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2008年7月のエントリー一覧

7/31 速報:B-CAS体制に風穴。維持へと出荷停止
7/28 ネットの世界、1兆ページを突破!
7/26 五輪目前、北京の大気汚染改善に悲観的
7/24 『ブログ通信簿』…お遊び程度の技術ですが
7/21 青森の再処理工場は未完成に終わる運命
7/20 毎日新聞の「おわび」は不成立ではないか
7/19 20年前の”幻ネット”復刻、復活
7/19 久しぶりに笑った高校生のお弁当、国際反響
7/17 前年度比1兆円増で伸びる医療費の裏側
7/13 医療水準は全員参加の見積書で決定を
7/09 話題二つ:毎日その後/米国の保守主義
7/08 アクティブなブログ数は300万で頭打ち
7/04 国立大の運営費削減は医療費以上に過酷
7/03 大学病院の医師って、実はとても暇だった?
7/01 日韓で起きたマスメディア×大衆の激突

速報:B-CAS体制に風穴。維持へと出荷停止

 この数日、地上デジタル放送(衛星デジタルも含むのだけれど)の元凶「B-CAS」体制に大きな風穴が開こうとしていました(B-CASについては「デジタル放送の元凶『B-CAS』に見直し論議 」参照)。エスケイネット製USB接続タイプのデジタルチューナ「MonsterTV HDUS」のドライバーを書き換えると、デジタル放送の暗号化がなくなった状態で録画できることが判明し、マニアの間ではこの2、3日、大騒ぎになっていました。台湾製の規制すり抜けデジタルチューナの半値以下と安く、しかも最初から公式のB-CASカード付き国内製品とあっては大変です。

 どうなることかと見守っていると、エスケイネットから30日付けで「一時出荷停止のご案内」が出てしまいました。この製品は暗号化をソフトウエアで行っているために、ドライバーの書き換えで、機能を停止させることが出来たようです。

 ブログでは当然ながら非難ごうごうです。例えば「冗談抜き! 凶悪B-CASの素早い規制でHDUSが出荷停止に」は「やはり利権の温床は甘くなかった。HDUSが我々に開放の道を開いてわずかに三日、なんと出荷停止の発表がなされてしまったのだ」「B-CASはユーザーの声は聞かないが、規制を守るための行動はどこよりも迅速である」と抗議しています。

 B-CAS体制を終わらせるための、象徴的な事件になるでしょうか。

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ネットの世界、1兆ページを突破!

 グーグルがgoogle Blogの"We knew the web was big..."で、7月25日、"1 trillion (as in 1,000,000,000,000) unique URLs on the web at once!"と発表しました。そうです、遂に1兆ページを突破です。

 この記事によると、グーグルが登場した1998年には2600万ページが既に存在、2000年には「one billion(10億)」へ、そして8年で1兆ページでした。1998年は私にとってもINTERNET WATCHでの連載を止めて、独立メールマガジンと独自ウェブを始めた年です。ネットの成長は本当にもの凄い勢いでしたね。現在でも毎日、数十億のページが生まれているとも伝えています。

 グーグルはこの膨大なページの相互リンク関係を記憶してページの重要度をはじき出し、検索結果を出力する順番を決めています。1兆とまでなると、言うは易くして、実際に行うのはとんでも無いことのように思えます。グーグルの記憶装置はハードディスクではなくキャッシュでしたよね。メモリー群がどんな風に実装されているのか、その巨大さが想像できかねますし、「a link graph with many trillions of connections」をどう管理すればよいのか、見当がつきかねます。最近、開設の「サイエンスネット.jp」に圧倒的に多く収集にやってくるのも「googlebot」ですし、グーグルを凌ぐ大変さを改めて感じます。


五輪目前、北京の大気汚染改善に悲観的

 昨年の今ごろ、「中国の酸性雨拡大にみる越境汚染の怖さ [ブログ時評82]」を書いたときから心配していた北京五輪の大気汚染状況です。もう開催目前、どうなっているのか。科学技術振興機構(JST)北京事務所長のブログ「変わっていない!車の数も大気汚染も」が報告してくれています。

