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第178回「GM破綻、連邦破産法11条でも再生険しく」

 昨年から言われてきた、この間まで世界最大だった米自動車メーカーGMの破綻が確実になりました。明日6月1日、連邦破産法11条(日本の民事再生法相当)の適用を申請するしか、道は残されていません。しかし、再生後の姿は7割の株式を政府が握る「国営自動車メーカー」です。資本主義の総本山、米国にしてありえない、絶句してしまう姿です。しかもGM再生が容易でないことは誰の目にも明らかです。好業績が見込める部分だけを切り取って再生させるのが「常識」でしょうが、それを突き詰めて生まれる会社は日本の中堅メーカークラスになり、米政府が掲げる大不況下での雇用確保政策としては落第でしょう。

 米国現地からの報告として、JMMメルマガ・冷泉彰彦氏の「GM破産の先にあるもの」(ウェブへの掲載は数日後に)があります。

 「現在進行している動きの第一は、ものすごい価格破壊です。昨年の秋以降、各ディーラーでは1000ドル、2000ドル(十万円から二十万円)の値引きは当たり前といった光景が繰り広げられてきました。ですが、今回のクライスラーとGMによる販売網の大リストラによって、両社の車種を扱うことができなくなるディーラーは完全に在庫処分モードに入っています。中には、5000ドル(五十万円)の値引きであるとか、定価30000ドル(三百万弱)のSUVを月間リース料199ドルで提供といったものまで出ています」

 冷泉氏は混乱の中で韓国・現代自動車がシェアを伸ばす、意外な動きを紹介した上でこうも述べています。「これから先は自動車産業にとっては大きな岐路に差し掛かるのだと思います。クライスラーとGMの危機がとりあえずの解決を見て、信用収縮が収まり景気が上向けば、最悪期は脱することはできるでしょう。ですが、このまま無策のままでいると、自動車という20世紀後半に花開いた消費文化が『コモディティ化』してしまう危険があるように思います。かつて、日本経済の柱の一つであったオーディオ産業が、CDの登場によるデジタル化が付加価値の向上ではなく、逆に『廉価なシステムコンポ』に走って産業自体が自壊するという結果を招いたこと、更にはMP3プレーヤの登場によってハードウェアそのものがコンピュータや携帯電話に吸収されて行こうとしている、そんな『二段ステップの産業消滅劇』が思い出されます」

 取り敢えず、売れ筋の小型車に特化すれば良い――GMはその技術力すら疑われますが――のではないところに今の自動車産業の難しさがあります。「市民のための環境学ガイド」は「GMは何をやらないから破綻したのか」で、ある意味では極論に走っています。「GMが破綻することになった技術的な背景を一言で表現すると、ハイブリッド技術を日本の田舎から来たニッチな技術として、簡単にブッ飛ばせると思ったことである。ブッ飛ばす道具として燃料電池車を持ち上げたが、その技術はまだまだ未完成だったし、さらに言えば、水素という気体燃料は、タンクにいれて車に乗せようとしたら、性根が腐っていて、言うことを聞かない奴だということが分かった」「GMはエネルギー供給の動向を無視し、そして、ハイブリッド技術を無視したツケで、この世界から消え去るのだ」。ハイブリッド技術に全てを語らせるのは行き過ぎと思えますが、対抗する明日の技術を持てなかったのは間違いありません。

 ニューヨークタイムズがネット上の評論「Can New G.M. Pay for the Old G.M.? 」を取り上げています。再生計画についての大胆な評論ですが、既成メディアがここまで書くのは憚られるのでしょう。ハマーなどの大型車部門を切り離し、オペルなど欧州市場も分離した新生ミニGMが借金返済と再生投資資金として、少なくとも950億ドルを稼ぎ出さねばならないと観測します。5年で分割して毎年190億ドルです。これはトヨタ自動車が記録した最良の年の利益に相当します。ミニGMには高すぎるハードルです。

 電気自動車ならGMにもチャンスがあると論じる方もいらっしゃいますが、パワーが限られる電気自動車こそ小型車技術が大前提になっていますから却下するしかありません。破産法による短期的でもあり得ない再生計画だし、中長期的にも明日を託せる技術が無い――政府資金を大量に注ぎ込んで生き長らえさせる価値があったのか、オバマ大統領再選を左右しかねない大問題になりそうです。


