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2008年5月のエントリー一覧

5/29 NHK第三者委員会の報告書は悲惨で面白い
5/27 中国の水道水事情〜浄水器はあるのか
5/25 年3000億円の大浪費・コレステロール薬
5/23 auの携帯電話でもYouTube視聴可能に
5/21 自民総務会長が理解せず:後期高齢者医療
5/17 9.11WTCビル崩壊の科学的検証CG
5/15 連続2巨大災害に見るブログの反応
5/13 大リーグから野茂が帰って来る!!
5/11 医療崩壊と医師ブログ林立、勢いと隘路
5/10 ウェブログ図書館が休止して1年
5/08 新聞社の政治部を吹き飛ばす『日本政局学』
5/06 メタボリックS健診は男性短命化政策
5/05 やっぱり負担増、後期高齢者の保険料
5/03 NYTの苦戦、国内各紙も無縁でないはず

NHK第三者委員会の報告書は悲惨で面白い

 NHK記者らによるインサイダー取引事件で第三者委員会が報告書を公表したとの28日朝刊記事を読んで、隔靴掻痒の思いをされた方が多いでしょう。勤務中の株取引が81人あったなど、新味はあるけれどインサイダー取引でもなく、それがどうした、です。批判するブログ記事も呆れるばかりで、今ひとつピンとこないものが多い感じです。この報告書は「職員の株取引に関する第三者委員会 調査報告書」で全文が公開されていて、長文の(2)「調査報告書(本文)」を拾い読みしたら、細部がなかなか面白い、いや、こういう行動をする報道機関の仲間を持っていたのかと悲惨な気分になります。

 調査に強制力はありませんから、株を本人・家族が持っていることを申告してもらわねばなりません。その一方で、情報提供窓口を設けて、職員からの通報を募っています。16人が株取引を名指しで通報され、自主申告していたのは7人だけでした(71ページ)。残る9人のうち5人は聞き取り調査で認めたそうですが、4人は否認のままのようです。保有の有無を申告した後、自己修正を認めました。これは「やはり持っていた」と応じてくるのを期待しての措置ですが、逆に否定するケース続出です。いったん株取引まで認めておきながら持っていなかったとしたケース「本人口座で14名、家族口座で81名もあるが、その信憑性は低いといわざるを得ない」と断じています。

 さらに取引履歴調査に進むには証券会社に出す委任状を貰わねばなりません。ここで株保有を認めた2724人中の943人が有効な委任状を出さず、一部は明白にサボタージュしていることが読みとれます。中でも75〜76ページには<プライバシー侵害><プライバシー・財産権が優先><報道機関の特性><株保有調査への不満>について拒否理由が載っています。一つ拾うと「社会正義の実現を目指してジャーナリズムの世界を40年近く過ごしてきたものとして、私有財産を他人に開示したりプライバシーが侵害されたりする恐れがあるような理不尽な要求には、安易に従う気になれません」だそうです。驚くべき理屈です。

 要するにこの調査は、潔白か灰色までの方が、ちょっと良心的に応じて出来上がったもので、黒の方は参加していないのです。

 第三者委員会は報道の自由との関係を重視した、しっかりした立ち位置を持っているようですが、NHK執行部からはそれが感じられません。「NHKはジャーナリズムを」は「残念ながら福地会長は『就業規則に違反があれば処分する』というだけで、ジャーナリストとしての言葉は微塵もない。ただの民間企業経営者を公共放送のトップにすえてしまった。ジャーナリストでないものを経営トップにもってきたNHKの不幸がこうも簡単に露呈している。第三者委員会は職員と同時に会長を監査しなければならない」と批判しています。

 第三者委はインサイダー取引に止めず「国民の受信料で得られた報道情報を私的に利用するのは国民全体への背信行為だ」との立場を明確にしています。


中国の水道水事情〜浄水器はあるのか

 某掲示板などで「【ヤマトナデシコ大陸奮闘日記】(71)中国には『浄水器』がない?」(FujiSankei Business i.)が話題になっています。少し前に同僚女性記者が語学留学で中国に渡り、帰ってきた際に中国・水事情を話してくれました。たまたま水道水が飲めるきれいさで、沸かして飲んでいたそうですが、これが大失敗と判明した経験談です。その際に「中国で浄水器は買えないの」と聞いたのが私だったので、興味を持ってしまいました。彼女の答えも「売っているのは見たことがない」でした。

