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日本経済への先行き悲観論が目白押し

 この半月、日本経済の先行きへの悲観論が急速に高まっている印象があります。日経ビズプラスの「GDP成長率は2年連続でマイナス2%超の可能性も(新家義貴氏)」もかなりショッキングでした。図表「実質GDPの推移」にある「08年10−12月期のGDPは前期比年率で2けた減か」の予測は厳しすぎるようにも思っていたのですが、ここに来て日銀のマイナス成長予測もこれを是認している感じです。

 そんな折に英エコノミスト誌「日本経済:早期回復なるか」の「金融危機の嵐に直撃されなかった日本経済が、今ほかのどの先進国よりも急速に縮小している」との指摘を見て、納得するものがありました。このグラフを見てください。鉱工業生産の縮小ぶりは尋常ではありません。


 「BNPパリバ証券のエコノミストの白石洋氏は、鉱工業生産は昨年12月時点で既にバブル後最低だった2001年の水準まで落ち込んでおり、堅実な回復とされていた過去6年間の成長分が吹き飛んだと見ている」「不況が終わるまでに、生産高は1987年の水準にまで落ち込むと白石氏は予測する」。自動車とハイテク電子機器中心で引っ張ってきた脆い産業構造が、欧米の需要落ち込みを大きく増幅した形になっています。

 そして、第一生命経済研究所のレポート《1人当たりGDPの「失われた10年」 〜日本はこのまま内需が弱いままなのか》です。G7諸国中で最下位になってしまった日本の1人当たり名目GDP。これもグラフを引用します。


 どうしてこのような停滞が続いてしまったのか、どうして労働生産性が上がらなかったのか、との問題について、労働市場で非正規化が進んだことにも原因を見ています。「経済成長において、人口減少の制約を突破するには、1人当たりスキルの発揮が活路となる。労働力が限られていても、企業内教育投資を付与して可能な限りまで人的資本を増やすことが、生産性向上に貢献する」「しかし、非正規労働化は、この考え方とは正反対の働きである。パート・アルバイト・派遣労働者には、企業が身銭を切って人的資本を投下することはせず、人的資本が蓄積されにくい」

 これから先の「1人当たりGDPの先行き」も、内閣府・IMFによる見通しとして示されています。停滞はさらに続き、先進国の中で置いて行かれるばかりでなく、アジア諸国の成長にやがて追いつかれてしまうグラフが描かれています。「日本社会が非正規化を進めすぎたことは、広い視野でみてみると、税・社会保険料負担を担うべき正社員のパイを相対的に小さくしたという皮肉な結果を招いた。正社員への荷重が重くなり、賄いきれなくなった負担が、間接税増税として高齢者自身に及んでいるという図式である」との結論とともに一読されることをお奨めします。


第172回「離婚減少は定着、熟年離婚の嵐吹かず」

親サイトでは、インターネットで読み解く!第172回)

 新年になって発表された「平成20年人口動態統計の年間推計」はあまり話題にもならなかったようです。でも、少し事情を知っていれば注目ものだったのです。それは離婚件数と、人口千人当たりの離婚件数=離婚率が2002年をピークに2008年も下がり続け、離婚減少傾向がしっかり定着したからです。年金分割法が2007年と2008年の4月に二段階で施行され、夫の厚生年金の受給権が妻にも分割されるようになりました。これを待って離婚したいと考えている女性が多数いて、2008年には「熟年離婚の嵐」が吹き荒れるとする専門家が多くいらっしゃいましたが、何も起きずに2008年は過ぎました。

 それどころか、1月22日に発表の「人口動態統計速報(平成20年11月分)」を見れば、大不況入りがはっきりした11月は前年を大きく下回る離婚件数になっています。該当のグラフを以下に引用します。赤い折れ線が2008年です。


 実は離婚動向と景気とが相関しているとの見方がありました。「図録▽離婚件数の推移と景気との相関」のグラフに示されているように、1980年頃から離婚が増えれば景気が少し遅れて悪化し、離婚が減れば景気が上昇する傾向が観察されたといいます。しかし、2003年以降の離婚減少局面ではこの相関も失われました。「2004年〜06年は離婚件数が景気回復の程度以上に傾向線との関係で大きく減少しているのが目立っている。これは、『離婚時の厚生年金の分割制度』の導入を見越して離婚を手控えているのではないかと考えられる」と説明されていたのですが、上述のように事実が否定しました。

