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核燃再処理工場に安全思想の設計無し!!

 国内の『官製』原子力事業はいかに技術水準が低いか、「既視感ばりばり、もんじゅ低技術の恐怖 [BM時評]」などで指摘してきました。今度、明らかになった六ケ所再処理工場の高レベル放射性廃液漏れトラブルの原因は、さらに愕然とさせるものでした。最悪の放射性物質を扱う核燃再処理工場にフェールセーフ思想が欠如していたのです。この工場は起きうる事象の系統的な解析をしないで、非常に恣意的に、つまり超・楽観的に設計された「非常識施設」と申し上げてよいでしょう。

 東奥日報の「廃液漏れ 人的要因の可能性高い」を読んで目がくらむ思いがしました。漏れた廃液タンクへの圧縮空気の流入は、作業員が空気調節弁に誤って触れたために起きたとされました。床から70センチの高さにあり、軽く触れても弁は動く状態でした。「再発防止のため原燃は今後、数万個に上るとされる工場内の弁の中で同じように作業員が触れやすいものを抽出し、カバーを掛けるなどの対策を講じる」とあります。これが当初の完成予定時期1997年から10年余りも経過して採用する緊急対策とは、民間企業の研究者なら笑い転げる、悪いジョークです。「自縄自縛の悪連鎖、六ケ所再処理工場 [BM時評]」もご一読下さい。

 フェールセーフ思想なしに作られた核関連施設にはどんな落とし穴が潜んでいるのか、予測不可能です。「2月25日、保安院に高レベル廃液漏洩事故への抗議のアピール行動」などブログの大衆が懸念するのは当然のことです。

 読売新聞の「組織改善計画策定へ」は今回の人為的ミスを受けて、日本原燃の児島伊佐美社長は「組織的な問題点の根本原因を分析するアクションプラン(行動計画)を4月末までに策定する方針を明らかにした」と伝えました。「社員の意識改革の一環として、再処理工場の運転や保守に携わる社員を、日本航空とJR東日本の整備工場に派遣する社員研修を始める方針も明らかにした」とも言うのですが、明らかに方針が間違っています。問題は社員意識ではなくて、設計の安全思想欠如にあるのです。


1月の輸出金額が45%減少、貿易赤字9526億円

 財務省が発表した貿易統計で、1月の輸出がほぼ半減したと伝えられました。以下にマイナスに転じた10月からの状況を引用します。比率は前年同月比です。

   輸出額の推移
 10月 6兆9238億円 -7.8%
 11月 5兆3253億円 -26.7%
 12月 4兆8319億円 -35.0%
 1月 3兆4825億円 -45.7%

 凄まじい減少ぶりです。1年前、2008年1月の輸出は6兆4083億円でした。最近、建設機械大手のコマツが1週間に2日しか工場を稼働させていないと報じられていました。そういう生産現場の状況を数字として実感する指標が出てきました。

 「経済速報(半減した輸出:1月」が「株価は『買い支え報道』もあり上昇していますが、日本経済の悪化速度は益々速まってきており、すべての企業家・投資家・資産家は今後襲ってきます大嵐に最後の備えをするべき時に来ています」とアピールするのも当然でしょう。

 品目別では自動車66%減、電子部品52%減と、日本の貿易構造がそのまま現れています。中国や東アジアの輸出産業は日本から精密な部品を買うことで成立してきました。世界規模の需要、大幅消滅が直撃した訳です。地域別に見ても北米がやや大きく減っている程度で目立つほどではなく、欧州、アジア、中国とも4割台の減少です。

 こうなれば自前の内需拡大しかないのですが、麻生内閣は動かないし、国会はご覧の通りです。

 英フィナンシャル・タイムズ紙から《「日本の危機悪化、政治のせい」 英紙、社説で批判》と糾弾される有り様です。


第173回「臨床研修制度手直しで知る官僚・報道の理解度」

親サイトでは、インターネットで読み解く!第173回)