 話題の女性記者は「日本人が一般的に想像する『水道に設置する型の浄水器』は使われないとハタと気づいた。なにしろ水道水は恐ろしいことに、細菌だの、寄生虫だの、有毒化学物質だのが完全除去されずに残っている可能性がとっても高い。それが『中国クオリティ』の常識」と書いています。同僚の女性記者は水道水を加湿器に入れて運転している内に、ある日、部屋中にうっすら白いものが積もっていたそうです。指にすくってカルシウムの化合物ではないかと気付き、とんでもない物を飲んでいたと知ったそうです。外報部経験者に言わせると、それを続けたら色々な結石とかになるそうです。

 検索すると本格的に浄水器を売り込んでいる方のページがいくつも見えます。そのひとつ「上海で日本人向けの浄水器販売」では冒頭から「浄水器の取り付けでお客様のお宅におじゃまし、水道の蛇口の先端に付いている泡沫金具を取ると、それはそれはすごいものが出てきます。砂、小石、枯れ草、虫らしきものの死骸、などなど。実は、お客様にはお伝えしませんでしたが、生きた虫が出たこともありました。とても、とても、こんな水で口に入るものを洗う気にはなれません」と、もの凄い記述です。

 飲用や調理用の水だけが問題なのではなく、洗濯をすればカルシウムなどが石鹸かすに化けて残るから洗っても衣類は黄ばむ、シャワーを使いシャンプーしても髪がすっきりしないそうですから、生活用水全体の問題です。飲用水はミネラルウオーターを買うとしても、もちろん洗濯には使えません。北京五輪の各国選手団はどうやってしのぐのでしょうか。応援団や観光客も大変。日本製浄水器を持ち込んでも、直ぐに水の出が悪くなるので大型でないと無理だと「大連雑学事典・中国で浄水器を使う」は伝えています。

 昨年6月に書かれたらしい「中国家電標準化技術委員会:浄水器の国家基準制定に着手」は意外なことに「北京、上海、広州など大都市での家庭用浄水器普及率は15%」と報じています。しかし、浄水器を付ける前の水、つまり普通の水道水のレベルを何とかしてもらわないと……。生活基盤の深いところで立ち後れがあると再認識しました。


年3000億円の大浪費・コレステロール薬

親サイトでは、インターネットで読み解く!第160回)

 国内だけで毎年3000億円分以上が飲まれているコレステロール低下薬。疑問視する声はこれまでにも聞いていましたが、自分がコレステロール低下薬を飲むべき対象になったのを機会に、ちょっと真剣に調べてみました。学術論文を検索するGoogle Scholarの力を試す狙いもありました。結論から言えば、無駄遣いとしか言いようがないものでしたし、癌を増やす副作用が指摘されているので国民医療費の増やし方は3000億円に止まりません。しかし、医療保険財政の危機が叫ばれる時代なのに政府も医学界主流も放置、傍観のようです。

 一般によくされる説明として「おもにコレステロールを下げるくすり 」を挙げておきます。「コレステロールを下げる効果の強いHMG-CoA還元酵素阻害薬を飲んだ人と飲まなかった人に分けて死亡率を比べると、飲んだ人のほうが2〜3割がた死亡率が下がったことが明らかになりました」と言われると、飲まないわけにいかない心境になりますね。

 実は日本人にはこうした調査データはありません。食生活が大幅に違う欧米人の調査です。国内の場合、栄養状態がやや悪い東北などでは逆にコレステロール値が高い方が長生きする結果になっています。今回、関連文献を調べてショックを受けたのが、低下薬プラバスタチンについての英国の調査です。「コレステロール医療の方向転換−緊急の課題」(薬学雑誌2005)で奥山治美さんが「A Prospective Study of Pravastatin in the Elderly at Risk (PROSPER)」から引いて作成したグラフを引用します。


 心筋梗塞が減ると言ってもプラセボ、つまり偽薬群の12%が投薬群で10%になる程度のことです。一方で癌の発生と死亡が明らかに増えますから、死亡総数では偽薬群と投薬群で差が無くなります。お金を掛けた医療がこの集団全体に対しては何をしたのか、首を傾げる結果になりました。もちろん低下薬で心筋梗塞から救われた人と癌になった人とは別人でしょうし、誰がその「くじ」を引くのかは神のみぞ知る世界です。この薬は一生、飲み続けますから、癌発生を長期に追跡すればもっと多発の可能性があります。