 7月25日の「昼間の北京の視界は確実に500メートル以下でした。例によって雲はなく、太陽は空に白く見えており、肉眼で日食観測ができる状況でした。空の状態は天津市上空あたりからずっと同じだったので、天津と河北省に囲まれている北京市だけでは、北京市(岩手県より少し広く四国より少し狭いくらいの面積がある)だけで大気汚染対策をやってもムリだ、ということが、飛行機の上から見てよくわかりました」

 「今のところ大気汚染の劇的な改善は見られていないのは事実です。もしかすると、このような状況のままオリンピック期間に突入するのかもしれません。私は何回も『さすがに、本番のオリンピックになれば、きれいな青空になると思う』と書いてきましたが、自信がなくなってしまいました。既に車の規制は実施され、汚染を出す工場は停止され、建物の建設・解体工事は中断状態にする、など打つべき手は打っているからです。はっきり言って、今日の北京の空気の状態では、マラソンはちょっとムリだと思いました」

 これはかなりの重症ですね。五輪参加各国が心配するのも当然です。ウオールストリートジャーナル紙が、米国選手団が秘密の高性能マスクを用意しており開会式で着用するようなら、開催国中国の面子がなくなると伝えた「Olympic Athletes Wearing Masks Could Cause China to Lose Face」が各国メディアに引用され、ネット上でも話題になっています。

 米国の秘密マスクはどんなものか画像は見られませんが、中日新聞の「会場の大気大丈夫? 五輪選手の1割ぜんそく」には、日本選手団に用意されている防塵マスクの写真がありました。「使い捨て式防じんマスク ハイラック355型」のようです。10枚で4千円足らずの値段です。今年初めから洗い出してみると、五輪選手に潜在的なぜん息持ちが予想外に多かったために用意したようで、泥縄式です。またも米国に水をあけられている印象です。男子マラソン世界最高記録保持者のハイレ・ゲブレシラシエ選手(エチオピア)がぜん息の心配から欠場を決めたのは賢明な決断だったと見えてきました。

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『ブログ通信簿』…お遊び程度の技術ですが

 NTTレゾナントが「『gooラボ』で、ブログ記事からブロガーの年齢や性別、ブログの影響度などを推定する『ブログ通信簿』の実験を開始」を発表しました。ブログを「主張度」「気楽度」「マメ度」「影響度」の4指標で5段階評価してくれる仕掛けです。ブログ通信簿がそのリンクです。

 文章表現からブログ主の性別や年齢を推定するプロフィール判定も付いています。「きっこのブログ」(http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/)を入れてみると、「主張度2」「気楽度3」「マメ度5」「影響度5」で、プロフィールは「女性」「29歳」との推定です。「主張度2」は駄目という感じですね。色々な知っているブログで試すと分かりますが、まだお遊ぶ程度の技術でしょう。

 でも、早くもアクセスが殺到しているようで「しばらくの間、新しい通信簿の発行は1日1回(00:00-23:59)までとさせていただきます。同じ日に2回以上通信簿を作成しても、同じ通信簿が作成されます」とのお断りが出ています。最新のエントリー10回分を分析するので、どんどん点数は変わっていく仕組みです。お暇な方は自動判定のアルゴリズムをあぶり出すように内容を工夫してみるのも、面白いでしょう。


青森の再処理工場は未完成に終わる運命

親サイトでは、インターネットで読み解く!第162回)

 日本原燃が青森県六ヶ所村で建設している再処理工場は、最終段階の高レベル放射能廃液をガラス固化するところで暗礁に乗り上げてしまいました。7月2日、半年ぶりに試運転再開して、その直後にノズルが詰まって緊急停止したと聞き、尋常の事態でないと感じていました。ところが、マスメディアはどこも詳しいレポートをしてくれません。21日になって日経が朝刊の奥の方にある科学面で「日本原燃の再処理試験トラブル 原因究明は長期化 未完成の国産技術採用 コスト重視に落とし穴」を書いてくれました。もう原子力を見ている記者はいなくなったのかと本当に心配していましたが、川合智之記者のグッドジョブです。