 2004年に導入されたばかりの医師臨床研修制度の見直しが事実上、決まり、2010年からの改訂に向けて動き出します。見直しの決定的な動機は地方を中心にした病院での医師不足顕在化でした。医師免許取得後に研修先の選択が自由化されている現状に制限を加えます。都道府県、病院ごとに研修医の募集定員に上限を設け、人手不足に陥っている大学病院には定員枠を多く配分する仕組みとします。医師不足が顕著な産科や小児科を研修の必須科目から敢えて外し、各自が専門にする科目の勉強に早く移行させて即戦力としての活用を狙います。厚生労働省と文部科学省による「臨床研修制度のあり方等に関する検討会」のページには昨年9月に第1回検討会を開いてから毎月1回ペース、わずか6回で結論に至ってしまう「拙速」ぶりが記録されています。

 その「08/12/17 第4回臨床研修制度のあり方等に関する検討会議事」のやりとりは率直すぎて笑えるほどです。聖路加国際病院長の福井次矢委員は「2年間の中で、研修医が自由に選択する期間を長くすること自体が、診療科偏在を解消することになるかどうか、ちょっと考えていただきたいのです。というのも、少なくとも私たちの調査結果に基づけば、あまりプログラムを変えよう、変えるべきだという論理構造にならないものですから。データはないのだけれども、現在のプログラムよりより良いプログラムになるだろうという説得力が、申し訳ないのですが、ないように私には聞こえます」と訴えると、自治医大学長の高久史麿座長は「私自身も迷っています。先ほどの小川先生のお話を聞いても、研修医はいまのままでいいという返事をしてます。研修病院と大学病院でプログラムの評価も随分変わってきて、指導医の評価も変わっているし、研修医も変わっています。しかし、この委員会はもともと少し変える必要があるのではないかということでスタートしました。ですから、変えなくてもいいというのなら、私は極めて気が楽です」と答えます。

 専門家が「根拠があまり無い」と言い合って2カ月後には改訂の方針が出てしまうのですから、事務局を務める官僚主導で検討会が進められたことは明白です。同じ日の議事録にある「むつ総合病院」からの現状報告「弘前大学に限って言いますと、どこの教室もスカスカと言いますか、本当に人がいません。そういうことで、教育、診療にさえも差し支える状況です。でも、私はやはり大学がしっかりしなければ医療制度そのものもおかしくなると考えています」が背景があるにせよ、理屈が通らない不思議な話です。

 「ある麻酔科医のつぶやきBlog」の「医師の臨床研修が実質1年に短縮?」は「それならはじめから新研修制度を導入すべきでなかったと思いますし、もっと言うなら今完全に廃止してもいいと思います」「このシステムの表向きの目的は医師が全てプライマリーケアの素養を持つということですが、裏の目的として医局支配を弱体化させて国が直接医師を支配するというものもあります」「表の目的の方はご利益はまだまだわかりません。裏の目的はある程度達成されましたが、当初から考えられていたデメリット(医師不足、過疎地医療問題)の方が非常に強く出てきました。誰も責任をとらないのでしょうね」と、政府・官僚の無責任ぶりに声を上げます。

 全国紙、地方紙とも多くの新聞が社説で取り上げました。地方紙からでは過疎地医療の悩みを抱える北海道新聞が「臨床研修制度 医師不足は解消されぬ(2月21日)」と批判を加えました。「今、研修先として大学病院を避ける医師が多いのは、経験できる症例数が民間病院に比べて少ないうえ、雑用が多かったり、処遇が民間より低かったりするためだ」「この根本的な原因が解消されなければ、大学病院を志望する研修医は増えないだろう。魅力的な研修プログラムを組む努力も、大学側に必要ではないか」と安易な大学優遇策に異を唱えます。さらに「地域医療では初期診療や、いくつもの疾病に対応できる総合診療を担う医師が欠かせない。見直し案がこうした医師の養成につながるか疑問が残る」と警鐘を鳴らします。

 中国新聞は「医師研修見直し 地方への定着促したい」では見直しは当然との立場です。「研修先として地元の大学病院を選ぶ医師を増やし、かつて大学医局が担っていた地域への医師派遣機能を立て直す―。見直しにはそんな思惑もうかがえる。大都市と地方の偏りをなくすには、選択の自由をある程度、制限することもやむを得まい」とまで言い切ります。こちらも地方紙の雄なのですが、《広島大小児科医師、年度末に10人辞職 「体力もたぬ」》の報道で現れている、足下の異変に対処できる発想にはほど遠いように見受けます。