 今年1月に「コレステロール低下薬で大論争」が日経ビジネスに出ました。先の英国調査は心臓病がある人を対象にしていますが、米国で心臓疾患がない人を調べてのデータが示されています。「65歳以上では効果を確認できなかったのである。コレステロール値がどんなに下がったとしてもである。また年齢にかかわらず、女性には効果がなかった」「“悪玉コレステロール”の値が大幅に下がったにもかかわらず、死亡したり入院が必要になったりする疾患の総数は減らなかった」

 ページの最後にある「劇的とも言える“心臓発作のリスクが36%下がります”の数字のところに星印が付いており、小さい文字でただし書きがある」「大規模な臨床試験で、偽薬(砂糖の錠剤)を投与した患者の3%が心臓発作を起こしたのに対し、リピトール投与患者では2%でした」を見て、最初に紹介した「飲んだ人のほうが2〜3割がた死亡率が下がった」の出典が分かりました。「3%が2%になる」と言ってもらえたら、飲もうと思わない方がぐんと増えたでしょう。

 余談ながら私の主治医は「後になって、あの時、服薬を強く勧めて欲しかったとは言わないでくださいね」とマイルドな物言いです。それが麻薬でなくとも、薬に依存するのは好みません。体重の半年6kg減に成功していますし、一駅前に降りて歩き運動量を確保しています。私の場合、やや厄介な症例で人間ドックではねられたのですが、「虚血性心疾患の一次予防ガイドライン」などで報告される調査データを読み込む限り、現状で問題なしです。皆さん、何の基準も無しには不安でしょうから、「脂質異常症について」で書かれている脂質検査値を参考にされるのも良いでしょう。人間ドックなどより大幅に緩い正常値ですが、広い範囲の研究結果を踏まえ、さらに見直されるべきです。


auの携帯電話でもYouTube視聴可能に

 ITmediaの22日付が伝えるホットニュース「auケータイでもYouTubeが視聴可能に──ドコモの対応機種も拡大」です。私はau派「W54T」だったので早速、試してみました。昨年の製品はほぼ視聴可能なようです。ただし、現状はで容量1.5MB以下の作品しか見られませんから、自ずと限界があります。よく見る音楽物などは無理です。

 動物・ペットなどをほんわかと見るのが一般的な使い方なのでしょうか。今日はチベットで竜巻が起きる現場を撮影というのもありました。画面はこぶりながら画質は結構、良好です。しかし、パケット料金は食いそうです。携帯がどんどん熱を持ち、通信している実感ありです。打ち切り料金制に入っていないと大変ですから、試す場合はご注意を。

 一方、ドコモ側は対応機種を900iシリーズ以降と703iシリーズ以降に拡大し、2MBまでの動画を再生するようです。それ以上のものは最初の2MBとなります。今後は、ドコモにしても、auにしても長編動画は分割して見られるようにしていくそうです。パソコンとの差がまた縮まった観あり。


自民総務会長が理解せず:後期高齢者医療

 朝刊を読んでいて、ふき出してしまったのが、今日5月21日の朝日新聞政治面です。ネットに提供されている記事は新聞記事の何分の一でしかありません。この記事「後期高齢者医療制度に欠陥、行き詰まる 堀内光雄・元自民総務会長に聞く」もネットでは全く読めません。改革の発端、2003年の医療制度改革基本方針決定時に、自民党三役の総務会長を務めていた人が「説明不足ではなく、制度自体が問題。改めないと騒ぎが大きくなる」と、「制度は悪くないが、説明不足だ」と言っている福田首相に進言しているというのですから、廃止法案を出す野党と同じ考えの人が自民党幹部にいる訳です。

 「今ある保険制度は若い人だけにして、医療費のかかるお年寄りには出て行ってもらう。保険制度を守るためにはあなた方は外に出てください、というのは『姥捨て山』以外の何ものでもない」とはっきり言われています。それにしても2003年にはどう思っていたのでしょうか。「よく精査しなかったのかもしれない。忸怩たるものがある。実を言うと、私も(制度を告知する)通知が来るまでわからなかった」そうです。これが当時の与党大幹部なのですから、ほぼ唖然と言うしかありません。これほど明確な反対論でなくとも、自公与党内では制度手直し議論の真っ最中です。政治面はかなり詳しく伝えています。