 例によって、こうした価値が高い記事でもネット上に出ることはありません。ネットで受けるのは「ひとくち話のようなもの」という誤解が国内のマスメディア側にありますし、確かにネット読者の多くはそういう行動パターンです。ニューヨークタイムズのようにネットで利用できるようになるのは何時のことでしょう。

http://www.jnfl.co.jp/press/pressj2008/080711sanko.pdf

 今回の記事の核心は次の部分です。廃液とガラスを混合、溶融してノズルからステンレス容器に落としていくのですが、そのノズルが簡単に詰まってしまうのです。この部分は原研東海の実験炉で実績があると聞かされていました。「日本原燃は原研機構の溶融炉をそのまま導入したわけではない。原研機構の実験炉では、濃縮装置で廃液濃度を一定に保ち、スポンジ状のガラスに廃液を染み込ませてから溶融炉に入れる。日本原燃は低コスト化のために濃縮装置を省き、ガラスも低コストの粒状のものに替えた。溶融炉の大きさも原研機構の5倍に拡張するなど、実質的に新規開発に近かった」

 これを読んで絶句しました。仕組みと言い、スケールと言い、全くの新規開発です。崩壊熱を自ら発する多数の物質が入り交じった溶融炉の中の物質挙動が、これほど仕組みも物質量も変えて同じになるはずがありません。一国の核燃料再処理を担うのですから、当然、実物大の実験炉で成功させてから実機に組み込むべきです。エンジニアリングの基本を外しています。

 今度の再処理工場本番がその実証実験のようです。原発の核燃料棒から最悪、最強の放射能廃液を絞り出して集めた場所です。ここは通常の原発の放射線レベルとかけ離れた死の空間になり、遠隔操作しかあり得ません。ノズルが詰まったからと人間が覗きに行ける場所ではありません。また、ガラス固化が滞ると前の処理工程が動いていれば高レベル廃液がどんどん溜まります。これが通常の工場廃液のようにタンクに置いておけば済む性質ではないのです。自らの崩壊熱でどんどん熱くなり、強制冷却しないと爆発さえありえます。

 「欠陥ガラス溶融炉の悲痛な叫びが六ヶ所再処理工場は動かしてはならないと訴えている」は「調査の過程で根本的な欠陥が明らかになったにもかかわらず、原子力安全・保安院は6月30日に運転再開を容認しました。今回のトラブルは、この再開容認が間違っていたことを明らかにしました。日本原燃は、前例がなく原因は不明、再開の目処は立っていないとしていますが、前回のトラブルで下部に溜まった白金族元素を含む残留物が流下ノズルに残り、これが影響したような場合には手の打ちようがないでしょう」と指摘し、運転中止を訴えています。

 日経記事によると当初の完成時期は1997年だったのに13回延期され、「現在の計画は7月完成だが、今回の不具合で絶望的となった」とあります。10年以上も完成がずれこんで、今になって根本的な欠陥が明かされる恐ろしさ。マスメディアはきちんと向き合わねばなりません。「既視感ばりばり、もんじゅ低技術の恐怖」と並べてみると、日本の「官製」原子力開発には人材がいないことが明らかです。競争の世界にさらされている基幹産業のエンジニアが知ったら笑い転げるか、憤慨するか、どちらでしょうか。


毎日新聞の「おわび」は不成立ではないか

 英文サイト不適切記事問題で毎日新聞が20日朝刊で1面肩に掲載した「英文サイト出直します 経緯を報告しおわびします」と、2ページに特設した検証記事・「開かれた新聞」委員会の評価を読んで、中身は予想外に率直だなと思うと同時に、これは「おわび」として成立していないと感じました。