 全国紙については「ぐり研ブログ」が「臨床研修制度に関するマスコミのスタンス」で取り上げています。中国新聞以上の論調の読売新聞社説「臨床研修見直し 医師不足の主因を見誤るな」から「医師不足の根本的な原因は研修制度ではなく、人材の配置に計画性がないことにある。義務研修を終えた若手医師を、必要な地域と分野にきちんと割り振る仕組み作りを急ぐべきだろう」に対して、「かねて医師強制配置の持論を展開してきた読売新聞です。要するに『医師は中央集権的に強権をもって強制的に配置すべし』という話なんですが、ここまで持論まっしぐらというのも潔くていっそ清々しいほどのものがあります」と苦笑いです。

 朝日新聞社説「医師研修見直し―良医を増やすためにこそ」は「臨床研修の見直しは、あくまで患者が医師に何を求め、そうした医師を育てるのに何が必要か、という観点から進められるべきではないか」との結論になっているのですが、昔はともかく現在の医学教育について取材の機会が少ないことが透けて見えます。「ぐり研ブログ」は「『患者の求めるような医師を育てるべき』と言うのもまた議論を呼びそうな話ですが、こういうことを主張するからには朝日新聞社には国民の求める医師像というものの詳細なデータも蓄積されているのだろうと推測します」と皮肉っぽい。いやいや、論説委員室という現場から遠い場所にいて、昔の牧歌的な取材経験で書いているだけのことでしょう。

 事実上見直しが決まる直前に日本医師会が「グランドデザイン2009」という改革案を打ち出しました。「現行制度では各臨床研修病院が研修単位になっているが、改革案では地域医療研修ネットワークを研修単位とする。研修医は初期研修の1年間、出身大学が所在する都道府県の地域医療研修ネットワークに所属し、都道府県内で施設間をローテーションして、地域医療の全体像を経験する」と、研修医を大学がある都道府県に縛り付けてしまおうとの発想です。開業医主体で勤務医のことを知らない日本医師会の面目躍如です。

 昔の大学医局が支配していた時代が終わり、一度、パンドラの箱が開いて自由な移動が出来てしまった現在、全ての前提は変わりました。官製の手直しでも副作用が必ず起きます。「レジデント初期研修用資料」の「臨床研修制度見直し」は見直しが実施されると「今まで以上に『東京一極集中』が進んで、地方の医療は止めを刺されるような気がする」と予言します。「『東京の研修医』に、上限が設けられると、首都圏の研修病院は、競争試験で定員を削らざるを得なくなる。競争試験はたくさんの敗者を生んで、『負けた』人たちは、しかたがないから田舎で働く」「負けっ放しなのは嫌だから、みんなもちろん、ある程度の経験年次を積んだら、もう一度東京を目指して、結果としてたぶん、田舎はみんなの『腰掛け』になる」

 繰り返された大学入試制度の手直しが、受験産業を太らせるだけで大学教育を良くすることに繋がらなかった過去を見てきました。今回の無理な手直しも歪みの方を大きくするだけに終わるのではないかと危惧しています。医師にも職業や住居選択の自由があると言いつつも、「公共の福祉」から制限が出来ると安易に考える官僚と追随するマスメディアの現状理解度がどの程度か見ていただけたと思います。


村上春樹イスラエル批判講演と中川失態報道の続き

 今日は米ビッグ3の再建策、政府に提出を考える日でしたが、あまりの出来の悪さに(これが当然、あるいは必然かも知れません)唖然として見送りです。代わって昨日のエントリー「村上春樹イスラエル批判講演とブログ活況」を続けたいと思います。「Japan Blogs Net」で見ると、「極東ブログ」が「村上春樹、エルサレム賞受賞スピーチ試訳」を出しています。要旨や抄録に隔靴掻痒だった方、読まれることをお勧めします。共同配信の要旨はかなり政治的なメッセージになっていましたが、これなら作家の心情吐露としてしっくりきます。既成メディアの手抜きに対してブログの存在感がさらに浮き出たように感じます。