 JMM [Japan Mail Media] の5月13日号に中村利仁・北大大学院医療システム学分野助手の投稿「読者投稿編:Q:910への読者からの回答」が掲載されていて、「この制度の合理性を巡る議論は2年前に既に終わったはずの話です。専門家の間でということであれば、さらにそのちょっと前に終わっています。国会内での取り引きや審議も為されました。それなのに特に与党代議士の過半が、ただ小泉改革の勢いに引っ張られたというだけでなく、本当にどういう内容なのかを全く理解していなかったらしいということが報道されるにつけ、報道内容を疑うと同時に、もし本当だとしたらどう考えればいいのか、ちょっと途方に暮れている気持ちがあります」とあります。

 同感です。これは何と言っても、お約束違反です。議院内閣制で政策決定しているのですから、今になってこんな発言が出るのは酷すぎます。それにしても、医療費がかかり、収入が少ない後期高齢者だけを切り出して別の保険にしたのはやはり筋が悪すぎると言うべきです。「保険」ではありえませんし、嵩む赤字をこれ見よがしにして医療の実質的制限に走るのが見え見え――悲惨でしょう。

 JMM投稿の結論部分に「以上見てきたように、後期高齢者医療制度については、この合理性を享受できる立場と享受できる特徴の組合せが複数あります。他方、ほとんどメリットがなく、デメリットばかりが目につく場合も少なくありません」とあります。熟知している専門家がそう言うのならば、この制度が次の国政選挙を経て生き残っていく可能性は薄いと見ました。


9.11WTCビル崩壊の科学的検証CG

 米国同時多発テロで高層ビルが崩壊していくシーンはまだ目に焼き付いています。GIGAZINEに「アメリカ同時多発テロ事件、通称「9.11」を科学的にCGで検証したムービー」が紹介されていて、ブログではあまり話題になっていないようですが、オススメ動画だと思います。あの高層ビル全重量37万トンを外周の柱240本が40%、中心部のコア柱47本が60%の分担で支えていました。パデュー大によるシミュレーション動画から以下に、突入したジェット機がコア柱を切断していくシーンをキャプチャーしてみました。こういうのが前から見たかったのです。


 WTCビル崩壊には陰謀説とかがあって、もやもやした印象を持たれる方がいらっしゃるかも知れませんが、今回のムービーは説得力がある映像です。国内からも鹿島のプロジェクトチームが挙動解析を実施、2003年のKAJIMAダイジェスト「ニューヨークWTCビル崩壊の解析に驚嘆の声」に概要が載っています。パデュー大の検証とよく一致すると思います。図、イラストが豊富なので、今回のムービーと合わせて見ると興味深いでしょう。

 このほかにもネットでは「失敗百選 〜世界貿易センタービル崩壊〜」や月刊「建築防災」2004/5月号の特集「ニューヨークWTCテロ災害」が参考資料として挙げられます。一挙に崩れなかったおかげでビル勤務者多数が避難する1時間ほどが稼げたことが評価され、想定外事象での設計の冗長度、つまり余裕がどう効くか考えられているようです。


連続2巨大災害に見るブログの反応

 ミャンマーと中国四川省周辺、すぐ近くで途轍もない大災害が連続して起こりました。サイクロンによるミャンマーの災害規模は13日に軍事政権側が「死者は3万1938人、行方不明2万9770人」と伝え、国連が最大で10万人と見積もっています。中国の被害はまだ全体を把握する段階ではないと言うべきですが、死者1万4千人、行方不明(生き埋め)2万5千人とおいう数字が流れ始めました。この数字は大幅更新が必至で、24万人の死者を出した唐山大地震を想起させます。

 四川省の大被害のためにミャンマーが霞んでしまったと思われるかも知れませんが、実際は違います。テクノラティのブログ記事頻度グラフで「ミャンマー サイクロン」(上)と「四川省 地震」(下)を作って並べてみます。


 軍事政権の独善的規制で情報公開が遅れるうらみがあってミャンマーへの関心はいまひとつでしたが、中国地震に引っ張られて盛り上がっていることが読みとれます。それにしても、どちらの国も緊急時に人的支援を受け入れない頑なさは相当なものです。中国ではもう、埋もれた被災者の命の火が消えかかる時が来ようとしています。


大リーグから野茂が帰って来る!!