新型インフル、国内侵入は遥か以前に

 毎日新聞の「新型インフルエンザ:4月末、既に国内発生?−−感染研」など各紙が「国立感染症研究所(感染研)は29日、関西で最初に新型インフルエンザの感染が確認された5月16日より2週間以上前の4月28日ごろ、神戸市、大阪府内で患者が発生していた可能性があるとの見方を示した」と伝えています。薬局でのタミフルなどの治療薬処方箋の数を調査して、B型の流行が終わった後、4月末に「神戸市中央区の薬局で治療薬の処方が例年を上回って急増し、流行レベルに達した。大阪府内でも5月1日に池田、枚方市、13日に池田市で同様の状態になった」といいます。

 これで、ひたすら検疫に奔走していた政府の愚かしさがはっきりしました。「蔓延を遅らせる効果があった。体制を整える時間的な余裕を稼げた」とはよくも言ったものです。成田の検疫で見つかる遥か以前に新型ウイルスは国内に潜入して、どんどん感染者を増やしていたのでした。

 「感染症診療の原則」の「参議院予算委員会 その2 戦略編」は国立感染症研究所の岡部信彦感染症情報センター長らの専門家が繰り返し、水際対策は効かないと指摘していた事実を列挙しています。「最後に残るブログ編集部の疑問は、その岡部先生をはじめとする専門家がアドバイスをしてもなお、この現状はなぜ?です。ここから先はジャーナリストの仕事ですね」

 まさしく在京メディアは検疫ごっこを追うことしかしなかったのでした。関西の蔓延を見ても東京に患者が出ないことを不思議に思えないセンスには、ほとほと愛想が尽きました。今回の感染研の発表は、京都や茨木で感染患者発見の前後に治療薬処方箋が同じ市内で多数出ていることも明らかにしています。「患者発見」は氷山の一角であり、周辺には遺伝子検査に回らなかった患者が多数いたのです。この蔓延状態が関西に止まるはずがありません。現在なお、遺伝子検査を制限して「患者を見つけたくない東京都」と「それをスキャンダルとして告発しない在京メディア」はいずれ真相が明らかになるに従って、社会的信用を失うでしょう。


宇宙からも『暗黒』な北朝鮮

 まだ真偽のほどは確かめられていませんが、北朝鮮が再び地下核爆発実験をしたと発表しました。人工衛星打ち上げを名目にした先のロケット発射ならともかく、友好国である中国ですら認めない核実験を、この時期にしてしまう意図が解せません。日本軍事情報センターの「北朝鮮が地下核実験に成功…朝鮮中央通信」は「今回は軍部が暴走した可能性がある。テポドン・ミサイル発射(労働党)、米国人記者2人の拘束(保衛部 ファミリー)、それに核実験(軍部)である」「確か中国の唐家旋氏は、06年10月の北朝鮮核実験で、2度目の核実験を行えば重大な制裁を行うと最後通牒したことがあった。それに対して金正日は『2度としません』と約束したという。そのことを6カ国協議の参加国に明かしている」と、内部分裂と、軍部暴走の可能性を指摘しています。

 はっきり言って、原始的な核爆発装置をミサイルに乗せるように小型化するのは容易ではありません。国内メディアの扱い方はオーバーで、愚かだと思います。敵の術中にはまるもいいところです。北朝鮮は衰えていく国力をはっきり知りながら、何とか世界から無視されないようにしたいと虚勢を張っているだけでしょう。その証拠をお見せしましょう。「VISIBLE EARTH」の「EARTH'S CITY LIGHTS」から東アジアを切り取ってお見せします。


 朝鮮半島に北側は無きがごとしですね。輝く日本列島はもちろん、台湾、中国沿岸部、極東ロシアの賑やかさに比べて、北朝鮮は死んでいます。人口密度は韓国が493人/平方km、北朝鮮193人/平方kmと、2倍の格差があるのですが、南北の明暗の差はとても説明できません。こんな国を真面目に相手にする必要はないと思えます。

 ※注:引用元のデータ画面の作成日は2009/05/27です。


新型インフル検査、厚労省の非科学と杜撰(ずさん)

