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2008年12月のエントリー一覧

12/29 Wiiの間チャンネルは超容易セカンドライフ?
12/27 今回もちぐはぐ、海自艦ソマリア沖派遣検討
12/22 第170回「世界消費総崩れに中国だけ軽傷説は疑問」
12/20 日台ラブストーリー異色映画「海角七號」、中国公開は
12/20 Big3救済:ついに自主判断を投げ出したブッシュさん
12/14 第169回「自動車戦争、日米とも愚かな終幕に」
12/13 ビッグ3救済:混乱、混迷まだまだ続く?!
12/11 ソニー首切り、不調ニッポン企業にも落差
12/07 NYタイムズが外部リンク活用を本格化
12/06 お騒がせ橋下知事、ブログでは賞味期限切れ
12/04 GMの命運はクリスマスまでに尽きる
12/02 内閣支持率急落の衝撃、統治なく時を失う

Wiiの間チャンネルは超容易セカンドライフ?

 2008年暮れも押し迫って、「家族」「生活」「絆」をコンセプトにした《任天堂と電通、Wii向けに動画配信サービス「Wiiの間チャンネル」を来春開始》とのプレスリリースが流れました。聞いた当初は大不況に突入しての縮み指向、家庭回帰に合わせた企画かと思ったのですが、しばらく眺めている間に考えが変わりました。もてはやされながら失速した仮想空間「セカンドライフ」を家族ベースにした超イージー版ではないのか、と思えるのです。

 現実にWiiでどんなことが出来ているのか、「Wii.com JP」に行けば分かります。「Wii Music」では仲間で色々な楽器を使って合奏できます。もちろん楽器は画面の中にあり、例のリモコンをそれらしく扱うことで演奏感が味わえるわけです。「街へいこうよ どうぶつの森」では街が造られて、そこでシティー生活を楽しむのですから、これだけでも簡便な「セカンドライフ」です。

 「Wiiの間チャンネル 出前チャンネル」(ブログ|ニュース&ワイド)は「お茶の間復権?ってことなんですけど」「2年前にWiiが発売された時には、テニスとかボーリングとか、けっこう家族で夢中になっちゃって、久々にお茶の間で家族そろってゲームを楽しんで、なんか懐かしい感じがしたんですね」「Wiiの間チャンネルは、どんなコンテンツなんでしょうかね」と期待を寄せます。

 プレスリリースには「任天堂(株)は任天堂ならではのユニークでどなたにもお楽しみいただけるサービスの開発・運営を手掛け、(株)電通は様々な外部企業と交渉し、Wii独自の新しいコンテンツの制作体制を構築します」とあります。「Wiiの間チャンネル」という仮想空間プラットフォームに外部企業のアイデア、コンテンツ力をどんどん取り込みますよ、と宣言しているのです。「動画配信サービス」という説明が悪いのです。

 Wiiは9月末時点で世界に3455万台が出荷され、8割がリビングのテレビに、4割がインターネットに接続されているそうです。国内に限れば11月末までの2年間で700万台を販売していますから、来年は1000万台に届くでしょうし、国内だけで数百万台が家庭からネット接続されている魅力は大きいでしょう。使用者が男女別、世代別で偏りが無いというのも大きな吸引力です。最初は国内から出発して、海外にも広げる方向のようです。

 全く新しい展開と考える方もいます。「新しい広告の形」(株式未来予想図)はこう指摘します。「任天堂と電通が本格的にタッグを組みました。TV・新聞広告業界のパトロン、トヨタが疲弊した今、王者電通も新たな有力媒体を確保する必要に迫られたわけです」「任天堂も今は何とか好調を維持していますが、新興国の中間層にゲームが普及するのはまだまだ先の話・・・。となると、現在の顧客から新たな収益を得るというビジネスモデルを何とか構築せねばならない・・・。そこにアニメや広告というネットを使った媒体が候補として浮かび上がった訳です。これは面白くなってきました。日本の広告の構造がガラッと変わる転機になるかもしれませんね」

 セカンドライフは話題になって一度は行っても再訪する人が少なく、閑散としているといいます。大不況で旅行も外食も控える時期が続くとしたら、家庭のリビングを受・発信地にした仮想ネットライフは強いかも知れません。世界中との交流も出来るでしょうから、縮こまっている生活の癒しにもなります。


