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危機の現状に対策が噛み合わぬ科学技術基本計画

 1月下旬に閣議決定された新年度からの第5期科学技術基本計画の駄目ぶりに呆れています。論文数・重要論文数の減少顕著と認識するのに原因たる政府の失政を見ず、基盤改善無しに小手先で対策が打てると主張します。計画検討段階で出された科学技術・学術政策研究所による《研究論文に着目した 日本の大学ベンチマーキング2015》の参考資料からグラフ「日本の論文数、Top10%補正論文数、Top1%補正論文数の世界ランクの変動」を引用します。全領域でこんなに国別ランクが下がり地盤沈下したのを放置して、夢物語のイノベーションを語ってどうするのでしょうか。


 左から「全体」「化学」「材料科学」「物理学」「計算機科学・数学」「工学」「臨床医学」「基礎生命科学」の分野が並んでいます。各分野ごとに3つに分かれ、「ALL」は論文数、「Top10」は他の論文に引用された件数が世界のトップ10%に入る注目の論文数、「Top1」は世界のトップ1%に入る更に重要な論文数です。

 2001〜2003年のランクと比べて2011〜2013年のランクがどう動いたか赤い矢印が示しています。日本は全体のALLで見て2位から5位に、Top10で4位から8位に、Top1では5位から12位にも下がっています。順番に右へ見ていただけば分かる通り、どの分野・カテゴリーでも赤い矢印は下向きで軒並みにランクを落としています。今後、世界を引っ張れるはずがなく、無残と申し上げます。

 2001〜2003年と2011〜2013年の間に何があったのか、2004年の国立大学法人化とそれに続く運営経費毎年1%削減による「国立大学いじめ」を指摘せざるを得ません。この報告はグラフに続けて以下のように指摘します。

 《世界における我が国の位置の相対的な低下に対し、国の中の構造の変化がどのように起きているかをモニターしたところ、我が国の論文産出において主力となるのは大学部門であり、国公私立大学全体で論文産出の72.6%(全分野)を占めることが明らかとなった。つまり、我が国の論文産出においては、大学の勢いが国全体の勢いに大きな影響を及ぼす》

 2001〜2003年から2011〜2013年の間、世界的には研究論文は増え続けているのに日本の論文数は3%減りました。国立大が4%も減らし、私立大は12%増加、特法・独法の研究機関が8%増やしても国立大の減少の大きさには太刀打ちできませんでした。

 第5期科学技術基本計画の本文も「今世紀に入り、我が国の自然科学系のノーベル賞受賞者数が世界第2位である」と誇りつつも問題点を認めます。「まず重視すべき点は、我が国の科学技術イノベーションの基盤的な力が近年急激に弱まってきている点である。論文数に関しては、質的・量的双方の観点から国際的地位が低下傾向にある。国際的な研究ネットワークの構築には遅れが見られており、我が国の科学技術活動が世界から取り残されてきている状況にあると言わざるを得ない」。まさに危機的です。

 それでいて対応策は「問題点の背景には、科学技術イノベーション活動の主要な実行主体である大学等の経営・人事システムをはじめとする組織改革の遅れや、組織間、産学間、府省間、研究分野間等の壁といった様々な制度的要因などが存在する。こうした点について、改善を速やかに進めていく必要がある」とするだけで、政府・文科省の失政「国立大学いじめ」には言及しません。

 それどころか第511回「科学技術立国さらに打撃、大学淘汰で研究職激減」で伝えているように、予算編成でこれからは国立大学への交付金毎年1%削減がルール化されてしまいました。また「科学技術イノベーション活動を担う人材に関して、若手が能力を十分に発揮できる環境が整備されていない、高い能力を持つ学生等が博士課程進学を躊躇しているといった問題点もある」と他人事にように憂うだけで、研究職ポストの激減が近未来に迫っている現実を見ません。

 対策としては科研費などの効率的な配分で対処できるとの議論があります。これは「我が国の科学技術活動が世界から取り残されてきている状況」の根本原因を無視した議論です。2004年の第145回「大学改革は最悪のスタートに」で問題提起したように、依然として多数を占める「たこつぼ型」研究者を、広い視野を持つ自立した研究者に変えていくしか道はありません。たこつぼを出てお互いの研究を評価し合えるピアレビューが出来るようにしなければなりません。こうした研究姿勢の根本のところで欧米に追い付いておらず、科研費審査なども学閥のネームバリューに頼る現状で効率的な配分が出来るはずがありません。


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島根大学の客員教授である久保田邦親博士らが境界潤滑(機械工学における摩擦の中心的モード)の原理をついに解明。名称は炭素結晶の競合モデル/CCSCモデル「通称、ナノダイヤモンド理論」は開発合金Xの高面圧摺動特性を説明できるだけでなく、その他の境界潤滑現象(機械工学における中心的摩擦現象)にかかわる広い説明が可能な本質的理論で、更なる機械の高性能化に展望が開かれたとする識者もある。幅広い分野に応用でき今後48Vハイブリッドエンジンのコンパクト化(ピストンピンなど)の開発指針となってゆくことも期待されている。
  • 次のノーベル賞か?
  • 2017/08/13 4:00 PM
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