前年同期比 金額 前年同期比 
 2008/1-3   120,827 106%   22,463 128%
 2008/4-6   118,955 107%   22,502 128%
 2008/7-9   118,112  97%   22,225 111%
 2008/10-12 121,294 103%   23,360 116%
 2009/1-3   118,281  98%   22,465 100%
 2009/4-6   115,448  97%   22,149  98%

 音楽ソフトの生産額に比べ桁がひとつ下、年間900億円程度にもかかわらず、今年に入って頭打ちしてしまいました。数量ベースで減少が現れたのが2008年7〜9月期であることを見ても、リーマン・ショックから続く世界不況の影を読みとれます。夏のボーナスが大幅に減っていることを考えても、年内に上向くことはないでしょう。

 【過去の参照記事】
2002年……第127回「音楽産業は自滅の道を転がる」
2005年……「アップル配信で音楽業界の目は醒めるか [ブログ時評31]」


鳩山内閣発足、翌日のブログを保存(Japan Blogs Net)

 歴史的な政権交代が鳩山内閣の発足として形になりました。「Japan Blogs Net」で翌17日夜の状態を、5分野から収集、保存しています。

 政治・経済
 社会・医療
 科学・IT
 【リベラル・左】
 【保守・右】

 新閣僚の人選、就任しての発言など色々と言及があります。この夜のトピックは「民主党の記者会見開放放棄にネットはホット」で紹介している記者会見の本格開放が、新首相の最初の会見で実現しなかった点でしょう。新政策を予算の裏付けをつけて打ち出すのは無理でも、海外に例がない記者クラブ制度を抜本的に変えることに注目していたブロガーは多かったのです。26日現在で言うと、岡田外相がオープンにすると宣言した外務省はフリーのジャーナリストにも記者会見への登録を受け付けました。「開放された外務省会見と2つの密約とオバマの核廃絶」などをご覧ください。


報道されぬ自民総裁選、ブログの注目まだあり

 野党に転落しての自民総裁選が18日から始まりました。総裁選が実質的に首相を選んでいた与党時代と懸け離れて、マスメディアの報道は立候補届け出までで、ぱったりと止まった感じがあります。政権交代がなり、安定した巨大与党の前の野党党首選びなどどうでもよいという理屈は分かりますが、健全な二大政党制を維持するには自民党の再建が欠かせないはずです。あるいは、自民に代わる強力な野党です。新聞はまだしもテレビの冷たさは極端です。

 首相指名選挙や鳩山内閣組閣を含む過去1週間でみて、注目キーワードを含むブログ記事数をグーグル・ブログ検索で調べました。「民主党」63,995件に対し「自民党」21,934件と3倍の差が生じています。「衆院選ブログ観測(4)4年前が政権交代の伏線 [BM時評]」で伝えているように、衆院選の期間に1.3倍程度だった「民主/自民」比率が2倍に上昇し、政権交代の結果、3倍にもなってしまいました。一方、「総裁選」は7,379件で、これを意外に大きな数字です。この華々しい1週間で「鳩山首相」のブログ記事が9,126件であることを考えると、ブログ界の総裁選への関心はなおあると思います。

 「Japan Blogs Net」をウオッチされている方は、立候補している河野太郎氏が「衆議院議員 河野太郎発行メルマガ「ごまめの歯ぎしり」ブログ版」で全国遊説の模様を連日、書いていることはご存じでしょう。それ以上に凄いのが、遊説に同行して、1日にブログエントリーを10本もあげている参院議員《山本一太の「気分はいつも直滑降」》です。山本ブログは以前にも「自民政権最後の内紛は当事者ブログ生中継 [BM時評]」でも同時中継ぶりに注目しました。今回は河野陣営「専属ブロガー」と称して盛り上げに懸命です。野党の悲哀はあちこちに現れます。

 ついでに「Japan Blogs Net」でウオッチしているブログ記事で、最近、おやっと思ったのが、今回総選挙で落選してしまった「弁護士早川忠孝の一念発起・日々新たなり」「小泉さんに物申す」です。「私は、当時の小泉・竹中路線が間違っていたとは、今でも思っていない」「しかし、小泉氏が中途半端で政権を投げ出してしまったことに、怒りを覚え始めた」というのが結論です。2005総選挙では「若い政治家の心を揺さぶり、行動に突き動かす力が小泉氏の言葉にはあった」「その小泉氏が、実は私たちを裏切ってしまった」――持って行き場がない怒りが切実です。