今回もちぐはぐ、海自艦ソマリア沖派遣検討

 朝日新聞がソマリア沖への「海自艦派遣検討へ年明けにも与党チーム 海賊対策で」と伝えていますが、麻生内閣って何でもこう、ちぐはぐにしか物事を進められないんでしょう。自衛艦の海外での武器使用問題を解決しないといけないことは誰の目にも明白なのに、自衛隊法に基づく海上警備行動の発令を適用できると考えているようです。派遣することばかりが前面に出ていますが、本当は難問なのです。

 軍事の専門家、神浦さんは「最新情報・26日付」で「日本の領海ではないソマリア沖の海賊に海上警備行動を発令すれば、日本は世界のどこの海でも『海保が手に負えない』と判断すれば、海自の艦船を派遣することが可能になる。たとえばペルシャ湾に国籍不明の海賊船(?)が出現すると、日本は護衛艦を派遣して交戦することが出来るという意味である」「ソマリア沖の海賊問題は11月のNATO、ロシア、インドの海軍艦艇派遣、12月の国連安保理で行われたソマリア領内追跡攻撃許可の採決で、同海域での海賊発生件数は激減したはずである。数日前に、海軍艦船の派遣を決めた中国さえ出遅れた感がある。これから日本が海自艦船を派遣しても、海賊が出没しなくなった時に、日本からやってきたということになる」とその可笑しさを指摘しています。

 「河村官房長官の要請を受け、設置の意向」ということですから、今の内閣の要、官房長官はかなり鈍な方のようです。昔の「カミソリ後藤田」が懐かしい。この首相、官房長官のコンビには、本当に困ると言わざるを得ません。


第170回「世界消費総崩れに中国だけ軽傷説は疑問」

親サイトでは、インターネットで読み解く!第170回)

 欧米も日本も金融危機以降、消費が急速に落ち込んでいます。派遣労働者の解雇など各国の情勢は逐次、発表される経済統計で把握でき、今回の経済危機の深刻さをひしひしと感じますが、もうひとつの巨大経済圏、中国については依然としてブラックボックスに近いと思えます。マスメディアは公式な、つまり困ったことに信憑性を割り引かないといけないデータしか出せず、しかも先進国に比べて発表までの時間が掛かり、適切なアナリストもいません。半年、1年の先に何が起きるのか、見通したい我々には隔靴掻痒です。

 「人民網日本語版」2008年12月11日は「中国経済の見通しが明るい2つの根拠」を掲げ、「中国経済のファンダメンタルズが依然として良好を保ち」とした上で「中国はこれまで長い間、経済成長を輸出によってリードするというモデルを取ってきた。我々は今後、投資増加と内需拡大により多くの精力を注ぐ必要がある」「内需拡大10措置や4兆元投資プランは人々の元気を奮い起こす政策でもあり、経済を刺激するための手段でもある」と、とりあえず楽観的です。しかし………

 その前日の朝日新聞「中国の11月輸出、7年5カ月ぶりマイナス 」は「11月単月の輸出額は前年同月比2.2%減の1150億ドルだった。中国の輸出額が前年同月を下回るのは01年6月以来7年5カ月ぶりで、01年12月の世界貿易機関(WTO)加盟後では初めて。クリスマス商戦用の受注が落ち込んでいた米国向けが同6.1%減となる」と伝えました。

 12月7日配信の中国ニュース通信社「<中華経済>10月=鉄鋼産業、6年ぶりの赤字−中国」は「中国鉄鋼工業協会は会員企業71社の10月の損益が58億500万元の赤字となったと発表しました。鉄鋼産業全体が単月で赤字となるのはアジア金融危機の98年以来」と報じています。