 読売新聞の《新型インフル患者数、「新規発症は減少」と厚労省》をはじめマスメディアは、厚労省が「ピークは20日で、ここ数日は新規の発症者が減ってきた」とみていると伝えました。厚労省はまだ、新型インフルエンザの流行状況を自らの管理下に置いていると信じているようです。驚くべき非科学性です。政府が取ってきた流行阻止対策の前提は悉く崩れ去っています。新規発症者が減っているのは、するべき患者に遺伝子検査をしないからにすぎません。

 感染者は指定の汚染国からやって来て、水際の検疫作戦である程度は食い止められ、政府が気付かない内に国内に蔓延する事など無い――との前提に立ち、発熱者がいれば汚染国に行ったかを問い、行っていれば簡易検査でインフルエンザA型かB型か調べ、A型なら遺伝子検査をする――このフローを守るよう指示してきました。神戸、続いて大阪で高校生の患者が見つかったのは、学校での季節はずれの集団発生を不審に感じた医師が「海外渡航歴なし」でも遺伝子検査をするように求めた結果です。京都の小学生で見つかった例は最近、遠出さえしていないのですから、国内蔓延をさらに疑わせます。

 厚労省の「指示」が頑なに守られてきたことは、感染症情報センターの「新型インフルエンザA(H1N1)の流行状況−更新5」を見れば歴然とします。「11日10時現在で、感染症発生動向調査に関連して疑い症例調査支援システムに入力された情報では、新型インフルエンザ疑似症の報告は、全部で15例であった」。検疫以外で遺伝子検査まで進んだ例が、大型連休明け5月11日でも極めて少なかったのです。

 20日に米国から帰った女子高校生2人が、検疫で簡易検査「陰性」となりながら都内などの自宅で発病してしまいました。簡易検査の信頼性は「2009年5月19日現在の神戸市における新型インフルエンザの臨床像(暫定報告)」ですでに否定されていました。「43例全例の新型インフルエンザ検査確定例」で「迅速検査A型陽性の診断は23例(53.5%)」「陰性の診断は20例(46.5%)」と、遺伝子検査で確定した患者にしていた簡易検査の結果は陽性・陰性が半々なのですから、無用の長物です。

 神戸と東京の発熱相談センターに寄せられた電話相談件数の推移を並べてみましょう。人口比が8倍余りあることに留意しても、大型連休明けの状況は似通っています。神戸だけに発熱者が多かったのではありません。

 ●神戸市発熱相談センターに寄せられた電話相談件数
5月11日(月)   144件  累計1172
5月12日(火)   103件 
5月13日(水)    61件  累計1336
5月14日(木)   (不明)件 
5月15日(金)   (不明)件 (神戸市で新型インフルエンザ患者発生)
5月16日(土)   (不明)件 
5月17日(日) 1,875件  累計3557
5月18日(月) 2,089件 
5月19日(火) 3,640件 
5月20日(水) 2,836件 
5月21日(木) 2,820件 
5月22日(金) 2,179件 

 ●東京都発熱相談センターに寄せられた電話相談件数
5月11日(月)   593件  累計8697
5月12日(火) 1,143件 
5月13日(水)   816件 
5月14日(木)   601件 
5月15日(金)   480件 (神戸市で新型インフルエンザ患者発生)
5月16日(土)   450件 
5月17日(日)   889件 
5月18日(月) 1,425件 
5月19日(火) 4,563件 
5月20日(水) 4,895件 (東京で初の感染者。米国帰り高校生)
5月21日(木) 4,749件 
5月22日(金) 6,124件 (東京3人目。大阪観光から帰った直後)
5月23日(土) 5,654件

 神戸がやや落ち着いてきているのに対して、東京は23日の土曜日も殺到している感じです。では、この多数の相談者に適切な検査がされているのでしょうか。18日に至って、汚染国や汚染地域に行っていない場合にも検査対象を拡大をするとした「都内での感染者発生早期探知に向けての東京都の対応方針」は病院については「38度以上の発熱及び呼吸器症状のある入院患者又は医療従事者が3名以上発生し、迅速診断キッド判定がA(+)であった場合」、学校では「学級又はクラブ単位で38度以上の発熱及び呼吸器症状のある生徒、児童が3名以上発生し、迅速診断キッド判定がA(+)であった場合」に遺伝子検査をするというものです。これでは神戸や大阪で最初に見つかった、医師が現場の勘を働かせたケースは遺伝子検査に回りません。1人の医師の所に3人もの同級生が相次いで来る想定に無理があります。集団発生しても別々に医師にかかれば網にかかりません。そして、簡易検査(迅速診断キッド判定)は無意味どころか、このケースでは感染者の半数を見落とす結果につながります。

