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来年は中韓で危うい新大型原発の運開ラッシュ

全く新設計の大型原子炉、それも実証炉など造らずいきなり商業炉建設に突き進んでいる新型原発が2016年、中韓で相次いで運転開始になります。原発管理に危うさがある両国だけに隣国民として注視せざるを得ません。いずれも100万キロワットを大きく上回る大型炉です。世界原子力協会のデータベースや報道をまとめると、運開一番手は米ウエスチングハウスによるAP1000型(125万キロワット)が中国・山東海陽サイトで、次いで韓国開発のAPR1400型(140万キロワット)が韓国・新古里サイトで、最後が仏アレバによるEPR型(175万キロワット)が中国・台山サイトでとなりそうです。


 3種の新型原発が建設されているサイトを地図にまとめました。上記3サイトのほか中国・三門のAP1000、韓国・新蔚珍(シンウルチン)のAPR1400はそれぞれ2017年の運開を予定しています。5サイトいずれも2基まとめて造られています。

 2014年春に書いた第419回「新型炉ばかりの中国原発、安全確保に大きな不安」でAP1000型とEPR型は2014年中の運転開始としていましたが、機器の設計に問題が発生して延び延びになっていました。AP1000は米国でもまで出来ておらず、中国が最初の建設サイトです。またEPRは先行してフィンランド・オルキルオトと仏・フラマンビルでも建設されていますが、トラブル続きで2018年にならないと運転できないと報じられています。EPRについてはトラブルでの建設費高騰が伝えられています。

 APR1400型については第469回「韓国のサウジ向け小型原発は韓流ファンタジー」で触れています。アラブ首長国連邦(UAE)に輸出されて現地で4基を建設中です。売り込みの条件として今年9月までに新古里3号機を運転する約束になっていました。違約すると毎月3億ウオンを支払わねばならないのですが、制御バルブを納入している米GEがリコールを申し入れて、韓国政府の運転許可審査が秋以降になりました。

 新古里3号機では昨年12月、地下ガスバルブ室で窒素ガスが漏出、作業員3人が窒息死する事故が起きています。窒素ガスは冷却水を原子炉に送り込む圧力を高めるために用いられています。死亡事故自体も大変ですが、窒素ガス漏れ警報機が備わっていなかった点が原発の安全上、大きな欠陥と考えられ、運転開始が遅れる一因になりました。独自設計の落とし穴を象徴しています。180億円のほどの開発費で設計しただけで大型商業炉にしてしまう、しかも稼働寿命を現在標準の40年から60年に延ばす強引さに、原子力の取材が長かった者として懐疑的にならざるを得ません。

 AP1000型を設計したウエスチングハウスは加圧水型炉の開発メーカーであり経験は豊富です。しかし、中国にはAP1000を拡大したバージョンCAP1400型を独自開発して世界に売り込む計画があって、AP1000でも主要機器の中国国産化が急がれています。まず1号機を動かして具合をみてからではなく、建設中から次々に国産化です。第478回「未運転の新型原発を売る商売に中国と韓国が熱中」でも指摘しましたが、原子力の安全確保よりも商売が先行した前のめり姿勢はどう考えても不安です。中国の原発管理基準が国際的に見て劣っていると技術幹部が認めているのですから。


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