 今日の重点はむしろ、中川財政金融相のG7失態と辞任の方でしょうか。やはり「Japan Blogs Net」のモニタリングで「nikaidou.com」が「中川と飲んでた女性記者」以下の裏情報をいち早く流していたのを見ていました。18日になって「読売特殊班、記者をかばう」で女性記者の写真が載っているページが消えたと書かれていますが、まだgoogleキャッシュには残っています。名前と「weblets」をキーワードにしてキャッシュを見ればオーケーです。女性記者は3人で、読売、日本テレビ、ブルームバーグと後に追加されました。

 18日朝刊では毎日新聞が最も詳しく報じ、「中川氏は昨年9月の財務相就任以降、G7などの海外出張では同行の女性記者を集めて飲食を行うことが恒例化していた」とまで書いています。「中川財務大臣はやっぱり酔っていた?」が「『中川氏はまんまとはめられた』と見るか、『すべて自己責任だから、飲んだ方が悪い』と見るか。マスコミなら当然後者で書くだろうね。さすがに、自分も中川氏を擁護することはできない。しかし、マスコミの行動も到底容認できない(結局マスコミは何しに行ったんだよ)」と、取材のありように憤慨して当然でしょう。

 読売新聞は女性記者は出席していたが、酒を飲んだかどうか見ていない、との趣旨を記事にしています。こういう逃げは良くありません。時代の証言者として取材に行っているのですから、膨大な定期購読者という委託をしている市民社会に対する完全な職務放棄です。

 もっとも、「その人が中川財務相の飲酒(口を付けたでなく飲んでいた)を認めた場合、同行記者なので当然日程知ってるよね?国益より醜態さらす方が大事ですか?」「で、日本を貶めたと怒っている人たちの矛先がその新聞社にも向くだろう」と書く「毎日新聞は地雷を踏んだような…」のような右のブログが存在している時代です。

 いずれにせよ既成メディアの今回失態での報道対応は落第点でした。

 【追補】共同通信の特派員が現地で聞いた通りに再現したスピーチ全文が《【英語全文】村上春樹さん「エルサレム賞」授賞式講演》にあります。(日本語訳も)


村上春樹イスラエル批判講演とブログ活況

 ノーベル賞にも擬せられている作家村上春樹さんが、エルサレム賞記念講演でガザ攻撃を批判したことがブログでは反響を呼んでいます。マスメディアがむしろ、前後して報じられた中川財政金融相の失態と進退に傾斜しているために目立つ感じがします。「Japan Blogs Net」でいつもモニターしているブログ中ではまず「カッコ悪い日本人とカッコいい日本人」(5号館のつぶやき)が両者を並べています。事前に盛んにあったブログからの危惧発信に村上さんが沈黙していたのに違和感を感じていたのですが、「今日の授賞式の記念講演の内容を聞いてぶっ飛んでしまいました」と告白しています。大手紙が省いた共同配信の講演要旨、意味が断然はっきりするので、やはりこれは入れるべきだったと思えます。

 Jerusalem Post紙から英文の抄録を引用しているのが「壁と卵」(池田信夫 blog)です。講演に最大級の賛辞を送る一方、ここのコメント欄を起点にブロガーによる自主的な英文翻訳の紹介などがされていて、既成メディアがジャーナリズムらしい作業をさぼっている時代に、オルタナティブ・メディアならではの活況になっています。(中川失態は女性新聞記者との直前飲酒が原因の裏情報まで流れる始末)

 受賞前に繰り返し危惧を表明していた「Arisanのノート」の「もう一度、村上氏の講演に触れます」「毎日新聞の記事」から「日本国内で受賞拒否を求める声が上がったと説明するとともに、『私は、沈黙するのではなく(現地に来て)話すことを選んだ』と述べた」を引用して「賞拒否や批判的なスピーチなどの明示的なアプローチを求める人々の声は、村上氏の耳にちゃんと届いていたのだと、はじめて思った」「多くの人たちの気持ちが伝わっていたこと(その意味で、無駄でなかったこと)を知って、とても嬉しいと思ったのである」と率直です。

 ITmediaが早速、「村上春樹さんの受賞スピーチ、日本のブロガー陣がスピード翻訳 『ハルキ風』も」と報じています。この件では「モジモジ君の日記。みたいな。 」などが盛んに取り上げていたのが印象に残ります。