 「日本についての誤った情報、品性を欠く性的な話題など国内外に発信すべきではない記事が長期にわたり、ほとんどチェックなしで掲載されていました」と認めた時点で事態の深刻さは明らかです。さらに「内部調査の結果、問題のコラムは掲載の際にほとんどチェックを受けず、社内でも問題の大きさに気づかずにいたことがわかりました。何度もあった外部からの警告も放置していました」と、具体的な外部指摘があったのに放置していたことまで認めています。

 「昨年10月、米国在住の大学勤務の日本女性から内容を批判する英文メールがデジタルメディア局に届いている。『正確さについて保証しない』との断り書きがあっても掲載すべきでないというもので、理由として▽論理的に考えれば記事はウソに違いないと思う▽日本文化をよく知らない人たちに誤解を与える――ことを挙げた」という事実まで明らかにされると、新聞社全体としての管理責任放棄は免れ得ないと思います。誤報ではなく、虚報を書いて、読者に指摘され、さらに無視して、虚報を書き続けたのです。

 「検証踏まえ2人追加処分」として「99年4月から04年6月まで総合メディア事業局長だった渡辺良行常務について役員報酬20%(1カ月)返上の追加処分」などとあるのですが、今回の検証を踏まえて処分を全面的に見直すのが普通の在り方でしょう。新たに明らかになった問題点の大きさに追加処分が追いついていないのは明白です。

 また、ネット上で毎日批判が燃え上がったことについて「『開かれた新聞』委員会委員に聞く(2)」で作家・柳田邦男氏が「失敗に対する攻撃が、ネット・アジテーションによる暴動にも似た様相を呈しているのは、匿名ネット社会の暗部がただごとではなくなっていると恐怖を感じる」と述べています。この発言は本当なのでしょうが、当事者の新聞社が掲載するコメントではないと思います。「おわび」不成立の印象を強くする大きな要因です。

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20年前の”幻ネット”復刻、復活

 メディアが作ったのに、全く痕跡なく消えてしまったために、ネット社会でもほとんど忘れ去られたパソコン通信ネットがあります。今年が20周年であるため、復刻、復活させてみようということになり、この2週間ほどその作業に多くの時間を取られてしまいました。そのネットとは「サイエンスネット.jp」です。興味があればどうぞ。

(このエントリーでは、コメントやトラックバックは受け付けません)

久しぶりに笑った高校生のお弁当、国際反響

 ユーチューブの、何て事もない高校生のお弁当風景ビデオに海外から400件ものコメントが付いていて、それを和訳しただけの「日本の高校生が教室でお弁当を食べる映像の海外反応【YOUTUBE動画】」です。でもなぜか笑ってしまったので、紹介しておきましょう。世界中から見て、日本の食生活は羨望の的なのですね。へええー、そう見えるのか、という驚きばかりです。(私も大学生の子ども2人に週に1回、お弁当を作っています。このところ卵の出汁巻きを欠かしていません)

 ランチの記事なら「学校給食事情〜飽食国の貧困から始めて [ブログ時評36]」が欠かせないところです。まだリンクも生きているようです。飽食の欧米と違って、貧しい国への給食援助活動で使われる「FBFは、穀物と、その他の材料(たとえば、大豆をはじめとする豆類や乾燥させたスキムミルク、砂糖、植物油)とを混ぜ合わせたものです。これらを製粉、ブレンド、調理した後、ビタミンやミネラルを混合させることで栄養価を強化しています」。その写真を見ると、胸に来るものがあります。最近も、国連の給食活動の昼食を持ち帰って難民家族を支える話がニュースになっていました。


前年度比1兆円増で伸びる医療費の裏側

 厚生労働省が2007年度の「医療費の動向」をまとめたとのニュースが流れました。「中央社会保険医療協議会 医療費の動向等について」に詳しい資料があります。33兆4000億円で前年度比3.1%、約1兆円の増加です。厚労省は「2007年度は制度改正がなく、医療費の伸びは従来と同水準となった」と分析しているのですが、こういう中身のない、客観的に分析できない言い方にはうんざりです。「平成19 年度の医療費について」からひとつ表を引用します。「表10-2 1施設当たり医療費の伸び率(対前年度比)」です。