 公式に報告されているデータを集めただけでも、厚生労働省の新型インフルエンザ検査体制は破綻しています。患者発生状況を原理的に把握できないのです。これで「ここ数日は新規の発症者が減ってきた」とのコメントは失笑を買うだけです。奈良県は週初めに1100人もの異常を把握しながら「指示」に従って遺伝子検査に回したのは7人で、いずれも「陰性」だから問題なしと発表したようです。

 起きている現象を的確に観測できなくなっている恐れがあれば、観測システムを切り替えるのがサイエンスの常道です。全数検査までする力がなければ、発熱相談者に適切なサンプリングをして遺伝子検査を実施すべきです。そもそも人類未経験の新型インフルエンザ流行が、最初に描いたシナリオ通りに進むと考える方が傲慢不遜ですし、ここまで来て簡易検査を外そうともしない杜撰さには驚き入ります。


新型インフル、東京の感染ゼロに間もなく終止符

 新型インフルエンザは神戸・大阪では19日、感染症指定の病院だけでは受けきれないほど患者が増えて「蔓延期」の扱いが認められました。つまり一般の診療機関でも季節性のインフルエンザと同様に診療してくれ、という訳です。この措置と同時に、新型と疑いがある症例全てについて遺伝子検査(PCR)をするのも止めることになりました。ここに至ってももう一つの大都市圏、東京で患者がゼロなんですね。不思議を通り越して、都の衛生当局はさぼっているのではないか、あるいは大騒ぎが起きるのを見越して隠しているとか、色々な観測がありました。実は厚生労働省の指針に基づいて、東京都は海外渡航歴が無い発熱症例ではPCRはしないと頑なだっただけなのでした。

 「2ちゃんねる」掲示板内にある、医師と保健所のやり取りの記録を一部引用します。真偽は不明ですが、官僚的な雰囲気がよく出ています。

《18日昼間、東京都のある保健所とのやりとり

医「感染が拡大していますが、海外渡航歴や、神戸、大阪への旅行歴、感染者と思われる者との濃厚接触など無くとも、インフルエンザが強く疑われる症状の患者様がいた場合、発熱外来に紹介したいのですが・・・」

保「渡航歴や旅行、接触が無い患者さんは、普通に診察してください」

医「いやいや、そういうことではなくて。診察した上で、疑いが強かったら紹介したいといってるんですけど」

保「保健所の発熱相談センターは一般向けの回線ですので、そういった場合は結核予防課に電話してください」

医「いやいや、もう疑いが濃厚な人と診断したら、発熱外来に紹介してPCRなどをしていただきたいんですよ」

保「そういった場合でも、渡航歴などがない方はそのまま普通に治療してください」

医「だ〜か〜ら〜もう、神戸とかいってなくても感染してる人が来る可能性が高まってるでしょうに。発熱外来の連絡先を教えてください。それだけでいいですから」

保「そういった場合でも、まず医療機関様は保健所の結核予防課に連絡してください。そちらの方で発熱外来への誘導が必要か判断します」・・・》


 関西の状態から見て、人口がさらに多い関東も蔓延状態にあるのは確実です。それでも新型患者1人も把握できない東京の保健所。大阪の保健所も海外渡航歴なしでの集団発生例を見逃していたのですが、神戸で患者発生を見て、見直すだけの柔軟性はありました。東京都の役人には、それすら無いんですね。

 毎日新聞が今日になって「新型インフルエンザ:都が早期探知へ新方針 無渡航でも遺伝子検査 /東京」を出し「これまでとは異なり、新型インフルエンザの広がっている国への渡航歴がないケースを想定。同一病院の患者や職員、あるいは学校内の同一学級やクラブ内で、38度以上の発熱などがありA型インフルエンザに3人以上感染したと確認された場合、遺伝子検査を実施して新型かどうかを判明させる」と伝えました。