 離婚減少がはっきりしてきた2005年に「離婚の減少はサッカーW杯から始まった [ブログ時評26]」という仮説を、月別の離婚件数動向をベースにして書いています。「今回の離婚の減少はサッカーW杯から始まり、『冬のソナタ』でブレークした韓流ドラマブームで本格化し、北朝鮮拉致被害者と家族の帰国などによって増幅されている」――証明不能であることは承知の上です。しかし、2002年以降の有り様を見れば、日本の家族に内在する何かが変わったと考えるしかないのです。

 「第3表人口動態総覧(率)の国際比較」を以下に引用します。


 日本の離婚率が「2」を切って「1.99」になったのはニュースだと思います。かつて一時は米国の「3.6」に向かって増え続けると考えられていたのに――です。韓国の「2.5」とは大きな差になってしまいました。

【続編】3/25に第175回「続・離婚減少は定着、熟年離婚の嵐吹かず」リリース。2003年からの経済状況好転にシンクロして減少をグラフ化。

 【参照】インターネットで読み解く!「人口・歴史」分野エントリー…生涯未婚など


オバマ米大統領就任、ブログの反応はどうか

 「次期大統領」という言葉が現職のブッシュさんを上回る重さで使われた、期待先行の数カ月でした。ついにオバマ大統領就任の日が来ました。「Japan Blogs Net」の記録を以下に、22日夜の段階で残しておきます。

 政治・経済
 社会・医療
 科学・IT
 【リベラル・左】
 【保守・右】

 右と左、政治色が強いブログはもちろんですが、社会派のブログも数多く取り上げています。取りまとめる暇もないので、二つだけにしましょう。

 「大統領就任演説を読んで」(内田樹の研究室)は「そのまま英語の教科書に使えそうな立派な演説である。アメリカという国が『もともとある』共同体ではなく、国民ひとりひとりが自分の持ち分の汗と血を流して創り上げたものだという考えが全体に伏流している」「よいスピーチである。政策的内容ではなく、アメリカの行く道を『過去』と『未来』をつなぐ『物語』によって導き出すロジックがすぐれている」「『それに引き換え』、本邦の政治家には『こういう言説』を語る人間がいない」と切り出して、愛国主義を持ち出すナショナリストですら「うちは昔からこうであった。今もこうである。これからもこれでゆく」という「本態的ナショナリズム」を持てない様を嗤っています。

 「Arisanのノート」の「むなしい演説」は「相変わらず、『海を渡って』植民してきた先祖の苦労には思いをはせても(しかも、『鞭打ちに耐え』た人たちの経験がそれに同一化されてしまっているが)、その先祖たちに土地を奪われ虐殺された先住者たちへの言及はなし」「上の二つの言葉(認識)が組み合わさってるんだから、アメリカがイスラエルのやってることを非難できないのは当たり前だ。まったく同じ事をやってきたわけだから」と、もうひとつの根源的な問題をクーズアップしています。

 さて、英語と日本語のキーワードでオバマを検索すると、当選直後には及びませんが、それぞれ数万、数千と膨大なエントリーが書かれているようです。テクノラティのグラフで半年分が見られるようにしておきます。

Posts that contain Obama per day for the last 180 days.
Technorati Chart

過去180日間に書かれた、オバマを含む日本語のブログ記事
テクノラティ グラフ: キーワード「オバマ」に関するグラフ


《参照》「オバマ当選翌日のJapan Blogs Netの記録」


中国のブログ記事に見る対日感覚の揺れ

 中国情報を流してくれるニュースサイトとして「サーチナ searchina.net」は便利な存在です。そこでは【今日のブログ】として中国のブログ記事が翻訳されており、昨年末から年始にかけての日中両国マスメディアの報道への反応が現れて興味深いので紹介します。

 中国青年報に年末、「日本がなければ改革開放は異なっていた」が出た時、ちょっと驚きました。「日本は中国にとって最大の援助国で、中国が外国から受けた援助の66.9%、金額にして2000億元余りが日本からのものだ。これらは中国の鉄道・道路・港湾・空港などのインフラ整備、および農村開発・環境保護・医療・教育などに幅広く用いられている」と明記してあったからです。故意に隠し続けてきた円借款の事実を国民に明かした意図は、対日感情の転換でしょうが、どう受け止められるかです。