 「地方公営病院は末期的状況」にあるとおり、2006年度には「制度改正」で無理矢理、医療費は抑制され地方公営病院は77%が赤字のありさまになりました。上の表で公的病院の「平成18年度 ▲1.0%」という数字がその痛みを表していると思います。収支とんとん、格段、経営努力をする余地がない状況で1%も売り上げが落ちれば、どんな企業体でも赤字転落が増えます。厚生労働省は「制度改正」が無かった2005年度(平成17年度)並になったと主張するけれど、大学病院も公的病院も法人病院も2007年度は随分、大きな伸び率になっていると見えます。

 医療費の単価をいじって赤字転落にさせるような無茶をしたら、人間が働き、生きている組織である以上、病院にも自己防衛の本能は働きます。全体として治療に掛かる日数は減ったけれど、1日当たり医療費が伸びて結果として全医療費は増えてしまうことになっています。それを「医療技術の高度化」と呼ぶのはためらわれます。先日の「医療水準は全員参加の見積書で決定を」で指摘したように、国民全体で納得して支える医療体制を作らないと、年に1兆円も訳が分からなく医療費が増え続ける事態は収まらないでしょう。


医療水準は全員参加の見積書で決定を

親サイトでは、インターネットで読み解く!第161回)

 日経が朝刊トップに「概算要求基準、社会保障2200億円抑制を堅持 財務省方針」を掲げました。「社会保障費の自然増分を2200億円抑制するほか、公共事業関係費を3%削減する方針だ。医師不足対策などの重点施策には『要望枠』を08年度よりも拡大し、各省庁が上乗せ要求できるようにする」というのですから、医療崩壊が言われる時期なのに、ほとんど変わらない予算編成になりそうです。

 2200億円抑制の根拠になっているのが、自然増だけで7〜8千億円あるとの見方です。ではどういう仕掛けでこれだけの自然増が生まれるのか、詳細について政府は明かしません。日本では官僚がデータを握って、アカデミックな研究者にすら見せようとしないのです。「これきわ雑記」というお医者さんのブログが「グラフで見る 医療費の将来推計」で色々と前提を置いてグラフ化する試みをされています。ひとつグラフを引用させてもらいましょう。


 70歳以上の高齢者と一般を分けて、1人当たり医療費の伸び率が変わるとどう変化するかを見ていて、上のグラフは2003〜2005年度の平均値(一般0.9%,高齢者1.1%)を採用していますから、かなり蓋然性が高そうな例です。2065年に63兆円のピークになります。もっと大きく伸びると仮定したら「一般1.4%,高齢者1.6%だと、2095年に86兆円でプラトーになりました」。

 見方を変えると医療費の将来推計など、さじ加減ひとつで、いかようにも変えられるのです。国が危機的とする説明に納得できかねるゆえんです。「平成19年7月の『第5回医療費の将来見通しに関する検討会』の資料を見て」「平成18年度の医療制度改革の結果、2025年の医療費が56兆円から48兆円に抑制される、という推計です」「しかし、厚労省(旧厚生省)は、平成6年には同じ口で、2025年の医療費は141兆円と言っているんですよね。元データや算出方法が明示されていませんので見当もつきませんが、なんでこんなに推計値が大きくズレるのでしょうか? 変ですねえ」と疑問を投げています。

 この隘路を抜け出して広く納得してもらうには、慶応大の権丈善一教授が唱えている「“医療崩壊”阻止には『見積書』が不可欠」との考え方を拡大して、医療水準を決めることで医療費の見積もりもきちんと出し、それを賄える財政措置を考えるようにするしかないでしょう。「医療者に求められていることは、あるべき医療や介護の姿を描くことです。専門家集団として、『公的医療費として、いったいいくら必要なのか』、つまり『見積書』を出してもらいたいのです。必要な医療費増が数百億円の単位なのか数千億円の単位なのか、それとも数兆円の単位なのかにより、財源をどこから調達するかが全く異なってくる」「『見積書』は、総額だけではなく、医療内容まで具体的に提示することが必要です。年金と異なり、例えば『医療費を国民1人当たり約4万2000円上げて総額5兆円増』と試算しても、それにより、どんな医療を享受できるようになるか、それが具体的に見えないと国民の納得を得るのは難しいでしょう」

