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韓国新大統領のヌエ政策が早くも破綻しつつある

 9年ぶりの左派政権、韓国新大統領が同盟関係の米国と親近感を寄せる中国の間で二枚舌を使う政策は早くも暗礁に乗り上げています。保守系の朝鮮日報の社説に同盟解体から北朝鮮による赤化統一への恐れさえ見えます。ワシントンを訪れての米韓首脳会談では、北朝鮮の核ミサイルに対処するTHAAD(高高度迎撃ミサイル、サード)の配備問題は表立った議題とせず、早期配備完了を求める米国に「配備撤回はない」と誤魔化しました。サード撤回を強く求める中国主席とG20サミットでの首脳会談では環境影響評価に時間を掛けている間に解決策が出来ないかと持ちかけたものの「北朝鮮とは血盟」とはねつけられました。一部の配備が終わった現地では周辺住民がサード発電燃料油を持ち込ませないために警察車両さえ検問する「無法事態」が発生と伝えられます。政権の意向忖度無しにはあり得ず、第477回「安全になれぬ韓国、手抜き勝手の国民意識が原因」で描いた法治は見せかけだけ「人治国家」の面目躍如です。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領のこの間の外交についてルポした中央日報の9日付韓国語版《息詰まる2週間の外交舞台「外交がこんなに難しいのか知らなかった」という言葉の重さ》はこう伝えました。

 習近平主席との会談で《大統領が「環境影響評価に時間を確保し、その期間中に北朝鮮の核問題の解決策を見つけた場合はサード問題が解決されないのか」と発言した事実も確認された。これまで、大統領府が明示的に明らかにしなかった「サード解決法」である。米国では「サード撤回はない」と安心させながら、中国には「サード配置の原因を取り除いてほしい」と要求する二枚舌が明らかになった》

 サードの強力なレーダーが自らの安全保障の妨げとする中国は第550回「中国のやり過ぎ韓国いじめで反中が起きないなら」で紹介したように韓国への団体旅行を禁じ、中国内での韓国企業の営業も締め付けています。経済的打撃は大きくなっており、こうした報復措置撤回も首脳会談の大きなテーマでしたが、中国はにべもなく断りました。それどころか、団体旅行だけでなく新たに個人旅行も制限する動きすら伝えられます。干渉を許すべきでない国防問題で譲って、かえって足元を見られています。

 韓国内でもサード配備に疑問の声が大きかったのですが、最近の世論調査は57%が賛成で27%が反対と国論は固まりつつあります。そうした中で慶尚北道星州郡の基地前での住民による検問騒ぎは異様です。大きな電力を要するサードレーダーへの送電線設置が反対もあって間に合わないので発電燃料油を使っているのですが、地上からの運び込みを反対派住民が阻止しています。現在はヘリでのドラム缶空輸しか出来ず、5月の北朝鮮ミサイル発射の急場には間に合わなかったとも伝えられます。30人程度の住民の「無法行動」に対し警察は傍観しているそうです。サードを運用しているのは米軍であり、韓国軍は我関せずを決め込んでいます。

 朝鮮日報の10日付《【社説】朝鮮戦争以来最悪の危機、北朝鮮に対する幻想を捨てよ》には悲痛なトーンさえあります。

 《このような形で北朝鮮におもねれば南北による核交渉につなげられると本当に考えているのであれば、これはもはや純真というよりも危険な考え方だ。また北朝鮮も自分たちがいかなる行動を取っても、最終的には自分たちの思い通りの結果になるのだから、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の頭の中にはもはや米国との直接交渉しかなく、韓国はその交渉の場で北朝鮮が手にした単なる戦利品にすぎなくなるだろう》

 米韓同盟の解体、駐留米軍の韓国からの引き揚げが将来に見え始めたのです。米韓首脳会談で、現在は米軍が持つ戦時の指揮権を韓国軍に引き渡す話が進められ、文大統領は成果として誇りました。米軍司令官が副司令官になるだけの変更と軽く見ていますが、米軍が何万という兵士の命を他国の司令官の戦争指揮に委ねることは考えられず、少なくとも陸軍部隊の撤退は必至です。また、無礼な二枚舌を使われるのなら、米国が韓国を見放すのに配慮無用になります。


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