 ロイヤルズを自由契約になった野茂英雄投手(39)が日本球界に帰って来るとのニュースが流れています。日本で交渉権を持つオリックス(旧近鉄)ではなく、先発陣が弱体な楽天が名乗りを上げているようです。これからも話題になることを期待して、テクノラティの頻度グラフを貼っておきましょう。この春の大リーグ復帰時には1日600件を越すブログ記事が書かれています。衰えたとは言え、今でも人気の高さが判ります。

☆過去180日間に書かれた、野茂を含む日本語のブログ記事☆
テクノラティ グラフ: キーワード「野茂」に関するグラフ

 MLBの開拓者野茂について一番、思い出深い記事は10年前に書いた第36回「日本人大リーガーへの科学的頌歌」です。大リーグへの挑戦は、その改訂新版、さらにイチローら野手による第102回「大リーグとの『垣根』は消滅した」へと続きましたが、何と言っても最初の野茂の勇姿が目に焼き付いています。どれくらい投げられるのか分かりませんが、もう一度、球場で見たいと思います。


医療崩壊と医師ブログ林立、勢いと隘路

 少なくとも3000万件以上はありそうな国内のブログで、最も不足感があるのは各方面の専門家ブログです。3000万という数字は、昨年4月にテクノラティ社が日本語ブログが世界で2600万はあるとはじき出したことがベースです。常識的には増加ペースが極端に落ちるとも思えず、1年後なので4000万に迫っても不思議ではありません。現状の専門家ブログの中で最も強力な一団を形成しているのが、医師ブログです。対抗するのが多分、弁護士ブログでしょう。ただ、弁護士ブログが実名中心なのに、医師ブログの有力なものは匿名です。

 医師ブログには「m3.com」という強いバックボーン、職能サイトが存在しています。医師免許を持たないと加入できない医療サイトで、昨年9月末で15万4000人の会員医師がいるそうです。2004年の統計で医師数は27万人ですから過半数が参加している計算です。ここにある掲示板ではマスメディア側も見たい議論がされていると聞きます。

 そこにある「Doctors Blog | 医師が発信するブログサイト」が医師ブログ発信拠点の筆頭です。月間アクセスランキング1位の「ななのつぶやき」や5位の「東京日和@元勤務医の日々」などがよく覗くブログです。それぞれ16万とか9万のアクセスがありますから、個人ブログからミディメディアに化けかけている段階です。産科の現場を淡々と、かつ迫真の緊張を感じさせて扱う「ななのつぶやき」は秀逸です。

 医師ブログが林立するきっかけは、産科医療崩壊が現実のものとなったからでしょう。私の連載なら、2006年の「医療崩壊が産科から始まってしまった [ブログ時評59] 」や2007年の「安倍内閣は産科医療崩壊とは思わない [ブログ時評75]」「お産の危機は首都圏にこそ迫っている [ブログ時評83]」などで伝えてきた危機に反応し、医師ブログ読者もどんどん増えていった印象です。

 m3.comサイト以外でも「新小児科医のつぶやき」「ある産婦人科医のひとりごと」「産科医療のこれから」など多数が厚い支持を得ているようです。産科医療の崩壊を目の前にしたマスメディアの報道ぶりには、事実の誤認、医療知識の欠如が目立ちました。通常の「ご確認報道」「パターン報道」では通用しない「現実のむごさ」に、いま現在でも十分には気付いていないでしょう。

 医療崩壊の正面に出てきた医師不足問題について、4月19日の毎日社説が「医師の団体は指導力を発揮して、医師不足・偏在対策に手を打ってもらいたい」と結んで、医師ブログを始めとした多数のブログから大ブーイングを浴びました。産科から医療全体に拡大しつつある医療危機に手軽な解決策を示せるはずがなく、私も新聞社内で「今は危機の事実を伝えるのが先。読者を安心させる解決策があるように見せるのは罪が深い」と言っています。毎日の論説レベルが各紙の中でそう悪いとは思いませんが、読者の皆さんの常識と違って、各紙論説委員の中に「もう取材することなど無い」と思い上がっていらっしゃる方が少なくないのです。取材するとしても霞ヶ関周辺ならという方はもっと多いでしょう。

 ブログ側の問題としては、これほど林立し、読者を多数獲得している医師ブログを現実を変える力にすることです。医師ブログ側にあるマスコミ不信は強烈です。しかし、ブログの世界だけに止まって議論していて、行政まで変えられるはずがありません。メディアの力も借りてでも動かして行かねばならないことに早く気付いて欲しいと思っています。そして、その段階では匿名から実名に切り替わらねばなりません。私が扱っているオピニオンのページなど、新聞メディアで行政の無様さに対し真っ正面から発言をしていただくためには実名で登場してもらうしかないのです。今年がその転機にならなければ、いま医師ブログ最大関心事の、医療死亡事故の死因究明制度(現状では第3次試案)についても遅きに失する恐れを感じています。