 2005年5月の「反日デモ始末に苦渋の続きを思う [ブログ時評20]」で親日派の知識人が3兆円にのぼる対中国の円借款を数年前まで知らなかったエピソードを書いています。そこでは「北京の地下鉄に乗る時に『円借款のお陰』」とも思えるようになったが、「中国人の屈辱感」を長引かせるODAは廃止してよいと考える、屈折した心情が現れていました。親日派にして、出来れば円借款の存在をあからさまにしたくないのでした。

 「【今日のブログ】日本が最大の援助国だという事実を知って」はどうでしょうか。「『日本が中国にとって最大の援助国』との事実を発見し、しばし呆然とする思いであった」「ここで疑問なのは、改革開放から30年という時間が経過し、その間も日本は対中援助を行い続けてきたはずであるが、日本が最大の援助国であるという事実は、なぜ今になって公になったのであろうか」「つい先日、日本国民の対中感情がかつてないほどに悪化しているとの報道も目にした。以前であれば、日本と中国の間には積年の恨みがあるのだから、日本が中国に好感を持っていなくても何の不思議もないと、特に気にかけることもなかったであろう。しかし、日本が中国にとって最大の援助国であったという事実を知った今となっては複雑な思いがしてならない」

 やはり両国間の政治的思惑を完全に消化するのは無理なようですが、ようやく相互理解の芽は現れたと感じます。もちろん、このような方向の理解に進んでいかない人もいらっしゃいます。年明けの「【今日のブログ】日本人が中国に『親しみを感じない』理由は?」は、その理由として一つは毒ギョーザ事件など食の安全問題だとし、「もう一つの原因は、飛躍する中国を目の前に感じる複雑な心境に起因するものであろう。国際的な影響力を失いつつある日本を尻目に、国際社会での地位を確立し、日中間の距離を縮める中国を前に、日本人は優越感を失いつつあるのではないか」とします。やや唖然ですね。

 でも「【今日のブログ】日中経済の距離は50年?100年?」のような冷静なブログ記事があると知れば、やがて大きな谷も埋まるのではないかと思えます。「中国は『世界の工場』と言われて久しいが、この地位は全く胸を張れるものではない。中国社会科学院の研究員は、『日本企業はキーテクノロジーとなる基幹技術を有しているが、我々はそうではない。我々は手間賃を稼いでいるに過ぎない』と話していた。なぜ我々が現在の地位にとどまるっているか、それは基幹技術や先進技術を有していないからに他ならない」

 やはり冷静な目を持つ「【今日のブログ】地理的に近い日本、心理的に遠い日本」も「かつて日本にとって中国は学ぶ対象であったが、現代はそれが逆転しているのだ。我々は『大中華、小日本』という概念を捨て去らなければならない。それが出来てこそ、迅速に学習することも出来るというものである。そして、これこそが改革開放30年以来の最大の収穫であり、我々の心の持ちようが我々の未来を決定するのである」と主張しています。パートナーシップへの第一歩でしょう。


『ハドソンの奇跡』に見る米ネットの活性

 USエアウェイズのエアバスA320型機が離陸直後にエンジン2基の推力を失い、ニューヨーク市マンハッタンのハドソン川に不時着しながら機長の『神業』で死者・重傷者ゼロの奇跡を呼んだニュースは、冬の寒さ以上に冷え込んだ世界に何かホットなものを流してくれました。同時に日本語ネットの世界では物足りない情報しかなかったのに、米国のネットは活性度が高いと思えた今回の事故でした。

 何と言ってもお膝元、ニューヨークタイムズ紙のウェブ記事構成が秀逸でした。「After Splash, Nerves, Heroics and Comedy」Multimedia欄にある「Interactive Graphics」と「Video」は必見です。良くできたグラフィックスは離陸から不時着水までの数分間の出来事を立体的に経時的によく把握させてくれますし、沿岸警備隊撮影のビデオは着水の瞬間から乗客が機外へ脱出する様子、近くのフェリー船が急行するところまで映っています。記事の構成も十分です。他のネット媒体でもカラー写真のスライドショーなど豊富でした。