グーグル著作権訴訟、包囲網が急速に形成

 Google Books訴訟の和解案について、米国の司法省と著作権局が相次いで反対を表明しました。マイクロソフトやヤフー、アマゾンなどが8月末につくった「オープンブック同盟」もグーグルの独占を警戒して、書籍デジタル化は開かれた環境の下で進めるべきだと主張しています。対グーグル包囲網が急速に出来上がり、世界のほとんどの国の著作権者が参加するか、態度を決めるように求められた「和解案」が元のまま実施になる可能性は薄らいだようです。

 朝日新聞の《グーグル著作権訴訟、米司法省「和解案、退けるべきだ」》は「(1)書物へのアクセスを簡便にするのは、民事訴訟よりも立法措置がふさわしい(2)公正な市場の確保が重要(3)集団訴訟の手続きが守られるべきだ」と司法省の見解を伝えています。独禁法違反の捜査中であることも問題のようです。

 INTERNET WATCHの《「Google Books和解案は議会で扱う問題」米著作権局長が反対意見》は今回の和解案は非常に強力な権限を持ち「一種の“司法による強制許諾”とみなすことができると著作権局は主張する」「著作権法における強制許諾は、これまで議会が定める領分とされてきた。これはあまりに大きな影響を与えるため、慎重な考慮が払われてきたためだ。議会は一般に強制許諾には慎重であり、強制許諾が認められるのは市場原理が失敗した場合に限られる。その場合でも、すべての関係するステークホルダーとの間で公開の場で審議が行われ、それら関係者の要望が適切に満たされた場合に限られているとしている」と伝えています。

 一私企業が司法の場を利用して、世界中の書籍の著作権を有無を言わせずに使ってしまえるようにする今回の和解仕組み自体が異常なものでした。米国政府がこれは危険だと判断したのですから、グーグルが思うようにはならないでしょう。

 CNET Japanが8月に流した「Googleブック検索が文化にもたらす負の作用――前フランス国立図書館長が講演」も示唆に富んでいます。「今日までに1億3000〜5000万タイトルが出版・印刷されているなかで、これらの順位付けをどのように行い、取捨選択するか。また、米国の一私企業であるGoogleが主導することにより、アングロサクソン系の文化が優遇されてしまうのは自然な流れだ。これは単純な善悪の問題ではなく、文化の多様性のために避けなければならないことだった」

 【関連】「ブック検索著作権問題、Google期限まで半月 [BM時評]」


民主党の記者会見開放放棄にネットはホット

 民主党はこれまで党本部での記者会見はオープン化し、政権交代してからの政府の記者会見も従来の記者クラブ制にとらわれず、開放する方針でした。ところが、16日にあった首相官邸での鳩山新首相の会見は、従来の内閣記者会に加えて外国メディアや雑誌記者にまで開放されたのに、フリーランスやネットメディアの記者を閉め出したものになりました。ネット上では「公約破り」としてかなりホットな話題になっています。「Japan Blogs Net」でウオッチしている中から拾いましょう。

 閉め出された当事者の一人、ビデオジャーナリスト神保哲生氏の「どうやら問題はガバナンスにあるようです」は「周辺の政治家の話を聞いても、直接やりとりをした上杉さんの話を聞いても、鳩山さん自身はオープンだと言っているようです」「それがそのまま実行されないのが、今回の問題の本質のようです。私の中では今回の問題はディスクロージャーの問題というよりも、ガバナンスの問題になってきています」と民主党内の統治ぶりに疑問符を打っています。

 「民主党は旧メディアと心中するかもしれない」(5号館のつぶやき)は「マスコミでは、民主党政権になってから記者会見が外国特派員と雑誌記者にも開放されることになったと報じていますが、それは裏を返せば『記者クラブを廃止する』と言った、鳩山さんや小沢さんの顔を立てるための目くらましに過ぎないということも感じられます」「数年後には新聞もテレビも消えてしまうとすら言われている現状で、こんな後ろ向きな抵抗勢力に成り下がっているマスコミに未来がないことはますますはっきりしてきました」「民主党も、こんなマスコミと一緒にあっという間に崩壊しまうようなことにならないことを祈りますが、かなり不安を感じさせられた初日の出来事です」と手厳しく書いています。

