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日本の原子力推進派は手抜きを上手とまだ誤解

 六ケ所村の核燃料再処理工場の安全審査を3月末で済ませ設備改善工事にかかる目論見を日本原燃が放棄しました。重大事故にも余裕があるとの定性的評価に対し、規制委は定量的に議論しなくては駄目だとすっぱり拒絶。来年3月末まで完工を延期していて、審査が終わり次第工事に入って間に合わせるとの釈明を信じる人はいないでしょう。本当の始末を付けぬ逃げ腰・曖昧が原子力の世界で横行しています。福島原発事故がどうして起きたのか、どう悲惨に展開したか、手抜きだらけだった事実をまたも忘れているようです。


 原燃の放棄が伝えられた2月27日には大阪・熊取の京大原子炉で第111回原子力安全問題ゼミが開かれていて、4年ぶりの会に出席していました。上は過去最大140人参加でぎっしりの会場です。川野眞治さんが熊取6人組で先見性を発揮してきた過去を振り返った後は、小出裕章さんの定年退職に伴う最終講義のようでもありました。題して『原子力廃絶までの道程』から、従来の安全基準から規制基準に変わった問題で「新規制基準は破局事故を前提にする」の項を引用します。

 《原子力推進派は、大飯原発運転差止判決がゼロリスクを求めていて科学的でないと批判している。しかし、原発が絶対に破局的事故を起こさないと言って、ゼロリスクを宣伝してきたのは、原子力推進派である。もちろん、「ゼロリスク」の機械はなく、非科学的だったのは原子力推進派である》

 《今回の基準も「安全」基準ではなく「規制」基準、そのため、それに合格したからと言って「安全だとは申し上げない」と田中俊一規制委員会委員長自身が言っている。ところが政治の場に行くとすり替えが行われ、安倍首相は「安全を確認した」と言い、誰一人責任を取らなくていい形になる。そして、出来ない避難計画は各自治体に押し付ける》

 実際、最初に「合格」の川内原発再稼働では避難計画も周辺自治体の同意問題も驚くほどいい加減で推移しています。本当に事故が起きた時に、住民に対して恥じない釈明と対処が出来るとは思えません。2番手の高浜原発など若狭湾について詳しく見た『原発事故時の避難計画、具体化するほど無理目立つ』を2013年末に書いているので、ご参照ください。

 困ったことにマスメディアがその手抜きの共犯になっています。原発事故後の除染で出た大量の汚染土を保管する中間貯蔵施設について、安全ゼミ席上で今中哲二さんが「30年後に福島県外に撤去するなどあり得ないと誰もが思っている。ところが、地元メディアの記者に聞くと『あれはタブーですから書けません』との返事が返ってくる」と批判していました。また、放射線管理区域に指定せざるを得ない広大な汚染地域に住民を住まわせている惨状に、在京マスメディアは目をつむり続けています。(参照:第358回「福島市街地の半分は居住不適。報道されぬ不思議」

 核兵器をいつでも持てるようにするために原子力開発を続けている――これが公然とは口に出来ない日本の国家的タブーです。六ケ所再処理工場にして1997年完工予定がこれほど延び延びになっても止めません。第448回「死に体の核燃料再処理、政府の救済人事も無理か」で新規制基準適合審査について見ています。現状でも規制委の出した重大事故がらみの宿題は回答できずに多く残り、冒頭の厳しいやり取りが1月末にあったのですから、この安全審査を容易にパスするはずがありません。

 原発汚染水の管理も泥沼状態です。上手に誤魔化す手法に決別すべき時期に至っていると主張します。こんなボロボロの意思決定しか出来ない国家に核兵器の戦略・戦術決定、核の発射ボタン管理が可能でしょうか。溶融炉心がどこに行ったか知れない3原子炉の廃炉に取り組むだけで、今後に十二分な困難が待っています。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー


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