 「奇跡のハドソン川着水機、みごたえのあるネット新聞の記事構成」(生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ)がニューヨークタイムズを評して「これなら、新聞よりもネットのほうが動画もあるし、カラー写真もたくさんあるし、はるかに見ごたえ、読み応えがあります」と激賞している通りです。「日本のネット新聞の実力とは技術的に差があるように見えました。理由はわかりませんが、動画や鳥瞰図や写真が豊富でかつそれらが軽いのです」「日本ではまだ新聞社の上層部がネットに虎の子の記事をだすことにかなりの抵抗があるのでしょうか。朝日も読み応えのある記事はネットでは読めません」

 その通りで、国内紙のウェブはニュースのほんの「さわり」しか出していないので、こういった大事件では非常に物足りない思いをします。ニューヨークタイムズは紙とネットの編集部を一体化させるところまで踏み込んでいるので、今回のように手間を掛けた、優れた構成が出来たのでしょう。

 目撃した市民がマスメディアに頼らずに現場写真の第一報を流せたというのも特筆物です。「航空事故の現場写真,Twitterで第一報が」(メディア・パブ)が「15日にニューヨークのハドソン川に不時着水したU.S. Airways 機の航空事故でも,現場に向かっているフェリーに乗船していた市民(Janis Krums氏)がiPhoneで現場写真を撮り,すぐにTwitterで以下のように発信した」と伝えています。不時着機の周辺には何もありませんから、沿岸警備隊ビデオがとらえたフェリー船からの写真です。携帯電話のカメラで撮って、SNS的にも使われる簡便ブログ「Twitter」にアップロードしています。

 国内では「画像共有サイトやSNSへ、写真を簡単アップロード “サイバーショット”Gシリーズ | プレスリリース | ソニー」のようにパソコン無しでもネットへ写真を送り出せるデジカメが現れました。市民とマスコミが対等に競う時代が来てしまったようです。


大不況の底は想像以上に深い可能性が高い

 15日に発表された、昨年11月の機械受注が大幅減だったことをうけてロイターが「焦点:機械受注が鮮明にした設備投資の急減傾向」との観測記事を出しています。「日本経済は輸出と設備投資という2大エンジンが止まったまま急降下しており、こうした展開が続けば08年10─12月期、09年1─3月期と2四半期連続で国内総生産(GDP)がマイナス7─8%という戦後初の大幅なマイナス成長となる可能性が高まってきた」との深刻な予測になっています。

 機械受注は10月も大幅減少だったけれど、11月には下げ止まるだろうと思われていたのに10月以上に下げてしまい、12月がもし横ばいだったとしても「10─12月期受注は前期比マイナス16.2%と、7─9月期を超える下落幅になる」といいます。機械受注は設備投資に対して半年ほど先行する指標ですから、今年半ばに向けてどんどん悪くなっていくことを意味しています。一方の輸出だって米国の景気が急に立ち直ることはありませんから落ちていきます。

 「Japan Blogs Net」で拾うと、「税理士森大志(もりたいし)のひとりごと」が「機械受注激減を受けて緊急時の対応を考える」で「私がこのブログで書いた製造業は昨年の10月から今年の3月までは、3割減という数字が現実になるかもしれない」と憂えています。この統計を伝えた日経記事にある「受注先を業種別にみると、製造業は33.2%減で2カ月連続の減少。化学工業(51.4%減)、自動車(33.6%減)などの落ち込みが大きい」を踏まえた指摘です。

 「常であればこのような統計の数字を見てから経営(政策)判断するのが普通だと思います。一つの政策を行った時に、その影響を見極めてから次の対策を考えたいと言うものです」「しかし、いまのような急激な経済不況では、対応が遅れます」と、政府が中小企業対策を前倒しするように求めています。まだ第2次補正予算が可決されてもいない状況ですが、待っていられないほど深刻な指標です。

 国内GDPの落ち込みはマイナス2〜3%くらいで収まる印象を持たれていましたが、大不況の底はもっともっと深く、幅も広いとみなければならなくなりました。

自縄自縛の悪連鎖に陥った六ケ所再処理工場

 青森県で建設中の六ケ所再処理工場が最終試運転段階で大きな暗礁に直面したようです。目立つ形の全国ニュースとして取り上げられないので気付きにくく困るのですが、第162回「青森の再処理工場は未完成に終わる運命」で取り上げた最終段階の高レベル放射能廃液ガラス固化工程でのトラブル対処が次々にトラブルを呼んで、自縄自縛の悪連鎖に陥りました。