 「POLAR BEAR BLOG」の《逢坂議員の「Twitter 炎上」の件》はその関連で、民主党の逢坂誠二衆院議員の発言「もう既に『公約破り』とか非難の声があるが、ちょっと気が早すぎるかも。政権スタート後、まだ2日目です」が多数から批判されていることを伝えています。「個人的にはこの一件、日本初の『Twitter 議員』が、日本初の『Twitter 議員炎上』にどう対応されるのかという目で見ています」とフォローしています。

 記者会見のオープン化問題はマスメディアは報道していません。実現すればジャーナリズムの有り様に大きな影響があると考えています。ネット上の批判がどのようになっていくのか、ゆっくりでも開放化に進むのか、注目です。

 【追補】岡田外相が18日、記者会見を原則としてすべてのメディアにオープン化しました。参照・・・時事通信「記者会見の方式見直す=岡田外相」


第184回「イチロー200×9達成、大リーグが驚く」

 大リーグの世界にもう誰も抜くことが出来ないであろう打撃記録「9年連続200安打」をイチローが14日に達成しました。大リーグのホームページは「Ichiro passes Keeler to set 200-hit history」をこの日、ずっとトップに掲げていました。最大級の賛辞です。マリナーズ「Ichiro Suzuki: Chasing History: 9 consecutive seasons with 200 hits | Mariners.com: News」の特設ページはしばらくはこのまま読めるのでしょう。色々なコメントも豊富に含む、充実した記事で構成されています。

 私のウェブで「インターネットで読み解く!」第102回「大リーグとの『垣根』は消滅した」をリリースしたのが2001年4月です。あの時、パワーよりスピードで勝負するイチロースタイルが、日本プロ野球と大リーグとの間にあった「壁」を消すと宣言したのに、今度はイチローが誰にも破れない「記録の壁」を大リーグに作ってしまいました。おそらく来年には10年連続200安打も達成してしまうでしょう。ピート・ローズの生涯200安打10回を超えることもほぼ確実に思えます。大リーグのページでも「次に記録を失う犠牲者はローズだろう」と書かれています。

 上記の大リーグのページには現役選手の生涯打率ランクがあります。イチローは第2位で「.333」。第1位はAlbert Pujolsで「.334」です。この選手はイチローと同じ2001年にデビューし新人王(ナショナルリーグ)を取っていますから、比較には好都合です。これだけの打率を残している好打者がこれまでの9シーズンで放った安打は「1695」なんですね。年間200安打に達したことはないだろうと思います。今、イチローは「2005」です。

 大記録達成で王貞治さんが「4000安打を」とコメントしていました。イチローの日本での安打は「1278」、大リーグで昨年までが「1805」、そして今年が「200」ですから、合計は「3283」。35歳のイチローが30代の内に4000本をパスできれば、ローズの持つ通算安打の大記録「4256」も楽に塗り替えることでしょう。まだまだ偉業は待っています。


2700億円の最先端研究費は国費乱用の典型

 大盤振る舞い補正予算のばらまき対象に、最先端の研究をしている30人に平均90億円を与える最先端研究開発支援プログラムの話を聞いたとき、科学技術の取材を長くしている者として「研究の現場を知らないにもほどがある」と思いました。次いで麻生首相が「自分が選定する」と意気込んでいると伝えられ、この時点で駄目さ加減が決定的になったものです。先日、政権交代が決まってから、どさくさ紛れに30人が発表されました。さんざん話題になったテーマと有名研究者のオンパレードです。内閣府の「中心研究者及び研究課題」の選定結果(PDF)がリストです。

 朝日新聞が11日の科学面「審査1カ月、駆け込み決着」で「選考では、最終の60件に絞り込む前に95件でヒアリングを実施」「ある研究者によると、ヒアリングは説明、質疑とも10分」「研究の内容に立ち入った質問も批判的な質問もなかった」と実態を明かしています。

