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独裁志向は挫折するか、習政権の変調があちこち

 中国共産党と国家、軍の実権を一身に集めて独裁志向を強めている習近平主席に、スーパーマンぶりは無理と示す変調が伝えられています。経済が右肩上がりの成長期でなくなった今、独裁で万事さばくのは不可能です。ウォールストリートジャーナルの《中国、エコノミストの経済見通しにも圧力》は《政府当局は、経済についての公的な発言が政府の楽観的な声明とずれているコメンテーターたちに口頭での警告を発してきた》と報じています。さらには下がり続ける株価に苛立って主要証券会社などに株の売買を頻繁にしないように指令するなど、無理無茶を言わなければならなくなっています。


 上海株式総合指標の過去1年間チャートをヤフーファイナンスから引用しました。昨年6月の大暴落から何度もテコ入れをしても結局は下がり続け、当面の落とし所と目論んでいると言われる「3000」をも割り込んでいます。昨年7月の第490回「中国の無謀な株式市場介入に海外批判止まず」で指摘したように「市場に任せるしか無い」のに、全く逆方向に介入と統制一辺倒で進んできた結果です。

 国家主席が一人で笛を吹いていてもどうにもならないと示すのがダイヤモンドオンラインの《中国の公務員にサボり、無責任、非効率が横行する訳》です。商標登録証用の用紙がずっと届かないから国家商標局が業務を停止していたと言います。

 《国家商標局が7ヵ月間で一度も商標登録証を発行していないため、多くの企業がビジネスチャンスを失い、重大な損失を被っている》《商標局の用紙切れは去年8月からだが、今年1月になってようやく商標局は用紙サプライヤーの入札募集を行った。この4ヵ月以上にわたる空白期間について、政府からは何の説明もない》

 日経新聞の《中国版AKB、文革賛歌で“詐欺”騒動》が伝えた少女アイドルグループが「毛・習」礼賛を歌った騒ぎにも注目です。毛沢東が発動した文化大革命の惨状を経験した中国共産党は、二度と個人崇拝に陥らないよう集団指導体制を守ってきました。個人崇拝に踏み込もうとしているかのような習主席に「褒め殺し」を仕掛けた形跡が匂います。

 中国の財政相の懸念を伝える《エリート幹部も懸念する「中所得国の罠」》は経済実務家の問題意識が習主席指向の強権体制とかけ離れていると示しています。

 《楼財政部長が提起したのは、中国は今後5年から10年にわたって「中所得国の罠」からの脱却について真剣に考えざるをえない、という点である。しかも彼は、中国がその罠に陥る可能性は五分五分だとまで述べる。罠に陥らないためには労働市場を再び柔軟なものにし、知的財産権を保護し、土地の流動性や開放的な経済体制をとるべきだと言う》《楼部長はスピーチの最後に、2020年までの間にこうした任務が完了できなければ、「中所得国の罠」を乗り越えることはできない、と結んだ。そして感想として、債務が過大であること、もうひとつは、いまや社会の安定と改革の進捗とのバランスがきわめて苛酷な現実として浮き出ているとの認識を付け加える》

 1年前に読んだ《コラム:中国の習近平氏「独裁」阻む3つの壁》を思い出しました。《第1に、中国経済の構造的欠陥が足かせとなっている》《第2に、習氏の政治的地位は、見掛けほど強力ではない》とし《中国の社会構造や経済構造のシステム的な欠陥を考慮すれば、習氏が国家を動かしているのと同じぐらい、習氏が社会に動かされていることは明らかだ。もし習氏が党のルールと社会の安定を保ちたいなら、これらの問題すべてに対処しなくてはならない》と結びます。

 巨大になった中国こそ「神の見えざる手」に任せるべきであり、その市場を機能させるには自由な情報流通、言論の自由が不可欠です。しかし、第515回「中国の異様な言論統制、安全弁も根こそぎ圧殺」で示したように習近平政権になってからの4年間は全く逆行してきました。


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