《続編》=「村上春樹イスラエル批判講演と中川失態報道の続き」


映像生活、私的にもある最近の変転事

 日本映画製作者連盟から「2008年映画産業統計」が発表になっています。詳しい分析は「TRiCK FiSH blog.」の「2008年度日本映画産業統計を読む」でご覧になって下さい。私が気になったのは末尾に置かれた「劇映画のビデオソフトによる販売と鑑賞人口推定 平成20年(2008年)」で、売り上げ、鑑賞人口とも前年比9割程度に縮小している点でした。以下に引用します。

1. 小売店舗売上 3,613億円 (前年比88.8%)
2. 映画鑑賞人口 6億9,733万人 (前年比91.3%)
3. メーカー売上 2,174億円 (前年比87.3%)

 2008年、映画の劇場入場者は1億6049万人で、前年比98.3%とまずまずの成績でした。しかし、ビデオソフトによる鑑賞人口の減り方は7億6377万人が6億9733万人に減ったのですから、半端ではありません。日本映像ソフト協会のウェブにある「ビデオソフトの売上金額の推移グラフ」を見ると、2004年をピークに縮小傾向にあります。このグラフには、レーザーディスクが20世紀の間はかなりの力を持っていたのにDVDの登場で一気に駆逐された様子が描かれています。レーザーディスクプレーヤーの生産終了をパイオニアが告知したのが、先月半ばのことでした。

 ビデオソフトによる鑑賞人口の減り分がどこに行ったのか、それはネット上のオンデマンド・ビデオサイトだったり、動画共有サイトだったり、あるいは第155回「テレビ局独占から脱したHDビデオ番組」で紹介した「ビデオポッドキャスト」や、そこから発展した「HDポッドキャスト」あたりなのでしょう。

 最近、伝説の名歌手マリア・カラスの日本公演の録画テープを棚の奥から見つけだしました。亡くなる数年前、1974年のこと、カラー映像が極めて少ないカラスですから貴重品です。録画してあるのは、90年代にFM放送用のステレオ音声とドッキングして再放送されたものです。久しぶりにカラスにはまってきて、YouTubeならもっとあるだろうと探してみました。面白いように出てきます。日本公演の映像は赤い衣装ですから直ぐに見分けられます。他は50年代、60年代のモノクロ映像ばかりかと思いきや、もう1系統のカラー映像が出てきます。

 日本公演は世界ツアーの最後でした。日本に来る途中のコンサート映像がアップされています。こちらは白いドレスに紺色のケープです。彼女のファンなら愛してやまない「Suicidio!」もあります。この劇的な曲をピアノ伴奏だけで歌うのは痛々しい感じがします。そこで一工夫した方がいらっしゃり、「Maria Callas - Suicidio! - New! Wonderful video!」の登場です。音声だけは最盛期のオーケストラ伴奏録音から取ってきてカラー映像と見事にシンクロさせています。全盛期にもこんな表情で歌っていたのだろうと、納得してしまいました。良い映像記録が無いカラスだけに掘り出し物と申し上げておきましょう。


『中国新車販売、初の世界一』ニュースの怪

 マスコミ各社が一斉に『1月は中国、新車販売世界一』と流しています。これを受けたブログを眺めると、中国だけ景気が良いような誤解が多いと感じます。米国を抜いて初の月間トップ、73万台を売る――に間違いはありませんが、前年同月比で米国が37%も落ち込む異常事態下の出来事です。中国の落ち込みは数字がばらばらで困るのですが、14あるいは16%のようです。

 「サーチナ」の「1月の新車販売、中国が米国抜きトップ 春節効果か」も「1月の好調は長くは続かない。政策と春節(旧正月)の長期休暇の相乗効果で消費が伸びただけ」との、辛口の専門家コメントを載せています。

 最近、単発の何%減少との数字ばかり見せられて、大きな動きが見えにくくなっています。気になってきたので、昨年から今年にかけて日米欧中の新車販売台数減少の様子をまとめてみました。「厳しさ増す!自動車セクター銘柄を徹底検証」や朝日新聞などから数字を拾いました。欧州は主要18カ国のもので1月分はまだありません。