 ガラス固化するために高レベル放射能廃液とガラスチップを混ぜて溶融します。それを細いノズルから特殊なガラス容器に流下させますが、もともと設計上の対策不十分で炉の底に白金族元素が堆積しやすくなっていました。堆積問題に対処するために、当初の設計には無かった撹拌棒を導入し一生懸命混ぜていました。昨年末、その撹拌棒が抜けなくなったのです。東奥日報の「攪拌棒に曲がり/ガラス固化」に見取り図があります。真っ直ぐな棒が原因不明で曲がっていました。やむなく撹拌棒を力任せに引き抜くと、炉の天井を覆う耐火レンガの一部、長さ24センチ、幅14センチ、高さ7センチ、重さ6キロが脱落していました。原子力資料情報室の「六ヶ所 : 再処理工場・ガラス溶融炉:耐火レンガ脱落!」に詳しい図があります。曲がった棒を無理に引き抜いた際に天井を傷つけたのでしょう。

 溶融炉下部には温度が下がった溶融ガラス900リットルが溜まったままです。レンガはその中にありますが、ガラス溶液が流れ出る底部中心をふさいでいる可能性が高く、年が明けて炉の下からドリルを入れて削り、レンガに穴を開けることになりました。そして、1月13日付の「耐火れんが穴開け作業中断/原燃」になる訳です。「入り口の流下ノズル内にガラスが残っており、無理にドリルを入れるとノズルを傷付ける恐れがあるという」「現在、模擬装置でノズル内のガラスを削る練習をしており、作業再開までには数日かかるとしている」

 そもそもドリルを差し込む流下ノズルは非常に微妙な部品で、こんな「工事」をすることなど考えられていない所です。「ガラス固化技術開発施設(TVF)における溶融炉技術開発」の「図2」を見ていただくと、改良型になってますます複雑な形状になったことが分かります。白金族元素が途中で堆積して詰まったりしないよう、単純な丸い穴ではなくし、立体的にした隙間の形に工夫が凝らされています。そこにドリルを入れるのです。放射能汚染区域ですから遠隔操作するしかなく、名人芸的な作業は無理です。また、耐火レンガに穴が開いたとしても付近の流れの状態は一変します。設計者が見たら目を覆いたくなる惨状でしょう。

 今すぐ工場周辺に汚染を呼ばない点で原燃が「安全」と言っているのは間違っていませんが、トラブルを乗り越えて再処理工場の最終試運転が完全に終わる可能性は極めて薄くなったと思います。


『派遣村』叩きと派遣労働報道の不毛

 東京・日比谷公園の「年越し派遣村」に集まった失業者で生活保護を申請した207人に、千代田区は8〜9日に1カ月分の保護費支給を決めました。大半の申請者には所持金がほとんど無かったそうです。住宅費を含めて10〜13万円で、とりあえず寒空の下に放り出される事態は避けられました。今回の騒ぎでネット大衆の在りようと、派遣労働に対するマスメディアの報道ぶりに疑問を感じました。

 ネット上では今なお、「派遣村」運営者と集まった失業者に対する批判や揶揄が続いています。《「派遣村」叩きに日本の国民性を思う》(玄倉川の岸辺)が「強者が世間の波に溺れる失業者を『稼ぎもしないのに助けてくれと要求ばかりする連中はゴミだ』と考えるのはそれなりに合理的だ(倫理的に立派なことではないが)。だが、ネットで弱者叩きにいそしんでいる人たちがそのような強者であるとはとても信じられない。『溺れて必死に助けを求める人を手漕ぎボートの主が小突き回し、そのすぐ横を大型船が行く』という絵が目に浮かぶ。手漕ぎボート氏は大型船の引き波で自分のちっぽけな船が転覆する可能性に気付いていない」と指摘します。