 権丈教授は医療者集団に見積書作成を求めていますが、支払い側を含めた全員参加で作成していくしかないと思います。もしも画期的な新薬が現れたとしても、何千億円も医療費を膨らませるのだとしたら、使い方を極めて限定することだって考えざるを得ません。現在のように薬や診断機器の改善・改良があればノーチェックで医療費を膨らませる実態を改めるべきです。第160回「年3000億円の大浪費・コレステロール薬」などがその最たる物でしょう。


話題二つ:毎日その後/米国の保守主義

 目に付いた話題を2件だけ。1番目は、Technobahnの「毎日jpのビジネスモデルが事実上の破綻、低俗記事乱発で広告出稿が激減」です。「日韓で起きたマスメディア×大衆の激突」で紹介した毎日新聞「不適切記事」問題への批判からウェブサイトの広告が事実上ゼロになっているとのこと。実際に「毎日.jp」のバナー広告は自社物しかなくなっています。金額的には新聞収入とは比べ物にならないはずですが、こんな目に見える形で影響が出た深刻さを認識すべきでしょう。「7月中旬に調査結果公表」「第三者機関に見解求める」とするだけの対応で収拾できるのでしょうか。

 一方、韓国では「韓国3紙、牛肉問題で対立サイトへの記事提供中断」といった余波が出ています。韓国大手のポータルサイト「ダウム」への配信停止の背景には「ダウムの判断で記事の趣旨と違う見出しをつける場合があった。また、同サイトの掲示板では、牛肉問題に関する3紙報道を批判する書き込みが続出。3紙に広告を出さないよう企業に圧力をかける呼びかけも起きていた」事情があります。

 2番目はちょっと地味だけれど優れた読み物です。中岡望さんの「ウィリアム・バックリーと保守主義運動:なぜアメリカの保守主義は蹉跌したのか」は、戦後のアメリカ保守主義運動の軌跡を、今年亡くなったウィリアム・F・バックリーJrの生涯と絡ませて鮮やかに描いています。「ナショナル・リビュー」を創刊したバックリーは異なる立場の保守派グループを束ねて保守主義の質を高め、レーガン大統領の誕生で「アメリカの“保守革命”は成就したといわれている。その後、アメリカでは保守主義がリベラリズムを圧倒し、共和党支配の時代が実現」します。しかし、「バックリーは、ニューディール・リベラルのエスタブリッシュメントに挑む反逆者であった。だが保守主義の大統領が誕生したことで、自らがエスタブリッシュメントになったのである。その頃から、彼の存在感は急速に薄れていった」のです。

 その後に共和党に入り込んだネオコンは「“アメリカ民主主義”を世界に広げるという使命を抱いて、野心的な外交政策を立案」し、イラク侵攻へと突き進みます。「ロサンジェルス・タイムズ紙が『バックリーは最も激しいブッシュ大統領の批判者』であると書いていることは既に紹介した。『ブッシュ大統領は保守主義者か』と聞かれて、バックリーは『彼は保守的だが、保守主義者ではない』と答えている。ブッシュ政権のイラク政策にもきわめて批判的であった」そうですし、いま米国では保守主義者をまとめあげる政治家が不在なのです。大統領候補マケイン氏はタカ派であっても保守主義者ではないと見方が紹介されます。念のためです。日本には保守主義など存在しませんから。

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アクティブなブログ数は300万で頭打ち

 総務省の情報通信政策研究所が「ブログの実態に関する調査研究」を発表しました。国内上位20ブログサイトだけを対象にした調査である点で、昨年4月の「世界で最も多いのは日本語ブログ――Technorati調査」と違っています。テクノラティ社は日々に発信している日本語ブログそのものを把握していて、2600万件くらいとはじいています。情報通信政策研はこの1月段階で1690万件とし、このうち毎月更新しているアクティブなブログは308万としました。