 急成長持続だった中国経済もかなり根底から揺さぶられ始めたと考えざるを得ないのです。人民網日本語版の華々しい「内需拡大10措置や4兆元投資プラン」とは何でしょう。「【記者ブログ】中国が世界同時不況に貢献する方法 福島香織」によれば「1200億元相当の企業向け減税を柱とした内需拡大策10項目を打ち出し2010年までに4兆元(57兆円)を投入するという緊急経済対策を打ち出した。これ、誤解されている部分もあるが、4兆元まるまるの財政出動、ということではない。要するに総額投資規模が4兆元。現地のアナリストに聞いてみると、プロジェクトの中にはすでに予算が組まれているものもあって、新規のものは4〜6割程度ではないか」であり、「ところで、財源は?というと、これが一言も書いていない。さすが独裁国家。財源を書かなくてもOKなのである。で本当のところ、どうするのか、と、いろいろ情報をかき集めると、全体のうち中央財政出動が2割くらいをしめて、2割が企業債(社債)、あとの6割が銀行融資、らしい」という有り様なのです。

 これから状況を見ながら、中国経済の動向についてネット上のデータを収集、整理していきますが、まず最も基本になるところから。外務省の「主要経済指標」から、名目GDP(国内総生産)及び一人当たりGNI(国民総所得)です。内需拡大にはGNIが注目でしょう。
  2007名目GDP(億ドル) 名目GNI(ドル)
  日本  43,767     37,670
  中国  32,801      2,360
  韓国   9,698     19,690
  インド 11,710       950
  米国  138,112     46,040

 「US-China Trade Statistics and China's World Trade Statistics」の米中貿易の推移も見ておいてください。中国側から見て2007年の対米輸入652億ドル、対米輸出3215億ドル、差し引き2563億ドルの黒字です。少し前までは「チャイナ・フリーの生活なんて無理」と言われた米国ですが、大不況下でつつましく生きようとすればまず抑えるのが、どうでもいい安物商品の購入なのではありませんか。25兆円の対米黒字が大半消える可能性も否定できません。

 日中間の数字なら「中国・日中の主要経済指標」をご覧ください。ここでは対中直接投資契約件数が昨年から今年第3四半期にかけて急速に落ち込んでいる点が注目です。「世界の工場」としての資格は既に剥奪されたようです。


日台ラブストーリー異色映画「海角七號」、中国公開は

 メールをチェックしていると、JMMからメルマガ《『大陸の風−現地メディアに見る中国社会』「海角七號」》が届き、異色の日台ラブストーリー映画が中国大陸で公開される可能性について書いていました。詳しくは12月22日(月)に原文が「大陸の風−現地メディアに見る中国社会 / ふるまいよしこ」にアップされるので読んでください。

 台湾での興行記録を塗り替える異例の大ヒット、9月の日本の「アジア海洋映画祭イン幕張」でグランプリ、11月末の香港での公開でも成功が伝えられ、気になっていた映画です。「60年前、日本人男性教師が台湾から日本へ向かう引揚船の上で、残してきた台湾人の恋人に宛てて書いた手紙」の日本語ナレーションから始まり、現代の日台カップルの物語と交錯して展開します。政治的な映画ではないのですが、日本と絡む台湾内部を映し出し、日本語、中国語、台湾語が入り交じるといいます。このメルマガほど詳しい紹介と解説は初めてでした。

 内容から中国本土での公開が危ぶまれるとも聞いていたのですが、可能性が高まっているようです。どうなるのか、年末の注目ものです。主演女優、田中千絵さんのインタビュー記事《「台湾ってかわいい!」―『海角七号』主演女優・田中千絵》や2ちゃんねるの【大ヒット】海角七號【ブロガー】もご参考に。ただ、日本国内公開がまだ決まっていないのですね。


Big3救済:ついに自主判断を投げ出したブッシュさん

 米国政府による自動車ビッグ3への巨額繋ぎ融資が決まりました。「失敗した事業には税金は投入できない」とか言っていたブッシュ大統領も、自分でどうすれば良いか判断できなくなって、当面の破綻だけ避け、オバマ次期政権に丸投げです。金融経済危機のさばき方から見て、無理だとは思っていましたが、やっぱりです。緊急融資には色々と制約を付けているように見えますが、具体的ではありませんから尻抜けです。米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用による再建かと観測するアナリストが多かったのに。

 NYタイムズの「Bush Aids Detroit, but Hard Choices Wait for Obama 」が書いているように、就任早々、十分に精査する時間も無しに次の本格的な救済・再建策、あるいは破綻確定を決めねばならないオバマさんは大変です。