 《新車販売台数前年同月比》
 日本11月 -27%
    12月 -22%
    1月 -28%
 米国11月 -37%
    12月 -36%
    1月 -37%
 欧州11月 -26%
    12月 -19%
    1月
 中国11月 -15%
    12月 -12%
    1月 -16%


 やはり凄まじいですね。以下、見やすいグラフにしておきます。


 中国だけ落ち込みが少ないとしても、昨年までは10%を超える伸びを示していたのですから、グラフの上に「10%のゲタ」があると思ってください。そう見れば日欧と同じではありませんか。損益分岐点を遙かに下回る販売台数しか出ない現状では、世界的に自動車メーカーのビジネスモデルが崩壊しかけています。国内メーカーからも工場ラインの追加停止が相次いで発表され、1月は4割の減産と言われました。2月以降も改善の兆しは見えていません。中国の販売2桁減少が続けば、競争力の弱い下位メーカーが多数あることを考えると多くの倒産を引き起こすのではないかと考えています。


専横のJASRACに落日?公取委、排除命令へ

 日本音楽著作権協会(JASRAC)に、公正取引委員会が独占禁止法違反(私的独占)で排除措置命令を出すと事前通知したニュースは、ネット上、かなりの期待感をもって受け止められたようです。2001年の「著作権等管理事業法」施行までは、JASRACが音楽著作権管理事業を公的に独占していて、ここで新規参入が出来るようになったのに実効が上がらなかった――そこにメスが入ろうとしている訳です。

 年間1000億円と言われる楽曲使用料の徴収・分配の不透明さはこれまでも耳にしてきました。今回、問題になっている放送局との場合、「包括契約」と呼ばれる形態の契約を締結し、JASRACが管理する楽曲は使い放題とする代わりに、放送事業収入の1.5%を得ることになっています。それが2007年には265億円に上りました。誰のどの曲が何回使われたか、全く把握しないで巨額収入があり、どうやって権利者に配分するのか、傍目にも心配です。

 「JASRAC:新規参入を制限 公取委が排除命令の方針」は「『包括的利用許諾契約』とは、要はグロスで幾らのどんぶり勘定。例えば、JASRACに管理委託した自分の曲がいま見ているテレビ番組のバックで流れたとしても、その一回の使用に対してきちんと対価が支払われるわけではない、ということ。ラジオ局で何月何日に放送された、ってことまできちんと報告をしてきたGEMA(ドイツの著作権管理団体)の明細書を見たことがあるが、そんなものはJASRACは発行しない」と、杜撰な仕事ぶりを指摘します。

 昨年、公取の検査を受けた際に、JASRAC側は「『いったいどこが問題なのか』――JASRAC加藤理事長、公取委の立ち入りに『不満』」で、利用側の利便性を考えているだけだと釈明していますが、実は放送局との間で楽曲使用の記録を残すための準備作業を始めているようです。「JASRAC独占、なぜ崩れないのか――JRCの荒川社長に聞く」にそうした情報が出ています。

 全く孤立した店で使われる昔のカラオケ装置なら別ですが、いまや全国のカラオケ・ランキングが集計されて流れる時代です。まして放送局ならプロが使う仕事ですから記録を残せない方がおかしいのです。使用料を受け取る権利者側にも、演歌偏重で公正な分配でないとの不満があると聞いています。

 ネットで語られた「JASRACの暴挙をまとめるページ(増田出張版)」がちょっと古いけれど色々な情報を集めています。ただし、信憑性は保証されていません。「週刊ダイヤモンド」の2005年9月17日付「企業レポート 日本音楽著作権協会(ジャスラック)」が官僚天下りの実態を明らかにして大きなインパクトを与えましたが、損害賠償の訴訟では1、2審とも敗訴しています。

 ひとつ、これはあんまりだと多くの方が思えそうなケースを。「いい加減にしろ、JASRAC!(ピアノバーに有罪とは‥)」は「ビートルズを弾いたピアノ演奏者がついに有罪判決を受けてしまった。著作権法違反だという。ここ数年、全国各地でジャズ喫茶が同様の方法で閉店に追い込まれている。違法といえば違法かもしれないが、いくらなんでも逮捕して有罪にするかねえ」と批判しています。音楽文化が広まり豊かになってこそ、楽曲を作りだした人たちの値打ちが高まるはず。権利者の代行者と称して潰して回ってどうするです。