 海外から応募した方からの批判をまず紹介しましょう。《「国民への還元につながらない」―最先端研究支援プログラムに、米ベイラー研究所の松本慎一氏》にこうあります。「日本も大型の研究費が配布されるようになったと期待していた分、選考の仕方があまりにも未熟なので寂しく思っていた。今回選ばれた医学系の研究はすべて基礎医学で、臨床につながらない分野のため、国民への還元につながっていかないと思う」「米国で同じ規模のプロジェクトがあったとすると、それぞれのプロジェクトに2日をかけて審議する。プレゼンテーションと質疑応答で1日、施設見学で1日の合計2日。アメリカ方式がよいと言っているわけではないが、今回の審査は成熟したものになっていないと考えているし、こんな短時間で本当に内容を見ることができたのかとも思う。米国の場合は各応募者に対して具体的な改善点が示されるので、例え選ばれなくても将来に大きく成長する可能性が高くなる」

 「生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ」の「研究費配分は国民の選択にゆだねることが可能だろうか」はプログラムの立て方自体に疑問を投げます。「生命科学のような分野では、給与と研究費込みで年間一千万円あれば、独創的な研究が可能と考える人達はたくさんいます。日本中にそこそこの研究施設を備えた大学や研究所がありますから、これくらいでも十分に研究が出来るはずです。そうすると、5年間で5千万円ですから、90億円あれば180人の研究者が5年間独自の研究を進められます。30倍すれば、5400人となります。つまり、同じ金額を使って、30人の特別エリートの5年間のプロジェクト研究を進めるのと、5400人の5年分の給与と研究費を与えるのと、どちらかを実行するのか。これを決めるのに官僚と政治家がおもいつきで決めればそれでいいのでしょうか」

 このプログラムにも選ばれている山中伸弥京大教授のiPS細胞は、日本で開拓した仕事なのに、既に世界的な研究前線から立ち後れ始めています。非常に広範囲な生命現象と関係する仕事であるほど、日本は必ず負けます。国内にオリジナルな研究フィールドを持つ研究者が非常に少ないからです。生命科学で欧米の研究者には流行を追わず、自分だけの実験系を持つことを誇る流れがあります。個々の実験系は小さな存在でも、画期的な仕事の成果を落としてやると新たな生命現象の意味が見えてきます。それが数千、数万とあれば、流行を追って、にわか仕立てで研究する国内勢を圧倒しないはずがありません。最先端を支えるには何にお金を掛けて誘導すべきか、考えねばなりません。これまでにも第145回「大学改革は最悪のスタートに」などで研究評価の在り方を論じています。

 民主党は批判の動きを見せています。《民主党の最先端研究開発支援プログラムの申し入れを評価―嘉山孝正国立大医学部長会議常置委員》には「このプログラムは自民党の単なるばら撒きだった。(申請内容が)箱物で、工業系や化学系などの中小企業にお金が行くようになっていて、経団連が喜ぶ内容」「医療系の研究は選ばれにくかった」との指摘があります。毎日新聞の「最先端研究開発支援:対象に山中教授ら 民主『凍結も』」によると「『金額が大きいだけに、もっと時間をかけるべきだ』との意見も出たが、事務局の内閣府は『選定に時間をかければ、研究をする期間が短くなる』と押し切った」そうです。税金の無駄遣いとして、話になりません。景気対策の名の下に進行していた乱用の実態です。


医師の61%が民主へ投票、日医の正統性なくなる

 日経メディカルオンラインが「医師の61%が小選挙区で民主党候補者に投票」で医師6543人から得たアンケート結果を伝えています。ネット上に会員登録している医師からの結果であるため、国内の医師全体をそのまま代表するとは言えませんが、自民党支持を変えようとしない日本医師会の業界代表としての正統性は大きく損なわれたと思います。政権交代に伴う医療制度改革の論議をする際に、医師の代表が誰なのか、誰の声を聞くのか、重大な問題が生まれました。

 「小選挙区では61.1%が、比例区では50.6%が民主党候補に投票していたことが分かった。一方、自民党へは小選挙区27.1%、比例区21.8%だった」「小選挙区・比例とも民主党に投票した医師は43.8%で、2005年の衆議院選挙から9.1ポイント上昇した。逆に自民党は18.4%にとどまり、前回選挙から21ポイント低下した」

