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無残な科学技術立国、人口当たり論文数37位転落

 科学技術立国を唱えてきた日本の無残な実情が見えました。人口当たり論文数を指標にすると東欧の小国にも抜かれて世界で37位に転落です。国立大学法人化で始まった論文総数の減少傾向が根深い意味を持つと知れます。国際的に例が無い、先進国での論文長期減少の異常を最初に指摘して反響を呼んだ元三重大学長、豊田長康氏が新たに作成したグラフを《いったい日本の論文数の国際ランキングはどこまで下がるのか!!》から引用します。


 グラフは「人口当たり全分野論文数の推移(3年移動平均値)。日本は多くの東欧諸国に追いぬかれた。」です。年単位の凸凹をならすために前後3年間の平均を採用しています。右端に並ぶ国名が2014年での世界の人口当たり論文数ランクになります。この数年でクロアチア、セルビア、リトアニア、ハンガリー、ポーランド、スロバキアといった東欧の小国に追い越されたばかりでなく、欧米先進国との差が開くばかりである惨状が分かります。

 世界的な論文数増加の勢いに取り残される傾向が、バブル崩壊があった1990年代から始まっている経過も見えます。北欧の小国はもともと上位を占めている上に、2000年前後の世界的伸長ペースに取り残されて西欧の小国にも置いて行かれました。さらに東欧諸国にもという次第です。

 2014年の論文総数は「昨年と同様に世界5位で順位は変わっていませんでした。ただし、人口が半分のフランスに接近されており、このままのペースが変わらないと仮定すると3年後にフランスに追い抜かれて6位になります」。人口当り論文数は「国ではありませんが香港を加えますと、国際順位としては37位」、「このままの政策が継続されれば、さらに国際競争力が低下する」と豊田氏は主張します。

 昨年6月の第435回「2016年に国立大の研究崩壊へ引き金が引かれる」続編で政府・文部科学省が採っている大学「改革」政策の無謀さを指摘しました。論文総数の異常減少グラフはそちらで見てください。

 豊田氏の分析が、論文数は大学への公的研究開発資金に左右されることを示しており、それは日本では国立大学運営費交付金です。交付金が2004年の国立大学独立法人化から10年間で13%も減額され、自由な研究に充てられる余裕がほぼ消滅しました。

 文科省の今年4月8日付《第3期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の在り方について》はこれまでの重点配分方式では「大学改革促進係数により財源を確保した部分と、重点配分した部分の関係が不明確」「選択の幅が広すぎ、結果として各国立大学の強み・特色をより伸ばすことにつながっていない」と不十分とします。2016年から始まる第3期でもっと抜本的に重点配分していくと宣言しています。

 ここまで交付金総額を減らした上に重点配分を強力にすれば旧帝大クラスはともかく、中小の大学にはカツカツ以下の資金しか回らなくなります。「無駄な研究などしないでよい、学生の教育だけやりなさい」との含意があちこちに見えます。もともと財務省は教育のために配当すべき教員数よりも多くを抱えている現状が不満でした。しかし、重点配分でいま目立っている研究成果に資金を集中して早く果実を得ても、将来に育てるタネが草の根の研究者群から出て来る基盤を失ってどうするのか、とても大きな疑問があります。国家百年の計にかかわる論文数減少の意味を、自分の代で何か成果を出したい文科省官僚が全く考えていない愚かさが明らかになっています。


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