「ブログ炎上で初摘発」のリンク集

 「男性タレントのブログが悪意の書き込みで炎上した事件」で「警視庁は、男性タレント(37)のブログを攻撃した17〜45歳の男女18人について、名誉棄損容疑で刑事責任を追及することを決めた」と、読売新聞が5日付朝刊1面で特ダネを流しました。

 この事件では「現場」が既に消されている(waybackmachineでも復元しない)上に、報道が警察・検察の真意を伝え切れていない感じがします。今回は情報のリンクだけを並べましょう。東京・足立区の女子高生コンクリート殺人事件の犯人と誤認しての暴力的なコメントの嵐だったようです。

 概要は《「10年間ネットで中傷被害」スマイリーキクチがブログで事件経緯》が分かりやすいでしょう。被害者であるスマイリーキクチさんが「5日付けブログ」で説明していますが、読売の記事にも誤りがあるようです。「2008年1月にブログを開設してからも毎日コメント欄への誹謗中傷があり、8月15日のブログで否定したにも拘わらず誹謗中傷が続きました。さらに書籍等で、個人を特定していないまでも私を連想させる表現で、事件の犯人であるかのような書かれ方をされた事があり、それがインターネット上の誹謗中傷の根拠とされてしまいました」と書かれています。

 この記事には6日夜の段階で2400以上のコメントが寄せられています。このサイトは管理者がチェックしている場所なので、当然のことながら好意的なコメントしか在りません。

 第三者のサイトでは「Birth of Blues」が「スマイリーキクチさんブログでコンクリ殺人粘着していた18名を警視庁が特定 逮捕か?」が震源地だったであろう「2ちゃんねる関係掲示板」の狼狽ぶりを収録しています。テクノラティで見る限りはキーワード「スマイリーキクチ」のブログ記事数は5日に100件程度ですから、意外にネット上の注目度は低いのかも知れません。


年金記録問題への政府対処は根本から間違い!!

 大混乱を続けている年金記録問題について4日付、朝日新聞朝刊3面に重要な提言がされています。《年金記録「照合は限界」 申請者信じ支給を》です。例によってアサヒコム上には出されていませんが、ブログには反応が上がっています。年金記録改ざん調査委で調査にあたった野村修也中央大法科大学院教授が、形だけ取り繕う政府の対応について「巨額の税金が投入されているが、見合った効果は出ていない。今後の施策も同じだ。『一生懸命やっています』というスタンスをとり続けて、国民を欺いているようにしか見えない」と断じています。

 「年金記録―「照合は限界」、申請者を信じること」(すいとう克彦「今後の日本をどうする!」)は「野村氏は、年金問題で、『首相と厚労相が謝罪会見を行い、データの操作だけでは記録の回復が困難だと率直に認め、国民一人ひとりに記録確認の協力を仰いだ方が支持率回復につながる』と、当時の福田総理周辺に進言したそうだ。しかし、官僚から『政権がふっとぶ』とひっくり返されたようだ」「私も、問題はそこまで来ていると思う。そうしないと、おそらく麻生総理は、本当に大変な問題だと、感じないのではないだろうか」と賛同しています。麻生内閣になってから混迷の度は以前に増して高まっているのに、首相が判断しないスタンスはひどくなっているからです。

 「厚労省よ真実を国民に語れ、そして謝罪せよ。」(さしあたって)は野村氏の「一番の問題点は、期間をさかのぼって加入者を偽装脱退させる『遡及全喪』という改ざんだ。納付期間25年を割れば、無年金になってしまう。調査委員会が標準報酬月額の記録が改ざんされた可能性が高いと認定した約6万9千件とは別のパターンの改ざんだ。調査をすればその何倍出てくるかわからないが、全く解明されていない」との指摘に驚きます。「年金記録は突合すれば全て解決がつくと信じていた、国民の方がバカだったということになる」「氏のいうことが事実だとすると(事実に近いと思うが)厚労省は、嘘をついているばかりでなく、責任を先延ばしにするため、膨大な手間と時間をかけていることになる」と憤ります。