 これから計算すると前回総選挙で「小選挙区=民主・比例区=民主」だった割合は34.7%なのに、「自民・自民」の割合は39.4%だったことになります。やや民主が強めの集団であるかも知れません。

 「民主・民主」とした医師が多かったのは新潟61.8%、岐阜60.3%、青森56.5%と続きます。県医師連盟が公然と民主党支持を打ち出した茨城は55.6%だったそうですから、見えないところで大きな投票シフトがあったようです。勤務形態別でみて、「民主・民主」は病院勤務医で45.2%、診療所経営の開業医でも43.4%を占め、勤務医と開業医で投票行動に差はありません。

 ただし、こうした民主シフトの理由は政策を評価したからではないようです。「投票の決め手のなった理由としては、『現在の政治に不満があったから』が58.0%と最も多く、『マニフェストを評価した』の24.7%を大きく引き離した。『現在の政治に不満があった』とした医師の6割は小選挙区、比例区ともに民主党に投票しており、医師においても『反自民票』が民主党に流れている」と、国民全体の指向と重なります。


石破茂農相のブログ釈明はある意味で画期的

 民主党への政権移行作業は、社民党・国民新党との連立工作が9日にようやく出来た状態で、かなりゆっくり目に進んでいます。首班指名は確実なのですから、もう実質的に組閣してしまい、一時を惜しんで各省庁からの情報の把握に進むべきだと思います。一方の自民党も8日の両院議員総会で、河野太郎衆院議員が総裁選立候補推薦人を半減の10人とする動議を出したのに反応無しでした。「両院議員総会」でご本人が「本当は推薦人など不要だと思っているが、とりあえず十人ということにしておいたのだが、驚いたことに動議に賛成した議員が十数人しかいなかった。ショック」と嘆いていらっしゃいます。解党的出直しの意欲が見られません。

 そんな中で《石破農相:WTO閣僚会合欠席 「職務放棄」民主議員が批判》といったマスメディア上での批判を浴びた石破茂農相が自身のブログで「WTO非公式閣僚会合に出席しなかったことについて」と丁寧に釈明したのは新たな動きでした。「ネット有志の公開質問状に民主党が回答した」と並んで、政治家や政党の新たなネット対応として記憶されるでしょう。

 石破氏へのメディアなどの批判は、大臣が出なかったために日本だけが閣僚会議から閉め出されたとするものでした。批判に対しては、民主党の方針をあげ「FTAとは、原則として関税を撤廃することであり、これを日米間で締結するという方針はこれまでの政府の通商政策の方針とは本質的に異なります。こうした考えを持つ政党が政権に就くことが確実な状況下で、私がWTO非公式閣僚会議に出席したとしても、今後の日本国政府の方針を責任を持って打ち出すことはできませんし、すること自体が一種の越権行為であると考えました」と述べています。詳しくはブログを見てください。

 この釈明ぶりに対するネット上の評判も悪くありません。自民党総裁候補と目される一人が、投げられた批判に対してブログを使って国民に広く説明責任を果たす姿勢そのものを好感しているようです。自民党の混迷を見ていると、舛添厚生労働相に総裁選立候補を断念させた派閥のドンたちのように未だに勘違いを続けている政治家が多数います。再建は無理かと思わせる中でわずかな好材料でしょう。


自民再建、中身検討より首相指名選で躓く

 大惨敗だった自民党が本格的な再建に動き出すのか、と思ったら新総裁を選ぶ前に首相指名選挙でつまずいてしまいました。現職ながら責任をとって辞任を表明した「麻生」と書けない思いの議員が多く、白紙投票が大勢かと見られ始めました。ところが、「自民党津島派、特別国会での首相指名選挙で麻生首相の名前を書かないことを決定」(FNN)は、津島会長が「次の首班指名にあたって、『麻生さん』という名前を書くことだけは、絶対に避けてもらいたい。それから、白紙で出さざるを得ないような状態も、避けていただきたい」と述べたと伝えました。

 47Newsの「石破氏、白紙投票に反対 首相指名選」は、有力候補の一人、石破茂農相も「『白紙で出すのは国会議員の職場放棄だ』と指摘。麻生太郎総裁(首相)に投票するべきかについては『民意にかなり反した投票行動だ』と難色を示し、麻生氏以外で意思統一すべきだとの考えを示した」としています。党執行部には手が着けにくい難問でしょう。