 これで東京の患者ゼロは終了です。いまさらではありますが、もっと恐ろしい感染症が襲来する未来に向けて行動パターンを修正する反省材料だけは得ておいて欲しいと思います。


新型インフル感染確認は氷山の一角の一角

 新型インフルエンザの国内二次感染者が確認と伝えられた途端、感染者数は一気に膨れあがってしまいました。兵庫も大阪も高校での集団感染です。神戸も大阪・茨木も11日からインフルエンザの欠席が目立ち始めたといいますが、兵庫の場合、8日にあったバレーボール部の交流試合が感染の場になっていますから、連休中には既に二次感染による発病が始まっていたのでしょう。国外から持ち込まれたのは、潜伏期を考えるとさらに数日前です。政府が検疫による水際作戦に夢中になっているとき、既に地域での感染は始まっていたのです。そして、表面化してみると、具合が悪い生徒の数は数十人、あるいは100人を超える勢いで、全員入院させて隔離するのが無理な規模に迫っています。

 最も名の知られた医師ブログのひとつ「新小児科医のつぶやき」は神戸で開業している方なので、この事態を「いきなり爆心地」と表現、いやはやという印象。感染確認当日のエントリー「足らんだろうな」「爆心地情報」「新型インフルエンザ第二段階の対策」と翌17日の「感染地情報」にはコメント欄を含めて、ここまで広がってからの現場の対処の難しさがよく出ています。神戸市医師会新型インフルエンザ対策緊急会議の討議で「もう既に感染はかなり広がっていると考えられるので、通常の季節性インフルエンザと同様の対処としてはどうかの意見も」との情報もあります。感染者が入院する病院の勤務医は「もう入院患者は神戸市内で40人をこえており、感染者が隔離入院される措置もあとわずかとおもいます。隔離する場所がありません、というか隔離しても無駄ということで」とコメントしています。

 「今の厳戒態勢のままにしておけば、新型インフルエンザに対する政治評価として傷は付きません。一方で厳戒態勢の継続は医療にも、国民生活にも大きな影響を及ぼします。医療的には発熱患者をすべて発熱外来で対応し続ける事への無理です。たとえば小児科患者の多数はそもそも発熱患者ですから、渡航歴の縛りがなくなれば、どっと押し寄せます。長期間対応できるかの問題は必ず出てきます」

 新型は鳥インフルエンザで想定したほどの強毒性ではなく、通常の季節性に比べ数倍程度の毒性と言います。それでも、それなりの死者は出ますが、国民生活ががたがたになる被害とどうバランスをとるか、考えるべき時期が早くもやってきています。

 共同通信の「新型インフル3分の1が発熱せず 米医師が報告、早期発見困難に」が「発熱はインフルエンザの感染を見分ける重要な指標とされる。報告が事実なら、感染の早期発見と拡大防止が、これまで考えられていた以上に困難になる可能性がありそうだ」と伝えたように、新型インフルエンザは厄介な性質を持つようです。これでは軽症で発熱無く治まってしまった患者は全く見えない存在です。厳戒態勢にどういう意味があるのか考えさせられます。

 「感染症診療の原則」の「推定10万人 (米国CDC試算)」は4700人と報告された米国の患者数が実際は10万人くらいと米疾病対策センター(CDC)がコメントしていると書いています。どういうことでしょう。「感染症サーベイランス」に、報告された症例以外に多数の未確認例が存在することを表す模式図があります。「受診したが未検査」が大阪の例で、保健所に集団発生を届け出たのに「海外渡航歴なし」だったために相手にされなかったケース。発熱のない軽症者は「症状はあるが未受診」に入るでしょうか。

 「"新型インフル患者発生"で、ハイリスク組は・・・ 」(一歩一歩!振り返れば、人生はらせん階段)が「症状は、通常の季節性インフルエンザと同程度ということなので、健常者はそんなに恐れることはないだろうが、慢性病を抱えている患者はそうはいかない」「"健常者は感染しても死に至るようなことはない。アチラで感染して死んだのは、喘息や自己免疫疾患などの患者です。"と報じられたハイリスク組には緊張が走る」と案じ、持病薬の備蓄など万一の時の心配をされています。