 毎月、新規に開設されるブログは数年来40〜50万と変わっていないので、上のグラフ「国内のブログ総数の推移」のようにブログ数は増え続けています。しかし、一番下の曲線が示すアクティブなブログは2005年段階で頭打ちになり、300万でほとんど横ばいだといいます。ブログの数も記事数も増え続けている中で、この頭打ち傾向が何を意味するのか関心を引きますが、それ以上に分析できるデータは与えられていません。

 この調査ではブログ開設経験者アンケート調査も、調査会社の登録パネル2351人を対象に実施されています。ブログ開設の動機を問うていて、その結果から5つの類型に分類しています。最も多いのが「自己表現(30.9%)」で「自己表現、ストレス解消等の内面的な効用を重視」、ついでコミュニケーション重視の「コミュニティ(25.7%)」、自己の情報を整理・蓄積する「アーカイブ型(25.0%)」、少し離れて「収益目的(10.1%)」、さらに「社会貢献(8.4%)」の順です。社会貢献派は「自分の知識を発信して社会貢献することを重視」「『マネー・金融』『医療・介護』『地域』の割合が高い」「40代以上の割合が高い」との説明です。一方、自己表現派は若い世代が多いとも書かれていますが、開設動機の年代別分布が帯グラフになっていて、年代差はあまり無いことが読みとれます。


国立大の運営費削減は医療費以上に過酷

 しばらく医療の問題に目を奪われていたら、3日の日経朝刊で「国立大運営費、学部ごと評価し交付金に差 文科省方針」を見て唖然としてしまいました。話題になっている社会保障費の毎年2200億円削減は、7000億円ほどの自然増に対するものですが、国立大運営費は毎年1%一律に純減する枠組みが押しつけられており、「それでも無理」との声が大きいのです。ところが「2010年度から、教育や研究の実績を学部ごとに評価して交付金の配分額に差を付ける方針だ。交付金を一律に年1%削減する現行制度を見直し、大学ごとに削減率を変えることも検討する。配分にメリハリを付けるとともに、成果主義を採り入れて大学間の競争を促す」とは1%を超える削減をされる大学が出ることを意味します。

 「日本の大学の現在―競争による競争のための競争の減失?」が「法人化以後、国立大学の運営費交付金は毎年1%ずつ削減されており、交付金だけで人件費を充当することができない大学がほとんどである。大学は自助努力で『競争的研究資金』を獲得して、運営の資金をも確保しなければならない。それは、いわば『基本給』が削減され、足りない部分は『歩合制』となり、同じ仲間との競争のなかで『能力のある者』が高い報酬を獲得できるというドラスティックな仕組みである」と指摘しています。おまけに競争がさらに激化するとしても、どこが勝かは実績主義で評価している以上、旧帝大中心の有力大に決まっています。

 昨年の今ごろ「基本給」に当たる国立大運営費の競争資金化には無理があるとの悲痛な叫びを聞いた記憶がありますが、文科省には全く届かなかったようです。医師の人件費が賄えないケースと違って、大学運営費が足りないなら教員を減らしてでも授業の形を取り繕えるからでしょうか。「学校教育費の対GDP比」を見ていただければ分かるように、日本の公的支出は3.5%と29カ国で最低から2番目なのです。まだ引き下げよ、しかも毎年、不安定に続くというのは過酷に過ぎます。


大学病院の医師って、実はとても暇だった?