ウェブログ図書館が休止して1年

 ブログの注目記事を書籍の図書館のように分類、展示してくれていたウェブログ図書館が更新されなくなって、つまり活動を休止してちょうど1年になりました。2005年初から2年半ほどの活動期間はブログの隆盛期と重なっており、収集されたエントリーには充実した作品が多く、いま読んでも面白いと思います。私がお勧めしている利用法は「第2次区分」からスタートして、各項に進むなり、第3次区分に降りるなりするものです。ばらばらなブログを個々に読むのと違い、テーマごとに束ねられているのが新鮮に映るでしょう。「070 ジャーナリズム 新聞」あたりでも開いてみてください。

 どうして休止になったのか、理由は知らないので、検索してみると館長さんのブログ「Weblog::moralaturgie」は健在でした。そこにあった「■図書館と図書館員に対する指摘(長文)」は休止後の昨年末に書かれています。「私が始めた『ウェブログ図書館』という試みは、狙いとしてウェブコンテンツ産出のファシリテーションを行ないたいという意図がある」「市販の書籍のように出来合いのコンテンツを貸し出すのではなく、(貸し出しという概念から離れて)コンテンツ産出に関与できるのがウェブ図書館の特徴といえる」。しかし「アルファブロガーの記事に素早く反応するとか(私もよくやった)、同業者の内輪ネタ的発言に盛り上がるとか、そのような形でのコンテンツ産出が多い。異質な人間のコンテンツ(脳みそ)をウェブコンテンツ(ブログなど)に再構成するといった、ファシリテーションに通じる流れは少ないように思うがどうか」とあり、不満はここかと思えました。

 つい最近、J-CASTニュースが「読んでもつまらない 『ブログ』はもう終わったのか 井上トシユキさんに聞く(上)」「ブログは基本スキルが学べる だからチャレンジしてほしい 井上トシユキさんに聞く(下)」のインタビュー記事を出しました。そこにこんな指摘があります。「『きっこ』によって日本のブログがゲリラメディアとして認められたかというと、そうでもない。結局、誰が書いているのかもわからないし、客観性、信憑性の担保がないからなんです。アメリカのトップブロガーは実名を出し、自分で取材や調査をしていますが、日本のブロガーは基本的に匿名での論評が多い。ご指摘の『きっこの日記』も匿名ですよね。偽メール事件、耐震偽装問題を取り上げ、イーホームズ社長とのやり取りも載せ話題になりましたが、よく考えてみると、どこまでホントなんだ、と」

 ウェブログ図書館が収集していた時期に優れた記事を書きながら、もう消えてしまったブログがいくつもあります。間違いなく数だけは増えているブログですが、内容豊かな方向に進んでいるのか、何とも判断が出来かねるところです。


新聞社の政治部を吹き飛ばす『日本政局学』

 ブログで政治の動向を読み解こうとすれば、この数年来「かみぽこぽこ。」を外すことは出来なかったでしょう。この春まで2年半、記事審査委員の仕事で社内向けに記事審査レポートを書き続け、傲慢で閉塞した新聞社内の雰囲気を打ち破るために社外の風を導入する試みをしてきました。その際、最も多く引用したブログの一つだと思います。

 その筆者「かみぽこちゃん」が連休中に「『日本政局学』構築プロジェクトを始めます。(後編)」とのエントリーを打ち出していらっしゃいます。「語弊を恐れず、あえて挑戦的に言えば、新聞社政治部で新人研修の教科書になる本にするつもりです」と、政治部の常識を打破する宣言をされています。小泉・安倍・福田政権の消長を横に見て、もう一度、過去のエントリーを読み返していただけば、この宣言がはったりではないと理解できるでしょう。

 私も新聞社にいて「大物政治家に話を聞いた」「消息通に話を聞いた」といった政治部の取材手法にうんざりしている一人です。もともと地方支局に勤務した時から選挙の当落判定に科学的な関心を持ち、科学部から地域報道部へと移る過程でブロック別比例区当落判定システム構築に携わった経験から、政治部とは全く違うセンスで政治過程と向き合ってきました。この数年来、政治部がどれほど読み誤ったことか。さらに政治部出身者が主導する傾向が強い各紙論説の酷さには、呆れるばかりです。

