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40兆円超え医療費膨張に厚労省は無策なまま

 2014年度医療費が40兆円の大台を超えます。年に7千億円と増勢は鈍ったものの膨張持続は財政にとって危機的です。しかし、厚労省は切り札と言っていたメタボ検診の効果分析を投げ出すなど、あまりに無策です。政府は価格が安い後発医薬品の活用などを対策にあげる程度であり、病院のベッド数が多い西日本を中心に医療費がかさんでいるとの昔からの見方を変えていません。先月、近畿大とハーバード大のグループが医療の質と医療費の相関を分析した論文を出しており注目すべきです。1人当たり医療費が低い首都圏と東北は満足な医療が受けられていない一方、西日本でも高医療費が生きていない県があります。情報社会にふさわしい分析が医療費については出来ていません。広く研究者に詳細データを公開して質を保ちながら抑制するアイデアを考えてもらうべきです。


 8月に英科学誌に掲載された《医療費と心肺停止患者の生存率の関わりを初解明〜都道府県ごとの正しい医療費の目標設定に貢献〜 近畿大学医学部救急医学教室×ハーバード大学》にある相関データをグラフにしました。研究手法と結果の概要は次の通りです。

 《2005〜2011年に日本国内で発生し、救急搬送された院外心肺停止の全患者618,154人のデータを解析しました。各県の医療の質の指標として、院外心肺停止患者の1カ月生存率および1カ月後の神経学的予後を用いました》《低医療費の都道府県と比べて医療費が中等度の都道府県では1カ月生存率が統計学的に有意に高いことが明らかになりました》《医療費が中等度と高い都道府県では患者の予後に差はありませんでした。1カ月後の神経学的予後を用いた解析でも同様の結果が認められました》

 1人当たり医療費は2005〜2011年の平均値で、高医療費の県として引き合いに出される高知が図抜けています。高知は1カ月生存率で6.4%と好成績ですが、同じ四国で医療費が高い徳島は3.5%と振るいません。8.4%とトップなのは富山ですが、6.3%の石川、3.9%の福井と、医療費がそろって高めな北陸三県なのに成績はばらばらです。

 グラフの左下方面に3.4%の東京など首都圏と東北の都県が集中しています。医師不足、病院不足が言われる地域であり、救急医療の成績が悪くなるのもやむを得ないでしょう。関西の中心部、大阪・京都・兵庫は医療環境に恵まれていますから、そろって6%前後とまずまずの成績になっています。

 医療の質は救急医療の成績だけでは決められないと思いますが、ひとつの切り口としては有用でしょう。研究者が指標になる色々な切り口を考えていく上で、医療データの電子化が足りないのは致命的です。こんな時に時事通信の《メタボ健診、効果検証できず=データ数十億件宙に―厚労省対策放置か・検査院》を見て、本当にがっかりしました。

 《健康改善や医療費抑制の効果について、健診や指導の結果とレセプト(診療報酬明細書)の情報を照合し、18年度に検証するとしていた。今年2月末までに、レセプト情報約87億9000万件、健診データ約1億2000万件を収集した。検査院が11、12年度の実態を調べたところ、照合できたデータの割合は12年度で25%、11年度は19%に過ぎなかった》《入力文字の全半角や漢字・カタカナ書きの違いで同一人物と認識しないシステムになっていたためで、入力の統一マニュアルもなかった。個人情報保護でデータが暗号化されるため、再照合も困難という》

 昨年の『メタボ健診重視政策は医療費膨張危機からの逃避』ではメタボリック症候群健診そのものを批判しましたが、「健康政策に活用する」と言っていた健診データをメチャメチャにしていたとは呆れます。人間ドック学会が打ち出した健診基準の見直しは大いに期待されたのに第441回「医師の患者水増し阻む新健診基準は立ち消えか」で伝えたように陽の目を見ません。日本医師会など利害関係者の顔色をうかがいながら官僚の狭い視野で考えたって埒が明かないのは当然です。もっと情報をオープンにして、広い範囲で議論すべきです。


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