 中岡望さんが「ブッシュ大統領の自動車メーカーに対する”つなぎ融資”実施の声明全文」を翻訳していて、「本来なら最初からチャプター11による再建が好ましいのでしょうが、大統領声明にもあるように、消費者離れを誘発し、経営危機を深刻化させるとの判断があったようです。これはワゴナーGM会長も繰り返し主張していたことです。しかし、既に消費者離れは始っています。今後もシェア低下は続くでしょう。自動車産業の危機の構造は何も変わっていないのです」と指摘しています。

第169回「自動車戦争、日米とも愚かな終幕に」

親サイトでは、インターネットで読み解く!第169回)

 米自動車ビッグ3の最後のもがきは続いていますが、事態がどのように転んでも長かった日米自動車戦争に幕が下りる点では同じです。1999年に第68回「日本の自動車産業が開いた禁断」を書いて以来、折に触れてウオッチを続けてきた立場で区切りをつけておきたいと思います。特に2005年に第151回「日本の自動車産業は世界を幸せにしない」(改) 英語版)を書いているだけに、敗者の米国勢だけでなく、勝者のはずの日本勢と日本社会の有り様が喜べないのが残念で仕方がありません。

 救済法案をめぐる上院での交渉決裂の最大要因は、自動車労働者の賃金を米国にある日本車工場並に引き下げることを、全米自動車労組(UAW)が拒否した点にありました。どれくらい高いのか、13日の日経新聞3面に棒グラフがありましたが、数字がきちんと書かれていません。中岡望さんの「GM倒産の危機の構造:なぜアメリカの自動車業界は破綻しつつあるのか」に「ある調査はビッグスリーの1時間当たりの報酬(医療保険や年金、諸手当などのコストを含めたもの)は73・20ドルであると推計しています。トヨタ自動車の場合、その額は48ドルです。他の産業の専門職の場合は47・57ドル、製造業の労働者の場合31・59ドル、全産業で28・48ドルです。この数字から分かるように、アメリカでは自動車メーカーの賃金は圧倒的に高いのです」とありました。

 UAWは米国でも最強の産業別労組です。各メーカーの工場別に拠点を設けてストライキも辞さない強力な賃上げ闘争をしてきました。急速な円高前では「1ドル=100円」が相場でしたから、この計算で考えましょう。73ドルなら時間給7300円ですが、これには多数の退職者の医療費・年金などが含まれていて、現役労働者の賃金・手当は40ドル余りのようです。それでも時間給4000円は、人気ドラマ『ハケンの品格』の主人公「スーパー派遣OL」さえ上回っていたのではありませんか。ビッグ3救済問題で米国世論が賛否半々であるのは、こうした高給取りが知られているからでしょう。普通だったらもっと同情を集めるはずです。

 翻って国内では経済危機から車が売れなくなり、自動車各社が一斉に派遣労働者や期間工を解雇し始めました。最近の新聞報道を見ると、彼らには「月に25万円稼げる」のが好条件だったのです。週40時間労働として4週間なら時間給1562円です。トヨタが米国で現役労働者に払っている分は35ドルを超えているようですから、日米自動車産業の賃金格差は2倍にもなる計算です。国内では好況時にも賃上げを押さえる先頭に立ったのがトヨタでした。この結果、若者が自動車を買わない、結婚しない、家族を持ちにくい社会が出来てしまいました。

 GMは政府の支援を受けられたとしても2009年1〜3月期の生産台数を半減させる見込みです。ビッグ3が生産規模を半減させるだけで200万人規模の失業者が出ると言われています。経済危機の最中に深刻ですが、米国だけの問題では終わりません。ロイターは12日に「ビッグ3破産なら日本経済は戦後最悪の後退局面入りも」を流しました。ビッグ3が破綻した場合で300万人の失業者が出て、「景気先行き懸念増大を通じて、米国経済の7割を占める消費が下押しされるのは確実とみられている」「米国の景気後退が長期化した場合、日本経済にも輸出減少を通じて、企業収益や生産に大きな下押し圧力が生じるのは避けられない」という指摘です。破綻しなくても生産半減でも、国内に大きな影響が避けられないところまで事態は進みました。自動車の日本勢は将来は市場を奪うでしょうが、当面は売り上げ不振と部品メーカーの破綻などに振り回されます。