 免疫がない新型の罹患率の高さは高校での集団発生で明らかです。専門家の間では来るべき新型鳥インフルエンザへの格好の予行演習だったと、ちょっとほっとした見方が広まっているようですが、収束をどうするのかまでは道筋は見えていません。

 ※注=上記の医療系ブログの最新更新状況は「Japan Blogs Net《社会・医療》」でご覧になると便利です。


米政府は直ちにGMから資金引き揚げ、破産さすべき

 破綻の窮地にあるGMの副会長ら経営陣が、日経新聞「GM幹部7人、保有する自社株をすべて売却」によると「CEOを除く6人のGM幹部が合計20万4711株の自社株を1株当たり1.45-1.61ドル、総額32万3657ドルで売却していたことが明らかに」なり、市場は破綻を想定し、ただでさえ安かったGM株が急落、76年ぶりの安値をつけました。これまで経営陣の株売却は禁じられていましたが、巨額の赤字だった3月期決算発表から数日間はインサイダー取引としない期間が設けられて、この期間に売ってしまったと言います。違法ではないかも知れませんが、日本の常識からすればインサイダー取引というよりも、経営する会社への背信行為です。3000万円やそこらの金はこれまで得ていた巨額報酬からすれば雀の涙でしょうに……。

 「GM広報担当者のジュリー・ギブソン氏はこうした株式売却について、『これらの幹部は、われわれが知り得る、向こう数週間で起こることに先駆け、自社株を売却する決断を下した』とコメントした」。この広報担当者のコメントにも、とてつもない違和感があります。国内でこう言ったら、どんな批判の嵐が巻き起こるか、目に見えます。会社が滅亡すると広報担当者が公言するのを目の当たりにしているのです。

 他人事ながら米国政府はこれまでの2兆円もの緊急融資を即刻、引き揚げて、これまで考えられてきた「破綻=民事再生」ではなく、GMを「破産」させることをお勧めしたいと思います。こんな経営陣・広報担当者しか持たない企業が、世界的に需要が何割も縮小して冷え込んだ自動車産業の修羅場でどうして生き残れるでしょう。ドライだけれど有能と言われる米国ビジネス界の評価を一気に下げる「珍事」だと思います。


第177回「インターネット世界に地殻変動を感じる」

 インターネットの世界は一本調子に拡大してきたように思われがちですが、TechCrunchの「ウェブの成長は停滞しているのか、それとも小休止なのだろうか」のグラフを見ると、経済活動の一環であり、景気変動の波をしっかり反映していることが分かります。もうひとつ気になるグラフを「何故伸びるTwitter!!??」(FPN)で見ました。ふたつのグラフを並べて見ましょう。



 ウェブサイト数の成長は「2001年から2002年にかけては成長率がマイナスとなっており、2008年にも増加数が減っている。これはつまりウェブサイトの増減は、全体的な経済動向により左右されるということを示す」「2009年には4600万ものサイトが新たに登場したが、そのほとんどは中国のブログサイト」という状況だそうです。中国では自動車販売台数が既に上向いていて、経済的にはある程度の活況にあるようです。

 この記事には2008年から2009年にかけて、各国のインターネット人口がどう動いたかの一覧が付いています。非常に目立つのは中国の19%増加に対して、米国がわずか1%増なのです。

 では、米国は完全に停滞しているかと言えば、そうではありません。「今年になってTwitterの伸びが目立ちます。現在は1週間に約100万人づつ参加者が増えているようです」「現在米国のユニーク参加者数が約9百万人、その他のグローバル参加者が実数で1千9百万人に上っています」と、ウェブの停滞を横目に、一度に140字しか書けないミニミニつぶやきブログ「Twitter」に流れ込んでいるのです。これはウェブサイトの増加にはカウントされないでしょう。

 オバマ大統領が選挙戦でTwitterを使ったことは有名です。新型インフルエンザ流行で、米疾病対策センター(CDC)は「CDCemergencyはTwitterをつかっています!」とアピールしています。死者数や感染の広がりなどの情報を124000人が「フォロー」しています。

 Twitter創業者Biz Stoneのスピーチの記録が「Twitterは人間性の勝利であって、テクノロジーの勝利ではない」に。シンプルなサービスであっても、使われ方が問題です。