 踏みつけられている人にしか見えない構図を、ホームレス作者のブログ「ミッドナイト・ホームレス・ブルー」が《「自分に比べてあいつらは……」 〜「妬む」現代人〜》で「ホームレスにしろネットカフェ難民にしろワーキングプアにしろ、社会の最下層を生きていると、いろいろと風当たりも強い。中にはひたすら非難の姿勢を取る人たちもいて、これはもう振り払っても振り払ってもあとからあとからわいてくるので手に負えないが、この手の人たちは大半が下層の人間である」と書いています。

 この視点で「痛いニュース」の「派遣村の人々、12日から旅館で暮らすことに…生活保護、申請223人中大半が受給決まる」を見ると理解しやすいでしょう。

 派遣労働について連日、新聞記事を読んでいて「派遣村」騒ぎから一気に製造業への派遣労働禁止論議に飛んでしまった印象です。どうして派遣労働者にセーフティネットが張られていなかったのか、説明されないままです。「禁止論議」とそれが失業を増やすとの反論に焦点が移っていますが、安全網の欠陥を直ちに修復するのが先決でしょう。「派遣労働者への雇用保険の適用について」(EU労働法政策雑記帳)に行き当たって、ようやく現状が理解できました。

 雇用保険適用について「少なくとも法文上は、フルタイムの派遣労働者について雇用期間による特別の適用除外規定は存在しません。ところが、現在の運用では、登録型派遣労働者についても『反復継続して派遣就業する者であること』が要件とされているのです」「この取扱いの源泉は、上述の1950年通達の『反復継続して就労しない者であつて、臨時内職的に就労するに過ぎないもの』にあるわけですが、『家庭の婦女子、アルバイト学生』をもっぱら想定してこの要件を設定していた当時の状況に比べれば、現在のフルタイム登録型派遣労働者の大部分はまさに『その者の受ける賃金を以て家計費の主たる部分を賄』う存在になっているのですから、あまりにも実態に合わない運用になってしまっているといえましょう」

 つまり雇用保険という安全網をかぶせるには法律改正は必要ないのです。通達で変更すればよいだけです。もちろん、守旧型の厚生労働省官僚は抵抗するでしょうが、マスメディアがジャーナリズムとしての責任を果たすには格好の回路が開いていると言えます。

 しかし、メディア報道は事前想定内の「ご確認報道」に止まっています。その悪しき典型を《「名古屋越冬闘争突入集会」…派遣切り難民はたった3人?》(dr.stoneflyの戯れ言)が指摘しています。名古屋・笹島の炊き出し現場を踏んだ筆者は「派遣切りされた方ですか」と聞かれて記者に逆質問しています。「記者が『らしき人』に声をかけていった結果……3人。たった3人なのだ。全国でも突出した派遣切りの数を記録する名古屋の越冬闘争に、たった3人。その3人は代わる代わる各社の記者の取材を受けていた」

 翌日のエントリーでは、派遣切り労働者が多数集まったかのように大きく扱われた新聞記事を掲示しつつ、取材、記事執筆のありようを批判しています。言うまでもなく、なぜ3人しかいなかったのか追究して、背後にある事実を明らかにするのがメディアの本来業務です。


2011年以降もアナログ放送の視聴可に。でも…

 読売新聞が伝えた「地デジ移行後3〜5年、CATVはアナログ放送受信可能に」には、何という知恵の無さと思いました。景気悪化もあって地上デジタル受信機器の普及がまだ47%にとどまることを受けて「政府は今年3月までに、CATV会社約330社が加盟する『日本ケーブルテレビ連盟』などに新対策の実施を要請し、夏までに詳細を詰める。CATV会社には設備への追加投資などで計30億円を超える負担が見込まれており、政府として支援策を検討する」というのです。

 ちょっと考えたら、この措置がテレビが見られなくなるお年寄りらへの対策になっていないことは直ぐに分かります。「泥縄の地上波デジタル対策だねぇ・・・」は「だいたいCATVに加入をするの?」「それとも電波障害扱いで無料なの?」「ましてや区域外再送信の問題や僻地における設備の問題はどうするのかなぁ」と問います。ケーブルTVに加入できない田舎や、加入料金や月額利用料も払えない所帯はどうするのでしょう。