 Bloomberg.co.jpの《GMは「既に破たん」−問題先送りの末、信用危機が最後の一押し》を見て、GM経営陣にも賢愚、色々あったのだと知りました。ワゴナー会長は9月のリーマン・ブラザーズ破綻の翌日にあった創業百周年パーティで「消費者に大きな影響はないだろう」と能天気に語ったそうです。賢者は元取締役ジェローム・ヨーク氏で2006年1月に「約1000日後(2008年10月)に事業資金が底をつくと試算した」そうです。予言は正しかったのですが、退けられました。その時に本格的な再建を始めていれば、何とか時代に合う小型車が造れるようになっていたかも知れません。


ビッグ3救済:混乱、混迷まだまだ続く?!

 クリスマスまで2週間を切ったのに、米自動車ビッグ3の救済劇は混乱、混迷の度を深めています。下院の作った救済法案は、上院での交渉決裂で葬られました。数百万人規模の雇用不安要因ですから米国経済への先行き不安は急膨張し、1ドル88円台の円高に直結、国内の輸出企業はみんな真っ青になりました。日本政府は単独での円高阻止、為替市場介入も辞さない構えです。

 米国政府は代替策として、金融安定化法に基づく公的資金で支援検討との緊急声明を出して市場をなだめにかかっています。ところが、それを実行するにも条件整備が必要です。「GMの命運はクリスマスまでに尽きる」で書いたように、銀行業に資本注入するのなら利子を付けて返済される見込みがありますが、ビジネスモデルが破綻しているビッグ3に数千億円の緊急融資をして戻ってくるとは考えにくいからです。日経の「(12/12)米自動車救済、金融安定化法活用でも綱引き」がそのあたりの混迷を伝えています。

 ブッシュ政権はオバマ大統領就任(1/20)まで1カ月以上も続くんですね。数千億円ないと年が越せないGMにクライスラー。離任直前に税金から1兆円の捨て金は、流石にためらわれるブッシュ大統領。

 「Japan Blogs Net 政治・経済」から拾うと《アメリカ「ビックスリー」で見る日本の霞が関のアブノーマルさ。》が「アメリカ・びっくりスリーは、自らの『アブノーマルさ』を最後まで認識できなかったけれども、アメリカ議会は、びっくりスリーの救済を断固拒否する『ノーマルさ』は保有していたようです」とずばり指摘しています。


ソニー首切り、不調ニッポン企業にも落差

 ソニーが世界で16000人規模の人員整理をするとのニュースが経済の危機感をいっそう強くしています。2005年の危機当時に書いた「輝きが無いソニー改革人事の違和感 [ブログ時評14] 」と、その英訳版「Misgivings about the dull personnel revolution at Sony 」がにわかに読まれ始めて、改めて内外の世間が現在の経営陣には失望している感じが伝わってきました。

 「ソニー大量リストラ・技術軽視、ソフト重視のツケ」は「今ソニーにどんな新技術があるのか?」「又ヒット商品も何であるのか、さっぱり聞こえてこない。最近読んだ週刊誌には、そのソニーの技術軽視体質による基礎研究の廃止が取りざたされていた。その研究の担当者は、スタッフも何も取り上げられて単なる窓際に置かれたというのであった」「こういう、本来の最新技術のソニーからの営業重視の体質になってしまったソニーには、生き残る道は少ないのではないか」と疑問視しています。

 日経BPに「2008年米国自動車ブランド回帰率でホンダがトップ」が掲載されていて、「米国で新車購入時に従来と同じブランドを選んだ割合(ブランド回帰率)」2008ランキングでホンダが64.7%のトップになりました。トヨタは2006〜2007のトップから2位に転落です。次いでレクサス、メルセデスベンツ、BMW、意外なことにフォードが6位52.5%なんですね。ビッグ3の中でまだましな訳です。日本勢で最悪は28.1%の三菱自動車です。トヨタを含めて傾きかけつつある日本企業の間で相当な落差があります。