 《UCバークレーの学生がエジプトでのデモ抗議をカメラで撮影する活動をしていて、エジプトの警察に逮捕された。「タイホされた!」という彼のつぶやきに反応し、フォロワーが、学部長を呼び、学部長が弁護士を呼んだり、とサポート活動が自然に起こったおかげで、「逮捕された!」のつぶやきの2時間後には「自由の身だ」のつぶやきが!》

 FPNの記事は「インターネットの第二の波が『即時性=同期型コミュニュケーション』、『3D化』を求める方向に向かっている。それが歴史的な新旧メディアの転換点と重なっているのが大きいと思われます」「テレビや新聞に代わるリアルタイム社交とリアルタイム報道の新しい形を、米国を中心とする若者の新しいライフスタイルは求めています」と指摘しています。

 今年1月の「ハドソンの奇跡」で「航空事故の現場写真,Twitterで第一報が」世界に発信されました。ハドソン川の不時着現場近くにいて救助に向かったフェリーに乗り合わせた乗客が撮影した、主翼に乗客が立ち並ぶ写真です。潰れてしまったオーマイニュースには「地の利」「時の利」を感じることがほとんどありませんでしたが、1900万人の参加者が発信するものにニュースが含まれて当然です。「Twitter検索」でうまくすればキャッチできるようですから、マスメディア側も注目せざるを得ないでしょう。国内では米国ほどには活発になっていないようですが、「Twitterはじめて一年たったけど、(たぶん)人生変わった」と経験を語る人も出ています。


新型インフルエンザ対策は非常な的外れ


 大型連休での海外への旅行者の帰国ラッシュが始まっています。厚生労働省は水際での阻止、検疫一本にかける構えです。そしてA型が疑われれば診断がつく前に公表するのですが、これが非現実的であることをJMMメールマガジン「絶望の中の希望〜現場からの医療改革レポート」第30回「新型インフルエンザ対策を考える 〜検疫よりも国内体制の整備を!」で、東大医科学研准教授の上昌広さんが書いていらっしゃいます。今日配信のメルマガで、ウェブに反映されるには数日掛かるでしょうから、いくつか論点を引用しておきます。

 「新型インフルエンザの潜伏期間は長く見積もって約10日間ですが、空港利用者の大部分が短期間の旅行や出張から帰ってくる人でしょうから、ほとんどがこの期間中にあると予想できます。空港に着いた時に症状がなければ、どんなに検疫を強化しても発見できませんから、すり抜けて国内に入っていることになります」

 「厚労省は乗客の体温を検知するサーモグラフィーを大量に整備しました。しかしながら、サーモグラフィーでの有症者発見率は0.02%すなわち1000人に2人で、99.8%はすり抜けます」

 これが現実なのですね。世界の多くの国が検疫を重視していない理由が分かると思います。そして、上さんは「常識的に考えれば、日本にも新型インフルエンザは入ってくるでしょう。わが国の緊急の課題は、医療現場に新型インフルエンザの可能性がある人が大量に押し寄せても対応できる体制を整えることです。その場合、問題は病院の体制整備です」と、本来するべきは医療体制の整備だと指摘しています。

 読売新聞が「発熱患者の診察拒否続出…過剰反応?都に苦情92件」と伝える状況が既に起きています。自治体が設けた発熱相談センターから新型の疑いなしとされたケースですら診察拒否が発生しています。このまま体制整備に力を入れることなく本当に新型患者があちこちで現れたら、もっと酷い混乱が起きるでしょう。未確認例の公表で患者のプライバシーが無用に暴かれる恐れも強まっています。

 産経新聞が《【新型インフル】都の独自検査「疑い例」9件、「国への届け出基準に該当せず」》と報じているように、東京都は「混乱を招きかねない」などの理由で未確認段階での公表をしない方針であることが分かりました。

 ブログの声、例えば「新型インフルエンザが日本中に広がったら!」などは「東京が1番海外帰国者が日本で多いんじゃないですか!」「もし、新型インフルエンザが広まったら、それは東京都のせいですね!」と怒っています。