 「かみぽこぽこ。」を最初に取り上げたのは、2005年8月の小泉郵政解散へ賛成論と反対論まとめ [ブログ時評32]でした。政治学で英国留学中に書かれたエントリーは英国政治の常識から、郵政解散で小泉首相のしたことを鮮やかに浮き彫りにしていて、まとめの冒頭に引用させてもらいました。最近のエントリーでは「 小沢一郎はなにがしたいのか。(後編)」が印象に残ります。「閣僚の引き締めをするための政策に関する原理原則というものを福田首相が持っているのか、それがポイントだとも言えるね」と昨年10月の結語で書いているのですから、どこかの政治部よりは数段上です。”宣言”でも書かれているように、あまりに先に言い過ぎて最近は書くことが無かったという有り様でした。


メタボリックS健診は男性短命化政策

親サイトでは、インターネットで読み解く!第159回)

 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)健診の案内が届き始めました。こうした「特定」健診の受診率や保健指導、その減少効果に照らして、責任を負う医療保険者から後期高齢者医療制度への支援金がプラスマイナス10%の範囲で増減されます。罰則付きの国民健康増進政策に見えるでしょうが、蓄積された医学調査データからは明らかに「男性短命化政策」なのです。陰謀説は好まないところですが、医療保険制度の崩壊を食い止める意図が隠れていなくもないと感じます。

 まず発表されたばかりの「平成18年 国民健康・栄養調査結果の概要」34ページで、どれくらいの対象者がいるのか確かめましょう。健診対象40〜74歳の男性はメタボリックシンドロームが強く疑われる者24.2%、予備軍27.1%と、これで過半数になってしまいます。同世代の女性では合わせて2割程度しかありません。診断の基準は腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上であることに加えて、血中脂質、血圧、血糖値の3項目で異常2個あれば強い疑い、1個で予備軍です。


 この診断基準は男性の太り過ぎに極めて神経質です。身長170cm、体重67kg弱の私の腹囲が85cmです。85cmは日本人中年男性の腹囲平均値と言われており、それが基準になっているのですから男性の過半数が疑い対象になって当然です。それではちょっとした太り過ぎが、そんなに体に悪いことなのでしょうか。茨城県が10年間、40歳以上の10万人近い県民を追跡した調査があります。「健診受診者生命予後追跡調査事業報告書」の16ページから、肥満・痩せの指標として使われる「ボディマス指数」BMI値(体重kgを身長mの二乗で割った数値)で分けた、全循環器疾患死亡のリスクを見ましょう。


 BMIが23.0〜24.9、身長170cmなら体重が66〜72kg程度の人の死亡リスクを「1」として肥満と痩せでの危険度が描かれています。男性についてBMIが21.0を割ると(身長170cmなら体重60kg割れ)「1.4」「1.6」と危険度が高まります。体力がなく免疫力が弱くなると考えられます。太る方はどうでしょうか。BMIが27.0(身長170cmなら体重78kg)を超えると危険度は「0.8」に下がってしまいます。30.0(同体重87kg)を超えるとさすがに「1.8」に激増しますが、男性の小太りは死亡全体からみてもプラス要因です。女性とは明らかに違う様相です。男女共通でハイリスクであるBMI30.0以上こそ、欧米でメタボリックシンドロームが問題と言われる領域で、日本のそれは場違いです。

 では全死亡に対して何が寄与しているのでしょうか。上田耕蔵さんというお医者さんが講演録「なぜ今、メタボリックシンドロームなのか?」で茨城県のデータを集計し直してくれています。以下がその「全死亡に対する各リスク因子の寄与率」です。

 男性……喫煙24%、運動不足13%、やせ5%、肥満5%、アルコール4%、高血圧8%、高血糖2%、ストレス13%、その他26%

 女性……喫煙9%、運動不足14%、やせ5%、肥満7%、高血圧5%、高血糖2%、アルコール0.1%、ストレス13%、その他45%

 何と言っても男性で24%も占める喫煙を放置した健康管理はあり得ないのですが、この連載第71回「新・たばこをめぐる日米の落差」などで指摘した通り、厚生労働省は腰が引けたままです。今回のメタボリックシンドローム騒ぎで喫煙問題はますます影が薄くなってきました。