NYタイムズが外部リンク活用を本格化

 ニューヨークタイムズ紙のウェブが5日、従来になく本格的に外部リンクを重視する方向で刷新されました。主要記事サマリーの下に小窓が設けられ、そこには記事に関連する、一般人のブログ記事や競合するマスメディア記事のリンクがびっしり埋め込まれているのです。この状態にするには右肩にある「Try Our EXTRA Home Page」のロゴをクリックする必要があります。リンク先の選択はタイムズが作った「Blogrunner」から自動的に送られ、12000ものメディアやブログの更新をウオッチしているそうです。

 米国の「Center for Citizen Media」ブログは「NY Times Continues to Push Old-Media Boundaries」で「やり方は決して目新しくはないが、我々が現に生きている、リンクで満ちた社会に進み出てくれた」と評価しています。

 国内では「メディアパブ」が「NYTサイトの窓が大きく開かれた」で「NYTサイトのトップページから、競合するWSJ.comの記事などにダイレクトリンクが張られる時代になってきた」「いよいよ新聞社サイトも鎖国政策に終止符を打ち,本格的な開国に向かい始めた。供給者の思惑だけでユーザーを囲い込んでいると、ユーザーが寄り付かなくなる」と評しています。まさにその通りです。

 翻って国内の既成メディアのネット政策は極めつけの鎖国状態です。先日、ある大学で「ネット社会とメディア」と題した講義をしてきましたが、「国内大手メディアのウェブサイトは極めて閉鎖的だ。記者ブログを設けるにしても本体と分離したり、見えにくい場所に設け、記事にコメントを受け付けるようにもなっていない」と申し上げざるを得ませんでした。

 破綻寸前の米ビッグ3を政府の巨額融資で救済する問題をめぐるウォールストリート・ジャーナルの記者ブログ、例えば「Political Wisdom: Who’s Willing to Save Detroit?」ではコメント欄でも活発な議論がされています。国内マスメディアの経営は経済危機も手伝って急速に傾いています。小手先のコストカットだけでなく、ネット社会とどう向き合うのか、共にどう生きるのか急いで検討するべきです。


お騒がせ橋下知事、ブログでは賞味期限切れ

 この春、大阪府知事に就任して以来、物議を醸す発言をし続けている橋下徹知事が、府内の小中学校への児童生徒による携帯電話の持ち込みを原則禁止する方針を打ち出しました。府立高校では、校内では使用禁止にするものです。ネット規制にもかかわる話なので、ブログでも関心が高かろうと思ったのですが、「常識派」の規制賛成論が多く並ぶ不思議な光景です。気になってテクノラティのブログ記事数グラフで調べて判りました。ブログ大衆には「お騒がせ橋下知事」の賞味期限は切れたのでした。


 10月半ばごろに記事数が大きなピークを作ったのが最後で、11月になってからは、「お騒がせ」にほとんど反応が無くなっていました。10月のピークとは何かさかのぼると、朝日新聞社説とのバトルとか、高校生と意見交換をして私学助成削減をめぐり泣かせてしまった件でしょう。「もう飽きた」という気分、よく分かります。誰が論評したって、この人が聞く耳を持っているとは到底、思えないからです。

 さて携帯電話禁止問題ですが、「比べてわかる橋下提言」は「ある程度信用のおけるデータに基づいた上で『賢くなりたいならケータイを使うのをちょっと控えてみないか』と提案するこの方針は、再生会議や懇親会の雰囲気語りとはワケが違う」と福田内閣のレベルとは違うと認定し、とても高い評価をしています。

 「携帯電話 持ち込み禁止令」は「子供に有害と思えるものは全て排除する。学校側としたらこれが一番簡単な方法です」「しかし、それでは今までと何も変わらない。また同じような現象に陥るのは明白だと思います」「あれもダメこれもダメでは生徒が理解できないし、生徒が先生を信用できなくなるのは当然です。納得できない親もいるはずです」と考えを進めています。

 マスコミは論争が起きている風に伝えていますが、ブログは白けきっている様子。普通ならば「反文明主義かよ@携帯禁止令」のようなタッチの発言があちこちに現れそうなものですが……。


GMの命運はクリスマスまでに尽きる

 米自動車産業ビッグ3は2日に米国議会から求められていた再建策を公表しました。「ビッグスリーが再建計画提出、GMの深刻さ浮き彫りに=1」が全米自動車労組(UAW)幹部の話として「GMは、数日中に政府資金を確保できなければ、クリスマス前に連邦破産法の適用申請を余儀なくされる可能性がある」と伝えている通り、危機は予想以上に深刻であると明かすものになりました。GMは数千億円の緊急融資がなければ「破綻、待った無し」の状態に至っているのです。