 ブログでも議論があります。「Japan Blogs Net」のリストから「雪斎の随想録」「敗戦責任における『礼儀』」は「自民党議員は、断固として首班指名選挙で『麻生太郎』と書け。これが自民党再起の第一歩である」「自民党が 『白紙投票』や『他の候補』で対応するなら、麻生太郎ひとりを『悪者』にして逃げるのと同じことである。幕末・会津藩もやらなかった『士魂』にもとる振る舞いである」と糾弾気味のトーンです。

 「玄倉川の岸辺」の「首相指名『白紙投票』論の馬鹿らしさ」も「8月30日の選挙であなたたち自民党の候補者は『麻生内閣の存続』を訴えて選挙戦を戦ったのではないのか。それを信じた多くの有権者が投票した」「当選した議員が『麻生と書きたくない』とゴネるのは投票してくれた有権者への裏切りではないか」「さらに言えば、自民党は保守政党をもって自らを任じているはずではないのか。保守的というのは、既成の秩序を尊重する、伝統的倫理を守るということだろう。『空気』やらその時の感情に流されて好き勝手を言うことではない」と手厳しい。

 久しぶりに保守派らしい意見を見た気がします。建前としては総選挙で戦った看板である「麻生」で指名選に臨むべきでしょう。ところが、人徳の薄さが災いして、「麻生」で行こうと言ってくれる同僚議員が出てこないのですね。

 参院議員《山本一太の「気分はいつも直滑降」》の「このままだと惨敗必至」は「(今の状況のままだとすると)自民党が『10ヶ月後の参院選挙』に勝利するのは『至難の業』(というより絶望的)だ」「『最悪のシナリオ』をどこまでどう修正していけるのか? そのために何をしたらいいのか? とにもかくにも、『覚醒した仲間たち』と行動を起こさないと」と憂います。

 歴史的な大敗の検証をする前にばらばらに分解しかねない自民党。二大政党論からすれば、衆院180議席くらいは保ちたかったのですが、一時は100議席割れが予測されたのに比べると、119議席は有権者の期待がまだあることを示しています。首相指名選を前にした混迷をさばいて、再生の道をつけるのは幹事長のはずですが、その志も腕っ節もお持ちでないようです。


政権交代、ブログの反応を保存(Japan Blogs Net)

 歴史的な2009総選挙の開票が終わった31日未明から、ブログ界では様々な意見がアピールされました。その代表として、「Japan Blogs Net」の記録を、9月1日夕の段階で5分野から収集し、保存しておきます。

 政治・経済
 社会・医療
 科学・IT
 【リベラル・左】
 【保守・右】

 民主党の勝利は開票前から確実視されていました。意外でもなければ、驚喜するような熱狂もない、不思議な感じがあります。圧勝した民主党にして政権移行作業の大変さ、それ以上にマニフェストに書いたことを実行する至難さが見えています。惨敗した自民党は、政権を狙う政党として存続できるのか、大いに危ぶまれる状況にあります。


2009年8月のエントリー一覧

8/31 衆院選ブログ観測(4)4年前が政権交代の伏線
8/29 六ヶ所再処理工場、完工せずの目処が立った!?
8/28 衆院選ブログ観測(3)300議席報道で揺れ戻し
8/25 不思議でない新型インフル流行に驚く厚労相
8/23 ベルリンフィルに耐えるPC用1万円オーディオ
8/22 投票勧誘でないブログの意見表明は全く自由に
8/21 衆院序盤情勢調査で民主300、自民100の衝撃
8/19 総選挙異聞:阿久根市長ブログと公選法/凄腕小沢
8/17 衆院選公示後、ネットでどこまで書けるか
8/16 衆院選ブログ観測(2)民主へ流れ、揺らがず
8/12 この程度の地震でと『東海』原発震災へ危惧深まる
8/10 ネット有志の公開質問状に民主党が回答した
8/08 衆院選ブログ観測(1)責任力失速、政権交代機運
8/06 国会図書館の蔵書デジタル化、あまりな時代錯誤
8/04 始まってしまった裁判員裁判、手厚い第1例でも…
8/01 第183回「自民マニフェストでは下野して反攻は無理」