 年金記録漏れを見つけた大阪府に住む103歳の男性が、昨年4月に記録訂正を請求したのに、500万円に上る増額分が支払われていないことが明らかになったりと、事務作業の遅れも連日のように報じられています。通常業務による修正と回復すらこの有り様です。「まだまだ氷山の下がある」と実際に調べた方が主張するのですから、対処の仕方を抜本的に改めないと、受けるべき年金をもらえないで亡くなられる悲劇が膨らむばかりです。


雑誌不況、マンガ不況、出版不況…

 読売新聞が出版科学研究所の推定として「昨年の雑誌販売、11年連続の減少…落ち込み幅は過去最大」と伝えています。雑誌の4.5%減少は確かに大きいですね。昨年はかつては有力だった雑誌の廃刊が相次ぎ、業界全体が地滑り的な縮小に向かっている感じです。同研究所の「日本の出版統計」にあるグラフを見ると1997年から落ち始めていて、インターネットの普及との関係が言われるのですが、よく見ると週刊誌やコミック誌はそれ以前から下降し始めています。

 ブログから拾うと「海難記」の「2兆円割れ寸前〜2008年の出版市場」が「2009年には出版市場が2兆円割れするのは確実だろう」とする一方で、世間に言われているような「日本人の読書離れ」はないと主張しています。「年間9000億円もの書籍販売額が維持できるはずがない。この額はおおよそ1975年の2倍、1964年の10倍、そして1959年の30倍である。本はますます読まれるようになり、そのなかで純文学や思想書といった堅い本の比率が相対的に減っただけだろう。かつては選択肢が少なかったから、しかたなく、こうした堅い本を読んでいた読者だっていたはずである」

 ネット上の電子書籍としてリリースされた中野晴行著の「まんが王国の興亡」〜なぜ大手まんが誌は休刊し続けるのか〜が評判になっているようです。無料でかなり長い立ち読みも出来ます。また、ITmediaの《「旧世代の漫画屋、最後の冒険」――雑誌不況下で創刊した「good!アフタヌーン」》も興味深かった記事です。「漫画家の原稿料は通常、漫画雑誌の売り上げから支払う。単行本は原稿料なしで、印税のみを作家に支払うのが一般的。雑誌をなくしてWebで無料公開すると、漫画家に支払う原稿料の出元がなくなってしまう」。そうだったらコミック誌が止めていく現状は大変なことです。水源地が干上がっていくようなものですから。

 論創社の「出版状況クロニクル 8」(2008年11月26日〜12月25日)は雑誌が出版業界全体の牽引役だったと指摘、自動車販売の激減が日本経済を揺さぶっているように、雑誌の急減は出版業界の垂直落下状態を招くとしています。データが豊富です。印象的な記述は97年以前の週刊誌黄金時代についての部分でした。

 「この時代に週刊誌が商店街の書店の集客の柱だったとこと示していよう。それにつけても思い出されるのは、まだ町の商店街が元気であった時代には書店だけでなく、多くの喫茶店、食堂、飲み屋、床屋、美容院などがあり、それらは町の社交場を兼ね、またかならず週刊誌が置いてあった。つまり自ら買うことに加え、週刊誌を読むインフラが町の中に整えられていたのである。しかし21世紀に入り、それらを含む商店街は壊滅状態になってしまった」

 この構造変化に加えての今回の大不況です。既に大企業を中心に広告費カットの動きが急です。2009年、書籍は微減でも、雑誌はさらに大きな波をかぶってしまうのかも知れません。


2009年1月のエントリー一覧

1/29 日本経済への先行き悲観論が目白押し
1/25 第172回「離婚減少は定着、熟年離婚の嵐吹かず」
1/22 オバマ米大統領就任、ブログの反応はどうか
1/21 中国のブログ記事に見る対日感覚の揺れ
1/17 『ハドソンの奇跡』に見る米ネットの活性
1/16 大不況の底は想像以上に深い可能性が高い
1/14 自縄自縛の悪連鎖に陥った六ケ所再処理工場
1/11 『派遣村』叩きと派遣労働報道の不毛
1/08 2011年以降もアナログ放送の視聴可に。でも…
1/06 メディアが黙殺した与野党合作の年金改革案
1/04 第171回「世界不況を契機に経済成長神話見直そう」
1/02 新年シンガポール絡み、恐慌!?と2ちゃん譲渡