 現在のケーブルTVでは、アナログ放送とデジタル放送はそれぞれ専用の端末機器を貸与され、視聴しています。アナログ波が停止するとアナログ放送端末は止まってしまい、そこにデジタルからアナログに合成し直した放送を流そうとするものです。一方、デジタル放送端末はセットトップボックス(STB)と呼ばれ、例の悪名高いB−CASカードが付いています。これによる制限がなければ、アナログとデジタルはもっと自由に行き来できるのです。数年のために設備に国費から30億円もかけて、それで最終期限が来ても買い換えられない家庭が多数残るでしょう。

 ※参照=「デジタル放送の元凶『B-CAS』に見直し論議 [BM時評] 」


メディアが黙殺した与野党合作の年金改革案

 夕方の恒例にしているJapan Blogs Netの巡回で、「貞子ちゃんの連れ連れ日記」が《報道されない超党派による「最高の年金改革案」》を出しているのを見つけました。昨年末、クリスマスに、自民党3人に民主党4人の年金問題に明るいメンバーが半年かけて練り上げた改革案を発表したのに、日経新聞以外のメディアはほとんど無視したといいます。「その『まっとうな最高水準の誠実な年金改革案』は報道されなかったのだ!!!」「マスメディアが報道してくれないのなら、私たちブロガーがリンクを張り巡らして、一人でも多くの日本人に、この『最高の年金改革』を広く知らしめようではありませんか!!!」と呼びかけています。

 私も発表に気付いていませんでした。確かに今回の改革案は新聞各社が相次いで出した案に比べてすっきりしていて、検討に値すると思えます。メンバーは自民は野田毅、河野太郎、民主は岡田克也、枝野幸男の各氏らですから相応の重みもあり、無視して良いはずもありません。「自民・民主両党による年金の抜本改革案」に概要が、年金提言最終版.doc(ワードファイル)に全文があります。

 どうして無視されたのか――ひとつ気になったのはわざわざ厚生労働省にまで行って発表した点です。河野さんたちには、厚労省クラブの各紙記者が年金の専門家であるとの誤解があったようです。確かに宙に浮いた年金記録問題などの年金不祥事は手慣れているかも知れませんが、制度問題の専門家ではないのです。では各紙の改革案は誰が作ったのかです。ほとんどは現場を離れている論説委員たちが鉛筆をなめながら作文したのです。新聞社が提唱するのなら、在野を含めてもっと研究者らから多くの知恵を集め、数字も詰めながら作成すべきであり、私は各紙の「作文」改革案を評価していません。

 ブログの声、例えば「灼熱の中に・・日記・・そして各新聞社の年金改革案のまとめ記事」にあるように、素人が見ても、あちこちおかしなプランなのです。新しい改革案を各メディアは真剣に検討すべきだと思います。今回の「事件」は、そういうことを指示する司令塔がどの社も不在であることを見せつけました。これでジャーナリズムでござい、と言ってもらっては困ります。


第171回「世界不況を契機に経済成長神話見直そう」

親サイトでは、インターネットで読み解く!第171回)

 オバマ次期大統領は3日、300万人分の雇用創出などを柱とする経済政策を発表しました。読売新聞の3日付インタビューで、クルーグマン・プリンストン大教授が「今はまず、政府・中央銀行による救済策が必要だ。大規模な財政出動や慣例にとらわれない金融政策などの対策を打たなければ、不況はこの先何年も続くだろう。新興市場にも深刻なダメージを及ぼし、金融システムに深い傷を残す。一時的な巨額の赤字をためらうべきではない」と述べているのに対応する政策でしょう。20日の大統領就任後に数十兆円規模の景気刺激策を取りまとめる模様です。

 昨年末の第170回「世界消費総崩れに中国だけ軽傷説は疑問」で、中国も57兆円規模の内需拡大策を打ち出していることを紹介しました。米中両国が本気なのは分かるのですが、この大不況は単に克服すれば良いことなのでしょうか。経済成長を元の軌道に戻せば、地球上に存在する資源は有限なのですから遠からず壁がやってきます。

 宮本憲一さんの『環境経済学新版』(岩波書店)で、インド独立の父、ガンジーが「インドが英国と同じことをすれば、地球がいくつあっても足りない」と主張し、地域に根ざしたネットワークを生かす経済発展を志向した話を読みました。映画「ガンジー」で見る質素な衣服の意味をようやく理解できました。宮本さんはこうした経済の在り方を「内発的発展」と定義しています。