 10月に続いて11月も自動車販売が落ち込んでいることが発表されました。目を覆うような数字が並びました。月間販売台数が80万台割れは数十年ぶりです。
  GM     -41%
  フォード   -30%
  クライスラー -47%
  トヨタ    -34%
  ホンダ    -31%

 GMが作成した立派な再建計画書がネット上に出ています。「Restructuring Plan for Long-Term Viability」ですが、とても信じがたい内容です。例えば、以下のグラフが示すシナリオを信じられる人がいるかです。


 一番上の政府支援ありはともかく、政府支援無しの場合(真ん中のグラフ)でも再建がそんなに都合良く行くのだったら、何も頼むことはないのでは、と思ってしまいます。私なら、この再建策に信憑性が無い証拠だと考えてしまいます。皆さん、いかがでしょうか。米国議会の公聴会は4、5日です。これに飛びつくほど議会は甘ちゃんではないでしょう。


内閣支持率急落の衝撃、統治なく時を失う

 あまりに無為無策で時を過ごしすぎですよ、総理。日経新聞の「内閣支持率急落31%」(不支持率62%)に、フジ・産経の「内閣支持率急落、27.5% 『首相にふさわしい』も小沢氏に軍配」(不支持率58.3%)は、世論の動向を気にしない麻生政権に、国民からはっきり「ノー」が突きつけられたものです。深刻になる経済危機に対して実質的に何もしていないし、第二次補正予算案は年明け提出だから、これから1カ月ある年内、経済の実体に対し何もしないと宣言しているのと同じです。本当に動くのは春以降でしょう。

 かみぽこ政治学の「麻生首相、なんでこーなるの? 」は自民党内でも巻き起こる首相批判をこう解説しています。「なんで今、麻生首相の迷走しているのか」「要は、麻生首相が就任した時の初動があまりにも稚拙だったということ。総裁選の最中から、首相就任後の2週間くらいの間に『オレが、オレが。。。』という、ひとりよがりな態度が、民主党ばかりでなく、公明党も自民党内までも怒らせてしまっていたのだ。それでも、まだ麻生首相が早期に衆院解散するならば、とみんな我慢していたわけだ」「麻生首相が解散しないとなったから、これまで怒りを抑えていた人たちがみんなカンカンになっちゃった」

 首相は1日、官邸に日本経団連など経済界の代表を呼んで、賃上げや雇用対策強化を要請したそうです。これも何か違いますよね。政策を打ち出さないで、先に民間にお願いするとは。今日買った「ダイヤモンド12/6号」で野口悠紀雄さんが、トヨタをはじめとした自動車産業の総崩れによる「大幅減産だけで雇用者所得やGDPを0.3〜04%減少させる。来年度の実質経済成長率は最悪だった1998年のマイナス2.1%をも上回る事態が生じる可能性がある」と指摘していました。

 解散総選挙どころではなくなりました。「通常国会途中で政権を投げ出すのではないか」と小沢民主党代表が言い出しているのも、揺さぶりだけではないように思えます。


2008年11月のエントリー一覧

11/30 第168回「若者と女性の痩身化は雇用不安が主因」
11/30 柴田倫世さん「おっぱいマッサージ」の話
11/27 五輪野球メダル逃す、星野報告書に批判続出
11/25 金融危機がもたらす中東産油国の不安定要因
11/23 GMの年内破綻、秒読みが始まった
11/22 ベルリン・フィル定期演奏会がネット中継に
11/19 医師不足問題での麻生首相発言は致命的
11/16 ホームレス・ブロガーからの休筆通知
11/15 企業のテレビCM離れ、本物になった!?
11/11 米国の金融・産業危機、底なしの様相
11/08 GMの破綻は年内にもあり得る情勢に
11/08 オバマ当選翌日のJapan Blogs Netの記録
11/05 オバマ当選の衝撃をリアルなグラフで
11/02 ブログ記事数グラフで見る米大統領選
11/01 効かない利下げ、やむなし利下げ