 「●メタボリックの背景に何がある?」の節で上田さんも「本命は薬剤メーカーの仕掛けと思われる。高コレステロール血症が見直されつつあるのを受けて、新しい病気の創設が必要となった」とし、「たばこ産業は国民の関心がメタボリックにそらされることを期待しているだろう」と付け加えています。

 手を着けるべき最も大きな死亡要因「喫煙」を放置し、プラス面が大きい小太りは排除しようというのです。もっと言えば「肥満が諸悪の根源だ」と心理的圧力を掛けて、ストレス面からも中高年男性を叩きたいのかも知れません。メタボリックシンドローム健診は医療費削減に寄与することになっています。しかし、早期発見・早期治療で高齢者が長生きしたとして、最後に残るのはガンと、介護の手間を掛けた末の老衰です。将来まで含めたトータルの医療費が減る可能性は少ないでしょう。高齢者が増え続ける中で医療保険制度を守るには短命死を増やすのが一番――科学的データで翻訳すると、厚生労働省の政策はそう言っています。

※関連=メタボリック症候群を冷静に眺めよう [ブログ時評64]

※ブログの世界で比較的よく知られた方でも、宣伝に流されてこういうふうに思うのだと見つけた例を追加します。


やっぱり負担増、後期高齢者の保険料

 朝日新聞が今日5日朝刊で「新高齢者医療 低所得の75歳以上夫婦、負担増も」と報じました。ネットでのリリース時刻が午前3時1分ですから「特ダネ」として扱っていることになります。4月29日の当ブログ「後期高齢者の保険料はむしろ上がる?!」でブログの試算では負担増の場合が相当多いと伝えました。マスコミ側もようやく、政府の言い分を自前で検証する作業を始めたようです。

 「東京都区部や名古屋市などでは、低所得者の保険料が新制度に移って大幅に増えており、厚労省の説明に疑問を示す声もあった」「国民健康保険(国保)の保険料の算定方式は三つあり」厚労省が試算に使わなかった「二つの方式で計算すると、国保の保険料は2万4100円、2万500円となり、新制度移行後は、それぞれ900円、4500円の負担増となる。この結果を厚労省も認めている」というのが、報道の要旨です。東京や名古屋の実態が記事に出ていない点が大いに不満です。

 政府は次の年金引き落としが発生する6月半ばまでに実態調査をすると言っています。もし私が報道機関の責任者だったら、直ちに全国の取材網を動員して各市区町村に出向いて調べさせます。1週間もあれば十分でしょう。政府の言っていることが信用できない▽それが現下の国民の関心事でもある――となれば直ちに自前で取材を実行するのがマスメディアの役割だと思うのです。


NYTの苦戦、国内各紙も無縁でないはず

 メディア・パブの「NYTの新聞部数は下降続くが,WSJはマードック効果?で踏み止まる」を見て、ニューヨーク・タイムズの部数減少ぶりにはショックを受けました。3月末現在で、NYTは平日版新聞3位で107万部、前年同期比3.9%のマイナスです。あの有名な、超分厚い日曜版はもちろんトップですが、147万部で、何と9.2%ものマイナスと言います。平日版トップの「USA Today」228万部、2位の「Wall Street Journal」206万部が微増で踏みとどまっているのと対照的です。3月末の「米新聞協会,“新聞危機”の深刻さ示すデータを公表」も「全米新聞紙の2007年広告売上高は,前年比9.4%減の422億ドルと大幅に落ち込んだ」と伝えていました。

 国内にも日本ABC協会があって各紙の部数を調べていることになっていますが、その実態は押し紙問題とかで有名無実と言われます。政治の世界の動きを読み切れていないことを割り引いて読んでいただくとして、FACTAの「新聞ビジネス崩壊の『Xデー』〜消費税率引き上げが淘汰の引き金。経営体力が弱い『毎日』『産経』の命運は……。」に書かれていることはそんなに的外れではありません。広告の世界の趨勢なら「図録▽広告費の推移(対GDP比、媒体別)」で全体像がつかめるでしょう。新聞の転落とインターネットの上昇は、やがて交差する勢いです。

 ニューヨーク・タイムズは紙の編集部とネットの編集部を統合して運用するなど、紙の読者に比べて10倍近いネット読者にシフトした動きを始めています。問題はそれに見合うほどにはネット広告が取れないことです。国内各紙はまだ1000万部とか800万部とかの大部数を維持しているために切迫感が薄いのですが、この春から各紙ウェブサイトでちょっとした速報競争が始まりました。