 しかし、実際には実効性があるとは思えない検疫に血道をあげて、末端の医療体制整備に目が向いていない厚労省にこそ問題があると思えます。

 再び、上さんの指摘です。「感染を広げないための基本は『隔離』です。感染したら死ぬ確率の高い他の患者を守るために、他の患者と接しないように、個室に入ってもらわなければなりません。ところが、外来に、他の患者と接しない個室や陰圧室を持っている病院は日本では非常に少ないのです」「発熱外来を設置するために、入口の外にテントを張った病院もありますが、2人目の患者が来たら、どこで待っていてもらえばいいのでしょうか。同じ部屋の中で、検査結果を待つ6〜8時間の間に、可能性のある人同士でうつしあってもよいというものではありません。今のままでは、病院に押し寄せた患者さんが待っていてもらう部屋はない病院が多く、外で待っていてもらうことになります」

 各地の病院で起きそうな、こうした事態を想定して手を打つべき時が来ています。マスメディアも検疫騒ぎを追うよりも、新型侵入必至と覚悟したうえで現場の体制が出来ているのかに目を向けるべきでしょう。

 5/16=遂に二次感染患者確認です。「新型インフル感染確認は氷山の一角の一角」をご覧下さい。


新型インフル、WHO初動遅れと国内の前のめり

 メキシコから発した新型インフルエンザの騒ぎは拡大・長期化が必至の情勢になってきました。ここに至って《新型インフル、WHOの初動遅れに批判も 「報告に対応せず」》(日経新聞)のような指摘が表面化してきました。メキシコの国立感染症センター長が「インフルエンザの発生を4月16日にWHOの地域組織に報告したが、WHOは対応しなかった」といい、新聞紙面にある情報では「チャン事務局長に情報が入ったのは、別の用件で米国を訪れた4月24日」だそうです。この24日から直ちに立ち上がったのは立派ですが、1週間以上、メキシコ情報は店晒しになっていたのでした。確かに何か打つ手はあったでしょう。

 この騒ぎを機に「Japan Blogs Net」に入れさせてもらっているブログ「感染症診療の原則」の「学内で感染が広がった高校での調査結果(ニューヨーク)」で教えてもらった高校の「ニューヨーク市の調査結果」を見ましょう。メキシコに行った生徒は6人、教師は1人なのに、全体の3分の1、700人を超える生徒・教師が風邪の症状を起こしていました。生徒の発症ピークは4月23日の254人です。上の数字は確定診断をしていないので正式な患者数とカウントされていない方が多いものの、米国の患者は大半がこの高校関係です。メキシコからの発生情報を生かして注意を呼びかけることは出来たかと思えます。そして、新型だけあって罹患率は確かに高いです。

 一方、国内の情報の出方は前のめりが過ぎると感じます。横浜の高校生、名古屋の会社員、横田基地の乳児と、患者発生国から来ていてインフルエンザの症状があるだけで診断も出来ていない段階で、厚生労働相まで出て発表するのは行き過ぎです。翌日にはいずれも在来インフルエンザと判定されました。これからゴールデンウィークの終わりには多数の観光客が帰ってきます。風邪の症状を訴える人がかなりいて不思議ではありません。それを一々発表して騒ぐのでしょうか。

 「怖いのは深夜の記者会見と報道」(感染症診療の原則)は厳しい。「フェーズ4以降訓練ではプレス発表訓練も入っていましたが、こういうのやっちゃだめですよ、というサンプルで示した記者会見そのものです」「まず、深夜に大臣が言うほどの内容か?」「それから、すごーーーーーく基本的なことですが、感染症で『シロ』『クロ』という表現はしないというのは常識。どういう印象を与えるか」「NHKはNHKで疑い患者が『確認』された、疑い患者がいることが『確認』された、などかなり混乱してしゃべっています。しかもずーっと繰り返し」「この時間にこのレベルの内容を伝えるのに10−15分遅れても世の中的には何もかわらないので原稿をちゃんとつくってから読んでほしいものです」

 もっとも、朝日新聞の2日付3面を読むとリスクマネージメントの専門家らしい人が「政府は情報を全部国民に流し、国民はあまり敏感になり過ぎずに受け止めるべきだ」と恐ろしいとコメントをしているようです。普通に生活している人に次々に流れる生情報を読み解いて考えろとおっしゃいますか。マスメディア関係者を含めて、この国の専門家は本当の修羅場で大丈夫なのかなと、心配になるこの数日でした。


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