(注=ここにあったエントリーは、まとめて何件もコメントを書いて没にされた方への警告です。他の方には関係ありませんから、ここではコメント類は受け付けませんし、エントリーは1日だけの公開に止めました。あれだけの情報があれば「is102.hosp.tohoku.ac.jp」管理者は個人端末に容易にたどり着けるでしょうから、Googleキャッシュが出来ていないことを確認したうえで非公開にしました。魚拓をとるような愚かなことをしている人がいれば、可哀想ですから潰してあげてくださいね。「素っ頓狂」なヒマ人が多いものです)

日韓で起きたマスメディア×大衆の激突

 民主主義国家で大手新聞社の玄関にデモ隊が押しかけ、社名の看板文字を削り落とす荒業に出ようとは思いませんでした。米国産牛肉の輸入をめぐり大衆の抗議運動が起き、揺れている韓国で6月26日、朝鮮日報と東亜日報がほぼ同時に襲われました。朝鮮日報の日本語サイトで「米国産牛肉:デモ隊が新聞社襲撃、社名引きはがす(上)」「米国産牛肉:デモ隊が新聞社襲撃、社名引きはがす(下)」が詳しく伝えています。保守系の大手新聞は、輸入解禁の圧力に負けた政府に同調しているとみなされました。購読ボイコットや広告主へ圧力を掛ける運動もあるようです。

 激高しやすい韓国の人たちの性分を考えると、よく続くと思っていた平和的な「ろうそく集会」ですが、過激化すると参加者は減り、ますます過激化に走ったパターンのようです。しかし、市民側の牛肉への不安を、愚か者扱いで済ませる見方にも疑問があります。騒ぎが大規模になった後、22日付の「米国産牛肉:輸入解禁を一時見送りへ」によると、「韓米双方はまた、生後30カ月未満の牛に関しても脳、目、脊髄(せきずい)、頭蓋骨など4部位の輸入を禁止することに合意した。これらの部位は国際獣疫事務局(OIE)の基準では生後30カ月以上に限り特定危険部位(SRM)に分類されている。しかし、国民の狂牛病に対する不安を解消するため、生後30カ月未満についてもこれらの部位を輸入対象から除外することにした」とあります。この危険部位除去は日本なら当然の処置です。その根拠は「BSEはメディアリテラシー力を問う [ブログ時評15]」を見てください。韓国メディアの取材と論調はこれを理解していない形跡があります。

 日本では毎日新聞・英語サイトの「WaiWai」コーナーであった「不適切記事」問題です。国内雑誌から引用、リライトしていたといい、あまり深入りしたくない内容ですが、ITmediaは「毎日新聞が謝罪、関係者処分 『低俗過ぎ』英文記事への批判で」で「日本人女性の55%は、出会ったその日に男と寝る」「六本木のレストランでは、食事の前に材料となる動物を獣姦する」などと伝えています。騒ぎが始まった5月下旬から批判のブログ記事が毎日数百本は書かれ続けていますが、圧倒的に盛り上がっているのは「2ちゃんねる」掲示板です。いつもの釣りかとも思えますが、「毎日新聞を潰そう」という趣旨で広告主に圧力を掛ける運動もしているようです。「毎日新聞の英語版サイトがひどすぎる まとめ@wiki」にデータは揃っています。

 毎日新聞の個人プレーは業界では有名で、それ故に新聞協会賞も多いのですが、今回のケースは明らかに虚偽報道です。ネットで海外から検索されやすくするために「hentai」(変態)というキーワードを仕込むなど意図的です。筆が滑ったとか、出来心とかの範囲で済まないでしょう。6月27日の「毎日新聞社:『WaiWai』問題で処分」にある、筆者である英文毎日編集部記者を懲戒休職3カ月、編集部長を役職停止2カ月などの処分は、最近の業界不祥事例に比べて軽すぎます。加えて不都合なことに「当時のデジタルメディア局長の長谷川篤取締役デジタルメディア担当が役員報酬の20%(1カ月)、当時の常務デジタルメディア担当の朝比奈豊社長が役員報酬10%(1カ月)を返上する処分とした」が不思議な処分なのです。いずれも社長・役員に大昇進した人が大元の責任者で、役員報酬1〜2割1カ月返上が意味のある処分なのか、世間は首を傾げるでしょう。ブログでも疑問・批判の声が多数出ています。

 日韓ともに、これからどう動くのか注目です。7月2日昼前には毎日新聞東京本社に抗議行動が呼びかけられています。韓国の場合、「頑張れ」と小切手を持って激励に来た読者もいたそうですが……。