 大紀元時報の「2008年中国国内失業者数、2・5億人に達する恐れ」は「政府は毎年2400万人の雇用機会を創出しなければならないと計画しているが、しかし人材需要に関しては、毎年8%から9%の経済成長率を持続していくには現有の労働力の上、1200万人の新たな労働力があれば十分だという試算がある」と伝えています。この通りならば中国の内需拡大策はもう破綻している事になります。

 「毎年2400万人の雇用創出」とは中規模国の産業社会を毎年、造りだしていくようなものです。この目標がそもそも異常です。「中国、百万都市が220に増えて変わること」にある「2025年までの17年間で、現在の全米人口を上回る3億5000万人が農村部から都市部に移動する」「新たな都市移住者の受け皿となるのは、人口1000万人以上の8つの巨大都市、及び500万〜1000万人の15の大都市」も異様としか言いようがありません。

 一人当たりGNI(国民総所得)は2007年で中国が2360ドルです。米国や日本に比べれば10分の1以下でも、インドの950ドルよりかなり進んだ状態です。これは平均であり、中国の沿岸部や都市部ではもっと高いはずです。むやみに経済発展を続けても達成できない、異常な目標を諦めて、今ある物を仲良く分け合う原理の社会に戻さないと、国民の失望感だけが膨張していくのは目に見えています。

 米国の自動車ビッグ3救済は、政府による資本注入もあり得ると伝えられました。第169回「自動車戦争、日米とも愚かな終幕に」を読まれた方なら「それはない」と思われるでしょう。全産業平均の2倍を優に超える1時間当たり報酬を得ている、高給の自動車労働者です。緊急融資ではなく資本注入するのなら、国営の企業がそんな高給取りを抱えるような、非常な違和感です。ワーキングシェアを導入してでも、販売減で解雇された自動車労働者を抱え直すのなら、雇用創出として説明できるでしょう。米国でも過去の考え方を改め、分け合うことを考える時期が来たと思います。

 米国流グローバリゼーションは破綻したのに、不況克服の先がまたそれであるはずがありません。この経済苦境を経済発展至上主義から持続可能な世界と社会に軌道修正するために与えられたチャンスと捉えて、今年は変化の芽を見つけていきたいと思います。


新年シンガポール絡み、恐慌!?と2ちゃん譲渡

 新しい年明け早々にシンガポール絡みで、目を引くニュース2件が舞い込んで来ました。「第4四半期シンガポールGDPは前期比年率‐12.5%、景気後退が深刻化」(ロイター)と、《2ちゃんねるがひろゆきから謎の会社「PACKET MONSTER INC.」に譲渡完了、その正体を探る》(Gigazine)とです。

 国内総生産(GDP)伸び率が2009年は各国ともにマイナスになるとは聞いていましたが、それも数%のマイナス予測でした。10%を超えるマイナスの数字が2008年の第4四半期に現れたことは驚異です。不況の域を超えて「恐慌」になりかけているのです。「ロイター調査によるアナリスト予想の中央値はマイナス3.4%だった」とありますから、全く予想外の事態です。「第4・四半期の速報値は10月と11月のデータを基に算出されている」そうですから、同様に貿易不振の痛手を受ける韓国などと合わせて注目しましょう。既に「ウォンとシンガポールドルが下落、景気不安で」が流れています。

 「2ちゃんねる」管理人、西村博之氏がシンガポールの会社「PACKET MONSTER INC.」に2ちゃんねるを譲渡したと自身のブログで発表です。いまのところ、上記Gigazineの記事が最も詳しいようです。掲示板上の書き込みを巡り、数々の裁判で負けても取り合わなかった西村氏ですが、今度は裁判を起こされる対象でなくなった訳です。司法関係者に頭痛の種が増えるのでしょうか。

 【1/3追補】読売新聞の3日付「規制なき市場経済ない…ノーベル賞・クルーグマン教授語る」で、「米国の景気を回復させるには、大規模で慣例にとらわれない財政・金融政策を迅速に行うことが重要だ」「何も手を打たなければ、現在6%台の米国の失業率は、少なくとも9〜10%に達するだろう。失業率を1%押し下げるには、2000億ドルの財政出動が必要との研究がある」との指摘です。大した手を打っていないのに「日本が一番早く回復する」と年頭に述べた麻生首相に戦略的展望はあるんでしょうか。